2022 J1リーグ第30節 サガン鳥栖vs鹿島アントラーズ メモ
スタメン
所属元が鹿島の垣田は契約上出場不可。
前節欠場の小野がメンバー復帰。
前節C大阪戦で契約上出られなかった西川が引き続き欠場。
パクゴヌが5試合ぶりのベンチ入り。
中野が代表活動により離脱中。
鹿島
早川が初先発でリーグ戦デビュー。
前節欠場した和泉と仲間が復帰。
キムミンテが4試合ぶりのメンバー入り。
ブエノ、エレケ、舩橋、沖がメンバー外に。
松村、林、常本が負傷離脱中。
流れ
両者ともにテンションを上げた立ち上がり。前から積極的にプレスを掛け、中盤でも球際で激しく競り合う。
1-2分、長沼から高い位置で奪って鹿島のカウンター。鈴木が強引に運ぶもファンソッコ?が対応。
2-3分、岩崎が左を抜け出して折り返し、宮代がPA内で受けるも三竿が好対応で阻止。
3-4分、左から右へ展開した鹿島。広瀬のパスが鳥栖DFに当たってコースが変わり、ルーズボールがカイキの下へ。シュートを狙うがブロックに遭う。
立ち上がりは互いにゴール前へ迫り、惜しいシーンは作れている。
5分、鹿島のハイプレス。鳥栖はショートパスでつなぎにいったが、縦パスが通らず。
両チームが果敢にアクションを起こしていくため、トランジションが非常に多い展開になっている。
7分、鳥栖の波状攻撃。左の連係から折り返すと菊地、長沼と連続でシュートを放つも鹿島守備陣が決死のブロックで阻止。ここまでで一番大きなチャンス。
10分、中央で細かくつないで岩崎からワンタッチでクロスを入れるが、宮代には合わず。
11-12分、右に流れた鈴木と広瀬のパス交換からスペースへ抜ける荒木を使ってシュートまで。うまく目線をずらしながら相手の陣形を崩せたが最後の精度は伴わず。
10分を過ぎたあたりからは鹿島がボールを持ちながら敵陣でのプレーを増やし始めている。
16分、右から鈴木がクロスを上げてカイキが飛び込むも朴が飛び出してキャッチ。
鳥栖はプレス時は岩崎が2トップ気味になり、本田がアンカー監視。4-3-1-2っぽ形で、相手の2CB+アンカーに人を当てる形。
保持時は岩崎が左の大外に張る。攻守で若干配置がズレる。
互いにプレスはかけ続けているが、強度をいくらか落としたことで局面が落ち着くようになってきた。
22分、鹿島のビルドアップミスを誘って岩崎がシュートまで持ち込むが早川が好セーブ。1つ目のセーブシーンで好感触を得られたのは大きいのではないか。
鳥栖は岩崎に2トップタスクを任せることで、低い位置の守備に参加しなくてよくなり、トランジションからゴールに向かいやすい仕組みになっている。
鳥栖のプレス強度が再び上がってきた印象。鹿島は組み立てで苦しくなることが増えた。
岩崎が外で張っているので、ジエゴがインサイドタスクを行うバランスが何度か見られる。ただ、あまり得意ではなさそう。
29分、鳥栖が左からつないで宮代の左足シュート。枠へ飛んだが、早川も落ち着いて処理。デビュー戦の早川はここまで冷静にプレーを続けられている。
33分、ここ10分くらいは鳥栖ペースで推移。鹿島はIHをSB裏に走らせて起点を作ろうとするなど工夫はしているが、なかなか前に進めない。
33分、鳥栖先制、1-0。スローインの流れから宮代が巧みにキープして外し、最後は左足を振り抜いてゲット。早川の股を抜いた。鳥栖は良い時間帯での先制に成功。鹿島は崩されていなかったが、スローインのリスタートのところでやや対応がフワッとしてしまった。ただ、宮代の技術がさすがだった。
35分、鹿島が右サイドでうまく作って荒木がPA内で受けるもコントロールが決まらず。鈴木が右に流れたときの連係で崩せるシーンが多い。
37分、本田が左45度から思い切り狙うも枠外。パンチ力のある良いシュートだったが、枠へ飛ばず。
38分、鹿島の組み立てに鳥栖がプレス。ルーズボールを鹿島が回収しかけたが、鳥栖も素早く寄せ直して敵陣でのFK獲得。
40分、長沼が右から個人でクロスを上げ切って、ニアで本田が合わせるもポスト直撃。鳥栖が立て続けにチャンスを作る。
42分、ルーズボールを原田が被って荒木が拾い、つぶされて流れたボールをカイキがシュートまで持ち込むも枠外。アドバンテージがとられたが、プレーが切れてから長沼に警告が提示。鳥栖は個人のエラーでピンチを招いた。
45分、鹿島が久しぶりに敵陣での保持。鈴木を使ってPA近辺を取りにいくが、うまくつながらず。
立ち上がりの拮抗した展開から、15分あたりまでは鹿島がボールを持って敵陣へ入っていたが、20分前後からは完全に鳥栖のペースに。鹿島の保持に対して鳥栖が強くプレスを掛けて前で奪い続けた。また、保持も安定させて、連係からの崩し、ショートカウンターで攻撃の試行回数を増やした。壁を叩き続けたからこそ生まれた宮代の先制ゴールだったと言える。鹿島は鈴木を使って右からうまく崩せており、荒木のプレー精度が伴えば…というシーンはあった。連係は悪くないので、まずは敵陣で保持する展開に持ち込みたい。
後半
鹿島交代
荒木、和泉→仲間、名古
名古がアンカーに入り、ピトゥカが左IHへ。
45分、前線へのロングボールを鈴木が落として早速ゴールへ迫る鹿島。
47分、鳥栖が自陣から運んで壁パスから岩崎のシュートまで。
48分、樋口がイーブンのボールを回収して前進するも、攻め切れず。
岩崎が関川に出ていく仕事を持ちながら、広瀬にもプレスバックしていくため、鹿島はそこで動かしてズレを作ろうとしているか。前半にもピトゥカが右に下りてそこの駆け引きをしている雰囲気はあった。
49分、左からカットインしたカイキのシュート。ピトゥカの右サイド流れで起点を作太ところからの攻撃。
51分、左での作りから本田がPA内で受けるも打ち切れず。
51分、スローインの流れで菊池がポケットを取って折り返し。鹿島守備陣がクリア。
51分、原田がパス交換から前に出ていき、左足のシュート。鳥栖が一気に攻め立てる。
立ち上がりは鹿島がテンションを上げてゴールへ迫ったが、5分もたつと鳥栖が押し返してきた。
53分、宮代がPA内で仕掛けて倒されるもノーファウル。
54分、鹿島が中盤で奪ってカウンターへ出て行こうとしたが、鳥栖の素早いプレスバックに遭ってロスト。
55分、岩崎が左のスペースで受けて折り返し。菊池がシュートを狙うも枠外へ。
鳥栖は守備のバランスを少し変えたか。岩崎がそこまでCBに出てこなくなり、本田がCBへ寄せて、アンカー位置には小泉がアタックするシーンがあった。
56分、宮代と岩崎で早く攻め切って折り返しまでいったが、味方には合わず。
鳥栖が切り替えの速さと球際で上回っており、鹿島はなかなか落ち着けない。
58分、鹿島同点、1-1。広瀬からのクロスをファーでカイキが合わせてゲット。岩崎がピトゥカからのパスを遮断しようとしたがかわされ、広瀬が完全にフリーになってしまった。質の高いクロスで長沼のジャンプがわずかに届かず、カイキの得意なパターンに持ち込めた。鹿島は苦しい時間が続いた中、訪れた少ないチャンスを決め切り、メンタルの立て直し的にも大きいはず。
61分、鳥栖のパスミスを拾って鹿島がカウンターへ出ていくが、出し手と鈴木のタイミングが合わず、鈴木はオフサイドポジションになってしまった。
62分、小泉が座り込む。メディカルからすぐに×印が出てプレー続行不可の模様。自力で歩いているが、腿裏あたりを抑えており、トラブルがあった模様。
63分、鳥栖交代
小泉→藤田
64分、鹿島が中盤で奪ってカウンター。カイキから鈴木へ送り、ゴールへ向かった鈴木が倒されて敵陣でFK獲得。ファンソッコには警告が提示。累積警告4枚目で次節出場停止。
→67分、カイキの直接FKから鹿島がゴールへ迫るが、鳥栖守備陣が粘って守り切る。
69分、仲間の横切るドリブルにファンソッコが我慢できずファウル。似たような位置でFK獲得。ファンソッコは警告を受けている中で少し不用意なプレー。鹿島ペースになりつつあるので、カードトラブルは気をつけたい。
70-71分、鳥栖のゴールキックからのつなぎを奪って鹿島が攻める。クロスのこぼれ球を樋口が押し込みに行くも、鳥栖がゴールカバーで阻止。
71分、鈴木のスルーパスに仲間がポケットに抜け出して折り返しも朴がクリア。立場が逆転したかのように、鹿島が鳥栖を押し込み続ける。
73分、鳥栖交代
岩崎、菊地→小野、堀米
小野は指で「4-4-2」という指示を周りに出していた。
小野が2トップに入り、本田が右SHに。岩崎がいたときよりも、はっきりとサイドに2人ずついるようなバランスになった。
74分、鹿島交代
カイキ→エヴェラウド
74分、大外で受けた安西が駆けあがって思い切りよくシュートを打ち、朴がはじいたところを仲間が詰めてネットを揺らしたがオフサイド。ここ数試合は安西の積極性と推進力が目立っている。
78分、右に流れて受けた鈴木が仕掛けて倒されるもノーファウル。きわどい接触はとらない基準で一貫している池内主審。
80分、鳥栖が久しぶりのチャンス創出。きわどいクロスを送るも鹿島がクリア。
81分、鹿島交代
鈴木→土居
82分、鳥栖交代
本田、長沼→田代、パク・ゴヌ
田代が左CBに入り、原田が左SB、ジエゴが左SHへ移る。
84分、鳥栖が左サイドでパスを交換しながら福田がファウルを受けてFK獲得。
→85分、藤田のボールは枠外へ。合わせるか直接狙ったか、どちらかわかりにくい微妙な軌道になった。
86分、樋口がPA付近から思い切りよく狙うが朴の正面。
86分、ジエゴとの競り合いで関川が痛む。ジエゴの腕が顔に入っていた。
88分、小野→宮代とつなぎ、シュートはディフレクションしてゴールへ向かうが、早川がかき出す。
88分、パクゴヌがPA内で倒れるもノーファウル。逆にシミュレーションがとられて警告が提示。
90分、ジエゴと広瀬の空中戦の流れから、小競り合いが発生。ジエゴは直前に印象の悪い腕の振り上げがあったので、鹿島サイドはそのあたりで不満があったのかもしれない。広瀬はジャンプして競り合ったときに足を攣った模様。
92分、鹿島交代
広瀬→小田
92分、藤田のロングスロー。中でオフェンスファウルがあって鹿島ボールに。
名古に警告が出ていた模様。詳細は不明だが、ジエゴとの小競り合いのシーン?
93分、右で受けた土居のクロスに数選手が飛び込むも鳥栖がクリア。
95分、小野が右ハーフスペースを抜け出して折り返すも、中で合わせられず。ビッグチャンスだった。
96分、鹿島が中盤でパスを交換しながら樋口がシュートを打つも枠外。
97分、樋口のシュートを鳥栖の選手が触ったかどうかを巡って鈴木とカイキがエキサイトした模様。その流れで岩政監督もかなり強く抗議して警告をもらう。ピッチ内に入ったことが影響したかもしれない。
後半は立ち上がりで鹿島が良い入りを見せたが、徐々に鳥栖ペースに。ただ、押し返しの一歩目でゴールを奪ってスコアをタイに戻すと、そこからは鹿島ペースに。ただ、鳥栖も粘り強く耐えて、最後は互いにゴールへ迫った中で決め切れず、引き分けで決着。ともに勝点3を狙いに行く姿勢が見え、惜しいチャンスもあったが押し切れなかった。90分トータルで言えば、鳥栖が主導権を握って進める時間が長かった印象だが、鹿島が1失点でしのぎ、追い付いてから押せ押せになったことを考えれば、鹿島も十分に勝ちゲームに持っていける展開だった。
個人的MOM
★早川 友基
リーグデビュー戦で安定したセービングを披露。前半に良いプレーを見せられたことで、乗って行けた。
さすがのクロス精度からカイキの同点弾をお膳立てしたほか、右サイドで良い連係を見せた広瀬も高評価。
鳥栖は見事なゴールを決めた宮代、キレのある仕掛けで攻撃を活性化させた岩崎が高評価。3センターの強度の高さと安定感も光った。
トピックス
小泉が負傷交代。腿裏にトラブルがあった模様。自力で歩いていたので、肉離れというよりも、まだ違和感の段階かもしれない。
ファンソッコが累積警告4枚目で次節出場停止。
監督コメント
(※Jリーグ公式サイトから引用)
[ 川井 健太監督 ]
アウェイの連戦から戻ってきまして、今日のホームゲーム、たくさんのファン・サポーターの方に来ていただいて、さらに『25周年記念マッチ』というところでは誰もが勝点3が欲しかったんですが、達成できずに申し訳ないというところがあります。ただ、僕自身はすごく選手の成長を感じた試合ですし、また次に向けて、みんなで前を向いていきたいなと思います。--「成長を感じた」というのは具体的には?
まず、守備のところではまた新しいやり方をチャレンジする中で、それをしっかりとパフォーマンスとして良いものを出せた。これは選手の理解力が高いなと思いましたし、攻撃のところもかなりチャンスを作ったと思います。あとはそこをゼロで終わるか、1で終わるかというところはもちろんあるんですが、選手たちはそこを決められればという感覚を持っていると思いますし、前期(第15節/4△4)とは少し違う引き分けかなと思っています。最後、鹿島さんの圧力を感じたのが前期の試合でしたが、この試合に関しては、少しわれわれのほうが圧力を掛けることができたのではないかなと思いますし、そういう意味では攻守で成長を感じました。--宮代 大聖選手の評価を。
よく点を取ってくれたと思います。ただ、彼の力を考えれば、今日の試合は2点、3点と取れるチャンスはあったと思います。おそらく彼も満足はしていないと思います。ただ、そこが彼の良さですし、もっと成長してくれると思います。--守備の評価を。
完全に崩されたという形ではなく、あれ(失点)は(アルトゥール)カイキ選手の高さというのが頭に入っていましたし、マークのところも言っていたんですが、あれは相手を褒める、そういうふうな形かなと思います。その前のところでマイボールにするチャンスはあったので、そこにこだわっていくしかないかなと思います。
[ 岩政 大樹監督 ]
--前半も良い組み立てができている時間帯があり、後半も狙いが出せていたと思います。ただ、結果につながらないのはまだスタイルを作り上げる道の途中という部分が出ているのでしょうか。
それはもちろん。しっかり、長い期間で作られているチームとそうでないところ。特にウチは新しいことをやっているので、その課題が出てしまっているところはあると思いますが、それを言っても仕方ないですし、それも織り込み済みで試合をしている。勝ち切らせてあげられなかったというところは反省しないといけない。--仲間 隼斗選手、名古 新太郎選手の投入で流れを持ってきたが、事前に描いていたゲームプランだったのでしょうか。
シミュレーションは何度も何度も、いろいろな状況を想定してやります。僕の性格ですから。それをどのように使うかというのは試合を見ながら、そのときの感覚で選んでいきます。今日も後半の頭から代えるか、もう少し経ってから代えるかというところは考えていました。あとは名古をどこで使うかというのもいろいろな想定の中で準備していました。リズムを作りたいところで作れないところがあったので、そのための交代を後半の頭からしました。--早川 友基選手の起用について。
彼が持っているものをそのまま出してくれましたし、落ち着いてプレーしてくれた。それによって、これまでの鹿島にない形も皆さん、見られたと思います。それを作ってもらうための起用でしたので、それは十分に発揮してくれたと思います。