2022 J1リーグ第4節 北海道コンサドーレ札幌vs横浜F・マリノス メモ
スタメン
流れ
2分、敵陣で奪ったマリノスが藤田のシュートまで。福森が外へ出て空けたスペースに小池龍が走り込んで変化をつけた。
4分、右で持った金子が切り返しからシュートまで。
ともにハイプレスと縦に速い攻撃を志向しているため、ゲームの展開がかなり速くなる。
札幌はマンツーマンでマークを付けるが、マリノスは速いテンポで回しながらポジションを動かすことで少しずつずらしていく。
11分、マリノスがカウンターからエウベル→仲川で決定機を迎えるもオフサイドの判定。
13分、右サイドのコンビネーションから小柏のシュートまで。
14分、札幌のハイプレスを高丘→ロペスで回避すると、右でフリーになっているエウベルへ開放。札幌はWBが前へ出ていくので、外で張られるとマークにつきづらい。
マリノスはWGがCB位置の選手へ出ていくため、外に出る福森や田中駿にはマークにつきづらい。そこへ出るタイミング遅れるとサイドの裏を使われる。
21分、中盤での奪取からロペスのシュートまで。直近の10分くらいはマリノスが押し気味の流れ。
24分、エウベルのシュート。札幌は不用意なロストや、プレスがハマらなかったときはエウベルのところを半ば「諦める」ような対応をするしかない。
ひたすらエウベルのところからチャンスを量産するマリノス。
札幌もマークに出ていくが、前向きの重心が強いことを逆にマリノスに利用され、的確に背後を突かれ続ける。マリノスは相手の目線と重心が戻り切る前にポジションを取りなおして、マークを外していく。
前半15分ころまでは速い展開の中で両者がチャンスを作りだしていたが、それ以降はマリノスが主導権を握った前半。とりわけ、プレスを外してからエウベルに開放する攻撃は数えきれないほどあり、札幌はそのたびにシュートを打たれたが、菅野の好セーブでしのいだ。札幌は体力がある前半でこれだけプレスを外されると非常に厳しく、それによって自分たちの時間帯を思うように作り出せなかった。保持の局面でもサイドの空くスペースを使って前進できたシーンもあったが、試行回数を増やせなかったこともあって、チャンスはそれほど多くなかった。ただ、それでもスコアはイーブン。後半の修正で展開はいかようにも変わる。
後半
札幌交代
青木→菅
菅が左WBに入り、ルーカスが右WB、金子が右シャドーに。
45分、背後へ抜け出した小柏を倒した實藤に警告。
50分、金子のシュート。札幌が相手のプレスを回避してゴール前まで運べる回数が増えてきた。
54分、仲川が田中駿の背後を突いて決定機も菅野が好セーブ。前半でやられまくっていたエウベルには菅をマークにつけることで穴をいくらか埋められたが、代わりに仲川のほうが空きやすくなっているのかもしれない。
58分、マリノス交代
仲川→西村
西村が1トップに入り、ロペスが右WG、エウベルが左WGに移る。
59分、駒井を倒したエウベルに警告。
徐々にマリノスが敵陣での攻撃回数を増やす。
64分、札幌交代
金子→荒野
流動的ではあるが、札幌は駒井左下りのビルドアップが増えた気がする。
68分、菅のゴールで札幌先制。左でのコンビネーションからルーズボールを拾って左足を振り抜いた。
70分、マリノス交代
藤田、エウベル→渡辺、マルコス
吉尾が左に出てマルコスがトップ下に入る。
72分、札幌交代
興梠→深井
深井がボランチに入り、小柏がトップ、駒井がシャドーへ移る。
75分、高嶺を倒した岩田に警告。オープンな展開が増えてきた。
78分、高嶺の個人での突破を止めた角田に警告。オープンな展開で高嶺の運び出しが目立つ。
80分、マリノス交代
吉尾→樺山
札幌交代
駒井、ルーカス→シャビエル、柳
83分、背後へ抜け出した小柏がGKと1対1になるが、高丘がうまく距離を詰めてセーブ。マリノスは被決定機をしのいで首の皮1枚つないだ。
84分、その小柏が負傷交代。スプリント時に肉離れを起こしたか。札幌は選手交代を使い切っているので、残り時間は数的不利になる。
札幌は柳が前へ出たり、最終ラインへ戻ったり、[4-4-1]と[5-3-1]を切り替える守備。
数的優位のマリノスが攻勢を強める。
89分、高嶺に警告。
1人少ない札幌は時間を使うプレー選択。
95分、パワープレー気味に人数をかけたマリノスが實藤のゴールで同点に。これがラストプレーになり、ブザービートで試合終了。
札幌は相手にチャンスを多く作られながらも菅野を中心にしのぎ、菅のゴールで先制する最高の流れ。ただ、終盤に小柏の負傷で数的不利になると、うまく時間を進めてはいたが最後は耐えられず。最後の失点も決して決壊した印象はなかったものの、相手に一歩上回られた。また、小柏が負傷交代直前で迎えた決定機を決めていればどうだったか、というたらればもあった。
マリノスは前半からチャンスを量産したもののゴールを奪えず、最終的に勝点1は拾えたが、内容とスコアが伴わなかったという感想が強い。相手GKが菅野でなければ、ということも言えるかもしれないが、エウベルがシュートを打ちまくった前半で1点は取っておきたかっただろう。ただ、メンバーを毎試合入れ替えて戦う中で、札幌のマンツー守備にまったく屈していなかったのは素晴らしいチーム力。
個人的MOM
★菅 大輝
前半で対応に苦しんでいたエウベルのマークとして後半頭から入り、左サイドの守備の安定化に成功。さらに先制点を生み出すなど攻撃においても存在感を見せた。
トピックス
小柏が負傷交代。筋肉系のトラブルとみられる。
監督コメント
(※Jリーグ公式サイトから引用)
[ ペトロヴィッチ監督 ]
非常に厳しい試合になると予想していた。そしてその予想どおりアップテンポで、攻撃的なチームがぶつかり合う好ゲームだった。横浜FMとは過去の対戦でも素晴らしい試合が多かったが、今日もそれにふさわしいゲームだったと思っている。以前はそこで敗れていたが、今日は引き分けになった。互いの思いがぶつかり合った素晴らしい試合になったと思う。前半は良い内容だった中でプレスが効いていたが、途中から内側で起点を作られ、相手の右サイドからチャンスを作られてしまった。われわれにチャンスがあったが、相手にもチャンスがあった。そのため、そこを修正し、後半は相手にそこからチャンスを与えていなかった。金子(拓郎)、小柏(剛)のチャンスが決まっていればという思いはある。そしてそこで1人少なくなり、その状態で残り時間を戦わなければならなくなった。その中で選手は良く戦ったが、最後の1秒で同点にされた。
しかし、何がなんでも勝利して野々村(芳和)会長を送り出したいという気持ちが出ていた。勝てはしなかったが、選手たちは素晴らしい戦いを見せてくれたと思っている。今日も多くのサポーターがチームを後押ししてくれました、勝利を届けられず残念だが、引き続きサポーターの皆さんと戦っていきたい。
--得点をした菅 大輝への評価は。
まずは相手の7番を抑えるところをしっかりやってくれた。得点以外でも良いものを見せてくれたと思っている。チームにとって必要な仕事をやってくれたと思います。--野々村会長とともに作ったチームが、見事な戦いを見せた。
札幌は相手が川崎Fだろうと、浦和だろうと、強いチーム相手だとしても自分たちの哲学を曲げることなく勇気を持って戦う。私自身の根っこにあるのは、サッカーは観る者にとって面白いものであること。勝利をするために自分たちのスタイルを曲げることは私の信条ではない。その中で勝利を求めていくのが札幌のサッカー。私は広島、浦和と仕事をしてきた中でも、常にそのようにしてきた。野々村会長は私のその仕事を見て、彼のビジョンを示してくれた。そして私はそのプロジェクトに賛同した。その後、札幌は安定した力を出せるようになってきた。途中、選手が買われていくこともあったが、その中で野々村会長がクラブを大きくしてくれた。個人的には彼がいなくなるのは寂しいことだが、この札幌をより強くしていきたいと思っている。チェアマンになるということは、彼が札幌でしてきた仕事が評価されたということ。今後も彼を応援していきたい。
野々村会長は選手、解説者を経て、札幌の社長、会長になった。日本サッカー界では、そうした形は野々村会長が最初だと思う。いまではJリーグの中で、誰もが札幌というクラブがどういうクラブかがイメージできると思う。そうした意味でも彼が残した功績は素晴らしいものだと思います。
[ ケヴィン マスカット監督 ]
エキサイティングなゲームが見られたと思います。自分たちはメンタル的にも強く行き、アウェイでも攻撃的なサッカーをしっかり見せていた。札幌も攻撃的なサッカーをしていました。最後の最後まで気の抜けないゲームだったと思います。--前半、チャンスがありながらも得点を奪えなかったこと。そしてポジションチェンジをしてから失点を許したが。
前半はなかなか決め切れず苦しい部分はあったが、チャンスを多く作れたことはポジティブな部分だと思う。短い期間で6試合戦い、なかなか思ったような形で試合ができていないが、フィジカル的にフィットしていない選手もいる中で、ピッチ上に立った選手たちがいつもとは違うポジションで出場したとしても、強く行く姿勢が見られたことは誇りに思います。