2022 J1リーグ第29節 京都サンガF.C.vs鹿島アントラーズ メモ
スタメン
京都
天皇杯から中2日。
大前、金子、荻原、山田、アピアタウィアらがメンバー外。
佐藤が4試合ぶりの先発。メンデスが3試合ぶりのメンバー入り。
鹿島
天皇杯から中2日。
和泉、仲間、中村、クォンスンテがメンバー外に。
天皇杯で復帰していた名古が今季リーグ初のメンバー入り。
エレケが加入後初先発。
2試合欠場していた土居が3試合ぶりの先発。
小田が初出場初先発。ブエノ、荒木もかなり久しぶりの先発。
キムミンテが3試合欠場中。
松村、常本、林が負傷離脱中。
流れ
1分、鹿島が中盤で奪って舩橋が運び、エレケへラストパス。角度のないところから狙ったが、枠外。鹿島が1stチャンスをすぐに作り出した。京都もテンション高く入っているが、球際の攻防で鹿島が上回っている立ち上がり。
3分、自陣で奪った鹿島がロングカウンター。安西が1人で長い距離を運んでPA付近まで前進するもシュートまでは行けず。
3分、白井が縦に運んでCK獲得。
5分、鹿島が敵陣で攻撃。エレケが右ポケットで受けて折り返すも京都がカット。エレケは斜めに右へ流れてパスを引き出す動きを良く見せる。
6分、山﨑と豊川の連係で中央を崩しにかかるも、つながらず。
8分、スローインをエレケが収めて土居に落とすもオフサイド。エレケは背負うポストもある程度はこなせる模様。
11分、ピトゥカがアーリー気味にクロスを送るも中と合わず。こぼれを回収して三竿が右からクロスを入れ、井上がクリア。鹿島がCK獲得。
11分、ピトゥカのCKをファーで小田が合わせて枠へ飛ばしたが、上福元が好セーブ。
13分、鹿島の波状攻撃。三竿のシュートのこぼれ球を荒木が狙うが上福元が処理。
開始から15分、鹿島が敵陣でのプレータイムを伸ばしてゴールへ迫っている。京都は連戦の疲労もいくらか考慮してか、そこまで強度を上げず、受けることを許容するシーンがいつもより多い気がする。
16分、武田が中盤からGKまで出て行ってスイッチを入れ、蹴らせて回収。
16分、武富が右に流れて受けるも関川がふたをして止める。1対1のバトルは鹿島が上回っている。
17分、京都のカウンター。左のスペースへ出て行った佐藤へ預けてクロスを狙うが中に入らず。トランジションから前に出ていくスピードはさすが。
19分、京都先制、1-0。豊川が右で深さを作り、中へ戻すと川﨑の縦パスを受けた山﨑が振り向きざまのシュートを決め切ってゲット。ブエノは背負われた上に前を向かれて、完全に1対1での勝負で負けた。
22分、麻田から左のスペースへボールを送るが、松田が収め切れず。
23分、飲水タイム。立ち上がりから15分くらいまでは鹿島が良いぺースで敵陣へ入り、攻撃のチャンスを増やしていたが、京都が少しずつギアを上げ始めて押し返していくと、そのまま山﨑のゴールで先制に成功。そこからは京都も自信がついてか、前向きに出ていけるようになった印象。鹿島も三竿を中心にサイドを変えて進んでいこうとする意志を感じるが、ややイージーミスが多くなってきたか。
27分、松田が高い位置で奪ってカウンターに出るもサポートが間に合わず、三竿が寄せきってプレーを切る。
30分、右からのCKに山﨑がフリックして麻田が合わせるも沖が処理。結果的にオフサイド。その際に接触があったピトゥカが痛む。麻田がシュートしたあとの足が胸からお腹にかけて入っていた。打撲系のダメージ。
35分、豊川がつぶれてこぼれたボールを山﨑が拾ってスルーパス。武富が抜け出すも沖が飛び出してギリギリでカバー。
35-36分、鹿島の組み立て。左に寄せておいてから安西がカットインから逆サイドへ送り、小田のクロスまで。
京都はトランジションから攻撃へ出ていくフェーズに当たって、山﨑のポストがかなり効いている。
37分、佐藤に警告。
京都は鹿島がプレスを掛けてきたら、シンプルにロングボールを入れてセカンド回収から押し上げていくアプローチ。
39分、荒木に警告。ファウル後にボールを少しつっついたところが遅延行為ととられたか。
41分、鹿島の左からのクロスを上福元が飛び出してキャッチ。鹿島の選手が松田をプッシュしたことで上福元が空中でバランスを崩し、肩から落ちるような格好に。→ひとまずプレー続行は可能な模様。
45分、鹿島が右でのコンビネーションからPA内への進入を図るもつながらず。
45分、京都が高い位置で奪って保持へ移るが、完結し切れずロスト。
46分、白井が抜き切らずにクロスを送り、豊川が合わせるも枠外へ。フリーになっていたが、良いシュートを飛ばせなかった。
序盤は鹿島がペースを握ったが、残り30分くらいは京都ペースに。京都は前からの守備と山﨑を軸にした前進が機能し、敵陣でのプレータイムを増やせた。チャンスの数や質を考えると、もう1点取れていれば理想的だったがそううまくはいかず。鹿島は安西やピトゥカの馬力で運べるシーンはあったが、チームとしての前進手段が時間の経過とともになくなっていった印象。三竿が中盤の底でうまくさばいてサイドを変えて、とやっているが、全体の歯車があまりかみ合ってこない。
後半
鹿島交代
ブエノ、エレケ→名古、エヴェラウド
名古がアンカーに入り、三竿がCBに移る。
京都交代
佐藤→本多
46分、名古が痛む。球際で豊川が振った足が名古のすねあたり?に入った。
47分、山﨑が収めてスルーパス。豊川が抜け出しかけて倒されるもノーファウル。手はかかっていたが、ややもらいにいったような見え方が強かったか。
49分、京都がFKの流れからこぼれ球に反応した井上が足を振るがミートせず。
鹿島のビルドアップに対し、京都は山﨑の脇に武富や豊川を押し出してプレスを掛けていく。
50分、エヴェラウドがPA内右へ抜け出してシュートも上福元がセーブ。
50分、白井が自陣から長い距離を運び出してCK獲得。陣地回復でかなり貢献している。
52分、京都がハイプレスから山﨑のチェイシングで蹴らせて回収。
52分、松田のスイッチを受けた本多が抜け出すもピトゥカがカバー。
京都は後半から山﨑が深くまで追うようになった気がする。
54分、鹿島がPA内で混戦を作り出すも京都がかき出す。
54分、土居がポケットで受けて切り返しからクロスを送るも京都がクリア。
55分、京都が高い位置でセカンドを回収してゴールへ向かう。豊川がPA内へ入っていくところで倒されるがノーファウル。強引にシュートまで持ち込んだが鹿島DFに当たった。少し痛めた豊川が一度ピッチを出る。
57分、鹿島交代
土居、荒木→鈴木、カイキ
58分、京都交代
豊川→木村
豊川は思った以上にダメージがあった模様。負傷交代に近い。木村が左WGに入り、松田が右へ移る。
59分、鹿島が左サイドの連係からゴールへ向かい、カイキがシュート。京都DFに当たって上福元が処理。
60分~、鹿島が敵陣での保持。右から左からクロスを入れてゴール前の圧力を高めるが京都も粘ってはね返す。
61分、京都がカウンターで川﨑が前に出ていき、ゴールへ向かうが、三竿がさすがの対応で阻止。ピンチでも落ち着きがある。
京都は我慢の時間。1トップも含めて自陣深くまで戻ってスペースを埋める。
鹿島が敵陣での保持の時間を長くし、攻め立てる。京都は山﨑だけ気持ち高い位置で残り、トランジションに備える。
65分、木村が狭いところでキープしながら前進して時間を作る。鹿島のカウンタープレスに苦しんでいた中、つかのまの休息を生み出す好プレー。
66分、トランジションからピトゥカ→カイキで前を目指すも井上が良い出足で先に触ってクリア。
67分、飲水タイム。立ち上がりは京都が良い入りを見せたが、60分あたりからは鹿島ペース。京都は自陣ゴール前で我慢するような時間が続き、どうやって押し返そうかを模索しているような状況。鹿島はいまの良い時間帯で押し切れるかどうかが試される。
69分、鹿島交代
小田→樋口
鹿島は70分を前にして交代カードをすべて消費。樋口がIHに入り、舩橋が右SBに移る。
70分、左での連係からピトゥカがシュート。京都DFに当たってCKに。
71分、ピトゥカの展開をPA内で受けた鈴木が切り返しからクロスを入れるも上福元がキャッチ。見事な1stタッチだった。
72分、京都交代
山﨑→メンデス
最前線で良いポスト役になっていた山﨑を下げてDFを増やす。山﨑は後半から守備でのスプリント回数が増えていたので、そのあたりの疲労も考慮したか。苦しくなってきたので、ゴール前中央に強い選手を増やそうという狙いか。木村が1トップの3-4-2-1。
75分、鹿島同点、1-1。左から壁パスを使いながら中に入ってきた安西の浮き球ラストパスをピトゥカが受けて、うまく流し込んだ。京都は守りを固めた中、比較的早めに失点してしまい、プランが崩れた。対スコアの状況をどうとらえて戦うか。
77分、鈴木が斜めにゴール前に入ってきて受けるも、京都DFも寄せて打たせず。
ゴール後も鹿島ペースは変わらず。京都はまだ我慢の時間。少し前からの強度を上げたようにも見えるが、鹿島の勢いを削げるほどにはなっていない。
79分、樋口が右から内へはいっていき左足でシュート。京都は武田がスイッチを入れて前へ出て行ったが、鈴木がサイドで競り合って起点を作られた。
81分、京都が高い位置で奪ってショートカウンター。木村が粘って武富にシュートチャンスが訪れるも、沖が距離を詰めて好セーブ。京都は千載一遇のチャンスを仕留めきれず。
83分、本多が右へ流れる木村へフィードを送って収めに行くが、三竿が巧みな対応で奪取。
プレーが止まった瞬間に鹿島の選手も京都の選手も膝に手をつく。両者ともに疲労はかなりきている。
84分、京都交代
木村、武富→ウタカ、福岡
木村は途中出場ながら途中で下がる、いわゆる「インアウト」。ダメではなかったが、ウタカの個人技に頼って押し返したい、もしくは一発の色気を出したいということか。
85分、樋口のFKはミスキックで大きく枠外へ。軸足の足元の芝がめくれたか。ここまでのプレーでもピッチが緩そうな場所が見られている。
87分、左サイドのスペースに流れて受ける鈴木。京都はやや前重心になってきていることで、背後にもスペースが生まれ始めている。勝点1を確実に取りにいくか、勝点3の可能性も見出すか、非常に難しい天秤で揺れているように見える。
88分、敵陣で持つ京都。DFを背負った状態であってもまずはウタカにつけようという意識がかなり伝わってくる。
89分、武田に警告。抜け出しかけたピトゥカを倒した。
91分、鹿島の波状攻撃からピトゥカが枠内へシュートを飛ばすも上福元がキャッチ。そのままロングスローでウタカへ渡して白井が追い越して折り返すも中が間に合わず。京都が粘りの守備を見せながら、ウタカを生かしてゴールを目指そうとしている。
終盤は鹿島が圧力を高めてゴールへ迫り続けたが、京都も気持ちが入ったディフェンスで守り切って引き分け。鹿島としては70分台に追いつけただけにそのまま押し切りたかったという感想になるのではないか。京都は5バックにしてから比較的すぐに追い付かれて苦しくなったが、なんとか守り切った。決定機で決め切れていれば勝ち越しもあったが、そこまで話はうまく進まず。そこよりも、良い時間帯で2点目を取れていれば、のほうが悔やまれるかもしれない。ただ、残留争いの中、苦しい展開で勝点1をもぎ取ったことには意味がある。
個人的MOM
★上福元 直人
またしてもこの男が勝点をもたらした。最後の最後はかなりきわどいシュートやクロスが何度も飛んできたが、多くをキャッチで処理して落ち着かせた。守備陣の制限があってこそ、ともいえるが、やはり彼がいる安心感はチームに大きな影響をもたらしているはず。
守備のMOMが上福元ならば、攻撃のMOMは山﨑。先制点はもちろん、効果的なポストとチェイシングで欠かせない存在だった。切り替えから何度も前に出ていき、陣地回復に貢献した白井、90分間中盤で奮闘した川﨑と武田も高評価。
鹿島は同点弾を決めたことに加え、攻撃のタクトを振るったピトゥカ、途中出場で攻撃に厚みを生み出した鈴木、持ち前の推進力と思い切りの良さを見せ、アシストを記録した安西が高評価。三竿は相変わらずどこで出てもさすがの存在感。
トピックス
豊川が負傷交代。接触時に足のどこかを痛めたか。試合後リポートによると、処置はほどこしながらもベンチへ戻って声を出し続けていたとのこと。また、試合後は少し足を気にしながらも鹿島サポーターに挨拶へ。
ピトゥカも肘を痛めながらの強行出場だった模様。
曺貴裁監督名物の「インアウト」が炸裂。今回は木村。
監督コメント
(※Jリーグ公式サイトから引用)
[ 曺 貴裁監督 ]
立ち上がりは鹿島さんのアグレッシブな球際の強さに少し押されたところがありましたが、「あれくらい来るかな」という展開の中でよくしのいだあとに、理想的な展開から先制点を取ることができました。前半最後の豊川(雄太)のヘディングが入ればもう少し有利に試合を進められたと思いますが、サッカーに“たられば”はありません。後半も飲水タイムあたりまではわれわれのリズムでやれているところもある中、相手は選手交代で分厚くしてきました。ああいう展開になることは予想しながら、自分たちのサイドの形を変えたあとに失点してしまいました。あそこの采配がどうだったのかという反省はありますが、自分としては良かれと思って決断したことです。結果として鹿島さんを相手に最後の15分は押されましたが、カウンターからのチャンスもありました。自分たちの良さを出して、アウェイで戦った試合よりも堂々とプレーできるようになった成長も見ることができました。この勝点1でようやく30ポイントに乗せることができましたが、来年J1で戦うための残り7試合と天皇杯は自分たちの血となり肉となるような試合の中で、サポーターやスポンサーの皆さん、応援してくださる皆さんに喜んでもらえるような試合と価値を届けたいです。
[ 岩政 大樹監督 ]
勝ち切りたいゲームでした。ゲームの運び自体は全体が想像したとおりに進んだと思いますが、それでも勝ち切れなかったの僕の責任だなと思います。--先発を前節から6人入れ替えて臨んだ狙いとパフォーマンスは?
この試合を勝つためにメンバーを組み、プランニングをしました。思ったとおり、選手たちはゲームプランどおりに試合をしてくれましたし、それぞれ良い動きが見られて、思っていた以上にひとまず想定してきた11人の中にどんどん入ってくる選手が増えてきたという印象です。--現時点で底上げの作業をしないといけないのは苦しいところがあると思います。それがこの後半戦に響いているという印象でしょうか?
チーム作りというか、僕はいろんなチャレンジ、いろんなトライをしているところがあります。これに関して、シーズン後半にやるもんじゃないという記事を見たりするんですけど、僕は新しくコーチになった坪井(健太郎)コーチともしゃべっているんですけど、「ヨーロッパの監督さんたちって、どこまでもそれやりますよね。ペップ グアルディオラはチャンピオンズリーグの一発勝負でいきなり新しいことをやりますよね。ヨーロッパのみんなそうですよ」という話です。シーズン頭だから新しいことにトライして、シーズンの終わりには無難に戦うみたいなものは日本の常識であって、そんな無難な試合をしていたらおそらく発展がなくなって、シーズン終盤であってもチームは進んでいかないと思っている。そういう話を聞かされて、「そういう監督しか残っていけません」と言われたときに、確かにそうだなと思いました。
僕はトライすること、選手たちを試すこと、この狙いのためには選手をこう使ったらいいんじゃないかということ。外から見たらチャレンジに見えるかもしれませんけど、当然そこには選手たちにも伝えていますけど、自分なりの裏付けがあって、選手たちのパフォーマンスを見ながら十分やれるというところで動いているので、ここはなんて言うんでしょう、シーズン後半だからやっちゃダメというというふうには捉えていないですね。その概念自体、古臭いなと思っていて。僕はどんどんやりにいくと割り切っていますね。