2021 J1リーグ第36節 清水エスパルスvsサンフレッチェ広島 メモ
スタメン
清水
ヴァウドが出場停止で、鈴木義が5月30日以来となる先発。
エウシーニョが5月30日ぶりのメンバー入り。
後藤が第24節来の出場&先発。
ホナウドが12試合ぶり、藤本が6試合ぶりのメンバー外。負傷?
→復帰組が多い。
広島
柴﨑とハイネルが出場停止
佐々木が出場停止明けで、前節先発の塩谷がサブに。
鮎川と土肥がひさびさの復帰。
住吉は二度目のメンバー入り。
井林が古巣対決。
流れ
広島の3バックの左右にはSHを押し上げてプレスを掛ける清水。それに対して広島はCB-WB-CHのトライアングルでのパス交換でプレス回避を狙う。
4分、青山が最終ラインに下りて[4-1]ビルド気味に。佐々木が東とのワンツーで出ていくパターンで安定して外せる。3バックは左寄りのポジショニングで、佐々木がSB気味の立ち位置。
広島が安定して保持し、清水は奪ったら縦に速い攻撃を狙う。広島はトランジションでバランスを崩していることが多い。
5-6分、野上のパスミスをカットした鈴木唯がそのままシュートまで。最後のDFを交わしに行ったところで少し手間取って林に距離を詰められた。広島は安易なミスをなくしたい。
7分、清水のカウンターで最後はサンタナのシュートまで。広島はトランジションでのバランスが悪く、フィルター役が青山なので、そこをスピードでちぎられると一気にゴール前まで運ばれる。
9分、清水の保持から松岡のミドル。特徴のある清水のポジショニングに対して、ややマークの付き方に迷いがありそうな広島。
10-11分、再びカウンターでサンタナの突進。広島はカウンター予防を考えたポジショニングに修正できないといつかはやられそう。
12分、カウンターから片山の仕掛け→シュートまで。清水はポジトラの局面さえ作れればボーナスタイム状態。
清水の保持はSBを高く押し上げ、2CBとボランチ2枚でビルドアップ。ボランチの近辺には鈴木唯や後藤がサポートに入る。右は原がインサイドに入り、西澤が外にいる役割分担が多い。
19分~、後方でパスを回しながら穴を探す清水。アンカー位置でフリーを作り出すことができており、保持でも1つポイントを見つけた雰囲気。
飲水まで
どちらかというとボールを長く持っているのは広島だが、主導権を握っているのは清水。前プレを完全にハメ切れてこそいないが、非保持でも特に危険なシーンはなく、かなり効率的にカウンターを打てている。また、飲水直前くらいまでで保持でもリズムをつかみ始めており、広島には閉塞感が出始めている。
25分、コンビネーションからPA内攻略を狙う清水。かなりゴールに近づいてきている。
27分、後藤⇔鈴木唯のコンビネーションでゴール前を攻略するも、広島がギリギリで阻止。完全に清水ペースに。
「いまが攻めどきだ」とばかりにプレスの勢いも強める清水。ただ、広島の前線には速い選手がそろっているので、プレスをくぐられると一気に運ばれる。
29分、清水先制、1-0。鈴木義の持ち運びから鈴木唯へのスルーパス→シュート→ポスト跳ね返りをサンタナが詰めてゲット。マーカーに食いついた佐々木の逆をとる鈴木義のスルーパスが巧みだった。清水は自分たちの時間帯でしっかり得点。いつ決まってもおかしくない流れにはなっていた。
先制の勢いのまま追加点を狙いにいく清水。広島はバタバタの状況。
36分、今までの佐々木左SB化とは逆で、野上右SB化のビルドアップ。
エゼキエウが外に張りだしたり、中盤に下りてきたりとかなり自由なポジション取りをし始める。
清水はいつからかSHを押し出さないことでCB⇔WBのところで外されないようになった。
46分、野上と浅野で右サイドで作り、クロスを送るが、中にはターゲットタイプがいないので非効率的な攻撃。
立ち上がりこそ悪くなかった広島だが、10分前後あたりから清水のカウンターボーナスチャンスに突入し、20分あたりからは清水が完全に押し込む流れに。広島は前に小柄な選手しかいないため単純なクロスでゴールを奪うのは難しく、PA付近での崩しが必要になるが、有効な手段を見せられず停滞。清水は鈴木唯、後藤らボールを運べる選手が前にいるため、カウンターのスピード感もあり、保持でも松岡を中心に穴を見つけられていた。この展開で「1点取れた」になるか「1点しか奪えなかった」になるかは後半次第。
後半
後半も立ち上がりは広島がボールを持って攻める。前半よりもコンビネーションがスムーズになった印象がある。清水が少し重心を下げたかもしれないが、安定して敵陣へも入れている。
47分、野上のクロスから茶島のヘッド。枠外だったが惜しいシーン。
48分、カウンターからサンタナのミドル。広島はやはりトランジションで脆い。
清水は奪っても前へ蹴るだけで、広島の守備陣は1対1とはね返しだけに集中できるため、ストロングが出しやすい好況になっている。清水はラインが押し上げられず、前でのポイントを作れないので落ち着く時間が作れない。
54分
広島交代 松本、浅野、柏→塩谷、鮎川、藤井
広島は右で作ってからの東への展開でオープンを作り出してチャンス演出。
少しずつ清水もカウンターが打てるようにはなっているが、守備での活動量はなかなか上がって来ない。
60分
清水交代 後藤→中山
61-62分、右でのパス交換から松岡→西澤でうまくフィニッシュまで。清水は苦しいなりにシュートチャンスも作れている。
63分、鮎川のPA付近での仕掛けからシュートも権田がビッグセーブ。広島は最も大きなチャンスだった。
気づけば清水ペースになってきた。保持での時間も増やし、自陣での守備でもコンパクトな組織を崩されるシーンはかなり減った。
飲水まで
立ち上がりからの10~15分は広島が敵陣へ押し込んでコンビネーションや速いクロスからゴールへ近づいたが、少しずつ清水もカウンターに出られるようになると、保持も落ちつき始め、広島はイーブンな展開に戻された。
71分、茶島がDF-MFライン間で受けて良い攻撃。外の枚数を増やしてズレを作るか、ライン間で前を向ける選手が出てくれば、広島も攻撃に変化が出てきそうだが。
73分、東-青山-茶島で左サイドを攻略。茶島のポジショニングが保持のカギを握りそう。
74分
清水交代 西澤→山原
75分
広島交代 青山→ジュニオール・サントス
茶島がボランチに下りて、サントスがシャドーに。
76分、山原のカットインからのシュート。投入後から意欲的なプレーを見せる。
オープン気味な展開になってきており、清水は帰陣が少し遅くなっているように感じる。
80分、鮎川のシュートは権田がセーブ。鮎川は最も得点のにおいを感じさせている。
81分、原がふくらはぎの違和感?で座り込む。大きな問題ではなさそう。
83分
清水交代 鈴木唯、竹内、原→ディサロ、中村、エウシーニョ
自陣撤退時にはディサロも中盤のサポートに回り、サンタナのみ最前線に残す。
86分
広島交代 茶島→土肥
86分、東のクロスから藤井。この試合おそらく初めてのWB→WBで4バックの泣き所を突く攻撃。
88分、土肥の列上がりサポートで前進。地味ながらも素早いリリースと細かいポジション修正で中盤に変化をもたらしているように感じる。
広島はサイドからの仕掛けやサントスを狙ったロングボールで進入を狙うが、最終盤はほとんどPA内に入れないまま終了。サントスはハイボールの競り合いでほとんど勝てずに起点が作れず、逆に清水はサンタナの体を張ったキープでうまく時間を作り出した。トータルの展開で見れば清水は2点目を取ってもっと落ち着きたかったところだが、自分たちの時間帯でしっかり取り切り、後半立ち上がりの押された時間帯で我慢できたのは前向きな材料だろう。
個人的MOM
決勝ゴールはもちろん、劣勢の時間帯は収まりどころになることで落ちつく時間を作ったりカウンターの起点になったりと多くの時間で貢献。疲れてきているであろう最終盤にもハードワークを欠かさずに球際でファイトした姿も印象に残った。
「チャンスあるところに鈴木唯人あり」を示した鈴木唯のパフォーマンスや、復帰戦とは思えないキレを見せた後藤、決勝点の実質アシスト&完封に貢献した鈴木義もgood。仕事量自体は多くなかったが、鮎川の枠内シュートを2本止めた権田も良かった。
広島ではポジショニングで相手DFを困惑させた茶島、途中出場で勢いをもたらした鮎川、リズムをもたらした土肥が良かった。
松岡は走行距離、驚異の13.1kmを記録。
トピックス
10-11分、被カウンターでサンタナにシュートを打たせない荒木の好対応
16分、野上の巧みな縦パス
塩谷はボランチでの起用
82分、交代する・しないで揉める清水ベンチ
88分、サンタナとサントスのゴリゴリマッチアップ
監督コメント
(※Jリーグ公式サイトから引用)
[ 平岡 宏章監督 ]
立ち上がりのところで、選手たちがこの2週間でやってきたことを表現しようと、守備のところ、攻撃のところをやってくれました。最後の精度を欠いたところはありますが、よくやってくれたと思います。前半ハイペースになり過ぎて、後半相手に持たれる時間が増えましたが、権田(修一)をはじめ、集中して最後までやってくれて、久しぶりにゼロで抑えて勝つことができて非常に良かったと思います。--後藤 優介選手を先発に入れた意図、左サイドハーフで使った意味は?
まず守備のところのスイッチ。そこは非常に良いものを持っているので、それを表現してほしかったのと、攻撃のところで相手のギャップで受けたりすること、あとは背後の飛び出し。そういうところが、この2週間を見ていて良かったので、思い切って使ってみました。鈴木 唯人がFWでできるし、もし唯人がうまくいかなければ後藤を中でもいいかなということもありますし、もしかしたら(西澤)健太が左に行くこともありかなというオプションを考えていました。あの3人はどこでもできると思っていたので、それも含めて後藤をチョイスしました。--前半の得点シーンをどのように振り返るか。
相手が食いついてくるという分析があったので、その空いたところ、うまくスペースを抜けてというのができたと思います。なかなか堅いチームですが、一瞬のスキを突いて得点を奪えたことは良かったと思います。--後半は苦しい戦いとなったが、後半の展開を含めた修正点、課題点は?
1つは奪ったボールをもう少ししっかりとつなぐこと。相手がプレスを掛けてきているところで、相手がどういうふうな掛け方をしてきているのか、その状況を見て、数的優位を作っていく、そして空いたところをうまく突いていくこと。そこをうまく共有してできるようになることだと思います。でも、それほど簡単にうまくいくことではないですし、今日に限っては最後(失点)ゼロで終わるということを本人たちも意識したと思うので、そういう意味では良かったと思います。
[ 沢田 謙太郎監督 ]
最後攻めることができた中で、1点が遠かった。その1点を相手に前半で与えてしまったというところ。この2つのところが、まだまだ足りないところだと思っています。--前半は引っかかるシーンが多く、そこから相手のカウンターになったと思うが、そこに関してどう思うか。
しっかりとつなぐということは悪くなかったと思いますが、そこから裏に走る選手が、タイミングよく、コンビネーションよく裏に入っていく選手がどうしても出てこなくて、そこの部分をベンチの脇から、またいろいろなところで伝えましたが、そこがうまくいかなくて、良い形で押し込んだ中で失ってカウンターが、特に前半の最初のところの体力を全体的に奪ってしまいました。そこがもったいなかったと思います。--その中で後半に入った塩谷 司選手、鮎川 峻選手が活性化させてくれたと思うが、塩谷選手のボランチと、鮎川選手の出来については?
シオ(塩谷)は、あそこでどっしりと守備、攻撃と落ち着いた対応を両方ともやってくれて、押し込めた大きな要因の1つだと思っています。あそこでボールを後ろにこぼさないこととか、しっかりと前につなぎながらも無理せずサポートすることとか、そこができているおかげであの時間帯ができたと思っています。鮎川に関しては、先ほど前半の課題のところ、ボールをつないだ中で裏を狙ってくれたと思っています。そのぶんボールが高い位置まで行かない中でも裏を狙い、少しバイタルに入ってからも狙えていた部分で、相手に隙間ができたのかなと。あとは、受けたところのクオリティー。ペナ(ペナルティーエリア)の中に入ったのが何度もあった中で「そこでクオリティーを」と思いました。そこまでのところは非常によくやってくれたと思っています。
--次はホーム最終戦。最後はサポーターに勝利を届けたいと思っていると思うが、FC東京戦に向けての意気込みは?
非常に難しい試合を続けています。でも、その中で選手が前半、あれだけやられた中でも後半立ち直ったということ。その力を次の試合、最初から最後までやりたいなと思っています。その中で勝利したいと思います。