がちゃのメモ帳

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2022 J1リーグ第33節 アビスパ福岡vs柏レイソル メモ

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スタメン

福岡

メンバー18人は前節とまったく同じ。先発はマリ→フアンマの変更のみ。

田中と前嶋の欠場が続く。

 

4試合欠場していた川口が5試合ぶりの先発復帰。

武藤が5試合ぶりの先発。

ドウグラスがメンバー外に。

出場停止も含め、大南が4試合連続で欠場。

真家が6月18日以来のメンバー入り。

中村、岩下が負傷離脱中。

 

流れ

柏は3-1ビルド。福岡は3-4-2-1セット。

3分、福岡先制、1-0。山岸の起点作りからフアンマのパスで志知が左サイドのスペースに抜け出して折り返し。ゴール前に入ってきた山岸がうまく合わせてこじ開けた。前半で先制を許す流れが多くなっていた福岡が、逆に早く先制し、さい先の良い立ち上がりに。

4分、福岡のロングボールを高橋が処理するも、ルーズボールをフアンマがさらってFK獲得。柏は入りがフワッとしており、福岡がそこにガンガンつけ込んでいく。

8分、柏のビルドアップを福岡がハイプレスでハメる。柏はサイド経由で椎橋を使って回避しようとしたが、ルキアンが素早いプレスバックでカット。福岡は前3枚で3バックを追い、椎橋のところに明確なマーカーをつけていないので、FWの戻りが肝。

9分、山岸が左から仕掛けてシュートまで。ここまで福岡の一方的なペース。

10分、サヴィオが相手ボランチの背後で受けて前進を図るも、そのあとがつながらず。柏はサヴィオボランチ近辺で受けさせてポイントを作ろうとしているか。

15分、古賀→椎橋で前進成功。足元につけるとプレスバックを食らうので、スペースにピンポイントで送る形で届ける。柏は中盤でマークを受けにくい椎橋をどう使うかがポイント。

福岡は撤退時、前線3枚で複数選手を見て、後ろは迎撃用に余らせる。

19分、サヴィオが個人技で宮を交わし、ゴール前まで進入するも福岡守備陣がはね返す。柏は相手にブロックを組まれる中、個人技で1つの打開策を見せる。

20分、ロングボールをフアンマが収めてから山岸→ルキアンで背後を狙う。ファウルになったが、前線の好連係が見られた。

福岡は先制後からそこまでプレスに出ず、ミドルゾーンで構える守備へ移行。スコアが動いたからなのか、元々のプランなのかは不明。

21分、椎橋を経由して相手シャドーを内へ閉めさせて、浮いた高橋から運ばせる柏。

福岡はWBを極力前に出したくなさそうなので、必然的にシャドーの守備範囲が広がる。そこで追い切れなくなると、柏に前進のポイントが生まれるイメージ。

24分、上島→サヴィオで相手ボランチ脇を使って前進。柏は敵陣へ入るところまではそこまで困っていない。ただ、引かれた福岡を崩すまではなかなか難しい。

27分、セットプレー崩れから中村のクロス。PA内でヘディングで競り勝ち続けるも、強いシュートは打てず。

柏は徐々に前進の手段を失い始めてきている。CBからの縦パスも福岡の3バックが読みを利かせてカットする。

37分、上がってきた高橋からのクロス。山岸が追い切れないと高橋が空く、というシーンは何度か見られる。ただ、中はそろっているので、クロスを上げられても大丈夫という感じかもしれない。

38分、上島に警告。繰り返しのファウル。

40分、山岸のワンタッチパスにルキアンが抜け出そうとするも高橋がブロック。山岸→ルキアンのラインは何度か見られており、連係は良さそう。

中盤のルーズボールはほとんど福岡が回収し、収めており、柏はボールを持つ時間を作れないと押し込まれやすい展開に。

43分、福岡追加点、2-0。スローインの流れから湯澤のクロスをフアンマが合わせてゲット。柏は中野マークがぼやけて、フアンマをフリーにしてしまった。福岡は良いペースで進められていた中で大きな追加点。

 

互いに攻撃回数自体はあまり多くなく、比較的落ち着いた内容になったような印象だが、柏はほとんどチャンスというチャンスを作らせてもらえず、9割がた福岡ペースで進んだと言っていい。それも早い時間でスコアが動いたことも影響していたか。柏はボール保持でサヴィオを生かした前進ができていた10~20分あたりは敵陣まで入れていたものの、そこをシャドーの立ち位置やCBの迎撃で消されると前進手段がたたれ、持たされているだけのような時間がかなり増えた。福岡は後方でのはね返しはもちろん、前線の競り合いの強さ、中盤での球際、セカンド回収など、バトルの局面で大きく上回ったことで敵陣へ押し込むことができた。また、相手のバタつきを見逃さず、圧力を掛けていったことも抜け目がなかった。久しぶりに得意の先行逃げ切りパターンに持ち込めた。

DAZN集計で柏はシュート0。福岡の守備にまったく歯が立たず。後半でどのように修正するか。

 

 

後半

柏交代

武藤、上島、椎橋→真家、小屋松、戸嶋

前半まったくと言っていいほど良いところがなかった柏は怒涛の3枚替え。上島は警告を受けていたことも考慮したかもしれない。システムを4-4-2に変更。ドッジと戸嶋のボランチ。小屋松が左SH、サヴィオが右SH。

46分、柏得点、2-1。サヴィオPA近辺で収め、落としを戸嶋が強烈に蹴り込んだ。やや遠めからで、福岡もブロックに入っていたが、完璧なシュートでこじ開けた。柏は1stシュートが得点に。

52分、フアンマに警告。戸嶋への危険なチャージ。警告は妥当だが、直前の川口のラフプレーにおとがめなしだったので、やや不満あり気。

柏は4バックになったことでビルドアップ時に後ろにあまる枚数が少なくなり、ズレを作りやすくなった。特に福岡は柏SBを捕まえづらくなった印象。

54分、戸嶋に警告。福岡がカウンターに出ようとしたときに山岸を止めた。故意に倒したというよりも当たってしまったという感じだが、止めた事実が印象を悪くした。

システム変更で手を打ってきた柏が後半はペースを握り返している。福岡も守備重視で入っているが、まだハメ方を試行錯誤している状態。

56分、中村に警告。

柏の4-2ビルドの選手たちが、福岡の前線3枚の間に配置されるため、運ぶCB、広がるSB、背後に潜るボランチの誰を監視するかに迷いがある。

61分、福岡のハイプレス。フアンマのチェイシング、ルキアンのプレスバックで奪取。構造上前線の負担は大きそうだが、個人の献身性と守備能力でボールを奪い切った。

福岡は徐々に守備が落ち着いてきた。柏は立ち上がりほどの勢いがなくなり、ペースを明け渡しつつある。

福岡は全員を自陣へ下げて、5-4-1で撤退。崩されてはいないが、陣地回復が安定しないので受ける時間が長くなりつつある。

72分、フアンマが古賀からボールを奪ってチャンスメイク。ルキアンのシュートでCK獲得。福岡は前線のチェイシングとプレスバックの貢献度が光る。

74分、ハイプレスで回収する福岡。スイッチが入ったときのプレスはかなり迫力がある。

75分、福岡交代

フアンマ→渡

76分、サヴィオと小屋松がライン間で受けてスピードアップ。最後は真家がスペースに抜けてシュートも、枠へ飛ばせず。後半は小屋松とサヴィオがライン間で引き出して攻撃を活性化させている。

77-78分、サヴィオが運んで間に入ってきた小屋松のシュートまで。この2人だけで攻撃がほぼ完成する。

80分、トランジションルキアンが背負ってファウルをもらう。福岡は自陣にはりつけになりやすいが、個人のキープで時間を作る。

80分、柏交代

川口→北爪

福岡交代

山岸→田邉

福岡はファウルをもらって相手の攻撃をぶつ切りにし、リスタートに時間をかけて逃げ切りを図る。

84分、柏交代

細谷→加藤

先発2トップだった武藤と細谷はほとんど印象がないまま下がってしまった。

福岡はホルダーに多少時間が生まれようとも、後ろの選手は絶対に動かさない。前3枚で守るエリアを広げ、がんばって追ってもらう。

86分、三丸の配球を受けた小屋松のクロスに真家が飛び込むも村上が処理。

87分、宮が足を攣る。

福岡交代

ルキアン→金森

福岡はフィジカルに長けたFWがいなくなってしまったので、個人のキープで押し返すことは難しく、守備で走って守り切るプランに。

91分、宮に警告。サイドで抜け出そうとした真家を倒した。宮は足を攣っていた様子もあったので、スペースでの勝負になると厳しそう。

95分、湯澤に警告。スローインでの遅延行為。

 

前半は福岡ペース、後半はシステム変更で流れを引き寄せた柏のペースと、前後半で対照的な内容になったゲーム。福岡が2点リードで折り返したが、柏が後半開始早々に1点を返したことで福岡にとっては嫌な雰囲気が漂い、守る時間も長くなったが、最後までリードを守り抜いて勝利。柏は後半から出場した小屋松が面白いように機能し、サヴィオとともに攻撃を活性化させた。福岡はかみ合わせが悪くなったことで守備がハマらなくなり、なかなか押し返せなくなったところは反省材料。ただ、ゴール前での粘りはさすがで、リードを持っていれば強いことを示した。柏は後半の修正で勢いを増したところは良かったが、そもそも前半の1stプランがハマらなさすぎる問題は考える必要があるだろう。また、細谷と武藤の先発2トップがまったくと言っていいほど存在感がなく、個人のパフォーマンスとしてもチームの生かし方としても課題が残った。

 

個人的MOM

★フアンマ デルガド

久しぶりの先発で奮闘。ゴールはもちろんのこと、前線でのチェイシング、トランジション時の体を張ったキープなど、その貢献は多岐にわたった。テンションの上がったがゆえの警告の頂戴もあったが、前節の札幌戦にこの試合に臨むにあたっての気持ちの入れ方が伝わってきた。

 

フアンマとともに献身的な守備と前線のポイント作りで貢献した山岸、ルキアンも高評価。山岸は先制点のフィニッシュスキルも高かった。

柏は後半頭から入った小屋松と戸嶋が全体を活性化させ、サヴィオの個人技もより際立つようになった。もう少しで勝点が取れそうなところまで持ち込めたのは2人の貢献が大きい。

 

トピックス

上島が累積警告4枚目で次節出場停止。

戸嶋も累積警告4枚目で次節出場停止。

柏は9試合勝ちなしに。

山岸は2ケタゴールを達成。

 

監督コメント

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ 長谷部 茂利監督 ]
良い時間帯に得点を取れた。でも、あってはならない後半立ち上がりの失点を喫してしまった。前半の初めに失点をしないというところは今日に限っては改善できましたが、後半の立ち上がりにそういうことが起きました。ギリギリのゲームでしたが、2点取っていたから勝てたというゲームになりました。

相手のシステム変更やメンバー変更に、私自身もチームとしても多少なりともバタバタとしてしまったところはあったと思います。いつもだったらもっと落ち着いて対応、対処できたと思いますが、今日のところはそこが後半の立ち上がりのところでできなかった。その後も、どうにか失点をしないという意味では対応できましたが、危ない場面は少しあったかなと思います。

ピッチの中で選手たちがどう対応しようかということを決断して、システムを含めて対応していました。追加点を許さなかったことは良かったと思いますが、もう少しこちらからもアプローチしてもっともっと良い形をとれたらなと思いました。

また、33節が終わったことで現状1つ順位が上がったんですかね。そういう立ち位置になったので、また継続してもう1試合、自分たちの力を出し続けて、良い結果を取りたいと思います。

--今日は3バックで臨みました。また相手がシステムを変えてきても3バックを継続しました。その意図は?
相手の長所を消すために、CBは3人いたほうが良いんじゃないか、という考えでそういう決断をしました。スピードもあるし、高さもあるし、と予想していましたが、何名か、ケガかどうかは分かりませんが、メンバーに入っていなかったということもありました。ただ、そこで対応できなくてはいけない。また自分たちが後ろから前に配球するところでも2CBよりも3人のほうが余裕を持ってボールを動かせるんじゃないかということでトレーニングもしていましたが、そこのところはちょっと出すことができなかった。何回かはあったのですが、もっともっと回数を上げなければ、と思いました。

またハーフタイムに相手はシステムを変えてきましたが、危なそうな場面はあったものの、やられる回数とか大ピンチになることがなかったことと、どうしようかベンチで話しながら迷っていた状況もありました。ただ、選手が中で人の立ち位置を変えることを決断したということがあったので、それもこちらのほうに映っていたのですが、「それはどうなんだ」と話したりしていた状況がありました。飲水タイムがないぶん、意思疎通を図ることが難しい中で選手たちはよくやってくれたなと思います。

 

[ ネルシーニョ監督 ]
前半はすべての意味で、われわれの戦術的な部分、技術的な部分が空回りした、とにかく入りが悪いゲームになったと思います。チームとしてあるいは個々の部分においてもパーソナリティーに精彩を欠くような時間帯が続き、われわれがやろうとしていたゲームプランをまったく遂行できない前半で、そこで失点を食らいました。

ハーフタイムに入って、選手の部分だけではなくシステムも変更して、われわれは攻撃的に出ていかなければいけなかなったので、より前線に人数をかけるという意図を持って、ああいう形に変更しました。後半は2点のビハインドから開始してすぐに1点を返し、守備のところにおいても(最終ラインを)4枚に変えてから安定して相手のカウンター攻撃を前半ほどは形作られることもなく、得点に結びつくような決定機も作られなかった。守備の部分が非常に安定したんじゃないかと思う。

逆にわれわれの攻撃陣が、後半に入ってから良い形でボールを動かしながらテンポよく相手陣地に進入する形も作れていましたので、ゲーム終了後に選手にも伝えましたが、「サッカーにおいてはインテンシティーと個々のパーソナリティーというものをしっかりと90分間出し切らないと、やはり結果はついてこないんだ」と。試合開始の笛が鳴った時点で両者の間で主導権の奪い合いが始まるわけで、「そこで受け身になってしまうと今日の前半のような戦いしかできないんだ」と。前半に比べて、後半を戦ってくれた選手たちはチームとしても非常にファイトしていたと思いますし、後半にわれわれの時間は作れたが、結果として敗戦してしまったゲームだったと思います。

--試合前に亡くなられた工藤 壮人選手への黙とうがささげられ、サポーターからはチャントもありました。ネルシーニョ監督も特別な思いを持って、今日の試合に臨まれていただろうと思います。
彼が亡くなったという訃報を聞いて、今週1週間は個人的にも非常につらいものだったことは言うまでもないことですが、彼との初めての接点は2009年、彼がトップチームのグアムキャンプに合流したときだったと記憶しています。以来、彼はチームの中で存在感を発揮してくれました。2009年に加入してから2014年まで彼と一緒に仕事をしていた間、彼の謙虚さとプロ意識が変わることはまったくありませんでした。人間だれしもいつかは終わりが来るものですが、いまはただただ彼が安らかに眠れるように祈りをささげるだけです。一方で彼の人生の一部に、彼のサッカー選手としての成功に少しでも携われたこと、同じ時間を過ごすことができたことについては私自身非常にうれしく、誇らしく思っています。彼がレイソルに残した多大な功績はこれからも決して忘れられることはありませんし、レイソルに関わるすべての人間、また彼の仲間たちの記憶にこれからもずっと残り続けると思っています。