2021 J1リーグ第34節 名古屋グランパスvs柏レイソル メモ
スタメン
柏
大南が出場停止明け。ドッジが中断前以来の出場で先発。上島が第29節以来のメンバー入り。エメルソン・サントスがメンバー外で高橋祐が久々の先発。
流れ
立ち上がりから木本を最終ラインに下ろして3バックビルドを行う名古屋。
1分にも満たない間に惜しいシーンを作る柏。中盤で奪ってショートカウンターから仲間のシュートがポスト直撃。柏は浦和戦も立ち上がりは良かっただけに、そこで刺し切りたいところ。
2-3分、またしても勢いを持って敵陣へ入り込む柏が仲間のシュートまで。今回は稲垣がブロックに間に合う。
名古屋がボールを持って柏が構える構図。柏が良い形で奪ってからカウンターという流れが続く。完全に柏ペース。
5分、被カウンターでシャビエルを手で引っ張って倒すサヴィオ。イエロー相当のプレーにも見えたが注意だけで済む。
柏も三原を下ろした3バックビルド。
8分、サヴィオの強烈なボレーシュートをランゲラックが片手でセーブ。柏が勢いを継続中。
柏はPA幅くらいで中央でのコンビネーションを見せて打開を図る。
11分、名古屋は前から追わず、2トップも自陣へ入るくらいのライン設定でブロック形成。柏は落ち着いてボールを持てる。ただ、名古屋は最前線に1人でシュートまで持ち込めるシュヴィルツォクがいるので、奪ったらそこへ預けてロングカウンターに出ていける。
両チームともポジティブトランジションからのチャンス創出が圧倒的に多い。
18分、シャビエル→シュヴィルツォクで枠内をとらえるも、キム・スンギュ好セーブ。
飲水まで
立ち上がり10分は完全に柏のペース。その後はシュヴィルツォクを中心に名古屋がカウンターで攻めていく回数が増えた。ボールを持っていないほうがよりゴールへ近づいているような不思議な展開で、トランジションから局面が動いて行くような試合。
飲水後からシャビエルを少し下げて木本をアンカー気味にする[4-1-4-1]のような形になった。
シャビエルは左の後ろに下りてきて低い位置でボールを触る回数が増えた。
シュヴィルツォクは1対1なら確実に収めるので、柏はいかに早く複数で圧力を掛けられるかが重要。
33分、名古屋先制、1-0。スローインから右サイドを攻略し、稲垣→シュヴィルツォクでゲット。フィニッシュは驚くほど冷静かつテクニカルだった。
37分、IHがサイドへ下りてSBが高い位置へ上がるビルドアップを見せる名古屋。ボールは出てこなかったが、SBが大外で完全に浮く。
→以降この形をベースに派生させながら組み立てる。柏はどうやってマークにつくかが少し曖昧になっているように感じる。
42分、久々に柏にチャンス。ただ、名古屋のシュートブロックを超えることはできない。
終了間際は柏が敵陣でもって攻めるが、名古屋はシュートを許さない守備。
柏は立ち上がり10分までは良かったが、そこでのチャンスを決め切れず、以降は名古屋にペースを握られる。前節・浦和戦と似たような状況だが、浦和戦ほど「どうにもできない」という閉塞感がないのはまだ救いであり、名古屋の守備網を攻略するのは簡単ではなさそうだが、まだ可能性は感じる。
一方で名古屋はリードした状況で折り返すことができ、安定した守備×シュヴィルツォクを軸にしたカウンターが結びついているので、守りながら攻撃にも転じられる良い流れ。さらにはビルドアップで相手を困らせることもできていたので、立ち上がりこそバタついたが、トータルではかなり手ごたえがあったのではないか。
後半
名古屋交代 シャビエル、前田→長澤、森下
[4-1-4-1]にしていたので、IHにシャビエルより適正がある長澤を入れた。前田→森下は単純に過密日程を考えたかもしれない。
名古屋は[4-5]ブロックがかなり低い位置で構えるので、柏のCBやボランチは1トップの周りでは時間がもらえる。
名古屋は1点リード&シュヴィルツォクがいるからか、かなり重心を下げて受け続ける。それに伴って柏は長い時間ボールを持って攻められている。
柏は立ち上がりから人を当てハメるプレスで高い位置から奪いに行く。
森下と大南のマッチアップがかなりバチバチ。
57分
名古屋交代 木本→柿谷
[4-4-2]ベースに戻す。同時に森下とマテウスのサイドを入れ替え。
62分
柏交代 武藤→細谷
柿谷を入れて前の枚数を増やした名古屋だが、そこまでラインを上げない。受ける展開は継続だが、シュヴィルツォクがかなり収めてくれることで攻撃に転じられる時間もある程度確保できている。
飲水まで
柏がボールを持ち、名古屋が低い位置で受けて、シュヴィルツォクでカウンターに出ていく展開。互いにチャンスの数は少なく、GKの仕事がほとんどない印象。柏はボールを持てても、中央にターゲットタイプがいないので、単純なクロスでは可能性は薄い。ただ、コンビネーションでの打開に長けた武藤は下がった。
69分、名古屋に久々のチャンス。シュヴィルツォクがシュートまで持ち込むがキム・スンギュが好セーブ。
70分、名古屋追加点、2-0。直前のプレーで得たCKから中谷がニアで合わせた。GKはノーチャンス。名古屋は撤退で塩漬けにしようとしていた流れで大きな追加点。メンタル的にもさらに余裕を持った状態で守れるはず。
74分
79分、細かいパス交換からゴールに迫る柏。名古屋もシュートブロックは間に合っているものの、少し受けすぎている印象はある。
名古屋はいつからか宮原が3バックの右、森下右WBの[5-4-1]になっている。
→2点目以降から?
83分
名古屋交代 シュヴィルツォク、マテウス→金崎、相馬
75~80分あたりは、少し柏の攻撃を受けすぎている印象だった名古屋だが、80分以降はほとんどシュートにも持ち込ませず、危なげなく完封。柏はドッジが後方からの運び出しで変化を加え、神谷が絡んだときには可能性を感じさせたが、あまり攻め手がないまま終わったようにも感じた。
中谷は試合後インタビューで「連戦で正直体は重かった」と語っており、出っぱなしだった選手たちにはかなりの疲労があったと考えられる。また、隔離生活がようやく終わり、「やっと家に帰れる」とも話しており、精神的な疲れもある中での戦いが続いていたことも感じられた。
個人的MOM
★シュヴィルツォク
個人的というよりも満場一致かもしれない。素晴らしい先制点に、2点目につながるCKの獲得。そしてなんといっても交代する前の80分頃まで、最前線で孤立しながらもかなりの確率で収め続けた働きは、「EURO2020出場選手」の肩書にふさわしいクオリティーだった。
トピックス
15分、3人くらいに囲まれても普通にキープできてしまうシュヴィルツォクのボールさばき
42分、シュヴィルツォクの収めからマテウスへのきれいな展開
45+1分、ランゲラック、強烈な声かけでCBを制してキャッチ。地味だが、余計なリスクを排除できた好プレー
試合終了直後の古賀の渋い表情が印象的
試合後のインタビューでゴール後に喜んでしまったことを柏サポーターに詫びる中谷
試合後、ゴール裏へ向かい、ルヴァンカップ優勝トロフィーをサポーターとともに共有する名古屋の面々
コメント抜き出し
(※Jリーグ公式サイトから引用)
[ マッシモ フィッカデンティ監督 ]
とにかくハードなゲームだった。始まってすぐのところは主導権を握られてしまった。そのあとになんとか持ち直して耐え切って、こちらがとても良いタイミングで得点を奪い、そこからは互いがやり合うことも含めてハードになった。後半もどちらが優勢だったかと言えば柏側が優勢だったと思うが、そこで2点目を取って、「スコアだけは絶対に譲らない、とにかくどんな内容だろうが勝つんだ」ということにこだわった。この柏戦、(次節・)仙台戦は体力的な消耗を考えると、「何がなんでも、どんなプレーでも」ということになる。そういう考えでみんなが準備をして戦ってくれたことが勝利につながったと思う。仙台戦が終われば時間が空くので、そこで体勢を立て直して残りの3試合に入れたらと思う。
--シュヴィルツォクの存在をどう捉えているか。
サッカーはゴールを挙げた選手が注目されがちで、まるでその選手のおかげで勝ったように称賛されることが多いが、(天皇杯準々決勝とルヴァンカップ決勝での)C大阪との2試合は片一方が良くてという内容で、(前節・)神戸との試合では良かった。彼が出てもなかなか決定的な仕事ができないこともあり、彼が出て得点を決めることもあり、でも全員が苦しいこの状況で全部を出し切ってやってくれている。1人だけをクローズアップする方向のコメントは控えたい。彼がチームのためにあれだけ走って取るべきところを取る。彼の役割はそれ。今日はそれがうまくいった。そうじゃないところでどれだけ頑張れるかも問われるところ。1人が輝いていた、というコメントはしたくない。
[ ネルシーニョ監督 ]
ゲームの内容自体は、非常に良い内容のゲームができたんじゃないかなと見ています。技術的な部分、戦術的な部分、われわれが準備してきたことをバランスよく攻守において出せていたと思います。しっかりとボールを握る時間帯、ボールを動かしながらテンポを作る時間帯、うまく使い分けながらほぼゲームを支配できていたと思います。ただ、失点をした2点というのは、われわれの集中力が切れた時間帯で、崩されてやられた失点ではありませんでした。スローインとセットプレーからやられた失点だったと思うんですが、それ以外の部分で相手に決定機を作られるようなことはほぼなかったと思います。今日のゲームはこの2つのディテールに泣かされたゲームだったと思います。--今日の試合では多くの選手を入れ替えたが、その狙いは?
前節の浦和戦の結果を見てもらえれば、その理由はよく分かってもらえると思います。ああいった大量失点をして敗戦を喫してしまったので、われわれとしては今節に向けてしかるべき対策を練らないといけませんでした。劇的な変化をもたらさないと、今日のゲームに向けては良い守備ができないだろうと考えてのことでした。それに基づいて、われわれもトレーニングしてきたわけですが、ゲームの内容自体は見ていただいたとおり良かったと思っていますし、選手のパフォーマンスも良くなったと見ています。