2022 J1リーグ第22節 ガンバ大阪vsセレッソ大阪 メモ
スタメン
ガンバは新加入の鈴木がいきなり先発、食野はサブスタート。奥野が出場停止で齊藤とダワンの鉄板セットに。中村が久しぶりの先発で山見がメンバー外。昌子がメンバー外でクォン・ギョンウォンが先発に。
セレッソは山中が出場停止で舩木が先発復帰。また、サブスタートが続いていた西尾が先発に復帰。前節で負傷したタガートがメンバーから外れた一方、北野が負傷明けでメンバー入り。原川が欠場で鈴木が再び先発。代わりに中原が8試合ぶりにメンバー外となり、進藤が5試合ぶりにメンバー入り。
流れ
キックオフ前からかなり強い雨が降っている。
35秒、中村の仕掛けから押し込んで、上がってきた福岡が遠めからシュート。まず1本打っておこうといった意図か。
互いに積極的な入り。ホームのガンバのほうが敵陣でプレーできている。
4分、鈴木が右から中に持ち込んでシュートまで。
ガンバはショートパスにこだわらず、長いボールのセカンド回収からの押し上げも見せる。
ガンバは3-1ビルドでダワンがアンカー位置。齊藤は右に流れて、ダワンの脇はシャドーと3人で流動的に行っていくイメージか。
7分、小野瀬のワンタッチパスで鈴木が抜け出すもシュートは枠外。鈴木が入ったことで背後へのスピード、ハイボールの勝率が高まっている印象。
セレッソは2トップで中央を固めながらSHを片方上げてCBにプレスを掛ける。
立ち上がり10分はガンバペース。セレッソはなかなか保持の時間を作れず、決定的なピンチこそないが、守備も効果的にハマってはいない。
10分、松田に警告。鈴木とのルーズボールの争いで入れ替わられ、手を使って止めた。シンプルに鈴木を目指すだけでも脅威を示せるガンバ。
セレッソのダワンへのマークは2トップが担当し、受けられたときにはスピード感を持ってプレスバックしてくる。
13分、ここではダワンにボランチをつけて回収成功。
15分、CKからクォンギョンウォンのヘッドはバーを直撃。セレッソはゾーンメインで守るため、点で合わせられると難しい。
16分、ガンバ先制、1-0。1つ前のプレーとほぼ同じ形でCKからクォンギョンウォンが合わせた。ガンバは自分たちのペースが続いている間に先制に成功。ハイプレス志向で消耗が大きいため、先制点がマストとなる中、ここまでは順調。
セレッソはガンバの強度を上げたプレスに対してなかなか前進のパターンを見つけられない。
セレッソはセットプレー守備時、クォンギョンウォンに鈴木をマークにつける。最初から?それとも失点を受けて?
22分、飲水タイム。ここまではガンバの一方的なペース。ハイプレスと鈴木を生かした攻撃で敵陣へ押し込み、CKから先制に成功。セレッソはほとんどなにもできていないといっても過言ではない。ガンバはリードを得たことで、相手が前がかりになれば鈴木の裏抜けを出しやすくなるという武器もある。ただ、このペースが90分は続かないはずなので、そこまでにどうゲームをコントロールするかが両者にとってのポイント。
松田からはかなりフラストレーションを感じる。
25分、左からのクロスを小野瀬が中で合わせるも枠外。
25分、鈴木徳が最終ラインへ下りて3バックビルド。ガンバは鈴木武蔵が中盤の選手を見て、中村がチェイシングする役割分担?いまさらだが、ガンバは鈴木と中村の2トップで、5-3-2気味。
26分、舩木が左サイドを抜け出して折り返しに鈴木徳が合わせるも枠外。セレッソは初めてのチャンス。
28分、ダワンがクォンギョンウォンとの接触で倒れ込む。腕が顔あたりに当たったか。
→プレーは続行。
31分、CKの流れから鈴木徳がシュートまで。セレッソはここまで鈴木徳のシュート意識の高さが目立つ。
31-32分、ジンヒョンの縦パスでプレス回避成功。
少しずつだが、セレッソも保持の時間を作れるようになってきた。加藤はサイドに流れて深さ作りをすることが多い。
ガンバは自陣撤退時には、鈴木を最前線に残して中村が右SH位置に下りる5-4-1ブロック。
33分、松田のクロスを山田が合わせるも枠外。
30分を過ぎたあたりから徐々にセレッソペースに。相手を一度下げさせれば保持の時間を作り出せる。
38分、ガンバの鈴木を起点にしたロングカウンターから、逆にセレッソのカウンター。加藤がシュートまで持ち込むもミートし切れず、東口がキャッチ。
ガンバはややエネルギーが落ちてきて受ける展開が増えた。ただ、鈴木武蔵が最前線で残ることで攻撃の脅威はある程度保てる。
41分、松田のクロスを加藤が合わせるも東口が好セーブ。1人がニアへ動いてスペースを空けたところに連動するように加藤がうまく入りこんだ。
42分、再び右からのクロスに加藤が合わせるも東口がセーブ。松田のクロスをスペースで合わせる形がチャンスパターンになっている。加藤は駆け引きのところは完璧。あとは東口の壁を破るだけ。
45分、左からのスペースへ送るパスを加藤がPA内で受けて倒されるもノーファウルの判定。
46分、右で作ってからPA内へ送って加藤が落としたパスを舩木が狙うもガンバDFが触ってCKに。
立ち上がりから30分頃まではガンバペース、30分以降はセレッソペースと時間帯によって展開がはっきりと分かれた。その中で自分たちの時間からゴールを奪えたのはガンバ。リードを奪えたから割り切って引いたのか、それとも疲れで出ていけなくなったのか、どちらかは分からないが、ガンバが途中から自陣撤退を許容したことでセレッソにも攻める時間が生まれた。セレッソも主に松田のクロスから惜しいチャンスを作ったが、東口の壁は敗れず。ガンバがリードしているが、消耗が大きいのもおそらくガンバのほうなので、ガンバのテンションの上げどころによって試合の流れを変えそう。
後半
47分、ヨニッチがガンバのプレスに引っかけられるも、事なきを得る。ガンバは後半立ち上がりからギアを入れ直して強度を上げて出てきた。セレッソはここでうまくかいくぐる事、そして苦しくなっても我慢し切ることが重要。おそらくガンバは終盤に落ちてくるので、セレッソにチャンスは訪れるはず。
51分、セレッソ同点、1-1。為田がライン間で引き出して前を向き、中央でのコンビネーションから山田が浮いて、落ち着いてシュートを決め切った。1対1での落ち着きはさすがのものをもっている。ガンバは少しテンションを上げて入ったが、前半ほど強度を上げ切れず、逆にセレッソにスペースを与える結果になってしまった。セレッソは早い時間で追い付けたことは大きい。
53分、ガンバ交代
中村→食野
55分、セレッソが前からのプレスをハメ切って松田が中盤でカットするも前へのパスがつながらず。
一気にセレッソの流れに傾いてきた。
56分、CKからセレッソの波状攻撃も最後のシュートは東口がキャッチ。
ガンバは落ち着きどころを作れず、防戦一方の展開に。
58分、東口の速いスローイングから鈴木武蔵で起点を作ろうとするもセレッソのプレスバックのほうが1枚上手。
58分、松田のクロスに山田が飛び込むも合わせきれず。
59分、ガンバ交代
鈴木、石毛→坂本、倉田
セレッソは敵陣でロストしても素早いカウンタープレスでガンバに息継ぎを許さない。
15分近くセレッソが押し込み続けているが、ガンバも我慢の守備を続けている。
63分、久しぶりにガンバの保持。右で起点を作ってから坂本→食野でシュートまで。
64分、セレッソ交代
山田、加藤、為田→メンデス、上門、パトリッキ
セレッソは一気に3枚替え。押し込めていることもあって、よりパワーがある選手を入れてゴール前の迫力を増したい狙いか。
66分、スローインから舩木が壁パスを使いながらシュートまで。惜しくも枠外。
67分、飲水タイム。前半とは真逆の流れで、セレッソが圧倒して同点に追い付き、ガンバは防戦一方を強いられる。ガンバにとっては流れを切れるという意味で「恵みの飲水」になったか。
70分、後方からシンプルにパトリッキを走らせる。フレッシュで伸びのあるスプリントを持っているので、シンプルなかけっこに持ち込めれば五分以上の勝負ができる。
クォンギョンウォンとメンデスがポジション争いで熱くなる。
72分、クォンギョンウォンに警告。ひと悶着直後のプレーでクォンギョンウォンがメンデスを掴むような格好になり、直前の一件もあって警告の対象に。ここはメンデスの駆け引き勝ち。地味に効いてきそうなカード。
76分、セレッソ交代
毎熊→北野
77分、食野が左から内に入ってきてシュートまで。ガンバが反撃の一本を見せる。
78分、ガンバがカウンターから黒川が左を出ていき、マイナスの折り返しを倉田が合わせるもジンヒョンの守備範囲。決定機。ガンバが徐々にプレーエリアを上げられるようになったか。
79分、松田のクロスが流れてきたところを舩木がミドル。
79分、クォンギョンウォンが座り込む。足を攣った?柔軟運動を始めたので筋肉系の疲労?
→○サインは出たが、ガンバはピッチの外へ出て一時的に1人少ない状態に。
82分、ガンバ交代
黒川、クォンギョンウォン→藤春、髙尾
ガンバは4-4-2に変更。
83分、セレッソが右での崩しからクロスまで。その後のトランジションは球際でかなり激しい攻防が見られた。
互いに疲労の色が濃くなっていること、そして勝点3を目指していることでかなりオープンな展開に。どちらが先にチャンスを決め切れるかの勝負。
ガンバは前がかりになった背後のスペースを三浦がうまくバランスを見ながらカバーしている。セレッソは安易にスペースを狙うだけでは抜け出せない。
88分、ややガンバペースになってきた。ただ、セレッソもカウンターでの一刺しは常に狙っている。
89分、セレッソ勝ち越し、1-2。セレッソが自陣で奪ってから細かく繋いでパトリッキが運び出し、そのまま自らゴールネットを揺らした。周りがシュートを打てるスペースを作ったことも大きく、もちろんシュートの質も高かった。単純にスペースを狙うだけでは難しいと感じた矢先に、パス交換からの打開でこじ開けた。
91分、セレッソ交代
松田→進藤
セレッソはすぐに守備固めに入った。
ガンバは三浦を最前線に上げてパワープレー。
立ち上がり30分まではガンバペース、80分あたりまではセレッソペース、最終盤はどちらが1点を決め切るかの勝負の中で、一歩上回ったのはセレッソ。互いに自分たちの時間帯で1点ずつを取り、オープンバトルになった終盤でパトリッキが質を見せた。セレッソは優勝したのかと思うくらいの喜びよう。それだけダービーでの1勝は大きな意味を持つということだろう。
ガンバは序盤は自分たちのペースに引き込めたが、押し返されるタイミングが早く、苦しい時間が長くなってしまったことが難しくさせた。ただ、その中でも我慢を続けて最後に1点取れれば勝てる展開には持ち込めた中で決め切れず、最後は相手の質の高さに屈した。また、パトリックを使って押し返す選択肢もあったが、日本人選手が優先的に選ばれた。鈴木武蔵で攻撃に幅を見せられたこと、食野で一発の質を高められたことは好材料。
セレッソは立ち上がりこそ苦しんで先制を許したが、そこを乗り切ると多くの時間で圧倒。後半立ち上がりはガンバが少し上げてきたが流れを渡さずに押せた部分は良かった。あと一歩押し切れないか…?と思われたところはパトリッキの質で解決した。前節の上門と加藤、今節の山田と先発に抜てきした選手が起用に応える結果を出していることも大きい。また、左SBにアクシデントが続く中、舩木が好パフォーマンスを見せていることも見逃せない要素。
個人的MOM
★ジェアン パトリッキ
小菊監督が試合後インタビューで「頭の中に引き分けはなく、勝ちしか考えていなかった」と話す中で、勝ちに持っていたのが彼の一撃。誰にでもできるシュートではなく、まさに「助っ人」と呼べる質の高さで、勝点を1から3に変えた。
得点こそ生まれなかったが、右サイドからのクロスでチャンスを量産した松田、ゴール前でさすがの冷静さを見せて同点弾を決めた山田、積極的な攻撃参加で厚みをもたせた舩木も高評価。守備だけでなく、同点弾のきっかけとなるパスを出したジンヒョンも良かった。
ガンバは加入後初出場の鈴木が持ち味を出しながら攻撃に幅をもたしていたことが印象的。東口の好守や、被カウンターでの三浦の好対応は光ったが、勝点獲得にはつながらず。
トピックス
セレッソがガンバに対してリーグ戦でダブルを達成。いずれも逆転勝利。
ガンバは痛恨の3連敗。
監督コメント
(※Jリーグ公式サイトから引用)
[ 片野坂 知宏監督 ]
9連戦の最後のダービーのゲームで、このような結果になったことが本当に悔しい。ファン・サポーターもたくさん楽しみ、そしてお越しいただき、またもや残念な結果をしてしまったことが本当に申し訳なく思います。いろいろな負けの要因をしっかりと受け入れた中で修正して、勝てるゲームができるように前を向き、切り替えて、選手とともにやっていきたいと思います。--立ち上がりはすごく良い入りをしたと思うが、飲水タイムから相手に流れがいってしまった原因は?
やはりスタートの入りがすごく良くて、先制点を取ることができました。ただ、途中から疲労が少し見えながらも、うまくプレスが掛からず、そして受けるというか、回される展開がちょっと多くなった。また、奪ったボールをマイボールにするところで、敵陣に入っていくところまではなかなか行けず、セレッソさんの流れになったなと。本当に前半、なんとかゼロで終えてハーフタイムに向かえたのは良かったですが、後半も少しうまくやりたいことができず、そういう中でフレッシュな選手を投入して挽回したかったですが、チャンスを作れていたところはあります。
今までだったらもう少し守る、防戦一方になりそうなゲームもありましたが、今日のゲームに関しては、後半少し(食野)亮太郎や(倉田)秋や(坂本)一彩を入れて、盛り返してチャンスを作ってくれたところは今後につながると思います。選手全員で本当にこの状況を変えていかないといけないと思うので、しっかりと良かったところと修正するところを見極めた中でチャレンジしていきたいと思います。
--後半の途中からセカンドボールがまったく拾えない状況に陥ったが、ご自身はどのように感じていたか?
本当だったらセカンドボールももちろん、ダワンや(齊藤)未月や秋、亮太郎もそうですけど、中盤の選手も含めて、後ろの選手もそうですけど、マイボールにしたかったというのはあります。あとは後半の苦しい時間帯に、今後どれだけ自分たちがボールを持つことができるかというところで、その持つところとか、セレッソさんに対しての攻撃の狙いがちょっとできなかったなと。そこは修正していかないといけないと思います。--最初から前からプレスに行きたいという狙いはあったと思うが、徐々に5バック気味になって受ける時間が増え、そこから劣勢になった。それは引く狙いではなかったと思うが、前からのプレスがハマらなかったのが原因か?
ウチのプレスが掛からなくなって、うまく連動できなくて、そういう状況には本当はしたくなかったですけど、選手もなかなかうまくハマらないというところで、もうハッキリと[5-4-1]でしっかりコンパクトにした。もう1回そこからボールを奪って、しっかりとブロックを作ってボールを奪うようなサイクルを作りたいなというところで、バラバラになると良くないと思った。そこをハッキリとさせて、ちょっと持たれる時間だとか、受ける時間は多くなってしまったので、そういうところは前半にしても後半にしても、前からけられるようにしていきたいとは思います。
[ 小菊 昭雄監督 ]
今日のゲームは、セレッソファミリーの方々にとって、これから語り継がれる歴史的な試合、勝利になったと思います。立ち上がり、相手の強い重心を受けて苦しい時間帯も続いたのですが、いまのチームの強みは、どんな困難にも崩れず一体感を持って、全員が自分の役割をまっとうできること。それがいまのチームの強さだと思います。今日も苦しい時間帯を全員で乗り切って、ゲームコントロールして、前半の飲水タイム以降は自分たちのゲームプランを遂行できました。その中で、しっかりと同点、逆転を勝ち取った選手たちを、私は誇りに思います。--同点ゴールを決めた山田 寛人選手について。
彼については、随分前から、セレッソの将来を背負って立つ選手だと思っています。いまも思っています。少しケガや体調不良もあり、大きな波に乗り切れなかった。そして、ベンチ外も経験した。その期間、悔しい思いもしてきたと思いますが、同じポジションの選手たちが結果を出しながら、彼自身もしっかりと積み上げて、自分の課題に取り組んだ結果が、今日の素晴らしいゴールが生まれたと思います。まだまだ大きな成長を成し遂げていってほしいと思います。--最後のジェアン パトリッキ選手のゴールについて。
ベンチで見ていて、スルーパスを出すのかなと思ったのですが、彼のゴールにつながったシーンは、一気に前に動き出す、そういうパワーがあったからこそ、ジェアンがシュートを打つ時間ができたと思います。まさしくチーム全員で取った貴重なゴールだと思います。--“大阪ダービー”での“シーズンダブル”は1999年以来だが?
ダービーの勝利は私の中でも特別です。今日、勝てたことを非常にうれしく思っています。アウェイの地で、厳しいゲームで逆転勝ちできたこと。ガンバに勝ったこともそうですが、チームの成長を強く感じたゲームでした。まずそこを非常にうれしく思います。私自身も、個人的にもずっとガンバの背中を追いかけて、過ごしてきました。こうしてガンバに追いつき、追い越そうとしている現状をうれしく思います。ここで一気にガンバをクラブ全体で追い越していけるように、クラブ全体で努力していきたいと思います。