がちゃのメモ帳

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2023 J1リーグ第9節 京都サンガF.C.vsサガン鳥栖 メモ

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スタメン

京都

パトリックが今季初のメンバー外に。対して平戸が初のメンバー入り。

山﨑と木村が2試合ぶりのメンバー復帰。

武田が負傷離脱中。

 

鳥栖

離脱していた岩崎が3試合ぶりに復帰。

ファンソッコ、横山、富樫が負傷離脱中。

 

流れ

3分、鳥栖の自陣での組み立てに激しくプレスを掛けて奪い取る京都。最後は左からのクロスに山﨑が反応するも触れず。昨季の対戦と同じような構図で、鳥栖のビルドアップに京都がエンジン全開でプレスに出ることでペースを握ろうとする。鳥栖も前線に個人で収められるタイプの選手がいないため、下からのつなぎにこだわらなければならないという意識があるかもしれない。

京都は山﨑が中央をプロテクトし、豊川が左サイドからチェイシングを掛けてスイッチを入れる。

6分、前に出てきた京都をひっくり返すように朴からロングボールを入れる鳥栖。長沼が走るも白井がカバーして対応。

8分、京都が速攻から豊川が抜け出して連続シュートも、鳥栖も粘りの対応で枠へは飛ばさせず。立ち上がりは完全に京都ペース。

鳥栖は両ワイドの長沼と岩崎をどうスペースで受けさせるかがカギ。2人はずっと背後を狙う動きを繰り返している。

12分、中盤でのトランジションから鳥栖が回収して小野がスペースへ抜け出すも、井上が好対応で止める。鳥栖は初めて惜しいシーンができたが、判断が遅れてシュートまで持ち込めず。

京都は最終ラインでつながず、徹底して前線へのロングボール。とにかく高い位置でプレーする時間を増やす狙い。

15分、河原に警告。豊川との競り合いで手を使ったところの印象が悪かったか。やや厳しい判定に感じる。

18分、京都の前線からのにらみに対し、朴→長沼でスペースを狙うシーンが何度か見られる。

京都は鳥栖の両WGを警戒してか、プレスを掛けるときもSBはあまり前へ出ていかず、IHが気合いのスライドでサイドをカバーする。

20分、京都先制、1-0。右からのサイドチェンジから再びクロスでファーへ届け、豊川が仕掛けからシュート。ニアに飛んだシュートは朴がはじくも、外へかき出せずそのままゴール内に。京都が自分たちの流れできっちり先制まで持ち込んだ。

21分、鳥栖同点、1-1。中盤の空洞をうまく運び、右へ流すと原田のクロスを小野が頭で合わせてゲット。あっという間にスコアが振り出しに。鳥栖は1stチャンスで決め切った。

京都は少しずつ足元でつなぐ前進も手段として持ち始めた。豊川がインサイドに入って浮くようなシーンが見られる。

京都は左サイドからファーサイドを狙うクロスが多くみられる印象。意図的に狙っている?

27分、鳥栖のビルドアップ。右サイドから中央で浮いた河原へつけてプレス回避成功。京都は中盤がボールサイドへかなりスライドを強いられるので、同サイドで閉じ込められないと厳しくなる。

29分、中盤での奪取から京都のカウンター。最後は白井のボレー。鳥栖は原田が個人で剥がして局面の打開を図ったが、ロストからピンチに。

29分、長沼がPA付近まで抜け出してシュートに持ち込んだが、ブロックに遭う。

31分、鳥栖逆転、1-2。河原のインスイングCKを田代が競り合った後ろで一美の頭に当たり、オウンゴール鳥栖はほとんどチャンスがない中で、2点を取った。

34分、鳥栖が高い位置で奪ってカウンター。岩崎が1対2で仕掛けるも突破できず。ただ、京都が足元でのつなぎを始め出したことで、鳥栖トランジションから一気にゴールへ向かいやすいシーンが作れるように。

35分~、京都が切り替えで上回り、連続攻撃。ロストしても後ろからどんどん人が出てきてボールへ突撃し、奪い取る。

40分、鳥栖追加点、1-3。右サイドでの長いスローインをニアゾーンへ流れて受けた小野がマイナスで折り返すと、バイタルへ入ってきた本田が巧みにコントロールからシュートまで持ち込んでゲット。鳥栖はほぼほぼリスタート絡みで3点取っていると言えるか。

鳥栖が中盤のバトルで徐々に勝てるシーンが増えてきたか。鳥栖はポジトラではすぐにスペースへ選手を走らせてゴールへ素早く向かう。

47分、朴からのロングフィードを岩崎が個人で収めてポイント作り。鳥栖がカウンタープレスで敵陣での圧力を強め、受け手のところをつぶすことで陣地を押し上げることに成功している。

48分、ロングボールを本田が落とし、ルーズボールを河原が狙うも若原が処理。

 

序盤は低い位置からつなぐ鳥栖に対し、強烈にプレスを掛けていく京都がショートカウンターからチャンスを量産し、自分たちの流れのうちに先制に成功。ただ、その1分後に鳥栖が追いついたことで、京都に流れはいかず、時間の経過とともに鳥栖が押し返せるように。ビルドアップで外せるようになったシーンもあったが、ロングボールも交えながら陣地を押し上げ、割り切ったロングボールから足元のつなぎを見せ始めた京都をプレスで食い始める。その後CKとスローインから追加点を決めて鳥栖が2点リードで折り返すことに。京都のほうがペースを握る時間は長かった印象だが、限られたチャンスを精度高く決め切った鳥栖が試合巧者と言える前半に。京都としては3点も取られる内容だったとは感じないが、要所での粘りと集中力を欠いてしまった印象に。

 

 

後半

都交

福岡、豊川→平戸、木下

2点ビハインドの京都が早めに手を打ち、2枚替え。

鳥栖ゴールキックを高い位置からけん制する京都。山﨑が中央プロテクトで両WGがCBへアタックしていく。IHはボランチとSBの両方をケアする過負荷タスク。

後半も立ち上がりは京都が強いプレスでリズムをつかみ、押し込んでいく。

豊川→木下でハイボールのターゲットが増えたこともあり、よりシンプルにクロスを上げていくやり方にシフトチェンジしているか。

49分、左CKに木下が合わせるも枠へ飛ばせず。ビッグチャンス。

50分、一美に一発レッド。ルーズボールへのチャレンジで田代に足裏が入り、結果的に危険なチャージに。京都はここから反撃という流れの中、勢いをそぐような退場に。

52分、京都交

山﨑→パウリーニョ

京都は4-4-1に。木下を最前線に置き、個人で打開できるパウリーニョをサイドに入れることで数的不利をはね返そうという意図か。

京都は数的優位になったことで立ち上がりの勢いは完全になくなった。鳥栖は少ないストレスで敵陣でのプレータイムを長くできるように。

55分、鳥栖のビルドアップにハイプレスをかける京都。前の枚数は明らかに足りていないが、1人のスプリント強度を上げることでバランスを保とうとしている。

56分、鳥栖が高い位置で引っかけてショートカウンターを狙うも最後までやり切れず。京都はもう出ていくしかないので、リスク承知で前にアグレッシブに出ていく。

58分、菊地の奪取からスペースでの岩崎の仕掛け。マイナスの折り返しをバイタルで受けた原田が狙うも枠外。ビッグチャンス。京都は前がかりになるぶん、意図していないところでロストすると一気にスペースを突かれる。

60分、白井の縦突破クロスに松田が飛び込み、その後の回収からパウリーニョのシュートまで。数的不利の京都も惜しいチャンスを作る。

61分、鳥栖の敵陣保持。長沼が逆サイドまで流れて背後に抜け出すもオフサイド

62分、京都交

松田→木村

京都はとにかく早めに手を打っていく。

京都は木下を中央プロテクトで、木村とパウリーニョを前にプレスに出す。プレス時は4-2-3っぽい形に。鳥栖も足元でつなぎながら剥がそうとしているが、少しずれると受け手が食われて奪われる。そこまで前進は安定していない。

64分、川﨑がPA内へ抜け出して倒されるもノーファウル判定。京都も1人少ないことを感じさせないくらいチャンスは作れている。

66分、鳥栖交代

小野→河田

69分、京都交

佐藤→荒木

京都は交代カードを全て消費。

サイドで仕掛けられる選手が持ったときなどに、川﨑は積極的にゴール前に入っていく。中盤を捨てて、ゴール前の人数を増やすことを優先。

鳥栖は岩崎の仕掛けなどでゴールへ近づけているシーンはあるものの、数的優位をあまり生かせていない印象で、ゲームをコントロールできず、京都の反撃を受ける流れになっている。

71分、森谷が足を攣る。

72分、河田との連係で岩崎がPA内へ進入してシュートもブロックに遭ってCKに。

77分、CKの流れからのクロスに原田が合わせるもバー直撃。鳥栖は追加点のビッグチャンスを決め切れず。少しずつ鳥栖がプレーエリアを上げて押し返せるようになってきた。

79分、鳥栖交代

森谷、岩崎→福田、堀米

森谷は足がつってから少し引っ張ったが、ここで交代。堀米が右SHに入り、長沼が左へ移る。

81分、京都が背後からの配球で木村をスペースに走らせるも田代がカバーしてCKに。鳥栖は前からプレスに出ていってラインを上げているが、出し手に圧を掛け切れていないので、背後のスペースを突かれる。

83分、鳥栖が高い位置で奪って長沼のシュートまで。鳥栖は京都のつなぎに対してしっかりと受け手を捕まえて前を向かせない対応ができた。

84分、鳥栖交代

菊地、本田→樺山、西川

本田は足を攣ったか、座り込む様子があった。樺山が左SHに入り、長沼が左SBへ移る。

88分、セットプレー守備から鳥栖がロングカウンター。最後は西川がPA内へ走って受けようとするも荒木が好カバーで蓋。

90分、京都がPK獲得。CKの流れで原田が手に当ててかき出したところをオンフィールドレビューでチェックが入り、PKに。

91分、京都得点、2-3。木下がPKを決めた。上を狙う強心臓。朴も読んだが、コースとスピードが上回った。京都は勝点獲得の望みを大きくする得点。

鳥栖は高い位置のサイドへ持っていき、パスを回しながら時間を使う。

京都はとにかく前へ送り、サイドからはクロスを入れる。ボールを失ったらひたすら強く寄せていく。

97分、河田が右のスペースへ抜け出してシュートを狙うもわずかに枠外。とどめを刺すチャンスを生かし切れず。

最後は京都がひたすら放り込んだが、鳥栖はホルダーに圧力を掛けてはね返し続け、逃げ切り成功。

 

2点ビハインドの京都が選手交代も含めてギアを上げ、良い立ち上がりを見せたが、一美が早い時間で退場し、勢いを失った。その後も1人少ないことを感じさせないような戦いを見せ、勝点獲得までもう一歩のところまでは行ったが、最後の一押しは足りず。パトリックがいれば…、というたらればはあったかもしれないが、状況を考えれば勝点を取れた試合というには都合が良すぎるかもしれない。

逆に鳥栖も2点リード、40分近く数的優位という圧倒的なアドバンテージを得ながら、思うようにコントロールできず、「もしかしたら追い付かれるかもしれない」という精神状況になる展開にしてしまったことは大きな反省材料。1人多い中でもビルドアップがあまり安定せず、自陣でのつなぎのリスクが大きくなってしまったことで、ゲームスピードを落とすアプローチができなくなってしまった。

 

個人的MOM

★小野 裕二

先制を許したあとの同点ゴール、リードを広げる3点目のアシストと、攻撃で存在感を発揮。純粋なFWが少ない中、トップで起用された意味を結果で示した。

 

組み立てとセットプレーキッカーとして欠かせない存在になっている河原も高評価。この試合でもサイドのスペースへの配球や、中盤の浮いたポジションで引き取る立ち位置取りなど、ゲームメイク役として際立っていた。

 

トピックス

一美が一発レッドで退場。次節出場停止。

鳥栖は9試合目にして今季初の複数得点。

 

監督コメント

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ 曺 貴裁監督 ]
勝ちを信じて、最後までスタジアムに残ってくれた方々に勝点3を届けられなかったことに、すごく責任を感じています。試合後に選手に言ったのは、「365日の中で今日の日付、4月23日のことを忘れてはいけないんじゃないか」ということです。得点を取るまで自分たちが完璧に近い形で試合に入りましたが、その次のプレーで失点を食らったあとの時間帯。ピッチで僕なりに声はかけていましたが、それが選手に届かずに、自分たちだけの問題で失点をして、ゲームを難しくしてしまったのは、監督としても選手としても自分に向き合って解決していかなければいけないことです。

昨年よりも鳥栖さんとの戦いでの手ごたえがなかったかというと、そんなことを思っている選手はいないと思います。相手のやりたいことを封じて、自分たちを出してシュートシーンまでは行くけれど、中途半端なシュートでみすみす相手にリズムを渡してしまうとか、思い切ったプレーをしないとか、そういうプレーがツケとなって失点につながったことを、いまの力だと思わない限りは上には行けません。

逆に言えば、1人少なくなった中でもあれだけゴールに迫れたのは、それも自分たちの良い側面です。監督としてもいろんなことを経験し、学べた試合でした。まだ自分も整理し切れていない部分がありますが、選手はよくやったと思います。ただ、それを今日の勝利につなげるほどの力がなかったんだと言われているようなことを、ゴールデンウィークの素晴らしい相手に対してどう挑めるかは大事になります。

 

[ 川井 健太監督 ]
いろいろなことがあった試合でしたが、まずは勝点3を取れたということを、次のマリノス戦へ向けて良い材料として準備していきたいです。(試合は)同点の場面が非常に大切だったと思います。あれでわれわれは自信を取り戻せましたし、その後も良かったと思います。ただ、最初の10分間が非常に良かったですね。皆さんの目から見ればいくつもピンチがありましたが、間違いなく何か1つ変わったなというのがありました。あの10分間は、僕はかなり好きな10分間でしたね。

--具体的には?
ミスのオンパレードでした。ただ、その中でやりながら何が京都に対していいのかを模索しながら葛藤して、もがいて、そしてスペースを見つけ出した。もちろん試合前からできればいいんですが、人間のやることなので。そういう自分たちが判断をすることが非常に良かったなと思います。この1勝は非常に大きくなるんじゃないかなと思います。

少し細かく言えば、あれだけ短いパスを意識していて、実際に点を取ったのは少し違う形からでした。それは目先を変えさせたという意味では、良いジャブを与えていたと思います。そういう意味で、あの10分がこの勝負の勝ちを決めたのかなと思っています。