がちゃのメモ帳

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2024 J1第4節 ガンバ大阪vsジュビロ磐田 メモ

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スタメン

ガンバはウェルトンが加入後初先発。三浦が欠場で福岡が先発に。2試合連続で先発だった三浦とアラーノがメンバー外。東口が初のメンバー入り。また、鈴木→ダワンに先発を変更。

磐田は3試合連続で同じ先発とサブメンバー。

流れ

磐田は4-4ブロックの前に山田がサポートに入る形。

磐田はいつもどおりSHをインサイドに入れて内側のパスコースを作る。

磐田のゴールキックに対し、ガンバがつながせないように前からプレスを掛ける。磐田はサイドで詰まったところからジャーメインへ蹴って時間を作ってもらおうとする。

3分、ガンバ先制、1-0。ガンバのプレスから自陣深くでつなぎにいったところを岸本がカットし、宇佐美が決め切った。磐田はまたしても自分たちのミスからの失点。

磐田は中村が最終ラインサポートに入り、上原がアンカータスク。その両脇に松本と平川が入ってくる。ガンバは2トップが背中でアンカーを消す。1点リードもあってか、そこまで前には出ていかなくなったように見える。

中村のポジション移動で宇佐美の守備をコントロールし、空いたところから背後への配球。

ラヴィがアンカー役、ダワンがその右をベース位置にする。

ジャーメインが相手最終ラインと常に駆け引き。ラインブレイクを狙う。

上原が右おりでウェルトンを引きつけ、SBを浮かせる。

一森は背後のカバー意識がかなり高く、かなり深い位置まで飛び出してくる。

降りる平川にラヴィがついて行けば、その背後に山田が潜り込む。ボランチと2列目の3人がうまくつながって中盤のラインを突破しようと図っている磐田。

ウェルトンの仕掛けには松本もサポートに戻る。マイナスの黒川にはスペースが生まれる。

ガンバは一森も加えてビルドアップ。無理に前へ送るのではなく、詰まったら何度もやり直す。磐田が前に出てきたら、バイタル近辺のフリースペースを使って前進を図る。

磐田はジャーメインの縦の裏抜けのほか、SHの斜めの裏抜けも見せる。

ウェルトンと岸本の左右が入れ替わっている。→元に戻った。

ラヴィがサリーで3バック化。CB→半田で相手SHを切ってスピードアップ。

平川が岸本の前に出てくることで守備基準を押し付け、CB→SBのコースを空ける。

ラヴィがサリーで3バック化するシーンが増えた。CBを開かせて半田を押し上げ、CB→SBでスピードアップを狙う形が何度か。

磐田は2トップで3バック化する選手にプレスを掛けて制限を掛けに行くが、逆まで送られて1stプレスを外される。

磐田はトランジションからカウンターに出て陣地回復及びゴールを狙うが、ガンバの切り替えが早く、時間を与えてもらえず、パス精度が上がらないため、ポイントが作れない。

半田が大外で高い位置を取る際は岸本がインサイドに入る。

36分、山田康に警告。

磐田は変わらず、岸本のところに守備基準を複数作って空いたところから前進していく。ジャーメインへの縦パスから落としてスピードアップを狙う。植村が大外の高い位置に出て、松本がポケットに走る形。

 

ガンバが立ち上がりに先制点を奪ったあとは、ともに保持とセット守備の構図。ガンバは一森を使ってやり直しながら、全体のポジションを流動的に動かして保持を安定させる。途中からはラヴィを最終ラインに下ろして3バック化し、半田を高く押し上げ、岸本にインサイドサポートさせる形での打開を図るシーンが多かったか。磐田は中村と上原が中盤と最終ラインの列移動を行いながら、それに合わせて2列目の選手がピックアップサポート。中村と平川で岸本の目線を集めておいて、CB→SBで前進する形が何度か見られた。また、敵陣での攻撃ではジャーメインの裏抜けを軸に、右サイドのコンビネーションが何度か。ともにアグレッシブに奪いにいくフェーズは少なく、静的なゲーム進行が多くなった。

 

後半

磐田交代

山田、平川→ペイショット、古川

47分、ウェルトンのスルーから振り向いての突破。足元で受けると思わせておいて植村を引き出し、その背後へ一気に抜け出す。

いつもどおりペイショットが最前線に入るとジャーメインはトップ下タスクに。ボランチ脇のスペースに入ってきて起点を作る。

互いにトランジションから中盤での球際の競り合いが激しくなっている。

51分、ウェルトンに警告。

磐田は2トップで2CBにアタックへ出ていくように。ガンバは山田がボランチ裏に潜り込んで起点作り。ジャーメインはプレスバックでボランチ前のスペースで時間を与えない。

磐田は相手SH-CH間に人を置いてそこからラインブレイクを狙う。ただ、ガンバのSHもプレスバックが早いので、少し迷うと食われる。

ウェルトンが植村とのマッチアップで優位性をとっている。

56分、ガンバ追加点、2-0。連続で攻め込んだ流れから宇佐美のクロスをダワンが合わせてゲット。磐田は中の人数は整っており、グラッサがマークについていたものの、強ターゲットのダワンに飛ばせてしまった時点で厳しい勝負になった。

59分、磐田得点、2-1。ジャーメインが背負ってキープしたところを起点にPA内でパス交換を始め、目線を揺さぶったところから左へ展開。クロスを後ろから入ってきたジャーメインがフリーで合わせてゲット。ガンバはDFが後ろに引いて空けたバイタルに愛られた。

61分、磐田交代

松本→藤川

磐田は敵陣に人数を掛けて攻める。それにともなってトランジションからサイドのスペースを突かれやすくなっているが、そのリスクは承知の上で出ていく。

磐田の得点から磐田のペース。

65分、ガンバ交代

ラヴィ、岸本→鈴木、倉田

2トップがプレスを掛けて、磐田の保持からの前進を簡単には許さないように出ていくガンバ。

ガンバがプレスからの回収で保持のフェーズを作り、カウンタープレスで回収し、コントロール下に置く時間を作る。

71分、藤川に警告。

71分、ガンバ交代

宇佐美→坂本

磐田は自陣4-4セットで、ジャーメインが中央の経由地つぶし及び、トランジション起点狙い、ペイショットが最前線残り。

74分、磐田交代

中村→ゴメス

ウェルトンが一度降りてから背後へ抜け出すなど、植村との駆け引きをずっと続けている。足元で受けるだけでなく、駆け引きの引き出しも多い。

ガンバは2トップが背中で中盤を消しながら坂本がプレススイッチを入れ、山田が横消しでサイド圧縮を図る。そうなるとボランチが人を捕まえに前へ出てくるため、磐田は2対2になっているジャーメインとペイショットを使って、2人の関係性から収めて押し上げる。

78分、磐田交代

植村→西久保

古川が入ってから古川が大外で1枚張って、松原がインサイドに入る偽SBタスクに近い配置になっている。

82分、ガンバ交代

山田→石毛

アバウトにでもペイショットへ預けておけば背負ってポイントを作ってくれる。

終盤に入ってかなりオープンな展開に。磐田はペイショットへシンプルに入れながら陣地を押し上げ、ゴール前に人数を掛けた状態でクロスなどからゴール前の圧力を高める。ガンバはウェルトンを高めにの押しておいてカウンターの脅威も残す。ガンバは個人で陣地回復できても、最終ラインが上げられず、ロストすると中盤に広大なスペースが生まれる。

89分、ダワンが足を攣る。

磐田が捨て身の攻撃でゴール前に人数を掛けて圧力を掛け続ける。ガンバはひたすら我慢の展開。

西久保のクロスをジャーメインが合わせて枠へ飛ばすも一森がファインセーブでかき出し、その後のパンチングで終了のホイッスル。

 

いつもどおり途中からペイショットを投入して、後方でつなぐよりも前線に増やしたターゲットのところへシンプルに送って前進を図る磐田。また、ドリブラーの古川が入ったことで松原が内側に入るタスクに変わった。その中でガンバが連続攻撃のチャンスを作って追加点を奪取。クロスに強いダワンをターゲットにできた良い攻撃。その直後にもビッグチャンスが訪れた中で3点目を決め切れず。そうすると磐田がチャンスを生かして1点差に。ジャーメインが収めとフィニッシュ役の両方を務めた。そこからは磐田のペース。ガンバが前から来なければ保持の陣地を押し上げて攻撃、前からくれば2対1になっているジャーメインとペイショットのところへシンプルに入れて、2人の関係性で起点を作る。磐田が捨て身で出てくるぶん、ガンバもカウンターを狙えるシーンもあったが、フィニッシュまで行けないシーンが多く、段々疲れが出てきたことと、守りたい意識が上がってきたことで防戦一方に近い展開に。磐田はゴール前に人数を増やしながらサイドからのクロスでゴール前の圧力を高め、混戦を作り出せたが押し込むまでは至らず。ガンバが最後のところは踏ん張り切った。

磐田は1stセットにゲームコントロール型の選手が多く、そこから選手交代でゲームチェンジしていくようなプランニングに見えるため、前半でリードを奪われると、勝機が薄くなってしまう。ペイショットの早めの投入で押し返すポイントを作り、ゴール前のパワーを出せたのは良かったが、それをタイスコア以上でできるようにしたいと思っているはず。

ガンバは早々にリードしてから保持と非保持でうまくゲームスピードを落とし、コントロールできていたが、終盤はどのように振る舞うかが曖昧になりがちなところがあった。ウェルトンで追加点を狙うのか、プレスで押し返しを図るのか、自陣セットで後ろに重くしてでも陣形を崩さないことを優先するのか。最終的には1点を守り切る体勢でしっかり守れたが、残り20分は苦しかった。ただ、ジャーメインとペイショットのコンビネーションがガンバの振る舞いを難しくさせたとも言える。

 

個人的MOM

★宇佐美 貴史

1ゴール1アシストで全得点に関与。ゴール前の最後の質を高める存在として、開幕からチームに勝点をもたらし続けている。

初先発のウェルトンもスピードと仕掛けで対面の植村をちぎりまくった。足元だけでなく、スペースに走る駆け引きもできるのが好印象。

 

磐田はジャーメインが最前線で体を張る役、ラインを引っ張る役、セカンドボールを回収する役、フィニッシャーになる役等、様々な役割を持ちながらすべてを高水準で遂行。いまの磐田に欠かせないアタッカーに。

 

トピックス

宇佐美は開幕から3試合連続ゴール。

 

監督コメント

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ ダニエル ポヤトス監督 ]
60分まではしっかりと2-0で進めて、得点差も離していけるかなと思っていたのですが、ジャーメイン(良)選手、そして(マテウス)ペイショット選手に苦しんだところがありました。やはり3点目を決め切れていたらなというところがあります。失点シーンはエラーではないですが、ちょっと不運があったかなとも思っています。

それ以降はこぼれ球が相手に渡ったりして苦しみましたが、しっかりと全員で耐えてくれたと思っています。一人ひとりが役割を果たしてくれたなと思っています。この3ポイントを非常にうれしく思いますし、最後の一森(純)選手のところで良いアクション、ナイスセービングをしてくれたので良かったと思っています。この3ポイントをうれしく思っています。

--流れの中からゴールが決まったことも収穫だと思うが?
この流れからの得点をうれしく思っています。直近2試合はセットプレーからの得点でしたが、特に心配はしていませんでした。

新潟戦も今日の前後半でも、しっかりとした決定機は作れていましたので、あとは決め切るだけかなと思っていました。あとは後半でもう1点、追加点を入れることができたと思いますし、そこは心配していませんでした。私のプレースタイル、ガンバのプレースタイルでは、ファンの皆さまに、このパナソニック スタジアム 吹田に来ていただいた方々に喜んでもらうと同時に、選手たちも喜びをもってプレーしてもらうということが自分自身の信条である。それが達成できていると、いまのところ思っています。

--前半から即時奪回と切り替えの速さがハマっていたが、今後も継続するのか。さらに戦い方の幅を広げるのか?
切り替えは私たちの中ですごく重要な要素になっています。そこで相手に時間を与えない、相手にオーガナイズさせないというところで、ガンバと試合をしたら難しいという状態に常にもっていきたい。この切り替えを含めて、フィジカル的な要素がすごく要求されますが、そこも含めてチームとともに進んでいきたいと思っています。

本当に今日は3点目をしっかりと決めていたら、相手にきっちりとダメージを与えることができていましたし、試合を終わらせることができたと思っています。流れの中ではすべて切り替えを含めてできないときがあります。そういうときにはしっかりとコンパクトにしてから押し出すというところもありますが、やはり(相手を)待つ状態を作りたくない。そこから押し出したいのですが、押し出せないときもある。相手もしっかりと対策をしてくると思いますので、しっかりと今後もこういった形で長い時間を続けられるように、選手とともにやっていきたいと思っています。

昨年から、この待ちの状態にせず、自分たちから押し出していくアイディアを落とし込むのはなかなか難しかったのですが、今年は良い形で進んでいると自分の中で思っています。もちろん、このまま続けていきたいと思っています。

 

[ 横内 昭展監督 ]
スタジアムに駆けつけてくれた1,200人以上のサポーターに勝利を届けることができなくて、非常に申し訳なく思っています。試合のほうは立ち上がりがすべてだったなと思っています。つまらない失点をしてしまって、非常に苦しい中で前半は思うように自分たちのゲームができなかった。ただ、後半は選手たちもこのままでは終われないという気持ちをピッチで表現してくれたと思っています。追加点は奪われましたが、最後まであきらめずに相手ゴールに向かっていったことはすごく評価します。

--後半にマテウス ペイショット選手を投入して、前線に起点ができた。その後は攻撃の回数が増えたが、彼の評価と攻撃の狙いは?
ペイショットを後半から投入して、得点を奪うためにセットプレーの高さでは上回れるかなというところ。あと流れでは前半にジャーメイン(良)がすごく1人で起点になっていたところにペイショットが入り、ジャーメインもボックスの中に入っていける狙いはありました。あとは古川(陽介)も同時に入れましたけど、横からのボールもペイショットに関しては期待していました。

--昨季は連敗がなかったが、連敗の受け止め方と今後については?
連敗はしたくないです。強いチームというのは多分、連敗をしないチーム。勝点を積み上げていけるチームも連敗をしないというのが僕の中ではありますが、そんなに簡単ではないリーグだとは思っています。このままズルズルといくわけにはいかないので、少し中断期間もありますし、しっかりと修正したいと思います。

 

2024 J1第4節 鹿島アントラーズvs川崎フロンターレ メモ

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スタメン

川崎は前節に続きエリソンが欠場。

 

流れ

チャヴリッチが左で名古が中央に入る。

山田がスイッチ役でサイドを制限していく。鹿島は佐野がアンカー位置に入り、知念が前目に出る。

植田の低弾道フィードで大外で張る藤井へ。そこから仕掛け。

右CKキッカーはアウトスイングの名古。

前節と同じく、橘田は保持時にボランチ位置へ移る。大外は家長が1人。

エリア内で受けようとした藤井をフィジカルで飛ばしたマルシーニョ。そこから個人の推進力で突破を図り、濃野を振り切るも今度は知念がフィジカルで飛ばす。各所のバトルバチバチの展開。

左CKも名古がキッカー。

最初はCKで知念をセカンド回収役にしていたが、ターゲット役に入れるパターンも見せる。

三浦が高い位置に張るときはマルシーニョがインサイドに入る。

チャヴリッチは大外の深いところまでは守備に参加しない?左サイドは知念がサイドサポートに出て、佐野が絞ってくるようにも見える。

藤井が背後へのランニングで川崎の最終ラインに脅威を与える。抜け出しまでは完璧だが、ラストパスが雑でフィニッシャーに余計なコントロールの手間が増えてしまっている。

鹿島は細かいパスでの組み立てにこだわっておらず、早めにサイドの高い位置へ出せるならそこへ送ってエリアを押し上げる。

山本が下りて3バック化。脇坂がボランチ脇に入ってクッション役になり、サイドの家長へはたく。

知念のサリーでWGを引き出してから外で浮く濃野へのフィード。

川崎は保持から徐々に押し上げて崩しのフェーズへ移行していくという攻撃で、鹿島は比較的スイッチを入れてからゴールへ素早く向かう攻撃が多め。

鹿島は無理に前に出ていかず、セットしたところから前向きに入ったパスのインターセプトを狙っている。また、保持では名古がアンカー脇に出てきて起点を作ろうとするパターンが出てきた。

鈴木は自分のラインを越されたあと、積極的にプレスバックに戻ってきて中盤の圧縮度を高める。

川崎は山田のプレスが届かないところに瀬古が出て4-4-2と4-3-3の使い分けのような守備。名古と鈴木がその空いたアンカー脇に入ってクッション役となり、前進を図る。

33分、ジェジエウに警告。

35分、川崎先制、0-1。ゴールキックのつなぎからプレス回避→疑似カウンターに持ち込み、脇坂からスペースに流すパスで家長が完全に抜け出してシュート。早川は一度止めるもこぼれ球をマルシーニョがプッシュしてゲット。鹿島は前からプレスを掛けに行ったが、サイドに人数をかけられたところを捕まえ切れず、背後のスペースを突かれた。

38分、トランジションから名古が運び出してクロス。ファーに鈴木が飛び込むもわずかに高く、合わせきれず。鹿島はトランジションから縦に速い展開でチャンスを作れているが、最後の精度のところが微妙にずれている。

家長の寄せが甘いとみるや運び出して前進する安西。家長が届かなくなると脇坂らが引き出されてズレる。

40分、右からのクロスに名古が合わせるもわずかに枠外。先発起用の名古がフィニッシュに絡むシーンがかなり多く出せている。形はできているので、あとは最後の質。

瀬古はボランチ番とCBの前に立つ役、脇坂は基本的にはボランチ監視役。

 

より際どいシーンを作れたのは鹿島だったように思うが、仕留め切ったのは川崎。立ち上がりは藤井の仕掛けと裏抜けでチャンスを作り、中盤以降もトランジションから縦に早く攻め切ってゴールへ近づいたが、ラストパス、フィニッシュの質が上がらず。川崎は鹿島がそこまでハイプレスでこないこともあり、保持の時間を作ってエリアを押し上げていく。とはいえ、鹿島が中盤の圧縮度を高めてくるため、そこまで自由に進めるわけではなく、崩せたシーンはあまり記憶にない。きわどいシーンを作れたのはセットプレーくらいだったか。ただ、その中でも一発の疑似カウンターを仕留め切れるところは鹿島戦で抜群の相性を誇るという要素もあるか。鹿島は保持でアンカー脇を起点に進入していく形など手札も見せていただけに、内容と比較してビハインドでの折り返しはギャップがあるかもしれない。

 

後半

鹿島は名古がアンカーを消しながらCBへ寄せる。脇坂が左サイドに出てフリーマンになる。三浦が内側から背後へ抜け出して深さ取り。

46分、鹿島同点、1-1。川崎がプレス回避からの疑似カウンターでチャンスを作った直後、鹿島がロングボールからチャヴリッチが抜け出してゲット。

49分、鹿島逆転、2-1。安西が家長の戻りの甘さから再び運び出し。チャヴリッチへのパスはズレたが、名古が二度追いでルーズボールを作り出し、サイドへ出ていったところからクロス。精度は上がらなかったが、ボールがバーをたたき、詰めていた鈴木が押しこんでゲット。

逆転後から、ホームの空気作りもあって一気に鹿島の雰囲気に。

52分、川崎交代

山本→佐々木

佐々木が右SBに入り、橘田がアンカーへ移る。

53分、マルシーニョに警告。鹿島の前向きの奪取が効果を出しており、奪われたマルシーニョが自分で責任を取った形。

58分、ジェジエウが足を攣る。

左に流れる瀬古と橘田がつながってマークを外しにかかる。鹿島はハメどころは作れないが、陣形は崩れず。

藤井でCBをつり出して、空けたところに佐野が入ってくる。瀬古がカバー。

62分、川崎交代

ジェジエウ、瀬古、山田→大南、遠野、小林

川崎は大南からロングフィードを蹴るが、セカンド回収の場所には誰もおらず、あっさり鹿島にはね返されてから回収される。

鈴木はサイドまでプレスバックに戻って出所をつぶす。ペースを相手に渡さないという強い意志が見える。

鹿島はミドルブロックで構え、奪ってから縦に速い攻撃でカウンター狙い。

66分、名古がかなり疲弊している模様で、交代してくれというアクションがあった模様。

68分、鹿島交代

名古→樋口

74分、マルシーニョに2枚目の警告で退場。川崎は保持で敵陣に入り始めた流れの中で逆風となる退場。

川崎は小林と家長の2トップで4-3-2。

80分、川崎交代

三浦→瀬川

鹿島はそこまでプレスを掛けず、4-4-2ブロックのコンパクトさを保つこと優先。川崎はボールは持てるが、どうやってブロックのラインを越えていくか。前の枚数は少ないので、前に進むほど選択肢が狭まる。

83分、鹿島交代

藤井→松村

ビハインドの川崎は数的不利でも前からチェイシングを掛けてボールを奪いにいく。

88分、鹿島交代

チャヴリッチ→パレジ

鹿島は2トップの1角が背中を消しながらCBへ寄せてサイドを制限。もう1人か、スライドが間に合わなければボランチが同サイドの横を消す。川崎は最終ラインからの縦パスを狙うも、そこは鹿島も狙いを定められる場所で、インターセプトを狙える。

待っていてもボールが出てこないため、家長が下りて組み立てのパス交換に加わる。

上福元がかなり高い位置まで上がってきてビルドアップに加わる。

川崎は敵陣サイドまで運べたらシンプルにスペースを狙うクロスを入れる。中は薄いのでターゲットに当てるのは難しいが、何か起こそうというトライ。

94分、ロングカウンターからパレジ→安西とつないでクロス。中でフリーになった松村が合わせるも丸山がスーパーブロックで阻止。勝負を決められるチャンスで仕留めきれず。

川崎は一度のロストで大きなピンチを招くカウンターを受けるが、数的不利かつビハインドの状況なのでやむなし。

96分、パレジに警告。

 

後半立ち上がりにチャンスを迎えたのは川崎のほうだったが、それを決め切れずにカウンターを食らい、それを一発で仕留めた鹿島。その勢いのまま、相手の隙を突いた攻撃で一気に逆転。ホームの雰囲気も背中を押して鹿島ペースになると押し込む展開を作り出すも、追加点は奪えず。無理に出ていくことなく、ミドルブロックを組んで前に入れてきたところを押し返す守備からカウンターを狙う戦略でゲームを落ち着かせる。ゲームスピードを上げるのではなく、まずは陣形を崩さないことを優先。川崎はボランチ脇を起点にしながらサイドへ流してスペースを突こうとしたが、なかなか最後のところまでは割れず。マルシーニョが退場したこともあり、前線の枚数が確保できなくなると、サイドからクロスを入れても鹿島DFにストレスが掛からなかった。数的優位に立っても色気を出さず、徹底してミドルブロックからのカウンターでコントロールした鹿島が試合巧者だった。

 

 

個人的MOM

★名古 新太郎

逆転弾につながるボール奪取とクロス。直接的な得点の関与こそなかったものの、前線を活性化させる動きとチャンスクリエイトで存在感を発揮。長い時間スタミナが持たなかったことは次回への課題。

 

トピックス

マルシーニョが警告2枚で退場となり、次節出場停止。

鹿島はリーグ戦では2015年以来となる川崎戦の勝利。

 

監督コメント

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ ランコ ポポヴィッチ監督 ]
まず前節、われわれはアウェイにもかかわらずサポーターの皆さんにあれだけ素晴らしい雰囲気を作ってもらい、大声援を送ってもらったにもかかわらず、鹿島のレベルでプレーできませんでした。われわれのすべてを出し切れませんでした。その意味で「あの試合でサポーターに借りを作ったよ」という話を選手にはしていました。今日、このスタジアムに足を踏み入れる前にサポーターの皆さんの姿を見て、本当に鳥肌が立ちますし、涙が溢れてくる。それぐらいサポーターの熱さ、愛情は伝わってきます。

それが逆に、その熱量やテンションがわれわれのプレッシャーになってはいけない。何人かの選手は今日の前半でも硬くなっていたと思います。試合の入りは素晴らしかったと思います。ただ、それでナーバスになっている部分がファーストパスの部分で見受けられました。力が入り過ぎているところから硬くなっていたり、ナーバスになっているところが見受けられました。

ハーフタイムでもそういう話はしました。われわれが川崎Fに力で上回られたからビハインドを背負っているのではない。自分たちを苦しめているのは、自分たちだ。良いプレーはできているから、このプレーを後半も続けていこう。ただ、より冷静に落ち着いていこうという話をしました。良かったのは後半の早い時間帯で同点ゴールを決めて、逆転に成功したこと。それは非常に良かったと思いますし、逆転したあともいくつか得点を決められそうなチャンスを作れていました。

重要なのはわれわれがやってきたこと。そして、われわれの力を信じて最後までやり切ったこと。そして、そのやり方で結果を得たことです。これからリーグ戦は続いていきます。ここから先もこういった素晴らしい雰囲気の中で、試合後に皆さんと喜び合えるシーンをたくさん増やせるようにやっていきたいと思います。

Jリーグの大きな魅力はスタジアムの雰囲気だと思います。今日もフロンターレサポーターの皆さんもすごく良い雰囲気を作っていたと思いますし、われわれのサポーターも選手を鼓舞し、後押しするような力強い声援を最後まで続けてくれました。非常に良い雰囲気でサッカーができる。これがJリーグの大きな魅力の1つだと私は感じています。

非常に良い試合ができたというふうに思っていますし、われわれが積み上げてきたことを見せられた上で結果を出せた試合だと思っています。これまで出場機会に恵まれなかった選手だったり、途中出場する回数が多かった選手も先発で出て、彼らの力をしっかり見せてくれましたし、チーム全員で勝ち取った勝利だと思っています。

 

[ 鬼木 達監督 ]
まず、この鹿嶋の地まで多くのサポーターが来てくださった中、勝てなかったこと、また先制していましたので、少なくとも勝点を拾って帰らなければいけないゲームだったと思いますが、それができなかったことを残念に思っています。また一番残念に思うのは、自分たちの戦い方を最後までできなかった。相手のサッカーと戦ってしまったこと。自分たちのゲームに持っていけなかったこと。それが一番悔やまれますので、気持ちのところで何回取られても自分たちのボールにするとか、相手の強みである高さで勝負するのではなく、そういうところをしっかりとやっていかなければいけないと思っています。

--なぜ自分たちのゲームができなかったのか?
何回かボールを引っかけられたこともあると思いますし、相手のロングボールの回収のところでパワーを使ったということもあると思いますが、マイボールになったときの判断の遅れというか、1つ外せればオープンになるシーンは多々ありましたが、その1つ目で圧を感じてしまって、蹴ってしまったり、ズレてしまったり。また自分たちのFK1つとっても、前半から随分遠くのところからセットしてやっていたと思いますし、それも含めてもっとボールを動かさなければいけないシーンだったと思いますが、このスタジアムの圧にも押されたと感じています。

--ビルドアップもなかなか思うようにできなかったと思うが、自信をつけられないことが出てしまったのか?
それはビルドアップというよりも、ボールを受けるほうと出すほうが強気でやれるかだと思います。もちろん形は必要だと思って取り組んでいるところもありますけど、何よりそれだけではなくて、自分たちが今までやってきたことの積み上げだと思います。一喜一憂することなくやっていかなければいけないと思っています。そこは覚悟を持って積み上げていくところだと思います。

 

2024 J1第4節 東京ヴェルディvsアルビレックス新潟 メモ

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スタメン

ヴェルディは稲見が出場停止。

 

流れ

蹴らずにつないでコントロールしようとするヴェルディ。新潟の外切りプレスに対し、ボランチへつけてからサイドへ展開して、ポケットを取る。

新潟はCBとボランチでパスを交換しながら相手のマークを寄せて、CBから逆へ展開して前進。

ヴェルディはある程度CBを放置したところからセットして、バックパスが出たらプレススイッチを入れる。2トップは中央プロテクト。

7分、ヴェルディ先制、1-0。山田楓がやや遠目からのFKを直接決めてゲット。開幕戦に続いて直接FKで決めた。

ヴェルディは2トップを戻して中盤の密度を上げる。

堀フォメを絞ららせて3バックっぽく回したところで山田楓を引き出し、その裏で小見が受けて落ち着かせどころを作ろうとしているか。

新潟は谷口がチェイシング。高木が中央プロテクト。

降りてきた松田とのワンツーでフリーになる舞行龍から、背後へ出ていく藤原へのスルーパス

新潟がカウンタープレスを速めてロスト後もすぐに回収して攻撃を続ける。

ヴェルディは木村のみを最前線に残してトランジション準備。染野はボールサイドのカバーで下がって守備をする。木村がスペースに走って押し返しを図るが、デンのカバーも速い。

低い位置でもつなぎにかかるヴェルディとハイプレスを掛ける新潟。

21分、ヴェルディが2トップの関係性から染野が完全に抜け出すも小島がビッグセーブ。ヴェルディは我慢の時間に決定機を迎えるも仕留めきれず。

→決定機を作ったあとからはヴェルディが再び押し返す。保持の安定と、切り替えのスピードを高めて自分たちの時間に。

降りて受けようとする高木には森田がついて行く。

24分、森田が自陣でのインターセプトから1人で長い距離を運んでラストパス。見木のシュートは小島がセーブ。新潟は変なロストが出てきてリズムが悪い。

秋山が下りて3バック化。ヴェルディはギリギリまで2トップで横幅を見て、それでも届かないところにはSHを押し上げてアタック。極力SHをベースポジションからずらさないように。

31分、新潟同点、1-1。高木のインスイングCKを一番外の谷口が合わせてゲット。ヴェルディは1人DFが前についていたが、高さで勝てず。

33分、山越に警告。

35分、藤原に警告。

ヴェルディも3人の関係性を作りながら前につけてサイドへはたいて前進していく。

ゴールキックを前からけん制し、つながせないヴェルディ

堀米からスペースへの配球で高木が抜け出す。

デンや舞行龍が味方とのワンツーを使って前に出ていくシーンも。秋山がリスク管理で後ろへ。

小見や高木がSB-CB間から背後へ出ていく動き、小見が下りたら堀米が外から背後を狙う動き。

 

立ち上がりでペースを握ったヴェルディがそのまま直接FKから先制するも、徐々に新潟が保持を安定させてコントロールする。ヴェルディは2トップで中央をプロテクトしたところからサイドへ閉じ込める、バックパス起点の前プレで時間を奪うことを狙うが、新潟がうまく人を下ろしながら目線をずらしてマークを外し、サイドに寄せてから空いた逆へ展開して前進していく。保持の押し上げとカウンタープレスの強化で攻撃を続ける新潟に対し、ヴェルディは染野を中盤サポート守備に下げて穴を作らないように強化。最前線に木村のみを残し、彼をスペースで受けさせることで押し返しを図る。新潟が敵陣保持を続けながらもヴェルディがロングカウンターを仕掛けてビッグチャンスを作るも、二度とも決め切れず。新潟はサイドの深い位置を崩して折り返しまで持ち込めるシーンはいくつかあったが、中のターゲットと意図が合わなかったり、タイミングがずれすシーンが散見し、打ち切れないことが多かった印象。途中からは斜めの背後への抜け出しや、SHとSBの押し引きの関係から裏へ出ていく形でシンプルに深さを取りにいく狙いもあった。ヴェルディは非保持で押される時間もありながら、保持で安定させることができるため、一方的にペースを握られる展開にはさせなかった。

 

 

後半

ヴェルディ交代

山越、齋藤→宮原、翁長

降りる森田をクッション役に使って逆サイドへ振って前進。背後へ走る木村へ流して舞行龍とスペース勝負にさせる。

一度引いたヴェルディはSHが無理に前へ出ていかず、CB脇に下りてくるボランチはある程度無視する。そこへのアタックよりも、サイドのブロックに穴を空けないこと優先。守備基準がSBならSH、SHならSBの位置にリアクションでついていく形。

新潟のゴールキックには変わらず前からけん制をかけて簡単にはつながせないヴェルディ

降りる見木でボランチエリア、降りる木村でバイタルエリアで起点を作る。新潟はFW-MF間の受け手への寄せがワンテンポ遅い印象。

ヴェルディはサイドで3人のパス交換。動きをつけながら突破口を探す。

66分、新潟交代

高木、松田、谷口→長倉、太田、長谷川元

ヴェルディは左スローインは翁長のロングスロー。

新潟は長倉と長谷川元の2トップ気味配置。

69分、新潟逆転、1-2。ヴェルディの最終ラインの連係ミスを長倉がかっさらってそのままシュートを突き刺した。

ヴェルディは人は戻っているが、ライン間の圧縮強度がかなり下がっており、新潟は交代で入ってきた選手を中心に、ライン間で受けてゴールへ進めている。

74分、ヴェルディ交代

木村→食野

77分、ヴェルディ交代

山田楓→山見

山見が左SHに入り、翁長が右へ移る。

79分、食野に警告。

新潟は4-4-2セットでラインを上げてにらむ。強いプレスは掛けないが、前進も許さないという組み方。前4枚で押し返す。

81分、ヴェルディ交代

深澤→山田剛

翁長を左SBへ移す。

82分、新潟交代

藤原→新井

ヴェルディは詰まったら、SB-CH間に流れる染野へロングボール。

森田がアンカー脇。見木が2トップ脇に立つ。新潟は2トップで中央プロテクト。SHがCBへのアタック。新潟は自陣深い位置で受ける時間を減らすために、ラインを上げてゴールから遠ざけようとしている。前線は交代で入った選手が多いので、エネルギーは高い。

食野がかなりインサイドからボランチに近い位置まで入ってきてボールを受けに来る。

89分、ヴェルディ同点、2-2。見木が下りて受けて右サイドへ展開し、宮原からクロス。ヴェルディは中に5枚入ってきており、中に視線を集めたところでファーの翁長が詰めてゲット。

ヴェルディは4-4ブロックの前に食野がサポートに入って守る。染野は最前線で待機。SHも大外の深い位置まで戻って守備をする。

93分、舞行龍に警告。

新潟が前から追ってくることで、SH-CH間のスペースが空きやすく、ヴェルディはそこに山見を潜らせる。

 

互いにハイプレスと自陣撤退の二段構え守備と、ビルドアップでの押し上げがベース。ヴェルディは深さを作ったあとはサイドで3人が絡みパス交換から突破口を探すも、なかなか穴は見つけられず。新潟も全員が下がって守備をするため、簡単には崩れない。それぞれが選手交代で変化をつけようと図った中、ヴェルディが自陣での連係ミスを犯し、見逃さなかった長倉が決め切って逆転。その後、ヴェルディはブロックは組めているものの、明らかにライン間での圧縮が弱まっており、新潟の選手たちがそのエリアで躍動できるように。ヴェルディはギリギリの守備が続くもなんとかしのぐ。新潟はリード後も簡単には引かず、途中出場の選手が前線で運動量を上げてプレスを掛け、高い位置での押し返しを図る。ただ、前に出ていく分、スペースは空きやすく、プレッシャーが掛け切れないとボランチの脇に入られるシーンも。ヴェルディは森田、見木、食野が中央のエリアで起点を作ろうとする。同点弾の場面は見木が良いタイミングで下りて相手中盤ラインの前に入り、サイドへ展開したところからだった。

ヴェルディはまたも先制しながらセットプレーと自分たちのミスから逆転を許す。新潟は1点をリードして逃げ切りの場面に持ち込むも、終盤でしのげずに引き分け。また、互いにビッグチャンスを決め切れていれば…というシーンがあり、それぞれで課題が出た引き分けになったと言える。

 

個人的MOM

★森田 晃樹

ビルドアップで2トップ裏に入って前進させる役割、守備では奪ってから前に運び出す役割など、各局面において違いを生み出す存在に。彼が保持で違いを出せるからこそ、コントロールできる時間を作り出せる。

 

監督コメント

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ 城福 浩監督 ]
ゲームが終わって、最後スタンドに挨拶に行ったときに彼らの声援を聞いて、本当に彼らと一緒に早く勝利を喜び合いたいなというふうに思いました。悔しい思いをさせて申し訳ないなというふうに思っています。

ゲームについては、自分たちが前への推進力を出す狙いで入りました。ある程度そのとおりになったし、2点目が取れそうな状況もあったと思います。ただその後、想定はしていましたけども、ボールを持たれた。引っかけてボールを奪って、局面を抜ければビッグチャンスというところで判断が遅くて抜けられなくて、また相手ボールになることが、前半の最後の20分間ぐらいは続いたと思います。そこをもっと判断早くしていくこと。もう1つは、自分たちでボールを握る時間を長くできるように改善していかなきゃいけないと思います。

前への推進力があるメンバーなので、それをもっと生かしたかったなって思いが実は前半はあるんですけど、同時にボール保持率はもう少し上げても良かったかなと。後半は不運な形で失点をする前までは悪くなかったと思うんですけど、失点してからは、今度は自分たちが保持する形に変えました。そこはメンバー交代を含めて腹をくくって、少しシェイプ(陣形)を変えたことで、選手が特徴を出してくれたかなと。チームはシェイプを変えてリスクを背負いながらボールを保持できたので、そこで結果的に同点に追いつけたという意味では、今までの勝点とはまた趣が違う。これはポジティブに捉えたいなと思います。

 

[ 松橋 力蔵監督 ]
アウェイにもかかわらず6,000を超える多くのわれわれのサポーターが足を運んで応援してくださったことに感謝しています。その中で、ほんとにあともう少しで、というところまでは行ったと思うんですけども、ヴェルディさんもやはり必死にやってくると思いますし、そういう中でドローになってしまいました。内容に関してはもちろん課題はまだまだいっぱいありますけども、非常に私はポジティブに捉えています。

--後半に逆転して、勝利できる流れだったと思いますが、あと一歩足りなかった部分は?
最後に失点したところですね。最後までやっぱり守り切れなかった。守れなかったたくさんの失点から逆算していくとエラーということもあるんですけども、最後はやっぱりそのエラーをどこで埋められるかというところを、最後までできなかったのが非常に残念かなと。そういう部分の成長というのはチームとしてものすごく感じていた部分もありました。ただ、ヴェルディさんも勝ちをあきらめずにやった結果、あのゴールが生まれたと思います。われわれはこれからああいう失点を続けることなく、やはりもう少し得点を取りたいなと。そのためのトレーニングをもっともっとしていかなきゃいけないかなというふうに思います。

 

2024 J1第4節 サガン鳥栖vsセレッソ大阪 メモ

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スタメン

鳥栖は横山が加入後初先発。ヒアン、アラウージョがともにベンチスタートに。

セレッソはセアラが先発復帰。カピシャーバがベンチ復帰。ルーカス、進藤が負傷離脱中。

 

流れ

鳥栖は立ち上がりから徹底して富樫を目指したロングボール。セレッソをラインアップさせないように、背後へ走りながら受けてセカンドを作り出す。

セレッソは前からプレスを掛け、ボールを積極的に奪いにいく。

セアラがチェイシング役、奥埜が1列上がってプレスを掛ける役を担いつつ、持ち場のエリアのスペースも埋める。

クルークスが前に出ていった背後に堀米が入り込んでフリーマンに。立ち上がりは鳥栖が保持の時間を作り、セレッソがプレスを掛けていく構図。鳥栖はボールを持てているが、前進はできていない。

福田が下りて受け、守備基準ずらし。IHは最終ラインまで下りる場所まではついていかない。WGが開いたCBに出るか、SBについていくか迷う。原田が高い位置を取って前進成功。

鳥栖は横山にシンプルに渡して、仕掛けからクロスを送る形が攻撃のメインパターン。

セレッソ保持では鳥栖が積極的にプレスを掛けに行って自由を奪う。セレッソは10分が過ぎてもまだ保持が落ち着かない。

セレッソは自陣守備時、セアラが最前線で残りつつ、クリアボールに反応してポイントを作る。

セレッソはいつもの3バック化ビルド。鳥栖はマークする相手をはっきりさせ、タイトにマークにつくことでセレッソの前進を許さない。セレッソは手前につけても素早く寄せられてつぶされ、奥へ入れてもカバーされるという状態。

セレッソはクルークスがキムテヒョンにアタックしてくる役割を持っている。丸橋がフリーになりやすいとともに、誰かがマークに出てくればその裏で堀米が浮く形。

18分、自陣深くから疑似カウンターで抜け出した鳥栖が原田のシュート→こぼれを長沼が詰める形でネットを揺らすもオフサイド。CB→福田のレイオフで浮いたSBへ渡して、そこからずれていくところを突いていく。セレッソは人を捕まえに出ていっているが、かみ合わないところを無理に合わせていっているためズレが出る。かつ、出所を消せるだけの強度でいっていないので、抜け出される。

長沼が舩木へ出ていく。香川が下りて福田を引きつけてから一発で背後を狙う為田へ送る。ただ、原田もここまでは対応できている。

奥埜が目の前のIH監視とCBに出ていく2つのタスクを持っているため、河原が下りて受けに行くと役割がかなりボケて、セレッソがプレスに出られなくなる。そのタイミングで最終ラインから大外で待つ原田へ送るパターンが多くみられる。

鳥栖は堀米と河原が奥埜と田中を捕まえる。

為田の落としで田中に前を向かせて逆で待つクルークスに展開しての仕掛け。セレッソがようやく保持でパターンを見つけた雰囲気。

為田がジャンプしてCBまでアタックに出てきたら朴からのロブパスで原田に送る。

セレッソが登里の偽SBをやめて、香川がボランチの列に入ってくる形を試し始めた?

セレッソは中盤から右へ展開してクルークスに渡す形を優先的に選んでいる印象。

横山で目線をひきつけたところに、ハーフスペースへ入り込む堀米へ。堀米は組み立ても崩しも左流れが基本。

41分、堀米に警告。

鳥栖ボランチ移動による守備基準ずらしに対応できないまま時間がたっていくセレッソ。IHとWGが出ていくのかステイするのかが曖昧で、出ていけば浮いたSBのところを使われ、出ていかなければサイドへのパスコースを通される。

クルークスが大外に張って、毎熊がインサイドを縦に抜ける動きで変化をつけようとする。初めてのパターン。

鳥栖の両ボランチがプレスのとどかないところへ入り込み、経由地点となってサイドへ送り込む。

 

鳥栖が保持とプレスを安定させ、主導権を握った前半。ビルドアップでは河原と福田が流動的に動くことで相手の守備基準をずらし、フリースペースで受けてサイドへはたいていくことでプレス回避の質を上げた。セレッソはWGとIHがどこまでどう出ていくかが最後まで定まらず、浮いた場所を経由されながら前進を許した。また、セレッソの保持はいつもどおり毎熊を絞って登里を偽SB化する3-2ビルドだったが、鳥栖がマークをはっきりさせてプレスを掛けてくることで浮いた場所を作り出せず。為田を裏へ走らせる形を何度か見せるも原田がカバーできる。良い形で前進できたのが、為田の落としで田中に前を向かせて逆へ展開できたシーンくらい。セカンド回収から敵陣保持のフェーズを作ることはできていたが、これまでのように保持を安定させてプレーエリアを押し上げることはできなかった。スコアこそ動かなかったものの、プランを遂行できたのは鳥栖のほう。ただ、横山の仕掛けからのクロスorシュートくらいしか攻め手がない空気で、鳥栖は最後をどう崩すかが課題。

 

 

後半

セレッソ交代

香川→ブエノ

クルークスが仕掛けの態勢に入ったら、セレッソの選手は離れてゴール前に3人ほど入っていく。

セレッソはビルドアップの形を4-1に変えた。

47分、セレッソ先制、0-1。再三クルークスに仕掛けさせたあと、クロスのこぼれを拾ったブエノがアウトサイドボレーでゲット。ゴラッソ。セレッソがペースをつかんだ立ち上がりでいきなり得点につなげた。

左に流れる堀米には田中がついて行く。これは前半同様。

セレッソはIHらがセカンドを回収しながらうまくクルークスへ届けられる形が増えた。

鳥栖が前に出てきたらジンヒョン→セアラのロングボールからセカンド回収を狙う。IHは押し上げてスペースでセカンドを待つ設計。

互いにプレスがハマり切っていないので、保持の局面を多く作り、そこでどれだけチャンスを作れるか。

セレッソは両WGに預けて仕掛けからのクロスがメインパターン。

クルークスがCB、GKまでジャンプしてプレスを掛けるが、強度を上げ切らないので、鳥栖のホルダーが落ち着いて持てれば背後を空けるプレスになってしまっている。

セレッソの3トップのどこかがジャンプしてプレスに出ていく形を見せる。IHとアンカーは下りる中盤の選手を捕まえにいくため、バイタルが空き、富樫がタイミングよく下りて起点になろうとしている。

58分、鳥栖交代

富樫→ヒアン

62分、セレッソ交代

クルークス、為田→柴山、カピシャーバ

63分、セレッソ追加点、0-2。ロングボールのはね返しから一気に前へ運び、混戦からブエノ→柴山でゲット。見事なラストパスとファーストタッチで決まった。鳥栖はロングボールのはね返しで中盤に空洞が生まれ、晒された最終ラインが耐え切れず。

67分、鳥栖交代

福田、堀米、丸橋→日野、アラウージョ、堺屋

SHの下がりでSBを引き出し、そのスペースに入っていくアラウージョ

セアラが2CBの両方を見ているので、鳥栖のCBは時間をもらいやすい構造。

75分、セレッソ交代

奥埜→上門

長沼の斜めのランニングで登里をピン止めし、大外に出てくる原田へのフィードで前進成功。

セレッソは4-1-4-1ブロックを組んでセット。そこまで前からボールを奪いにいくそぶりは見せない。

79分、セアラに警告。

セアラが届かないところには上門が出ていってプレススイッチを入れる。鳥栖セレッソが前に出てきたらスペースを狙うヒアンに送る。

上門と柴山が自分のエリアを守ることを軸に置きつつ、ジャンプしてCBまでアタックに出ていくかどうかにらむようなアクションを見せる。途中出場でフレッシュなので、出ていって外されても最悪戻れる。

鳥栖は捨て身プレスで人を当てて強度を上げてボールにプレッシャーを掛ける。

82分、鳥栖交代

横山→菊地

菊地が左SBに入り、堺屋が左SHへ移る。

セレッソはボールを落ち着かせるポイントを作れていないが、非保持で十分にコントロールできているので、そこまでストレスはなさそう。

85分、柴山に一発レッド。

87分、セレッソ交代

セアラ→鳥海

柴山退場後すぐにベンチ前で集まって話し合い。すぐに交代を決断。

鳥海は「5」の数字を指で示す。5-3-1セット。ブエノが最前線。

1人少なくなったセレッソはラインを下げて対応。奪ったらサイドへ運んで時間を使うプレー選択。

菊地は右WBのような位置にいる。長沼が左へ。

鳥栖は右からのシンプルなクロス、最終ラインからの背後へのボールでゴールを目指す。

 

セレッソはうまくいかなかった前半から選手交代と微調整で流れを変える。立ち上がりにクルークスの仕掛けを連続で作ったところで先制成功。その後も鳥栖がプレスにくればセアラへのロングボールからのセカンド回収や、バイタルで浮くIHへロングボールを届けて前進。セレッソは先手を取れたことで無理にプレスに出ていかなくてもよくなり、4-1-4-1ブロックでセットしながらジワジワ陣地を押し上げにかかる。鳥栖が若干慌て始め、セレッソがロングキックのはね返しから追加点を奪取。保持ではリスクを避けつつ、非保持を落ち着かせてゲームをコントロールするフェーズに入るセレッソ鳥栖はボールは持てるが、中盤より前に運べない時間が続く。ただ、柴山の退場でセレッソが陣地を上げられなくなり、鳥栖が保持の位置を上げて攻めるが、これといった打開策を見せられないまま終了。鳥栖は前半で主導権を握った時間でこれといったチャンスを作れなかったことが悔やまれ、セレッソはそのうまくいかなかった時間をしのいだあと、ハーフタイムの修正で流れを変えたことが勝因になったと言える。

 

個人的MOM

★ヴィトール ブエノ

投入早々に素晴らしいシュートでひと仕事。その後も質の高いラストパスで追加点をアシストした。流れを手にしたタイミングで、質を高める働き。

 

トピックス

柴山が一発退場で次節出場停止。

 

監督コメント

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ 川井 健太監督 ]
ファン・サポーターにたくさん来ていただき、もっと良いものを勝点も含め見せることができたはずの試合でした。ただ、最後まで声援を送っていただき、感謝しています。結果は負けましたが、良い部分もありましたし、改善すべき部分もありました。そこをまた、次につなげていきたいなと思います。

--前半は前節・広島戦以上に選手の動きが良かった印象ですが、監督の目からご覧になっていかがだったでしょうか?
おそらく、前半は誰が見ても良い選手のパフォーマンス、気迫でした。ゴールだけが足りなかったかなというところで良い前半だったと思います。

--後半、失点をしてから流れも変わったと思いますが、前半と後半で何が変わったのでしょうか?
立ち上がりにわれわれのチャンスになりかけたシーンがあったのですが、それが結局フィニッシュまでいけなかった。おそらく、その流れから自陣にもってこられて、ルーズボールになりました。だから、崩されたという感じではありませんでした。ただ、その部分での最初のつまずきがそのままC大阪さんに勇気を与えたかなと思います。

われわれが特段悪いというわけではなく、1失点というところでこのゲームの流れがあっちにいったかなというところはありますね。前半と後半で何か変わったかと言われると、あの5分間では何も変わっていなかったと思います。ただ、前半から少しエリア内付近のクオリティーが足りないなというところが後半も足りなかったなという印象ですね。現段階では。

--堺屋 佳介選手がプロ初出場になりました。どんな期待をされて、どんなふうに試合中はコミュニケーションをとっていたのでしょうか?
彼はどのポジションもできるユーティリティーな選手で、器用さとハードさを持っている選手です。当初、予想していたポジションではないところで今回は出場になりましたが、私のサイドにいたということもあって、「こういうことをやってほしい」というところを少し多めに指示は出しました。

 

[ 小菊 昭雄監督 ]
非常に厳しい試合でした。その中で今季初のクリーンシートで終われたこと、連勝ができたこと。何よりも、苦しんでいた選手たちが途中から出て結果を出してくれたこと。最後に10人になりながらも全員でハードワークして、絆の深さを感じられたこと。たくさんのうれしいことがあったゲームでした。前半の入りのところから鳥栖の圧力が強く、苦しい立ち上がりでした。しかし、私たちがやるべきことを徹底して、徐々に自分たちのゲームプランになったことも成長を感じました。たくさんのうれしかったことを2週間後、次のホームでの湘南戦につなげていきたいと思います。

--今季の中でも、最も苦しい試合だったと思います。特に前半はなかなか守備がハマらず相手にボールを持たれる時間も長かったです。
鳥栖を分析したとき、特にアウェイではいつも立ち上がりは苦労します。こういう入りになることも選手たちとは共有していました。ある程度、我慢が必要だということも理解していました。なかなか前からのプレスがハマらなかったのですが、ハイプレスとコンパクト、[4-3-3]と[4-5-1]を使い分ける守備、本来なら[4-3-3]でいきたいところだったのですが、相手の圧を感じながらも、しっかりと[4-5-1]でコンパクトにしのげたことが大きかったと思います。選手全員が我慢強くやってくれたと思います。

--試合を分けたポイントとして、ハーフタイムでの選手交代が挙げられます。香川 真司選手からヴィトール ブエノ選手に交代した理由と、1得点1アシストと結果を残したヴィトール ブエノ選手のパフォーマンスについて教えてください。
真司をヴィトール ブエノに代えた理由は2つあります。1つは、(香川に)コンディション不良が見られたこと。もう1つはパフォーマンスです。その中で、ブエノはすぐに結果を出してくれました。得点やアシストのところは、練習から常々パフォーマンスを発揮してくれていたので、100%の信頼で送り出しました。すぐに結果につなげるあたり、彼の能力の高さを示してくれたと思います。ブラジルと日本のサッカー、文化、食生活も含め、いろいろと違います。これまでにもたくさんのブラジル人選手を見てきましたが、すぐに日本のサッカーに馴染むことは難しい中で、彼は日に日に日本のサッカー、そして私たちが目指すスタイルを理解してくれています。非常に速いスピードでチームにフィットしてくれています。今後さらにパフォーマンスを上げて、チームに貢献してくれることを期待しています。

--柴山 昌也選手もJ1初ゴールとなりました。
先発で出られない日々が続いていたのですが、キャンプから彼のパフォーマンスは素晴らしかったです。毎日を精一杯取り組んだ結果が今日の結果につながったと思います。彼も攻守にタフで、うまい選手に成長しています。まだまだ彼の成長を楽しみにしたいと思います。

 

2024 J1第4節 アビスパ福岡vsFC東京 メモ

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スタメン

福岡は新加入のザヘディが初のメンバー入り。

FC東京エンリケが出場停止で木本が先発。ディエゴ、小柏がメンバー外に。高が初のメンバー入りで先発。

 

流れ

左からのクロスに4枚近く飛び込んでくる福岡。

高がアンカー位置。小泉が左前サポート。

福岡はウェリントンがアンカー監視でセットしたところからスイッチを入れて前プレ開始。

松木と荒木は落とし役として列降りしてくる。

東京はショートパスでプレスを外して保持の陣地を上げる。

福岡は一度外されたら割り切ってラインを下げて5-4ブロックに以降。バックパスでラインをアップできたらまたプレスのフェーズに切り替える。

荒木が下りて受けに行くところのバランス取りか、左にボールがあるときは仲川がストライカー位置に入ってくる。

小泉と高の2人がウェリントンの両脇に立って、数的優位を作る。

福岡は撤退時にPA内の人数が多く、密集度がかなり高い。中央突破は至難の業。

シャドーがCBに出ていくことでプレススイッチが入る福岡。ウェリントンはアンカー位置プロテクト。WBがSBに出ていって縦のふたを作る。

東京は小泉と高が最終ラインのサポートに入って、相手のプレス隊の人数が合わない状況を作ることで保持のエリアを押し上げる。福岡はシャドーがプレススイッチを入れるタイミングを計っているが、ボランチが下りてくることで基準がズレるので、行かない判断を取っているか。

14分、前に警告。

荒木が縦パスのレイオフ役で効いており、福岡はつぶしに出てくるが、ワンタッチではたかれて起点をつぶせない。

小泉が重見をピン止めしたところで、松木がトップ脇に潜り込んでいくことでフリーマンを作る。

東京は4-4-2ブロック。2トップで3バックの横幅を見る。

ボランチがサイド守備のサポートに入り、中に入れさせないようにする。

遠藤が大外に張り、バングーナガンデがインサイドのライン間に入る。SH-CH間を通してライン間受け。

27分、東京先制、0-1。バングーナガンデが大外からグラウンダーの速いクロスを入れると、ファーで待っていた長友がコントロールからのボレーでネットを揺らす。シンプルに入れてもはね返されるので、地上で抜いてパスを通した。松木と荒木がニアに入っていたことで、福岡DFの目線がそっちへ行っていたこともある。

31分、東京追加点、0-2。一発のロングフィードに抜け出した遠藤がタメを作って、追い越した荒木がゲット。ショートパスでのつなぎで安定したところから、相手が前に出てきたら一発の背後を狙ってゴールまで。完璧すぎる流れの試合運び。

2点ビハインドになった福岡は保持の時間を作りにかかる。プレス強度も上げる。井上を右の高い位置まで出してクロスを入れる場面も。東京は4-4-2セットでWGもしっかり中盤のブロックに入れて守る。前線は2トップで横幅を見る。

福岡は小田と長友の高さのミスマッチを突いて、そこの空中戦を起点にセカンド回収を図る。

荒木でサイドを制限し、松木がボールサイドのボランチを捕まえ、サイドで閉じ込める東京。福岡は無理めなパスを入れてロストするシーンが多い。

45分、小泉に警告。

ここ3試合と異なり、WGがかなり深い位置まで戻って守備をする東京。SBが前に出たときには最終ラインの高さまで戻り、大外での1対1の役も担う。

 

東京は立ち上がりからビルドアップを安定させて、保持のエリアを高めてコントロールする時間を長くする。また、ロスト後もカウンタープレスで福岡に前進の時間を与えず、ボール保持を続ける。ロングボールを受けるシーンでも、セカンド回収率を高めることでゲームを落ち着かせる。保持でのコントロール、敵陣での試行回数増加から先制点い結び付け、その後福岡が前に出てきたら背後を使って追加点奪取と、東京が理想的な試合展開に持ちこむ。福岡は2点ビハインドになってからプレス強度を上げて保持の時間を作り、クロスからゴールへ迫るも東京のはね返しも強い。東京は4-4-2ブロックで2トップが横幅を見ながらプレスを掛け、WGもしっかりと深い位置まで守備に戻す。荒木でサイドを限定し、松木が同サイドボランチをケアすることでサイドに蓋をしてパスコースをなくす。東京が自分たちのゲームプランを遂行し、2点のリードを奪う流れ。福岡はプレスをハメる時間を全然作れなかったことが誤算だろう。

 

 

 

後半

福岡交代

井上→岩崎

システムを4-4-2に変更。岩崎が2トップに入る。

福岡は岩崎を背後へ走らせてシンプルに深さを作っていく攻撃パターンができた。

岩崎の左裏流れはかなり多くみられる。そこから長友らとの1対1を仕掛けていく。

福岡は奪ったらひたすら岩崎を走らせる形で陣地を押し返していく。そこからのパス交換からのクロスでウェリントンを狙う。

56分、東京追加点、0-3。オープンアタックで中央を運び、ルーズボールを回収して右サイドからクロス。中のターゲットには合わせきれずファーまで流れるが、そのボールをバングーナガンデがボレーで見事に合わせてゲット。福岡ペースで進んでいた後半だったが、東京が一撃で仕留めた。

58分、福岡交代

ウェリントン、金森→ザヘディ、鶴野

鶴野が2トップに入り、岩崎が左SHに移る。

高い位置でセットしたところから前プレスを掛けていく東京。4-4-2同士になっているので、マッチアップをはっきりさせて人を当てる。

64分、重見に警告。

プレスで奪ってからアンストラクチャーな局面で攻めていく東京。中央でためてからサイドへ送ってのクロス。ファーサイドの死角から入っていくことで、ターゲットの変化をつけている。ニアに人を入れて目線を向けさせて、本命はファーに置く。

人をハッキリ当ててプレス強度を高めることで東京のビルドアップをさせないようにする福岡。

福岡が前向きの矢印を強めて圧を掛ける。東京はその背後を狙おうとしているが、福岡の圧のほうが上回る時間が多い。

70分、東京交代

遠藤、長友→俵積田、中村

71分、福岡交代

重見、小田→松岡、亀川

福岡は交代カードをすべて消費。

東京は保持を安定させることでゲームをコントロール。福岡の前向きの圧も最前線のところは弱まったか。ボランチとCBらの迎撃は強い。無理にチャレンジのパスを入れず、サイドでパス交換しながら穴が空くのをうかがう。

東京は前半同様WGもSHとして振る舞って大外守備に戻り、2トップも中盤ブロックの前に入ってサポート。

79分、東京交代

荒木、仲川→シルバ、東慶

81分、福岡得点、1-3。

右サイドからのクロスで混戦を作り出し、最後は松岡がプッシュしてゲット。

福岡の保持はCBからの配球が起点。シルバがCBのところまでアタックをうかがってくるので、その背後にできているサイドの巣的優位を使おうとする。

福岡は狭い場所でも紺野の仕掛けでゴールへ近づく。ただ、東京も人はそろえているので、深いエリアでの突破は許さない。

88分、東京交代

東慶→安斎

東は入ったばかりだが、交代に。特に負傷した様子もなく、おかしなところもないように見えたが…。

90分、前嶋に警告。

安斎が右SHに入り、シルバが2トップの一角へ移る。

92分、安斎に警告。

福岡は徹底的にバングーナガンデの近辺でスペースを狙う紺野に配球して深さを作り、仕掛けのフェーズに入る。

 

前半はロングボールのセカンド回収で押し上げを図っていた福岡だが、岩崎を投入したことで、左裏へ走らせて深さを作り、敵陣での保持のフェーズを作りにかかる福岡。奪ったら徹底して背後の岩崎を狙っていく。サイドでのパス交換からクロスを送るタイミングを見計らい、ウェリントンを目指して蹴っていく。東京は押される時間が続きながらも、福岡の強度を上げたプレスに対し、つなぎと背後へのボールで押し上げを図る。そしてトランジションの流れから3点目を奪取。あとがなくなった福岡は2枚替えでエネルギーアップを狙うが、東京も保持を安定させてゲームをコントロール。WGを入れ替えたあたりからは個人の推進力が増す代わりにサイド守備に若干の不安が出たが、失点を1にとどめて逃げ切り成功。東京はいくらかオープンになってしまった終盤のコントロールは課題に挙げられるが、前半からやりたい展開に持ち込むことができたプランどおりのゲームだったと言える。福岡は前半でプレスがハマる時間が少なく、一気に2失点。もともと得点力に特長を持っているチームではないので、先に失点した時点でバランスを崩す選択をしなければならず、苦しくなった。また、ギアを上げたい終盤で前線の圧力がいまいち上がっていなかったのも誤算か。

 

個人的MOM

★高 宇洋

中盤で動きながら各所とのつながりを作って保持を安定させる役割を担い、それによって前半の主導権を握ることに成功した。また、守備でもトランジション、非保持ともに中盤でフィルター役となり、横断を防ぎながらプレッシャーを掛けて押し返す仕事をやり切った。

ともに1得点1アシストを記録した両SBの長友、バングーナガンデも高評価。この試合の限らずだが、荒木のポストもかなり効いていた。

 

トピックス

東京は東福岡高校出身の荒木と長友がそれぞれスコアラーに。また、アウェイ福岡で勝利を挙げたのは24年ぶりとのこと。

 

監督コメント

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ 長谷部 茂利監督 ]
苦しい展開となってしまいました。前半で自分たちが守れていそうで守れていない。2失点してしまった。入りこそ悪くなかったとは思いますが、自分たちのアグレッシブなスタイルを出すことができませんでした。出せたのは最後の10分、15分くらい。0-3になってからそういうものを出せたと思うので、ある意味敗戦は認めて、1得点と選手たちが最後まであきらめない、スタジアムがそれを後押ししてくれた雰囲気も含めて次のゲームにつなげていきたいなと思います。

--自分たちのリズムを作り出せなかった要因は?
自分たちのスタイルを前面に出しながらも、微修正を試合の中でしていかなくてはいけないのですが、その部分でアジャストできなかったところはあります。逆に、FC東京の選手たちはそれができたのではないかなと。そこに少し差が出てしまった感があります。

--シャハブ ザヘディ選手が加入後初出場となりました。
何度か味方選手とつながりながら攻撃のところ、守備のところもある程度理解しながらというところで、見切り発車というか、時間がない中で順応しようとしてくれていました。最後、得点のところにも絡んでくれましたし、そこは前向きに捉えて、もっと良くなると思います。活躍できるように選手、スタッフ含めてみんなで彼をピッチに送り出していきたいと思います。

 

[ ピーター クラモフスキー監督 ]
強く良いパフォーマンスを出すことができました。よく戦ってくれた選手たちを誇りに思っています。試合に関しては、自分たちがうまくコントロールしながら、その中で裏を取って、起点を作るようなプレーから得点が生まれたと思います。後半もそのまま継続して戦い、3点目、4点目を目指して戦えていたと思います。後半の中でコントロールを失っている時間帯がありました。それは福岡さんが長いボールを蹴ってくるとか、そういうダイレクトなスタイルがあったからだと思います。それを教訓として自分たちを改善して継続していけるようにしたいと思います。

非常に良いゴールを取れたと思いますし、良いチャンスを作ることができたし、良いフットボールをすることもできたと思います。選手たちが非常に献身的に、また自分たちがやっているフットボールに対して信念を持ちながら戦ったと思っています。自分もそれに感動しました。そして最後まで声援を送ってくれたサポーターの方々に笑顔で帰ってもらうことができてうれしく思っています。この試合で勝点3を手にするにふさわしいものを出せたと思いますし、ここからまたパフォーマンスを分析して、継続して自分たちのものを作っていければいいと思います。

--先制点を挙げた長友 佑都選手の評価をお願いします。
すごく良いパフォーマンスだったと思います。そして素晴らしいリーダーであり、クラブのレジェンドであり、特別な選手だと思っています。ゴールはすごく良かったと思いますし、それは前半、自分たちがボールを支配した中での得点だったと思います。アグレッシブに自分たちの良いところを持ちながらできたと思いますし、もう一度ビデオを確認しないといけませんが、おそらくペナルティーエリアの中だったと思いますが、SBがそこにアグレッシブに出てきていた。彼がよくやったから返ってきたと思いますが、それまではチームとしてみんながやったこと。

もちろん、FC東京を愛する方々は彼がもう一度日本代表に招集されたことを誇りに思っていることでしょう。彼にとっても特別なことだと思いますし、日本にとっても特別なこと。本当に彼は赤ワインのような選手。また年齢を重ねるごとに成熟していくと思います。

 

2024 J1第4節 ヴィッセル神戸vsサンフレッチェ広島 メモ

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スタメン

流れ

どんどん前にロングボールを入れて、セカンド回収部隊を押し上げることで陣地を上げる神戸。

広島もトランジションからつなぎのフェーズを作ってカウンタープレスを外し、前進していく。

5分くらいになると広島がプレスにそこまで強くいかなくなる。CBには持たせてOKの設定。中盤で受けようとする選手からはしっかりと捕まえて迎撃でつぶしにかかる。

互いに前進のメインパターンはロングボールからのセカンド回収。神戸は大迫と武藤、広島はピエロスやサイドの中野を狙うことが多いか。

広島はピエロスと大橋で2CB監視、加藤がアンカーチェック。

広島も神戸もプレススイッチを自分たち主導で入れるようになったか。加藤と広瀬がそれぞれチェイシングをかける。

神戸が左サイドで本多→広瀬とつないで、その裏に宮代が出ていく。中野のスライドが若干遅れると、深さを作れるチャンス。

大迫が左サイドに流れてターゲットになり、すらしから広瀬を走らせる形。

広島は右サイドの中野の頭を狙って蹴るシーンが何度かあるが、本多も空中戦が強いので、優位性を取れていない。

東が縦スライドで出ていったサイドのスペースに大迫が流れて起点を作りにいく。そこにはボランチがスライドでケア。

左サイドに抜けて深さを作る宮代。左からのクロスにはファーに武藤が入ってターゲットの厚みを出す。

右CKは宮代がキッカー。

互いに蹴っ飛ばしてはね返して、を続ける展開。保持で落ちつく時間がほとんどなく、ルーズボールの競り合いや、ボールが空中にある時間がずっと続いている。どちらかというと神戸のほうが地上戦からの打開策を探っている雰囲気。

広島の右CKキッカーは満田。

神戸の左CKキッカーは扇原。左右ともにアウトスイングキッカーをチョイス。

広島は塩谷の運び出しで保持に変化をつける。中盤でルーズボールを回収できても、圧を受けて後ろ向きに運ぶことになり、結局ブロックの外に追い出されるシーンが多い。

39分、佐々木に警告。

大橋がプレス強度を上げて出ていき、蹴らせるも、サイドでのはね返しが神戸の足元にいき、そこから大迫に収められる。

トランジションが起きて密集を抜けても、すぐに帰陣してくる両者。縦に早く攻め切ろうとする意志は感じるが、ボールホルダーも時間を奪われる分正確なボールはなかなか出せず、少しでも時間をロスすればもう有効なパスコースはなくなっているような状況。

 

互いにロングボールからのセカンド回収を軸に陣地押し上げを図ったが、ともに守備側がロングボールの競り合いで譲らず、保持の陣地を押し上げられず。ルーズボールに対しても常に強度が高く、トランジションの連続が起こり続けるが、まったくオープンな局面にならず、こう着状態がずっと続く。遠目からの強引なシュートや、セットプレーからの混戦は作り出せても、有効なシュートを打てたシーンはほとんど記憶にない。強いて言えば武藤が佐々木とのマッチアップで警告を誘発したところを考えると神戸のほうがわずかにアドバンテージを得たと言えるか。ほかのチームとの試合であれば優位性を取れるところで優位性を作り出すことが難しくなっているため、主導権を握ることが難しい。

 

 

後半

神戸が前にプレスを掛けてきた際に、大迫からの配球で中央につけたり、サイドに大きく蹴って大外で待っていたり、そこ起点の前進を考えていそうな広島。

神戸はWGがCBまで出ていってプレスを掛ける。武藤が佐々木へ出たところを佐々木→東で前進を図るが、武藤がすぐにプレスバックで埋める。角度をつけて前へ入れられないとまだ体力的にプレスバックが間に合う。

広島は左右ともに満田がCKキッカー。神戸はゾーン&強ターゲットのみマンマーク

53分、トゥーレルに警告。

互いに若干圧縮のパワーが落ちてきたか、トランジションで間延びするシーンが増えてきた。コンビネーションからの打開も可能性が見え始めている。

武藤がCBへのアタックをにらむため、外で浮きやすい東へロブパスを送る荒木。

前半よりもトランジションから縦に運んで一気に深い位置を取るところまでいく流れができている。

59分、大迫へのロングボールから広瀬との入れ替わりから抜け出して、最後は武藤に決定機。しかし、広島も粘って大迫が枠外へはじき出す。この試合最大の決定機。

CKを扇原がインスイング側も蹴るようになった。

大迫が少し引いて受けて、その背後に広瀬と武藤が出ていく形。

加藤が引いて山川を引き出し、その裏にピエロスが入って受けようとするもトゥーレルがしっかりついて起点を作らせない。神戸は2CBが対人で上回っており、接近戦を作り出せればほぼほぼシャットアウト状態。

神戸の中盤ラインが前に出てこられなくなっているシーンがいくらかあり、広島のボランチが前を向いて受けられる場面が何度か。ただ、4-4ブロックは絶対に崩さないので、守備に穴は開いていない。

72分、神戸交代

広瀬→パトリッキ

73分、本多に警告。両者ともに切り替えと球際への意識は高いままだが、体力的に落ちてきている分、ややレイトタックルになる場面も出てきたか。

74分、広島交代

満田、中野→エゼキエウ、越道

74分、神戸交代

本多→初瀬

本多は数分前にひざあたりを気にしている様子があったのと、カードをもらってしまったのでその両方のリスク回避での交代か。

広島は前にアタッカー4人が入るような形で、中盤中央を川村が1人で管理するような配置。

77分、ピエロスが自ら座り込む。内転筋あたりのトラブル?

78分、広島交代

ピエロス→志知

志知が左WBに入り、東がボランチに移る。

79分、前川からのロングフィードを大迫が収めて背後に走るパトリッキを使って一気に前進。最後は武藤が狙うも枠外。結局は、ビッグチャンスが作れているシーンは大迫へのロングボールが起点になっている。

前半からいったりきたりでルーズボールにも激しくいき続けていただけに、両チームともかなり疲労感が出てきた。

武藤はプレスバックにまったく戻れなくなっている。佐々木はかなり自由にボールを持てるようになった。

神戸は前線がフィルターにならず、中盤にも疲労が見えてきたため、広島がバイタルを使えるように。ただ、2CBの壁はかなり厚い。特にトゥーレルのところを外すのが至難の業。

86分、志知に警告。

86分、神戸交代

宮代→飯野

運動量が落ちてきた武藤を中央に移し、飯野を右SHにおいてサイド守備強化。4-4-2ベースに。

最終盤に入ってかなりオープンな展開に。

広島は最後方をCB2枚で管理。神戸は2トップを残しているため、同数で守る。

92分、荒木に警告。

最後はオープンな殴り合いでノーガード戦法のようになったが、ゴールは生まれずにスコアレスドローで終了。

 

前半で前に行ったり後ろに下がったりの展開がずっと続いたため、両チームともに比較的早い段階から疲労が見え始め、均衡が崩れ始める。どちらかというと広島のほうが地上でのスペースをうまく使えるようになり、コンビネーションから打開を図るも、最後のところを破るには至らず。神戸はロングボールから大迫の競り合いで起点を作り、ダイレクトな展開からゴールへ迫るシーンもあったが、広島が最後のところは粘った。どちらかというと神戸のほうがゴールに近づいたシーンは多かったように感じたが、90分を通じてかなり拮抗したゲームだったことは間違いない。互いに自分たちの土俵では負けないと言わんばかりに強度をぶつけ合った結果、こう着した前半から殴り合いの終盤という、時間の経過とともに対照的な展開になっていった。

 

個人的MOM

マテウス トゥーレル

まさに最後の砦。空中戦ではピエロスに競り勝ち、地上でも至近距離のバトルに持ち込めば自由を奪い、起点をつぶす。また、広いスペースのカバーでもさらされたときの対応も完璧だった。

 

トピックス

ピエロスが負傷交代。内転筋あたりを気にしていた。

 

監督コメント

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ 吉田 孝行監督 ]
ホームなので勝点3が欲しかった。そこは残念でしたけど、次に切り替えて、またホームで勝点3を取れるように頑張りたい。試合に関してはお互いアグレッシブなチームで、セカンドボールの攻防、そこからの攻撃をどうつなげていくかという展開を予想していましたけど、やはりそういうゲームになったかなと思います。ちょっと勝ち切れなかったですけど、みんなの気持ちとか、戦う気持ちとか、そういう部分はお互いに良かったんじゃないかなと思います。

--60分以降に大迫 勇也選手、武藤 嘉紀選手らがかなり多くの決定機を作っていたが、前半から修正したことは?
前半も自分たちのプランどおりには進んでいたので、まずは前半以上のパワーを出すことをハーフタイムに伝えました。何個か戦術的なシーンもハーフタイムに見せて、そんな中で前に、前にという姿勢を見せようという中でチャンスは作れていたと思います。

--ホーム開幕戦の柏戦でも終盤にチャンスを多く作ったが、ゴールネットは揺らせなかった。得点にはあと何が必要か?
入るときは入りますし、入らないときは入らないと思いますけど、チャンスを作り続けることが大事かなと思います。1回外したことを悔やむよりも、2回、3回、4回とチャンスを多く作る、それが一番勝利への近道かなと思います。

 

[ ミヒャエル スキッベ監督 ]
本当に強い相手、それから昨年度の王者に対して1ポイントを取れたことを非常にうれしく思っています。自分たちの本当に強いディフェンスを見せられたんじゃないかと思います。ただ、自分たちのチャンスを作るところで、良いコンビネーションや自分たちの目指しているサッカーは見せられなかった部分がありました。今日の試合に関して言えば、神戸のほうが少し勝利に近かったんじゃないかと思います。そんな試合の中で1ポイントを持って帰れるところに非常に満足しています。

--前半は右サイドをかなり攻略されたが、後半に修正できたのか。
後半はウチの右サイドをうまく守れるようになったと思います。右のワイドの中野(就斗)が少し前に出過ぎてしまう状況が多くあり、それによって切り替えが遅くなってしまった。切り替えても距離が遠くなってしまった、ということが挙げられると思います。ただ、本当に相手のロングボールを警戒しなければいけないところは引き続きやっていきました。大迫(勇也)が流れてボールを収め、そこから危険な状況を作られることを防がないといけない。ただ、ウチの3バックは本当に相手の脅威となるオフェンスをしっかり抑えたと思います。

 

2024 J1第3節 ジュビロ磐田vs柏レイソル メモ

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スタメン

流れ

柏のしぼるSHを脇を通して、切る位置に立つSBへ届ける磐田。そこから斜めのクサビをバイタルにつける。

柏はプレスラインを高く設定し、2トップが強めにチェイシングを掛けて奪いにいく守備。

プレスを受ける磐田は、早めに前へ蹴るのではなく、ある程度柏守備陣を前に引き出してから前に蹴り、バイタル近辺で起点を作ろうとしている。

柏は自陣でのトランジションからサヴィオが長い距離を運び出してロングカウンターに移るシーンが多い。一度サヴィオにスペースへ運び出されると後ろから追っても追いつけず、止められない。

柏は4-4-2プレス。磐田は4-2ビルド。CB→SB→CHとつないでCHからのワンタッチで前へ配球。

柏のプレスを抜け出せない磐田。球際から生まれるトランジションでの偶発的なセカンド回収とファウルをもらう形でしか落ち着かせられていない。

磐田はミドルゾーンでの組み立てに持ち込めれば、CB→SBのパスで相手SHを切って陣地を押し上げられる。柏のSHは内側へのパスコース切りと、2トップ脇に入ってくるボランチへのアタックを優先している印象で、大外は空けがちに見える。ただ、外に出てきた際のプレスバックは速い。

磐田は平川と山田がライン間の4人の間に立つ。

柏は細谷が常に背後への抜け出しを狙っていることもあり、つながらずとも積極的に前のスペースを狙って蹴っていく。

柏は左サイドからサヴィオのサイドチェンジや、インスイングクロスでファーサイドを狙う形がよく見られる。

磐田はミドルゾーンの守備で、ボランチがアンカー位置へのアタックと、ボールサイドのバイタル埋めの両方を持っている。また4の横幅がけっこう広く、隙間が大きいので、柏としては縦パスのコースはけっこう見えやすいのではないか。逆サイドのボランチもけっこうボールサイドのほうに絞ってくる。

ジャーメインが競り合いで五分以上のセカンドボールを作っている。

ラインを引っ張るジャーメインに入れて、その後ろについてくる山田と平川がセカンドを回収して押し上げようとする磐田。

磐田のサイド守備はSHとSBが管理し、チャンネルはボランチがケア。逆サイドのボランチがバイタルを埋める。

34分、柏先制、0-1。サヴィオのインスイングキックをニアで古賀が合わせてゲット。

前プレを掛けて、ボランチが出ていったスペースに潜り込んで受ける小屋松。磐田は後ろのスペースをごまかせるだけのプレス強度はないので、正確に届けられると晒される。

中村が左下り、上原はアンカー。4枚で相手2トップをずらしにかかる。

松本と平川がインサイドのライン間でSH-CH間をうろうろ。柏はそのを狭めながら、降りていって自分たちの前に出てきたら放置。背後を使われないようにポジショニング。まずは内を締めにかかっているので、外は空きやすい。

42分、山田大に警告。

 

立ち上がりは柏がプレス強度を高めて主導権を掌握。磐田はCB→SB→CHからのワンタッチで前へ送るパターンでなんとか抜け出そうとしたが、ジャーメインの収めとセカンド回収の偶発的要素に頼るしかない状況に。ただ、柏も徐々にペースを落とすと磐田も保持ができるように。2列目の3人をそれぞれ中央3レーンのライン間に配置することで柏のSHを内に絞らせ、大外でSBを浮かせる配置。CB→SBで相手SHを切ることができるが、柏のSHもプレスバックは速いので、時間をかけると戻られて前に立たれる。また、磐田の守備は4-4-2でセットしながら、横幅が割と広く、選手間が比較的広め。柏は間への縦パスを入れていき、サイド攻撃を軸に攻める。磐田は間にスペースを空けている割にはプレスの掛け方もそこまで強くないので、ライン間をあまり消せない状態になっている。柏は左で持ったサヴィオから逆サイドへのボールで関根がファーサイドに入ってくる形や、そのまま右サイドの攻撃に移っていくパターンがよく見られた。派手なシーンはないながらも関根がキープや運びでポイントを作っており、時間を作る役割を担えている。

 

 

後半

磐田交代

山田→ペイショット

柏は4-4ブロックに小屋松が中盤の前をサポート。

ペイショットが最前線に入り、ジャーメインがトップ下気味の位置。

ペイショットが入ってハイボールでのポイントが作れるようになった磐田は前半よりも積極的に前へ送っていく。ジャーメインが少し下がり目の関係性でセカンドを回収する。

小屋松と細谷が二度追いでサイドまで制限を掛けて、後ろが人を捕まえて閉じ込める。

小屋松に連続で決定機が訪れるもいずれもキックがミートせず。

ペイショットに当ててジャーメインが引き取る形が再現性高くできており、磐田はそこから前進を始める。

柏は個人の推進力を持つ選手が多く、自陣深い位置からでも1人で陣地回復できてしまうシーンが多い。

磐田は後ろに枚数をかけて柏の1stプレスを外せるようになってきているが、前半同様なんでもないところでのパスミスが多い。ここ2試合も自分たちのミスからピンチを招くシーンが多く、このあたりの癖は抜けていないか。

小屋松のシュートフィーリングは合ってきていない印象。風の影響も少なからずある?

61分、磐田交代

平川、松本→古川、藤川

中村がアンカー位置で、上原が右の少し前に配置。

柏は2トップでアンカー位置を消し切れていないときにはボランチが前に出てくる。

小屋松のポケット進入からの折り返し。

67分、柏交代

白井、小屋松→土屋、山本

75分、磐田交代

中村→ゴメス

互いにセット攻撃とセット守備の攻防。

ヴィオが植村を引きつけ、その背後に走る。そこにはゴメスがカバー。2トップが流れていったときはCBがついていく。

78分、細谷に警告。CK守備からカウンターを受けかけたところでテクニカルファウル。柏は1つ目のフィルターをくぐられた瞬間に3人が素早く戻ってきた。

右からのクロスに対して4人近くがエリア内に入ってくる磐田。

互いに敵陣に入って攻めのフェーズを作っているが、よりゴールへ近づいている雰囲気があるのは磐田。

80分、柏交代

細谷、山田→木下、島村

最前線で背負ってキープする木下。トランジションで時間を作る。

86分、磐田交代

植村→西久保

磐田はサイド突破は個人のところにゆだね、ゴール前に人数を避けるように配置。左は古川、右は藤川と西久保。

柏は2トップが途中出場で元気な2人なので、プレッシャーを掛けに行くが、サヴィオが疲弊してきており、サイドへのプレスが遅れるので、右からの配球で磐田は前進を狙える。

磐田の右のスローインは西久保のロングスロー。

木下が個人での収めで時間を作り、落ち着きをもたらす。

 

後半はペイショットが入ったことでアバウト目なボールでもジャーメイン以上に五分以上のセカンドを作れるようになり、ペイショットの周りを衛生的に動くジャーメインが回収する形ができ上がった磐田。そのシンプルな押し上げと、強度を高めたプレッシングでペースを握るが、柏もアタッカーの個人の推進力でトランジションから陣地を押し上げられるため、防戦一方にはならず。また、序盤に小屋松が決定機を二度迎えるもいずれも決め切れず。そこで2点目が取れていれば、柏はよりラクなプランで進めることができたはず。磐田がターゲットタイプが増えて、ゴール前のパワーが出たため、上がってきたところに人数を掛けられれば柏も苦しい状況になっていたが、そこまでクロス攻撃に持ち込める回数は多くなく、柏にストレスを与え続けることはできなかった。早めに藤川と古川を投入してサイドの活性化を図ったものの、彼らが目立つシーンも少なかった。一方で柏は交代で入ってきた木下が最前線でルーズボールをしっかり収めて時間を作ったことで、簡単に磐田の攻撃に転じさせないようにコントロールできたところは地味ながら大きかった。

ともにセット攻撃の打開策があまり見えず、セットプレーからのチャンスが可能性が高い手段になっていたように感じる。柏はサヴィオに運ばせるシーンをどれだけ増やせるか、磐田はどれだけいい形でクロスを供給できるか。

 

個人的MOM

★関根 大輝

開幕から先発を続け、徐々にパフォーマンスが向上している印象。この試合ではサヴィオが逆サイドから送ってくるボールを受ける役からキープして時間を作り、右サイドでの攻撃のフェーズへ移らせる起点になっていた。また、松原や古川といった相手に対してもほぼ突破を許さなかった印象があり、守備でも安定していた。

 

監督コメント

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ 横内 昭展監督 ]
まずはまたホームに戻ってきて、(ホームで)2試合連続勝点を奪えず、勝利を奪えずにサポーターの皆さんには申し訳ない気持ちでいます。本当に寒い中、たくさんの方がお越しいただいたのに、そこは申し訳ないと思っています。

ゲームは少しこう着したような展開でしたが、非常に強度のある柏のプレッシャーを選手自身もやりながら感じていたと思いますが、それに対してわれわれもトライしましたけど、クオリティーが足りなかったというのが率直な感想です。セットプレーからまた失点してしまい、追う立場になって、後半は少しチャンスらしいチャンスも多少はありましたが、その回数が多くなかったので、柏にしたたかにやられてしまったという感想です。

--後半、柏のしたたかさはどのあたりに感じましたか?
前半から多少そうでしたけど、シンプルに前線の選手に当ててきて、そこで起点を作られるというのを繰り返されて、FKやスローインのところで少し時間を使われてしまった。ただ、柏はマイボールになったときの圧力があったので、そこからわれわれも自分たちでボールを動かせる時間が短かった。また相手ボールになり、その繰り返しで時間が経過してしまったというのが率直な印象です。

--風の影響もあった中で、ロングボールがチャンスを生むきっかけになっていた。長いボールと短いボールを使い分ける判断はどのくらい意図していたものでしたか?
後半に関しては(マテウス)ペイショットを入れたので、前線に2つ起点ができて、相手としてもそのボールの処理が難しかったと思う。それを選手が意識してやってくれたと思います。実際にそこからチャンスも生まれていたので、選手自身の判断は悪くないし、本当に臨機応変にやってくれたので、そこは評価しています。

ただ、それだけではなく、もう少し動かせる場面で相手の圧力を感じ過ぎてしまった局面もあったので、そこはわれわれが今後に向けてなんとかしていけると思っています。

 

[ 井原 正巳監督 ]
前節、昨年チャンピオンの神戸に勝ったことで、その勝利をしっかりとつなげていこうという形で今日の磐田戦に臨みました。磐田さんも前節、素晴らしい勝ち方をして、今日は非常にきっ抗した試合になると予想をしながらゲームに入りました。非常に風が強い中で難しい展開にはなると思いましたし、そういう中でセットプレーからの1点を最後まで集中力を持って守り切れたと思いますし、追加点を取りにいこうという姿勢も持つことができた。ホームゲームではしばらく勝ちをプレゼントできていないので、この結果を次のホームゲームにしっかりとつなげていきたいと思っています。

--風が強い中、戦い方は微調整しましたか?
前半は少しわれわれが風上だったというのもありますし、ピッチの中でボールがなかなか走らない。水を撒いていましたけど、すぐ乾いてしまってボールが走らない状況もあって、ある程度シンプルにボールを入れていく時間帯が多かったと思っています。逆に後半は風下になったこと、磐田さんの選手交代も含めて長いボールが増えるのではないかと予想していたので、そこはディフェンスラインにハーフタイムでも指示は出しましたし、セカンドボールへの争いはよりしっかりと意識させて入りました。

全体的にハイボールに関してはボールがどこまで伸びるか、止まるかが難しい状況でしたが、お互いにその争いになるだろうと思っていましたし、最後まで集中力を保ってやってくれたと思っています。その微調整は選手たちもグラウンドの中で意識してやってくれたと思っています。