2022 J1リーグ第15節 北海道コンサドーレ札幌vs柏レイソル メモ
スタメン
札幌は前節で途中交代した田中駿、肩の負傷で退いた大谷がメンバー外に。小柏、興梠、高嶺が負傷離脱中。菅野はふくらはぎを痛めての欠場とのリポートあり。
柏は引き続きキムスンギュが欠場。それ以外はいつものメンバー。
流れ
柏はいつもどおり5-3-2セット。
札幌は中村が左CB,福森がボランチ。
予想どおり札幌が持って柏が受けながらカウンターを狙う構図。
4分、駒井が背後へ抜け出してから菅のシュート性のクロスまで。
札幌は福森が最終ラインに下りて、西と中村を押し上げる4-1ビルド。
5分、GKを含めて3バック化して回す札幌。戸嶋が前をにらんだタイミングでGKからサイドに開いた西へ届けてプレス回避。柏はIHがSBを見ているので、駆け引き。
5分~、福森の小屋松に対する後ろからのチャージを巡ってVARと交信。長い交信からオンフィールドレビューを経て、福森にレッドカードが提示。まだ開始10分ながら札幌は数的不利に。
13分、柏がCK守備から高橋の運び→サヴィオで敵陣まで。
13-14分、敵陣で奪った柏が細谷のシュートまで。中村がブロック。
札幌は自陣撤退時は5-4-0に近いオーガナイズ。
14分、柏先制、0-1。柏が敵陣へ攻め込み、はね返しを上がってきた高橋が強烈な一撃をぶち込んだ。札幌は人数をかけて守りながらも、三丸にまったくプレッシャーがかからず、シューターに対しても寄せ切れていなかった。
失点後から札幌は4-4-1気味に変更。バックラインが右から西、宮澤、中村、菅、中盤が右から金子、駒井、荒野、ルーカス、1トップに青木。
18分、札幌がCK守備から一気に持ち運んでシュートまで持ち込む。
札幌は数的不利とあってあまり出ていかずに自陣で構えるプラン。
21分、敵陣までスムーズに入った柏が椎橋のシュートまで。札幌はブロックを組んでいるが、普段がマンツー志向なこともあって、簡単にスペースが空き、引いていることでプレッシャーも掛かり切らないので、守備はかなり脆い状態。
23分、前に1人残っていた細谷が1人で収め切って、さらにはPA内へ進入して倒されるもノーファウルの判定。中村は完全に出し抜かれたが、判定に助けられた。
札幌と柏のスタイルの掛け合わせもあって、札幌は1人少なくても保持の時間は作れている。敵陣へ入れるケースもそれなりにあるので、保持の局面をどれだけ増やせるかが肝。
25分、柏追加点、0-2。右サイドをシンプルなワンツーで抜け出すと、折り返しを細谷が合わせてゲット。札幌はやはりマンツー志向のデメリットがかなり大きく出ている。
28分、三丸の奪取から柏の攻撃。左でポイントを作ってから、椎橋→サヴィオ→小屋松でフィニッシュまで。札幌の寄せが甘い上にスペースがほぼほぼ管理できていない守備に対してチャンスを量産する柏。
30分、札幌が前から取りにいったが、柏が落ち着いて回避。
札幌は荒野を下ろして駒井がアンカー位置。その周辺を青木がサポートするビルドアップ。1人少ない分、青木が中盤サポートもこなしながら前にも入っていくようなダブルタスクだろうか。
31分、西にアフター気味に飛び込んだ細谷に警告。西が1枚上手だった。
札幌は推進力がある選手が多いので、その選手たちで1枚剥がして足りない分を補おうという気概を感じる。
36分、カウンターから細谷が抜け出しかけるもタッチが決まらず。細谷は立て続けにコントロールミスが出ている。
37分、相手2トップをどかしてからサイドへの展開でPA付近まで進入を図る札幌。1人少ないながらもビルドアップの質はさすが。
1点ビハインド時は守備時に大外のサポートに下がる傾向があった金子だが、徐々に前へのアタック意識が高まっているように見える。
40-41分、柏が敵陣へ押し込んでから小屋松のシュートまで。
43分、入れ替わりかけた細谷を止めた中村に警告。おそらく距離が遠かったため助かったが、一歩間違えばドグソで2人目の退場になりかねないシーン。中村は細谷とのマッチアップでかなりてこずっている。
45分~、柏が続けざまに右サイドを攻略して折り返しからチャンスを作る。札幌はSBがインサイドからいなくなるとあっさりポケットを取られる。
50分、戸嶋が中盤で奪ってからサヴィオ→細谷でシュートまで。札幌はリスクを承知で後ろから人を押し上げていくため、意図しないところでのロストが発生すると後方はバランスが悪い状態で対応しなければならない。
福森の退場によって完全にゲームバランスが崩壊。札幌も得意としている保持の局面においては数的不利でもそれなりにやれていたが、非保持になるとそうはいかず、簡単に組織の穴を突かれて、柏に質の高いチャンスを量産された。ただ、ピンチの数と比較すれば0-2での折り返しはまだ悪くないと言ってもいい。また、シンプルに細谷を抑えられる選手が誰もいない状況なのもかなり苦しかった。
柏は相手の思わぬアクシデントによって数的優位に立ち、試合を完全に支配。相手のビルドアップをうまく止め切れない場面があるのは反省点だが、もともと引き込んでからカウンターに出ることを強みとしているため、ストロングを引き出す結果にもなっている。ただ、札幌の守備との兼ね合いもあり、敵陣で持つ時間を増やし、コンビネーションからポケットを突いていく手段が最も効果的になっている。
後半
柏交代
戸嶋→ドッジ
45分、大南のシュートまで。
札幌は2点ビハインドもあって布陣を変更。5-2-2に近い形にした。元々の5バックに駒井と荒野の2ボランチ、金子と青木の2トップ。WBとボランチが見る幅がかなり広いので、サイドの対応はかなり難しそう。
49分、駒井のシュート。札幌が久しぶりにシュートまで。
後半立ち上がりは札幌が1人少ないなりにうまく入って、ゲームをコントロールしている。
51分、ドッジが中盤のスペースで受けてスピードアップ。札幌はやはり受けに弱い。
53分、柏追加点、0-3。札幌の組み立てを奪って小屋松→サヴィオの2人で完結。札幌はボールを持って良い時間を作れていただけに痛恨の失点。ただ、ある程度のリスクは覚悟の上だったはずなので、ミスがあれば仕方ないととらえるしかない。柏は実質勝負を決定付けたと言ってもいい。
56分、金子へのスルーパスでチャンスメイク。
57分、柏追加点、0-4。札幌が果敢にプレスへ出ていったが、柏が落ち着いて敵陣まで運ぶと、サヴィオ→小屋松でゲット。札幌は点を取りに行く姿勢が失点を重ねるほうに大きく傾いてしまっている。
60分、柏交代
椎橋、小屋松→大谷、森
柏は大量リード、そして連戦も見据えて温存の交代だろう。
63分、青木に警告。ボールと直接関係ないところでドッジと接触した。
64分、札幌交代
66分、PA内ポケットに入ってきた森を後ろから倒した西がファウルを取られてPK。ベンチのペトロヴィッチ監督は考えることを放棄したかの表情。
68分、柏追加点、0-5。森がPKを落ち着いて決めた。
69分、柏交代
細谷→升掛
70分、柏追加点、0-6。森が左サイドを抜け出して、角度のないところからコントロールショットを決め切った。札幌はカバーに入った選手が競り合いで負けたところで苦しくなった。
73分、札幌得点、1-6。オリヴェイラが右サイドで起点を作って、パスを受けた青木がコントロールショットを突き刺した。札幌は意地の1点。
76分、トランジションからサヴィオ→三丸で抜け出してシュートも中野がセーブ。柏は攻守において落ち着かせることを優先。守備では前から追わずセットしてバランスを取り、保持でも無理に前へ急がずにパスを回しながら時間を使う。
77分、オリヴェイラのシュート。札幌も持てれば敵陣まで入れるには入れる。
79分、テンポのいいパス交換から西とのワンツーでルーカスがシュートまで。
80分、札幌交代
青木→シャビエル
柏は数的優位ながら札幌の攻撃に後手を踏み始めている印象。
J初出場の田中宏は積極的に仕掛けてアピールしようとしているように見えるが、空回りしているシーンが多い。
83分、シャビエルのFKにオリヴェイラが合わせるも枠に飛ばせず。
84分、オリヴェイラを背中側から倒した高橋に警告。そこまで危険なシーンでもなく、点差もあるのでもったいないように感じる。
85分、升掛が背後へ抜け出してゴールネットを揺らすもVARのチェックでオフサイドの判定に。
87分、札幌交代
荒野→小野
柏交代
大南→川口
田中宏が試合の強度に慣れてきたのか、得意の仕掛けで良いシーンを作るようになってきた。
93分、右からのクロスにオリヴェイラが飛び込むも佐々木が好セーブ。
前半10分の福森の退場がすべて。数的不利になった札幌はボール保持こそ機能させてシュートまで持ち込むシーンも作ったが、非保持とリスク管理の面では明らかに穴が生まれており、柏もその穴を見逃してくれるほど甘くはなかった。札幌は元々マンツーマン気味の守備を志向していることからブロック守備はまったくと言っていいほど機能せず。
柏はこれだけ大差がつけば特に文句はないだろうが、最後の15分くらいは札幌に押し込まれてチャンスも作られるなど、潜在的な気の緩みが出てしまったことは反省材料だろう。一方、過密日程の中で主力をある程度休ませられたのは大きいはず。
個人的MOM
★細谷 真大
札幌DFとのマッチアップで完勝。1人でも前線で起点を作り、深さを取ってくれることで全体の押し上げやスピードアップをスムーズに行うことができた。
監督コメント
(※Jリーグ公式サイトから引用)
[ ペトロヴィッチ監督 ]
数字からみれば非常に出来の悪いゲームだったと言わざるを得ない。ただし、ハッキリと言えることは今日はわれわれの日ではなかった。非常に早い時間帯に退場者を出し、ほぼ90分間、数的不利な状況で働かなければいけない状況だった。その中で、できるだけロースコアで試合を運びたかったが、リードを許す展開となってしまった。柏の打つシュートが得点になりやすい状況となった。リードされた展開ながらもなんとか選手たちは得点し、この試合を自分たちが望む展開に持っていこうと試みてはいた。ボールを動かせていたし、チャンスも作れていました。ただし、その中で徐々に疲労が見えていったのが今日の試合展開でした。
疲労の色と自分たちのミスが目立ち、3、4、5点目と柏が得点を重ねる展開を与えてしまいました。一矢報いようという姿勢は見せていて、良い攻撃の形も見せてくれていましたが、縦パスを前向きで奪われたり、横パスを奪われて失点をしてしまった。
1-6というスコアでの敗戦は褒められた結果ではない。ただし、その中でポジティブなものとして見えたのは、失点重ねる中でも選手たちが最後まで心を折らずに一矢報いようとしてくれたこと。その姿勢は非常に良かったと思う。そうした姿勢を持ち続けることが今後に生きてくるはずです。大きくリードされる展開になればチームがバラバラになってしまったりすることもありますが、走る、戦う、どれだけ点を取られても戦うとファイティングポーズを選手が取り続けてくれたことは今後に生きるでしょう。1人少ない中、走力、球際、攻撃のアイディアを見せられたのは絶対にこのあと、プラスに働くと思っている。この試合を経て選手への愛情は深まった。最後まで走り戦う姿勢を見せてくれた選手を称えたい。
--青木 亮太が執念を見せていたように思う。
素晴らしい選手だという評価をしている。彼には具体的に「得点やアシストがもっとできる」と話したが、実際に得点を取るところを見せてくれた。素晴らしいプレーを見せてくれた。でも、まだまだできる。より素晴らしいプレーを見せてくれると期待している。--後半途中からリズムが良くなったように見えた。
ハーフタイムにシステムを変えた。それまでは[4-4-1]のような形だったが、後半は3バックに戻し[3-4-2]のような、[5-2-2]の立ち位置に変えたことで攻撃は機能した。その中で失点を重ねたのは自分たちが攻撃を仕掛ける中でミスしてしまい、カウンターの機会を相手に与えてしまったから。より正確なプレーできていれば、際どいゲームができたのではと思う。
[ ネルシーニョ監督 ]
序盤は互いにスペースを奪い合い、きっ抗した入りとなった。だが、早い時間に退場者が出て数的優位になる時間が多くなった。ただ、前半2点取ったが、決めるべきところで決めていればもっと取れていた。だが、1人多いということもあって、それ以外のところは終始有利だった。ハーフタイムには「やることは変わらないんだぞ」ということを選手に声をかけ、後半の選手たちは良い形のボールの奪い方から攻撃に出ていく形を何度も出せていた。取り急ぐのではなく、守備をしっかりやろうということで、選手たちが私の意図を汲んでしっかりやってくれたと思います。--ここ数試合、内容に結果がついてこなかったように感じるが、そこでこのように勝った。いまのチームのメンタル的な強さについてはどう感じているか。
今年の編成はご存じの通り若手主体であり、確かに最近の試合では決め切ることができていなかった。もちろん、そうした状況が続くと精神面が滅入ってしまうこともあるが、そうした状況だからこそ選手に話をしてきた。「チャンスを作れているので悲観する必要はない」と。決定機に備える、準備をしっかりやるということを話し続けてきた結果の今日の試合である。ただ、なにかプレッシャーを掛けたわけではない。選手との距離感を意識してここまでやってきました。--細谷 真大は得点のところが目立つが、守備について。
彼に関しても、若い選手ではあるが、パワーがありフィジカルもありスピードもある。攻撃に関してはその特長が生かされている。ただし、守備に関しては、これまでも「味方がより良い形でカウンターに出ていけるように守備を頑張らなければいけないぞ」と言い続けてきた。そして今日の試合では良い形で引っかけてカウンターにつながっていた。もちろん、細谷だけではなく小屋松(知哉)に関しても守備の役割を理解してくれているので、よりよい形で攻撃ができるようにプレッシングを意識してやってくれている。