2022 J1リーグ第15節 鹿島アントラーズvsサガン鳥栖 メモ
スタメン
鳥栖は垣田が契約上出場不可。負傷離脱していた島川がメンバーに復帰。
流れ
3分、敵陣でのトランジションで鈴木がPA前でFK獲得。鳥栖は藤田がつなぎにいったところを狙われてロスト。鹿島は前に前にという姿勢で出てくる。
5分、ピトゥカのFKはGK正面。
鳥栖は藤田アンカーの3センターで、菊地がその1つ前。岩崎は攻撃時はいつもどおりWGの振る舞い、守備時は最終ラインへ戻らず前目に残る。飯野は最終ラインへ戻って4バック気味のオーガナイズになるが、システムの表し方が難しい。左右非対称のいびつな3-5-1-1のようなイメージ。
7分、鳥栖のジエゴをSB位置に押し出した2-1ビルドにそのまま人を当てる鹿島。朴→宮代で一気に前進できたがオフサイド。鹿島は中盤が1人前に出てくるぶん、バイタルにはスペースができやすい。
9分、鹿島が後方からのロングボールで上田が深いところでポイントを作って仕掛け。ジエゴが阻止。
15分、スローインの流れからチャンスを作った鳥栖。しのいだ鹿島は素早くカウンター。
17分、中央でのコンビネーションから右に開いた鈴木のクロス。
鳥栖は宮代でサイドを制限しながら、菊地でアンカー監視。
18分、三竿の運びからの縦パスで上田がフリックし、ピトゥカが抜け出す。シュートは右にそれる。
21分、朴の縦パスをカットした鹿島がショートカウンターを仕掛けるも鳥栖もギリギリで対応。鳥栖は相手が前の2-1でハメてくる守備に対して、藤田を下ろしてファンソッコを上げるなど、ポジションチェンジをしながら惑わせにいったがうまくいかず。
鳥栖は朴からのパスでマークを外せるかどうかがカギ。鹿島がGKまでプレスに来てくれればひし形で外せることは示した。
29分、宮代が敵陣で奪ってから飯野へラストパスを送るも関川がギリギリで対応。鳥栖は鹿島のプレスをはがしかけているが、少し時間がかかると囲まれてしまう。
30分、鳥栖先制、0-1。直前のプレーで得たCKに田代が合わせてゲット。どちらにも決定機という決定機がない中で、先制点はセットプレーから生まれた。
34分、左サイドから前進し、中央でポイントを作った宮代から最後は飯野。鳥栖が相手ゴール前まで入れるようになってきた。
37分、鳥栖追加点、0-2。小泉が中盤からするするっとドリブルで運び、PA内まで進入し、宮代のヒールショット。最初はクォンスンテに当ててしまったが、こぼれ球を詰めてゲット。
43分、菊地が右奥で取って宮代へつなぎ、ボディーフェイントで逆を取った宮代からファーへ送るも常本が好カバー。
44分、クォンスンテのパスを岩崎がカットして仕掛けるも三竿がストップ。宮代が中央で浮いていたが、仕掛けを選択。
46分、カイキのクロスからゴールまで混戦を作ってゴールネットを揺らした鹿島だが、ファウルがありゴールは認められず。
互いに激しい球際の攻防が繰り広げられる中、先手を取ったのは鳥栖。セットプレーに加え、ドリブルで変化を生み出した。鹿島は悪くはないが、いつもに比べてシュートまで持ち込めるシーンが少なかった。シンプルな競り合いでは田代にはね返され、下からのつなぎでは鳥栖のプレッシャーを受けたことで前進がうまくいかなかった印象。ただ、ゴール前まで運べればさすがの迫力がある。
後半
45分、鳥栖が早速チャンスメイク。飯野が右で抜け出してグラウンダーでアーリークロスを送る。鹿島DFのクリアはゴール方向へ向かうが、枠外へ流れる。あわやオウンゴール。
47分、鳥栖追加点、0-3。縦に速い攻撃から菊地→岩崎→こぼれ球を小泉のコントロールショットでゲット。古巣対戦の小泉はノーセレブレーション。鳥栖が良い入りからそのままゴールをゲット。
50分、自陣でのトランジションからカイキが長い距離を運び、鈴木のシュートまで。
51分、鹿島得点、1-3。ピトゥカが中央から運んで右からの折り返しを受けた樋口が落ち着いて流し込んだ。鳥栖は陣形が整っていない中で中央を運ばれてしまうシーンが続き、鹿島が二度目は見逃してくれず。
鹿島のゴールから一気に鹿島ペースに傾きつつある。
58分、遅延行為で田代に警告。確かに鹿島ペースになりつつある中で時間を使ったとも見えるが、やや厳しい判定にも思える。
60分、ピトゥカのクロス気味のラストパスに和泉が飛び込むもうまく当てられず。当てられれば1点もの。
61分、鳥栖交代
菊地→小野
鳥栖も決して弱くないはずだが、球際の攻防はほぼ鹿島が制しているような印象。
鳥栖は朴がキャッチしたあとは徹底して速攻を仕掛ける姿勢。
67分、鹿島追加点、2-3。鈴木のポケット進入からの折り返しに上田がキレイに合わせてゲット。鳥栖は受ける時間が続き、「時間の問題」のようになっていたところで我慢しきれず1点差に詰め寄られる。
69分、ピトゥカのミドルは枠内へ飛ぶも朴がセーブ。
防戦一方の展開を受けて、ベンチからの指示で鳥栖が5バックに変更。岩崎をはっきりとWBの位置に落として守る。
72分、右からのクロスがファーまで流れて、フリーのカイキがシュートを放つも朴が好セーブ。
74分、カイキが抜けだしてシュートを放つも、ここも朴が好セーブ。
鹿島ペースは変わらない。
76分、鳥栖交代
岩崎→原田
より守備的な原田をWBに入れて守備強化の意図か。
80分、鹿島交代
ピトゥカ、常本→土居、アラーノ
和泉が右SBに下りて、土居は前線に入る。鈴木が下りながら自由に動くぶん、土居がゴール前に入っていくようなイメージ。
84分、鳥栖交代
宮代→荒木
86分、小泉が足をつって一時中断。スタッフから〇印は出ているものの、交代枠を使い切っている鳥栖は小泉に頑張ってもらうしかない状況。
88分、鹿島交代
安西、関川→染野、ブエノ
鹿島は三竿以外の最終ラインの選手を全員入れ替えるといった思い切った采配に。全体を前がかりにするぶん、最後方に広いエリアを守れるブエノを入れるといった考え方か。
91分、鹿島同点、3-3。アラーノのクロスをファーで鈴木が折り返し、飛び込んできた土居が押し込んだ。鹿島は攻撃的な采配が実を結んで3点ビハインドを追いついた。鳥栖は重心を下げる選択をした中でリードを守り切れず。
93分、鹿島逆転、4-3。セットプレーの流れから、カイキのクロスを染野がニアで合わせてゲット。鹿島は勢いのままに3点差から逆転に成功。
鳥栖は最後の力を振り絞って前へ出ていく。
96分、鳥栖同点、4-4。藤田のCKが直接ゴールに向かい、クロス対応の準備をしていたクォンスンテが逆を取られる形に。かき出すのが精一杯になり、こぼれ球に田代が頭から飛び込んで押し込んだ。
ゴール後のリスタートが行われる前に終了のホイッスル。特に接触はなかったが足を痛めたようなそぶりを見せるクォンスンテ、追い付かれたことへの憤りを感じる鈴木、整列時に一悶着起こるなど異様な空気感が漂う。
前半は一進一退の攻防の中でうまく鳥栖がゲームを動かし、後半頭も良い入りを見せた鳥栖が追加点を奪って、ゲームを掌握。と思われたが、その後すぐに鹿島が1点を返すと流れは一変。死なばもろともの鹿島の圧力と破壊力はすさまじいものがあり、その圧に押された鳥栖は30分間近く何もさせてもらえず、鹿島が逆転まで持ち込んだが、鳥栖も意地の一発で引き分け。ともにモヤモヤが残るような一戦になった。
個人的MOM
★鈴木 優磨
圧巻の3アシスト。圧倒的に押し込んだ終盤では彼がワンクッションを入れてくれることでチャンスの質がワンランク上がったような印象がある。勝てていれば文句なしだったが、追い付かれたことで少し尾を引く形になってしまった。
監督コメント
(※Jリーグ公式サイトから引用)
[ レネ ヴァイラー監督 ]
--3点差を追いついた勝点1と評価するのか、最後に勝点2を失った勝点1と評価するのか、どちらですか?
気持ちとしてはなかなか表しにくい状態です。0-3から92分に同点に追いつき、94分に勝ち越し、そのあとは勝てる試合だったと思いますが、最後に追いつかれてしまいました。ただ、見ている人にはとても面白い試合展開だったと思いますし、素晴らしい試合になったと思います。いろんな要素があると思います。審判の笛が最後鳴るまで続くものですし、最後の点を決めたのがわれわれでなかったことは残念に思います。--若いチームにとっては次につなげられる試合だったのではないでしょうか?
どの試合も選手たちにとっては教訓になる試合だと思います。最後のセットプレーが立て続けに2本あるというのは、あの瞬間でなくともピンチになる状況だと思います。失点としては起こり得るものだと思います。ただ、時間が経ったらもう少し分析しますが、0-3から追いついたこともポジティブだと思いますし、それが良い教訓になるんじゃないかと思います。--前節・浦和戦で強度の高い試合をやってメンバーを替えなかった理由と、3失点した理由をお願いします。
試合を通して内部で起こっていることと外から見ている視点では違うものがありますし、自分が感じているものや良い流れがあったので、選手は替えませんでした。交代枠が5つありますが、それはあくまで選択肢ですので、使わなければいけないものでもありません。ただ、ものすごく言葉で表すのは難しいんですけど、良い感覚というものは持っていました。立ち上がりの15分から20分は良い出来で入れました。ただ、そのあと相手がCKから1点、そのあと立て続けに2点目を決められましたが、なかなか自分たちにとっても良い流れ(の中)での失点だったのでショックがありました。後半立ち上がりに3点目を決められましたが、ネガティブなほうではなくできる限りポジティブなほうを分析して見ていこうと思っているので、それを分析して前に進むだけじゃないかと思います。
[ 川井 健太監督 ]
カシマという地で勝点1を取れたことをポジティブに思っています。連戦ですので最後こういうふうに追いついて引き分けたことはチームにとって財産になると思います。次節に向かってまた準備したいと思います。--劇的な試合。試合を終えた感想は?
よく言われるジェットコースターのような試合で、8点入るということで観客は楽しかったんじゃないかと思います。本当にお互いに痛み分けのドローだと思います。われわれはもう少し後半の進め方は課題ではあるんですけど、ただここは、こういうものをシーズン(の中で)味わっておかないといけないかなというふうに捉えていて、ネガティブには捉えていないです。ただ、鹿島さんの圧力は素晴らしかったなと思います。--田代 雅也選手が先制点と同点ゴールを決めました。評価をお願いします。
彼はおそらく、ここで「2点取ったから良かったよね」と言っても4失点しているので、1つも笑顔を出さないと思います。ただ、われわれにとっては、最後ああいうメンタリティーを出してくれる選手です。そういうものがいまチームには伝染していると思いますし、彼と同等のメンタリティーをみんな持っているので、そういう意味ではこの4得点目は必然だったかなと思いますね。--ひさびさの複数得点になりました。攻撃面ではどういう修正が?
修正ということではそこまで修正することはなかったです。相手が空けるスペースを的確に突くことと、あとは宮代(大聖)だったり田代もそうですけど、ペナルティーエリアの中は個の質が出るので、彼らの質が高かったのではないかと思います。