2021 J1リーグ第37節 川崎フロンターレvsガンバ大阪 メモ
スタメン
川崎
先発もサブも前節とまったく同じ。
倉田が出場停止。
三浦がサブに回り、昌子が9試合ぶりの先発。
小野が9試合ぶりに戦列復帰。
奥野が6試合ぶりの先発。
髙尾がメンバー外で柳澤が3試合ぶりの先発。黒川が3試合ぶりにメンバー入り。
山見がメンバー外で中村が今季初のメンバー入り。
流れ
立ち上がりから落ち着いて入ったガンバ。[4-4-2]でコンパクトな陣形を保ち、まずは守備をしっかりやろうという意識。攻撃はカウンターメインになりそうだが、セットプレーでは深い位置からでもパトリックに入れて事故を起こせれば、という形も見せる。
6分、川崎先制、1-0。右サイドを起点にして中央に入れて再び右の山根→ダミアンでゲット。ガンバは重心を下げて対応していたが、あっさりスペースを使われて決壊した。
8分、川崎追加点、2-0。家長のインスイングクロスをファーでマルシーニョが落として旗手が押し込む。20年の序盤によく見られたような形。
ガンバはコンパクトさは保っているが、対川崎を考えると寄せの甘さや、捨てたスペースへの対応の詰め方が甘いように感じる。
ガンバは割り切って守ることを選択しているのはあるが、ほとんどボールを持つ時間がない。
15分、細かいパス交換で右サイドを打開する川崎。ガンバはバックパスに対してはいくらか押し上げてプレスに出ようとする意志を感じるが、圧縮し切れない。
16分、ガンバ得点、1-2。中盤での奪取からパトリックの落とし→宇佐美の個人での打開でゲット。プレスで相手に圧を掛けるところはチームとしての部分だが、最後は完全に個人の力で取り切った。
18分、ガンバが非保持で、SBで縦を消して押し下げさせたところで圧縮して奪取。ここは良い守備。
19-20分、今度は1本のパスでSHを切られるガンバ。SBが縦にスライドしてふたをできるかどうかが1つの指標になるか。
→21分はガンバ左サイドでの圧縮に成功。
川崎は様子見なのか、橘田が最終ラインに下りて3バックビルドになる場面が増えた。
飲水まで
ガンバが試合のリズムをつかむ前に連続得点で主導権を握った川崎。ガンバもかなり怪しい雰囲気が漂ったものの、宇佐美の1点で空気を変えられたのは大きい。徐々にサイドでの圧縮がハマる守備も見られ、受ける展開ながらも決して“守るだけ”の守備にはなっていない。
26分、カウンターで左からのクロス→パトリックでチャンス。ガンバも要所で出ていくポイントをみつけつつあるか。
飲水直後は川崎側にシュートがあったが、それ以降はややガンバがペースをつかみ、敵陣へ入る時間を増やしている。
ガンバは2トップも自陣深くまで戻る上、中盤4枚の守備強度をかなり高めている。
35-36分、右サイドで持った脇坂が個人で狭いところを抜け出してサイドチェンジからチャンスメイク。ガンバはここでとり切れるか、逆に川崎は外せるかがポイントになる。
ガンバがペースを握って試合を進められているが、なかなかシュートまでいける場面は少ない。奪い切ったあとの攻め方が課題になっている。
40分、また家長のインスイングクロス→ファーでの折り返しを狙う形。合わなかったが、ガンバ側は分かっていてもなかなか止められない。
ダミアンがチェイシングだけでなく、プレスバックでも存在感。チームがうまくいっていない中で自分がなにをすべきかを感じられているようなプレー。
44分、パトリックを狙ったロブパス→こぼれ球を井手口が拾ってパトリックとのワンツーからシュートまで。
立ち上がりは川崎の連続得点ではやい時間で勝負がつきそうな雰囲気も漂ったが、宇佐美のゴールで息を吹き返すと、守備がハマるようになりガンバが主導権をとる。ゴール前での雰囲気がそこまで出せなかった部分は要改善だが、パトリックが惜しくも触れなかったシーン、井手口がパトリックとのコンビネーションで突っ込んでいったシーンなど、あと一歩という場面は作れていた。ただ、中盤の選手の消耗が激しそうにも見えるので、エネルギーが落ちる前に追いつきたいところ。
川崎は途中から相手の強度と圧縮に悩まされているが、リードしていることを考えれば、追加点が取れなくともリードした状態でゲームを進められれば、選手交代などで流れは引き寄せられそう。変なリスクをかけずに、良いバランスを保ちたい。
シュートは4:4と以外にも均衡。ガンバは序盤こそこけたが、以降はうまく抑え込めていると言える。
後半
開始15秒、ダミアンを手で押さえて止めた昌子にイエロー。
45-46分、脇坂→マルシーニョで決定機も東口が好対応。結果的にオフサイド。
後半も川崎のほうがうまく入った。
48分、橘田からのサイドチェンジ。精度が上がらずカットされたが、川崎は相手に圧縮させておいてから抜け出して逆へ展開ができればオープンを作り出せる。特にマルシーニョのほうはかなりスピード感のある攻撃が仕掛けられる。
50分、バックパスからダイレクトで谷口のサイドチェンジ。ガンバもスライド自体は間に合ったが、これを許すとラインを下げざるを得ない上、負担が大きい。
51-52分、右サイドのワンツーで突破するとクロスから脇坂のシュートまで。ダミアンがいるのでシンプルに上げても迫力が出る川崎。ガンバはマークが整理できていたように見えたが、ワンツーだけであっさり外れた。
55分、福田のカットインクロスから宇佐美が合わせるもクロスバーに阻まれる。前半から福田の速いクロスは川崎の守備に対して効いている。
開始10分程度は川崎がゴールへ迫っていたが、それ以降はガンバペース。
ガンバはプレスを掛けられてもある程度近場で回し、詰まったときはワンタッチで背後へ、を徹底。宇佐美とパトリックもそれに合わせてサイドへ流れる動きを見せる。
61分
川崎交代 マルシーニョ→大島
大島がIHに入り、旗手が左WGへ。
63分、少し川崎も持てるようになってきたか。ただ、ガンバはパトリックで前線のポイントを作れるので、防戦一方にならない。
65分
ガンバ交代 福田→小野
飲水まで
立ち上がりは川崎がチャンスを作ったが、徐々にガンバの強度と圧力を上回れなくなる。ただ、ガンバもボールを持ててもどこから打開するかはまだ見えてきておらず、中盤の運動量も少し落ちたような印象も受ける。ライン間で潰せないシーンもチラホラ出始めているので、川崎は押し返しどころかもしれない。
77分
川崎交代 家長、旗手、脇坂→小林、宮城、遠野
78分
ガンバ交代 小野瀬、柳澤→ウェリントン・シウバ、三浦
三浦はそのまま右SB。
川崎もややライン間での余裕ができてきている中、遠野の投入でそこがさらに活性化されているイメージ。
82分
川崎交代 橘田→山村
山村と大島の横並びで遠野がトップ下のような位置に移った?
82-83分、大島→小林で一発でフィニッシュまで。東口がキャッチ。
84分、川崎追加点、3-1。遠野が中間で受けて横断パス。小林→追い越した山根のクロス→ダミアンでゲット。ガンバも崩れたわけではなかったが、遠野で展開されたのが苦しくなった。
86分、小林のフィニッシュ。ガンバは逆への展開を防げなくなってきており、一気に川崎のペースに。
88分
ガンバ交代 奥野、宇佐美→山本、中村
どこかのタイミングから小野が右、シウバが左に。中村はトップ下のようなイメージ。
93分、川崎追加点、4-1。CKから車屋がヘディングでゲット。
スコアを見れば4-1で川崎の圧勝だが、ガンバも川崎相手にかなり良い勝負をした。ガンバ目線だと1-4で負けなくても良かったんじゃないか、と言えるような内容だったと思う。ただ、ガンバはペースを握った時間帯でチャンスらしいチャンスをあまり作れず、川崎にストレスを与えることはできても脅威は与えられなかった。また、開始早々の2失点がゲームプランを難しくさせたのは間違いない。
川崎はうまくいかないながらも要所では攻めさせず、少し落ちてきたタイミングで最後にしっかりとどめを刺すあたりはさすが。途中出場の遠野が攻撃を活性化させ、最後は車屋がゴールを取るなど、サブに回ってきた選手たちがしっかりと活躍するのも強さの証。
個人的MOM
★レアンドロ ダミアン
2得点はもちろん、苦しい時間帯は自陣深くまで戻っての守備、最終盤でもロスト後にすぐ切り替えてプレッシャーを掛けるなど、守備時の貢献も大きかった。
2アシストの山根、受ける時間が続いても防波堤として突破を許さなかった谷口、途中出場で間受け役として躍動した遠野もgood。
ガンバは中盤の強度増加に大きく貢献した井手口&奥野のボランチコンビ、左からのクロスで惜しいチャンスを演出した福田、最前線で起点を作り続けたパトリックが良かった。
トピックス
35-36分、脇坂のちょっとアウト目にかけたグラウンダーのサイドチェンジ
監督コメント
(※Jリーグ公式サイトから引用)
[ 鬼木 達監督 ]
まずホーム最終戦ということで、立ち上がりから気持ちの入ったゲームをしてくれた。得点に結びついた場面は、特に自分たちがやろうとしているところを出してくれた。サポーターの皆さんと喜び合うために頑張ろうというところで良いプレーだった。その中での1失点、それにゲームコントールができない時間が試合の半ばにあった。これは次への課題が出たと思って、しっかりやっていきたい。サポーターとホームで喜び合いたいということを選手も意識して、最後の最後までゴールを目指して、勝利への執着心をもってやってくれたのが良かったと思います。
--1点を決められたあと、3点目が決まるまでの時間について。
相手も気持ちを切り替えて前から来るようになった。そこで少し受けてしまったかなというのはあります。少しずつ立ち位置をズラしていければ良かったが、そういうものに頼ってやってきているチームではない。まず自分たちの形を作っていければ良かったが、相手をかわしていく術を身につけないといけない。そこに課題が出ていたが、試合の中で改善してくれた。我慢したからああいう後半の得点になった。選手が持ち直してくれた。
--山根 視来からレアンドロ ダミアンで2得点。ホットラインが武器になっている。
あそこ(得点を取れるポイント)が徐々に見られるようになってきた、視来もそうだし、ダミアン自身もどこで得点が取れるかというのが見えている。チームで共有はしているが、そこに入るタイミング、いつ狙えばいいかは徐々に合ってきたかなと思います。それはノボリ(登里 享平)もそう。遠くの選手を見つけられるようになってきたので、ポジティブな要素かと思っています。
[ 松波 正信監督 ]
チャンピオンに対して、今年積み上げたものとか、われわれがやってきたことをしっかりと出そうということだった。当然ボールを動かすのがうまいチームですし、得点力もあって、失点に関しても少ないチームですので、少しボールを持たれた中でも、しっかりと守備から攻撃、そこをしっかりとやろうというところだった。ただ、入りのところで少し相手のパワーに慣れるまでに失点してしまったというところは、非常に残念だと思います。その後1点を返した場面では、しっかりと中盤からプレスを掛けて得点ができた。狙いどおりの得点はできたんですけど、なかなかそこからは追いつくことができなくて、最後、時間が短い中で2失点してしまうところは、そこもフロンターレさんの強さだなというふうにあらためて感じました。
--川崎Fと一番差を感じた部分はどこだったのでしょうか。
最後のシュート、ゴール前のところの強さだったり、1対1の強さだったり、やられたくないという気持ちも含めて、そういうものは非常に強く感じました。やはり前半の畳みかけてくる最初のスタートだったり、十分こちらも警戒はしていたのですけども、予想以上にピッチの中で感じるスピード感というのは違ったと思う。そういう体も含めて、判断のスピードだったりが少し、フロンターレさんの方が上回っているのではないかなというふうには感じました。