2024 J1第1節 湘南ベルマーレvs川崎フロンターレ メモ
スタメン
川崎はACLから中3日での試合。
流れ
40秒、エリソンとマルシーニョの連係からPA内に進入するも富居が処理。
湘南は4バックスタート。4-4-2セット。
5分、川崎のビルドアップに湘南のハイプレス。ボランチがIHを監視し、2トップでアンカーを消しながらCBへアタック。
6分、湘南先制、1-0。FKのこぼれ球をそのまま狙った池田のシュートがネットを揺らす。川崎は全員がラインに入っており、クリア後に橘田が寄せたが間に合わず。1stチャンスをゴールにつなげた。
川崎は立ち上がりではマルシーニョへアバウトへ送るシーンが多い。
湘南は2トップも積極的にプレスバックに戻り、中盤の圧縮度を上げる。そこから切り替えで上回って前へ出ていく。
湘南はトランジションでそこまで前に急がない。無理にゲームスピードを上げるより、カウンターの望みが少なければ保持に移行してコントロール優先。
川崎は大外で相手SB-SHに潜り込んだところを起点に前進を図る。
湘南はアンカー位置に入る田中に当ててからレイオフを使って外→内から前に入れる形。
川崎IHが外に流れて起点作りに動いてきたら、湘南のボランチが外までついて行く。
2トップ背後に入る橘田には鈴木章がマーク。前に来た場合には放置。
17分、川崎の敵陣保持。やり直しながらチャンスをうかがうもルキアンが戻って流れを切る。川崎の保持と湘南のブロックの構図が続く。
19分、左からの三浦のFKを大南がダイレクトで合わせるも富居がビッグセーブ。1点もの。
山本のアングルチェンジから空いている逆へ流して前進成功。湘南は人を捕まえて密集を作ったが、抜け出された。
23分、川崎同点、1-1。ゴールキックのはね返しから川崎が速攻。家長がタメを作ってから脇坂が左足で強烈に蹴り込んでゲット。ゴラッソ。湘南はブロックできなかった時点で負けのシュート。GKはノーチャンス。また、ゴールキックから一発でトランジションになってしまい、組織を整えきれなかった。
26分、エリソンのミドルは枠外。湘南は時間が止まったような感じで寄せが間に合わず。
川崎の保持の時間が続く。徐々に湘南のライン間に潜り込めるようになってきており、湘南はラインを下げさせられる。
27分、杉岡のCKをマイナスで入れて田中がダイレクトボレー。完璧な軌道でゴールへ向かうもバーにヒット。ソンリョンは一歩も動けなかったが、枠内へ飛ばなかったことで助かった。両チームとも、シュートのレベルが高い。
29分、湘南の波状攻撃。右からのクロスのこぼれを拾ってポケットから鈴木雄が折り返すも川崎がクリア。
30分、CKからマイナスに入れてからポケットにスルーパスを入れて折り返し。湘南はCKのバリエーションを多く見せてくる。
32分、中盤での奪取から湘南のカウンター。
川崎は橘田が最終ラインサポートに入りながらCBを相手2トップ脇から運ばせて、そこからのSB、IHへのパス出しで前進を図る。湘南は出所を塞げていないので、ライン間への縦パスを封じられていないシーンがチラホラ。
脇坂はそこまで下りてこずにライン間をうろうろしているのに対し、山本は相手2トップと中盤ラインの間くらいに顔を出して基準をずらそうとする。
外のつぶしに出ていったボランチが空けたスペースに入り込む脇坂。ただ、湘南もスライドとプレスバックが早い。
36分、ルキアンが敵陣でファウルを受けてFK獲得。高井はルキアンとのマッチアップであまりうまく対応できていない印象。
38分、右で作ってからの鈴木雄のクロス。こぼれ球を田中がダイレクトで狙うも川崎守備陣がブロック。湘南は田中と池田がこぼれを直接狙えるので川崎はクリア後も気を抜けない。
42分、トランジションから脇坂がスペースを運び出したところで田中が止める。田中には警告が提示。
43分、大岩が前向きのカットからそのまま前へ抜け出していき、折り返すも戻った橘田がカット。
アバウトな蹴り合いで様子をうかがっているような時間帯で湘南がセットプレーから先制に成功。その後は川崎が保持し、湘南がミドルブロックからのカウンターで対抗する構図に。川崎は橘田と山本で相手2トップ周りの枚数を調整しながらズレを作り、前進を図る。時間の経過とともにライン間で受けて前進できるようになったが、湘南もプレスバックの早さと球際の激しさでしっかりと奪い取る守備ができていた。一進一退の攻防の中で次のゴールを決めたのは川崎。湘南のゴールキックからはね返してトランジション局面を作ると、家長がタメを作ってから脇坂が強烈に蹴り込んで決めた。その後も川崎の保持と湘南のミドルブロックという構図が続いたが、ゴールは生まれず、タイスコアで折り返し。湘南はセットプレーのバリエーションを多く出してきて、川崎の守備陣も困惑していた。また、人を捕まえるというよりも、中盤は状況に応じて捕まえる選手を変えるマークの仕方。頭を使う守り方だと思うが、昨季から引き続き、そこの整理は各選手まとまっていた印象がある。
湘南はアタッキングサイドが右に79%とかなり偏った数字が出ていた。
後半
46分、池田が大南のところまでプレスを掛ける形を見せる。SBとCBがそれぞれサイドでスライドし、最後方を手薄にする攻撃的な形に調整した。前半は2トップ脇から運ばれていたので、そこを修正しようとした策か?
48分、エリソンがマーカーをはがしてPAまで突進するが、湘南もプレスバックで後ろからつついてシュートは打たせず。ボールへアタックする意識の強さを利用されて突破された。面の作り方が良くなかったかもしれない。
50分、山本に警告。茨田に対する危険なチャージ。
54分、高井のカットからマルシーニョを狙って配球するも鈴木雄が戻って対応。ここのマッチアップは前半からバチバチ。
55分、川崎勝ち越し、1-2。富居がボールコントロールをもたついたところをエリソンが突っ込んで奪い、そのままゴールへ流し込んだ。富居はファウル覚悟で止めに行ったが、エリソンは止まらず。痛恨のミス。ただ、エリソンが外していたら、富居が退場&PK献上だったため、結果的にはそうならなくて良かったのかもしれない。
58分、ルキアンが背後へ抜け出して深さを作り、左から攻めようとするも、時間がかかって川崎の陣形が整う。そのままシュートは打ち切れず。
61分~、川崎の敵陣保持。62分、マルシーニョがポケットに入って切り返しからパスを送るが、湘南がクリア。川崎の即時奪回が利いており、湘南は自陣にはりつけの状態。また、2トップも戻って守備をしていることから、前線のポイントを作ることも難しい。
64分、茨田に警告。
64分、湘南交代
66分、川崎の波状攻撃。右でキープしてクロス。
67分、家長が一時ピッチを出て処置を受ける。首の裏あたりから出血があった?→頭にバンテージを巻いて復帰。
69分、湘南同点、2-2。鈴木淳が遠めから思い切り狙い、途中で阿部のかかとに当たったボールがそのままゴールへ吸い込まれた。VARでオフサイドチェックがされ、ギリギリオフサイドの判定に。ゴールは取り消し。
71分、川崎交代
山本→瀬古
76分、鈴木淳に警告。ビハインドの湘南は保持でしっかり押し上げて敵陣へ入らないといけない。奪われたら即時奪回を狙うが、遅れるとレイトタックルで警告を受けるような流れに。
川崎も簡単には自陣へ入らせまいと前からプレスを掛けて同サイドを圧縮する。
78分、川崎がPA内で細かく繋いで脇坂がコントロールショットを狙うもバーをヒット。富居が少し触っていたか。
79分、ハンドによるPKチェックでオンフィールドレビュー。長く映像をチェックした結果、PKなしの判定。
81分、湘南交代
池田、平岡→畑、奥野
畑はそのまま右SHに入り、奥野はボランチに入る。鈴木淳が左SHに移動。
川崎交代
マルシーニョ、エリソン→瀬川、山田
湘南はリスク承知でボールへガンガン飛び込んでいく。川崎は密集をくぐって受けられればオープンで攻撃に移れる状況。
川崎は山田以外を守備に戻して4-5ブロックを組む。山田のみ最前線でトランジション準備。
湘南が矢印を全部前に向けて圧力をかける。川崎は一度自陣へ押し込まれると、かなりストレスがある状態で守ることになる。
90分、湘南交代
大岩→ディサロ
ディサロは指で「4」を作り出して合図。奥野がCBに下がって4バックは維持。攻撃的な布陣にシフト。
92分、鈴木雄に警告。三浦の抜け出しを止めた。湘南は前に出ていきたいが、川崎の圧力も高く、簡単には前進できない。
93分、サイドチェンジを受けた杉岡が運んでいくも家長がプレスバックでスローインに。気持ちがこもった守備。
キムミンテからのフィードで鈴木雄を目指す。競り勝てなくとも、イーブンなセカンドボールを作り出せる。
95分、橘田が個人で運んで陣地回復。
95分、川崎交代
脇坂→丸山
逃げ切り態勢に入る。
最後は湘南が放り込みながらゴールを目指すが、川崎が上手く時間を使いながら逃げ切り成功。
川崎の保持に対して湘南は前半よりもより前へ出ていく形のプレスに修正。それに伴って、後ろは手薄になるが、より高い位置でプレスがかかるようになる。戦況としても前半と似たようなものから、若干川崎が敵陣でうまく崩して危険な場所へ入っていく回数が増えたイメージ。その流れもあってか、バックパスを受けた富居のミスを見逃さずにエリソンが勝ち越しゴールを奪取。その後もチャンスを作ったが、決め切れず。ビハインドの湘南は選手交代に加え、全体の圧力を高めることで相手ゴールへ向かう。カウンターを食らうリスクは、切り替えの早さと、最悪の場合はファウル、イエローカードで止める戦略に。何度かは惜しいチャンスを作れたが、川崎が家長のキープやサイドでのパス交換でうまく時間を使い、押し返した状態で終了。
川崎は中盤3枚がうまく絡みながらフリースペースやライン間に潜り込むところはさすが。ただ、湘南の圧縮力も非常に高く、一瞬の間ができるとすぐにライン間から追い出されたり、囲い込まれたりと、見ごたえがあるバトルが繰り広げられていた。
湘南はミドルブロックで構えてから前向きで奪ってカウンターに出ていくらしさは健在。システムが替わっても、根っこにあるベースは変わらない。ただ、保持で崩していくところは昨季と違い、なかなかうまくハマってこなかった印象。また、カウンターでも時間がかかってしまうケースが多く、もう少し個人で運び出せる選手が欲しいところかもしれない。
個人的MOM
★脇坂 泰斗
1点目のミドルは今節ベストゴールレベルのゴラッソ。また、決まりはしなかったが、後半にもバーをたたく惜しいシュートがあり、キックのフィーリングは上がってきているかもしれない。
苦しい時間帯でキープしてくれる家長の存在は大きく、受けの時間を減らす1つの要因になっていた。ACLから見せていたエリソンの積極的なチェイシングがゴールに結びついたこともポジティブ。
湘南は田中の奪取とキック精度が光った。前向きに奪って出ていくスタイルを体現するためには彼の存在が不可欠。
トピックス
エリソンは加入後の公式戦で3戦連続ゴール。
監督コメント
(※Jリーグ公式サイトから引用)
[ 山口 智監督 ]
前半はセットプレーを含めてたくさんのチャンスがあり、1点は決めましたけど、欲を言えばもう1点欲しかった。後半は持たれる時間は長かったですけど、我慢強く守備をできました。我慢をするところに関しては、準備してきたものは出してくれたと思います。奪ってショートカウンターを仕掛ける数は多くなかったかもしれない。もう少し最後のところでのゴールへの意識や、ゴールへ向かう質は上げないといけないと思いました。2失点目は残念なミスからでしたけど、勝てなかったことがすべてなのかなと。そういう試合になりました。--従来の3バックから4バックに変えた狙いは?
多くは言えないですけど、湘南はずっと3バックをしてきた中、反省があるシーズンを過ごしてきました。形を1つ変えて守備での我慢と、奪いにいく本来のスタイルの使い分けをしたかったのでそういう選択をしました。あとは、攻めのときに中盤にダブルボランチを並べられる利点もある。今日で言えば(田中)聡の良さ、茨田(陽生)の良さを引き出すイメージを持ちながらやりました。--久しぶりにSBを務めた杉岡 大暉選手の評価は?
大暉はもっともっとできる選手だと思います。3バックのワイドと4バックのSBは違うかもしれないですけど、そのアグレッシブさをもっともっと出してほしいと、前半は特に感じました。後半はちょっと立て直して、守備で激しく行くところや追い越していく本来の彼が出ていました。それを90分間できるようにしてほしい。もちろん、リスク管理も頭にはあったと思うので、そこの思い切りで相手を引っ張るようなこと(動きの要求)は伝えていきたいと感じています。
[ 鬼木 達監督 ]
まず開幕戦というところで、アウェイだけど多くのファン・サポーターの皆さんが駆けつけてくださった中で勝利できたことを本当にうれしく思っている。ACLの敗退という非常に大きなショックがあったが、試合後も等々力でファン・サポーターが大きな声で後押ししてくれたし、それに応えるゲームだったと思う。最初は硬さがあったが、焦れることなく怖がらずに最後まで戦えたことが今日の勝利につながったと思う。選手たちには「泥臭く」という話をした中で、体を張る部分やゴールシーンもそうだが、とにかく勝つためにいまできることを全力でやってくれたと思う。--今季4試合目になるが、4日前のACLラウンド16第2戦・山東泰山戦からほとんどメンバーが替わらず、疲労が少しあったように見えたが?
体の疲労がどれだけかというとなんとも言えないが、精神的な疲労はかなりあったと思う。そういった中であの失点のあとにズルズルいってもおかしくないような展開だったと思うが、そこで耐えるということは1つどうにかできることだった。いろいろな意味で今日は90分だろうが10分だろうが1分だろうが、あとから出た選手も含めて役割を持ってチームの勝利のためにしっかりと戦ってくれたと思う。--チームとしてなかなかうまく入れなかったところから、脇坂 泰斗選手のスーパーゴールによって吹っ切れたような印象を受けたが、今年からキャプテンにもなった脇坂選手のゴールと姿勢をどう感じているか?
あの1点がなかったらどうなっていたか分からないゲームだったと思う。迷わず振り切ったことは本当に重要な要素だったと思う。それは今後のフロンターレにとっても非常に大事なこと。というのは、ミーティングの中でも崩すことの重要性ともう1つ、ミドルシュートの重要性を伝えていたが、それを彼が最初に示してくれた。もう1つはACLの敗戦からの球際の戦いの学びを今日の試合でも出してくれていたと思うし、これを今日のゲームだけではなく今後も続けていくことが、チームと彼の成長になると思う。そこは期待しながら、また厳しく見ながらやっていきたい。