2022 J1リーグ第27節 浦和レッズvs北海道コンサドーレ札幌 メモ
スタメン
浦和
モーベルグが3試合ぶりのメンバー入り。
安居がメンバーから外れて柴戸が2試合ぶりにベンチ入り。
江坂がメンバー外に。
馬渡とシャルクが3試合連続で欠場。
犬飼が負傷離脱中。
札幌
高嶺が出場停止明けで先発に。
前節で負傷交代した駒井が欠場。一方で前々節に負傷して前節欠場していた荒野が先発復帰。
契約上の理由で興梠が出場不可。前節欠場していた小柏がメンバー復帰。
宮澤が6試合ぶりのメンバー復帰。
深井が負傷離脱中。
流れ
浦和はリンセンとユンカーを前残り気味にさせ、カウンターの色気を残すバランスのとり方。
札幌は高嶺が左に下りる4-1ビルド。荒野も下りて最終ラインを3枚気味にするパターンも。
3分、シャビエルのパスから青木がポケットへ抜け出し、シュートも角度がなく枠外。札幌がボールを持って攻め込み、浦和がカウンターをにらむような構図。
浦和は2トップの守備規制がほぼかからないので、後ろの4-4が下がりながら対応するシーンが目立つ。逆に札幌は少ない負担で敵陣へ入れる。浦和は前線の2人を生かすために、自陣へ引き込むことは意味があるが、ゴール前での守備が増えることをどうとらえているか。
立ち上がりから札幌が保持する時間が続く。
8分、菅野が組み立てにして3-1ビルド。高嶺の縦パスを青木がライン間で受けて前進。ここまで組み立ての部分でまったく困っていない札幌。そして敵陣での攻撃の試行回数を増やしてゴールへ迫る。
浦和はゴールキックなど、ロングボールはリンセンを狙う。
10分、高嶺がリンセンとの競り合いで痛む。脇腹のあたりを気にしているが、プレー続行は可能。
札幌は守備時も高嶺が最終ラインにおり、4バックベースでやっているか。
札幌は岡村、菅野、高嶺-荒野の3-1で相手の2トップを外す作業から始める。浦和は中盤がそこまでつぶしに出て行かないので、札幌は2トップが追えなくなるまでジワジワ回す。
札幌のプレスは、シャビエルをチェイス役にして青木に岩尾をマンツーでみさせる。
浦和はロングボール一辺倒になっており、リンセンがそこまで確率高く収められないので、ボールを持つ時間がなかなか作れない。
14-15分、スペースを持ったルーカスへの展開から追い越した菅の折り返し。
16分、浦和がゴールキックからつなぎにいったが、札幌のマンツープレスに食われてロスト。岡村がユンカーのところをうまくつぶした。
17分、小柏がポケットを攻略して折り返し、ルーカスが合わせるもブロックに遭う。二次攻撃で金子の仕掛けから右足のシュート。札幌が連続でゴールへ迫り続ける。浦和はSBが外に出るとボランチがその背後をカバーする仕組みがあり、そこの出し入れを続けることでポケット攻略を狙う札幌。
20分、FKから岩波が折り返して混戦を作るも押し込めず。
浦和は2トップ脇から簡単に入られてしまうので、ボランチとSHのポジション取りが難しい。ボランチが出ないとラインがずるずる下がるが、ボランチが出てSHが絞ると外が空く。SHが絞らないとライン間に刺される。
23分、浦和がセットプレー守備からカウンターに出かけるも、札幌が素早く戻って阻止。
24分まででの支配率が浦和36-札幌64(DAZN集計)。浦和はまったくといっていいほどボールを持てていない上、カウンターで押し返せるシーンもかなり少ない。ほぼ札幌の一方的なペースと言っていい。
26分、浦和が高い位置で奪い、リンセンの折り返しにユンカーが飛び込むもわずかに届かず。ようやく高い位置での守備が機能した。
29分、ルーカスの仕掛けからのパスで青木が前を向いてシュート。西川が右手を残してビッグセーブ。
30分、浦和のカウンター。リンセン→ユンカーで縦に速く攻めようとしたが通らず。
35分、左から岩尾のロブパスにユンカーが反応し、ループで狙うもサイドネット。2人の質で惜しいチャンスを作り出した。
36分、酒井が右でぬけだして折り返すも質が伴わず。浦和が少しずつ押し返す時間。セットしてしまうと2トップ脇から入り込まれるが、高い位置でSHらが強度を上げて追えれば回収できる。
37分、岩尾のロブパスにリンセンが抜けてループを狙うもバーの上。浦和が惜しいチャンスを作れてきている。札幌はかなりいびつな守備体系で、自陣でもマンツー要素強めなので、中盤の守備が機能しにくいように見える。バイタルが極端に空きやすい。
浦和がカウンターに出た際、札幌の最終ラインはパスが出た瞬間に前で奪い取りに行く意識が高く、ここまではそれが奏功している。
44分、リンセンがPA内で後ろ向きで受けてからシュートまで。浦和は前に出て潰し切れれば攻撃へ転じられる。また、保持すれば、中盤からの配球でチャンスを作れるように。
30分頃までは札幌が圧倒。ボールを持って敵陣へ押し込み、コンビネーションから多くのチャンスを作り出した。浦和は2トップの守備規制がかかりにくく、組み立てでも収めどころを作れなかったため、押し込まれる展開になった。30分過ぎからはある程度前で奪えるシーンも作り、何度か惜しいチャンスを作り出した浦和だが、総じてプランがうまく決まったとは言えないだろう。浦和にもチャンスがあったとはいえ、リードしたかったのはおそらく札幌のほう。チャンスの数は多かったものの、決定機といえるシーンは少なかったか。札幌はやり続けるだけ、浦和は2トップの守備と、保持を落ち着かせる修正をどのようにするか。
後半
後半も立ち上がりは札幌ペース。2トップ脇や大外をうまく使いながら前進していく。
札幌は前3人がマーカーを捕まえながら強くプレスを掛けて蹴らせにかかる。
51分、岩尾で奪って一気にユンカーで抜け出すカウンター。大久保の押し上げでバランスよくプレスを掛けて中へ誘導し、うまく引っかけられた。
52分、大久保がライン間で前を向き、リンセンへ預けるもコントロールが決まらず。その後もう一度リンセンにチャンスがくるもルーカスがプレスバックで対応。浦和が押し返し始めた。
54分~、浦和の保持。札幌はマンツーでハメ切れなくなってきた。
55-56分、小柏→青木→シャビエルでスペースをとりにいったが、浦和DFがコースにはいて阻止。
56分、ユンカー→大畑→リンセンとつないでオープンからフリーを作り出したが、リンセンが決め切れず。決定機。
札幌は全体のバランスを崩して攻める、浦和は縦に速く攻めるというスタイルの掛け合わせでかなりオープンな展開になってきている。
60分、2トップ裏を使って前進する札幌。荒野の配球で小柏がポケットから折り返すが、つながらず。
62分、小柏が右で折り返すも中で合わず。
62分、浦和交代
ユンカー→松尾
64分、浦和が高い位置でハメ切って伊藤のシュートまで。浦和は思い切って人を押し出してプレスを掛け切れた時には前で奪えるシーンを作れている。ただ、外されれば一気にスピードアップを許すため、そのバランスのとり方は悩みながらというように見える。
66分、岡村が前向きで奪ってから金子の仕掛けまで。浦和も保持時に中盤が空洞化しやすくなっているか。
69分、札幌先制、0-1。金子→青木→ルーカスとサイドを横断し、ルーカスのコントロールショットで内側からサイドネットを揺らした。西川はほぼノーチャンスと言っていい完璧なシュート。
71分、札幌交代
小柏→キムゴンヒ
浦和交代
伊藤、リンセン→柴戸、明本
72分、ショルツの運びから前進し、柴戸のミドルまで。
73分、トランジションから青木が運んで最後はシャビエルがシュート。西川が好セーブ。
74分、浦和がカウンター。松尾のシュートはポストをたたき、跳ね返りを酒井が狙うがシュートブロック。まだ70分台ながらかなりオープンな殴り合いになってきた。
74分、菅が痛む。菅野から×印が出る。右足首を押さえており、シュートブロックの際にダメージがあったか。
77分、札幌交代
菅、荒野→福森、宮澤
78分、松尾が高い位置でルーズボールをひっかけて明本に決定機が訪れるもシュートは枠外へ。
浦和は前線の選手が変わったこともあり、前から強度を上げてボールを奪いに行くように。
82分、松尾が高い位置でルーズボールを拾って、ラストパス。小泉のシュートはわずかに外れる。
83分、小泉のワンタッチパスで明本が深さを作り、右から折り返し、大久保?がスルーするが、後ろには誰もおらず。
84分、大久保のカットインミドルが福森の手に当たり、ハンドの判定で浦和がPKを獲得。福森には警告が提示。
87分、浦和交代
大畑、大久保→関根、モーベルグ
関根はそのまま左SBの位置に入る。
札幌交代
シャビエル→西
88分、浦和同点、1-1。ショルツがPKを落ち着いて決めた。菅野もコースは読んでいたが、上を狙ったショルツのキックのほうが上。
一時、スーパーオープンな殴り合いになっていたことを考えると多少各局面は落ち着いた。
ルーカスが個人でプレスを掛けてカットするも、西川がカバーして事なきを得る。
95分、小泉の縦パスのこぼれを松尾が左足で狙うも枠外へ。
後半は札幌が少し落ちた(落とした?)こともあり、浦和が保持やカウンターでチャンスを創出。ただ、決め切れずにいると札幌がルーカスのゴールで先制。70分あたりからかなりオープンな展開になり、両者にチャンスが訪れるようになった。終盤は浦和の途中出場選手、松尾や明本が攻守で前線を活性化させ、ルーズボールの回収や深さ作りからゴールへ近づき、終了間際にPKを獲得。なんとか追い付き、引き分けで決着した。
浦和は前節からボール保持にこだわらず、縦に速い攻撃をメインにし始めた印象だが、ユンカーを起用すると前線での守備がハマらず、自陣で相手の攻撃を受ける展開になってしまうのは気になるポイント。前半は札幌守備陣の対応が良かったこともあったが、ゲームのコントロールの仕方としては不本意なのではないか。スタートと終盤では一概に比較できないが、松尾と明本が入った終盤のほうがより良い内容になったように感じる。
札幌はチャンスは作れているが得点になかなか結び付かないという点はこの試合でも出た。ビルドアップを安定させ、相手のカウンターの芽も摘むところでは内容は良かったが、もう一歩二歩なにかが足りない印象は受ける。
個人的MOM
★ルーカス フェルナンデス
見事なコントロールショットで先制点をゲット。ここ数試合は動きにキレがあり、攻撃に変化をつける存在として欠かせない。
最終ラインからの持ち運び、縦パス、逆への展開と、攻撃の起点として機能した高嶺、ユンカーやリンセンとのマッチアップで引けを取らなかった岡村も高評価。
浦和は途中出場の松尾と明本が前線を活性化させ、ペースの引き戻しに貢献した。
トピックス
交代直後のユンカーはベンチで怒りをあらわに。かなりフラストレーションがたまっている模様。
監督コメント
(※Jリーグ公式サイトから引用)
[ リカルド ロドリゲス監督 ]
今週は非常に難しい試合になると思っていました。相手のプレスが人に対して強く来るやり方で、それをどう破っていくかというところでしたが、チームとしてはいくつか狙いを持ってやりながら、25分を過ぎたころから落ち着いて動かせるようになってきました。その中で前線からのプレスやコンビネーションからのゴールのチャンスを生かせていればという場面も前半ではありました。後半は前半よりも良くなって、相手も落ちてくる中で、ブライアン(リンセン)や松尾(佑介)、明本(考浩)らのチャンスがあり、そのどれかを生かせていればというのはありましたが、ルーカス(フェルナンデス)選手に決められてしまい、先制を許してしまいました。ただそのあと、チームはあきらめずに戦い続けましたし、攻撃を続けて同点に追いつくことができました。チャンスの数や決定的な場面など考えれば、全体的に見て悪くはなかったと思っています。
--25分頃までは非常に苦しい試合だったと思うが、あのような状況になった原因は?
先ほど言ったとおり、相手のディフェンスが人に対して強く来る中で背後を狙っていきましたが、相手に強く寄せられてしまい、狙ったことがなかなかできなかったと思います。ただ小泉(佳穂)や大久保(智明)の立ち位置を少し修正して、内側のところで数的有利を作りながらやっていく中で少し改善したと思っています。その解決策を見つけてからは少しずつ試合の流れが良くなっていったと思います。--チャンスは浦和のほうが多かったとも思うが、決め切れなかった。改善に必要なことをどう考えるか?
トレーニングなのか、個の部分なのかは明言するのが難しいところではあります。ただもちろん、監督としてはいかにチームとしてチャンスの数と質を増やして、高めていくかを取り組んでいきます。もちろん、チャンスを外したいと思っている人はいません。どれが欠けているからこうなっているとハッキリ言うことは難しいですが、おっしゃるとおりチャンス自体はあったと思っていますし、ほかの試合でも決め切れない試合がありました。ただ、リーグ全体を見てもゴール期待値で2位につけるくらい、チャンスの数だけでなく質のところも取れていると思いますので、最後の決め切るところは欠けていると思います。
[ ペトロヴィッチ監督 ]
今日の札幌は素晴らしい戦いを見せたと思います。立ち上がりから浦和にプレッシャーを掛けて、走る、戦う、コンビネーション、 ゲームを作るなどを含めて、相手を押し込める戦いができたと思います。浦和は引き気味で、場面によっては自陣に11人が戻る戦い方をしていたと思います。後半に入ってもより圧力を掛けて、相手に迫る形が作れていたと思います。その中で先に点を取ってリードを作れましたが、残り15分くらいから体力的にキツくなってきたところで押し込まれる、ピンチになる場面を作られてしまいました。今季は非常にケガ人が多くいる中で、後半の終盤に入っても同じ戦い方を続けるのは厳しくなってきます。その中でPKを与えて追いつかれてしまいましたが、選手たちはこの浦和のアウェイで素晴らしい戦いを見せてくれたと思いますし、札幌あるいは浦和のサポーターに満足していただけるような試合を見せられたのではないかと思います。
--今日は[4-4-2]気味で戦っていたように見えたが。狙いは?
基本的には、われわれの戦い方は常に同じです。守備に関して、相手の戦い方によって少し形を変えているだけです。浦和が[4-4-2]の形で戦っていましたので、それに対してプレッシングするのにその形のほうがハマりやすいということです。浦和が[4-2-3-1]で攻撃していたときは岡村(大八)が相手の1トップをつかまえて、トップ下の選手を高嶺(朋樹)がという形でしたが、最初は相手が2トップでしたので、岡村と高嶺が2トップについて、サイドハーフに菅(大輝)と田中(駿汰)、そういう形になったというだけです。
プレッシングに行くのは決して簡単ではなく、いろいろな状況を瞬時に把握しながら行かなければいけません。浦和も2トップでは追い切れずにサイドハーフが出てくるなど、前からプレスを試みていたと思いますが、引っかけられる場面もありながら何本かパスをつないでいくと、すぐに自陣にブロックを作って守っていました。続けるのは簡単ではない中で、自分たちがプレスで蹴らせて回収して、主導権を握ってという戦いを見せられたのではないかと思います。