がちゃのメモ帳

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2026/27 J1リーグ第8節 FC東京vs名古屋グランパス

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メンバー構成の意図を考える

直近の試合においてハーフタイムでの交代となり、「少し身体に異変を感じている選手が何人かいた」とのコメントもあったため、本間と長友はコンディション不良とみられる(のちに負傷と発表された)。

長友佑都選手の負傷について|ニュース|FC東京オフィシャルホームページ

本間至恩選手の負傷について|ニュース|FC東京オフィシャルホームページ

代表活動によって離脱中の永野の代わりに、CBとボランチ(とSB)を兼任する鈴木がベンチ入り。橋本拳人が2試合のメンバー外を経て復帰となったが、おそらく万全ではないということでボランチを厚くしたいと考えたのではないか。

試合後の監督インタビューによると、今季初のサブスタートとなった長倉は少し違和感があったためあとからの役割を託したとのこと。

 

vsオールコートマンツーマン

名古屋は予想どおりオールコートマンツーマンの戦術で守備を行ってきた。ただし、ハイプレスをかけてくるというよりも、GKまでは出ていかず、それぞれの担当マークをずっと追い続けるイメージ。「ボールを取り上げる」よりも「出しどころをなくす」ための守備に感じた。

FC東京としてはGKキム・スンギュが完全フリーの状態になるが、受け手が相手DFにつかまっているため出しどころに困る状況となり、GKのところでボールが止まる膠着状態になることも多かった。

打開策の引き出しとして見せたのは主に2つ。稲村が外側で持った際に俵積田が下りてマーカーを引っ張り出し、連動するようにバングーナガンデやヒアンが左サイド奥のスペースに走る形と、安斎や佐藤が下りて落とし役となり、ショルツが大外で受けてから運び出していく形。前者は深い位置でスローインを獲得するなどはできたが、結局やり直して振り出しに戻ることが多く、ゴールへの道筋を作る策にはできていなかった印象が強い。後者はペナルティーエリア付近まで進入はできたものの、人が密集した場所でスピード感を持って崩すことはできなかった。

陣形としては前線に2トップ+SH+SBを張らせて、そこから引く動きと駆け上がる動きの組み合わせでスペースを取りにいく狙い。多くの人数が高い位置を取っていたので、マンマークの名古屋守備陣も必然的に最終ラインの人数が多くなり、単純にロングボールを入れてもセカンドボールを回収しにくい構造になっていた。ヒアンという1対1で強さを発揮できるターゲットがいたため、周りがヒアンから離れることでスペースを広げ、そこへのロングボールで打開を図るようなトライがあっても面白かったかもしれない。

松橋監督

「最初は形にこだわりすぎていた部分がありました。もう少し思い切ってポジションをとっても良かったと思います。高さや低さも含め、スペースをうまく使うシーンは何度かありましたが、そこでのジャッジ(判断)もあまり良くなく、最終的なファイナルサードでの加速にも繋がりませんでした」

9/19 名古屋戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW|FC TOKYO FANZONE|FC東京オフィシャルホームページ

 

名古屋としてはおおよそ前向きの守備でボールホルダーにアタックすることができ、そこで奪えればカウンターを発動する。また、自陣撤退になっても山岸、木村という二大起点を経由することで陣地回復も可能に。稲村は山岸によく対応できていたと思うが、木村の起点はなかなかつぶせず。ただ、ほかの試合を見ても今季の木村をシャットアウトできるような選手はほとんどいないと思われるので、FC東京目線だとここは割り切りが必要だったとも言える。

FC東京が得意とする戦い方をマンツーマンで消しつつ、カウンターとボール保持でチャンス創出を図る。トランジションの局面でも稲垣、高嶺、藤井あたりが中心となり、ピンチの芽を摘む対応で名古屋が序盤の主導権を握った。

 

肉を切らせて骨を断つ

後半は名古屋がFC東京のSBに2対1を突きつけながら、サイド攻撃からのクロス、ポケット侵入でチャンスを作っていくが、FC東京もゴール前の一番危険なゾーンを抑えながらポジションを取ってはね返す。

一方でFC東京も、名古屋が前がかりになって攻めてきたところを裏返すようにヒアンと佐藤を軸にしたロングカウンターで応戦する。そして迎えた56分、守備を崩されたながらもシュートブロックを起点にしてカウンターを発動。俵積田が自陣から独走してフィニッシュまで持っていきゴール。意図して相手を引き込んでいたわけではないだろうが、個人の馬力を生かしたカウンターで見事に打破してみせた。

 

森重&石原投入後のクローズ

1点をリードしてから名古屋のプレスを外して前進できるようになったり、相手のビルドアップを前で引っかけられるようになったりと試合のペースを握ったが、68分に高へ2枚目の警告が提示されて退場に。すぐにヒアン→橋本拳人の交代で中盤を補充し、4-4-1で守る。

そして77分には佐藤、バングーナガンデに代えて森重と石原を投入。開幕戦で名古屋と対戦し、今回の展開と同じように終盤に数的不利となった清水が採った5-3-1でレーンを埋める作戦かと思いきや、4-4-1は継続。石原が右SH、森重がCBに入り、稲村が左SBへ移った。この策の意図としては、松橋監督が以下のようにコメントを残している。

松橋監督

Q、終盤の守備について、稲村隼翔選手を左サイドバック、石原広教選手を右サイドの前のポジションで起用した意図を教えてください。
A、稲村選手がクラブに加入してくれた時点で、彼を左サイドバックで起用することは頭の片隅にずっとありました。ただ、それほど頻度は多くないだろうとは思っていました。今回のゲームで言えば、左サイドの守備で相手に時間とスペースを与え始めていたことと、最後のクローズをどう考えるかという点が理由です。相手に高さはなかったので、ディフェンスラインを五枚にする必要はあまりないと感じていましたし、逆に五枚にすることで、中央にいるミドルシュートが得意な二人の選手にスペースを作ってしまうことの方が怖かった。いろいろな変化を考えたなかでの稲村選手の左サイドバック起用でした。そして、石原選手を右サイドの前の位置に起用しました。石原選手は室屋選手と同じく本来は右サイドバックの選手なので、うまくローテーションやマークの受け渡しができれば、しっかり守り切ることができると考えての起用でした。

9/19 名古屋戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW|FC TOKYO FANZONE|FC東京オフィシャルホームページ

 

実際に、山岸と木村が下がっていた名古屋はクロスが入ってもターゲットとして飛び込んでくる選手がおらず、クロス攻撃がそこまで脅威となっていなかった。また、マテウスと高嶺に1本ずつ遠目からのミドルシュートを許したものの、いずれも大きく枠をそれたもの。ミドルを警戒するあまり橋本拳人がファウルでFKを与える場面こそあったが、要点を押さえて守れていたのではないか。

そして、途中から最前線に入った長倉が独力でボールを収め、安斎と常盤が追い越すことによって敵陣で時間を消費していった点も大きかった。

 

総評

これまでの相手と異なる、はっきりしたマンツーマン守備に対して苦戦する可能性は見込んでいたが、想像よりもうまくいかなかった。そういう展開の中で俵積田のドリブルという個人技で打破し、勝点3を獲得できたことは大きい。

 

ショルツ

「マンツーマンの戦術を採る相手にプレーするのはとても難しいです。普段やっていることができなくなります」

「相手がマンツーマンなので、スペースを見つけて、相手を本来のポジションから引き出そうとしていました。ただ、最終的にはどういう形になるか予測できない部分もあります」

「普段の戦術がそのまま通用するような相手ではありません」

9/19 名古屋戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW|FC TOKYO FANZONE|FC東京オフィシャルホームページ

課題が出た試合ではあったものの、以上のショルツのコメントのとおり、名古屋は特殊なスタイルの相手。今回の課題を過度に意識しすぎるよりも、これまでできていたことを継続しつつ、マンツーマン色が強い相手に対しての策も徐々に上乗せしていく、くらいの考え方でいいように思える。

 

常盤

「開幕戦でレッドカードが出て、なかなか試合中に修正できなかったのですが、それを次の日にすぐ「一人退場したらこうしよう」ということを、松橋力蔵監督やチームのスタッフから提示されて、チーム全員に落とし込めていました。なので、今日一人退場しても慌てることなくすぐに対応できて、全員の意思が揃っていたというのはまず大きかったです」

9/19 名古屋戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW|FC TOKYO FANZONE|FC東京オフィシャルホームページ

常盤のコメントにあるように、開幕戦の退場→大敗の流れを受け、チーム全体ですり合わせができていたことは素晴らしい。相手が違うため単純な比較はできないが、今回の勝点3獲得で、町田戦の“勉強代”を回収できたといっていいのではないだろうか。

 

その他のトピック

本間至恩不在の影響

今回は先発した俵積田が結果的に決勝ゴールを奪ったため印象が薄れたが、狭いエリアで違いを作れる本間不在の影響はあったように感じる。また、長倉もアクシデント的にサブスタートとなったことから、狭いエリアで“ひと工夫”できる選手が減り、ゴール前打開の一手が不足することにもつながった。

現時点ではジョーカー的起用のほうが合っている俵積田を先発型としてフィットさせていくのか、佐藤や安斎を左に回してバランスをとるのか。松橋監督のマネジメントに注目していきたい。

 

高宇洋→橋本拳人の交代判断

ここの交代を引っ張ったことについては、単純に復帰したばかりの橋本拳人のコンディションを考慮したことが濃厚だろう。山岸と木村というフィジカル面にもストロングがあるFWとの対峙を考えれば、そもそも橋本拳人が万全であれば先発が違っていた可能性もある。おそらく15~20分のプレータイムで考えられていたと想像するが、高がそこまで粘れなかった。もっとさかのぼると、前半にミスから警告を受けてしまったところが痛かった。

 

稲村の対人守備

主に山岸とのマッチアップになった中、インターセプトするシーンを見せ、最悪でもファウルで止める対応ができていた。また前半に迎えた、中山のクロス→マイナスの山岸で決定機というシーンでも最後まで体を寄せて対応。攻撃の起点だけでなく、トランジション時、ボックス内での守備対応でも向上が見える。

2026/27 J1第4~6節 長崎、清水、京都戦のボール保持を振り返る

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相手の構造を見たボール保持

長崎戦

長崎の基本守備陣形は5-2-3⇔5-4-1で、プレス時は3トップでボランチ2枚を消しながら、シャドーがCBにアタックすることで当てる枚数を合わせる。CB→SBのパスでは、まずはシャドーがスライドして対応し、シャドーの戻りが間に合わなければWBがスライドして前に出てくる構造。特に左シャドーの岩崎がひたすらスプリントを繰り返してCBとSBへのアプローチを続け、1人で2人ぶんの守備を行うようなケアの仕方をしていた。

→FC東京の保持

相手シャドーの動きを見極めながらボールの動かし方を調整する。まず相手シャドーに対してCB-SB-CHの3人でトライアングルを作り、3対1のような状況を形成。シャドーがプレスバックでSBまでケアしてきたら、ボランチを経由してCBへ戻し、また1からリスタート。シャドーが間に合わずにWBが前に出てきたら、その背後を取る大外のSHへ送ってスピードアップ。シャドーが元気なうちはボールを動かして疲弊させ、2人分走れなくなったタイミングでWBをおびき寄せて背後を取る。相手の構造と相手守備者のエネルギー残量を読み取りながら、的確な判断を下せていた。

また、全体が高強度かつ前向きに矢印を向けてきた際には、無理にリスクをとらず、ヒアンと長倉に長いボールを入れる割り切りも。そこで収めて攻撃に転じられればベスト、長崎が保持で前進の形を作れていなかったことから、相手ボールになってもOKという考えで進められた。

(稲村のコメント)

Q、選択の幅やボランチとの関係、パス交換や立ち位置がすごく良かったように見えました。どんなことを考えていましたか。
A、そもそも相手のスリートップというか、シャドウとフォワードの選手をなるべく走らせて、ウイングバックを引き出したいという意図がありました。それがうまくはまって、自分たちはサイドバックのところでゆっくり試合を組み立てられる時もあれば、相手が出てきたなら背後を狙うことをはっきり使い分けできていたので、相手も出られなくなってきて、自分たちが支配できたかなという印象です。

(高のコメント)

Q、今日の試合では、素晴らしいゲームコントロールができていたと思います。どのようなところを意識してプレーしていましたか。
A、今日のゲームでは、試合前にスタッフから提示されたことや、選手同士の会話のなかで想定していた通りに相手がポジションをとってきました。そのなかで、自分たちが相手を上回れている感覚もありました。局面で2対1を作りながら相手の前線の矢印を外すことで、うまく前進できたと思います。

Q、相手の守備の矢印を外すという点では、具体的にどのようなところがうまくいっていたのでしょうか。
A、相手の2シャドーがこちらのセンターバックに対してプレスにきて、チアゴ サンタナ選手が少し下りて中盤をケアする形でした。その時に、西尾選手がサンタナ選手を挟むような立ち位置をとりながら、遊びのパスを入れることで相手の矢印を中に向けられました。そうすると、サイドバックからも簡単に前進できます。橋本拳人選手と僕は最近、そのパス交換についてよく話しているので、そこからうまく前に入っていく形を作れたと思います。相手がかなり疲弊して、追い切れなくなっている感覚もあり、前に入っていけるシーンは多かったです。ただ、そのなかで僕自身が狙い過ぎている部分もあったので、ゲームコントロールという意味では、もっと揺さぶりをかけても良かったという反省点もあります。

(橋本拳人のコメント)

Q、松橋力蔵監督から「相手の矢印を折ろう」という話があったなかで、センターバックとボランチ、サイドバックも含めた立ち位置によって、相手の勢いを抑えられたように見えました。
A、相手は勢いよくプレッシャーにくるチームだったので、なるべく相手を走らせながら逆をとって、疲弊させることは意識していました。全体的に良い立ち位置をとりながら、良い攻撃ができていたと思います。途中から相手が戻ってこなくなったような印象もありました。点差もあり、ずっとその時間帯を続けられれば良かったですが、特に後半は相手にボールを握られてしまう場面もありました。後ろから押し上げるのか、しっかりブロックを敷いて耐えてカウンターを狙うのかというところが少し曖昧な時間帯があったので、そこは今後の修正点として取り組んでいきたいと思います。

(※引用元)

8/29 長崎戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW|FC TOKYO FANZONE|FC東京オフィシャルホームページ

 

清水戦

清水の基本守備陣形は4-4-2。2トップが背中側のボランチを監視しながら、バックパスのタイミングなどでSHも加勢してCBにアタックをかけてくる。CBが中央レーンにいるときは2トップが、外に広がって受けたときにはSHが出てくるようなイメージ。また、2トップがCBに出ていった際には、SHが内側に絞ってボランチをケアする動きも。

→FC東京の保持

清水SHが前をうかがってきたらCB→ボランチ→SBと経由して、相手SH裏でフリーになるSB(主に左の橋本健人)のところで時間を作る。ここで清水SBが前につめてきたら、大外で浮くSH(主に本間)に渡してスピードアップ。左サイドに関しては橋本健人のリリーススキルの高さがあったからこそ成立したとも言える。右の石原からも2トップを背後へ走らせるパスの供給が見られた。ここで清水がCB→ボランチのパスコースを警戒してくればCB→SBのパスで相手SHを置き去りにしやすくなり、橋本健人の斜めのクサビが刺さりやすい展開になる。

清水は全体的にプレスバック意識が高かったことから、ボランチが時間をもらえるシーンは多くなかったが、ボランチ2人が安易に下りずに2トップ裏にポジションを取り、相手の2トップをコントロールしたことが効いていたように感じた。ボランチが直接的に前進に関わるというよりも、そこで相手の守備者に影響を与えることで、ほかの選手に時間を振り分けるようなイメージ。ボールを受ける際も一時的な経由地点になれればOKというような仕事が多かった。

 

(橋本健人のコメント)

Q、左サイドでプレーする選手たちとの関係性はいかがですか。
A、本間至恩選手は周囲の選手を活かす動きもできますし、自分自身が活きるための動きもできます。関係性を作りやすいですし、一緒にプレーしやすい選手だと思います。お互いの立ち位置を見ながら、外と中を使い分けることで、より良い形を作っていきたいと思っています。また、後ろで森重真人選手がうまくボールを持って、自分の立ち位置を見てくれることで、自分がより高い位置をとれるようになっていましたし、それによって自分の特徴も出しやすくなっていると思います。

(※引用元)

9/2清水戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW|FC TOKYO FANZONE|FC東京オフィシャルホームページ

 

京都戦

京都の基本守備陣形は4-4-2。SBのところで1対2を作られるのを嫌ってか、SHが下がって守備をする意識が高く、サイドに穴を空けにくい代わりに、2トップの脇は空きやすい構造。連戦の最後ということもあってか、プレスを掛けていくよりも、4-4-2の陣形を維持することが優先でミドルゾーンで構えたところから、ゴール前に撤退して受ける時間が長くなっていた。

2トップがプレスに出ていく際は、ボランチがボランチを捕まえに出ていく。プレス時は基本的に4-4-2をそのままかみ合わせるイメージ。

→FC東京の保持

相手のプレススイッチ役が基本的に2トップだけになるため、CBとボランチで相手2トップに対して4対2を作ってCBをフリーにして、2トップ脇から運び出させる形を作るところがスタート。ただ、相手のSHがかなり下がって対応することから、CBの持ち運びでインサイドのSH×大外のSBの2択を突きつける形が作りにくくなっていた。

そこで打った次の手が、CBが敵陣の深い位置まで運び出すこと。そこで相手がマークに出てくれば後ろのスペースが空きやすくなり、出てこなければCBからそのままクロスを送り込む。京都は前に出ていきにくいというデメリットを受け入れつつ、ブロックに穴を空けないことを優先してきたため、クリティカルな攻撃につなげることは難しかったが、ゴール前に送り込む試行回数は増やすことができた。

また、京都ボランチのペドロが人を捕まえに前へ出た際には長倉がその背中側に潜り込み、ライン間で浮くポジション取りをしていた。1つへ奥へ差し込んでからワンタッチで落とすことによって相手守備者の目線がずれ、落としを受けた前向きのボールホルダーに時間を与えることができた。ただ、雨の影響もあってか落としのパスが短くなり、中盤でのロストからカウンターを食らう場面も。佐藤は珍しく2トップの一角での先発となったが、下りて縦パスを受ける役割もこなした。

 

(松橋監督のコメント)

Q、今日はスタメンの2トップの組み合わせを変えました。その狙いと、前半はこれまでとは少し違う攻撃の形も表現できていたと思いますが、その評価を教えてください。
A、攻撃の形という部分では、これまで多くを積み上げている部分もありますし、すべてをトレーニングしているわけではありませんが、一つポイントとして挙げたところをトレーニングしてきました。相手は守備のところで非常にアグレッシブに前に出てくることをやってくるチームなので、ライン間と背後というバランスのなかで、どちらかが必ず背後をしっかりと狙っていくこと。そこから広がったライン間をどちらが使うのかというところで、多くは佐藤恵允選手が背後を狙いながら、長倉幹樹選手がライン間をうまく使っていました。相手のボランチがどういうアクションをとっているかを見ながら、非常にバランス良くできたのではないかと思います。それが最終的に得点につながらなかったのは残念ですが、良い活躍をしてくれたと思っています。

(※引用元)

9/6京都戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW|FC TOKYO FANZONE|FC東京オフィシャルホームページ

2026/27 J1リーグ第3節 FC東京vsジェフユナイテッド千葉 雑感

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田中vs石原のマッチアップでワンチャンスを狙う千葉

千葉はボール保持時、田中を右奥のスペースに走らせる形を徹底。田中の特長である縦への馬力を生かすことや、石原のサイズ(田中も大きくないが)のところを突く意図があったのだと思う。ズレを作り出すというよりも、シンプルに1対1に持ち込み、そこで競り勝ったり抜け出したりできたら成功、というイメージ。成功率は高くないが、千葉としては自陣でのボールロストのリスクを捨てながら、何回かに1回チャンスを作れたら、またはセットプレーが取れたらOKくらいで考えていたと思われる。

また、田中が下りてきてインディオが3列目から右奥に飛び出していくケースはあったが、エリソンはあまりサイドまで流れてこなかった。これを踏まえると、右サイドで起点を作りたいのではなく、右サイドを突破できたらそのままゴール前で待つエリソンに届けてゴールまで直結させたい、という意図があったのかもしれない。

ただ、FC東京としては石原がほとんど競り負けることがなく、稲村のカバーリングも効いていたので、事故が起きることはなく対応できていた。

 

まずは2トップを外す作業から

FC東京はプレスを受けて詰まったらヒアンに蹴っ飛ばす、もしくは前に捨ててOKの判断。相手が来なければ後方からつないでCBにオープンな状況を作る、の使い分けでゲームを進める。雨が降っていたコンディション面の影響もあるだろうが、ここは開幕から変わらない部分。

相手との兼ね合いで見ると、千葉は序盤からあまり試合のテンポを上げない入りで、プレスを掛けるよりもブロックを組むことを優先。それに伴って、FC東京はボールを保持すること自体のストレスはなく、「どうやって崩していくか」が焦点になった。

千葉は両SHの守備基準がSBの監視になっていたため、SBが高い位置に進出していけばポジションを下げていく。そのため、FC東京としては相手FW2人に対して2CB+2ボランチの4人で数的優位の状況で回せるようなイメージに。ボランチを経由しながら相手2トップをずらし、CBの前にオープンな状況を作り出していく。相手2トップのボランチケア意識が高まればCBが空き、CBに強く出ていけば背後でボランチが浮くという循環に持ち込めた。

 

(石原広教のコメント)

稲村隼翔選手にスペースを与えることを意識しました。相手が5バックだったら、自分が下がって深い位置をとり、相手を引き寄せようと思っていましたが、4バックで来たので、できるだけ相手のサイドハーフを押し込む形に持っていこうと考えました。稲村選手が運べるスペースを作ってあげることを意識して、あとは本間至恩選手との距離感や高さの調節など、周りの選手がやりやすいようにというところを意識していました

(引用元)8/21 千葉戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW|FC TOKYO FANZONE|FC東京オフィシャルホームページ

対5バックのドルトムント戦や町田戦ではSBが低い位置を取って相手WBを引き出し、対4バックではSBが大外の高い位置を取って相手SHを押し込んでインサイドに入るSHと担当レーンを分担する。開幕から、百年構想リーグからの取り組みがよく反映された内容になっている。

 

密集打開の左と、スペース攻略の右

上述のように相手2トップにズレを作り出せたら、崩しのフェーズに移行していく。ここでスイッチ役になったのが稲村と高。稲村は前がオープンになれば運び出してからライン間に縦パスを差しこみ、そこからスピードを上げてゴールへ迫る。左サイドはSB石原が大外の高い位置に張り、本間と長倉がインサイドのライン間を取る。石原は相手SH(またはSB)を外に広げるための“見せの張り”のような役割で、本命はインサイドの本間と長倉。狭い場所でのプレーを苦にしない2人のリンクから何度もチャンスを創出していった。

一方の右は、スペースを取って素早くゴールまで迫ったり、押し込むフェーズに移行したりしていく。ここの供給源になったのが高。相手2トップが管理できなくなったタイミングで背中側に潜り込み、背後へ走る室屋へパスを送る。相手ボランチが捕まえに出てくれば、空けた場所に長倉がもぐりこみ、ショルツ→長倉→高といった流れで高に前を向いて受けさせる形を作れていたのも良かった点だ。

 

飲水タイム後の千葉の変化

オープンになったFC東京の両CBから好き放題やられる形になっていた千葉は、飲水タイム明けから少し前に出ていく意識が強まったように見えた。

28:55頃のシーン。千葉がGKまでプレスを掛けにいくと、FC東京はこれまでの方針どおり前に蹴る。ヒアン×河野のマッチアップでルーズボールを作り出すと、石尾が運び出してスイッチを入れる。そこからスピード感を持ってゴールへ迫り、石尾がバーをたたくシュートを放つところまで持ち込んだ。

FC東京はボール保持時にSBを高い位置に上げるため、速く攻められると守備時のポジショニングをセットするまでに時間がかかる。千葉は構造的な弱点を突いて1つの突破口を見いだしたと言える。

 

相手を見て逃がし場所を変えるFC東京

飲水後から守備の微調整を加えた千葉。千葉2トップ近辺で動くFC東京のボランチに対し、ボランチが前に出て捕まえにいったり、SHが上がって枚数を合わせる対応が増えたように感じた。ただ、FC東京も引き出しを見せて調整していく。

前述のようにボランチが前に出てくるのであれば、空けたスペースに長倉がもぐりこむことによって起点を作り、SHが前に出てくるのであれば、SBのところで2対1を作り、室屋の奥への飛び出しが効きやすくなる。そうして前に出ても解決策が見いだせない千葉は再び重心が下がっていき、FC東京が敵陣での攻撃試行回数を増やしていく展開となった。

千葉はSHがSBの脇まで下がって5バック化するような場面も見られるようになると、前線の選手が場所を埋めに下がらなければいけなくなり、奪ってからの前への預けどころがなくなっていく。そうするとFC東京の即時奪回が効きやすくなり、千葉はボール保持の時間が減少。冒頭に触れた田中を狙った攻めの試行回数も減り、守備で我慢してなんとか無失点でしのぐしかない状況を強いられた。

 

空洞化するバイタルエリア

後半、千葉は前重心で入り、セカンド回収率を上げて流れを変えにくるが、この展開も長くは続かず。立ち上がりにスローインのクイックリスタートからスキを突いてチャンスを作るも、次第に前半と似たような構図に戻っていく。ボール保持時の田中の背後狙いも継続されていたが、あまり効果的にはならなかった。

千葉は前半と同様に4-4ブロックの前の2トップのつながりがやや薄く、FC東京は組み立て時に高が2トップ裏を突きながら前進のポイントを作る。また、撤退時にはボランチが最終ラインに吸収されやすくなり、ゴール前の壁は厚くなるが、バイタルが空きがちに。FC東京はサイドからのグラウンダーのクロスでヒアンらに当ててから、ボランチらが後ろから空いたバイタルに入ってきてミドルを狙う場面が増えていく。

シュートは打ててもブロックに遭っていたが、72分、FC東京が先制に成功。セットプレーの流れからだったが、まさに空いたバイタルからシュートを放った高のゴールが決まった形となった。

 

右サイドにフィジカル優位をもたらす安斎

66分、選手交代で安斎と仲川を投入。右サイドに入った安斎は、70:40頃のシーンのように右奥に飛び出し、河野に競り合ってシュートに持ち込むなど、フレッシュさも生かしてフィジカル優位を作り出す。そして迎えた85分、ロングボールで飯田に競り勝つと、連続性を持ってゴール前へ。仲川のクロスに合わせ、試合の行方を決定づける2点目を決めてみせた。

 

総評

ロングボール主体でOKにした町田戦、相手との組み方を考えてプランニングした神戸戦とは異なり、自分たちが一番得意な形で勝負。CBをオープンにして運ばせ、SBとSHで相手に2択を突きつけるという、百年構想リーグで取り組んできたボール保持の形を披露し、多くの時間で主導権を掌握した。チャンスでゴールを決め切れない、リスク管理でスキを作ってカウンターからピンチを迎えるなどの課題はありつつも、「これがやりたい」という形をしっかり体現し、チャンス創出に結びつけたことは大いに評価できる。

また、リードを守り切れなかった神戸戦を経て、「1点差で逃げ切る」のではなく、「リードを広げにいく」アプローチでクローズに成功したことも好材料。神戸戦の内容を見たときに1点差を守り切ることができないチームだとは感じなかったものの、ボール保持に主眼を置くチーム作りをしている以上、こちらのアプローチができるに越したことはないだろう。森重の投入は1点差で推移してしまったときの保険でもあったかもしれないが、良い意味で森重に仕事が回ってこない展開にできた。

 

その他のトピック

本間至恩のパフォーマンス

神戸戦と同様に、狭いエリアでのプレーを苦にせず、長倉とのコンビネーションの円滑さなども含めて、左サイドの崩しの局面での貢献度は非常に高い。ただ、チャンスシーンで押し込めなかったり、アシストできそうなシーンで味方の飛び込みが間に合わなかったりした。取るべきポジションには入れているが、プレーのテンポやリズム、タイミングが周りと比べてわずかにズレているような印象(速くできてしまうがゆえのズレかもしれない)。そこの小さなズレを埋めて、ゴールに直結するところの数字を伸ばしていければチームの順位も上がっていくはず。

 

高宇洋の躍動

最近は良い印象が残りにくくなっていた気がするが、この試合は良いところが多く出た。2トップ裏に潜り込んでの前線への配球や、相手のブロックを壊しにかかるパス&ゴーの動き、34:35あたりの佐藤恵允とのホットライン開通など、ゴールにつながる道筋を複数創出。今後も中盤で前を向かせることによって、強みを出していってもらいたい。

2026/27 J1リーグ第2節 ヴィッセル神戸vsFC東京 雑感

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対神戸を感じさせる人選と位置取り

まず触れておくトピックとしてはCBの先発変更。戦術の肝であり、1stチョイスと言っていい稲村をベンチに座らせ、森重を先発に抜擢。これは大迫や武藤を狙ったロングボール、そしてクロス、セットプレーを攻撃の軸とする神戸に対してはね返しを強化するためだろう。

加えて、ボランチの橋本拳の位置取りも微妙に調整されていたように感じた。守備時のベースポジションはCB近くの中盤の底。サイズがある中盤の選手として、ロングボール対応の援軍、CBが外につり出された際にはCBの位置を埋める役割を主に任されていた。

 

中央を狭くする神戸

神戸の非保持は大迫を最前線に置いてサイドを限定し、郷家がアンカーを捕まえる4-4-1-1のような形。ボールをサイドに誘導してから縦向きに蓋をしたら、横のサポートに入る選手を郷家が捕まえ、大迫がバックパスをけん制する状態を作り、簡単にやり直しさせない陣形を組む。これによって、FC東京はサイドへ出したあとにCBやGKに戻して組み立て直す作業が容易にできず、やや強引なパスを前に出すことが増えた印象がある。一方で神戸がボールサイドに密集を作っているため、6:05にヒアンがトゥーレルを振り切って突破したシーンや、16:55に橋本拳がターンで広いサイドへ展開したシーンなど、1つズレが生じると一気にチャンスにつながるという傾向もあった。

また、神戸はオープン局面での守備においても残って対応する選手が中央に絞り、真ん中のパスコースを通されない守り方を徹底。そのため、素早くゴールを陥れるには一度サイドを経由する必要があった。その中で先制点の場面を始め、6:05のシーンで室屋が駆け上がってシュートを放ったシーンなど、狭く守る相手の脇から突破口を見いだそうとしていた。これは特に右サイドのユニットのスプリントに無理が利くことも大きかったように感じる。

 

先制点の場面。佐藤が素早く右の脇を取り、長倉がスプリントをかけて逆サイドに詰めたことによってゴールが生まれた。走力的な強度と質の両方が伴ったゴール。

 

保持にこだわらず、速い攻撃に活路を見いだす

町田戦から継続してヒアンのフィジカルコンディションが良く、トゥーレルらとのマッチアップで優位に立つ。スローインからですらも預けておけば勝手にキープして前を向けるような状態。特に序盤はシンプルにヒアンに預けてから一気にスピードを上げる攻撃の優先度を高くしつつ、ビルドアップする時間も作るといったグラデーションのつけ方をしていた。

攻撃のテンポを上げ、相手の組織が整う前に攻め切る回数を増やそうとした結果としてボールを持つ時間が減り、相手の攻撃を受ける回数が増える。しかし、奪ってからヒアンに預けられれば陣地を回復し、そのままカウンターへ移行もできる。神戸が前に人数をかけてくることからトランジションで一気に運び出せるというかみ合わせも含め、ある程度自陣に引き込んでからロングカウンターでチャンスを作ることもプランどおりだったのではないか。

また前述のCBの人選についても、ヒアンがいることによって、自陣で受ける流れになってもゴール前さえ死守しておけばカウンターは打てる、という算段からエリア内での守備に長けた森重を入れられたとも言えるだろう。

 

ペナ角攻略からチャンス創出

後半もFC東京は自陣低い位置からショートパスでのビルドアップは行わず、ロングボールのセカンド回収から局面を落ち着かせ、ミドルゾーンから組み立てを開始するプラン。

ここで効いたのが、サイドからペナルティーエリア角を取る形。まず神戸の守備の構造として、SBが外に出た際にボランチがSB-CB間を埋める意識が高く、そしてSHはホルダーの横を消すよりも、バックパスを切るような意識があるのか後ろめに位置する傾向があるように感じた。そうなるとボランチがもともといた場所は空きやすくなる。

※イメージ

FC東京は相手SBを外に引き出してボランチを最終ラインに吸収させると、空いたペナ角に長倉らがもぐりこんで崩しの起点を作った(57:25、58:20、64:10など)。そして迎えた69分、再現性高く見せていたこのパターンから最後は長倉が押し込んで2点目をゲット。チームとしての狙いがゴールに結びついた。

 

 

ブロック形成で押し返し、はね返す

ヒアンが交代してからも、リードを得てからも大きく変わらず、ミドルゾーンで保持して攻撃の時間を確保するとともに、守備ではミドルゾーンで構えて自陣への進入を防ぐ。町田戦ではブロック守備がうまく機能せず、FC東京の右サイドから危険なクロスが数多く入ってきてしまったが、この日のブロック守備は安定。町田と神戸の違いによる影響も当然あるにせよ、パスが出てきたときに受け手に対してのアプローチが間に合い、時間を奪うことができていた。また、2トップ脇から運び出そうとする選手に対しては長倉が横から寄せることで時間を奪う。

全体的に頭が整理された状態で守ることができ、クロスが上がってきたとしてもゴールから遠い場所からがほとんど。ショルツ、森重の両CBがはね返す準備をするために十分な時間を確保できた。また、混戦から瀬戸際を作られても森重の“勘”がよく働き、ブロックに成功するシーンが多かった。

ある程度押し込まれることも想定した中、はね返しに長けたCBから逆算した守りを狙いどおり遂行できたと言える。交代で安易にDFを足して5バックにするのではなく、4-4-2を維持した上でフレッシュな選手を投入するカードの切り方も賢明な判断だったと感じた。

 

ロングスロー守備

神戸のロングスローは基本的にペナルティーエリア内浅めの位置に立つ山川orトゥーレルに投げ、そこで競り勝って生まれたセカンドボールから何かを起こす狙い。対してFC東京は高さがあるショルツ、森重、橋本拳をGK付近に配置し、ゴール前の一番危険なエリアを守る。そうなると必然的に山川、トゥーレルとの競り合いでミスマッチが生じ、神戸が意図するセカンドボールが生まれやすい状況になっていた。終了間際の2失点目も、まさに山川に少し触られたことで小湊が反応できず。

 

各現象を見る限りではブロック守備もセットプレー守備も「最後のところで守れればいい」という考え方だったはず。失点を防ぐ確率が高い方法を選んだ中で、相手の質によって低い確率である「失点する」という結果を引いてしまったのではないかと思う。

 

総評

この試合で獲得できた勝点は1。終盤に追いつかれての引き分けとあって印象も良くない。一方で内容は評価に値するものだった。ある程度割り切ってボール保持の時間減少を受け入れながら、ヒアンの起点とカウンターでゴールへの道筋を作っていくプランニングがハマってチャンスを創出。崩しの局面においても狙いを体現し、守備面ではショルツ、森重のCBコンビを中心に相手のストロングを消すこともできた。足りなかった勝負強さには目を向けつつも、内容面をポジティブにとらえたい。

 

その他のトピック

ショルツ×森重、両CBの守備

チームとして2失点こそ喫したが、大迫へのロングボール対応と自陣ペナルティーエリア内におけるはね返しを見事にこなした。大迫がキープして明確に起点となったシーンはほとんど記憶になく、クロス対応に関してもマーカーを離さずに一番危険なエリアを死守。遠目からであればクロスが上がってきても跳ね返せるだろうなという安心感があった。清水戦や浦和戦など、肉弾戦が増えそうな試合では森重の先発も十分に考えられる。

 

ヒアンの負傷疑惑

状態不明ではあるが、60分頃にヒアンが足のコンディション不良を訴えて交代。自らの足で歩いていたため重度ではないとみられるものの、個人で局面を打開できる彼が不在となった場合は開幕戦から続けている90分での戦略を見直す必要が出てくる。

 

本間×バングーナガンデの左サイドユニット

攻撃面では直接的な連係というよりも、本間がインサイドに入ることで大外を空けて、そこにバングーナガンデが走り込むというような役割分担のイメージが強かった。

守備面に関しては本間が山川にプレスに出ていった際、大外の酒井に対してのバングーナガンデのスライドがワンテンポ遅れ、圧縮がかからずに抜け出されるシーンが何度か。神戸が右肩上がりで酒井と武藤の両方が高めの位置を取る特徴によって、2人を意識しなければならない影響もあったと思うが、プレスの連動は1つの課題だったように感じた。

 

クロスはファー狙い

神戸のバックラインの選手に高さがあることを踏まえ、クロスは浮き球を入れる際はファーサイド、低いボールならマイナス方向という狙いが見られた。55:40に本間がファーサイドで受けてシュートまで持ち込んだシーンはまさに狙っていた形だろう。ヒアンは自分の頭を越えたクロスに対して、すぐにポジショニングを調整して折り返しへの準備をする動きも見えた。

また、バングーナガンデは今季初出場ながらファーサイドへ届けるクロスや、バイタルへ流し込むグラウンダーのボールなど判断と精度の質の高さを披露。まだフル出場には不安がある状態かもしれないが、少なくともアタッキングサードにおける攻撃面での貢献度は高かった。

2026/27 J1リーグ第1節 FC東京vsFC町田ゼルビア 雑感

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つなぐ意識を見せる町田

町田は空中戦のターゲットになれるイェンギとデュークを前線に配置してきたためロングボールがメインになるかと思いきや、思いのほか足元でつないで前進を図る。それに対してFC東京はハイプレスで牽制をかけていく。

SHが町田3バックの両脇に出ていけば、SBもそれに連動してWBまで出ていく。ボランチに対してはホルダーへの制限のかかり方を見ながらボランチが前に出たり、長倉がマークしたり流動的に。アタッキングサードでFWからプレスを掛けていった際には、概ねボールホルダーの周辺を狭めることに成功しており、相手(主にボランチ)に無理めなパスを出させることができていた。

 

町田の左サイド攻撃vsFC東京の右サイド守備

町田は左サイドからのクロス攻撃を軸にしてゴールを目指していた。これは主に以下の3つの理由が考えられる。

①左サイドが個人で仕掛けられる相馬、左利きで推進力がある明本、同じく左利きで攻撃性能も高い中山のユニットになっている

②イェンギ、デュークに加えてWB中村(望月でも同じ)というターゲットが中央から右サイドにかけて確保できている

③FC東京の左サイド(稲村、橋本健)が空中戦を得意にしているタイプではない

FC東京としては右サイドの守備でいかに蓋をできるかがカギだったが、ここがうまくいかなかった。町田左CBの中山が2トップ脇から運び、明本と相馬が立ち位置を入れ替えながらクロスの供給を狙う形に対し、右SH佐藤恵允が大外の選手に引っ張られて下がり、フリーの中山から簡単に配球を許すシーンが散見。中山の前が空いてパスの選択肢が多く残されていることから右SB室屋やCH橋本拳をはじめとしたボール周辺の選手の迷いが見え、結果として相馬、明本から多くのクロス供給を許すこととなった。

ボールホルダーがフリーであってもパスコースに困る状況を作れていれば問題ないが、中山ほどの選手にとって困る状況は少なかったように思う。

町田1点目のシーンも、フリーの中山がボールを持ったところからそれぞれのマーク対象がぼやけると、空いたところを順番に突かれた挙句、最後はデュークvs橋本健の空中戦という町田がイメージしたとおりであろう形でゴールを許した。

また、この失点シーン以外でも室屋-ショルツ間のスペースが大きく空き、そこに走り込まれるシーンが何度かあった(開始50秒あたりで明本にシュートを許したところなど)。佐藤恵允が下がり気味になると右CH橋本拳もボールの近くに引き出されやすくなるほか、ショルツはゴール前の場所埋めを優先して外に出ていかないようにする傾向が見られた(チームの方針?)ため、ここに隙が生まれるのも必然。それが町田のストロングポイントとうまくかみ合ってしまったと言える。

百年構想リーグで守備がうまく回っていたときを見直すと、ボールホルダーへのプレスがかかり、それに伴って周りの選手のマーク対象が定まってボール付近の圧縮を強めることができていた。一方、この試合ではプレスこそ機能したシーンがあったが、ブロック形成時にはホルダーへアタックできない上に選手間も広がって不安定な組織に。何がきっかけで変わってしまったのか。

 

ヒアンの起点による陣地回復

攻撃については、ヒアンが相手DFとのマッチアップに優位に立てるシーンが目立ち、5分に生まれたゴールも1本のロングボールからヒアンが競り合ったところが起点になった。

ここが計算できていたことから、町田がテンション高くくることが予想される序盤は無理につながずヒアンにロングボールを当ててから落ち着かせようとしていたのかもしれない。序盤はマイボールにしてビルドアップの局面に持ち込むことがなかなかできなかったが、ヒアンが個人で押し返すポイントを作れていたために試合全体のイメージも悪くならなかったのではないかと感じる。

 

SBを軸にしたボール保持

16分過ぎあたりからようやくビルドアップの局面を作れるようになると、いきなりビッグチャンス創出。室屋から背後へ走る長倉への配球で一気にゴール前へ。室屋がハーフウェイラインあたりで受けた際に佐藤恵允が下りて中山を引き連れることで奥のスペースを空け、そこにFW陣が走り込む形は1試合を通じて再現性高く行われていた。22:55のシーンもファウル判定にはなったが、下りる佐藤恵允とのワンツーで室屋が右サイドのスペースに抜け出していく派生形。

21分にはGKからつないで、ボールに直接関与していない選手も影響を与えながら前進していき、最後はヒアンのフィニッシュ。全員の“目がそろった”良い攻撃を見せた。

百年構想リーグでは苦戦気味だった対5バックにおいて、佐藤龍之介の狭い局面での打開力や、橋本健のキック精度に頼っていた印象だったが、ドルトムントとのプレシーズンマッチも含めて、5バック攻略のパターンを見せられたことは好材料の1つだろう。

 

退場によって弱点が露わに

前半38分に橋本健が一発退場。これによってFC東京はプレスに出ていけなくなった。つまるところ、比較的機能していたプレスの局面が作れなくなり、粗が見えていたブロック守備の時間が増えることになる。応急処置的に組んだ4-3-2ブロックでも11人のときと同様にボール近辺の圧縮がかからず、後ろの選手に負荷がかかると前半のうちに2失点目を喫した。11人でも失点していた可能性は十分にあったと思うが、プレスに行けなくなったこと、または「行けないかも」と感じさせるメンタル面への影響が守備をより苦しくさせたことは間違いない。

 

5バック選択の是非

ハーフタイムで俵積田→大森の交代を実行し、守備セットを5-3-1に変更。システム変更で守備の役割が整理されたのか、前半の4-3-2よりもボールホルダーへプレッシャーが掛かりやすくなり、ボールを奪いにいくチャレンジができる場面は増えたように感じる。

攻撃時は大森が右SB、室屋が右WBのような立ち位置を取っていた。(そもそもどの形にしても苦しいことはさておき)こちらは役割のミスマッチ感が否めず、前半で有効になっていたミドルゾーン大外からの配球は見られなくなる。

受けの局面でどうにもならなくなっていた前半からの変化としては良かったように思うが、やはり後半開始直後に3点目を奪われたことは痛恨だった。敵陣でのロストから一気にシュートまで持ち込まれ、その流れで献上したFKから失点。アタッカーを減らしてDFを増やしたことから、おそらく最低でも1点ビハインドで推移させながら、サブで控える山田と本間の投入で勝負をかける算段だったのではないかと思うが、リスクマネジメントに疑問符がつく失点だった。

 

交代策の意図を考える

①42分:長倉→石原

橋本健退場に伴う、最終ライン補填の交代。論点は「誰を下げるか」になると思うが、前線4枚のうちヒアンは個人での起点作りや突破で効いている、佐藤恵允は90分の高出力が期待できる上に個人の突破力もあるとあって、おそらく俵積田と長倉の2択だったと想像する。個人的な考え方としては「組織優先なら長倉」「個の力優先なら俵積田」で、おそらく後者を取ったのだろう。苦しい状況でも人数をかけずにゴールへ向かう、もしくは陣地を回復できる人を多く残したかったのではないか。

 

②ハーフタイム:俵積田→大森

5バック移行による交代。1手目の交代では攻撃的な選手を残したが、想定よりも4バックで守れないと踏んで5バックにしたか。ビハインドでDFを入れる時点で守備に意識が向いているはずなので、ボランチを減らしてバランスを崩すという考えはないはず。そして前述の理由からヒアンと佐藤恵允は下げにくいとなると、必然的に俵積田になる。

 

③65分:ヒアン→本間、橋本拳→山田

3点ビハインドでの投入となってしまったが、おそらく勝負手として持っていた2枚。ヒアンのチョイスはこれまでの起用法から考えて、佐藤恵允よりも出力維持の面で信頼を得られていないか、プレータイムコントロールのどちらかと想像する。

橋本拳は高と天秤にかけたときに「ラストパスの質」を考慮したか。1人少なくなっているため、「攻撃に人数をかける」よりも「少ない人数かつ高い質で完結させる」ことが重要。それを踏まえると高を残す判断も理解できる。DF過多になっている最終ラインを代える選択肢もあったと思うが、比較的フレッシュな石原と大森、量と質を担保できる室屋、最後方から攻撃の質を出せる稲村とショルツは代えにくかったか。3点ビハインドになってしまったので、個人的には思い切って大森を“インアウト”させてDFを削る判断もなしではなかったと思うが、先が長い中でそこまでする必要があるか、という点は考慮しなければならない。また、これまでの傾向から松橋監督はそこまで大胆な采配はしないだろうなとも思う。

 

④85分:稲村→仲川

ここはあまり深く考えても無意味だと思うが、サブに控えている攻撃的な選手と、最も疲労がありそうなバックスの選手を入れ替えたと思われる。

 

その他のトピック

俵積田のビルドアップ関与

21分の橋本健とのワンツーや、稲村からの縦パスを受けてライン間でポイントを作るなど、一定の役割はこなした。インサイドで受けてからのリリースがやや遅い点は改善要素に感じるが、スタメン起用に応えるだけのプレーは示したのではないか。今後は90分で本間と俵積田を使い分けるときに「どちらをスタートにしたほうが最大値が出せるか」の勝負になってくるはず。

 

石原の左SB起用

緊急的に左での起用となった中、ビルドアップでは右足で内側につけてプレスを回避したり、高い位置では1対1で仕掛けられたり、左足でクロスを送れたりと、想像以上に引き出しは見せてくれた印象。当然、左利きの選手と比べたら窮屈な場面も出てくるだろうが、「石原だからできる」ことを考えてうまく組み込みたい。

2026 J1百年構想リーグ第6節 水戸ホーリーホックvsFC東京 雑感

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水戸のハイプレス

水戸は予想どおり、ハイプレスを掛けてきた。「相手の意図としてバックパスに対してスイッチを入れるというチームとしての意図を感じました」と橋本健人がコメントしているように、CBに戻ってきたところにFWがプレス、そしてその横パスに対しては早めにSHが前に出ておいてプレス、という形で寄せ、GKまで戻させたところにも圧力を掛けて前に蹴らせる。FC東京が風下で、バックパスは球足が早まる傾向があったため、キム・スンギュは足元のボールコントロールにナーバスになっていそうな雰囲気があった。それも含めてプレッシャーを受けたときは無理につながず、はっきり前に蹴る選択が多くなっていった。

 

水戸のビルドアップ×FC東京の守備

水戸のハイプレスによってCBからショートパスをつないでゴールを目指す形はなかなか出せなくなったFC東京だが、相手ボールの際に後手を踏んでいた印象はない。水戸はボランチの大崎を左CBとSBの間に下ろして3バック化する組み立てを図る場面がよく見られた。これに対してFC東京はSHとSBを押し上げて対応し、最終ラインがボールサイドにスライドすることで背後のスペースもケア。水戸がサイドのスペースに流し込み、1対1を作り出そうとしてもCBのカバーリングで十分に対応できていた。(ただ、水戸が高い位置でのスローインを取れればOKという狙いだったとしたら、そこは防げなかったと言える)

また、横浜FM戦に続き、2トップがボランチ前のスペースを埋めるタスクをしっかりと遂行。水戸はSBから先のパスコースをなかなか作れず、前へ送ってもFC東京のDF陣がしっかりとマークにつく状態を保てていた。

 

橋本健人投入後のビルドアップ

アクシデントにより、22分に長友が交代となり、代わって入ってきたのが橋本健人。蹴り合いの展開が落ち着き、互いにショートパスでのつなぎも多用するようになっていた中、ビルドアップは彼がいる左サイドが中心となっていく。

27:55は加藤が前向きの意識を強めたところの逆を取って常盤へパス。ここからスペースがあるエリアへつなぎ、室屋から逆サイドの佐藤龍に展開するという対水戸における効果的な攻撃を繰り出すところにつながった。

29:10は最終ラインの少し内側で受けて相手SHを引きつけ、大外で佐藤龍がサポート。そこから中央の長倉へつなぐが連係が合わずにロストとなった。

36:00はバイタルへ上がっていった橋本拳人に斜めのパスを通すも、コントロールが合わずにロスト。

46:15はライン間に入ったヒアンへ縦パスを通して打開を図るもコンビネーションが合わずにロスト。

47:30は相手SHがCB大森に出てきたところを大森→佐藤龍と縦パスをつなぎ、大外の橋本健人からペナルティーエリア内へ走る長倉へ流し込むパスを供給。

以上のように、左サイドを起点にして相手のバイタルエリア近辺へもぐりこむことはできていた。ただ、水戸の陣形がコンパクトでスペースを狭められていたことや、味方同士の連係が合わなかったことでロストしている。今まで多く見られたCBの縦パスから攻撃のスイッチを入れる形と別のパターンを見せることができたことは前向きにとらえられる一方で、パスが入ったあとの連係が詰め切れていないところは今後の課題に挙げられるのではないだろうか。

 

セカンドボール回収の設計

後半も水戸はFC東京の最終ラインにプレッシャーを掛けていく。FC東京は開始早々のバックパスからピンチを迎えたシーンも含め、プレスを受けて詰まった際にはGKへのバックパスで組み立てのやり直しを図った。このときに水戸はボールに近い相手選手を捕まえ、受け手にプレッシャーがかかる状況を創出。GKキム・スンギュから前線へロングボールを送るケースが何度か見られた。ロングボールを入れること自体は(本望ではないにしろ)前進する手段として使う必要はある。ただ、チーム全体でセカンドボールをどう回収し、そこからどう押し上げていくかの絵が共有できているのかには疑問が残った。GKからのロングボールを入れた際、常盤は相手2トップの背後でもらうために低い位置を取っていたほか、橋本拳人は右SB位置のサポートに入っていたり、右の高い位置へ進出していたりと、最前線で競り合っても中盤で拾えそうな場所が手薄に。それによって回収率を高められなかったことが試合をコントロールできなかった理由の1つなのではないかと考える。

また、水戸の1stディフェンダーがCBのパスを出せる角度を限定できていたことで水戸のSHとCHは消すべき場所が明確になっていた。これによって、今季開幕からFC東京のストロングパターンとなっていた、CBが持った時にインサイドのSHと、大外のSBの2つの選択肢を突きつける攻撃が出せず。縦パスが相手のフィルターに引っかかり、間延びした中盤と手薄な最終ラインを突かれるカウンターを受けるシーンが増えた。

 

総括

「守備のところで前半はプランしてきたものが発揮されました。しかし、そこから自分たちの攻撃のところで後手に回るようなところが非常に多くあった前半だったと思います」。松橋監督がこのように振り返っているとおり、前半は守備で大きな穴を空けることなく、ゴール前での対応も集中力高くやれていたと思う。また、ビルドアップもサイドから中央に差し込むところまではいけていたが、中央で収めどころを作れなかったことが痛かった。

後半はビルドアップに迷いが出たところから相手にカウンターのチャンスを多く作られて苦しくなってしまった。「長いボールを有効に活用してそこでひっくり返せればというところもありましたけれど、そこもなかなかうまく出せなかった」という松橋監督のコメントを見ると、ロングボールによる前進手段も選択肢として持っていたと思われるが、チーム全体の目線をそろえることはできなかった印象がある。また、CBからの強引な縦パス起点のロストで多くのカウンターを受けたことも反省材料。開幕から見せてきた、CBが左右に広がってSBが高い位置に出ていく保持時の陣形は、前線を厚くしているぶん攻撃のバリエーションは出るが、カウンターを受けると少ない人数での対応を強いられるリスクがある。今回はそのリスクが最も顕在化した試合になったのではないか。

守備面では前線の強度が下がってきたことに伴ってDF陣がタイトなマークにつけなくなり、起点を作られて後退していた印象が強い。とはいえ、失点シーン以外の多くのピンチで体を張ってシュートブロックに入り、勝点2の獲得につなげたことは評価できるポイントだろう。

今季の取り組みから考えれば、一番の課題は強いプレスを受けた際にどう前進するか。前半はサイドから中央に入った際の連係構築がうまくいかず、後半はロングボールを使った前進の共有ができなかった。ここはチーム内でのすり合わせが進めば解決できる部分ではあるはず。柏戦ともまた異なる課題が出た中、どのようにチームを前に進めていくかを見ていきたい。

 

3/14 水戸戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW|FC TOKYO FANZONE|FC東京オフィシャルホームページ

※各コメント引用元

その他のトピック

連戦でのSBの運用

程度は不明だが、ここまで先発を続けていた長友が負傷してしまったため、おそらくこの連戦は彼抜きで乗り切ることを考えなければいけない。右の室屋、左の橋本健人以外にSBの候補はバングーナガンデ(左)、小泉(右)あたりになるだろうか。ただ、それぞれ懸念点がある。バングーナガンデはFC東京オフィシャルの発信を見る限り練習試合には出ていそうだが、公式戦でプレーさせられるほどの状態にあるのかは不明。小泉に関しては、大外の高い位置を取る、相手CB-SB間を縦に抜けていくという今季のSBに求められるタスクと、プレースタイルがマッチしない。

中3日ずつあり、長距離移動もないため、室屋と橋本健人にフル出場してもらうことも十分にあり得るが、この連戦でSBをどうやり繰りするか、また誰をSBのバックアッパーに置くのかには注目したい。

2026 J1百年構想リーグ第5節 FC東京vs横浜F・マリノス 雑感

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ゲームプランの推測

■FC東京

ゴールパターンの設計

・サイドを起点にして、一発で背後を取るパスの供給とコンビネーションからの打開

・ミドルゾーンより前でのボール奪取からのカウンター

保持

CBがオープンに持ったところから縦パスでスイッチを入れ、一発で背後、もしくはサイドのコンビネーションを使いながら縦に速い攻撃でゴールまで。CBがオープンで持てなければ、GKやアンカーなどを経由しながら相手2トップを外してCBのオープンを作り出す。

非保持

ミドルゾーンで構えたところから2トップで制限をかけつつ、前に入ってきたところを捕まえる。バックパスが出たらFWがCB(GK)までプレスを掛け、全体を押し上げながら蹴らせて回収する。

 

■横浜FM

ゴールパターンの設計

・高い位置でのボール奪取からのショートカウンター

・クルークスのキック精度を生かしたセットプレー

・(天野投入後)ライン間を経由した中央突破

保持

前方へのシンプルなロングボールOKで陣地を上げることを優先。ショートパスでつなぐ際は遠野が中盤に下りてきて+1を作りながらの前進を図る。

非保持

最終ラインを高く設定し、ボランチも前に押し出してボールを奪いにいく。

 

ハイラインの裏を狙う

ハイラインは今季のマリノスの特徴の1つ。これは角田とキニョーネスという、広いスペースでのバトルになっても優位に立てるCBがそろっているからこそ採用している戦術だと考えられる。実際に今季ここまでを見ても、単純な走り合い、競り合いになれば彼らのカバーリングで守れてしまう場面も多かった。これに対してFC東京は、「“競り合いにならないように”ハイラインの裏を使えばいい」という発想のもとで攻めの形を作っていく。開始1分にも満たない時間で長倉が決めたゴールのように、サイドのスペースでの走り合いにするのではなく、中央のスペースに流し込んで直線的にゴールへ向かう。そしてCBとの競り合わずしてシュートまで持ち込む形を作り、ゴールを目指していった。

 

橋本拳人のポジショニング

この試合に限らずだが、保持時で橋本拳人は右IHに近いポジションをベース位置にしており、ここの立ち位置の微調整がボールの前進に効果をもたらしていた。マリノスの左SH・オナイウは基本的に室屋のマークが守備の基準になっていたが、橋本拳人が相手2トップ脇(FC東京から見て右)近辺に移動することで、オナイウの守備基準の対象を増やす。これによって、室屋にそのままついていけば橋本拳人にフリーで運ばれる、橋本拳人をマークすれば室屋が浮いてしまうという状況が発生。マリノスはここの手当てができないまま時間が過ぎ、FC東京は右での保持を安定させながらゴールへ向かうシーンを増やしていけた。

 

SHとSBの連係

開幕時から見られた、SHとSBで相手のSBに2対1を突きつけるというコンビネーションがこの試合でも現象としてよく表れていた。10:20のシーンでは佐藤恵允が下りる動きで加藤をつり出してから、室屋が大外から背後を狙う。12:45のシーンでは大外の室屋が気になったのか、ライン間に入った佐藤恵允に対して加藤がマークに出ていけず、恵允のライン間受けからスルーパス→ヒアンの抜け出しにつながった。「ライン間のSH」と「大外のSB」の両方でゴールへ向かう形が見せられたことにより、加藤の脳内処理にはかなりの負荷をかけられたのではないだろうか。マリノス戦に関してはSHが大外で待ち、相手SB-CB間のインサイドレーンをSBが縦に抜けていく形も多く見られた。

またこれに加えて15:35では、室屋が低い位置で受けた際に佐藤恵允がSBの裏にランニングすることで中央へのパスコースを空け、斜めのクサビでバイタルに入ってくる長倉へ届けるという+1が入ったパターンも見せられていた。

 

両チームの2トップの守備

FC東京の守備が安定していた理由の1つとして、2トップの守備を挙げたい。相手のビルドアップ時、まずは背中でボランチを消しながら、ボールがサイドに出た際には平行の位置へサポートに入るボランチへのコースを消すように動き直す。これは自陣守備に移行したときも同じ。ボランチの前のスペースを丁寧に埋めることによって、ボランチがいわゆる“フィルター役”に集中することができ、バイタルエリアをしっかりケアすることができた。特にヒアンに関しては、試合によってこのタスクの遂行にムラがある印象だが、(多少遅れる場面もあったにせよ)マリノス戦では意識高くやれていたように思う。

一方でマリノスのほうは、SB→ボランチのパスコース消しが甘かったように感じた。FC東京のSBにボールが出た際、マリノスの2トップ(特に遠野?)はCBへのリターンパスを牽制するようなポジション取りだったため、ボランチが前に出てくるケースが増加。横パスへの圧力が弱まることで逆サイドへの展開を許したり、ボランチが早く動くことでバイタルエリアに差し込まれるシーンなどが散見された。2トップを高い位置に残しておくことでカウンターの威力を高めようという意図だったのかもしれないが、結果としてはリターンよりもリスクのほうが大きく出てしまったと言える。

また、キックオフでタッチラインへ蹴り出したり、つなぎにこだわらずあっさりロングボールを使ってきたりしたところから考えると、高い位置からの守備で主導権を握ろうという狙いがあったと思われるが、プレスがハマらなかったことでプランが大きく崩れたのではないだろうか。ロングボールの主なターゲットになっていた谷村とクルークスが互角以上に競り合えず、計算できるセカンドボールを作り出せなかったこと、そもそもターゲットに向けて蹴れない回数が多かったことも難しくなった1つの原因になったと感じた。

 

変化を起こした天野の投入

後半は、マリノスがボールを簡単に前へ蹴らなくなったこと、FC東京が前プレスよりミドルゾーンでのブロック形成を優先したことなどにより、マリノスのボール保持の時間がいくらか増えたが、FC東京を困らせるほどの手段は見せられないまま時計の針が進んでいく。その中で空気を変えるきっかけになったのが、64分の天野の投入。天野は投入直後のプレーで二度、三度、四度と連続でスプリントを続け、ボールホルダーへ圧力を掛けていく。試合後のコメントで、「(ピッチに入ったあと、GKまでプレスに行く姿勢もありました。闘志や勝つ気持ちが必要だということでしょうか)僕が入ったときには前への矢印をもう少し出したいと思ったので、パフォーマンスではありませんが、チームを勢いづけるためにやりました」と話しているとおり、チームを前へ向かわせるアクションを見せた。FC東京はCBを起点にショートパスで前進していくビルドアップが減り、GKからロングボールを入れる回数が増加。天野の意識が一定の効果をもたらしたと言える。

【公式】FC東京vs横浜FMの試合結果・データ(明治安田J1百年構想リーグ:2026年3月7日):Jリーグ公式サイト(J.LEAGUE.jp)

※コメント参照元

また、狭いエリアでのプレーを苦にせず、周りとのつながりを作れる天野が入ったことで保持にも変化が表れた。中盤からスペースへ配球したり、ライン間で受けて前線とつながったりすることで保持するエリアを押し上げる。FC東京の運動量低下など複合的な理由ではあると思うが、天野の投入からは敵陣での崩しの試行回数を増やすことができていた。

 

総括

まずはチャンスの質と数に見合ったゴール数を取れた(欲を言えばもう1,2点くらい取りたかったが)ことが最もポジティブな材料だろう。内容に関しては、攻守で持っていた1stプランが刺さり続けた印象。CBにそれほどプレッシャーが掛からず、4-4-2ベースで構える相手であれば、ゴールまで向かう形を再現性高く出せることが再確認できた。特に右サイドのSH-SBユニットの連動は非常にスムーズで、そこに長倉が加わる形も披露。もし今後も稲村の不在が続くとしたら、ショルツにオープンで持たせ、SH-SBの関係性でスペースを的確に突いていく右の攻撃が生命線になるのではないだろうか。

守備においても2トップのポジショニング修正がこまめに行われ、ブロック形成が安定。後ろの選手が前に出やすくなることで、2トップの守備が間接的にインターセプト数増加にも影響を与えているはず。

 

その他の議題

初先発の大森理生

稲村というビルドアップにおいて替えがきかない選手の欠場とあってその影響が心配されたが、代わりに入った大森は初先発ながら非常によくやったと思う。前が空いたら運び出してから前方へパスを出すという動きは稲村起用時と大きな違いもなく、また逆サイドへのロングフィードにも積極的にトライ。柏戦のように強いプレスを受けた際のプレーや、スペースでさらされた際の守備対応など、あまり確認できなかったゆえに未知数で終わった部分もあるが、少なくとも先発を任せられるだけの基準は示したのではないか。

 

マリノスの3バック化に対する回答

前半、マリノスがビルドアップに変化をつけようとして、喜田が下りて3バック化するシーンがあった。それに対してFC東京はSHを押し上げて左右に広がったCBにプレッシャーを掛け、SBが縦にスライドしてSBを捕まえに出ていく。相手の変化に対してかなりスムーズに対応できていたのを見ると、「相手が3バックだったらこうする」という共有がかなりハッキリできているのかもしれない。

 

CKのキッカー選定変更

開幕戦からは右CKは右利き、左CKは左利きのキッカーを意図的に置いてアウトスイングにしていたが、この試合ではどちらもインスイングに変わっていた。直近の試合も数回インスイングがあった記憶で、ピッチに左右両方のキッカーが残っていなければインスイングになることもあるのかと思っていたが、どうやら方針を変えた模様。