2022 J1リーグ第34節 北海道コンサドーレ札幌vs清水エスパルス メモ
スタメン
札幌
前節負傷交代した菅野が欠場で、中野が7月2日以来の出場。メンバー入り自体も久しぶり。ベンチには初めてベンマムンが入る。
金子が出場停止。
高嶺、興梠、スパチョーク、トゥチッチがメンバー外。コロナトラブルの影響もあるか。オリヴェイラ、中島、小野ベンチ入り。
前節欠場した小柏と荒野が先発復帰。
深井、駒井が負傷離脱中。
清水
前節負傷交代の北川が欠場。
乾が出場停止。
ヴァウド、西澤がメンバー外に。
鈴木唯、コロリ、井林がベンチ入り。
神谷、オセフン、髙橋らが負傷離脱中。
流れ
清水はそこまでプレスに出て行かず、落ち着いた入り。札幌は持てるならしっかり組み立てる。宮澤が右に下りる4-1ビルド。
マンツーで人を当ててくる札幌に対し、清水はパス交換でスペースを使おうとする。安易に蹴らないでつなぐ。
4分、落としや飛ばしのパスを入れて前進する清水。中山が抜けるところまでは良かった。
5分、山原のカットインミドル。枠へ飛ぶが、中野がセーブ。
7分、縦パスをカルリーニョスが引っかけてカウンターに出ようとしたが、札幌のプレスバックも早く、攻め切れず。ただ、守備の誘導と狙いは機能した。
8-9分、権田のフィードを片山が落とし、前進成功。CK獲得まで。清水が札幌のビルドアップを制限しながら守備を安定させ、攻撃でもうまくプレスを折って前進できている。
清水の選手がピッチに足を取られるシーンが目立つ。
12分、清水のビルドアップを奪った小柏が自らシュートまで持ち込むもブロックに遭う。
14分、福森の配球から青木が仕掛けてクロス。CK獲得。
札幌は荒野、田中駿、岡村の3枚で回しながら相手2トップを外しにかかる。列を上げたり下げたりして前進のポイントを探る。
17分、ロングボールを中山が収めてサンタナへつなぐもシュートまでは持ち込めず。
清水は札幌に持たれることは許容するが、奪ってからは早く攻め切ることを意識。保持では簡単には蹴らず、プレスを外しての前進を図る。札幌はマンツープレスで果敢に奪いに行き、保持では両サイドで幅を取って一気に深さを取りにいく。
19分、山原のグラウンダークロスにカルリーニョスが飛び込んで合わせるも枠へ飛ばせず。
20分、札幌の波状攻撃。ルーカスの仕掛けからクロス→ファーで青木が拾って菅のシュートまで。
23分、ロングスローからゴール前で混戦を作り、白崎が押し込みにかかったが中野がブロック。
27分、宮澤のフィードをルーカスが落とし、田中駿が斜めのクサビ。スピード感のある攻撃で清水のブロックを押し下げ、一気にゴールへ向かった攻撃。
28分、中盤でのセカンドボールを拾った菅のミドル。ギリギリポストの外へ。ここも中野→田中駿のフィードで前進した展開からのチャンス。
30分、左での連係で前進し、ルーカスへ展開してクロス。札幌が保持で安定して前進できるようになってきた。右サイドからの斜めのボールを崩しの起点に設定しているか。
31分、サンタナが背負って収め、ファウルをもらう。札幌が攻め始めている中、サンタナのキープが1つの押し返すポイント。
34分、札幌のロングカウンター。シャビエルが運んで小柏へ渡し、クロス。清水も戻ってなんとか対応。
35分、宮澤のフィード→ルーカスで前進し、人数をかけてPA内を攻略しにかかる札幌。清水もサンタナ以外を戻して中央を封鎖。
25分あたりからは札幌のペースに。清水は高い位置で守ることができず、フィード一発でラインが下がってしまう。
40分、札幌先制、1-0。クリーンに前進してシャビエルが右45度あたりで持つと、完璧なコントロールショットを決め切った。シュートはお見事だが、清水は我慢の時間でしのぎ切れず。
42分、清水の後ろ向きの対応に小柏がスプリントで寄せるも権田がカバー。小柏のスピードは想像以上に伸びてくるので、清水のDFの対応は気を使わないといけない。
→45分、サンタナのFKは枠外へ。
序盤は清水がブロック守備で札幌の前進を阻み、保持でもうまく前進できていたものの、20~25分頃からは札幌が押し返す。後方からのフィードやロブパスで大外を経由して前進ルートを確立。田中駿の斜めのクサビやルーカスの仕掛けでゴールへ迫り、シャビエルの素晴らしいシュートで先制。清水はサンタナだけ最前線に残してあとは守備に戻す戦い方でしのいでいたが、サンタナ1人だけでは押し返せる回数が少なく、守備が機能しづらくなると防戦一方のような構図になってしまった。札幌はマンツーで守備を行う分、下げさせられると安定感は欠くが、ボール保持で押し込めれば自分たちの展開に持ち込めた。とりわけ、宮澤の意図を引くようなフィードからルーカスへ届ける攻撃は効いていたように感じる。
清水はラインを下げない守備を取り戻せるかどうかが1つ目のカギ。保持はそこまで悪くないので、守備で主導権を取り戻し、保持の時間を多くしたい。
後半
清水交代
松岡→コロリ
コロリが2トップに入り、白崎がボランチに移る。
48分、清水同点、1-1。サンタナが収めてから中山が右サイドを抜け出してクロス。こぼれ球をサンタナが強烈に蹴り込んでネットを揺らした。勢いを持って入った清水が一気にゴールを陥れた。
49分、コロリが自ら運んでシュートもブロックに遭う。一気に清水に勢いが出てきた。
50分、清水逆転、1-2。サンタナの競り合いから中山が回収。PA手前でのパス交換から白崎が抜け出して押し込んだ。1点ビハインドで後半を迎えた清水が電光石火で逆転に成功。
札幌もさすがに一気に逆転されたとあって、ギアを入れ直してテンションを上げた。
54分、清水の縦に速い攻撃。ホナウド→サンタナでゴールへ向かうも札幌守備陣がカットしてCKに。
58分、小柏が右サイドで深さを作り札幌が攻める。清水が中盤でカットするとロングカウンターを仕掛けるが、札幌が最後方でなんとか食い止める。
59分、札幌同点、2-2。荒野のスルーパスを青木が受けてシュート。一度は権田が止めるも、こぼれ球を青木がそのまま押し込んでゲット。荒野の体の向きとは別の方向に鋭く出したパスがお見事。清水の勢いが落ちてきたタイミングで札幌が攻め、ゴールにつなげた。
61分、清水のカウンター。中山が右で運んでクロス。ファーでコロリが待っていたが、福森が絞ってクリア。60分台にしてかなりオープンな局面が見られるようになってきた。
62分、札幌交代
シャビエル→キムゴンヒ
65分、左で作って青木のフィードでルーカスへ開放。縦への突破からCK獲得。
札幌が攻勢を強めて攻め込む。ただ、中盤のスペースを空けて前に出ていく分、清水にもカウンターのチャンスは広がる。トランジションでの球際が勝負どころ。
67分、右からのFKをサンタナが合わせるもGKの正面。
68分、立田に警告。カウンターで運ぶルーカスを手を使って止めた。
70分、札幌交代
福森→中村
73分、札幌はボランチの列落ちと小柏の下りる動きで相手2トップを動かして脇から前進。
75分~、清水の連続セットプレー。札幌の守備対応が一歩遅れてファウルになっている。
77分、清水勝ち越し、2-3。山原の強烈な直接FKからゴール前で混戦が生まれ、最後はホナウドが押し込んだ。清水はなかなか良い展開に持ち込めなかったものの、セットプレーを得られたタイミングでうまく得点につなげた。
81分、札幌交代
菅→中島
中島を前線に入れ、青木が左WBへ移る。
82分、清水交代
ピカチュウが左、岸本が右に入る。
清水は2トップのチェイシングを強めたように見えるが、そこを外すのは札幌が上手。2人で追うだけではなかなかプレッシャーを掛け切れない。
1点リードになった清水はやや重心が下がったか。後方にスペースを作る事を嫌って、引き気味になっている印象。
85分、札幌同点、3-3。引く清水に対して押し込む札幌。小柏、田中駿、キムゴンヒで狭いところを攻略して、最後はキムゴンヒが押しついて流し込んだ。清水は人数はそろっていたが、パス交換を遮断できず。引く選択が裏目に出た。
87分、中村がカウンターで出ていき、岸本が対応。ギリギリで一進一退の攻防。
87分、札幌の波状攻撃。中村の速いクロスを最後は中島が当てるも権田の守備範囲。札幌の迫力ある攻撃を清水がなんとかしのいでいる状況。
清水は残留のために勝利だけが必要、札幌もホーム最終戦で勝ちにきているとあって、かなりオープンなバトルになってきた。
90分、札幌逆転、4-3。ルーカスが右サイドを抜け出して折り返し。キムゴンヒが中央で受け、左の青木へ渡すと、丁寧にコントロールしてから流し込んだ。キムゴンヒは打ちたくなりそうな局面だったが、冷静に空いている見方を使った。
92分、清水交代
片山→鈴木唯
オールコートマンツーベースの札幌は引く選択肢がないので、前からプレスを掛けて守る。
95分、CKに権田も上がってくる。
札幌のチェイシングに効果的なパワープレーも繰り出せず。
後半立ち上がりは勢いを持って入った清水が一気にたたみかけて逆転に成功。しかし、清水が1点のリードを得てからは札幌もギアを上げて反撃。すぐに追い付き、今度はそこから札幌がたたみかける。しかし、清水がセットプレーのチャンスを得て勝ち越しに成功。ただ、そこからすぐに札幌が追いつき、逆転まで持ち込んだ。文字どおりのとんでもないシーソーゲームに。清水は得点が入った時間には執念を感じたが、札幌のビルドアップに対して前でプレッシャーを掛けられない時間が続いたことが難しい要因の1つになっていたように感じる。失点のリスクを恐れていたかもしれないが、たらればを言えばSHを押し上げてプレスを掛けて行ったらどうなったかは気になる。自陣撤退という選択が、結果として4-4-2攻略の型として存在するミシャ式の餌食になってしまった。
個人的MOM
★青木 亮太
冷静かつ質の高いフィニッシュで2得点をゲット。1stタッチの良さとGKの位置を把握したうえでの流し込みに状態の良さを感じさせた。
途中出場で1ゴール1アシストのキムゴンヒも青木に準ずるゴール前での存在感を見せた。特に同点で迎えた終盤での青木へのアシストの冷静さはさすが。多くのチャンスメイクでかかわった田中駿とルーカスの右サイドコンビも高評価。
トピックス
一時は上向きになって順位を上げた清水だが、最後の7試合は勝点2しか積み上げることができず、無念の降格決定。
監督コメント
(※Jリーグ公式サイトから引用)
[ ペトロヴィッチ監督 ]
今日のゲームも厳しいものになった。残留を懸けて清水は挑んできた。彼らは何がなんでも勝たなければいけない。ただし、われわれも最後のホームゲームに勝ってサポーターに勝利を届けたい。そうした両者の思いがぶつかった。そういうゲームでした。試合のほうは、清水がいかに質が高いチームであるかということが、あらためて分かった。立ち上がり、なかなか自分たちのペースに持ち込めず、かといってチャンスも与えない。そうした中で中盤で守備がハマったときにはチャンスを作れて、そうした展開からわれわれが先に得点ができた。
後半、相手が非常に勢いを持ってきた中で、われわれはそれに呑まれるような形で逆転をされてしまい、難しくなった。1-2になってからは、落ち着きを取り戻し同点としたが、そこでまたリードを許した。ただし、選手たちの「勝ちたい」という思いが同点、逆転につながった。ただ、後半を振り返ると、波のある試合だった。力を出せる時間帯もあれば、相手の勢いに呑まれる時間帯もあった。
最後、勝利できたのはやはりサポーターの応援のおかげだと思っている。声援が力を与えてくれました。今日の大観衆の後押しが、勝利をつかみ取らせてくれました。
--あらためてシーズンの振り返りを。
就任5シーズン目、一番難しいシーズンでした。キャンプ前からケガ人もいましたし、シーズンに入ってからもケガ人や新型コロナウイルスの影響で必ず誰かがいない状況だった。不運もあったと思います。試合前日、当日に起用ができなくなる選手が出るなど、難しいシーズンでした。--今季の選手の成長についてはどう感じているか?
それぞれの選手が成長してくれたが、特に岡村(大八)が成長を果たしてくれた。そしてルーカス(フェルナンデス)もそうです。終盤はとても危険な、ゴールに直結するプレーをしてくれた。(ガブリエル)シャビエルも終盤にかけて質の高いプレーを出してくれた。菅(大輝)、田中(駿汰)、高嶺(朋樹)も成長してくれたと思う。
[ ゼ リカルド監督 ]
サポーターの皆さんだけでなく、清水エスパルスに関わるすべての人々にとって受け入れがたい、難しい瞬間になってしまったと思います。ペトロヴィッチ監督の作るチームは非常に良いチームということは覚悟していましたが、その相手に対して強い姿勢で臨み、最後まで勝てる可能性を追いかけながら戦いましたが、悔しい結果になりました。言葉にするのは難しいです。--白崎 凌兵選手を前に入れたりと、メンバーの変更があったが、今日のプランは?
1つは(北川)航也をケガで使えず、彼が今までトップ下のポジションでやっていたので、それをできる選手として白崎をそのポジションで使いました。また、札幌はエリア内に進入してくる動きが鋭いので、われわれの守備のときには、バイタルエリアをしっかり閉じておく必要もありました。そこは(松岡)大起に守備のところでやってもらう目的があって、その攻撃と守備をつなぐ役割として、白崎にそこをやってもらうという意図がありました。また、ポジションチェンジが必要になったときには、ベンジャミン(コロリ)を入れて1列下げるということもできると思っていた。それをやることで守備のときの相手の進入してくる動きに対して少し守備の強度が落ちることは覚悟していましたが、今日はそれが起こってしまいました。--最近続いている終盤の失点が勝敗を分けたと思うが、どのように守るつもりだったか?
終盤に失点をするというのは、われわれが何度もやってきたことです。それをやらないようにやってきましたが、悔しいのはわれわれが3点目を奪ったあと同点にされるのが早かったことです。われわれとしては、どうしても勝たなければいけない試合なので、前に前にという修正が必要になるし、それによってゲームがオープンになってしまうという展開になりました。どこでミスが起こったのか、それを見つめ直す作業があります。降格というのは受け入れがたい現実ですが、これは今日の結果だけでこうなったわけではありません。今まで終盤に失点をしてしまうミスを繰り返したことが積み重なり、今日の最終節を重圧の掛かる状態で迎えてしまいました。われわれの積み重ねてきたミスも含めて、どう修正していくかということをこれからやっていかなければいけません。