2022 J1リーグ第19節 湘南ベルマーレvs名古屋グランパス メモ
スタメン
湘南は3戦続けて同じ先発。米本が契約上の理由で出場不可。岡本と山本が負傷離脱中。
名古屋は森下が出場停止で内田が先発に。また、藤井が欠場でチアゴが先発。吉田豊がメンバー復帰。長澤、甲田、酒井が負傷離脱中。
流れ
立ち上がりは互いにロングボールで様子をうかがう。
湘南のほうがつなごうとする意志を感じる。
2分、トランジションから田中の浮き球パス→瀬川のボレーで1stシュート。
3分、柿谷がスキルの高さを見せて中盤を抜け出してFK獲得。バイタルで前を向けたので、ノーカードの判定に少し不服そう。
5分、柿谷が倒れ込む。田中との接触で痛めたか。プレーは続行。
立ち上がりでペースをつかんでいるのは湘南。つなぐところと縦にスピードを上げていくメリハリをつけてゴールへ向かえている。
湘南の守備セットは、2トップでアンカーを監視しながらIHが左右CBに出ていく。
8分、自陣でのトランジションからマテウスが敵陣深くまで運び出してCK獲得。舘が処理を誤ったが、ついていってシュートまで打たせない対応はお見事。
10-11分、名古屋が高い位置で奪ってからカウンターに転じるが、湘南が奪ったあとは逆にカウンターに出ていき、瀬川のクロスまで持ち込んだが、中に合わせられず。互いにトランジションからチャンスを作り出した。
12分、湘南のビルドアップ。IHのクッション役から田中が中盤で前を向いて右へ展開してスピードアップ。名古屋は2トップでアンカーを囲って、IHで中盤に下りる選手を捕まえにいくが、湘南が相手に捕まらないようにうまくまわした。
14分、名古屋の低い位置でのつなぎをうばった湘南がショートカウンターで町野のシュートまで。
15-16分、舘が右SBのような位置に出てから、背後の石原へ送ってクロスまで。シンプルに縦を突いた。
16分、名古屋がカウンター。仙頭が谷の位置を確認して遠目から狙ったがシュートはミートし切れず。
19分、名古屋のビルドアップ。湘南IHがCBへ寄せて、WBがWBへ縦スライド。サイドで圧縮して奪いに行く狙い。
湘南の保持と名古屋のブロックという構図が強まる。
23分、飲水タイム。ここまでは湘南のペース。サイドを突破してクロスというパターンを作っているが、まだ決定的な形は瀬川のボレーくらい。ただ、名古屋がカウンターに出ようとするところを素早いつぶしで阻止できており、ゲームのコントロールという意味では十分な内容。名古屋はビルドアップで前進のパターンが見つからず、どのように敵陣でのプレータイムを作るかという部分で苦労している。
27分、相馬の強引な縦突破からのクロスに稲垣が合わせに行くもうまく当てきれず。
29分、ロングボールのセカンドを回収したマテウスから相馬に渡して、カットインからニアを狙うシュート。名古屋が飲水明けからアバウトな展開からチャンスを作り出している。
湘南はいつからか守備が町野が前、瀬川が後ろの縦関係のようになった気がする。
31分、ショートカウンターで縦に速く攻め切って瀬川→町野で決定機も、シュートは枠外へ。この試合最大の決定機。
33分、内田が右奥へ抜け出してクロス。柿谷と相馬が飛び込むが合わず。
33分、中谷のフィードから相馬へつなぎ、強引な仕掛けからPAへ入るも石原も粘ってクロスは許さず。
名古屋が押し返し始めていたが、再び湘南が保持からペースを握る。切り替えの速さもあり、名古屋は簡単には自陣から抜け出せない。
名古屋は中盤を使った前進が難しいならば、WBの駆け引きからサイドを抜け出して深さを取ろうとする。
42分、名古屋がカウンターからマテウスに預けてラストパスを狙うが、キックが決まらず。
湘南は保持とショートカウンター。名古屋は主にロングカウンターからゴールを目指すも互いにゴールは割れず。湘南のほうが各局面において上回り、湘南のペースだった時間帯のほうが長かった印象。名古屋も相馬の突破力を生かした攻撃から何度かゴールへ迫ったが、チームとしてうまく崩せたシーンは少ない。湘南は町野の決定機が決まっていれば完ぺきな試合運びだっただろうが、決め切れず。名古屋は前節、後半から一気にパワーを上げて攻められていたので、後半で流れが変わる可能性も大いにあり得る。
後半
湘南交代
高橋→畑
後半も立ち上がりは湘南ペース。
48分、瀬川が右サイドを抜け出し、石原の速いクロスを町野がボレーで合わせに行くもとらえられず。難易度の高いシュートになったが、怖さは感じさせた。
49分、相馬がカットインからコントロールショット。谷がキャッチしたが、名古屋は相馬のところが一番雰囲気を感じさせる。
50分、内田と柿谷の連係で右サイドを突破してクロスも中まで届かず。
51分、スローインの流れからマテウスのミドル。相馬とマテウスのパンチ力のあるシュートが名古屋のパターンになりつつある。
53分、相馬とのマッチアップ時に石原が痛む。相馬の手が顔に入った模様。
56分、稲垣のライン間での引き出しから、マテウスと内田の連係で右からクロスを上げ切るも、中で合わせられず。2~3人が飛び込んできていた。名古屋はサイドを突破してクロスまでは持ち込めているが、中でどう合わせるかの設計がいまいち見えにくい。
58分、FKの流れから石原が連続シュートも、GK正面。
61分、名古屋がビルドアップからレオシルバのシュートまで。
63分、湘南交代
池田、茨田→タリク、ウェリントン
ウェリントンと2トップに入れ、瀬川をIHに移す。
64分、内田のクロスに柿谷が頭で合わせるも枠外。谷は反応し切れなかったが、外れて助かった。
65分、名古屋交代
柿谷、レオシルバ、仙頭→石田、宮原、阿部
稲垣がアンカーで、宮原が右IHに入る。
石田の投入で名古屋はプレスラインを少し上げたか。
68分、湘南がビルドアップから中央を突破してラストパスを送るもGKがカバー。
69分、マテウスの天才的なキープから石田が右を抜け出して、マイナス気味の折り返しにマテウスが合わせるが舘がブロック。名古屋が質の高いチャンスを作り出す。
71分、名古屋交代
内田→吉田豊
74分、飲水タイム。互いに選手交代でギアを変える中、ゴールに迫って入るものの、最後のところはこじ開けられない。名古屋はクロスを中でどう合わせるかという課題を解消しつつあり、チャンスの質を上げている。湘南も持ち前の連係から打開を図っているが、相手を外してシュートを打ち切る場面は少ない。一進一退の攻防。
78分、中谷と吉田豊の連係から密集を抜けてマテウスへのラストパスを狙うが、精度が上がらず。抜け出しまでは良かった。
名古屋が前からプレスを掛けてきたときには、ウェリントンがターゲットになってシンプルに前へ送る。
79分、タリクが遠めから思い切って狙ったシュートはポスト直撃。続けてウェリントンが狙い、湘南が攻勢を強める。
81分、田中から柔らかいクロスが上がるが、石田が決死のカバーでCKに逃げる。完全に湘南のターン。名古屋は我慢の時間が続く。
85分。稲垣とチアゴが同時に痛む。ウェリントンとの空中戦に2人が競り合い、味方同士で頭がぶつかってしまった。
湘南が再三のセットプレーで攻め立てるが、名古屋も高さがあり、しっかりとはね返せている。
88分、名古屋がカウンターでマテウスが抜け出し、最後は稲垣のミドル。枠へ飛んだが、谷が落ち着いてセーブ。名古屋は我慢のご褒美といった感じで絶好のチャンスが訪れたが決め切れず。
90分、瀬川がオーバーヘッドで狙うも当たらず。湘南はフリーにはなっているが、決め切るには難易度が高いシュートシーンが多い。
91分、田中を軸にしたマークの外しから、中央で瀬川がシュートまで。ランゲラックの正面。
92分、抜け出しかけた町野とカバーに入ったチアゴの接触で両者が痛む。
93分、湘南交代
町野→大橋
時間も考慮してか、痛んだ町野をすぐに下げる判断。流れを切りたくない意図もあったかもしれない。
終盤は湘南が圧倒し、何度もゴール前へ入って迫力を見せたがスコアは動かずスコアレスドロー。名古屋もカウンターや右サイドの突破からチャンスを作り出したとはいえ、勝点3が取れずに悔やまれるのは湘南のほうだろう。名古屋は勝つチャンスもあったが、勝点1は決して悪くない結果。
湘南は多くの時間で主導権を握ったが、ランゲラックを脅かすようなシーンはそれほど作れなかった。「良い試合はするけど勝てない」という湘南のよくあるパターン。ここ数試合は町野が決めることでそれを「勝てる試合」に変えてきたが、この日は町野が前半の決定機を決め切れなかったことが引き分けにさせたといえるか。
名古屋は選手交代あたりをきっかけに、サイド攻撃が活性化し、折り返しからシュートといった場面を何度か作ったが、こちらも決め切れず。柿谷のヘッドが最も惜しいチャンスだったか。押し返す部分での課題はいくらか残ったが、苦しい中でも守り切れる守備は評価できる。守備の粘りがもたらした勝点1。
個人的MOM
★田中 聡
この日も中盤の底でさすがのテクニックと強度を披露。前線へ上がってラストパスを供給するなど、ゴールに直結するようなプレーも見せたが、得点は生まれず。
トピックス
試合終了間際に町野が負傷交代。戦術的な意味合いもあったように見えたので程度は不明。
監督コメント
(※Jリーグ公式サイトから引用)
[ 山口 智監督 ]
非常に締まった試合ができましたが、最後のところでこじ開けられなかった難題が残ったゲームになりました。ただ、選手はやるべきことはやってくれましたし、全員が同じ意識の中で攻守においてつながった部分がたくさん見られました。選手にも話しましたけど、これを続けることで先は開けると思います。点は取られなくて良かった部分と点を取れなくて悔しい、それに尽きる試合になりました。--勝点の近い名古屋と戦い、勝点1を分け合う結果になりましたが、この勝点1の意味を山口監督はどのように捉えていますか?
欲を言えば、この間のゲーム(前節・京都戦)のようにこじ開けて、期待に応えたかったです。良いとも思っていないですし、欲深いので勝点3を取りたかったゲームになりました。ただし選手がやったことに対する値というか、勝点3を得られなかったのは守備はしっかりできていたと思うので、自分たちがそうしてしまったところがある。勝点3を目指すことが自分たちには必要なので、そういう意味では物足りないですけど、これを次につなげないといけないと思います。
--決定機を多く作り出せていたと思いますが、手ごたえはどんなところに感じましたか?
表現の仕方が難しいですけど、回数を多くすることでそのチャンスはおのずと増えると思います。その中でもっと落ち着きが欲しいなというのが正直なところです。点を取りたい気持ちと相手を見ることと、それに対する自分の技術のリアクションはまだまだゴール前で足りないのかなと。セットプレー含め、クロスが単調になって、相手のチアゴ選手の得意なところに自分たちから行ってるところもあったので、その辺でなかなかかみ合わないところが正直、ありました。ただし決定機をたくさん作れたことは前向きに捉えたいですし、これを続けると選手にも伝えました。悲観せず、前向きに捉えて次の試合に向かいたいと思います。
[ 長谷川 健太監督 ]
お互いに同じシステムで、高い位置ではミスマッチもできましたが、押し込むような状態になると、お互いにマッチアップしてズレが生じませんでした。ミス絡みでピンチもありましたが、ただ比較的安定してゴールを守ってくれたのかなと思います。最後は相手が体格の良い選手を前に置いて圧力を掛けてきた中でもきちんと対応できたことは、守備陣がよく頑張ってくれました。宮原(和也)と吉田 豊がケガから復帰して、少しでもピッチに立てたことは、いまの名古屋にとって大きな戦力が戻ってきたと感じていますし、最低限の勝点1だったと思います。難しいアウェイゲームでの勝点1で取れたので、次のゲームにこの『1』を生かせるようにやっていきたいと思います。
--ビルドアップについて。
なかなか今日は湘南のほうが走る部分をしっかりと対応してきたので、押し込む展開にもっていけませんでした。その中でディフェンスラインの背後を何回か突いて、もう少しという場面も作れました。ホームの湘南戦は押し込んで逆転する試合ができましたが、アウェイで順位的に下のチームは『3』を取りにパワーを掛けてきます。残留を争うような順位の近い相手ですので、戦うことも難しいというか、逆にミスで危ないシーンもありましたし、そういうシーンを作ることもできないので、選手たちは慎重に戦ってくれたと思っています。
--一挙に3枚を交代させた意図は?
やっと3枚代えられる戦力が帰ってきました。うれしいことです。狙いはインサイドハーフが両チームとも運動量が多いので、そこを少しでも減らしたいとフレッシュな阿部(浩之)と宮原をインサイドに入れて、稲垣(祥)はバランスをとれるのでレオ シルバの体力を考えました。石田(凌太郎)にはもっと走ってほしいと思っていますが、湘南のDFも簡単にプレーをさせてくれなかったので、もっと成長を期待したいと思います。