2022 J1リーグ第28節 湘南ベルマーレvs川崎フロンターレ メモ
スタメン
湘南
田中が移籍でいなくなり、米本が出場停止。
舘が久しぶりにサブスタート。
山田が第16節以来のメンバー入り。
前節の鹿島戦は契約上出場できなかった杉岡が先発復帰。前節欠場した池田もメンバーに復帰。
高橋、大岩の欠場が続く。
大橋がメンバー外に。
川崎
中2日での試合だが、まったく同じ先発とベンチメンバーをチョイス。
試合中の負傷があったダミアンが引き続き欠場。また、登里、佐々木、チャナティップもメンバー外が続く。
流れ
互いにスピード感を持ってゴールへ向かう立ち上がり。ゲームスピードがかなり上がっている。
1分、マルシーニョが強引に突破を図るが、湘南守備陣が阻止。
2分、杉岡のFKはファーへ向かうが誰にも合わず。
湘南は2トップでアンカーを挟みながらCBへアタックしていく。
3分、湘南の組み立てを前向きに奪った川崎がカウンターへ。家長のインスイングクロスはファーへ流れる。
ともにプレスが機能している序盤の戦い。
4分、瀬川がPA内へ抜け出して受けるが、川崎守備陣も寄せて自由なコントロールを許さず。ともに一発の脅威を示している。
6分、瀬川の収めからスピードアップ。最後はタリクがシュートを狙うもブロックに遭う。
湘南はIHがSBまでスライドして見る。
8分、瀬川のプレスで前に蹴らせて知念との競り合いで勝って湘南が回収。
8分、車屋が絞って3バック気味のビルドアップ。家長が深くまで下りてきたりと、試行錯誤している。
9分、瀬川が背後へ抜け出すもオフサイド。
10分、山根の縦パスのルーズボールを拾った橘田が運んで前進。敵陣での保持の時間を作る。湘南は高いラインをキープして守るため、イレギュラーであっても川崎は一度押し込むことが重要になる。
12分、クサビを受けた知念がPA内で反転してシュートを狙うも谷が好セーブ。
14分、敵陣で回す湘南。上がってきた岡本がこぼれ球をダイレクトで狙うも枠外。
16分、川崎の可変3バックビルドに平岡を当ててプレスに出る湘南。奪って攻撃へ転じ、石原のダイレクトの折り返しまで。GK-DF間に完璧な流し込みだったが、中が間に合わず。
湘南は高い位置での守備を続けられるか、川崎は1stプレスをかいくぐって敵陣へ入れるかが勝負所。
19分、川崎先制、0-1。脇坂のCKを谷口が合わせ、知念に当たったボールがゴールへ吸いこまれた。少し戻りながらのヘディングだったがうまく合わせ、おそらくそのままなら枠外だったように見えたが、知念に当たってうまい具合にゴール方向へ飛んだ。湘南は比較的良い内容で進めていたが、先に失点。
1点ビハインドになったこともあってか、湘南の1stプレスのラインが上がった?よりCBへ寄せていくようになったか。
22分、中野がインスイングクロスを入れてファーで石原が飛び込むも届かず。惜しいシーンは作れているが…。
23分、飲水タイム。湘南のほうがやりたいことをできている時間は長かった印象だが、先制したのは川崎。湘南は良い内容だが、最後の質で差をつけられるという良くないときの展開に。ホームでは1失点から崩れる試合が多いのでリスク管理は気をつけたいところ。
25分、瀬川が右奥で収めて石原のクロス。タリクが個人で収めて左足シュートまで。CK獲得。
→26分、茨田のCKに杉岡が合わせるも枠外。
27分、中野と平岡でスペースを作り、杉岡が右足でのミドル。逆足でのシュートは精度を欠いたが、攻撃の作りは悪くない。
28分、川崎のプレスを受けた谷が切り返しで外して茨田へ。そのままスピードアップして上がってきた石原へ送るが、川崎DFがギリギリカバー。
瀬川がしきりに背後を狙っており、川崎の最終ラインは瀬川にかなりコントロールされているような印象を受ける。
川崎はカウンターをにらんで、守備時にマルシーニョを左の高い位置に残している。
32分、車屋のバックパスがズレて瀬川が回収。町野へラストパスを送るが、川崎守備陣が2人で対応して回収。
33分、シミッチが2トップ裏で受けて左のマルシーニョへ一気に展開。オフサイドになったが良い攻撃。湘南は1stプレスが掛かりにくくなってきている。
36分、湘南が左から運んで中野が仕掛けるも、戻ってきた家長と山根の2人で対応して止める。
37分、川崎のビルドアップ。ここは湘南の守備がしっかりと機能し、サイドで詰めて奪取。
40分、瀬川の背後へのランニングからセカンドを回収し、最後は平岡のシュートまで。川崎DFがブロック。
42分、左サイドのスペースで受けた車屋がクロスを狙ってCK獲得。
43分、川崎の組み立てを奪った湘南がカウンターに出るも、町野が囲まれてロスト。逆に川崎がカウンターに出るも、マルシーニョのところでスピードダウン。
湘南が8割がた良い内容で進められているが、リードを得たのは川崎。湘南が高い位置での守備を安定させて主導権を握った中、セットプレー一発でこじ開けた。湘南は相手のビルドアップをほぼ封じ、カウンターや保持の縦に速い攻撃からチャンスを作れていたが、最後の質が足りず。ただ、決定機と言えるほどのチャンスはなかった印象。川崎はマルシーニョのところでスピードを上げてゴールへ迫ろうとするシーンが多かった印象だが、湘南もゴール方向への仕掛けは塞ごうという意識が強く、なかなか自由にはやらせてもらえなかった。また、ボールは持てるが、湘南の2-3ラインをなかなか超えられず、苦しんだ。
後半
川崎交代
脇坂、マルシーニョ→大島、宮城
45-46分、宮城が左で仕掛けるも石原が止める。その後再び回収してCK獲得。川崎は安易に急がず、敵陣で保持して省エネしながらすきをうかがう。
47分、谷の低弾道フィードにタリクが抜け出しかけるが、コントロールし切れず。
47分、川崎のクリアボール?が宮城にわたり、カウンター。仕掛けてシュートを狙うも石原が戻ってカバー。よくさぼらずに戻り切った。
48分、宮城がクロスを入れて知念が飛び込むも湘南DFもしっかりとしぼって先にクリア。きわどいボールだったが、守備の集中力もお見事。
49分、タリクがハイボールに競り勝ち、瀬川のスルーパスに町野が抜け出す。PA内でジェジエウが倒し、湘南がPK獲得。ゴール方向へは向かっていなかったため無理をする必要はなかったが、湘南側がうまく出し抜いた。
52分、湘南同点、1-1。町野がPKを決め切った。ソンリョンもコースは読んだが、パワーとコースが上回った。
53分、平岡の縦パスを瀬川が受けてタリクとともにスピードアップを狙うが、川崎が奪取。
54分、中盤で前を向いた瀬川がロングシュート。ソンリョンの位置を見て遠目から狙った。枠外だったが、ソンリョンにプレッシャーを掛ける意味では効果はあったはず。
55分、川崎が中盤の狭い位置でつないで前進。敵陣での保持に切り替え。
57分、湘南がプレスをハメ切って石原へ展開。クロスを送るも、ソンリョンが処理。
58分、橘田が深さを取って落とし、大島がダイレクトシュートを狙うも枠外。
60分、川崎が押し込んで波状攻撃。連続トランジションを制して押し込むが、湘南が粘ってシュートを打たせず。
61分、湘南交代
平岡→山田
62分~、湘南が敵陣での保持を続ける。
家長に入ったところを連続で岡本が奪い取る。
65分、杉岡の配球に中野が抜け出してクロス。中では惜しくも合わず。川崎がプレスを掛けてきた際には杉岡から背後へ走る選手への配球を徹底。
66分、山田がPA内へ入り込んで倒されるもノーファウルの判定。飯田主審の判定がやや寛容になりつつあるか。
67分、飲水タイム。立ち上がりは川崎が宮城の仕掛けを生かして惜しい場面を作ったが、コンディションの差もあってか、60分を過ぎたあたりからは湘南が敵陣へ押し込む時間がかなり増えた。川崎は保持を落ち着かせようと試みているが、なかなかうまいことコントロールできない。
68分、川崎交代
ジェジエウ→山村
やや動きに重さが感じられたジェジエウを早めに替えた。
69分、家長らしい間合いで右サイドを突破してクロス。中で2人飛び込むがうまく合わせきれず。
71分、右サイドでの連係でポケットを攻略して折り返しを瀬川が合わせるも山根がブロック。
73分~、川崎が保持を続けて落ち着かせる。湘南の前線の選手にも疲労が見え始め、全部追うことはできなくなってきた。
川崎は車屋しぼりで保持時は完全に3バック化。湘南が追い切れなくなっているので、相手2トップ脇から運び出そうとしている。
75分、川崎交代
シミッチ→小林
小林と知念の2トップで4-4-2に変更。
77分、岡本が足を攣る。
77分、湘南交代
岡本、町野、タリク→舘、阿部、池田
足を攣った岡本と、疲れが見え始めていた前線を入れ替え。
80分、瀬川がうまい交わしから背後へ抜け出しかけるも山根が好カバーで阻止。
81分、湘南の波状攻撃。左を取ってから瀬川が狙うもブロック。
81分、左からのクロスを瀬川が合わせるもポストにはね返される。湘南はあと一歩のところまでは来ているが決まらない。川崎は明らかに繰り返しの動きができなくなっており、重心を横に振られるとついていけない。
83分、川崎交代
橘田→瀬古
84分、小林がライン間で引き出して前進。車屋のミドルはブロックに遭う。
85分、家長がカットインからクロスを送って折り返すも湘南がクリア。
85分、小林が背後へ動き出して大島のラストパスを引き出し、GKも外したが、シュートは湘南DFのゴールカバーに遭って決まらず。1点もののカバー。
86分、湘南交代
瀬川→ウェリントン
87分、湘南がハイプレスをかけて川崎につながせない。前線は途中出場の選手になっているので、チェイシングでの無理がきく。
90分、右サイドからのボールを落として知念が連続で狙うもブロックに遭う。川崎にも惜しいチャンスが訪れている。
90-91分、谷口が鋭い縦パスを狙うが小林とは少しずれる。
91分、宮城のパスを小林が反転して受けようとしたが失敗。ここでは川崎が攻勢を強めている。
92分、湘南勝ち越し、2-1。縦パスを阿部がスルーして山田が抜け出し、折り返しを阿部が合わせてゲット。きれいな連係から崩して決めた。川崎は最後に粘れるだけの余力は残っていなかったか。
94分、左からのクロスに知念が合わせるも谷の正面。
湘南は前半と変わらずに自分たちのスタイルを徹底。後半は立ち上がりこそ攻め込まれたが、PKで追い付いて余裕が生まれると、60分あたりからは主導権を掌握。「惜しかったけどあと1点まで届かず」という展開で終わりそうだったが、相手の反撃をしのぐと阿部が値千金のゴールを奪って逆転勝利に成功した。中2日の川崎は後半の途中から疲労の色が見え始め、苦しくなった。それでも勝ち越しのチャンスを作るところはさすがだったが、最後の踏ん張りは利かず。
川崎は優勝争いへ向けた勢いが削がれる敗戦。湘南は、好調かつ上位につける川崎にダブルを達成して残留争いから一歩抜け出す大きな勝利。
個人的MOM
★瀬川 祐輔
多くのチャンスが訪れながら決め切れなかったことは直近の試合から引き続き課題になったものの、スルーパスからPK獲得に貢献。また、しつこく背後を狙うことで全体を押し上げることができ、相手DF陣に負荷を強いることでストレスを与えられたとも言える。
途中出場で値千金のゴールを演出した山田と阿部、激しい上下動としぶとい守備で存在感を放った石原、効果的な後方からの球出しを見せた杉岡も高評価。
川崎は90分を通じて知念がゴールへ迫り続けたが、ある種ラッキーで生まれたセットプレーからの先制弾以外にはこじ開けられなかった。
トピックス
川崎は連勝が4で止まり、5試合ぶりの黒星。
湘南は6試合ぶりの勝利。阿部は恩返し弾。
監督コメント
(※Jリーグ公式サイトから引用)
[ 山口 智監督 ]
自分たちの用意してきたものと、そのプラスαのところを選手が表現してくれて、臆することなく、勇気を持ってトライし続けてくれたこと。その姿勢を評価したい。もちろん、結果も伴って自信になった。ましてやフロンターレさんを相手に、これだけやれるということを残したゲームだったし、試合前の選手の表情を見ても、そう見えたところがあった。どんな相手でも、どういう状況でも、これを出せたらいいなというふうに感じたゲームになりました。--決勝点を挙げた阿部 浩之について。
夏に入ってきてもらって、本人たちの懸ける思いもある。途中から入った難しさもある中で、今日先発した中野 嘉大もそうだが、特徴を出してくれたからこそ、良い部分がたくさん見られたかなと思う。阿部はシュートの精度、スルーであったり、状況を見て判断できるのがストロング。それをゴールに直結してくれた。(杉岡)大暉が縦パスを入れ、山田(直輝)が受ける準備をしたように、つながりがあってのゴール。イージーではないと思うが、それまでの関係性の中で生まれたゴールはチームとして評価できるものだし、個人的な練習をやってきたからこそ得られたものでもある。--首位だったチームに対して勝点3を取れたことについて。
自分たちの順位を考えると、そういう見られ方をするが、今日の試合内容からすると、そういう捉え方はまったくしていない。フロンターレに対して、決してネガティブなものを持って臨んだわけではない。具体的な要素をもって、周りにどう考えられるかは分からないが、振り回されることなく、今日みたいなものを出せればいいと思う。勢い、調子では片づけられる問題ではなく、必然的に生まれるものもある。そこを自分たちでもっと気づいて、勝ちにつなげられたらと思います。--前半から内容で上回っていたように見えた。何が良かったと感じているか?
フロンターレさんにウチの陣地でサッカーをされると強みが出るので、相手陣地でサッカーをすること。自分たちの特徴を出す上でもそれを共有できていた。守備で入ることは多かったが、そういうところの意識や、ボールを持っても相手のイヤなところにもっていく、またそこに走る。単純だが、用意したもの、意識していたものを出してくれた。90分を通して、その流れで間とか、スペースができるものなので、そこが非常に形になったというか、自信を持っている形で勝てたのは良かったと思います。
[ 鬼木 達監督 ]
立ち上がりからなかなか難しい時間を過ごしましたけど、そういった中で前半にリードすることができたので、なんとかもう1点を取って勝ちにつなげたかったが、思うような展開にもっていけなくて、非常に反省にしないといけない。そういうゲームだと思います。選手は連戦のキツい中でもファイトしてくれた。自分たちのサッカーを突き詰めていくことで勝利をもたらすことができたかなと。そのあたりをもう1回、突き詰めていきたい。
--中2日で同じ先発メンバー。疲労感を感じた試合に見えたが?
そこを言い訳にはしたくないが、反応のところはかなり鈍かったかなと思います。そういった苦しい中でもリードしたので、自分たちも勇気を持ってプレーできれば、疲れていても主導権を握れたかなと思います。迷いなく、そのあたりをやり続けられればと思います。--リードして迎えた後半、2枚を代えて主導権を握ろうとしたと思うが?
前半のところで攻め入るところで攻め切れない、あとはボールへの反応のところで鈍さがあった。それは交代したメンバーではなく、全体的にそういう感じがあったので、もう1回主導権を握る、時間を作るところを作りたかった。最初のほうは悪くなかったと思うが、ワンプレー、ツープレーのところでああいう形になった。スキと言ったらあれだが、突き詰めていかないといけないと思います。--川崎Fの右サイドを相手に突かれてやられていた印象があるが?
前半途中、(橘田)健人と(脇坂)泰斗のポジションをイジったり、途中からそういうことをやっていたが、それでも反応の部分とかはなかなか……。後半の交代は、点を取りにいく作業、主導権を握るところなので、守りというよりも、攻撃でどうやって主導権を握れるか、そこにフォーカスして代えました。