2021 J1リーグ第36節 横浜FCvsヴィッセル神戸 メモ
スタメン
ガブリエウ、松浦が3試合ぶりの復帰。
サウロ・ミネイロがメンバー外。それに伴って渡邉が7試合ぶりの先発。
神戸
18人のメンバーは前節とまったく同じで、先発は郷家→中坂の入れ替えのみ。
流れ
エンドを変更。
立ち上がりから神戸が持って横浜FCが受ける構図。ただ、横浜FCも間から追ってボールを奪いにいく守備を見せる。神戸はGKを使いながらつなぎ、近場が塞がれれば蹴っ飛ばす。
横浜FCは取りにいっているが、イニエスタやサンペールらを潰しきれず、思うように奪えない流れが続く。ヴィゼウやシルバの推進力で陣地回復を狙うが、彼らが相手の複数人の囲い込みを上回らないと厳しい。
6-7分、松尾がサイドからぶっちぎってチャンス演出。酒井を外した上で1対1に持ち込めればゴール前までは行けそう。
8分、神戸先制、0-1。イニエスタがワンテンポおいてからのスルーパスで大迫が左サイドを抜け出し、自分でPA内まで持ち込んでゲット。横浜FCは高い位置からプレスを掛けたことで背後にスペースができ、そこを的確に崩されてしまった。
横浜FCは前から行く姿勢を変えず蹴らせるが、神戸は武藤と大迫で競り合いも弱くないので、そこでのセカンド回収が重要。
13分、瀬古のフィニッシュ。おそらく横浜FC初シュート?
16-17分、飯倉→サイドで、落としに武藤が背後へ抜け出す形。オフサイドになったが、相手のプレスをひっくり返すのに良い手。
飲水まで
少しずつ横浜FCもボールを持てるようにはなってきたが、ほぼほぼ神戸ペース。横浜FCは前から追っても思うように回収できず、失点もハイラインのデメリットが出たような形。また、ミネイロがいないことでカウンターの色も薄く、どの局面からゴールを奪いたいのかがまだ見えてこない。おそらく保持局面での得点を目指していそうだが、であればその時間が全然作れていないのでかなり厳しいここまで。
28-29分、相手のパスミスを武藤が奪ってカウンター。前を塞がれ気味だったが積極的に前へ仕掛け、大迫に渡したあとに大迫が岩武に倒されてPK。横浜FCからしたら厳しめの判定だったが、安易なパスミスでPA内に進入されたのが痛恨だった。
PKをイニエスタがしっかり沈めて0-2。
横浜FCの面々の表情を見ると、2点目はかなりダメージが大きそうに見える。
横浜FCは安易なパスミスが多い。一方で神戸は守備の個人戦術レベルが高く、球際を作ればかなり高い確率で奪い取れる。
35分、セットプレーから菊池が押し込むが、大迫がオフサイドを取られノーゴール。横浜FCは命拾い。
42分、セットプレーから武藤が合わせるも惜しくも枠外。神戸はセットプレーの迫力もあり、横浜FCは頭が痛い。
神戸がボールを持って攻め、トランジションでも圧倒。特に中盤より前の選手のプレスバック意識がかなり高く、横浜FCは判断が少しでも遅れると簡単に食われる。横浜FCはDAZN集計でシュート2本(うち1本は直接FK)で、保持からほとんどチャンスを作れず、安易なミスも散見した。プレスもうまくハマったシーンはほぼなく、全局面において上回られたと言っていい。
後半
神戸交代 イニエスタ→郷家
余裕が出てきたのでコンディション調整を考慮しての交代か。
良い入りをしたのは神戸。山口が絡んだコンビネーションでゴールへ近づく。
ビルドアップから縦パスが入り、マギーニョのミドル。保持からの作りにおいてはこの試合で一番良いシーンだったかもしれない。
49分、シルバのミドル。外国籍選手たちは遠めからでもパワーシュートが打てるので、こぼれ球への反応も大事になる。
徐々に保持の時間を伸ばす横浜FC。神戸が少しテンションを落としたからかもしれない。神戸は規制が甘く、外でフリーを作ってしまう回数が多い。特に武田からのクロスを許している。
55分、武藤と大迫のカウンター。横浜FCはどうしてもこういうカウンターは受けてしまうので、守備陣がなんとかするしかない。
57分
神戸交代 中坂→井上
神戸は3センターの脇、大外を埋めきれないので、そこを起点にして進入される回数が多い印象。また、トップ下の両脇にボランチを置かれて対応が難しくなっている。
62分
横浜FC交代 ヴィゼウ→松浦
横浜FCはIHが前に出てきたら空けたところにシャドーが下りるなど、論理的なビルドアップを見せられるようになってきた。後半から瀬古がしっかりつなごうという意識を見せていることと、松浦の投入が効いているか。
飲水まで
50分頃からは横浜FCのペース。前半とは逆で神戸がうまく奪えない流れになっているが、横浜FCもゴールへ迫っているようなシーンはほとんどないので、想像よりもメンタル的には困っていないのかもしれない。
71分、神戸が久しぶりに相手のビルドアップにハメ切ってショートカウンター。この形が作れると神戸も流れを引き戻せそうだが。
72分
神戸交代 大迫→リンコン
マギーニョのところの強度が個人単位でかなり上がっている。初瀬に渡った瞬間にスプリントでプレス、背後を取られたあともスプリントでプレスバック。
75分
横浜FC交代 渡邉、武田→ジャーメイン、高木
79分
神戸交代 初瀬、武藤→小林、佐々木
神戸は中盤でのパス回しは悪くないが、リンコンのところで時間がかかって囲まれたり、プレスにかかりやすいパス選択などが目立つ。
83分
横浜FC交代 シルバ、岩武→安永、中村
神戸は佐々木がしきりに背後への抜け出しを狙う。
横浜FCは敵陣で持つ時間が長くなっているが、シュートまでいける攻撃はほとんどない。
90-91分、中村俊輔のFKもGKがキャッチ。中村と飯倉の元同僚対決。
横浜FCは最後までシュートシーンというシュートシーンがほとんど作れないまま、完封負け。前半で主導権が握れず、ミスがらみの失点も含めて2点ビハインドになり、後半は完全に押し込みながらも迫力のある攻撃を見せられず。たらればを言えば、受けに回った前半のミネイロ不在は痛かったように感じる。スペースを消されて守られると松尾のスピードも生かせず、攻め手が見つからなかった。
神戸は前半はほぼ完ぺき、後半で押されたのは反省材料だろうが、今季はうまくいっているクローズのところがこの試合でもうまく決まった。菊池とフェルマーレンの最後の砦が堅かった。
個人的MOM
★大迫 勇也
1得点にPK獲得と全得点に関与。横浜FCが圧力を高めて入ってきた中で、最前線で彼が収められる、競り勝てるポイントがあったのは神戸にとって大きなプラスになった。
トピックス
6分、武藤のプレスバックから上手な体の入れ方で奪取。その後味方と見間違えたのか相手にパスを出すところまでセット
6-7分、松尾のぶっちぎり
30分、2失点後、チームを鼓舞する早川監督
34分、イニエスタのとんでもラストパス
36-37分、松尾まつり。1人で運んでPA手前でのファウル獲得まで
60分、山口のノールック鋭角パス
72分、交代で下がった大迫がベンチでアイシング?処理を施す。代表戦も含めてやはり負荷が大きくかかっているのかも
82分、1対1を制した菊池が神戸ゴール裏に向かってガッツポーズ
試合後、涙を流すヴィゼウ。まだ数ヵ月しかいないクラブにもかからわず大きな責任を感じている様子
ゴール裏への挨拶では、一部ブーイングのような声が聞こえる
監督コメント
(※Jリーグ公式サイトから引用)
[ 早川 知伸監督 ]
0-2での敗戦になり、非常に残念です。J2に降格し、自分のミッションが達成できなかったことに悔しい思いでいっぱいです。なかなか前線からプレッシャーが掛からず、神戸さんのクオリティーもあり、ボールを奪う回数が少なくなってしまった。相手の背後へのランニングで最終ラインが引っ張られ、難しい状況になった。その中でも自分たちが準備してきたものを出して、良い形でボールを奪えたり、狙いを持ってできたところもあった。しかし、結果的に個の質のところで失点してしまい、難しくなってしまった。2失点目も奪われてカウンターからPKという形で、そういうシチュエーションは望んでいた形ではありませんでした。
後半、0-2から粘り強く守備をして失点せずに1点取れるようにゲームを進め、交代もしていったが、最終的には[4-4-2]の形にして2トップでゴールに向かう形を探った。それも含めて、結果的にゴールを奪えなかったことは、結果論から言えばなかなか難しい選択だったなと思います。ただ、このような結果になったものの、サポーターの皆さんがスタンドを埋め尽くして応援してくれたことに感謝したいし、降格は決まりましたが、最後まで残り2試合、結果を求めて戦っていきたいと思います。
--サウロ ミネイロ選手の欠場で、攻撃のプランに変更はあった?
基本的には変わりません。もちろんサウロのパワーやスピードというものはありますし、(渡邉)千真が入ることでボールが収まったり、そこを起点に攻撃という狙いはありましたが、自分たちの狙いが大きく変わるところはありません。--J2降格が決まったが、途中就任してチームを立て直す難しさは?
この場で一言で答えるのは難しいが、いくつかある中の1つとして、チームを自分が率いてからなかなか現状把握に時間がかかった。就任してすぐ連戦が続いて、なかなか練習ができない中でチームを作っていかなければいけない難しさがあった。チームとしても、コロナの影響で何人かが欠場したりして、主力メンバーをある程度固定しながら戦うというところにも難しさを感じていた。ただ、中断明けからチームとしても練習とゲームも重ねる中で整理できたり、補強選手たちが活躍してくれることでよりチーム一丸となってJ1残留のミッションに向かっていけた部分はあったが、残念な結果になった。まだほかにもあると思うが、いま考えられることは以上です。
[ 三浦 淳寛監督 ]
試合の入り方を含めて今日は試合開始15分で1点を取ろうと入って、実際に10分くらいに得点を取れた。特に前半に関しては、本当に良いプレーがたくさんあったと思うし、しっかりと点を取って良いペースで進められた。ピッチになかなか水をまけない中で、そのピッチに合った戦い方をすることに関して、背後への動きなど選手たちはよく意識したんじゃないかと思う。後半はどうやってゲームを終わらせるか。当然ながら2-0というのは難しく、1点を取られたら分からなくなるし、そこはバランスを見ながら選手たちがよく理解して戦ったと思う。--3位以上確定は次節以降に持ち越しとなったが、ACL出場権獲得に向けてこの勝利の大きさは?
どの試合も大事な試合ですが、今日の試合は本当に大事な試合だと理解していた。なかなかしっかりと勝ち切るのは難しい状況だったとは思うが、うまく前半で得点して、リードを奪ってしっかりとゲームを締める、どうやって終わらせるのかに関しては非常に良かったと思う。--アンドレス イニエスタ選手を前半で交代した意図は?
正直、今日のアンドレスには言うことがないですよね。前半の攻撃もそうですが、守備も含めてゲームの中で中心となり、王様のようなプレー、素晴らしかったと思います。本人は後半もプレーを望んでいました。ただ、少し足のハリがあるということで、ハーフタイムで交代させました。プレーはしたいと言っていたんですが、以前もアウェイでの鳥栖戦のとき、彼が素晴らしいプレーをしたときに筋肉系のケガをしたことがあった。彼はプレーを望んでいたが、あとはほかの選手たちがしっかりと役割を果たしてくれると信じて、そこはしっかりと話をしながら交代することに決めました。--大迫 勇也選手が先発出場し、得点も決める活躍を見せた。代表から戻ってすぐだったが、状態は問題なかった?
そうですね。90分はもたないだろうという中でも、やはり先発でチームの士気を高める、試合の入り方がすごく重要という話をする中で、サコ(大迫)が先発してくれるとチームは雰囲気もガラリと変わる。サコを生かすために近くに選手を置きたいというのも頭にあり、そういう連係も非常に良かったと思います。その中で彼がしっかりとゴールしてくれたということで、サコに関しても今日は言うことがないですね。素晴らしいプレーだった。