がちゃのメモ帳

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2022 J1リーグ第19節 サンフレッチェ広島vsジュビロ磐田 メモ

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スタメン

広島は前節負傷したヴィエイラが全治6週間で欠場。野津田が出場停止明けで先発復帰、藤井→柏の変更。藤井は今季初めてサブからのスタート。棚田が初のメンバー入り。

磐田は鈴木が先発に復帰。純粋なFWを置かない11人をチョイス。高野、山田、大津が離脱中。ゴンザレスも引き続きメンバー外。

 

流れ

磐田は大森が1トップの位置に入る。大森は保持時はかなり下りてきて中盤の振る舞い。

4分、大きい展開から鈴木がゴール前に入ってシュートまで。力が伝わらずGKがキャッチ。

互いに保持の局面からゴールを取りにいくプランの組み方。広島のほうがトランジションからの速い攻撃も選択肢に入れている印象だが、比較的落ち着いた流れになっている。磐田も受けるだけでなく、いくらかは保持の時間を作れている。

ミラーゲームになっているため、磐田はほぼマンツー気味にマークをつけるが、下りるシャドーのところにはどこまでついて行くか判断に迷っているように見える。

磐田がセットベースの守備を敷くのに対し、広島は前目から追い掛けていく。ただ、強度自体はそこまで上げていない。

10分、山本義に警告。背後のスペースへ抜け出しかけたベンカリファを手で止めた。おそらく直接ゴール方向へ向かわないコントロールになったため、ドグソにはならなかったが、かなり紙一重なリスキーな対応。

15分、広島のゴールキックに前からハメに行く磐田。その流れからPA進入でチャンス創出。ロスト後も素早いカウンタープレスを仕掛ける。

16-17分、塩谷→森島で右サイドを抜け出し、速い折り返しを松本が完璧に合わせるも三浦が好セーブ。広島は柏を下ろして相手WBを引っ張り出し、その背後に森島を走らせた。

磐田は縦横に広く動く森島を捕まえられずにいる。広島はそこを前の起点にした攻撃が多い。

10分を過ぎたあたりからは広島が持って磐田が受ける構図がよりはっきりしてきた。

21分、広島先制、1-0.左からのインスイングFKに荒木がファーサイドで合わせてゲット。ゴールに近づいていく軌道で磐田はGKも出られず、DFも触れずと質の高いボールだった。

22分、飲水タイム。広島がペースを握っていた中で先制に成功してそのまま飲水タイム。磐田も受ける展開が続いたとはいえ、そこまで悪くない流れで来ていたため、悔やまれる失点。個人のパワーだけどゴールまで向かえるタイプがいないので、保持の時間を増やして攻めたいところ。

野津田と松本は縦関係。野津田がアンカーのような振る舞いで、松本はゴール前への飛び出しなど、前線の厚みを作る。

26分、磐田のビルドアップ。山本義を右SBのように押し出して、伊藤とグラッサの2CBで作る。

飲水後からは磐田の保持の時間が伸びてきた。広島は前から取りにいく守備。

30分、遠藤の縦パスから吉長のシュートまで。磐田は大森が0トップのようになるため、一気にスピードを上げるというよりも、中盤で落ちつかせて、敵陣での保持を増やしたいという意図があるか。

32分、磐田の右からのクロスは大迫がキャッチ。トランジションから前向きに奪ってカウンター。磐田は遠藤の縦パスを攻撃のスイッチにしている印象。

35分、磐田が敵陣での保持からカウンタープレスで取り切る。広島は自陣撤退時は5-4-1セットで、ベンカリファはブロックに加わらずにカウンターの起点になれるように準備。

磐田が敵陣でパスを交換しながら、広島の隙を伺う時間が続く。広島は自陣で受ける局面に慣れていないこともあってか、ややずらされやすいようにも見える。

広島は相手ボランチにそのままボランチを押し出してマークをつけるが、そうするとロングボールのセカンド回収に間に合わない。

44分、満田の遠目からのミドル。枠へ飛んだが、三浦の正面。

46-47分、佐々木が持ち運んでから1人でシュートまで。三浦の守備範囲。磐田が持つ展開が続いているが、広島もシュートには持ち込み始めた。

49分、森島が右サイドを抜け出して折り返すも磐田守備陣がブロック。

 

飲水までは広島、飲水後は磐田のペース。ただ、45分通じてしっかりとシュートまで持ち込めているのは広島のほうで、磐田は保持の時間を増やしてもなかなかシュートまでは持ち込めていない。ただ、ストライカータイプを置いていないぶん、むやみに急ぐよりも質の高いチャンスを作り出してそれを確実に決め切りたいという意図なのだろう。20分近くは「ボールを持つ」ことはできていたので、次はそこからどうやって急所へ迫っていくか。広島は中2日での連戦もあるので、いかに消耗を抑えながら試合をクローズしていくか。

 

 

後半

磐田交代

山本義、鹿沼→ジャーメイン、山本康

ジャーメインがシャドーに入り、鈴木が右CBに移る。

46分、左サイドを山本康と小川の連係で攻略してクロスを吉長がファーで合わせるも枠外。WBがファーのターゲット役になる良い攻撃。

後半立ち上がりも磐田が保持の時間を作って攻める構図。広島は奪ったあとはショートパスでつないで自分たちの時間を作ろうとする狙い。

49分、ジャーメインのシュートまで。よりFWに近いジャーメインが入ったことで、シュートまでの道筋が見えやすくなってきた。

50分、鈴木のクロスは誰にも合わず。ただ、ゴール前には3人近く入っており、形自体は悪くない。

51分、大森が座り込む。右足の付け根あたりを気にしている。自力で歩いて外へ出たため、重症ではなさそう。

53分、磐田交代

大森→杉本

広島が保持とプレッシングをハメ始めてペースを引き戻しつつある。

61分、満田の折り返しに森島が飛び込むが合わせられず。磐田は前からプレスを掛けにいくが、下りるシャドーをまったく捕まえられずに起点を作られている。

62分、広島追加点、2-0。野津田の右からのFKを佐々木がニアで合わせてゲット。速いボールをニアでコースを変えられた磐田はなす術ナシ。三浦はノーチャンス。

63分、磐田交代

小川→松本

得点後からプレスの強度を高める広島。

67分、広島追加点、3-0。三浦のロングボールを広島DFがはね返し、そのボールがそのまま森島が拾って決め切った。磐田は全体が整っていない中でボールが早く戻ってきてしまい、遠藤が処理できなかった。

68分、飲水タイム。磐田も善戦し、ジャーメインの仕掛けが加わった攻撃で迫力も少しずつ増していたが、セットプレーと自分たちのミスで失点を重ね、かなり苦しくなった。広島は押し返す時間を作りながらしたたかに追加点を決めた。

69分、広島交代

柏、ベンカリファ→藤井、サントス

点差に余裕が出た広島は、連戦も考慮していつもより早めに交代カードを切る。ただ、もっと疲れていそうな選手がいそうな気がするが…。

71分、磐田交代

遠藤→金子

磐田は4-4-2にシステムを変更。右から鈴木、伊藤、グラッサ、松本の4バック。金子が左SHで上原がボランチへ。

72分、相手左SBを引き出してから野津田→藤井でポケットへ進入したが磐田DFがブロック。

ビハインドで前がかりになる磐田に対して、オープンスペースで効いてくるサントス。

76分、広島が自陣で奪ってから一気にサントスが抜け出し、GKとの1対1を迎えるがシュートは枠外。結果的にオフサイド

77分、広島交代

森島、満田→柴﨑、棚田

棚田はJリーグデビュー。

78分、磐田が保持から杉本が浮いて、ラストパスを受けた鈴木がニアを抜きにいったが、ポスト直撃。磐田はここまでで一番質の高いチャンスだったか。

80分、広島のビルドアップにプレスを掛ける磐田だが、前だけで追う形となってハメ切れず。

磐田はフレッシュな金子を中心に前からの強度を上げているが、全体が押し上げられずに浮いた選手を的確に使われて前進を許す苦しい状況。疲労もあって動き切れないか。

83分、広島交代

荒木→今津

広島は奪ったらシンプルにサントスを目指す攻撃。

85分、藤井のクロスに棚田が合わせるもショートバウンドをうまく当てきれず。

87分、東のタッチラインを沿っていくようなスルーパスに棚田が抜け出してシュートまで持ち込んだがブロックに遭う。

89分、自陣で奪った広島が藤井の個人の推進力で陣地回復。やや強引に止めた上原に警告。

 

決して3-0の点差ほどの内容差は感じなかったものの、広島のしたたかさが上回ったことは事実。磐田はゲームを落ち着かせながら、相手に穴が生まれるのを待つようなプラン自体は悪くなかったが、セットプレーで2点を失ったことは試合を難しくさせた。そしてミスから3失点目を奪われた時点で勝負が決した雰囲気に。ジャーメインが入ってからは、保持のベースに良い意味での強引さが加わって惜しいシーンも見せたが、総じてゴールへの迫力を見せられなかった。ただ、段々と保持の向上は見られているので、今後の戦いには期待。大津の離脱は痛いが、ゴンザレスが帰ってくればまた少し変わるのではないか。

広島は連戦の影響もあって、なかなか強度を上げられない時間もあったが、要所でテンションを上げながらゴールへ迫り、セットプレーから先制に成功。相手のプランを打ち砕けた。1-0で推移するといやな雰囲気もあったが、2点目を取れたことで一気に精神的に優位に立てるようになった印象。早めに選手交代を行い、少しでも休ませられたこともポジティブ。

 

個人的MOM

★森島 司

彼の前線での起点づくりが攻撃の軸に。磐田が前から追っても森島が下りたり、サイドに流れたりすることでフリーポジションに入り込み、逃げ場になった。磐田は試合全体を通じてシャドーを捕まえられずに苦しんだ。トドメとなったチーム3点目も冷静にゲット。

 

同じくシャドーでポイントになり、先制点のアシストをした満田も高評価。荒木が先制点、佐々木が2点目、塩谷が3点目のアシストと全得点に絡んだ最終ラインの3人もお見事。Jリーグデビューの棚田も思い切りの良いプレーで特長を見せた。

 

トピックス

大森が負傷交代。右足の付け根あたりに違和感を抱えた模様。自力では歩けている。試合後リポートによると、裏には戻らず、ベンチでのアイシングにとどまっていたとのこと。

棚田がJリーグデビュー。

 

監督コメント

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ ミヒャエル スキッベ監督 ]
今日のチームのパフォーマンスにはすごく満足しています。3日前のG大阪戦で良いプレーができませんでしたか、今日は自分たちができると証明したと思います。G大阪戦は自分たちのやりたいことや、自分たちを見失っているところがあり、ゴールを奪えませんでした。ただ、そこをしっかり修正できたことが、今日の勝利につながったと思います。

--G大阪戦の敗戦から選手たちのメンタルを立て直すために、どんなことをしたのか。
まずは自分たちの目指すサッカー、集中して速いサッカーをやろうと、もう一度確認しました。G大阪戦で見せた前半30分から35分までのプレーでは、ゲームを支配するためには十分ではないということを再確認しました。また今回は、練習でやってきたことをフィールドでしっかり表現しよう、それができれば自分たちは上でやっていけるレベルにある、ということを確認した。今日はセットプレーから2点取れました。DFが2点取った、DFの選手がストライカーの役割をしたことも、すごく重要な意味を持つと思っています。

--棚田 遼がリーグ戦でデビューしたが、 抜擢の理由と、プレーの評価を。
彼が出場する機会があったことを非常にうれしく思います。(アディショナルタイムを含めて)18分間くらいプレーしましたが、臆することなくプレーできたことは素晴らしかった。トレーニングですごく良いプレーを見せていましたし、この1カ月くらい、すごく成長していました。そこはしっかり評価するべきだと思って今回メンバーに入り、出場機会を得ました。われわれサンフレッチェは育成クラブという使命もあります。自分たちのユースの出身選手を、できるだけ多くトップの試合でデビューさせて輩出していくのは、クラブの求めるところに合ったものだと思っています。

 

[ 伊藤 彰監督 ]
まず、ファン・サポーターの皆さま方に広島まで来ていただいて、勝てなかったこと、勝点を取れなかったことはすごく残念に思っていますし、申し訳ないです。

前半の入りから、われわれがしっかりボールを握り、相手の中盤でのプレッシャーをすり抜けるシーンを作りながら、相手が出てきたところでワイドで勝負することは、ある程度できていたと思いますが、セットプレー1本で相手にイニシアチブを持っていかれたのは、しっかり反省しなければいけない。後半もセットプレーで、ニアのところでやられた。セットプレーで2本やられたことは、絶対に改善できるところだと思いますので、もう1回、次のゲームに向けてやっていきたい。

最後は攻撃に出なければいけないところで裏を取られ、ミスで取られた。広島さんは決定力があり、最後のところでしっかり決め切る力があるのが、力の差を感じたところ。ただ選手たちは、僕が用意したプランをしっかり遂行してくれた。結果が伴わなかったことは僕自身も反省しながら、選手たちと話しながら、次のゲームに向けてコンディションを整えながらやっていきたいです。

--1トップに大森 晃太郎選手、2列目に鈴木 雄斗選手と上原 力也選手を入れた意図は?
相手は[3-4-3]の中盤、ダブルボランチとシャドーで前線にプレッシャーを掛けてくる。ウチの3バックが、どちらかというとマンツーマン気味にプレッシャーを掛けられることをなくす。そこが前半からわれわれのプランだった。晃太郎、ヤット(遠藤 保仁)を中心にボールを動かせたし、最後のところで広島の強固な3バックを崩せませんでしたが、その手前のところまでは行けたかなと思います。

--ジャーメイン 良選手や杉本 健勇選手がいる中で、大森選手を起用した意図は?
中盤で数的優位を作る。あとはCBの真ん中の選手が、晃太郎にどこまでプレッシャーを掛けてくるか、これを見ながらサッカーをしようと。来ないのであれば中盤でボールを握れるし、押し込む時間ができる。そういう意味では、後半の途中まではプランどおりに進んでいたのかなと思います。残念ですが、前半のセットプレーを抑えられていれば、また違った展開ができていたのかなと思う。そこを抑えられなかったのが、われわれの力のなさだと思っています。

マンツーマン気味にプレスを掛けてくる広島に対して、大森を0トップ気味にして保持の時間を作り出すことには成功。ただ、「最後のところで広島の強固な3バックを崩せませんでした」とあるように、ゴールへ向かうところの質が足りなかった。