2021 J1リーグ第37節 ヴィッセル神戸vs横浜F・マリノス メモ
スタメン
神戸
先発は前節から中坂→郷家のところの1カ所のみ変更。
井上がメンバーから外れ、代わりに小田がひさびさのメンバー入り。
前節から先発を2名変更。扇原、仲川→渡辺、レオ・セアラ
メンバー入りの18人は前節とまったく同じ。
流れ
高い位置でセットはしているものの、珍しく前から追い回さないマリノス。
数分経つとマリノスが持つ展開になるが、神戸も同サイドに圧縮する守備で対抗。まだ密集をかいくぐる術は見られない。
神戸は2トップ裏の選手をイニエスタ、SBはIHがスライドで対応。どちらかというと神戸の守備のほうが機能しており、マリノスはストレスを感じていそう。
8-9分、右からのクロスに武藤の落とし→大迫のシュート。神戸が敵陣でのプレータイムを増やす。
ティーラトンの蹴ったボールが顔面に直撃した郷家。脳震盪なのか、横になった状態が続き、慎重な対応が施される。
16分
神戸交代 郷家→中坂
脳震盪による交代になり、交代回数・枚数ともに消費しない。
17分、ようやく前からプレスに行きはじめるマリノス。ただ、すぐにまたセットに戻る。武藤の抜け出しをきらっているのか、サンペール経由の組み立てを嫌がっているのか。
マルコスがかなりサンペールについて動いている様子がある。
20分、山口からのサイドチェンジで右へ展開。マリノスがコンパクトな陣形を敷くので、大きな展開は有効。
22分、マリノス先制、0-1。渡辺からの縦パスを無理目に後ろへ出したセアラだが、前田が追いかけ、神戸の守備陣の連係ミスを誘発して決め切った。
23分、小池に突っ込んだイニエスタにイエロー。
神戸側はやや判定にフラストレーションを溜めている印象がある。
飲水まで
マリノスが自分たちらしさよりも、いくらか神戸対策をしてきたような印象。前からの積極的なチェイシングがないことで神戸が持つ時間も多くなり、また神戸の守備に苦戦する時間もあったが、前田のスピードがその閉塞感を打破。神戸は悪くなかっただけに一瞬の隙を一発で突かれたのは痛い。
サンペールが消されて後ろから蹴らされるシーンが増える神戸。マリノスはショート&ロングでのカウンター気味の攻撃も多い。
神戸は自陣だと[4-3-1]セットでサイドに人が少なく、空きやすい。マリノスは主に右サイドから攻め、小池からのクロス攻撃を狙う。
クロスがうまく入らず、目の前のペットボトル?を蹴り飛ばすイニエスタ。イライラが感じられる。
36-37分、セアラが座り込み、腿裏を気にするしぐさ。
マリノスが奪いに来ないぶんボールは持てる神戸だが、1stラインを突破するのにかなり苦労しており、なかなか前進できない。
46分、相手2トップを動かしてから菊池で前進し、酒井への1本のパスでSHを切る。SBに2対1を突き付けて背後を取った良い攻撃。
48分、ロングボールを武藤が収めたところから、イニエスタ→酒井で背後を取ってチャンス。
49分、そこから得たCKを初瀬→山口とダイレクトにつないでボレーでのシュートを完璧にミートさせるも、クロスバー。
細部での修正が合ったようには見えないが、その中でもゴールへ近づき始めた神戸。
マリノスが相手をリスペクトして入ったぶん、いつものようにボールを持って支配し、攻撃の試行回数を増やすような展開にはならなかったものの、安定した非保持局面で相手に閉塞感を与えた。また、攻撃の回数が減った中でも前田のスピードを生かして先制でき、ここまでのプラン的には大成功といえるだろう。
一方で神戸は立ち上がりこそ良い戦いができていたが、徐々にビルドアップもうまくいかなくなり、守備もサイドの泣き所を使われ始めるなど難しい展開。前線の個人能力でなんとかできた部分もあるが、ビハインドを背負った中でチームとしてどう打開できるかが試される。
支配率は神戸6:マリノス4と、マリノスとしてはあまり見ない数字。
後半
47分、中盤でカットしたマリノスがカウンター。エウベルからのクロスでチャンスメイク。
後半もほとんど奪いに行かないマリノス。そのため前半と同様に神戸がボールを持つ展開。
49分~、サンペールが最終ラインに下りて受け、様子見の神戸。まだビルドアップの改善策は見つかっていない。
神戸は初瀬の背後を取られるシーンが目立つようになってきた。エウベルとのマッチアップで良い位置から守備ができないと後手を踏む。
52分、飯倉→初瀬で相手の前4枚を外したが、空いたスペースから効果的な攻撃はできず。イニエスタの個人技から強引に打開。
55分、初瀬の直接FKが高丘がセーブ。
半ばタレントの力業で敵陣へ押し込み始める神戸。
56分、狭いところでのワンツーで抜け出したイニエスタがゴール前へ進入してチャンスを作るもゴールは決まらず。マリノスは我慢の時間が続いている。
58分、マリノスは保持局面で岩田の運びで変化をつけようとしたがうまくいかず。寄せられて蹴っ飛ばすシーンが多くなっていた中で1つ工夫を入れた。
59分、喜田を倒したサンペールにイエロー。次節出場停止。
63分
神戸交代 中坂→リンコン
途中出場の中坂が途中交代。リンコンがトップへ入り、武藤がIHに移るいつもの形。
マリノスが60分前くらいから押し返したように見えたが、すぐに神戸がペースを取り戻す。
66分、リンコンに決定機もシュートは正面へ。イニエスタが左サイドを攻略してクロスからチャンスを作った。
武藤が少し足をつったようなアクションを見せる。
飲水まで
神戸が持ってマリノスが受ける展開は変わらず。マリノスは相手のビルドアップを抑えることはある程度できているが、個人能力でごり押してくる攻撃をゴール前で耐えるような流れにはなっている。攻撃でも効果的なカウンターはあまり打てていない印象もあるので、1点リードをどうとらえてどのように試合を運ぶか。
71分、初瀬の仕掛けからクロス。ゴール前には3枚待機していた。
72分、前から人を合わせてくる神戸に対して低い位置で繋げないマリノス。珍しい光景。
73分、武藤にイエロー。ボールを奪いに行った武藤の肩がティーラトンの顔にあたった。ファウルの笛の直後にボールを蹴り飛ばすなど、少しイライラもたまっているように見える。
74分、エウベルの相手を置き去りにするドリブルから決定機演出も前田が決め切れず。GKとの1対1だった。
75分
マリノス交代 エウベル、マルコス→仲川、天野
神戸はイニエスタがボールサイドのボランチ、IHが逆サイドのボランチをケアすることで近くでのつなぎを許さない。ボールサイドを圧縮する分、逆サイドは空くものの、そこまでの展開を許していないのでデメリットはあまり顕在化していない状況。
80分、酒井にイエロー。ファウルもあったが、異議に対してのものだと思われる。
81分、マリノス追加点。中盤でのトランジションから喜田→小池とつなぎ、最後は仲川のカットインからの左足ミドルが決まった。飯倉も少し触ったがはじき出せず。神戸はマイボールから簡単にインターセプトを許し、やや自滅のような形。
85分、前がかりになった神戸の背後を突く前田。神戸は酒井の必死の戻りと好対応でなんとか対応する。
86分
マリノス交代 セアラ→水沼
水沼が右WGに入り、仲川が左、前田が中央へ移る。
87分
マリノス交代 渡辺→扇原
88分、左サイドを攻略した神戸が折り返しから決定機を迎えるもシュートまで打ち切れず。
89分、ロングカウンターから数的優位の局面を作るも、最後のパスが合わず。神戸がかなり前がかりになっているため、カウンターで数的優位を作れるマリノス。最前線には前田がいるので、怖さがある。
90分、敵陣PA前で奪取した神戸が超ショートカウンターから決定機も、マリノスのDF(小池?)がギリギリでクリア。ロストしたティーラトンは軽率なプレーだった。
93分、リンコンにイエロー。
かなり人数をかけて失点覚悟で出ていった神戸だが、ゴールを割ることはできずに終了。マリノスはどこまでがプランどおりだったのかは不明だが、ボールを持たない戦い方でも勝てたのは収穫。後半の途中までは苦しい時間帯が続いたが仲川のゴールで2点目を奪えたことで気持ち的に余裕が生まれたように感じた。
神戸はもったいない前半の失点でビハインドを背負ったことで、マリノスに割り切る戦い方を強められ、難しくなったかもしれない。特に後半は攻守において主導権を握れていたので、「早めに追い付いていれば」というたらればが思いつくゲームだった。
個人的MOM
★仲川 輝人
押され気味になっていたチームにパワーをもたらす2点目をゲット。出場時間が短かったこともあり、ほかに目立つプレーはあまりなかったが、ゲーム展開的にあの1点には1点以上の価値があったように感じた。
受ける展開の中、持ち前のスピードでカウンターのチャンスを数回作り出したエウベルの存在感も際立った。
イニエスタのすごさは言わずもがな。
トピックス
神戸は来季のユニフォームを着用
おそらく脳震盪があった郷家が途中交代
16分、囲まれても失わないサンペールのキープ力
52分、エウベルのナイスタッチでの交わし
56分、イニエスタのヌルヌルドリブル
60分、意表をついたマリノスのFK
→試合終了直後にはしっかりと挨拶を交わしていた
68分、相手DFを置き去りにする渡辺のターン
74分、エウベルのぶっちぎりドリブル
92分、松原が交代準備をしていたが、交代回数を使い切っているため投入できなかった模様。実際に水沼と扇原の交代が1分後だったのは違和感があった
試合後、飯倉がマリノスゴール裏に挨拶
前田大然、驚異のスプリント52回
毎年恒例となりつつある、ホーム最終戦の盛大なイベントは今年も健在。和太鼓でのオープニングやDJを呼んだ演出、アジアへ向けた意気込みのVTRなど。→VTRには田中順也、ドウグラス、廣永、中坂などサブキャストに回った選手たちが活躍したシーンも多かったのが良かった。ケガのため不在となったドウグラス、ボージャン、郷家はパネル姿で場内を回る
タオマフをバンダナのように着用するリンコン、入場時にシャドーボクシングを見せてちょっと失敗してはにかむ佐々木、全体が背番号が大きい順で入場する中で1人特別にトリを飾るイニエスタ
ゴール裏サポーターへの挨拶は代表して山川。選手会長だから?
監督コメント
(※Jリーグ公式サイトから引用)
[ 三浦 淳寛監督 ]
90分通して攻守にやりたいことを意識してやれたと思う。結果は0-2だったが、われわれにもチャンスがあり、選手は戦う姿勢を見せてくれた。--3位が確定した。過去最高順位を記録したことについて。
今季のスタートから目標はACL出場権獲得という中で、選手たちが最大限の努力をしてくれた。間違いなくそれが目標達成につながったと思いますし、勝ち切れない時期もあったが、我慢強く戦ったことがこの結果につながったと思う。過去の最高順位は7位だったが、しっかりと今季は3位を勝ち取った。選手たちを褒めたいと思います。--ACLを戦う上で、いまのチームにさらに何が必要に?
1つに絞るのは難しいですが、今日の試合を観てもらえば分かると思いますが、前回マリノスと対戦したときよりも力がついてきたと思う。それは日々の積み重ね、個人戦術も含めて、しっかりとレベルアップしている感覚をなくさずに続けていけば、ACLも良い結果を出せるのかなと思っています。
[ ケヴィン マスカット監督 ]
難しい試合でした。神戸がすごくプレッシャーを掛けてきました。両者どちらともボールを握る時間帯はありましたが、神戸のほうが握っていた印象があります。しかし、選手たちは最後まで戦い続け、素晴らしい結果で終えることができました。そして、(2位が確定したことで)AFCチャンピオンズリーグの本戦へストレートインが決まり、コロナ禍で難しい状況を過ごしているサポーターの皆さまに来年の希望をプレゼントすることができたと感じています。良い形で終えた今日のように次の試合もそうありたいです。
--守備ではプレスが効いていました。
試合が流れていくうちに、徐々に良くなりました。神戸に対し、自分たちのプレスをほんの少し修正しました。神戸の選手の質は高いですし、やりたいようにはなかなか簡単にさせてもらえませんでした。自分たちがやろうとしたプレスは数的有利を作り、良い形でボールを奪うことです。そういう部分(の質)が徐々に上がりました。中盤の喜田(拓也)と渡辺(皓太)が素晴らしい選手を相手によくやってくれました。ボールから逃げず、ボールを要求して打開、突破、進入していく部分を見せてくれました。全員が強い気持ちを持ってできた試合でした。
--2位が確定しました。その結果をどう受け止めていますか。
自分はシーズン途中からきたので難しい部分がありましたが、このチームが1月から2021年シーズンを戦うにあたって、優勝だけを目指してきました。決して2位を目標にしていたわけではありません。ただ、そうは言っても、ACL出場権を取り、Jリーグだけではなく、アジアの舞台でも自分たちを見せられることとなりました。もっともっとワクワク感を伝えられるでしょうし、選手やクラブを誇りに思います。来季はリーグ優勝を目指し、ACLでもしっかり戦っていきます。