2023 J1リーグ第2節 全試合ハイライト&メモまとめ
湘南vs横浜FC
開始早々15秒くらいで横浜FCが先制に成功。その後は互いに切り替えの強度が高く、球際での激しさが際立った。前半は湘南が高い位置で奪ってカウンター攻撃を仕掛け、チャンスを多く作り出す。湘南が前に出てくるぶん、横浜FCは長いボールのセカンド回収をすることで敵陣での攻撃へ移行。そのやり合いで互いにチャンスを作り合ったものの、おおよそ湘南が主導権を握って進め、町野の素晴らしいゴールで追い付き、和田のキックミスによるオウンゴールで逆転に成功した。後半も立ち上がりは湘南ペースで進んだものの、60分を過ぎたあたりから湘南のプレス強度が落ちたことで横浜FCのペースに。後半頭から入ったカプリーニを軸に攻め立て、CKから小川航が決めて同点に。最終盤は互いにビッグチャンスを迎えながらも決め切れず、2-2で終了した。
湘南は60分頃までは開幕戦と同じように良い守備から良い攻撃への移行がスムーズに回ったものの、チャンスを決め切れない課題が露呈。3点目を取れなかったことで、後半押し込まれた時間帯が苦しくなってしまったと言える。また、ハードな入り方をしたことでスタミナが持たなくなってしまったことも反省材料。タリクと阿部の投入でギアチェンジを図ったものの、思うようには機能しなかった。石原が負傷交代しており、次節の出場は微妙か。
横浜FCは開幕戦同様、序盤は苦しい展開を強いられたが、終盤は攻撃の迫力を見せられた。そしてこの試合ではゴールをこじ開け、勝点1を獲得。まず1ポイントをとれたことが今後につながっていくはず。また、小川航がJ1でも得点が取れるところを見せられたことも良かった。ただ、主将のガブリエウが負傷交代となったことはバッドニュース。本人のリアクションを見る限りでは軽傷ではなさそうだったが、復帰時期はいつになるだろうか。
横浜FMvs浦和
スコルジャ監督が試合後コメントで「立ち上がりは相手をリスペクトしすぎていた」といったニュアンスのことを言っていたように、立ち上がりの浦和はミドルゾーンで構える傾向があり、マリノスの攻撃をもろに受けてしまった。その流れでロペスの先制弾が決まる。20分を過ぎたあたりからは浦和が徐々に守備のバランスをつかみ始め、マリノスを自陣へ進入させずに押し返す時間を作る。また、プレスを受けた際に西川が相手ボランチ脇の選手へロブパスを届けることで前進パターンも確立。良い流れで相手ゴールへ向かったが、アタッキングサードでの攻撃には物足りなさを感じた。一方でセットプレーでは惜しいチャンスを作れていた。
後半に入っても浦和ペースで試合が進み、後半頭から投入された興梠が再三起点を作る。そしてモーベルグが裏へ抜け出してGKと1対1に近いところまで持っていくチャンスを作ったものの、シュートは打ち切れず。その後、マリノスが70分あたりから落ち着き始めると、ボールを持ってゲームコントロールを始める。さらにマルコスの投入で前線の守備強度とパス回しのスムーズさが向上し、前プレからショートカウンターで2点目をゲット。これで勝負が決まった。
マリノスは開幕戦同様、苦しい時間がありながらもしっかりと耐え抜き、勝負どころではしっかりと決め切るしたたかさを見せた。また、開幕戦ではバタバタしてしまったが、この試合では途中からしっかりゲームをコントロールし、2点目を取ってからは危なげなくクローズに成功。
浦和は自分たちの時間帯で決め切れないこと、そして苦しい時間帯で押し返す一手をなかなか見つけられないことが苦しい。そして開幕2連敗を喫し、新体制に嫌な雰囲気が漂う。興梠が入って攻撃がかなり整ったが、志すスタイル的には彼に頼ることは本望ではない気もする。今後、結果と理想のバランスをどうとっていくか、注目したい。
立ち上がり早々は鳥栖が連続セットプレーから惜しいシーンを作るもガンバも粘ってかき出す。その流れが終わると前半はガンバがゲームをコントロール。鳥栖がおもいのほかプレスに出てこなかったこともあり、詰まったら谷に戻してやり直し、を繰り返してゲームスピードを落としながら隙を伺う。基本的には後方からショートパスでつなぐが、前線にスペースがあると見れば鈴木へロングボールを送ることもあり、一辺倒の攻撃ではなく状況判断をしっかりとしている印象がった。鳥栖は5-2-3でセットし、前に奪いに行くときはWBを押し上げて圧力を掛ける。ガンバがセットプレーから鈴木が押し込んでネットを揺らしたものの、VARチェックによりオフサイドになってゴール取り消し。そのほかガンバが山見を中心に惜しいチャンスを作ったものの、スコアレスでの折り返しに。鳥栖は狙いどおりに奪えるシーンも組み立てからスピードアップできるしーんも少なく、多くの時間でらしさを出させてもらえず。ガンバはボールを持たれても4-2-4の守備セットでけん制をかけ、うまく押し返していた。鳥栖は相手ボランチ脇に西川を流して起点を作ろうとするも、そこからゴールへ向かうまではなかなか難しかった。
4-2-4守備だとラヴィとダワンの負担が大きいため、後半は4-4-2セットに微調整したガンバ。それによって鳥栖のバックラインに時間が生まれ、保持のエリアが前になった。ただ、先手を取ったのはガンバ。ピンチからのカウンターでCKを獲得し、こぼれ球を鈴木が押し込んだ。今度はオフサイドもなく正真正銘のゴール。ただ、その後は鳥栖ペースに。敵陣へ入れるようになった鳥栖はゴール前での攻撃試行回数を増やしながら素早い切り替えで押し込む。あと一歩が足りない状態だったが、途中出場の樺山が個人技からこじ開けて同点に。その後は鳥栖が保持から、ガンバがカウンターから勝ち越しを狙うも、両者の好守もあってドロー決着で終了。最後はCKを蹴れるのか蹴れないのかというところで終了のホイッスルを鳴らされ、ガンバはストレスのある終わり方になった。
ラヴィがフル出場、ジェバリがJデビューと、ガンバは新戦力のフィットが進んでいる。また、開幕戦に続き、山見がキレキレで好調を維持している。
鳥栖は5失点大敗した開幕戦から立ち直りを見せて勝点獲得。セットプレーから危険なカンターを受けるところなどはまだバランス調整が必要に見えるが、良いビルドアップ、良い崩しは随所に見られるようになった。
名古屋vs京都
前節で鹿島に完敗を喫した京都は先発を5名入れ替え。システムも4バックから3バックに替えて心機一転で臨む2戦目。互いに非保持からのトランジションで強みを出すチームであり、つなぐシーンは少なく、蹴り合いが多い展開に。京都はパトリックにあてて押し上げ、名古屋は3トップで縦に速くゴールへ迫ったり、タメを作ってから森下の攻撃参加を生かしたりして攻める。
スコアレスで迎えた後半は、名古屋がビルドアップミスをおかして二度ほど京都がビッグチャンスを迎えたものの、ランゲラックの好守にはばまれる。一方、名古屋はユンカーと永井の好連係からゴールを陥れ、そのゴールを守り切って逃げ切りに成功した。
京都はランゲラックに止められたシーンを2つ決め切っていれば勝てたと言えなくもないが、ハイプレスからのショートカウンター以外に攻め手がない印象が強く、前へ蹴って逃げられてしまうチームに対しては難しい戦いを強いられてしまうのではないだろうか。
名古屋はマテウスがタメを作って猛然と外を駆け上がってくる森下を生かす攻撃が印象的。また、自陣でのビルドアップミス以外では決定的なチャンスを作らせておらず、守備も最後のところをやらせないという点に関しては安定している。
福岡vsC大阪
前半は5-4-1のブロックを敷いた福岡の前にセレッソがなかなかチャンスを作れず。ボールを持つ時間こそ作れたが、福岡のスライドをずらせるほどのスピード感が出せなかった。一方で福岡は両サイドからクロス攻撃を中心にゴールへ迫る。左からは小田が個人で仕掛け、右は紺野と湯澤が好連係から深さと中を取っていく。ただ、個人で競り勝てるようなターゲットがいなかったため、とにかく数を多く入れていつか合うのを待つような攻撃だった。
スコアレスで迎えた福岡だが、プレスで相手に圧を与えると、ミスを誘ってショートカウンターから先制点を奪取。抜け出したルキアンがエゴを出さずにフリーで待っていた前へ渡したところが肝だった。ただ、セレッソもすぐに追い付く。こちらは毎熊が右からヌルっと運び出してPA付近の上門へ渡すと、1stタッチでマーカーを外して豪快に左足で打ち抜いた。比較的締まった展開の中、引き分けで終わりそうな雰囲気があったが、終盤に福岡が前嶋→金森で決勝点を奪取。交代選手2人が仕事をして福岡が初勝利をもぎ取った。紺野の活躍で2番手に近い立場に置かれている金森が結果を出したことも大きい。
セレッソは山中不在でいつもよりは左から怖いボールを入れられる回数こそ少なかったが、舩木は後方からの配球や斜めのクサビなど、山中とは異なる良さを出していた。また、上門のゴラッソマシーンっぷりも健在。
札幌vs神戸
神戸は少し形を変えて4-4-2セット強めの布陣。札幌は前線にロングボールを入れても、競り合いに強いタイプがいないため、簡単に跳ね返されてしまう。そのため、自陣でしっかりとつないで前進する必要があり、神戸はそこを狙ってきた。序盤にさい先よくショートカウンターから神戸が先制に成功すると、高い位置から激しくプレスをかけ続けて主導権を掌握。ただ、その後に追加点は奪えないまま折り返し。
後半は札幌がキムゴンヒを入れて前線のパワーを強化。前半にかなり飛ばしていた神戸がプレス強度を少し下げたこともあって、札幌が保持のラインを上げられるように。ただ、効果的な攻撃は出せず。神戸は前線から積極的には追えなくなったものの、カウンターでゴールへ迫る。ゴールキックの流れから佐々木が追加点を奪取し、試合をラクにした。終盤には3点目が決まって勝負あり。札幌は終了間際に金子がPKを獲得して1点を返したが、完敗と言っていいだろう。また、最後のPKも初瀬が足を攣ったことで扇原が応急処置的に左SBを務めていたところを突いた形であり、流れの中かららしい崩しを見せることはほとんどできなかった。
鹿島vs川崎F
立ち上がりで良い入りを見せた鹿島が開始早々に先制点を奪取。しかもそれは今季川崎から鹿島へ移籍した知念が決めるというトピック付き。そこから鹿島は4-5-1のブロックを敷き、中央をがっちりガード。川崎はボールこそ持てるが、中に入れればカットされ、外へ開けば中央の選手を動かせず、と打開策が見つけられないままボールだけを回す展開に。強いて言えば左サイドのマルシーニョと大島or橘田の連係から深さを作れるシーンはあったが、急所に入り込める場面はほとんどなかった。
後半も構図は同じ。ただ、鹿島が前半よりもプレスのギアを上げた印象があり、前半では中盤のセントラルをしっかりフラットで3枚並べるようにしていたが、後半はIHが1人前に出ていく形も見られた。鹿島はブロックを組みながら前向きで奪ってカウンターを仕掛ける。ただ、惜しいシーンは何度か作ったものの、追加点は奪えず。それでも終盤には山村を決定機阻止で退場へ追い込み、かなり優位な状況に。開幕戦と同じく、最後は割り切ったプレーで逃げ切りを図る展開になったものの、1人少なくなった川崎も目の色を変えてゴールへ迫る。まずはセットプレーの流れから山田が押し込んで同点に追い付くと、その後も攻勢を強めて終了間際にPKを獲得。結果的に腕でボールをかき出してしまった荒木には一発レッド。そしてそのPKを家長が一度は止められたものの、蹴り直しとなった2回目を正面上に蹴り込んで逆転に成功した。
リーグ戦では15年を最後に川崎に勝てていない鹿島。この試合こそようやくトンネルの出口が見えたと思ったが、まさかの結末が待っていた。80分過ぎまで完璧と言っていいような試合運びから、10人の相手に2点を奪われるショッキングな敗戦。割り切った戦い方で内容も悪くなかっただけに、この試合を次へ引きずらないことが重要になる。
川崎は2試合連続でCBが一発退場するなど、歯車がうまくかみ合っていないことは事実だが、それでも2戦目で白星を手にできたことは非常に大きい。開幕戦は内容は良かったが結果が伴わず、第2節は内容は良くなかったが結果が伴った。次は内容も結果も伴うゲームをしたいところ。
広島vs新潟
立ち上がりから猛烈にプレスをかけてくるいつもの広島に対し、新潟は安易に前へ蹴らずしっかりとショートパスでつないで対抗。序盤こそ広島のプレスに苦しんでいた新潟だが、徐々に順応していくと、フリースペースを使って前進や、プレス回避に成功し始める。一度流れをつかんだ新潟は広島にプレスへ出てこさせないようにコントロールし、完璧な流れから2点を奪取。理想的な展開での折り返しに成功した。
後半は2点ビハインドの広島がハーフタイムでの選手交代でギアチェンジ。45分間のうち9割近い時間で敵陣へ押し込み、攻撃を続けたが、セットプレーの流れから挙げた塩谷の1点にとどまり、新潟が逃げ切り成功。終盤で投入されたネスカウが個人で体を張って時間を作るなど、できる手を打ったとはいえ、後半は猛攻をしのいだ新潟の守備陣を称えるべき内容だったと言える。
新潟は、J1でも屈指の激しいプレスを持ち味とする広島の圧力をかいくぐれたことは大きな自信になったはず。実際、これ以上のハイプレスはないと思われる。また、崩しの局面も完璧で、得点力もここまでは申し分ない。
広島は2戦連続で敵陣へ押し込み続ける時間を作ったものの、最後のゴールを奪うところが足りず。やろうとしていることはできているだけに、難しい悩みを抱えている。
広島はホーム2連戦で勝点1、新潟はアウェイ2連戦で勝点4と対照的なスタートになった。
柏vsFC東京
強風が吹く中で行われたゲーム。その風の影響もあってか、FC東京はあまりショートパスでつながず、ロングボールからのセカンド回収で前進を図るシーンが多くなっていた。柏は細谷がアンカー位置を監視しながらミドルゾーンで4-5-1のブロックを敷き、迎撃態勢を整える。FC東京もロングボール主体でゴールへ迫るシーンは作っていた一方、守備は不安定さを露呈。前節の後半でうまくいった4-2-3-1の形を継続して臨んだがプレスがハマらず、ダブルボランチは左右に動かされがちになった。その弱みを突いた柏が先に試合を動かす。サヴィオが間延びしたライン間で受けると素早く細谷へスルーパス。木本がブロックに飛び込んだものの、シュートはスウォビィクの股を抜けてゴールへ吸いこまれた。その後も柏がペースを握って片山のクロスから細谷のバー直撃ヘッドなどゴールへ迫ったが、次にスコアを動かしたのはFC東京。スローインから塚川がニアゾーンに抜け出して折り返すとファーでフリーになったアダイウトンが詰めた。アダイウトンは日立台でのゲームで3戦5得点と抜群の相性。
後半は風上に立ったFC東京がプレスの行き方を微調整したことでハマるようになり、主導権を握る。高い位置からのプレスと素早い切り替えで敵陣でのプレータイムを増やし、ゴールへ迫ったが、決定的なチャンスまでは作れず。セットプレーや速攻から惜しいチャンスはあったものの、ゴールは奪えなかった。終盤には中村が2枚目の警告を受けて退場。そこからは数的優位に立った柏が攻めに転じたが、FC東京も1人少ないなりにうまく戦って引き分けで決着した。
タイスコアで迎えた後半に押し込めたことを考えればFC東京のほうが勝ちに近かったという見方もできる一方、終盤には退場者も出しているため、引き分けが妥当だったと見ていいだろう。
FC東京は松木が代表活動で離脱している中、安部が約2カ月程度負傷離脱、仲川も状態不明と主力に早速アクシデントが出ている。
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