2021 J1リーグ第37節 アビスパ福岡vsベガルタ仙台 メモ
スタメン
福岡
前節から先発を7名変更。
→城後、石津、輪湖はかなり久しぶりの先発。
仙台
原崎監督の初陣。
西村が出場停止。
カルドーゾが5試合ぶり、氣田が11試合ぶりの先発。平岡は8月3日以来の先発。
フォギーニョがメンバー外。
流れ
エンドを変更。
立ち上がり、行ったり来たりの展開を経て、福岡がペースを握る。出足の速さと縦への割り切った攻撃が良い方向へ出ている。
仙台は守備時に日差しの影響を受けるのと、風で戻されるボールにやや苦戦している。
9分、上原が2トップ裏で前を向き、運び出してからカルドーゾへの縦パスで攻撃のスイッチを入れる。福岡は2トップは前への意識が強いため、ボランチの連動が追いつかないと、ライン間でポイントを作られる。
11分、クルークスの奪取からそのままシュートまで。仙台は低い位置で安易なロスト。福岡が前向きに強いだけに、最後方での組み立てには注意しなければならない。
13分、仙台はバックパスをスイッチに富樫がプレス強度を上げる。
14分、福岡がかなり強めに前から追ったが、仙台はショートパスでのつなぎで剥がす。監督交代で少し色を変えた部分かもしれない。
仙台は攻撃時に追い風になるので、セットプレーはインスイングのボールが脅威になる。
仙台はどちらかのSBを内側に寄せた変則3バックビルドも見せる。
17分、再び福岡が高い位置で奪い、ショートカウンターへ。仙台は低い位置でのつなぎにチャレンジしている様子があるので、ここの局面ではがせるか、食われるかの勝負は続きそう。ここまでは福岡の強度と勢いに食われがち。
仙台はトランジションからカウンターに出ていくシーンが何度かあるが、福岡は前がリスク管理で残っており、そこで時間をかけさせてプレスバックで囲い込む。
20-21分、攻撃参加した前のクロスに城後がフリーで合わせるもシュートは枠外。ボールがやや高く、合わせるのが難しかった。
飲水まで
福岡の勢いをもろに受ける形になっている仙台という構図。ただ、仙台もある程度来季を見据えているようなチャレンジをしている(ように見える)のは前向きなポイント。初陣がプレスに長けた福岡なのは厳しいめぐりあわせだが、ここでいくらかの成功体験を積めれば大きい。
24分、吉野を左に下ろした3バックビルドでアピアタウィアが運ぼうとするが、渡の強烈なプレスに食われる。試行錯誤中の仙台の組み立てと、結果に飢えている福岡の前線のプレスではかみ合わせが悪いように感じる。
25分、福岡先制、1-0。右で持ったクルークスがカットインからファーに流し込む完璧なシュート。クルークスの十八番。仙台としてはスーパーなシュートで防ぐのは難しかったが、引き金はビルドアップで捕まったところ。ただ、やり切るしかないので、授業料を払ったととらえるしかない。
28分、輪湖のインターセプトからのクロスにファーで城後が合わせるも、スウォビィクがセーブ。チャンスに絡んではいるが、ここまでは持っていない城後。福岡の勢いが止まらない流れ。
35分、真瀬の突破からのクロスにPA内に入り込んだ上原が合わせるもヒットし切らず。仙台が少しずつリズムをつかんできた。
36分、またしても福岡の奪取からショートカウンター。関口がボランチ位置に下りて受けるなど、工夫はしているが、なかなか安定してこない。
38分、上原が2トップ裏で前を向き、高い位置で張った石原へ展開。上原が2トップ裏で受けるのはおそらく二度目だが、この形が作れると良い攻撃に移れる雰囲気が出る。
40分、クルークスが“ゾーン”からシュートを打つも今度はヒットせず。
42分、仙台がCKから平岡のシュート。この試合で一番ゴールに近づいたシーン?
45分、富樫にイエロー。宮との競り合いでファウルをとってもらえなかったところへの異議がとられたか。
ビルドアップの向上に取り組む仙台に対し、そんなのお構いなしにガンガンプレスを掛けて食いまくる福岡。福岡が高い位置での奪取からショートカウンターを発動させまくっていたことを考えると、仙台的には1失点で済んで助かったという印象。
仙台はこれを続けなければ意味がなさそうだが、試合のペースを取り戻すためにはなにかを変えないと難しそう。福岡の前線が前半から運動量を上げているとはいえ、モチベーションが高い選手の息切れはまだ先になりそう。
後半
45-46分、右からのFKに宮が合わせるもギリギリ枠外。
46分、中盤でのルーズボールを回収した仙台が関口→富樫で決定機も決め切れず。富樫がGKとの1対1を制せなかった。
48分、仙台同点、1-1。CKをニアでカルドーゾがすらしてファーで氣田が詰めた。仙台は後半立ち上がりは悪くない入りからはやい時間に追い付けた。
52分、仙台が自陣深くで奪ってから関口が長い距離運んでクロスまで。福岡は攻撃時のポジションバランスが少し崩れているように感じる。
後半立ち上がりは仙台ペースに。
54分
福岡交代 城後、石津、カウエ→フアンマ、杉本、中村
後半の押されている展開を見て3枚替えを決断した?
56分、中村の展開でオープンエリアへ送り込むが、渡がコントロールし切れず。直後に仙台のカウンターから富樫の抜け出しも宮がブロック。
59分、クルークス→フアンマで一発の展開。福岡も少しずつ押し返してきているか。
杉本が入ったことで中央でのコンビネーションが活性化している印象を受ける。
また、福岡はSBが高い位置を取ることでトランジション時にサイドを突かれる場面が多い。
福岡がバランスを崩しているからか、60分前後でもオープンな展開が多い。
63分、仙台逆転、1-2。仙台は1点目とまったく同じ形。上原の右からのCKにカルドーゾがすらしてファーで氣田。福岡はらしくない戦いが続く。2CBだけでカウンター対応をしているため、サイドを起点に簡単に自陣深くまで入られてセットプレーを与えていることが原因の1つ。
66分、フアンマにイエロー。異議に対して?
68分
仙台交代 氣田→加藤
68-69分、仙台のカウンターから加藤の個人技でキープし、最後はカルドーゾ。
飲水まで
福岡は後半が始まってから攻撃へのリスクをかけ過ぎている印象があり、仙台にカウンターチャンスが多く訪れている。前半は防波堤になっていた前も中盤にいないことが増え、フィルター役がいなくなっている。ただ、福岡は早めの3枚替えを行ったことで攻撃の質は上がっているように感じる。
70分
福岡交代 渡、輪湖→金森、志知
早くも交代枠を全て消費。
72分、右からのCKに宮が合わせてネットを揺らすもファウルの判定。
敵陣へ押し込めるようになり、セットプレーなどでチャンスを増やす福岡。仙台はカウンターは変わらず打てているが、ゴール前で耐える時間が増えてきた。
79分
仙台交代 関口、平岡→富田、福森
吉野が最終ラインに入って[5-4-1]セットに。富樫は右シャドー。カルドーゾだけ最前線に残し、あとは自陣へ戻って守備。逃げ切り体制に入る。
1stラインをハーフウェーラインくらいに設定し、シャドーも下がりすぎないようにする。
86分、福岡同点、2-2。前の縦パスから相手の中盤を中央へ集め、金森の個人技からの展開でオープンサイドへ。最後はクルークス→フアンマの折り返し→金森でゲット。仙台は後ろの枚数を増やしたが、ずらされてフアンマと金森を止められず。イレギュラーに対応できなかったような印象。
福岡の猛攻をしのぎながらワンチャンスを狙った仙台という構図になったが、どちらにも追加点は生まれずドロー。前半は福岡のショートカウンター祭り、後半は仙台のロングカウンター祭りで前後半で対照的なゲームだった。後半の福岡のリスク管理はらしくなかったが、終盤の猛攻はらしさ爆発だった。
仙台は前半のビルドアップで食われすぎてしまったところと後半5バックに変えた中で耐え切れなかった部分は大きな反省材料。ただ、カウンターを打たせてもらえる状況に持ち込めればゴールへ迫れるところを見せたのは前向きなポイント。試合後インタビューによれば、セットプレーの形も「狙いどおり」とのこと。
個人的MOM
★ジョルディ クルークス
彼にしか打てない十八番の形から先制点を奪取し、同点弾も彼のクロスから。最終盤も勝ち越し点こそ生まれなかったが、彼が1対1の局面ならほぼほぼクロスを上げられる個人能力を生かした放り込みで迫力ある攻撃を見せられた。
前半は渡の強烈なプレス、前のバランス感覚も良かった。セットプレーのターゲットになり続けた宮はゴール前での力強い守備が目立ち、ゴールさえ決められればMOMだったかもしれない。
仙台は2ゴールに関与した上、カウンターからゴールに迫り続けたカルドーゾ、途中出場からキレのある動きでチャンスメイク役を担った加藤もgood。
トピックス
5分、クルークスのクルっとターン
40分、特に意味はない、カウエのノールックパス
前半46-47分、細かいタッチでひらりと交わしていくカルドーゾ
68-69分、加藤の敵陣PA付近での連続切り替えしキープ
72分、CKからのゴールをファウルで取り消され、「マジかー」の宮
ゴール後、一目散にベンチの選手の元へ向かう金森
試合後インタビューの金森、「足を運ぶ」のワードが出てこずに詰まって照れ笑い
監督コメント
(※Jリーグ公式サイトから引用)
[ 長谷部 茂利監督 ]
良い形で得点を取れました。ただ悪い形と言うか、まったく同じ形で失点してしまいました。勝敗としては引き分けに持ち込めましたが、もったいないゲームだったなと思います。ただ自分たちがやれることは十分にやれたと思いますし、危ない場面、カウンターを受ける場面は何度かありましたが、それもしのいで試合としてはどうにか成立したような、ホーム最終戦でどうにか勝点1を積むことができました。--勝てませんでしたが、今季のチームの特徴を出せた試合にもなりました。
メンバーが替わった、最初から出られなかった選手、出た選手とさまざまですが、ケガとかコンディションを含めてチーム一丸となって戦えたと思います。2失点のところだけ、われわれらしくなかったなと。スカウティングを含めてバッチリ準備はできていたのですが、そこを防ぐことができませんでした。決めるべきときに決めていればもう少し違った結果になったと思いますし、2点、3点差をつけることができたゲームでもあったと思いますし、自分たちが多少なりとも目指しているところに近づいているところを見せられたゲームだったのではないかとも思います。
[ 原崎 政人監督 ]
前半の入りは自分たちが準備してきたようにはボールを進められなかった。福岡さんのプレッシャーが速く、まだまだミスが多い展開でしたけれども、後半に相手のスペースをもう少し突く話をしながら、そこは多くのチャンスを作りにいくことができたので、後半に関してはゴールに向かっていってくれたと思います。--2点を同じような形から取ったセットプレーについて。
セットプレーのところはコーチに任せているので、昨日のトレーニングどおりの形を出せました。--先発起用したフェリペ カルドーゾ選手について。
スピードとパワーは持っている選手なので、特に後半はスペースを少し狙う話の中で、こちらの期待どおりの動きをしてくれました。欲を言えばゴールに迫るシーンもあったので、そこで決め切ることができるとまたチームがもう1段階上に行けるのかなとは思いました。