スタメン
流れ
柏がロングボールやセカンド回収から押し上げ、敵陣でのロスト後は素早いカウンタープレスを掛けることでセレッソに特異な保持の局面に持ち込ませない。
白井の左下りでジエゴを押し上げる。後方から背後を狙うボールを入れて細谷を走らせる。劣勢の状況からでも細谷が追うとマイボールにできる場面も。
敵陣に入ると島村は内に入ってきて大外レーンを関根に任せる。
柏はビルドアップで詰まってもアバウトに前へ入れて陣地を押し上げ、そこからプレスを掛け直すことでマイボールにするという狙い。セレッソは蹴らせても最終ラインに負荷がかかり、セット保持の局面になかなか持ち込ませてもらえない。
セアラが中央を埋め、WGがCBへのアタックとSBへの寄せをどちらも担う。SBが絞って受けると迷いなくアタックに出るWG。
14分、登里のロングフィードからカピシャーバが抜け出して折り返し。中で古賀とセアラがもつれて倒れ込み、ボールは流れる。
→一度は流されたが、オンフィールドレビューの結果、ファウルでセレッソのPKに。古賀に警告。
18分、セレッソ先制、0-1。立ち上がりから柏ペースで試合が進んでいたものの、セレッソが初めてくらいでセット保持の局面を作った中で一発の抜け出して得点に結び付けた。
20分、柏同点、1-1。柏が敵陣保持からカウンタープレスを掛けて奪い返し、島村がPAの狭いところで相手を引きつけてからマイナスのサヴィオにリリースし、ミドルショットでゲット。
セレッソはセアラのみ最前線で待機。出所には強いプレッシャーがかかるので、個人ではがすか、パスでフィルターを置き去りにできないとセレッソは密集から抜け出せない。
島村が細かいドリブルと意表を突くパスでアクセントになっている。
柏はロングボールに対して2列目の3枚を中央に寄らせてセカンド回収の密集度を上げる。
WGがCBまで出てくるところを生かし、島村が下りてクッション役になることで浮いた関根に落として保持ラインを上げる。
4バック+田中で柏の前4枚を前に引き出して、IHがボランチ脇に下りてピックアップし、ラインを押し上げる。
登里がCBの間に入っていびつな3バックを作る。相手SHが前に出てきたところで田中と登里を経由してその背中を取るパスを入れて運ぶ。小菊監督からは1stプレスをクリーンに抜けた際に拍手が送られる。
ただ、1stプレスを突破したあとのパスがうまく収まっておらず、柏が前向きの奪取でカウンターを狙う。
41分、クルークスのカットインクロスに3人が飛び込むも押し込めず。
セレッソが空いてSHが出てきたところをトリガーにして中盤にポイントを作り、サイドを経由してからWGの仕掛けで敵陣へ入り込んでいく。
立ち上がりから25分あたりまでは柏ペース、その後はセレッソペースという印象の前半。序盤は柏がシンプルな背後狙いから細谷のチェイスとフィジカルでイーブンボールをマイボールにして押し上げ、敵陣で圧を掛け続けることで主導権を掌握。セレッソはボールを奪いにいけば蹴られて細谷が追いかけてくるため、最終ラインに負荷がかかり、持たせてもそのまま押し上げられるという難しい状況に。得意なセット保持の局面に持ち込ませてもらえず。ただ、その流れで先制したのはセレッソ。セット保持がようやく作れたタイミングでカピシャーバの突破からPKを獲得してセアラが決める。しかし、その直後に柏がすぐに取り返して振り出しに。時間の経過とともに柏の圧力が徐々に弱まってきたこともあってか、セレッソはセット局面を作り出して保持でゲームをコントロールできるように。いつもの3-2ビルドからの動きづけで相手SHをおびき寄せてその背後を起点に前進していく。WGの仕掛けからサイドを突破してクロスを送り、ゴール前に圧力を掛けたが、ゴールは生まれず。各時間帯でお互いにやりたいことができて、自分たちの土俵でどれだけゴールに結びつけられるかという攻防になっていた。
後半
セレッソは自陣撤退からセアラがボールサイドに寄ってきて背負って折り返しの起点作り。
毎熊がインサイドを取ってWGへのパスコースを空け、WGがSH-SBの中間位置へ下りてピックアップ。SBとつながって深さを取っていく。
セレッソの保持に対し、柏は無理に奪いにいかず、ミドルゾーンでセットしつつ、前に入ってきたところで迎撃。
セレッソが最後方のパス交換は落ち着かせているが、敵陣でロストした際に柏のカウンターを受ける流れができている。柏は持たせながら守備でゲームをコントロールして、一撃のチャンスの質を高めていく。
島村が中に入ってライン間でのポイントを作りつつ、前を向いて最終ラインに影響を与え、空けた大外には関根が上がってくる。後半はジエゴが自重気味で関根が上がってくる右サイドでの攻撃が多い印象。
56分、セレッソ交代
ブエノ、奥埜→柴山、北野
57分、犬飼に警告。カピシャーバが下りて関根を引きつけた裏に北野が走って犬飼が対応。
セレッソが3-2ビルドで相手がしっかりプレスバックしてきたらワンタッチで戻す、相手の寄せが間に合わないと判断すれば前を向いて前進。相手の動きをみながら攻撃を急がない。スイッチを入れるタイミングを計り続ける。
奥埜とブエノはボランチ脇をベースにして連動して動いていたイメージだが、北野はガンガンSB裏に走っていく。
63分、柏交代
土屋→熊坂
66分、セレッソ交代
カピシャーバ→山田
67分、山田がポケットに入って折り返し、北野がシュートも熊坂がブロック。セレッソも柏もかなりきわどいシーンを作るが、互いに守備陣が最後のところで踏ん張っている。
2トップが出てきたら登里がその背後にすっと入ってCBから引き取る。プレスバックを受けたら戻して、相手のラインを下げたところからの保持を再開。
73分、柏交代
細谷、山田→木下、戸嶋
「ここ」というときの柏の後ろからのスプリントは迫力がある。セレッソは変なロストをすると、切り替えの速さで数的不利のカウンターアタックを食らうことになる。
セレッソが保持してジワジワ陣地を押し上げていく流れが続いているが、ゴールに近づいているのは柏。セレッソはなかなかアタッキングサードでの崩しの局面までは持ち込めず、そこにたどり着かれる前に柏が奪って攻撃を完結させる。
79分、舩木の縦パスを北野がボランチ脇で受けてスピードアップ。山田のスペースクロスにセアラが飛び込むもわずかに合わず。久しぶりに惜しいチャンスを作ったセレッソ。
81分、セレッソ交代
クルークス、セアラ→上門、渡邉
上門がIHに入り、柴山が右WGへ移る。
83分、山田に警告
88分、柏交代
島村→片山
片山はそのまま右SHに入る。
セレッソは前線をごっそり入れ替えたこともあって、前からのエネルギーを上げてハイプレスを掛ける。最終ライン近辺が手薄になるので、柏はスペースランで対抗しようとするが、セレッソのプレッシャーが上回って、対応できている状態。
セレッソは保持からの崩し、柏はミドルゾーンで構えてからのカウンターでゴールを目指し、互いにゴールへ攻めるシーンを作ったものの、2点目は生まれずに終了。セレッソはいつもの3-2ビルドで相手2トップとSHの動きをみつつ、プレスバックが届かないところへ送れたタイミングでスピードアップ。背中を取れても、プレスバックが早ければ無理して前に急がず、やり直す。柏は前に行けば背中を取られ、プレスバックを頑張ってもやり直され、という状況が続き、我慢勝負になるが、それを受け入れている雰囲気があり、ストレス少なくカウンターの準備ができていた。保持の時間は与えるが、自陣へ入ってくるタイミングで強く寄せて攻めに転じることができた。セレッソは選手交代で北野が入ると背後への動きが増え、左サイドがいくらか活性化。自身に二度のシュートチャンスがあったが、柏の踏ん張りを越えることはできなかった。セレッソの保持と、柏のカウンターという互いの特長をぶつけ合いながらゴールを目指した面白い攻防だった。チャンスの数や質の印象で言うと、柏のほうが勝点3に近かったように感じた。
個人的MOM
★島村 拓弥
初先発ながら存在感抜群。ボールを持てば、相手を引きつけてから味方へリリースすることで急所を突いて行き、守備のプレスバックも十分。見てて面白い選手で、ボールを持ったときのワクワク感がすごかった。