スタメン
名古屋は藤井、レオシルバがお休みで、チアゴと宮原が先発。レオシルバは前節でかなりの疲労が見て取れたので妥当なターンオーバー。
流れ
福岡はミドルゾーンで構え、相手が横パスで動かしたときにスイッチを入れてじわじわと寄せていくイメージ。
立ち上がりは名古屋が持って福岡が受ける構図。福岡が積極的に前へ送ってくるのに対し、名古屋はそれなりに保持する意志があるため、名古屋保持の局面が多くなりやすい。
6分、北島が左から仕掛けてPA内進入を狙うも名古屋DFが阻止。福岡は金森と北島のドリブルで変化をつけようとしているか。
名古屋はボールを持つ時間こそ長いが、前進はうまくできず。福岡の1stラインを超えられない。
10分、北島が中盤で起点を作ってスルーパスを狙うも合わず。福岡も少しずつ保持からの打開を図るようになってきた。
13-14分、丸山のロングフィードのこぼれ球を稲垣が回収して名古屋が敵陣へ進入成功。森下の仕掛けでFK獲得。
14分、名古屋先制、1-0。マテウスの低くて速いFKが中谷に当たってゴールへ吸い込まれる。マテウスというエクストラキッカーがいる中で、森下がいい位置のFKを獲得できたことが効いた。
福岡が保持して名古屋が中盤で圧縮を狙うような展開になってきた。名古屋が柿谷もプレスバックで中盤サポートに入ることで中央の圧縮度は高い。
22分、トランジションから最後は相馬のクロス→マテウス。宮が絞って対応。
24分、相馬の仕掛けに対して対応したルキアンに警告。ファウルにはなってしまったが、戻って対応したことは素晴らしかった。
27分、CKからの被カウンターで相馬を倒した前に警告。前は自身のシュートミスがカウンターにつながってしまい、自分で落とし前をつける格好に。福岡は相手の仕掛けに一歩間に合わずに対応するケースが目立っており、警告も早めに出てしまっている。
34分、山岸と競り合った際の着地時に痛めるチアゴ。一度外へ出たが、そのままプレー続行。
名古屋はプレス時にはCBも人について全体を押し上げていく。
39分、ルキアンのポストから中央突破を狙うが、名古屋の守備陣が堅い。人の強さも枚数の多さもある。
40分、ルーズボールの競り合いでチアゴの足裏でのアタックを受けた山岸が痛む。原判定はカードなしのファウルだったが、オンフィールドレビューの結果、チアゴにレッドカードが提示。ボールにいった結果ではあったが、かなり危険な接触だった。
名古屋はすぐさま藤井を準備。先ほどチアゴが痛めた際の準備がイレギュラーな形で生きた。
44分、名古屋交代
仙頭→藤井
柿谷を最前線に残し、中盤は右からマテウス、稲垣、宮原の3センターで5-3-1セット。
名古屋はボールへの寄せの意識は変わらないが、1点リードや時間帯も考慮してか、無理に攻めずに色気は出さない。
序盤はボールを持ったほうが難しくなるという特殊な展開の中、ダイレクトな前進から森下の仕掛けでファウルをもらい、マテウスの飛び道具で先制に成功した名古屋。そこからは守備に軸足を置きながら、相馬らを生かしたカウンターで追加点を狙った。相手にそこまでチャンスを作らせず、逆にカードを誘発するなど、的確にボディーを食らわせるような展開に持ち込めたが、チアゴが退場したことで45分以上を数的不利で戦うことになった。なんの迷いもなく藤井を投入したことからは、まずは失点をしないことが第一という意図を感じた。
ともにダイレクト志向の攻撃なので、大味な展開が続き、個人でのバトルが勝負のカギを握る。福岡は数的優位が約束された中の後半でどのような手を打つか。
後半
1人少ない名古屋は前半終了間際と同様に割り切って守備にかじを切る。福岡はサイドからのクロスを軸にゴールへ迫る。
名古屋は奪ったあともカウンターやつなぎで色気を出そうとせず、バランスを保った状態でリスクをかけずに時計の針を進めていこうとするプラン。
49分、PA内でイレギュラーな形でシュートチャンスを得た北島が右足を振るも藤井がブロック。名古屋は危険なシーンだったが、しっかりとシュートコースを消した。
名古屋のWBは迎撃意識も強いので、福岡はそこを動かしてサイド奥でポイントを作ろうとしているか。
55分、湯澤の強引な仕掛けからクロスを送るも、藤井がカット。名古屋は3バックがゴール前に立ちはだかる。
55分、福岡交代
北島、金森、湯澤→田中、クルークス、柳
57分、名古屋交代
2人ともそのままのポジション。
名古屋はラインこそ低いが、ディフェンシブサードではホルダーにしっかりとプレッシャーを掛けて簡単にはゴール前には入れさせない。IHとWBが出ていくことで追い返せている。
63分、クルークスの右足でのクロスに山岸が合わせるも枠外。難易度の高いシュートではあったが、福岡はようやくシュートまで持ち込めた。
65分、名古屋が敵陣サイド奥でボールを回しながら時間を使い、ファウルをもらってFK獲得。焦れた柳が相馬を倒して警告。名古屋はマテウスが下がったことで、なにもないところから一気にゴールへ迫るのは難しいため、リスクをかけずに時間をかけるプレー選択が目立つ。
67分、福岡交代
中村→フアンマ
中盤の枚数を減らしてターゲットを増やす。
ルキアンとフアンマの2トップのすぐ下で山岸が自由に動くイメージ。前が中盤の底を1人で務める4-1-3-2っぽい形。
名古屋の3バックのはね返しがかなり強く、逆サイドのWBもしっかりとしぼってくるため、普通のクロスでこじ開けるのは難しい。福岡としては2つ以上のエラーとイレギュラーを生み出さないと決定機に持ち込めなさそうだが、ここまでは1つ作りだすこともなかなかできていない状況。
76分、宮からフアンマへ届けてチャンスも藤井がカバー。精度と連係で名古屋のエラーを1つ作り出したが、フアンマのシュートまでのスピードが上げて2つ目の山を越えないとやはり難しい。
76分、福岡交代
志知→田邉
福岡は1点ビハインドかつ数的優位の状況と合って早くも交代カードを全て消費。
79分、久々に敵陣まで入った名古屋が、相馬のクロスからグローリのクリアがゴール方向へ向かってあわやオウンゴールに。
80分、相馬のCKを中谷が合わせるも枠外。名古屋が少ないチャンスで雰囲気を見せる。
福岡は左の大外レーンを田中1人に任せて、田邉は中盤で自由に動かす。
85分、フリーのグローリからルキアンへのスルーパス。藤井が体を寄せてやらせず。ここも1つ目の山は超えたが、2つ目を超えるには質が足りない。
80分すぎあたりから?クルークスと田中がサイドを入れ替える。
88分、左サイドでのパス回しからクロスにフアンマが合わせてネットを揺らすもオフサイドの判定。密集を抜け出したところで1つ、クロスの質とフアンマの強さで2つと、山を越えたが、痛恨のオフサイド。
90分、名古屋交代
丸山→石田
石田が最前線に入り、酒井が最終ラインへ移る。丸山には特に負傷などの様子はなかったが、どういう意図の交代だったか。
93分、右からのクロスのルーズボールを田中が狙うも枠外。
終盤に一度はネットを揺らされた(オフサイド)ものの、1人少ない名古屋が最後までほぼ危なげなくシャットアウトに成功。最後は酒井を最終ラインへ下げるなど、さまざまな手を打ちながら相手の攻撃を封じた。最初はマテウスを残しながらも、相手がクルークスや田中を入れてくると見るや酒井とレオシルバを入れて守備の強化を図った長谷川監督の采配も良いほうへ転んだ。
福岡は1人多い状況ながら、後半もほとんどチャンスを作れず、攻撃面で大きな課題が残った。長谷部監督も全体のバランスを崩すなど、使える選手の中で工夫は凝らしたように思うが状況は好転せず。フアンマの幻のゴールが決まっていればまた印象も変わっていたかもしれない。
個人的MOM
★藤井 陽也
何度かあったかピンチでは必ずと言っていいくらい藤井が対応してランゲラックから“仕事を奪った”。途中出場ながら落ち着いたプレーぶりで、完封勝利に大きく貢献した。
名古屋は中盤で先発の機会を得た宮原が1人少なくなった状況での守備で良い働きを見せた。元々中盤の経験もあるだけに、バランスを見ながらプレスを掛けていく動きで追い出しに成功。また、途中出場の酒井とレオシルバもすんなりとゲームに入り、守備強化のタスクを遂行。酒井に関しては最終ラインにも入るなど、その働きは多岐にわたった。
監督コメント
(※Jリーグ公式サイトから引用)
[ 長谷川 健太監督 ]
難しい試合になりましたけど、前半も含めて後半も、全員が本当に献身的にチームの勝利のために頑張ってくれたと思います。--数的不利になりましたが選手への指示は?
初めはマテウス(カストロ)を守備的にしてと思っていましたが、(ジョルディ)クルークスが入って完全にサイドからと相手もなってきたので、もう酒井(宣福)とレオ シルバを入れて、割り切ってという形にしました。--丸山 祐市選手に代えて酒井選手をCBで起用しましたが?
丸山はケガが治ってフルで出ていて疲れが出ていました。最後の方で若干、屈強な相手に少し取れていないと感じたので、もしもであれば酒井を下げるしかないと試合の途中で思っていました。終盤オフサイドで取り消しになりましたけど、相手のクロスも合ってきたので酒井を下げました。--苦しい試合に勝ち切り、勢いを増す勝利だと思いますが?
こういう厳しい試合を勝ち切って、これからも紙一重でも勝てるようにと話してきましたが、そういうところにこだわってプレーできるかどうかに尽きると思います。
丸山の交代は疲労などによるコンディションを考慮してのものだった模様。チアゴ退場後すぐに迷いなく藤井を入れたことや、万が一追いつかれた際に最もゴールが期待できるマテウスを早めに下げる決断力はさすが。その采配を正しい手にした守備陣の粘りも〇。
[ 長谷部 茂利監督 ]
良い戦いをしていたと思いますが、あの形から1失点をしてしまったのはもったいなかったと思います。また相手が10人になって、後半1人多く戦っていましたが、効果的な攻撃、チャンスの回数が少な過ぎて、シュートの本数も倍くらいないといけないですし、ゴールに迫る回数も少なかったので、質とチームとしてやっていくことを徹底というか、ゴールに対するアプローチの仕方、ボールのつなぎ方、出方など反省してチャンスでしっかり取れるようにやっていきたいと思います。--攻撃に工夫がなさ過ぎたと思いますが?
こちらからも提示を含め、選手たちのその場その場での外し方だと思います。もっと力をつけないといけないと思います。ああいう堅いチームから得点を取るのは難しい。それはわれわれだけでなく、われわれが守備のときでもそうですが。簡単なことではなく時間をかけてトレーニングしないといけない。このタイトなスケジュールでなかなか難しいですが、それでもやっぱりやらなければ勝つことはできない。工夫して練習して力をつけたいと思っています。--交代でジョルディ クルークス選手を右に入れましたが、どちらかといえば山岸 祐也選手の方が前めでしたが?
チームの判断と、また2対1の形で崩して右サイドからチャンスを作ろうと、どちらが前か決まってはいませんでしたが、もともとスタートの位置はジョルディの方が前で、そこから(クロスは)何回か入ったと思うので、はね返されていましたが、クロスのところは形になっていたと思います。