2022 J1リーグ第9節 ジュビロ磐田vsサンフレッチェ広島 メモ
スタメン
流れ
広島はいつもどおりハイプレス。磐田はトランジションから素早い切り替えでカウンターを狙う。3バックの脇へ走ってボランチからそこへ送るような意思統一があるか。
広島は藤井が持ったときにシャドーが早めに戻って2対1を作る意識を感じる。
磐田は執拗に右奥のスペースを狙っているように見える。
10分、サントスの個人での持ち運びから満田のフィニッシュ。磐田DFがしっかりと角度を消した上で打たせた。
11-12分、コンビネーションから藤井が深くまで入るとクロスに満田が飛び込む。
14分、シュートを受けた際に三浦が足を痛める。痛めたのはその前のクリアしたシーンだったか。
19分、大井のシュートまで。執拗な右サイド攻撃。鈴木で佐々木の脇を取って起点を作り、大井とボランチのサポートで厚みをもたらす。
20分、三浦が座り込み、負傷交代。右足を痛めた様子。
21分、磐田交代
三浦→コシェレフ
22-23分、トランジションから右奥を取った広島が野上のクロスからサントスのヘッドまで。互いにトランジションからの攻撃のスピードがカギ。
25分、FKから大井のヘディング。
26分、上原が前までプレスに出ていき回収するもすぐにロスト。磐田は序盤に比べてシャドーが前へ出なくなり、全体のラインを少し下げた印象。
29分、ハーフスペースの奥に上原が走り込む。広島の守備陣の意識が前向きになることを逆手にとって、後ろから人を押し出していくような攻撃を見せる磐田。
33分、鈴木がサイドの奥を取り、クロスを送るも大森が合わせきれず。磐田は縦パス→落とし→裏へのスルーパスという意識が全体で共有できており、パス交換で相手を引き出してから背後を取る攻撃を徹底。
39分、磐田先制、1-0。左で大森が深さを取ったところから最後はPA内へゴリゴリと入っていった鈴木が豪快に突き刺した。
広島はビルドアップではまってしまい、ロストしたところが痛かった。
43分、サントスのミドルはGKの正面。磐田は安易なロストからシュートを許した。
磐田はシャドーがインサイドで構え、ボランチが上がってプレスのスイッチを入れるような構造。
磐田は無理に前へ行かず、ラインを下げる。広島には明確なターゲットがいないぶん、シンプルなクロスはそれほど怖くない。広島は押し込めるぶん、攻撃の試行回数を増やしてチャンスをうかがう。
広島がいつもどおりハイプレスで主導権を握ろうとしてくるのに対し、磐田は持たれることをある程度許容しながらトランジションと疑似カウンターから好機をうかがう。特に相手3バックの脇や背後を狙った攻撃が秀逸で、ボランチが背後に出ていく動きなど、かなり広島対策を準備してきたことがうかがえる攻め方を見せた。
その中で良い守備から先制点を奪えた磐田。準備していた形とはまた違ったかもしれないが、鈴木の質の高いシュートはお見事。広島は自陣撤退を相手には相性があまり良くないため、あとはどのようにゲームをコントロールするかが重要。
後半
45分、広島同点、1-1。開始早々にグラッサがオウンゴール。広島は松本がハーフスペースを縦に抜けてからの折り返しが効いた。
47分、右から東がミドル。後半立ち上がりは広島が攻勢を強める。
50分、一発でサイドの奥を取る森島。広島はスペースを持ったまま攻め切れるかどうかがポイント。
51分、サイドチェンジから藤井→満田でハーフスペース奥を取ってクロスまで。
52分、中央での回しからサントスのシュート。広島が主導権を握る。
広島は対角フィードやサイドチェンジを意識しているように感じる。
55分、磐田が前からプレスをかけるも広島が丁寧に外し、森島とサントスのコンビネーションからチャンスメイク。
56分、柏がポケットへ入り込んだところから佐々木のシュート。磐田は押し返す術を見つけられずに防戦一方の展開。
59分、サントスが入れ替わって抜け出すもコシェレフが好カバー。
60分、広島逆転、1-2。佐々木→柏で背後を取り、ハーフスペースの森島→折り返しをファーで満田が合わせるという完璧な崩し。
62分、磐田交代
大井、大森→ジャーメイン、吉長
鈴木が右CB、吉長が右WBに入る。
66分、松本泰のハーフスペース縦抜けからサントスへの折り返しでチャンス。
77分、サントスと藤井のコンビネーションから中央突破。
77分、遠藤→ジャーメインで背後を取るもDFの対応とGKのカバーが間に合う。
77分、松本泰の運びからサントスに決定機もコシェレフが好セーブ。
広島は小気味良いパス交換から中央を打開できるシーンが増えた。磐田はボールにアタックへいかないといけないぶん、スペースを空けやすく、ワンツーについていけない。
79分、広島交代
柏→柴﨑
満田が右WBへ移り、柴﨑がシャドーに入る。
81分、オープンな展開から藤井のシュートまで。磐田はある程度のリスクを許容しなければならないので、守備陣の個人個人の踏ん張りが重要。
82分、磐田交代
遠藤、杉本→大津、ゴンザレス
1stプレーで抜け出すゴンザレス。佐々木がギリギリで対応。
82-83分、CKをゴンザレスが合わせるもポストに阻まれる。ゴンザレスがいきなり見せ場を作る。
84分、松本昌にアフターチャージを見舞ったサントスに警告。
85分、背後へ抜け出そうとした大津が佐々木を倒して警告。
89分、磐田同点、2-2。吉長が右から仕掛けてクロスを送ると広島DFがクリアし切れず、混戦からゴンザレスが豪快に決めた。広島は荒木がクリアし切れずにルーズボールを生んでしまった。
92分、コシェレフのキャッチからゴンザレスへのロングフィードでカウンターも藤井がうまく対応した。そのまま大迫に突っ込んだゴンザレスに警告。
ゴンザレスの投入からかなり勢いを増した磐田だったが、勝ち越し点を奪うまでは至らず。広島は後半で圧倒していただけに3点目を取れなかったことが響いた引き分け。磐田は後半早々の失点が痛恨で流れを完全に渡してしまったが、ゴンザレスが勝点1をもたらした。途中出場の吉長がゴールに絡んだことも大きい。
個人的MOM
★松本泰志
後半早々のオウンゴールを誘発した攻撃参加を筆頭に、後方からの攻撃参加で変化を加えるなど、高い位置でのプレーで違いを見せた。これまでの不遇はなんだったのかと感じさせるパフォーマンス。
サントスはそこまで得意としていないポストプレーも頑張っている印象があり、リード後にスペースを得た展開からは脅威となった。ゴールを決め切れれば最高だった。
森島はいつもどおりビルドアップのポイント作り、ポケット進入と攻撃の軸として機能。
磐田は鈴木が前半に狙いどころの右奥でポイントを作り、得点もゲット。後半途中からは右CBへ移り、攻撃に厚みをもたらすなど戦術的に欠かせない選手として存在感を見せた。
監督コメント
(※Jリーグ公式サイトから引用)
[ 伊藤 彰監督 ]
雨の中にファン・サポーターの皆さま方が大勢来ていただいて、ヤマハスタジアムで初勝利、勝点3を取れずに非常に残念に思っている。本当に申し訳ございませんでした。前半はわれわれの持ってきたプランを素晴らしく選手が体現してくれた。その中でチャンスもありましたし、得点も取れました。やはり選手たちの頑張りが前半は良かったと思う。後半に入って最初の入りが大事だという中で、本当に残念な10分間だったと思っていますし、この10分間をどうやって改善していくか。選手と話し合いながらセカンドハーフの入りのところをもう一度構築しなければいけない。それはいろいろな部分があるとは思いますが、しっかりとつないでつなぎ倒すのか、われわれが相手の裏に少しパワーを持って相手を押し込みながらプレッシャーを掛けるのか。その辺をもう一度選手たちと話しながらやっていきたい。
ただ、後半に2点取られましたけど、最後はパワーを持って追いつけたこと。これは選手の躍動感を持ってやってくれたことが素晴らしかった。この勝点1をつなげなければいけない。リーグの中でこの勝点1を良いものにしていくためには、次のゲームがすごく重要になる。次のゲームにまた準備しながら、この勝点1を年間通して最後に笑えるような1にするためにやっていきたい。
--後半序盤について。
まずは自分たちがしっかりと、相手がどうやってくるかというところで前半と同じプランを持っていた。後半に入って相手がどう変えていくかはわれわれが見て予測しながら、5分、10分とやっていくことが必要ですが、あの時点で1分経たないところで失点してしまったのは、何が原因か見つけづらい部分が正直ありました。2失点目でやられたところはわれわれが確信したところでしたが、僕が選手を代えながら修正をしようと思ったところで失点してしまったことがちょっと残念に思います。それがいまの僕の力かなと思いますし、僕自身が改善しなければいけないところだと思っています。
改善する部分を途中から失点したあとはある程度できていましたが、追いつかなければいけないところでオーガナイズを変えたことで、裏を取られて危ない場面もありました。なんとか追いつけて良かったと思います。
[ ミヒャエル スキッベ監督 ]
率直な感想は、ジュビロと対戦して勝てなかったことが残念な気持ちです。特に後半は速い展開から素晴らしいサッカーを展開できた。その中で3-1や4-1にすることができただろうという中でやれなかったことで、こういう結果になった。私たちのチームが94分間走り続けたことは誇りに思っている。--ハーフタイムの指示は?
後半早くボールを動かすこと、裏を取りにいこうと伝えました。それまでジュビロの方が経験値が豊富なチームなので、われわれにスペースを与えてもらえなかった。なのでスペースで勝負するよりも走って勝負しようというところがうまくいったと思う。--試合最終盤のゲーム運びについて。
対戦相手がたくさんロングボールを入れてきた。前の大きい選手に集めてきた。相手が前で何かをやったというよりも長いボールを入れてきた。それに対してうまく守っていたとは思います。--勝点1の意味は?
アウェイの難しい試合で1ポイントを取ったのは良いことなのかもしれません。ただ一方では、試合の展開の中から2-1でリードして、そこからさらにリードできるような状況から追いつかれてしまった。勝点を落としたなという気持ちもある。ただ、このような経験を生かして、次の試合では3ポイント取れるようにやっていきたい。