スタメン
湘南
阿部が加入後初先発。
田中がメンバー外で米本が先発に。
畑が3試合ぶりにメンバー入り。
札幌
菅が出場停止。
負傷を繰り返していた小柏が第10節以来のメンバー入り。
前節欠場した高嶺と岡村が先発復帰。
金子とシャビエルが負傷離脱中。
流れ
15秒、札幌が左の連係から青木のクロス。小柏が飛び込むもわずかに合わず。
札幌は人を合わせて前からプレスを掛ける。前3枚が3バックへ、深井がアンカーの米本をマーク。
4分、高嶺の対角フィードからルーカスが抜け出して仕掛けてクロス。中には合わなかったが、怖さがある攻撃。
立ち上がりは札幌が圧力を高めて主導権を握る。
札幌は相手2トップの脇から高嶺が運んでパス出しで起点になることが多い。
8分、札幌先制、0-1。敵陣高い位置で奪った札幌が小柏のクロス→駒井のシュートでゲット。非常に質の高いシュートで谷はノーチャンス。復帰戦になった小柏は早速ゴールに絡む。
湘南は失点後から町野を最前線に残す5-4-1ブロックに切り替え。ゴールが決まったあとにピッチ内で話し合いが行われていたとのリポートがあり、それが守備のところだったか。
13分、札幌追加点、0-2。湘南が前プレにきたところで札幌がうまく繋いで背後へ送り、ルーズボールを小柏が回収して最後は興梠が押し込んだ。「そこにいたら当たった」という言い方のほうが正しいかもしれない。湘南は大量失点を喫していた中盤戦のときのような悪癖が出てしまっている。
17分、高嶺が逆へ展開してからルーカスの突破。マイナスに折り返して青木のシュートまで。立ち上がりからずっと札幌ペースが続く。
18分、湘南が左を崩して高橋がクロスを送るもはじき返される。湘南は初めてに近いくらいのチャンス。
20分、自陣からカウンターに出ていくが、小柏のところで人数をかけられてペースダウン。シュートまでは行けなかったが、札幌が陣地回復の術も見せる。小柏が入っただけで様々な局面において深みを作れるようになった。
23分~、湘南がボールを持っているが、持っているだけになっており、なかなか前進はさせてもらえない。
25分、飲水タイム。立ち上がりから良い入りを見せた札幌があっという間に2点を先制。その後もペースを握り、大きな展開から右サイドを使うパターンでゴールへ迫った。湘南は保持も非保持もうまくいかず、なにかを変えようとしている様子は見うけられるが、解決策は見つけられていない。
25分、町野が足を痛めたか。首をひねっており、ピッチの外へ出る。湘南は一時的に1人少ない状況に。ひとまず5-3-1セットにする。
28分、湘南交代
大橋→町野
町野は負傷交代。表情こそ落ち着いているが、担架に乗せられて運ばれる。
30分、舘が切り返してマーカーを外しにかかるが、駒井も粘りの対応でしつこく食いつく。
31分、自陣で奪ってから小柏が陣地回復。無理にゴールへ向かわず、時間を作って押し上げるのを待つ。
32分、米本に警告。湘南が中盤で奪って縦に速い攻撃を狙うも、札幌に奪われてファウルで止めた。
34-35分、高嶺のロングフィードに小柏が抜け出してシュートもサイドネット。結果的にオフサイドにはなったが、一発でゴールへ迫れる攻撃を見せる。
38分、湘南は阿部をアンカー位置にいる深井へマークにつき、5-3-1-1っぽいセット。
39分、後方からのパスを大橋がボレーで狙うもGK正面へ。
40分、札幌追加点、0-3。高嶺→興梠でPA手前に起点を作り、落としを宮澤がミドルで狙ってゲット。湘南が右で作ったところで閉じ込められずに逆へ流されて簡単に前進を許した。
44分、高橋が左で仕掛けるもルーカスが蓋。湘南は攻撃の糸口を見つけられず。
46分、PA手前で大橋が倒されるも、判定は湘南側のファウルで札幌ボール。大橋が先にボールを触ったあとに田中駿が大橋の足を蹴っていたように見えたので、湘南の異議はよく分かる。
スコアも内容も完全に札幌が支配したと言っていい前半。湘南も少しずつボールを持てるようにはなったが、チャンスというチャンスはほとんど作れず、不完全燃焼に終わった。さらにはチームトップスコアラー町野が負傷交代となるなど苦しい状況。
札幌は立ち上がりからペースをつかんで、勢いのままに3得点。昨季のように前半から飛ばしている印象もなく、そこまで消耗があったわけでもないはず。小柏復帰の効果が絶大。
湘南は最初から最後まで守備が全くハマらず。主に高嶺のところからの前進を止められず、攻撃を加速させられた。また、ビルドアップの局面でもマンツー気味についてくる相手の守備をかいくぐれないシーンが目立ち、なかなか敵陣へ入れなかった。敵陣へ入ってからも打開策が見えないまま前半終了。
後半
湘南交代
高橋、池田→中野、タリク
3点ビハインドの流れを変えるべく、ハーフタイムで2枚替え。より攻撃的な選手に入れ替えた。
45分、中盤でルーカスが回収して小柏へラストパス。1人抜いてからシュートを打ったが惜しくも枠外へ。湘南はトランジション時のリスク管理ができておらず、一度のロストが被決定機に。
46分、中野が左でもって仕掛け、ルーカスをはがしてクロス。札幌もギリギリでクリア。中野は早速持ち味を出せた。
48分、大橋が左でもってカットインからシュート。湘南は後半は良い入りができている。ただ、トランジション時に後方が薄い印象もあるので、4失点目のリスクも背中合わせなようにも思える。
50分、左からのインスイングクロスに大勢が飛び込んでくる湘南。一番ファー寄りに舘が入って体で押し込みに行ったが菅野がキャッチ。分かりやすく人数を増やして前に出てきている。
51分、高嶺→小柏の一本でゴールを目指すが谷がキャッチ。湘南が前に出てくるぶん、札幌はシンプルに小柏のスピードを生かそうとしている。
52分、中野のインスイングクロスのルーズボールから大橋がオーバーヘッドを狙うが枠外。中野が左サイドからの攻撃を活性化させている。
54分、湘南が自陣でのつなぎから縦にスピードアップ。米本→阿部で前進し、左の大橋へ預けるがロスト。
56分、札幌がダイレクトでつないで中央を打開しに行ったが、舘が戻ってカバー。
札幌は前からのプレスで回収はできるが、湘南の速い寄せをかいくぐるのにてこずっている。縦に速く攻め切れそうなシーンはあるが、保持を落ち着かせる局面は作れない。
58分、中野がルーカスを抜いてクロス。精度が伴わなかったが、ルーカスとの勝率はかなり高いので、中野に預けるだけで脅威にはなっている。
札幌はほとんど前プレに出ていかなくなった。最終ラインにはある程度自由に持たせておいて、受け手をつぶすことにパワーを使う。
61分、中盤でのトランジションから興梠が前線で収め、セカンドを回収した青木がシュートまで。札幌はカウンターは打てる。
63分、札幌交代
ルーカス、宮澤→福森、荒野
荒野が左シャドー、福森が左CBに入り、駒井が右WB、高嶺がボランチへ移る。
65分、湘南が連係から左ポケットを取り、一度はふたをされるもルーズボールを回収。タリクが内に送って阿部がフリーで合わせるもわずかに枠外。決定機。
67分、札幌交代
深井、小柏→中村、スパチョーク
スパチョークは札幌デビュー。中村が左WBに入り、青木がシャドー、荒野がボランチに移る。
68分、札幌追加点、0-4。福森のCKを直接田中駿が合わせてゲット。舘がマークについていたが、後ろから飛び込んできてピンポイントで合わされたので対応は難しかった。福森のボールも上質。
69分、飲水タイム。後半は立ち上がりから湘南がリスクをかけてゴールへ何度も迫ったがチャンスを決め切れず、札幌がセットプレーのチャンスを生かして追加点。湘南からしたら勢いを大きく削がれる痛恨の1点。
71分、札幌追加点、0-5。スパチョークが右のスペースへ抜け出し、冷静にマイナスへ折り返し。入ってきた青木がうまく流し込んでゲット。湘南はリスク管理がズタズタで、メンタル的にも試合にならなくなってきた。
→VARとの長い交信のあとオンフィールドレビューでオフェンス側のハンドを確認したが、そのままゴールは認められた。
75分、札幌交代
興梠→トゥチッチ
湘南交代
瀬川→茨田
76分、右からのロングフィードを中村が落として青木が受けるもシュートは打てず。
78分、湘南得点、1-5。中野の横パスを阿部が受けてコントロールショットを沈めた。札幌は中野に2人をつけて対応したが、その間をうまく通した。
85分、湘南が中盤で奪ってショートカウンター。中野が運んでフリーの大橋へ預けたが、菅野が好セーブ。こぼれ球も押し込めず
湘南が人数をかけて敵陣へ押し込み、札幌がカウンターを狙う構図が続く。
91分、大橋が左のスペースへ抜け出してから切り返してシュートも枠外。
94分、茨田がバイタルからミドルを狙うも左に外れる。
立ち上がりから札幌が圧倒し、前半だけで3得点を決めた時点で勝負はほとんど決まった。後半は湘南も立ち上がりからリスクをかけて攻め、チャンスを作ったものの、決められないうちに4点目を奪われて完全に終焉。早い時間帯に1点を返せていればスタジアムの空気を変えられた可能性もあるが、決め切れなかった。札幌は苦しい流れを払拭する大勝。自信を得て降格圏から遠ざかれたことは非常に大きい。
札幌は保持の形が面白いようにハマり、高嶺の配球、ルーカスの仕掛け、小柏の抜け出しが効きまくった。後半に押し込まれた際の守備には課題が残ったと言えるが、小柏が最前線にいることで陣地回復やカウンターに出ていく脅威を保てたことも大きい。
湘南はホームで三度目の大量失点。4失点を喫した清水戦も横浜FM戦も前半に先制を許してからペースを乱し、続けざまに失点というまったく同じ流れ。後半に立て直して攻撃に転じられたとはいえ、そもそも多くの得点を取って勝つようなスタイルではないので、前半の内容とスコアが大反省材料だった。
最終的なシュート数は湘南15(枠内9)-札幌8(枠内6)と湘南のほうが上回っていた(※DAZN集計)。
個人的MOM
★小柏 剛
復帰戦で大活躍。「小柏がいると攻撃に深みが出る」という印象がずっとあったが、まさにそのイメージのままで、多くの得点とチャンスに関与した。
右での仕掛けでアクセントを付けたルーカス、後方からの配球で出し手として起点を作り続けた高嶺、少し押されていた流れから一本のキックで雰囲気を変えた福森らも高評価。
湘南は後半からの出場で攻撃を活性化させた中野が大きなアピールに成功。一気に序列を高めるかもしれない。また、同じく新加入の阿部がらしいゴールを決めたことも好材料。
トピックス
町野が負傷交代。足を痛めた?
札幌は6試合ぶりの勝利。同勝点の対戦で勝点3を獲得し、残留争いから一歩抜け出した。
監督コメント
(※Jリーグ公式サイトから引用)
[ 山口 智監督 ]
1週間準備する期間がある中で、自分たちが取り組んできたことを試合で出せなかったのはすべて僕の責任ですし、この結果は自分が招いた結果だと感じています。ゲームは早い時間帯に失点して、バタバタといつもの悪い流れで取られた。それに尽きると思います。自分たちが考えて、ボールホルダーにプレスに行くところ、強度、行き方でパワフルさが出せなかったことが大きな敗因だったのかなと。それも僕の伝え方や用意の仕方が良くなかったと思います。選手が1点返してくれたところだけポジティブなところがあるので、とにかく次に向けて守備のところはみんなでもう一度確認しないといけません。
--相手のボールの動かし方がうまかったことでプレスに行けなかったのでしょうか?
単純に僕の伝え方が良くなかったところがありました。詳しくは言えないですけど、準備のところで自分たちが行くところを出してあげられなかった部分がありますし、それを修正できなかったのは僕の責任です。自分の思い描いているものと選手が感じて表現するものにギャップがあったので、僕がもっと繊細なところを気にしながら伝えないといけないですし、用意しないといけない。今日の守備に関してはボールホルダーに行く勇気がなかった。その辺りが結果に顕著に表れたと思います。
--29分に交代した町野 修斗の状態は?
試合が終わってすぐのことなのでまだ分からないです。
[ ペトロヴィッチ監督 ]
今日は両チームともに勝点25で並び、どちらも勝利したい非常に重要な試合で、お互い強い気持ちを持って臨みました。そうした非常に重要なゲームでしたけど、札幌は前半から勇気を持ってプレスを掛けて、前からボールを奪いにいく姿勢を見せられたと思います。そうした中で湘南は自分たちの攻撃の形を作れなかったと思いますし、私たちが逆に相手の背後を効果的に狙えたと思います。その中でわれわれがチャンスをモノにして勝利できたゲームでした。