青赤人の戦術探検記

FC東京を中心に自分なりの分析をします!

ルヴァンカップ決勝 湘南vs横浜FM

ホームを神奈川県に置くチーム同士の決勝となった。ボールを持ちたい横浜FM(以下横浜)とボールを奪って速く攻めたい湘南の特徴の異なるチームの対戦。横浜のボール保持を湘南がどう邪魔していくかが大きなポイントとなる。


スタメンは以下の通りf:id:brgacha:20181028134852j:plain

横浜はリーグ戦で負傷した遠藤の代わりにユンイルロク。湘南は秋野が復帰しボランチ、石川が一列上がってシャドーの位置に入った。


立ち上がりから湘南は最前線からハイプレスを仕掛ける。横浜の選手は自陣で湘南の特攻部隊に捕まり、失点にこそ繋がらないがシュートを浴びる嫌な時間が続く。


横浜のビルドアップはCB2枚を広げてSBの山中と松原がアンカー扇原の近くに位置取りする形を取る。
これはこの試合に限ったことではなく直近のリーグ戦でも普通に使っていたもの。
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これに対して湘南はおそらく準備してたであろう具体的な策を取ってくる。
湘南側としては基本的に横浜CBに持たれるのはok
横浜CBがボールを持ったとき、
⚫1トップの山崎は扇原へのパスコースを切る。(全体の状況を見てプレス)
⚫シャドーの二人は中に入ってきている山中と松原へマーク。
このような役割を任されていた。
湘南は5-2-3のような形で守るため横浜CBからWGへのパスコースは空くが、最終ラインは二人余った状態で守っているため、湘南WBが横浜WGタイトに付いていくことができる。それによってパスが通っても横浜WGは前を向くことができずに結局バックパスを選択する場面が多かった。

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湘南の対策によってうまく繋げない横浜は天野と大津をSBのような位置に流れさせ、ビルドアップの出口及び攻撃の起点を作ろうとする。これもリーグ戦で使っているやり方。

しかし、これに対して湘南はCHの金子と秋野をピッタリマークにつかせて対応する。横浜が普段使っている方法に対して湘南は準備万端だった。

この方法はCHが外に出ることで中盤の広大なスペースを残ったCHが一人でカバーしなければならないというリスクを負うのだが、そのスペースに出させる前に奪ってしまえば関係ないといった具合に横浜がそこを使えるシーンはほとんどなかったように思う。

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こうして横浜は湘南のプレスをかわせずにショートカウンターを受け続ける。

横浜も全くチャンスを作れなかったわけではないが、坂のウーゴへの対応、プレスを外されたときの金子のカバーリングの速さもあって決定機を作るには至らなかった。



□21分 湘南のチャンス


中盤で金子が天野からボールを奪ってからの流れで秋野を右奥に走らせる。秋野が山中とのデュエルを制してボールを持つと、がら空きになったハーフスペースに走り込んできた石川へパス。石川のクロスは中と合わなかったが、非常に惜しいシーンだった。


この場面、エリア内のチアゴと松原にはそれぞれマークにつく選手がいて、ドゥシャンは危険なゴール前ニアゾーンを空けたくないため、3人はゴール前に貼り付けられた状態となる。となるとハーフスペースのカバーは中盤からのサポートを待つしかないが、扇原の危機察知が遅れたことで石川に隙を付かれた。天野と仲川も状況を素早く察知して急いで戻ればカバーできなくもなかったと思うが、二人ともピンチになったシーンを歩いて見守っていた。

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□30分頃 横浜のビルドアップ

扇原をCB間に下げたり山中を本来のサイドポジションに戻したり、湘南のプレス基準点を外そうと色々試していたがあまり効果的な攻撃には繋がらなかった。


□35分 湘南杉岡の先制ゴール


湘南が右サイドで細かくパスを回して横浜のプレスを回避。そこから中に絞ってきていたフリーの杉岡にパスが通る。杉岡には松原がマークについていたが、外に走り込んできた選手が気になってポジションを下げざるを得なくなり、杉岡の前にスペースができる。それを見逃さなかった杉岡が思い切り良くミドルシュートを打ち、それがキレイに決まり湘南が先制。
杉岡のシュートもスーパーだったが、松原を実質1対2の状況にさせたことでシュートコースが作れてゴールに繋がった。


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横浜はいつものやり方を封じられ、天野と大津をサイドに流したり扇原をCB間におろしたり策を模索したが湘南のプレスの前に沈黙させられた。
ただし、湘南はプレスを掻い潜られるとピンチを招く構造になっているので、湘南がバテてくれば横浜はやり方を変えなくてもチャンスは作れそうではあった。




後半


前半とは逆に開始早々に横浜がチャンスをつくる。
天野が個人技で一人を剥がしてからGKーDFライン間に放り込む。これがピンポイントでウーゴに渡り決定機になりかけるが、湘南DFがギリギリのプレーでしのぐ。

後半は一転して横浜ペース。山中を中にいれずに外で待たせる、松原が中に入ってから外に流れる等、前半とはやり方を変えた。
山中が外に出たことで湘南はそこへ付ききれなくなり、横浜左サイドを抑え切れなくなってくる。

途中で出てきた走行距離データが示していたように、湘南のシャドー梅崎と石川が全選手のトップ2に入っており、山崎も上位にいた。前線3選手の体力はかなり消耗しており、前から追いきれないことで横浜は比較的自由にボールを持ってコントロールできる展開になる。

SB・IH・WGの3人がサイドでユニットを形成し、ポジションを入れ換えながらボールを回すことでマークをずらしPA角のハーフスペースを攻略していく。特に天野がそこに走り込むシーンは多かったとと思う。
しかし、湘南も粘り強く守って、侵入はされてもゴールは割らせない。


何度かカウンターからのチャンスはあったが、基本的に横浜が押し込んで湘南が耐えるといった構図になった。


途中で高山を入れて、とにかくボールを追いかけて下さいという仕事を与えて多少は嫌がらせができたが、後半は我慢の時間が続いた湘南。


横浜が決定機を決めきれなかったこともあったが、湘南が幾多のシュートブロックでゴールは決して割らせなかった。
湘南は用意も周到であったが、とにかく気迫がすごかった。

最後は高山がファウルをもらって時間を使い試合終了。


前半は湘南ペース、後半は横浜ペースと全く違う試合内容となったが、戦略的な前半に対してお互いの気持ちが全面に出た後半と見え方も対照的で非常に面白かった。




~個人的感想~

今年の横浜は日本では新しいチャレンジをしてるチームの1つで個人的にすごく好きなチーム。(そこそこ頻繁に試合見てます。)
湘南はさすがのスカウティングでチームのベースを崩さずにきっちり対策してきた。

最後で敗れてしまったものの、横浜はこのスタイルで決勝まで行けることを証明できたし、湘南も優勝できる程に力をつけた。Jリーグも勝ち点差がかなり詰まった、実力差の拮抗したリーグとなってきた。今後も戦術的にも自力的にも全体のレベルが上がっていって欲しいなと思う1試合だった。

オフィシャルのMVPは杉岡だったけど、個人的なMVPは金子。次点で坂。この二人の貢献度は非常に高かったと思いました。


最後に一言。
湘南ベルマーレサポーターの皆様おめでとうございます!以上!!