2022 J1リーグ第14節 湘南ベルマーレvsヴィッセル神戸 メモ
スタメン
中2日の神戸は直近の川崎戦と同じ11人を先発にチョイス。藤本、佐々木、サンペールが負傷離脱中。
湘南は岡本と高橋が負傷離脱中。
流れ
湘南は畑が右で石原が左。
キックオフ後から神戸の保持と湘南の非保持が続く。湘南はミドルゾーンで構えてプレスにはいかず、中盤に入ってきたところを迎撃して奪おうとする。
5分、山川と競り合った山田が危険な落ち方をして一時中断。頭を打ったように見えたが、一応〇印は出た。プレー続行可能な模様。
山田がファウルを受けたタイミングからは湘南がリズムをつかみ始める。中盤で奪ってからトランジションで敵陣へ入れるように。11分、瀬川のミドルを大﨑が顔で受けてしまい、一時中断。
神戸の保持は大﨑がアンカー位置で2トップの間に入るような立ち位置取りで、山口が半列前といったイメージ。
14分~、神戸のハイプレスに対して湘南が3-1ビルドで外して右へ展開。神戸は前2人に汰木が連動して3枚でチェイスしたが、後ろはそこまでついてこないので、強度を上げ切らないと簡単にくぐられてしまう。
18分、神戸が右サイドからプレスをくぐると一気にゴール前まで進入。イニエスタのアイデアで打開を図ったが、合わず。
19分、杉岡から対角フィードで畑を走らせてダイレクトで折り返すも中に人が間に合わず。
21分、中盤で奪った湘南がカウンターに出るもシュートまでは打ち切れず。神戸は縦パスの落としを大﨑が受けて前に出ようとしたところで奪われ、最終ラインが晒される形でカウンターを受けてしまった。
22分、イニエスタのパスを武藤が落として汰木がPA内へ進入し、ゴールへ流し込んだがハンドの判定。ゴールとはならなかったが、3人目の動きを使った良い崩しだった。
25分、石原が左から狙うも前川がキャッチ。28分、左ポケットに入った田中からの折り返し。湘南のほうが安定して敵陣には入れている。
30分、湘南の連続クロス。最後は山田が飛び込むも山川が絞って対応。
神戸は山川が前につけてワンツーで抜けていく前進パターンが多い。また、4バックより前に進めず、組み立てでノッキングが目立つ。
神戸はアンカーの田中を捕まえ切れずにプレスをくぐられるシーンが多い。
38分、湘南先制、1-0。上がってきた杉岡のミドルのこぼれ球を町野が詰めてゲット。杉岡のボールを瀬川が少し触ってコースを変えたことで前川の対応が難しくなっていた。湘南はゲームをコントロールしてうまくペースを握れている間に先制に成功。ここ数試合の反省を生かしてリードを得られた。
43分、湘南が敵陣に入ってパスを回し、隙をうかがう。ロストしても素早い切り替えと出足の良さで奪い返す。
45分、敵陣に入った神戸がイニエスタの左足シュートまで。可能性は感じさせたが、難易度は高めで湘南としては崩されていない。
47分、神戸が汰木を縦パスを受けたところから一気にスピードアップし、最後はイニエスタがラストパスを送るも湘南DFが粘りの対応ではね返す。前線のコンビネーションから狭いところを抜け出してゴールまで迎えた。
ローテンポで進んだ前半は神戸が持ち、湘南が構えて守る構図で進んだ。神戸はある種「持たされている」とも言える保持で前進手段がなかなか見つからず、湘南が中盤で奪ってから攻撃に転じてリズムを作った。湘南は攻撃の迫力をやや欠いていた印象もあったが、杉岡の攻撃参加から先制点を奪取。省エネモードで試合の主導権を掌握し、リードで折り返すことができた。
神戸はまったく同じ先発での連戦もあって、プレス時やトランジションでの動きがやや重いか。ブロック守備も悪くはないが、ゴール前で攻められると事故が起こる確率は上がってしまい、こぼれ球という事故で実際に失点も喫した。相手の中盤を攻略できた時には、さすがのタレント力で攻撃に迫力を見せられているので、いかにうまく前進できるかがカギ。
後半
神戸交代
郷家、山川→小田、初瀬
初瀬が左SBに入り、酒井が右へ移る。
湘南交代
山田→タリク
山田は序盤に頭を打つシーンがあったので大事をとっての交代かもしれない。
45分、イニエスタのパスに小田が抜け出してシュートまで。
46分、武藤が右サイドに流れて酒井からの配球で起点作り。CK獲得。
50分、湘南追加点、2-0。神戸のバックパスを抜け目なく狙ってかっさらった町野が奪って、GKを交わし、無人のゴールへしっかりと流し込んだ。神戸は選手交代を行って「ここから」というところで痛恨の失点。
湘南は前半同様に田中のところでポイントを作って前進する。神戸はイニエスタに見させているが、強度が足りずに抑えきれていない。
53分、神戸交代
汰木→ボージャン
54分、酒井のスルーパスに小田が抜け出してクロスを送るも中で合わず。こぼれを拾ったあとは大﨑がシュートを狙うが枠外。
後半は酒井が起点になってボールを前進させる神戸。左足も使えることから配球の選択肢が多い。
徐々に神戸がペースをつかんで、敵陣へ入って攻め込む時間が続く。
58分、神戸得点、2-1。イニエスタのCKを菊池が押し込んでゲット。かなりの密集で相手にサンドされるような状況になっていたが、力と気持ちでねじ込んだ。
一気に神戸が攻勢を強める。湘南は我慢の時間帯。
60分、PA手前からドリブルで進入したボージャンのシュートを谷が好セーブ。神戸はボーナスタイム。やはり前進がうまくいきさえすれば攻撃の迫力はある。
62分、湘南交代
茨田→大橋
大橋がトップに入り、瀬川がIHに移る。
64分、小田と田中が衝突し、一時中断。
65分、ようやく湘南が押し返し始める。
67分、小田が背後に抜け出すも谷が飛び出してギリギリ先に触ってかき出す。小田には警告が提示。後半は小田のランニングから多くのチャンスが生まれている。
湘南2トップに対して大﨑を下ろす3-1ビルドが増えてきた神戸。イニエスタは後半から右サイドに流れて起点を作る動きが増えている。
73分、湘南が中盤で奪ってショートカウンター。最後は畑がシュートかクロスかを狙うが、プレスバックしてきたボージャンのカットに遭う。
74分、田中が座り込んで一時中断。今村主審は頭を指さすポーズがあったので、小田と接触した際の影響で脳震盪の疑いか。
77分、湘南交代
田中→米本
脳震盪の疑いのため、田中の交代は枚数も回数の消費もなし。
78分、湘南交代
町野→ウェリントン
80分、イニエスタのFKを谷がこぼすが、神戸は詰め切れず。手前でウェリントンがブラインドのようになって処理しにくくなったか。
81分、大橋が縦パスを受けて素早くシュートまで。枠を外れたが期待感はあった。
86分、左へ流れて起点を作った武藤からイニエスタへ預け、中央を抜けてきた山口へスルーパスを送るが惜しくも合わず。後半は武藤の起点作りが際立っている。
89分、大橋がサイドへ運んで起点を作る。
90分、湘南交代
瀬川→舘
システムを3-4-2-1に変更し、米本と舘のダブルボランチに。
92分、神戸交代
小田→井上
小田はいわゆる「インアウト」。ベンチに下がったあとにももを冷やすシーンが移されていたので、トラブルがあったのかもしれない。
湘南は安易にラインを下げずにプレッシャーを掛けながら背後もケアするようなアプローチ。
ウェリントンと菊池がバッチバチの空中戦を見せる。
96分、神戸がロングボールから武藤が抜け出してシュートを放つも谷がファインセーブ。我慢して足に当てた。
98分、イニエスタの直接FKがゴールに吸い込まれるが、VARのチェックが入る。結果、ハンドの判定で神戸の得点は認められず。そのまま終了のホイッスルが鳴る。
神戸の選手は鬼の形相で主審へ猛抗議。ロティーナ監督らスタッフ陣がピッチ内に入って仲裁に入る。
前半は湘南がゲームを支配、後半途中からは神戸が一気にギアを上げて攻勢を強めるといった流れ。結果的には神戸がリズムをつかみ始めた後半の早い時間帯に町野が上げたゴールが最後まで効く形になった。ラストプレーのFKによるゴールが認められるか否かで全然違った結果になっていたことが示すように、1点が試合の行方を大きく左右する死闘だった。
湘南は良い流れに持ち込めた前半でしっかりと先制し、後半の早い時間で2点のリードを得られたことで自分たちのプランに引き込めたことはポジティブだが、そこから相手の攻撃を受けてしまった部分は反省材料。ホームで連続4失点での敗戦が続いていた中で今季ホーム初勝利は大きな前進。また、裏天王山で勝点3を獲得したことも大きい。
神戸は前半は全くと言っていいほどうまくいかなかったが、後半は右SBに回った酒井を起点にしつつ、前では武藤がポイントを作り、小田が背後へ抜ける動きで変化を加えながら攻撃の回数を増やした。その中で挙げた得点がセットプレーからという点が物足りない部分。また、2失点目ももったいないもので、あれがなければもっと自分たちのペースに引き込めていたかもしれない。
個人的MOM
★町野 修斗
2得点と目に見える結果を残して勝利に貢献。特別良いシュートを打ったわけではないが、FWらしい抜け目ない動きが生み出した2点。インタビューでも「うれしいゴール」と本人が言っていたように、日ごろからサボらずに続けていたことが実を結んだのだろう。
攻撃参加から先制点のきっかけを作り、守備でもハードなマークで相手の起点をつぶした杉岡、二度の好セーブでピンチをしのいだ谷、交代するまでは中盤の底でボール保持の軸として機能した田中も好評価。
神戸は後方からのパス出しで組み立てを安定させた酒井、背後への抜け出しや前線でのポイント作りで存在感を見せた武藤、圧倒的な質で違いを見せたイニエスタ、途中出場からスペースへ抜ける動きで攻撃を活性化させた小田が良かった。
トピックス
田中が脳震盪の疑いにより交代。
湘南はホーム初勝利。
監督コメント
(※Jリーグ公式サイトから引用)
[ 山口 智監督 ]
結果が出て非常に良かったと思うと同時に、やはり選手が喜ぶ顔は良いなと感じます。まだまだ(遅れを)返していかないといけないので、この喜びを今日だけにしまって、次に向かいたいです。試合に関しては、神戸さんのペースといいますか、スピード感といいますか、テンポに自分たちがどう合わせるかというところと、自分たちのストロングのところをどう出すかが大きなテーマでした。選手がよく判断して、我慢するところはする、行くところは行くというゲームでした。もちろん、持たれる展開は想定していましたが、ある程度の想定内でみんなよくやってくれました。得点に関してもよく狙っていた中で決め切ってくれた。それに尽きると思います。
--相手は同じ勝点で並ぶチームで、大事な一戦だったと思うが。
こんな言い方をしたらアレですけど、そこではなかった中での戦いが続いていたので、結果にどうつなげるかが大きな課題でした。自分たちのところと相手のところと向き合った中で、結果論ですけど今日、勝てたというのは大きいです。今季苦しんでいるので、何よりチームが勝つことがどんなゲームでも、場所でも1番だと思っています。神戸さんに勝ったというよりも、チームとして勝ちをつかめたことがすごく大きい。今後、この勝利が次につながったと言えるようにしていきたいです。--畑 大雅選手が右、石原 広教選手が左と、普段と逆の配置だった理由とその評価は?
ここではいろいろ言えないですけど、相手のこともありますし、自分たちの関係性もあります。相手を考えるといろいろ対策はありますけど、誰がどこをやってもいいように、求めているものは明確にあります。今日に関しては、相手のこともあります。--1点目は杉岡 大暉選手のミドルシュートから、2点目は瀬川 祐輔選手が縦のコースを切ったことで生まれたように見えましたが。
1点目に関しては、(杉岡)大暉の思い切りの良さが出たと思いますし、そういう場面が増えてきたと思います。こぼれ球に対して、どういうポジショニングを取るかとか、狙っているかというのは感覚のところがあるので、良いところに転がってくれたと感じます。2点目に関しては、町野 修斗がすごく良い狙いを持っていたと思います。ああいったどん欲さだったり、嗅覚だったりはゴールにつながります。何より、先に2点を取ってラクになれたので、勝つにはそういうことが必要だなと思います。
相手に持たせることを許容してローテンポなプランで入ったが、良い意味で神戸に合わせた戦略だった模様。それが奏功して前半で主導権を握れたのはお見事。
[ ロティーナ監督 ]
前半に関しては、こちらがあまりボールを保持できなかった。彼らが守備面で良い立ち位置を取ってこちらを苦しめて、ボールを失ったらカウンターを仕掛けられ、自分たちは後ろに走らなければいけない時間帯が長かった。後半に関しては、不運なことに、ゴールをプレゼントする形になってしまい、チームとしてはそこから巻き返しのため全力を尽くしました。1点目を決めたあと、もっと早く同点に持っていけるチャンスを作れたと思いますけど、こちらが決め切れなかったこと、相手GKの活躍もあって、このような残念な結果に終わってしまいました。--ここ2試合は良かったように見えたが、今日は連戦の影響か、体が重そうに見えました。
そのような印象を与えてしまう試合だったと思います。特に前半は、ボールを早く動かすことができず、ボールをサイドからサイドへ運ぶのに時間がかかりすぎてしまった。ただ彼らも[5-3-2]で守備を固める中、簡単ではなかったところがあった。ボールを失ってカウンターを入れられ、後ろに走らなければいけない悪い展開に流れたことも、そのような印象を与えた要因かもしれないです。