がちゃのメモ帳

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J1リーグ 第30節 FC東京vsC大阪

※追記
様々な関係から画像は削除済み



前節の名古屋戦でリーグ戦8戦勝ち無しからようやく抜け出したFC東京。リーグ前半戦は好調だったが、後半戦は失速が否めないC大阪。どちらもチームとして難しい時期での対戦となった。

出場停止や怪我人の影響で前節から多少の変更はあったが、両チームともにおおよそ予想通りのスタメン。セレッソが3バックをやめて久々に4バックに戻してきたことが主な変化と言える。


■前半


この日も東京スタイル(健太スタイル)は崩さず前から圧力をかけようという意思が見えた。
開始早々から密集でのコンビネーションでゴール前に迫るなど、序盤から高い位置で圧力をかけて縦に速く仕掛けることはできていたと思う。


個人的にこの試合で気になったことの一つとして高萩のポジショニングを挙げたい。



↑左からのクロスに対してエリア内に入る高萩



この日はボランチの高萩が高い位置まで上がっていく機会が多く、クロスに飛び込んでいくシーンもあった。
これによって中の枚数という点では厚みを持たせることができたとも言える。一方で中盤にスペースを作ってしまい、守から攻の切り替え(以下ネガトラ)がうまくハマらなくなりロングカウンターを受けてしまうことが多くあった。


↑高萩がエリア内まで上がったことで中盤に大きなスペースができて長い距離を運ばれてしまう。



ソウザ山口柿谷がいる中盤中央をこれだけ空けてしまうと簡単に陣地を回復されて撤退せざるを得ず、急いで自陣まで戻らされるというシーンも多いように感じた。

ポジションを上げることは決して悪くはないが、高萩のキャラクターを考えるとトップの後ろで攻撃をコントロールしながらネガトラ対策の位置を取れるのがベストだと思う。言うのとやるのは別なのであくまでも理想。


⚫13分のチャンス

橋本から永井に縦パスが入り、それを真横のディエゴへ流す。そこからのワンツーで中央突破し、永井がシュートを放つもキムジンヒョンのビッグセーブに防がれる。おそらく一番の決定機だったと思う。それゆえにこのキムジンヒョンのセーブは非常に痛かった。ただし90分を通して鉄壁だった山下とヨニッチの弱点が見えたようなシーンでもあった。これ以降中央突破はできなかったけど。



↑スペースを見つけて少し降りて受けようとする永井に対してマークしていた山下の出足がやや遅れる。



⚫20分のピンチ

前から嵌めに行ったが完全に取りきれずに東京の左サイドに展開される。
水沼と太田がマッチアップし、後ろから田中裕介が上がってくる。大森が急いで戻ってくるが、前からプレスをかけていた関係で距離が遠く守備サポートが間に合わない。比較的近くにいる橋本もセレッソ2トップへのパスコースを消す、またはDF前のスペースを空けないためにサポートへは行けない。太田が1対2に近い状態となりポジショニングを迷ってる間に水沼にクロスを上げられる。幸いクロスの質が低く助かったが、少し危ないシーンだった。
↑水沼と太田がマッチアップし、後方から田中の上がり。大森はボールがある外まで距離がある。

↑太田は田中の追い越しも意識するため少し下がり目で対応せざるを得ない。大森もクロスを邪魔できる立ち位置まで間に合っていない。



⚫27分のビルドアップ

室屋が高い位置を取り、SBあたりのポジションに東が入って組み立てに参加する。このポジション取りは何度か見られた。
室屋と丹羽でビルドアップがやや不安定と思われる部分を考慮したのかもしれない。
実際に室屋ではできない球出しからディエゴの裏抜けでチャンスメイクできた。
↑右SBの位置でボールを持つ東と押し出されるようにポジションを上げる室屋




⚫28分のピンチ

カウンターからピンチを向かえるが室屋がうまくコースを消すポジションを取ることによって林がギリギリ防ぐことができた。
↑このタイミングでパスを出されたが、室屋が一番危険なパスコースを切れているため林の守備範囲でカバーできた。



前半の感想
東京はショートカウンターセレッソはロングカウンターからチャンスを作り出した。セレッソのビルドアップミスもありそこそこチャンスはあったと思うが山下、ヨニッチ、キムジンヒョンの3人にことごとく防がれた。
いつもと比べてネガトラ時のプレスが決まらない印象だった。




■後半

基本的にはやることは同じ。ブロックを組まれるとなかなか崩すのが難しいセレッソ守備陣なのでカウンターかセットプレーで先制し、東京側の陣地に引き込む展開にするのが理想。


⚫49分のピンチ

セットプレーからの流れでセレッソが左でボールを持つ。一見人数は足りてるように見えるがハーフスペースで丸橋が浮いている。室屋は大外からボールを追い越す選手のカバー、丹羽は目の前の選手を監視していて丸橋のマークにいけない。パスが出てから丹羽がマークを捨てて丸橋へ対応しにいくが、距離があるため簡単にクロスを上げられる。柿谷のヘッドはキレイに当たらなかったことで難を逃れたがマークが曖昧になり危険なシーンだった。

↑ソウザからハーフスペースの丸橋にパスが出る直前

↑丹羽が対応しにいくが間に合わずクロスを上げられる




⚫57分のチャンス

CK守備からディエゴが個人能力で長い距離を運び、絶好のカウンター機会を作った。右で二人浮いていたのでそちらに出せば決定的なシーンを作れたかもしれないがディエゴは自分で縦に行く選択をし、山口にうまく対応されてロストする。山口の対応は素晴らしかったと思うが、ディエゴは少し我を出しすぎたかもしれない。

↑ディエゴは右にもパスを出せたが縦の突破を選び、山口に対応される。



⚫62分のチャンス

大外の室屋からPA角のディエゴへパスが通る。ボール付近の全員がボールウォッチャーとなったところで右サイドの後方にいた東へパス。フリーの東はワンタッチでクロス。中に入ってきた大森に合ったが、ヘッドはうまくヒットはせず枠外へ。うまく決まりはしなかったがいい攻撃だったと思う。

↑室屋からディエゴにパスが出たところでセレッソ守備陣は全員ボールウォッチャーに。

↑フリーになった東がワンタッチでクロスを上げる。



⚫83分の失点シーン

太田のクロス不発から被カウンター。前には杉本しか残っていなかったが、丹羽が一対一で負けてしまったことで右から上がってきたドフリーの水沼を使われる。エリア前では帰陣が間に合ったがシュートのディフレクションがフリーの清武に渡ってしまいキレイなボレーを決められる。清武のシュートもDFに当たって少しコースが変わっており、色々と不運な失点でもあった。もちろんそこまでの過程でエラーが重なった上での失点ではあるが。

↑丹羽が杉本との一対一で負けて入れ替わられる。

↑水沼がシュートを打つ瞬間には人数が足りているが結果的に失点に繋がる。




この後リンスの抜け出しからのシュート等決定的場面もあったが、得点は奪えず試合終了。



感想
内容は決して悪くなかった。シュート数はそれなりに多いが、決定機は前半の永井のシュート、後半終了間際のリンスのシュートの二つかなと。理屈ではこれを二つ決めていれば勝てたわけだが実際は決めきれず負けた。戦い方自体は間違っていないと思うが、一部のクオリティが足りずに得点が取れない。そして一発に沈む。という試合がリーグ後半戦は目立つようになった。

加えて言えば、東京の攻撃の問題もあるけど、単純にセレッソの守備が堅かった。山下とヨニッチの壁を崩せなかった。

ネガティブになってしまう部分はあるが、東を下げて室屋を押し出すビルドアップや橋本の安定感のおかげで高萩が前線に顔を出せるようになっていること等チームとしての引き出しは増えているように感じる。




これだけ勝てなくてもまだ3位。次節は横浜FM戦。前回は相性の良さで快勝だったが徐々に完成度を高めてきている。森重が出場停止となるがチャンヒョンスが出場停止から復帰。おそらく前からガンガンくると予想されるので、セレッソより戦術的相性は良いはず。簡単ではないアウェイの戦いになるが、ここで嫌な雰囲気を立ちきって良い終わり方をしたい。