J1リーグ第14節 FC東京vs大分トリニータ プレビュー
がちゃです。
目次
数字で見る両チーム
チーム成績
13節終了時で東京は1位、大分は4位。
お互いに失点数が少なく、僅差のゲームをものにして勝ちを拾ってきています。
直近5試合
直近でも失点が少なく、攻撃に爆発力こそないもののしっかりと勝ち点を拾えています。
チームスタイル
得点・失点やゲームスコアは似ている両チームですが、取り組んでいるサッカーは大きく異なります。
ポゼッション率(1試合平均)
FC東京ー44,6%
大分ー55,6%
※Football LABより引用
http://www.football-lab.jp/summary/team_ranking/j1/?year=2019&data=possession
かなりざっくり言うと東京は相手にボールを持たせるサッカー、大分は自分たちがボールを持ちたいサッカーです。
内弁慶vs外弁慶
FC東京はここまでホームで7戦全勝。13得点2失点とホーム味スタが要塞と化しています。
対して大分はアウェイ6戦で4勝2分の無敗。実はリーグ戦の3敗は全てホームでの試合です。
絶対にホームで勝つ東京とアウェイで負けない大分のほこたて対決になります。
重要な先制点
FC東京が先制した試合ー7勝1分
大分が先制された試合ー1分3敗
1試合に入る得点が少ないサッカーにおいて先制点を取ったチームの勝率が上がるのは必然ですが、大分は総得点が少ないこともあって先制されると勝てていません。
逆に言えば先制した試合は7勝1分で追いつかれてもほぼ勝ち切ります。この背景として複数失点試合がないということがあります。
どの試合においても非常に重要なポイントとなりますが、 C大阪戦に続き大分戦も先制点が重要になりそうです。
予想スタメン
主な欠場者
東京
田川(U-20W杯)
ジャエル(怪我)
岡崎(トゥーロン)
大分
伊佐(怪我)
福森(怪我?)
三平(怪我)
前田(怪我?)
東京はいつものメンバーが濃厚ですが、バックアッパーとして常にベンチ入りしていた岡崎が代表召集のため離脱。ベンチメンバーの入れ替えがいくらかありそうです。
大分はユース上がりの高畑をCB・WBで起用していましたが、ここ2試合は早い時間で下げられており、左サイドはWB高山・CB庄司を予想。
また、前田が練習に合流しているという情報もあり、CHの位置でスタートから出てくるかもしれません。
大分トリニータの分析
大分の攻撃
前の項でも記載しましたが、基本的にボールを持ちたいチーム。
後方でボールを保持し、相手が前から奪いに来たところで薄くなった最終ラインにボールを送り、少ない手数で攻撃。
川崎や名古屋のようにボールを保持して押し込むのではなく、相手を引き込むことで陣形を崩し、ボールを持ちながらもカウンターのような状況を作り出す戦い方です。(疑似カウンターと呼ばれたりしますね。)
ビルドアップ
後方でのビルドアップはGK高木を積極的に組み込む形で特殊な可変を行います。
※大分ビルドアップ①
右CBの岩田がSBのような位置に広がり、GK高木が前に上がってCBの真ん中に入ります。右サイドに岩田と松本が並ぶような形になりますね。
※大分ビルドアップ②
先ほどの位置からCHの一枚が下り、左CBがSBのような位置に移動。基本的には4-1+GKの6人でパスを回しますが、ここに小塚が下りてくるケースもあります。また、オナイウが少し引いた位置で受けるパターンも。
相手のプレッシングによって自由自在に形を変えてくる大分ですが、ベースの形としてはこの2つが多いように思います。
GKをビルドアップに加えることによってフィールドのどこかで数的優位が生まれる仕組みになっているというのが大分ビルドアップの肝です。
非常に極端な図ですが、GKを含めて前から嵌めようとすると大分の選手が絶対に一人余ります。
ボール非保持側のGK(この場合は林)が相手のFWにマークにつくということは現実的ではないので、この数的不利の状況自体は覆すことができません。
ではどうすればよいか。
筆者としては大きく分けて3つの方法ができると考えます。
①思いっきり前からプレスをかけて前で奪いきる
湘南はこの方法で大分からボールを取り上げました。どこかで余る選手が出るとしても
そこに出させなきゃいいんでしょ?
という精神で前からガンガン突っ込みます。
※リスクはCB周辺のスペースを空けてしまうこと。
②ライン設定を高くして受け手に寄せる
清水が取った対策。ラインは高くして背後のスペースは空けますが、前から積極的に奪いに行くというよりもボールホルダーは無視して受け手側を消していく手段。
GK高木やCB鈴木というゴール前にいてほしい選手にボールを持たせれば、いくらフリーだからと言って安易に前へは運んでいけません。奪われたときに重要な守備者が無力化されるのはまずいからです。
そして後ろでパス交換が行われるたびにジワジワと押し込んでいき、パスミスを誘発する。そんな作戦です。
※(4-4-2の場合)リスクはSBが捕まえる対象が2人(WBとシャドウ)になること。
③引いてカウンター狙い
リスクが最も少なく、東京にあっているのはこれでしょう。
前から行くと敵陣で奪取してすぐシュートに持ち込める確率は上がりますが、どうしても後方にスペースを与えてしまうので失点の確率も上がります。
後ろで構えれば相手も出てくるので裏返して東京の強力2トップが刺しきる。
"疑似カウンター"ではなく"正規カウンター"で仕留めます。
リスクとしてはゴールに近い場所で相手にプレーを許すというところでしょうか。
ハイプレスでも引いてカウンターでも半端にならないことが重要。大分は少ないチャンスを確実に決めてくるチームです。決定機を作らせないリスク管理には気を使いたいところ。
敵陣での攻撃
相手の1stラインを突破してくると右の松本と岩田を中心とした攻撃がメインになってきます。
※岩田攻撃参加①
まず大外の松本に預けてSBが食いついてきたらチャンネル*1目掛けて岩田が走り、素早くGK-DFライン間にクロス。藤本はゴール前での駆け引き、シュートが非常に上手い選手なので、そこで勝負。
この場合、岩田がいたポジションは松本が埋めに戻ります。
※岩田攻撃参加②
松本がハーフスペース*2に入ってSBもしくはSHを引き付けたところで大外に岩田が上がってきてそこからクロス。ニアから中央には藤本、ファーには高さのあるオナイウが飛び込みます。
どちらのパターンにせよ、チャンネルを誰が埋めるのか、大外の選手に誰が行くのか、をはっきりさせることが重要になります。
大外からのクロスはまだしもPA*3内のハーフスペースに入られてしまうと失点の確率が大きく上がるのでここには入れさせたくないところです。
大分の守備
基本は5-2-3(5-4-1)または5-3-2セット。
スタートは2シャドウが少し高めの位置を取って牽制。1stラインを突破されると下がって5-4-1のようになります。
藤本は自分よりボールが後ろに行くと守備には参加せず、攻撃に力を残します。
オナイウもリード時以外はそこまで守備に積極的には参加してこない印象です。
小塚の方が中盤に近く、オナイウはFWに近い役割になっていると思います。
東京としては5-4-1で組まれるとなかなか難しくなるため、5-2-3で組んでいるときに東や久保が2の脇を突いて素早く攻めたいですね。
試合展開予想
ボールはあげる?取り上げる?
ほぼ確実に大分が保持して東京が守る構図にはなるでしょう。
そこで東京がどの守備を選択するか。
ハイプレスで行けばシュートシーンが多くなる展開に、引いて守ればシュートが非常に少ない展開になるでしょう。
前の項で記しましたが、無難なのは引く守備。
ボールを持って相手が取りに来るのを後ろで待つ大分と取りに行かない東京となれば東京としては相性は悪くないはずです。
このようにして持たれるのは問題ありませんが、怖いのは前の二人が焦れて単発プレスをかけてしまうこと。プレスのスイッチは永井が握っている気がするので、永井が周りを気にせず行ってしまうと一気にピンチを招く可能性があります。プレスに行くのであれば全体で意思共有を行ったうえで。
これまではスプリント能力の高い永井とディエゴの二人だけでもボールを捨てさせることができていたこともありますが、大分のプレスを外すうまさはJ1の中でもトップクラス。安易につっこむのだけは厳禁です。
大分はボール保持時に全体の配置を崩す攻め方をしてくるのでネガトラ*4には脆さがあります。
被カウンターでどうしても無理して止める場面が出てくるはず。後方の選手に早めにイエローカードを出させることに成功すれば、そのあとは攻めやすくなるかもしれません。
前から行くのであれば確実に前で仕留めきること。引くのであれば岩田対策はしっかりと行うこと。
守備では以上のことに注意してみるといいかもしれません。
前節で途切れたリーグ戦無敗と連続クリーンシート。
FC東京にとって要塞となっている味スタでの再スタートとなります。土屋礼央さんの言葉を借りると、この試合が「第2の開幕戦」となって、またポジティブな記録を作っていきたいですね。