がちゃのメモ帳

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【FC東京】 J1リーグ第4節 vs名古屋グランパス レビュー

 

ようこそ。

がちゃです。

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プレビューはこちら

brgacha.hatenablog.com

 

 

 

さて、J1リーグも第4節まで来ました。

FC東京はホーム連戦で迎え撃つは首位の名古屋。

直接対決で叩けば首位交代となる大事な一戦。

 

早速振り返っていきましょう。

 

スタメンはこちら。

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プレビューの予想通りでした。

両チームともに前節からの変更なしです。

 

 ~前半~

 

◦名古屋の攻撃vs東京の守備

 

名古屋の攻撃としては

①ジョーへのロングボール

②シミッチを軸にした崩し

③丸山スタートの左サイドでの崩し

 

以上3つが主な狙いだったかなと感じました。

 

①ジョーへのロングボール

基本的には後ろから繋いでくるチームですが、ジョーという圧倒的なターゲットを持っているがゆえに効率よくそこをシンプルに狙ってくる手段も取ってきました。

ジョーが競り勝ったあとのこぼれを前線の選手が拾って、スペースがあれば速攻からフィニッシュまで、なければシミッチに預けてやり直しといった具合です。

 

前節のトーレス同様、東京のCBコンビでも簡単に勝てないため、極力CHに競らせることでDFラインは背後のスペースケアを優先しました。ジョーからのフリック一発で裏抜けをさせないためです。開始直後にヒョンスの半端な判断から赤﨑に繋がれてシュートまで持ち込まれましたが、それ以降は落ち着いた対応ができていたように思います。

 

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※イメージ図

 

予想以上にCHコンビでジョーを自由にさせなかったことが前半のポイントだったとも思います。

 

 

 

②シミッチを軸にした崩し

ジョーの収め等から押し込むことに成功するとシミッチを中心に攻撃を仕掛けます。SBが大外の高い位置を取り、前線の四人はPA幅で前に張ります。CH二枚が中盤の中央に構えてフィルター兼配球係。一番後ろはCBの二人で守ります。2-2-6のようなイメージでしょうか。

 

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※イメージ図

 

ミドルサードくらいのエリアまでなら2トップ+シャビエルの3人は守備に戻らず前に残っているシーンも見られるほど攻撃に重心を置いていたように見えました。

 

前の四人が押し引きの動きでDFを迷わせて、空いたスペースに飛び込んでいくような狙いだったと思います。ここの動きで特に連動性は感じられず、選手それぞれでの感覚に任せていたように感じました。

「アイデアだしていこう!!」

ってやつです。

 

この表現はネガティブな意味で使われがちですが、今の名古屋にとっては決して悪いことではないと思います。

 

その理由としてはシミッチと米本で回収することができるから。

イデア出していこう!の動きにやり直しが何回もききます。

 ハマった一回を仕留めることができれば十分ですし、それができる部分で攻撃力の高さが評価されているのだと思います。

最近では再現性という言葉はよく聞きますが、名古屋は即興を何度もやり直せることによって捕まえにくい部分もあるはずで、そこに強みがあるとも感じました。

 

 

これに対して東京は4‐4ブロックをしっかり敷き、2トップが名古屋CHにちょっかいを出します。

一度引っかけたら名古屋のカウンタープレスを外す作業。1人外すことができれば十分で、そこからは裏の広大なスペースにロングパスや久保に預けてドリブルでの前進から脅威を与えました。

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※イメージ図

プレビューでの狙い通り、2CH脇を久保がドリブルで運び、チャンスを演出というシーンは多く作れました。

 

③丸山スタートの左サイドでの崩し

前半途中からCHを一枚おろして3バック化。そして丸山のところから運んで前進を図ります。

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※イメージ図

 

これに対して東京は4‐4‐2を維持。右SHの久保が持ち上がる丸山と大外の吉田の二人を監視する格好に。

一見危険そうなシーンですが、久保が的確なポジション取りで丸山に深くまで運ばせず、吉田に出たらしっかり寄せるという守備ができていました。

しかし、2トップの2度追いがなく、丸山が完全にフリーな状態だとさすがに危険で、16分には吉田への展開から前半一番のピンチが訪れますが林が好セーブで事なきを得ました。

 

久保の対応は良かったですが、大外へのスライドを強いられたことで体力の消耗はあったのではないかと思います。

 

名古屋視点で見るとパス精度の高い丸山を起点にするこの攻撃にはリスクもあります。

丸山のパスが引っ掛かると最後方を中谷とシミッチで守らなければいけなくなることです。名古屋DF陣の中で一番壁になるのは丸山ですから、丸山のいなくなった最終ラインは必然的に脆くなります。可変システムの落とし穴はトランジションの弱さにあるのです。

ということで東京は引っかけたらすぐに縦。ディエゴと永井の突破力で名古屋DFに脅威を与えました。

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◦東京の攻撃vs名古屋の守備

 

東京の狙いとしては

 

①広大な裏のスペースにパス出し

②左サイドでの崩し

③右で作ってから中央で仕留める

 

が狙いに見えました。

一応②、③も作りましたが、①が90%くらいだったと思います。笑

 

①広大な裏のスペースにパス出し

名古屋はボール保持時はもちろん、非保持時もかなりのハイラインを敷きました。

ポジトラ時やボールホルダーが比較的フリーで持てたときにはシンプルに永井を狙います。永井は数回オフサイドを取られましたが、ギリギリ(もしくはオンサイド?)の場面も多く、常にDFラインと駆け引きを行っていました。

また、永井だけでなく、行けると思ったら東や髙萩までもが背後への飛び出しをしていくほどチームとして徹底した狙いでした。

後ろ向きの髙萩が状況を見ないまま裏へ蹴っていたシーンもあり、困ったら裏へ蹴っとけくらいの割り切りもあったのかもしれません。実際に永井とディエゴがイーブンのボールをキープしたり、スローイン獲得につなげるので効率の良い作戦だと言えます。

 

米本のところを外すことができれば基本的に攻撃し放題なイメージ。久保のドリブルでもいいし永井の裏抜けでもいい。名古屋としてはネガトラ後すぐの守備がハマらないと厳しい印象でした。

 

②左サイドでの崩し

小川と東のユニットは健在でした。名古屋はSB-CB間(チャンネル)を全くと言っていいほど埋めてこないので(侵入されてから米本がカバーする)、小川が1対1から仕掛けて見たり、東が持った時にそこへ走りこんだりと得点には繋がりませんでしたが、決定的なチャンスを作ることができていました。

名古屋が35分くらいにSHの左右を入れ替えましたが、東京左サイドの攻撃にシャビエルではなく和泉を当てたかったのかもしれません。

 

③右で作ってから中央で仕留める

ディエゴや永井の収めから右サイドで起点を作り、中央へ折り返し。そこに東や橋本が飛び込んできてシュートを狙うといったシーンが何度か見られました。

 

 

 

前半まとめ

ポゼッション率はほぼ互角ながらもボールを保持するといった意味合いでは名古屋の方が多く持っていた印象でした。しかし、チャンスというチャンスはシャビエルのシュートとジョーのヘッドくらい。東京が大きく崩された場面はほぼありませんでした。

対して東京の攻撃は永井を中心に名古屋守備陣を脅かし続けました。

ゴールこそ決まりませんでしたが、決定的なシーンは何度も作り、主導権を握ったのは東京だったと言えます。

 

 

 ~後半~

 

名古屋 赤﨑→マテウス

後半開始頭から1枚目の交代を使います。

前半途中からマテウスにアップをさせる指示が出たとの情報があったので、風間監督の中でなにか気になる部分があったのでしょう。

シャビエルが中央に入りマテウスは右SHに。

 

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マテウス投入後

 

前半にはほとんどなかった単純なクロスをガンガン入れてきます。もちろんターゲットはジョー。

そのために一人でクロスまで行けるマテウスの投入に至ったと考えられます。

 

これに対して東京は東と小川の2人で対応することでマテウスの突破を阻みに行きます。

2人で1人を見るということはどこかで名古屋の選手が一人浮きます。このケースでは主にそれが宮原になりました。

 

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※イメージ図

宮原は高い位置を取って幅取り役はこなしますが、ドリブル突破や高精度クロス等のスキルを持った選手ではありません。東京側としてはあえてマークを捨てる判断だったのではないかと思います。

 実際にマテウスの突破はほぼ許さず、宮原に決定的な仕事もさせませんでした。

(70分のシーンだけは東と小川が2人とも縦切の意識が強く、マテウスに内への切り返しを許してしまい危険なパスを出されました。)

 

名古屋はサイドからのクロス、東京はカウンターを狙った攻撃を続ける中で54分に永井が先制点をゲット。今年の奪いどころ基準の一つとなっている小川のアタックからボールを回収。名古屋の陣形が整う前に東が永井へスルーパス。永井がシュート前のラストタッチで丸山の前に入り込んだところで勝負が決まりました。丸山は手を使って邪魔をしようと試みましたが、永井のスピードの方が上回る結果に。

 

 

名古屋3バック化ボール保持

前半でもありましたが、名古屋2CBに東京2トップがプレスをかける場合、名古屋はシミッチを一列下ろして3バック化をしてきます。プレビューでも少し触れましたが、シミッチはなんでもかんでも下りるわけではなく、CBへのプレスが弱いと思ったら中盤(2トップ間や2トップ脇)で受けるように動きます。

名古屋3バック化に対して東京は4-4-2を保ちます。そのため局地的に3対2と数的不利が生まれてボールを持たれる展開が続きます。

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※イメージ図

 

数的有利を生かして2トップの寄せ方によって起点を変える名古屋。

主に丸山の運びとシミッチの縦パスorミドルレンジのパスで攻撃を開始します。

 

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※イメージ図

 

東京が前に人数をかけてきたときにはSBが低い位置に残り、数的有利を保ってボールを保持します。

 

中谷からの前進があまりなかったのは東京が中谷へのプレスを意識していたからではないかなと推測しました。

彼からのパスでロストも数回見られましたし、丸山に起点を作られることを抑えるより、中谷からのミスを誘発して得点に繋げたかったのかなと。

 

東京としてはボールを持たれることはある程度許容していたと思います。ボール回しのうまい名古屋に対して前から追いかけてスペースを作ることはリスキーです。ただし、2トップに頑張って走ってもらう必要性はあり、その点で特に永井の2度追い3度追いは非常に効いていて代えの利かない存在となっていました。

また、ジョーを抑えるべく、CBは中央にとどまり、CHも中央を締めてジョーを自由にさせない意識があったように見えました。実際に中央に入ってきたパスに対してのカットが多く、CHのサポートで奪いきるシーンはよく見られました。

 

 

 

各チームの選手交代

最低でも1点を取らなければ勝ち点を得られない状況となっている名古屋は選手交代で攻撃の色を強めます。

65分 宮原→相馬

和泉を右SBに回し、相馬を左SHへ。

マテウスで2人を割く東京DFに対して攻撃力のある和泉を浮かせる狙いだったでしょうか。相馬を入れれば左SHの攻撃力も落ちません。

 

66分 久保→大森

やや攻撃の脅威は落ちますが、攻守にハードワークができて、守備で気が利く大森を投入して守備の安定化を図る東京。スプリント回数の多かった久保の疲労もあったかもしれません。

 

大森&室屋のユニット単位での守備は非常に安定感があり、マークの受け渡しがスムーズでした。

また、個人守備のところでも室屋は相馬をほぼ完封と言っていいくらい抑え込み、チャンスを作らせません。

相馬対策としたらあまりに対応が速すぎるので、時間帯はたまたま被ったのかもしれませんが、交代カードの切り方としては非常に効果的だったように思います。

 

東京 78分 永井→田川

名古屋 84分 米本→長谷川アーリア

東京 88分 ディエゴ→ジャエル

 

名古屋はどちらかと言えば守備的な米本を下げてアーリアを投入。パスの出しどころを増やす狙いでしょうか。

東京は疲労や軽い負傷を考慮した交代。昨年とは違い、同タイプの選手が控えにいるという部分は心強いです。

 

田川はシミッチ監視役兼2度追い役。ジャエルはカウンター要員として働きます。

名古屋は人数をかけて主にサイドからのクロスでジョーを狙いますが、東京は空中戦に強い2CBを中心に跳ね返し続けてタイムアップ。

 

FC東京が1位2位直接対決を制し、首位となりました。(この後のゲームでマリノスが敗れたため単独首位!←ここ重要)

 

 

~感想~

 

ボールを持たせたとまでは言えませんが、持たれることはある程度許容してゲームを支配できた東京。ただ、名古屋もジョー&シミッチの前と後ろで攻撃を支えるブラジル人2人が特に強烈で守備を固めざるを得ない状況だったと思います。

危険なシーンもいくつか作られましたが、林の好セーブにも助けられ無失点。3試合で9得点取っていた名古屋を(得点の部分で)完封できたことは自信につながるはずです。

 

 

この試合のMVPは得点だけでなく前線の守備でもDFを追い続けた永井で良いと思いますが、対人で負けなかった室屋や小川、冷静な判断でボールを容易に捨てない森重も素晴らしかったです。チームとして全員がやるべきことをやり切れたゲームだったのではないでしょうか。マテウスへの対応や大森の投入の判断をした長谷川監督の采配も良かったです。

また、開幕戦では意図的に守備負担を減らしているのではないかと考えていた久保ですが、2節以降は全くそんなことはなく、むしろ多くの仕事をこなしているように見えました。彼の成長は著しいです。

 

一つ不安を挙げるとすると髙萩のボールロスト。トランジション時や後方でボールを持った時に安易なロストが数回見られ、事なきは得ているものの、危険なエリアでの判断の悪さや技術的ミスが目立ちました。

 

 

名古屋側で気になった選手は和泉。

元々ボールを扱う技術はあったと思いますが、体の強さやポジション取りのうまさも兼ね備えた気がします(それも元々だったらごめんなさい)。

DFを背後に抱えた状況でのキープや重心の逆を取るコントロール。ライン間でのポジション取り。後半は何度かシミッチ→和泉から大外吉田へのはたきも狙っていました。

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※イメージ図

パスのところでうまくいきませんでしたが、ここの技術がもう1歩向上すれば名古屋のストロングである左サイドの攻撃もさらに脅威になるのではないかと感じました。

 

 

 

 

贔屓チームが単独首位となり非常に気分が高まっております。

「どうせ東京はどっかで失速するでしょ」

という声を跳ね返すようなチームの躍進を期待したいですね。

 

 

 

それではまた!