がちゃのメモ帳

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2022 J1リーグ第25節 鹿島アントラーズvsアビスパ福岡 メモ

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スタメン

鹿島

監督交代後、岩政監督の初陣。

三竿が出場停止。

和泉がメンバー外に。

小川が初のメンバー入り。

荒木、松村、名古が負傷離脱中。

 

福岡

コロナトラブルが続いていたが、この試合からメンバー18人をそろえることができた。

奈良が出場停止。

4日前のルヴァンカップとおおよそ変わりないメンバーのため、疲労は懸念材料。

 

流れ

声出しが許可された試合。

どちらかがコインで陣地を入れ替えた模様。おそらく福岡のほう?

福岡はフアンマとマリの2トップ、ルキアンが左SHに入る。

3分、福岡のFK。クルークスのキックも、ゴール前のターゲットも迫力がある。

福岡は2トップが大駒2人なので、プレスを掛けるよりもセットする傾向が強い。

4分、ルキアンからボールを奪った鹿島がショートカウンター。土居と鈴木の連係からシュートまで。鈴木はここまでは中央にとどまり、土居がその周りを自由に動く設計になっているか。

5分、仲間が斜めに抜け出して深さを作り、カイキが飛び出してくる。

鹿島はシンプルに前を目指して深さを取り、セカンドを回収して押し上げたいという面では大きくは変わっていない。ただ、ここまではそれぞれの選手の役割が明確になっている印象を受ける。

9分、鹿島先制、1-0。左から右へ大きく展開し、鈴木がハーフスペースを個人技で攻略し、強く折り返したボールが福岡DFに当たってゴールへ吸い込まれた。鈴木は一直線で岩政監督の下へ向かって強い抱擁。抱擁というより、もはやタックル。福岡はゴール前に人はそろっていたが、アンラッキーな形で失点。ただ、鈴木の個人技はお見事。

11分、仲間がPA内でシュートチャンスを迎えるもボレーは当てきれず。

15分、クルークスが左に流れてクロス。CK獲得。福岡がセットプレーを含めて敵陣でシンプルにクロスを送ってゴールへ迫る。

17分、左から右へ送り、下りた鈴木から前方へスルーパス。土居が抜け出してシュートまで持ち込むも決め切れず。土居が幅広い動き出しでらしさが感じられる。鈴木も上下の移動はあるが、前体制のような左右への動きは制限されているように感じる。

20分、目先を変えたFKでグローリが右へ抜けて折り返すも鹿島守備陣がはね返す。

21分、クロスのこぼれ球を回収して、再びクロスを入れてという流れを作る福岡。中央のターゲットが強いため、しっかり競り合いになると鹿島DFも強くはじき返すのが難しい。

22-23分、セットプレー守備からカウンターに転じる鹿島。最後は仲間のシュートまで。村上が正面でキャッチ。

鹿島は鈴木が少し下りて、入れ替わるように土居が背後へ抜け出していく2トップの関係性。

26分、右からクルークスがインスイングクロスを送り、マリが合わせるもシュートはポスト直撃。福岡は初の決定機。

28分~、自陣からのカウンターで敵陣へ入り、クロスの波状攻撃。クルークスがカットインだけでなく、切り返して縦突破も駆使して右からクロスを送り続ける。

鹿島は非保持4-2-3-1セット。土居が中盤の選手を見て、鈴木がチェイシング役。

31分、福岡のビルドアップを奪った鈴木が抜け出しかけたところを宮が止めてファウル。宮には警告が提示。奥に1人DFが残っていたので、ドグソにはならず。

土居から背後へ出る鈴木へシンプルに入れて落とす。バイタルへルーズボールが生まれるが、城後が戻って回収。鈴木は競る事さえできれば、5分以上のボールを落とせる。

土居と仲間は裏抜け意識がかなり高い。

鹿島の組み立ては2CBと2CHの4枚で行う。SBは組み立てにはほぼ参加せず、大外レーンで張る。SHは内側に入ってインサイドワークや裏抜けを担当。

鹿島も福岡もロングボールの競り合いでルーズボールを作り出し、それを回収して押し上げていく攻め方が多い。

43分、グローリに警告。キープする鈴木に後ろからチャレンジして倒した。この1つで警告はやや厳し目な印象は受けるが…。福岡はこれで両CBがイエローを受けた状態に。

→カイキのFKは低くて速いボールを入れたが村上がキャッチ。

45分、フアンマが浮き球でPA内へ送るとマリが強引にシュートまで。CK獲得。

→CKにマリが合わせるもスンテの守備範囲。フアンマはユニフォームを引っ張られたともうアピール。

 

互いにやることをはっきりさせた戦いでゴールへ迫り、鹿島が先にゴールをこじ開けて先制。そこから鹿島に流れが傾くかと思われたが、福岡も前線の強烈なタレントを有効活用しながらしっかり押し返した。強いターゲットがいるため、シンプルにクロスを入れ続ける攻撃に迫力があり、相手の嫌がることを徹底していた。

鹿島は戦い方の方向性が大きく変わったとは思わないが、2列目が積極的に背後を狙う、鈴木が下りるにしても中央にとどまるなど、各選手にルールを課して交通整理がされたように感じられる。それによって前体制ではポジションがなかった土居にらしさが感じられるように。

福岡はフアンマとマリを目指して、1つでも多くのボールを供給できるようにクロスの試行回数を増やす。特にクルークスは縦にも横にも抜けられるため、そこの個人技を生かしたい意図は強く感じられる。守備も崩れてはいないが、両CBがイエローを受けてしまったことは不安材料。

 

 

後半

福岡交代

輪湖→柳

システムを3-4-2-1に変更。3バックが右から柳、グローリ、宮のルヴァンカップで見せた組み合わせ。クルークスが右WBベースになるが、可変で流動的に変わっている雰囲気。元々中央を得意としているFWたちを近くでプレーさせる狙いか。

47分、クルークスと柳の連係で右サイドを抜け出し、仲間がファウルで止める。仲間には警告が提示。クルークスが内側へ持ち運べるので、外は柳が追い越す。

湯澤がサイドに戻れないと見るや、大外を埋めに戻るルキアン。福岡の選手たちは戻らなければならない勘所を素早く感じられている。

システムが変わっても福岡は前からプレスは掛けてこないため、鹿島は保持の局面では落ち着いて持つことができる。

52分、鹿島が自陣からロングカウンターに出ていくも、ルキアンが素早く戻って奪取。

仲間は相手の大外を警戒して5バック気味に下がって対応するような形。

54分、最終ラインから鈴木へ鋭い縦パスが入り、土居がスペースへ抜け出すも、ここもルキアンが戻って対応。攻撃の選手ながら高い危機察知能力が感じられるここ数分の守備。

55分、福岡交代

城後→前

鹿島はピトゥカの縦パスからスピードアップしたい狙いが感じられる。SHが内に入ることで中央での連係もスムーズにできる。

58分、仲間が柳から奪ってショートカウンター。左に抜けたカイキの折り返しにファーで土居が飛び込むもわずかに間に合わず。ファウルギリギリのプレーに見えたが、ノーファウル判定で進んだ。

59分、鹿島交代

仲間→安西

クルークスが対面にいることで、WB的な役割が求められる傾向にあった左SHに上下動を繰り返せる安西を投入。

61分、大外で持った湯澤を追い越す宮。左のこのパターンはここまであまり見られなかった。

62分、クルークスと安西のマッチアップで、クルークスが少し足を滑らせるとファウルで止めて鹿島がFK獲得。

64分、湯澤が縦に仕掛けるも常本が止める。さすがの1対1の対応。

65-66分、湯澤からのインスイングクロスをフアンマがファーで当てるも枠外。マーカーを外せず、無理な体勢で当てるしかなかった。

67分、鈴木が前線でポイントを作って右サイドの土居を使ってクロス。カイキが合わせるもサイドネット。決定機。鈴木のための作り方と、出すタイミングが絶妙。

69分、鹿島が攻め込んでいたが、福岡が最前線へ残していたマリへ送ると怖さがあった。鹿島は2CBで対応したが、マリの意外性は怖い。

70分、鹿島交代

カイキ、土居、樋口→エヴェラウド、舩橋、中村

エヴェラウドと鈴木の2トップ。安西がはっきりWBになり、5-3-2っぽくなったか。中盤3枚が中村アンカー、その前に左舩橋、右ピトゥカという配置に見える。

福岡交代

フアンマ、クルークス→山岸、田中

田中が左WBに入り、湯澤が右に回る。湯澤が右CBで柳が右WB?

73分、エヴェラウドが左で受けて追い越す安西を使って折り返し。中で合わず。

ロングボールの競り合いは福岡FWのファウルを取られることが多くなっている。

76分、山岸へのアフターチャージで広瀬に警告。

クルークスが下がったため、福岡のセットプレーキッカーは平塚に。

80分、鹿島交代

広瀬→林

即席で5バックを作っていたが、3バックに本職のCBを入れて守備強化。

81分、ルキアンのミドルは枠を捉えるがクォンスンテがキャッチ。

82分、小競り合いを起こしたピトゥカに警告。次節出場停止。

福岡が敵陣でのプレータイムを伸ばし、ゴールへ迫る。

84分、中村に警告。前へのアフターチャージ。互いにフィジカルバトルをベースにしているだけに、球際の接触や小競り合いが増える。

86-87分、鈴木が右に流れて起点を作り、内から追い越した舩橋がクロス。混戦を作ったが、押し込めず。

87分、福岡交代

平塚→北島

88分、マリとキムミンテのマッチアップでファウルか否かの判定を巡って岩政監督が少しエキサイト。結局福岡のファウルの判定でリスタート。

福岡はルキアンとマリ+αをゴール前に入れて、サイドからシンプルにクロスを上げる。鹿島はサイドに人数をかけて2段構えでクロスの出所をつぶしに行く。

91分、CKにGKの村上も上がってくる。

92分、鹿島追加点、2-0。福岡がセットプレーの流れからクロスを入れたが、短いボールではね返されるとそのまま鹿島がカウンター。エヴェラウドが完全に抜け出してゴールまで。一度目のシュートは村上に触られたが、こぼれたボールをゴールへ押し込んだ。

 

鹿島が監督交代直後のゲームで勝点3をゲット。岩政カラーが出た中でも、良くも悪くも鹿島っぽい雰囲気が戻った印象。福岡は自分たちのスタイルを出せたが、やはりメンバーがそろわないことによるギャップのようなものは感じてしまった。

鹿島は各選手の役割が整理され、それぞれの選手がやりやすくなったように見える。また、ピトゥカのゲームメイク力や鈴木の前線での起点作りなど、個人の能力も引き立った。また、相手の出方をみながら5バック気味に切り替えたり、変えたシステムに合うように選手を投入していくなど、対応力も印象的。

福岡は外国籍FWのパワーで怖さを見せるところまでは行けたが、時間の経過とともにクロスの精度が落ちてきたイメージで、終盤はセットプレーも含めてクロスが短くなって簡単に跳ね返されてカウンターを受けるシーンも目立った。ただ、メンバー、コンディションが整わない中でも、手元にある材料でこれだけ戦えるのはチーム力の高さを示している。

 

 

個人的MOM

★鈴木 優磨

監督が代わっても前線での存在感は変わらず、むしろ良い意味で仕事が制限されてより存在感が増した印象。先制点につながったプレーはもちろん、前線で起点を作り、数えきれないくらいのチャンス創出に関わった。

 

縦パスを刺して出し手としての起点役になったピトゥカ、らしい動き出しで枷が外れたようだった土居、サイドの1対1の守備でほぼほぼ負けなかった常本も高評価。

福岡は献身的なプレスバックで危険な目を何度も摘んだルキアンが印象的。攻撃でも一定の存在感はあったが、良さを出せるシーンは限られてしまった。クルークスも序盤は良いクロスを何度も見せたが、WBになった後半からはほとんど印象にない。また、彼が下がってからは全体のクロスの質も落ちてしまったように感じた。

 

トピックス

ピトゥカが累積警告4枚目で次節出場停止。

 

 

監督コメント

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ 岩政 大樹監督 ]
--攻撃に関して、練習でやってきたことがよく出ていたと思います。どう感じましたか?
よく出してくれましたし、それくらいの選手たちだなというふうに確認できましたね。でもまあ、もっとたくさんさせてあげたいなと思いますし、後半の相手がパワーを持って出てきた時間帯も、もっとうまくいなしながら、攻撃のところ、相手陣地に入っていくことをしたかったんですけど、そのプレーはまだまだだったなと思います。

--福岡の長谷部 茂利監督も「鹿島が持っているもともとの強さを感じた」とおっしゃっていました。選手の自信を取り戻すために伝えたことは?
選手たちが自分たちでそれを、モチベーションというのは自分たちの中から出していくものですから、それを彼らが出してくれたと思います。僕が意識したのは、選手たちがどうしても少し、僕が例えば先に型を作ってそこに当てはめる形だと、選手というものは躍動しないものだと思っているので、選手たちがまず自分の個性だったり自分の持っている情熱だったり、そういうものを出すことから始めてくれと。その上で、僕が整えていくという話で、トレーニングなりゲームなりを進めてきたので、少し選手たちにブレーキをかけているものを外してあげたところくらいですね。持っているものを彼らが出してくれただけです。

--監督として、初めて勝利をつかんだ気持ちは?
ホッとしているというのはあまり変わりがないというか、どちらかというとそういう気持ちが一番強いかと思います。うれしさよりもそちらのほうが強い気がします。代行のときは、なんだかんだで代行というものがついていますから、期待はされても逃げ道があったような気がしますけど、もうそれがない存在になってしまったので、その中でプレッシャーも感じていましたし、そこでうまく1つ目を乗り切れたことはホッとしています。ただ、個人的にはあの期間が非常に大きくてですね、あの期間があったから今日はかなり自分の中ではかなり落ち着いて、皆さんには落ち着いて見えなかったかもしれないですけど、落ち着いて、ミーティングなり今週の試合の準備を進めることができ、非常に手ごたえがありました。なので、試合前にかなりの確率で勝つだろうという手ごたえを持つことができたので、おとといまではあまり寝られなかったですけど、昨日はけっこうぐっすり寝られたので、それも選手たちに伝えたんですけど、それは選手たちが良い準備をしてくれたというのがあったので、そこは代行のときの経験が生きたと思います。

 

[ 長谷部 茂利監督 ]
試合早々に失点してしまいまして、それからずっと前半は引っ張られた。2失点目をしてもおかしくないような、セットプレーを含めて危なかったなという印象です。後半、少し立ち位置を変えて自分たちがどうにかゴールに迫れるような形をとって、少し良くなったと思いますが、結局、得点を取れなかったので、最後もチャレンジしましたが失点してしまって、相手との差というのは、点数と同じように質が足りなかったなと思っています。相手は非常に強かったと思います。

--前半の失点以降、ずっとゲームをコントロールされてしまった印象だった。何か打つ手はあったのでしょうか?
この暑さの中でゲームを変えるのは簡単ではない。飲水タイムも含めてそういうチャンスがあるのですが、今日はないというジャッジでした。またレフェリーのジャッジもそう。相手のファウルの質、ファウルそのものもそう、それも含めて、自分たちに持ってくる。もともと持っている鹿島の形、鹿島の強さ、そんなものを感じました。そこに打ち勝つには難しい。簡単に流れを変えられるものでもないし、相手には素晴らしい選手が何人かいるので、そういう選手たちに打ち勝っていかないと、引き分けに持ち込んでいかないと、難しい状況は変えられないのかなというのが実感です。