がちゃのメモ帳

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2024 J1第4節 京都サンガF.C.vs横浜F・マリノス メモ

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スタメン

マリノスACLで負傷したマテウスが欠場。

 

流れ

立ち上がりから強烈にプレスを掛けていく京都。

京都は手数を掛けずにシンプルにゴール前にクロスを入れてPA内の圧力を高める。

4分、マリノス先制、0-1。アピアタウィアのコントロールミスをさらったロペスからのクロスを水沼がファーで詰めてゲット。京都はハイプレスで主導権を握っていたが、一度のミスが失点に。マリノスは1stチャンスで仕留めた。

7分、アピアタウィアが決定機阻止で一発退場。治療を受けていた植中が復帰してすぐに裏抜けで背後を取り、後ろから追っていったアピアタウィアが背中側から倒した。京都はハーフウェイラインよりも高い位置に最終ラインを設定しており、ハーフウェイラインぎりぎりから抜け出した植中を背中に置いていた状態になっていた。アピアタウィアは1つのミスが失点につながり、次のプレーで退場になるなど散々。試合に入り切れないまま7分で退場に。

1人少なくなった京都は金子を右CBに下げて4-4-1セットに。

京都は前3枚が攻撃で前へ出ていくため、トランジションでサイドの枚数が足りなくなる。SBがホルダーの背後へ走る選手の両方をみないといけない。

原が下りてきて起点になろうとする。エドゥアルドを背負っても失わない。原が下りる分、豊川が中央へ入って裏抜け狙い。

19分、CK守備からのロングカウンターで3トップが出ていき、完結させる京都。マリノスも人数を掛けて出ていっていることでピンチを招いた。

10人の京都は前プレがとん挫したため、CBにはフリーで持たせてラインを下げ、4-4ブロック維持を優先。

エウベルが左大外に張って、永戸がインサイドに入ってチャンネル抜けをうかがう。

相手PA少し前からのFKで最終ラインをハーフウェイラインあたりに設定するマリノス。異常なほどの攻撃的な設定。京都もロングボールを入れる想定で前に行っているので、かなり狭いエリアに人が密集する。

マリノスはロペスに加えて植中を押し上げた2トッププレス。下りる川﨑には渡辺がついていく。

マリノスは最後方を2CBのみで管理。京都は3トップの前残り気味駆け引きとトランジションでの出足の速さでカウンターに持ち込む。

ボランチ脇に出てきて縦パスを引き出そうとする植中。渡辺はバイタルをうろつきながら、ポケットへのランニングを見せる。SBが動いたらその背後に入っていくイメージ。

32分、マリノス追加点、0-2。京都の攻撃からトランジションでロングカウンター。エウベルが仕掛けて金子を抜き、最後は水沼の折り返しをロペスがフリーで合わせてゲット。京都は攻撃に相手を簡単に自陣から抜け出させ、エウベルと金子のスペース勝負にしてしまったところで苦しくなった。エウベルが外で受けて永戸がポケットに入るパターン。

逆サイドを捨てながら前プレを掛けていく京都。サイドを限定できれば枚数を合わせたプレスに行ける。強度を上げることで数的不利をぼかす。

京都が右サイドの連係からスルーパスで抜け出してクロスまで持ち込む形を連続で出せている。

CK守備の流れからロングカウンターでチャンスを見いだす京都。逆にマリノスはセットプレー攻撃からのトランジションで一気にゴール前までいかれている。

京都の自陣4-4ブロックはSHが大外まで下がるタスクで、ボランチとのつながりは弱そうに見える。中盤4の間は空きやすいが、SHが分離しているぶん、トランジションに出ていきやすいということもあるかもしれない。

44分、京都得点、1-2。右に流れた原のロングボールをはね返したところを佐藤がかっさらって抜け出し、GKとの1対1を制してゲット。後ろから上がってきていたご褒美。マリノスリスク管理でSBを残さないバランスを突かれ続けた結果、事故が起きた。

47分、京都同点、2-2。CKからニアで麻田がすらし、ファーで原が合わせるとこぼれ球を川﨑が押し込んでゲット。

 

相手のミスを突いてマリノスが先制し、京都が7分に退場者を出す流れで完全にマリノスペースになるかと思いきや、攻めながらも最後のところはなかなか決め切れず。京都も攻撃で人数をかけるリスクを冒しながらもゴール前の最後のところでは踏ん張りを見せる。オープン局面を作って2点目を取れたマリノスだったが、数的優位の状況でカウンターを許すなど、トランジションには課題あり。SB不在のスペースを突かれるシーンが目立っていた中、そのパターンで事故が発生して1点を返されると、京都がそのままの勢いで同点にまで持ち込んで前半終了。京都は良くも悪くもSHがほかのブロック形成と分離している感じが自由を与えており、強みである切り替えの速さが生きているのかもしれない。マリノスは哲学を貫くという意志は感じるが、数的優位の状況でゲームコントロールし切れず、相手が攻撃に出ていけるだけの隙を与えてしまっている。

 

 

後半

京都は変わらず4-4-1ブロック。マリノスは2CBで持ちながら、保持ラインを上げる。ボランチは1トップ裏、SBはインサイドを取ってWGと連動してポジショニング。

49分、金子が座り込む。筋肉系のトラブルの模様。宮本がすぐに準備。

50分、京都交

金子→宮本

金子は負傷交代。京都はサブのCBがいないため、宮本がそのままCBに入る。

京都はマリノスのCBを放置、SHがSB、ボランチボランチを監視する守備基準。トゥーリオのほうはややマーク甘め。人より場所を守っている意識が強い?

52分、マリノス勝ち越し、2-3。スローインの流れからクイックリスタートで一気にゴール前に入れ、最後はロペスが押し込んだ。

京都がサイドを2人で守るのに対し、マリノスはIHをサイドに流して3人で空いた場所に入っていく。

55分、マリノス交代

植中→宮市

宮市が左WGに入り、エウベルがトップ下に移る。

マリノスのCB同士のパスで京都はSHがアタックに出ていってプレススイッチを入れる。後方はかなり手薄になるが、出所への圧力を高めることで後ろのスペースをぼかす。ロストしたらスプリントで戻って攻撃を遅らせる気合い。

63分、ポープがドグソで一発退場。京都はトランジションから原がうまく落として松田がピックアップ。切り替えで素早くSBの裏を取った福田が抜け出して、飛び出してきたポープが結果的に止めた。マリノスがCB以外を上げて攻撃に出ていった中、京都はしたたかに切り替えの速さで上回った。京都は強度を高めながらリスクを掛けてホルダーへ圧を掛け続けたことが奏功。これで10対10に。

66分、マリノス交代

水沼、永戸→白坂、渡邊

マリノスはエウベルを右WGにした4-4-1ないしは4-2-3。

マリノスは相手ボランチ裏にロペスが潜って起点を作ろうとしている。京都のボランチマリノスボランチに食いつくため、その背後を狙っている。

72分、ロペスに警告。

73分、京都交

佐藤→鈴木冬

原が背負う形を作れればトランジションで押し返せる京都。

京都はSHがCBまで、SBがSBまで出ることで、高い位置でのプレスを成立させにかかる。大外でWGが浮いてしまうが、寄せ切ってそこまで出させない。

82分、京都交

豊川、松田→安齋、福岡

安齋が左SHにはいり、トゥーリオが右へ移る。

京都のプレッシャーでストレスを受けているマリノスの最終ラインが落ち着いて保持できず、マリノスはなかなか陣地を押し上げられない時間が続く。

87分、マリノス交代

喜田、エウベル→山根、加藤蓮

CKキッカーは松原。ターゲットには3枚しか入れない。強ターゲットのCBは最後方でリスク管理を行い、カウンター警戒のシフト。

89分、福岡に警告。

マリノスが自陣で守って京都が人数を掛けて攻め込む展開の終盤。マリノスはプレスに出ていかず、割り切って自陣へ戻る。危険なスペースを埋めておくことを優先。ロペスだけ最前線に残してトランジションで押し上げる役割。マリノスが4バックを狭くして守るため、京都はその大外に1人置いて浮かせる。

 

1人少ない京都がある程度撤退して割り切って守る形を作りながらも、自陣ではしっかりとホルダーに寄せてプレッシャーを掛ける。マリノスはサイドの3人のコンビネーションで空いたスペースを使って崩しを図る。その攻防の中で、数的優位のマリノスがペースを握り、勝ち越しに成功したものの、京都がプレッシャーを掛けるやり方の中でポープの退場を誘発。1人少なくても運動量と切り替えの速さで補えることを示した。その後は京都が後ろを薄くするリスクを背負いながら高い位置からプレスを掛けてゲームを掌握。マリノスは浮く場所を経由しようと図るも、プレッシャーよりも早いプレーができず、自陣で食われて撤退せざるを得ない展開に。ロペスや両WGを生かしてカウンターに出ていく場面もあったが、いずれも単発で終わることが多く、京都に押された。京都はサイドでの崩しでポケットを取って折り返す形からチャンスを作るも、質の高いチャンスはなかなか作り出せず。枚数をかけていた分、マリノスにストレスは与えられたが、勝点は取れなかった。安齋に訪れた決定機が入っていれば引き分けだったというたらればはあった。ただ、7分に退場者を出した中で2点ビハインドを追い付き、相手に退場者を出させ、ペースを握れた時間が多かったことは、さすが曺貴裁京都というべき。1人少なくても防戦一方にならず、強度を上げることで押し返すフェーズをしっかり作れていた。逆にマリノスはその強度をいなせずに、ナーバスになり、良くない循環にハマってしまったところは反省点か。

 

個人的MOM

アンデルソン ロペス

殊勲の決勝弾。得点を取れる場所が分かっており、そこに入る、または待っておけるストライカーらしさが見られた。また、苦しい時間でも個人の力で陣地回復するなど、得点以外の貢献度も○。

 

京都はサイドの選手が強度を上げながら前にアタックに出ていったことで数的不利におけるハンデを薄めた。特に豊川×福田の右サイドと、佐藤の切り替えから前に出ていく速さは目立った。

 

トピックス

金子が負傷交代。筋肉系のトラブルの模様。

 

監督コメント

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ 曺 貴裁監督 ]
最初の失点はおそらく相手選手が倒れて出されて、ボールを返したところから始まっています。返したあとの一瞬のスキを突かれて、われわれのミスを突かれてやられてしまったところをどう捉えるのか。そういうものがピッチにたくさんあった90+8分でした。勝負に勝つにはレフェリーの見えないところや意図的に時間を使って勝つことも1つの大事な美学です。ただ、京都の監督として、そういうふうに選手たちに迫ることはそんなに多くなくて、やはりエンターテインメント性や観に来てくれた人、子どもたちが将来この場所に憧れて、また観に来たいと思ってもらえるような試合をしようと選手に話しています。

長い間、監督をやっていますが、これだけ数的不利になっても自分たちがやろうとしたことを最後まで貫けた試合は初めてに近い感覚があります。0-2から数的不利のチームが前半のうちに追いつくことは、世界的にも多くはない現象だと思います。ポジティブに捉えるとか、ネガティブに捉えなければいけないとか、そういう話ではなくて、選手や監督の人生そのものが90分間に詰まっていました。

2年前のマリノス戦は大人と子どもくらいの差がありましたが、今日は球際や切り替え、相手より前に出ることやスプリント数でマリノスさんを上回っていました。負けたら何も生み出さない、勝負は勝たなきゃ意味がないという言葉もある意味では正解ですが、そういうふうには思えない今日の敗戦でした。

監督をやっていると、選手に躍動感がなかったり、自分たちの考えていたゲームとは違うことが起こって、思いどおりの試合にならないことは多いのですが、こういう試合に携わると「自分は素晴らしい仕事に携わっているんだな」ということを実感できます。もっともっと自分自身を磨いて、彼らの要求に応える、それ以上のものを出していかないといけないなと思いました。残り34試合。昨年は34試合で40ポイント取りました。今年はプラス4ポイントからスタートするというところで、今日みたいなミラクルなゲームで勝っていけるような試合も、先制点を取ってしっかり逃げ切れるような試合も増やしながら、もっともっと強くなっていきたいと思った試合でした。いろんなところへ話題がいきましたが、素直な感想です。

--早い時間帯で数的不利になった場面について。
リスク管理のところや、最終ラインの選手として1メートルポジションを下げていれば、あの場面は生まれませんでした。そういう冷静さや賢さは足りなかったし、あそこで2失点目を与えても11人でやっていたほうが良かったという見方もあります。アピ(アピアタウィア 久)は最初のミスから失点に絡んでしまい、そこから切り替えられていないと見られがちなところはありますが、彼個人のことで言うと去年からそういう場面が何度もあります。精神的にも難しい数分だったと感じますが、プロ選手なので、そんなことは言い訳の1つでしかないし、監督として情を持っていくことは違うと思います。

先ほど、人生が詰まった90分間だったと話しましたが、それ(退場)を取り返そうとしたチームメートがいて、われわれの力にしてくれたことも確かです。誰が悪いのかなどの犯人探しをしても仕方ありません。現象として、冷静さや声かけがあれば防げた場面だったと思いますし、退場者が出ることはなかったと思います。

 

[ ハリー キューウェル監督 ]
今日の試合は見ている人たちが楽しんだ試合だったと思います。両チームの良さが出ましたし、前半に素晴らしいゴールも生まれました。そこから気が緩んでしまったのか、相手の強みであるカウンターなどで危険な場面を与えてしまい、それをつかんで得点を決められました。後半のゲームプランは、相手がどうやってくるのかというところに重きが出てしまいます。相手はどんなコンパクトさを出してくるのか。相手はカウンターやセットプレーの強さがあるので、自分たちはどこが狭くなっているのか。狭いところが見えたとき、どうやって広いところを使っていくのか。そこが大事でした。

自分たちも1人少ない状況になり、10人同士になりました。そういう内容でお互いに取りにいくサッカーをすれば、結果的には3-2で勝ちましたが、3-3や3-4、5-2など、どちらに転んでもおかしくない激しさが両チームにありました。見ている人は本当に楽しかった、ワクワクする試合だったなと思います。

--先発してゴールを決めた水沼 宏太選手と、急な交代出場からピンチを防いだ白坂 楓馬選手について。
水沼についてというよりは、自分が選んだメンバーは今日も素晴らしいプレーをしてくれました。先発した宏太は自分の求めるものが落とし込まれたプレーを表現してくれましたし、ゴールも素晴らしかったです。ああいう場面で自己中心的に「俺が得点を取ってやるんだ!」となってしまうと、GKに阻まれたり枠を捉えなかったりしますが、あれはチームプレーでしたし、落ち着いてチームのために何をやるのかということが見えた場面でした。

白坂にとっては華々しいデビューだったと思います。開幕前から日々何をしてきたのかを見てきましたし、こういう難しい状況で出たとしてもできると思っていました。そしてポープ(ウィリアム)の前へ出る判断も、自分は支持します。あそこで前へ出なければ何か起こっていたかもしれません。彼の判断を自分は後押ししたいです。白坂もそうですが、交代出場の選手が試合に活力を与えることは求めていますし、今日は交代選手がしっかりとやってくれたので、こういう結果になったと思います。

--ACLでも退場者が出たり、逆転勝利があったり、連戦の中で激戦が続く。選手も疲労がたまるが、どんな声かけやマネジメントをしているのか?
自分たちが今季、何か特別な瞬間を求めているのであれば、自分は簡単な道は求めません。難しい中で結果を残せるか、続けられるかだと思います。簡単な試合はないし、スケジュールや移動もありますが、自分たちがこの世界に生きる意義は、それをやっているからこそですし、それをみんなに見せてお金をもらっています。

スケジュールのことを言ったら始まらないし、自分たちのやろうとするスタイルは決して簡単ではありません。内容としても難しいです。でも、繰り返しになりますが、簡単な道を選んでも何も得られません。選手が日々、どう向き合うのか。そして休暇は必要ですし、そこでしっかり休めばいいんです。そして、やるときはしっかりやる。

今日のメンバーに入れなかった選手たちもいます。全員が試合に出られる準備をしていますが、限られた人数を選ばないといけません。そして(メンバーに選ばれなくても)選手は文句の1つもなく日々、自分を磨いています。何もせずに得ることはありません。何かを得るためには、何かを犠牲にして、それを求めてどれだけ信じてやるのか。それに尽きます。それを選手に伝えましたし、こういうスケジュールの中でもやっていかなければいけません。