がちゃのメモ帳

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不器用で器用な男 -大森 晃太郎-

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5日、大森の磐田移籍が公式から発表された。一人のファンとして思うところはたくさんあるが、出さざるを得ない理由がなにかしらあったのだろう。
ACLもあるし残ってくれるだろうと高を括っていたが、その噂は突然に現れ、移籍はあっけなく決まってしまった。
青赤の戦闘服に39の数字を背負った小柄な男のプレーは大好きだった。そんな彼について個人的な思いを少し書いていきたい。

攻撃的なポジションの選手としては不本意かもしれないが、「SHの守備はこうやるんだぜ!」と教えてくれたのは大森だった。
それを自分の中でちゃんと理解でき始めたのが2019からではあったが、彼の数字に表れない貢献の大きさはずっと感じていた。
 
 
2019で特に印象に残っている試合が3つある。
ホーム広島戦、アウェイ鳥栖戦、アウェイ磐田戦だ。
 
広島戦は後半に柏の一発を食らって0-1で破れた。大森はスタメンで出場。この試合の前に大森は天皇杯でフル出場しており、中2日での連戦だった。守備タスクの多い彼は60~70分頃に交代する傾向があったが、この日は連戦の疲れもありスタミナ切れが早かったように思う。前半と後半頭までは広島のストロングである「柏がいる左サイド」を塞げていたが、大森がバテてきた61分にそこは決壊した。
大森の消耗が顕著に表れたタイミングでの失点は、彼がFC東京の守備組織を支える1つの土台になっていることを示しているようだった。
 
 
鳥栖戦は三田のCKが直接決まって先制したが、最終盤に逆転された試合。大森はメンバー外(おそらく小さなケガによるもの)。この試合ではドリブルと左足のキックが特長のアン・ヨンウが後半から右サイドに投入され、東京は左サイドのクエンカとともに手を焼いていた。
季節に合わず暑かったこともあり全体の消耗度は高く、疲れた選手から替えざるを得ない状況。その中で相手のサイド攻撃を止められずに同点弾を許した。
60分頃からずっと大森を使いたい展開だった。せめてどちらかのサイドだけでも蓋ができればかなり楽になったはず。しかし彼の姿はどこにもない。そうして勝てるはずの試合を易々と落とした。
いないときに必要性を強く感じる試合だった。
 
 
最後に磐田戦。室屋がゲットしたPKをディエゴが決めて1-0で逃げ切った試合だ。
これは非常に分かりやすかった。
残留を懸けて戦う磐田は3ポイントが必要であり得点を取りにくる。途中からアダイウトンを左SHに置き、そこから個人能力でクロスを放り込む攻撃が増えていた。クロスの出所を塞げなかった東京だったが、大森の投入から一変。アダイウトンに対してSBの室屋と確実にダブルチームを組んで抑えたことに加え、相手の最終ラインにもプレッシャーを掛ける大森の働きで磐田の左サイドをシャットアウトした。この活躍もあって逃げ切りに成功。大森がもたらした勝点3と言っても過言ではないと思う。
 
 
そんなこんなもありつつ出番が限られたシーズンにはなってしまったが、記憶に残るシーンは多く、彼の守備はいつまでも見ていられた。
もちろんアウェイ清水戦で決めたゴラッソもよく覚えている。
 
彼のどこか不器用で愛くるしいキャラクターが好きだったファンも多いと思う。自分もそのうちの一人だ。ただ、その不器用な男はピッチ上では一番器用だったのかもしれない。

青赤のユニフォームを身につけたこの2年間、そして2019シーズンはチームを2位に押し上げる貢献をしてくれた。
 
背番号39大森晃太郎
 
彼の名前は青赤の血が流れる者の心に刻まれ続ける。