がちゃのメモ帳

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2022 J1リーグ第17節 清水エスパルスvsアビスパ福岡 メモ

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スタメン

清水は鈴木唯と松岡がU-21日本代表招集中により欠場。原が負傷明けでメンバーに復帰。カルリーニョス、ヴァウド、髙橋、ヘナトが負傷離脱中。

福岡はルヴァンカップで奈良が負傷交代していたが、間に合って先発に。

 

流れ

清水はゴールキックを下からつないでいく。それに対して福岡は高い位置からプレッシャーを掛ける。

宮本は常に福岡2トップの後ろかつ間に立つ意識。

清水は保持時は宮本をアンカーに置く4-1ビルド、非保持時は神谷を1つ前に押し出す4-4-2セット。

3分、清水がうまくアンカーで2トップ裏を取ってから前進成功。立ち上がりは清水がボールを持ってリズムを作る。福岡はフアンマのプレス判断などでズレが起きているような印象。

福岡はシンプルに山岸とフアンマを狙ってからセカンド回収で前進を狙う。

5-6分、清水が2トップ裏で受けた宮本からサイドへのパスを狙うが、カットされる。失敗はしたが、組み立ての流れは悪くない。

6分、清水先制。CBのはね返しから発生したトランジションからカウンターを狙い、神谷の折り返しを西澤がうまく合わせた。福岡はトランジション時のバランスが整っておらず、対応が後手になってしまった。清水は良い入りから早い時間帯での先制に成功。

10分、ルーズボールの回収から、クルークスのクロスでチャンスメイク。鈴木義も対フアンマで負けていないが、やはりパワーバトルを徹底されるのは嫌そう。

11分、CKをニアで山岸が合わせるも権田が好セーブ。

12分、CK時の競り合いで宮本と強く接触したグローリに警告。宮本の駆け引き勝ち。

14分、清水がフリースペースをうまく見つけながら前進。福岡は前からのプレスがなかなかハマり切らず、らしくない守備が続く。

16分、右からのFKにファーで片山がうまく合わせるも枠外。

各所の球際、競り合いで清水が一歩上回っている印象。

17分、北島のHS受けで前進。ただ、清水もすぐに陣形を整えて追い出す。

18分、前へ運び出した奈良から志知のダイレクトクロスは片山にヒット。片山が痛んで一時中断。福岡としては良い攻撃で敵陣へ入れただけに、止められて不服そう。福岡がここは蹴らずにつないだ。清水は2トップを外されたときに持ち運びを許したので、いかにその状況にさせないかが重要になりそう。

22分、権田までプレスに出ていったフアンマのファウル。そこまで接触はなかったが、それなりに抗議の意思を見せて駆け引き。

24分、クルークスとの競り合いで痛む鈴木義。福岡の守備がうまくいっていないことも含めて、ファウルで止めるシーンが増えている印象。悪意は感じないが、競り合い時も福岡側のファウルを取られるシーンが多い。

27-28分、左ゴール前のFKから志知のシュート、クロスからグローリの飛び込みでチャンスメイク。

28分、フアンマへ警告。FKでの再開をPA内に入って遅らせたのが遅延行為と取られたか?

30分、福岡が中盤での奪取からカウンターに出かけたが、うまくスピードを上げられず、清水に球際を作られて止められる。

清水が深く追ってこなければ、ショートパスでのつなぎで前進を図る福岡。

34分、CKの流れから片山のミドルまで。

36-37分、福岡が右での作りから左に開放して敵陣へ進入。PA前でのパス回しから、北島のクロス→フアンマでチャンスも権田がかき出す。

福岡のビルドアップ時、北島がかなり中央寄りに入ってきて、トップ下に近い役割になっているイメージ。

横幅を広めにとる清水のCBに対し、福岡のSHがSBへのコースを切りながらCBに寄せるタスク。清水CBは福岡SHが2人を見なければならない状況をうまく利用しながらプレーを選択できている。

40分、清水追加点。後方からのビルドアップで立田が持ち運び、神谷がサイド流れで深い位置に起点を作ると、西澤のクロス→サンタナでゲット。福岡は前4枚でのプレスバランスが整わないことが序盤から続いた中、そこを突かれて2点目を許した。

41分、清水がカウンターで出ていき、サンタナ→神谷でフィニッシュを狙うも間に合わず。

42分、福岡が北島の間受けで前進し、中央でのコンビネーションから突破を図るも、意図が合わず。

清水は2トップでのプレッシャーが掛け切れない場面が増えている印象で、それもあって福岡はライン間の選手に刺しやすい。北島が間に顔を出す。

47分、左に流れてきたクルークスからのクロス。

 

前半は清水ペースでゲームが進み、内容に伴う形で清水が2点リードで折り返し。プレスを掛けてくる福岡に対してビルドアップが安定していること、そしてフアンマと山岸を鈴木義と立田でおおよそ抑えられていることが非常に大きい。また、シュートまで持ち込めない場面でもCKを獲得するなど、攻撃を完結させやすい状況を作れているので、不用意なピンチが少ない。2トップが追い切れなくなったときや、自陣撤退時の守備はまだまだな印象があるが、それでも権田を中心に最後の我慢は利いている。

福岡は前からのプレスがはまらず、自分たちが思っているような状況が作れていない。1失点目はトランジションで守り切れず、2失点目はプレスがはまらなかったところでスピードアップを止められず、とらしくない守備が頻発。また、フアンマが鈴木義に抑え込まれており、シンプルな攻撃ではなかなか突破口を見いだせず。北島が中央でポイントを作って前進はできるので、そこからの打開策を見つけたい。

 

 

後半

福岡交代

グローリ、フアンマ→宮、ルキア

警告を受けていた選手を2人交代。グローリはともかく、フアンマはメンタル面の不安定さを含めて2枚目をもらってしまうリスクはかなりあったように思えるので、リスク管理も含めた交代だろう。

清水のつなぎに対して、より強度を上げて奪いに行く福岡。

48分、ゴール前FKの流れからクルークスのクロスまで。

50分、左での作りからクルークスに開放してクロスまで。左CBが左利きの宮になったことで、北島への縦パスがよりスムーズになった。

福岡がプレスを強めていることでなかなか安定して運べなくなっている清水。抜け出せれば一気にチャンスを作れるバランスにはなっているが、ここまではサンタナの収めでファウルをもらうのが精いっぱい。

53分、前嶋のクロスに山岸が飛び込む。競り合いの際に立田が変な落ち方をして肩あたりを痛める。

福岡が持って攻める時間が続く。

56分、奈良のフィードから志知→北島でポケットへ入り込むが、折り返しは立田がブロック。福岡がセットプレーを増やして自分たちの得意な土俵へ持ち込んでいる。

58分、福岡交代

北島→田邉

福岡はシンプルにクロスを入れたり、中央でのコンビネーションでゴールを目指すが、清水も最後のところは外さない。

60分、ルキアンのロストから清水がカウンター。山原が1人でゴール前まで運び出して、シュートのこぼれ球に清水の選手が詰めにいくも間に合わず。山原の推進力が際立ったシーン。

福岡は志知が大外の高い位置で張って、前嶋が最終ラインで3バック気味に残るバランス。右のクロス役はクルークスに任せながら、機を見て上がっていく。清水はゴール前に人数を割いているため、奪ったあとに息継ぎをする時間を作れずに捨てるしかなくなっている。

67分、FKの流れから前のシュートまで。福岡の波状攻撃が続くが、清水もしのぎ続けている。

67分、清水交代

神谷、片山→ディサロ、原

68分、鈴木義→後藤でシュートまで持ち込むが、力が入って枠外へ。

清水がボールを持ちながら少しずつ時間を作れるように。

71分、ディサロの運びから後藤のクロス→白崎。清水がチャンスを作り始める。

73分、福岡交代

志知、クルークス→田中、金森

田中はSBに入るが、志知と同じく高い位置で張る攻撃のタスクを持つ。

田邉がトップ下気味になり、山岸が左SHに移った?

74分、清水の波状攻撃。左右からのクロスでゴールを目指し、最後はこぼれ球を山原のミドル。

76分、清水交代

宮本、西澤→コロリ、竹内

79分、福岡得点、2-1。ルキアンの収めからの粘りでDFを引きつけ、こぼれ球を山岸がコントロールショットで沈めた。防戦一方になっている清水は残り10分ほどのどのように過ごすか。

80-81分、こぼれ球を山岸がシュートもギリギリ枠外。福岡がイケイケになってきた。

ディサロが間受け役になって前進の形を作る清水。

84分、清水追加点、3-1。サンタナが個人で収め、ラストパスを送ると飛び出してきたGKをうまく外すループでコロリが沈めた。福岡はCB2枚でリスク管理ができていた中で、ここはサンタナをつぶせずに痛恨の被弾。清水は苦しい状況から流れを変える一発。メンタル的にも2点差にできたことは非常に大きい。

福岡が敵陣へ入って攻める展開は変わらないが、ボールをつなぐ時間も作るなど、プレーに落ち着きが見られる。

90分、前嶋のクロス?が直接ゴールへ向かってポストへ直撃。

90分、サンタナに警告。

92分、清水交代

後藤→滝

 

後半は長い時間で福岡が攻め込んだが、反撃を1点に抑えた清水が逃げ切り成功。1点差になったときには危険な空気が漂ったが、コロリの3点目でかなりメンタル的にも持ち直した。福岡は1点返したあとの山岸のシュートが枠へ飛んでいれば一気に同点まで持ち込めていたかもしれないが、総じて負けという結果はある程度妥当に思える。ただ、後半は割り切って出ていったことでペースをつかめたことは悪くない。2CBが相手に起点を作らせず、「ずっと俺のターン」ができただけに、もっと早い時間帯に1点を返したかった。

 

 

個人的MOM

★チアゴ サンタナ

1ゴール1アシストという数字の面はもちろん、劣勢のときに時間を作るポストは大きかった。また、1点差になって苦しくなった中、キープからアシストで3点目を生み出した働きは1点以上の価値あり。最前線に残って力を溜めていたことがしっかりと生きた。

 

サンタナと同じく1ゴール1アシストの西澤、サイド流れで2点に絡んだ神谷、フアンマつぶしで前半に相手に流れを渡さなかった鈴木義、安定したセーブで失点を防いだ権田も好評価。途中出場から起点作りで存在感を見せたディサロも良かった。

福岡はさすがのフィニッシュスキルを見せた山岸、間受けで特に前半にポイントを作った北島が好評価。後半は2人でのリスク管理を任されながら、3失点目以外で相手の起点作りを封じた奈良&宮も評価したい。

 

トピックス

清水は連敗脱出。

福岡はリーグでは今季初の3失点。

 

監督コメント

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ ゼ リカルド監督 ]
本当に難しい試合でした。われわれの置かれている状況というのは、この順位を抜け出さなければいけないので、勝利して勝点を重ねていくことが大事になってきます。その意味で大事な試合でした。良い内容の試合ができたと思っています。特に前半、良い流れでゲームを運べていて、後半も交代で入った選手が良いパフォーマンスをしてくれて、サポーターの皆さんに喜びを届けることができて良かったと思っているし、選手たちもこれでまた自信をつけて次に進むことができると思います。

--この試合に向けて落とし込んだこと、大切にしたことは?
選手の献身性に感謝しています。われわれの準備期間は短かったと思いますが、その中で選手のハードワークが素晴らしかったのと、スタッフにも助けられました。スタッフの助けがなければ勝利はなかったと思うし、チーム全体で対アビスパ福岡ということに集中して、準備を重ねてこられたと思っています。チーム全体の勝利だと思っているし、このチームの献身性、ハードワークは目をみはるものがあったので、それによってうまくチーム作りができたと思います。ボールを保持して自信を持って前進していくという姿勢を伝えたつもりでしたが、それを体現してくれたと思っています。

--今まで残り15分で得点がなかったが、ベンジャミン コロリ選手がゴールを決めた。
サッカーは、時には説明しにくいものだと思います。すべてがデータで説明できるものではありません。この4日間、私はこのチームで仕事をしているが、選手への要求に対して、彼らが積極的にトライしてくれていました。周りのスタッフ、清水エスパルスに元からいたスタッフも非常に温かく受け入れてくれて、われわれの仕事をサポートしてくれました。

そして、ゴールですが、サッカーは11人だけでやるものではなく、交代選手を含めた全員でやるスポーツだと思っています。チームの勝利という意味で、全員で戦うことが大事になります。今日は交代で入った選手がハードワークをしてくれてベンジャミンの3点目が生まれましたが、積極的な姿勢がゴールにつながってありがたく思っています。

--後半苦しい時間帯が長く続いたが、そこはどのように振り返るか?
後半、われわれは確かに苦しみました。われわれがリードをしていたので、相手はそれをひっくり返そうと前がかりになってくるし、それはある程度予想できました。その中でも、われわれはしっかりとマネジメントできたと思います。福岡は特にFWに強力な選手がいて、フアンマ(デルガド)選手、交代で入ったルキアン選手など、ターゲットになる強力で怖い選手が多いし、チーム全体で掛けた圧力に苦しんだ時間帯もありましたが、そのあとわれわれもしっかりボールを支配し直して、うまくマネジメントできたと思います。それが3点目を取ることにもつながりました。福岡は最少失点の素晴らしいチームなので、簡単ではないと思いますが、今日それが生まれたのは選手のハードワークのおかげだと思います。

 

[ 長谷部 茂利監督 ]
ミスもありましたし、相手の上手なプレーもありました。失点してはいけない時間帯、また盛り返して短い時間でしたけれども自分たちのペースになっていた時間帯、得点を取ったあの時間帯でまた3失点目をして、ゲームが決まってしまったので、その辺がまだまだ力がないなと思いました。攻守にわたって自分たちの絵がハマらなかったことが多かった、相手のほうが良かった。そんなふうに思います。

--3失点は今季最多でしたが、そのあたりはいかがでしょうか?
3失点しては勝点を取ることは難しい、負けてしまうのは常ですね。自分たちが得点を取れないというよりは、3失点してしまうのはサッカーではあってはならないような……。シュートを20本も30本も打たれたら、3失点しても仕方ないと思うんですけども、そういうゲームではなかったと思うので。やはり自分たちに矢印を向けて、自分たちのミスをもう少し少なくして、良いプレーをもう少し回数を増やしていきたい。それは守備のところも、攻撃のところも。そんなふうに考えています。

--先制点を取られたシーンのようにカウンターからの失点は珍しいと思いますが、あそこはどんな反省点がありますか?
相手が狙っているところに、相手がやりやすいボールを入れてしまった。そこに問題がありますし、その後の対応もあまり良くなかった。人数はそろっていたと思うので、あそこは守るべくして守る。攻撃で自分たちがチャレンジしたときというのは、必ずミスとかピンチももちろんあるんですけども、そういうプレーに対して自分たちは準備しています。その準備していたことがうまく機能しなかった。ミスが2回、3回と続いてしまうと大ピンチになってしまう。そんなふうに捉えています。

 

2022 J1リーグ第17節 湘南ベルマーレvsFC東京 メモ

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スタメン

湘南は畑がU-21日本代表招集中により欠場。岡本、山本が負傷離脱中。

FC東京松木がU-21日本代表招集中により欠場。代表帰りの長友は休養により不在。トレヴィザンが負傷から復帰。林が負傷離脱中。

 

流れ

互いに前からプレスを掛けてテンションを上げる立ち上がり。プレスを受けたほうはリスクを負わずに前へシンプルに蹴りだす。

湘南は相手SBにIHをスライド対応させるいつものやり方。

東京は3トップを相手3バックにそのままあてて、アンカーには安部が出ていくことが多いか。

序盤はディエゴに当ててからサイドへ展開してスピードを上げるような攻撃が多い東京。

東京はIHを同サイドに寄せて圧縮を狙うことが多いので、湘南は逆まで展開すれば一気に前進できる。

7分、東京のビルドで人をハメ切る湘南。安部がファウルを誘ったが、湘南としては奪いどころが明確に作れている。

8分、森重→アダイウトンで左奥を取る。雨でぬれるピッチコンディションもあって、アダイウトンの仕掛けをシンプルに使っていきたい意図を感じる。

11分、湘南がPA付近でのコンビネーションから茨田のミドル。かなり良いコースに飛んだが、ギリギリ枠外。中村の寄せもいくらか効いたか。

13分、湘南が中央でのパス交換から瀬川がシュートもスウォビィクが好セーブ。湘南が一気に攻勢を強める。

時間の経過とともに湘南はテンションを落としてミドルブロック形成に移行。SBにボールが渡ったときに一気にスイッチを入れる。

17分、東京が自陣で奪ってからアダイウトンで陣地を回復してカウンター。永井へのスルーパスは合わず。濡れている影響もあって、球足が伸びやすいように見える。

18分、瀬川がPA内に抜け出してフィニッシュもスウォビィクがセーブ。東京は湘南の左サイドでのパス回しに対してマークがやや曖昧になってしまったか。

東京は中盤の選手がワンタッチで背後に入れるようなボールを入れるが、前線の選手が出ていく様子は見られない。

24分、またしても湘南が左サイドでの連係からチャンスメイク。

25分、湘南先制。瀬川からのラストパスに池田が抜け出して、飛び出してきたスウォビィクの頭上を越すシュートでネットを揺らした。直前にハンドっぽい事象があったが、判定は変わらずにゴールが認められた。東京はそれによって一瞬反応が遅れてしまったことが痛恨。

34分~、東京が敵陣で保持の時間を続ける。湘南は2トップも自陣低めに戻って人数をかけた守備。

安部と渡邊の両IHはベースポジションに関係なく、かなり自由に幅広く動く。

38分、小川からサイドに流れた安部に預けてプレス回避。

湘南は奪いに行くというよりも、東京の保持を追い出すようなアプローチ。

42分、アダイウトンが内に絞って石原を引き出し、ディエゴがサイドへ流れて起点作り。

44分、東京のビルドアップミスを奪った湘南がカウンターで瀬川のミドルまで。東京は全体的に複数人での連係が合わない場面が目立つ。

46分、個人での突破を狙ったアダイウトンを倒した池田に警告。

 

前半はおおよそ湘南のゲーム。持ち前のミドルプレスが機能して東京の前進を防ぎ、攻撃ではサイドでの連係の質の高さを見せて、シュートシーンを多く作った。東京もスウォビィクが何度か好セーブを見せてしのいでいたが、失点シーンは全体の対応の遅れが響いて止め切れず。湘南はリードしてからはいくらかテンションを落として、ある程度自陣でのプレーを許容する代わりに人数をかけて守備を固める。東京はIHが幅広く動き回ることで相手のポジションにずれを作り出そうと図ったが、人数をかけている相手のブロックを崩すまでは至らず。アダイウトンの単騎突破が一番可能性を感じるという、ある種不本意な出来に終わったと言える。

 

 

後半

後半開始直後は、2トップがスプリントをかけて全体を押し上げる湘南。

46分、スローインの流れから永井が抜け出しかけるも舘が好対応で止める。

東京も前プレを強めて積極的にボールを奪いに行く。

49分、永井のクロスにアダイウトンがファーで合わせるも枠外。小川から永井への展開で一気に敵陣まで入った良い攻撃。

51分、自陣で奪った東京がアダイウトンをシンプルに使うカウンターに出ようとするも石原が対応。前半からアダイウトンへの対応はうまくいっている湘南。

54分、湘南が中盤での奪取から瀬川→町野でカウンターを狙うも永井が戻って対応。

東京がボールを持つ時間が続いているが、なかなか敵陣深くまでは入れず、停滞感がある。

58分、湘南がカウンターから瀬川が抜け出しかけるも中村が好対応で阻止。前がかりになる東京に対して、したたかにカウンターからの追加点を狙う湘南。ここまではリスクをかけずに惜しい場面を作り出せている。

59分、東京交代

青木、中村、永井→レアンドロ、東慶、バングーナガンデ

バングーナガンデが左SBに入り、小川が右に回る。

61分、小川の外しからレアンドロが右サイドを抜け出し、クロスまで。交代の効果が早くも出た。

小川が右に入ってからかなり内側へ入る動きが増えている。

また、青木→東慶でキャラクターを変えたことで相手2トップの背後を取れるようになった印象。湘南の2トップのプレスバックが落ち始めているとも言えるかもしれない。

64分、左サイドを抜け出したバングーナガンデのグラウンダーうロスに渡邊が合わせるも枠外。結果的にオフサイド。湘南は全体的にエネルギーが落ちてきている印象で、東京が比較的余裕を持ってボールを持たせてもらえている。

トランジション時の田中の出足の速さが際立っている。

67分、湘南交代

茨田、池田→ウェリントン、タリク

ウェリントンがトップに入り、瀬川がIHへ移る。

68分、杉岡のFKはスウォビィクが好セーブ。低いボールでニアを狙って枠へ飛ばしたが、スウォビィクがかき出した。

69分、湘南追加点。杉岡のFKから獲得したCKを町野がニアで合わせてゲット。

ディエゴの起点作りとレアンドロのコンビネーションで打開を図る東京。どのエリアを崩すかというよりも、連係の質を高めてゴールへ迫る形。

75分、木本のフィードから一発で抜け出したアダイウトンがシュートまで持ち込むも谷がブロック。

77分、深い前プレからタリクのプレスバックでカウンターに持ち込む湘南。ウェリントン→田中のパスは合わず。

78-79分、東京の良いビルドアップからレアンドロのシュートまで。左サイドから空いた場所を素早く使って前進に成功した。

79分、東京交代

渡邊→紺野

紺野を右WGに入れて、レアンドロを中央へ移す。

80分、湘南交代

瀬川、町野→大橋、米本

米本をアンカーに入れ、田中をIHに、タリクが2トップへ移る。

選手交代でエネルギーを上げる湘南がプレスを強めながら保持の時間を増やしていく。

83分、紺野のクロスにアダイウトンが飛び込むも谷の守備範囲。右からのクロスにアダイウトンが飛び込む形が何度かみられている。

湘南は2点リードもあって、トランジション時はゴールへ急ぐよりもペースを落とすことを優先。オープンな状況を作らせないようにしながら時間を使う。

84分、高橋が足をつる。

86分、東慶の展開からバングーナガンデのクロスをディエゴが合わせるが、湘南DFがブロック。

86分、湘南交代

高橋→大野

87分、手を使って紺野を止めた杉岡に警告。

88分、ボールがタッチラインを割る前に触ってしまったアルベル監督に警告。

90分、小川がインスイングクロスを送ってバングーナガンデがファーに入り込むもわずかに届かず。

93分、安部がサイドを抜け出して折り返し、レアンドロがシュートを狙うもタリクがプレスバックで対応。

94分、アダイウトンがポケットへ入って折り返し、PAに残っていた木本が合わせるも惜しくも枠外。

 

終盤は東京が攻勢を強めてゴールへ迫ったものの、決定機という決定機は作れないまま終了。湘南はピンチの場面でも誰かしらがブロックに入れており、粘り強さがあった。60分あたりは全体のエネルギーが落ちたように見えたが、選手交代で高い位置からの守備を取り戻し、主導権を簡単には渡さなかった。

東京はサイドを埋められたときの打開策が最後まで見せられず。湘南が少し落ちたタイミングでは、空いたスペースを有効に使えるシーンも見られたが、多くの時間で停滞感が漂い、湘南のカウンターを許すといったうまくいかない時間が続いた。

 

 

個人的MOM

★瀬川 祐輔

守備ではチェイシングで全体の押し上げのスイッチを入れ、攻撃ではラストパスを引き出す役として躍動。スウォビィクの好セーブによって得点こそなかったが、好シュートを連発、そして先制点をアシストするなど、数字の面でも目立った。

 

瀬川と同様に町野も攻守で大きく貢献。田中は保持時にはマーカーを外して前進する働き、守備ではトランジション時の出足の良さによって前でつぶしきる働きを見せた。

 

東京はスウォビィクが好セーブを連発し、終盤まで勝点獲得の可能性を残す貢献。

 

トピックス

アルベル監督がタッチラインを出る前にボールに触れてしまう事象が発生。昨季、東京Vの堀監督が同じようなことをやていた。

 

 

監督コメント

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ 山口 智監督 ]
ルヴァンカップで敗退が決まってからリーグ戦にフォーカスして、リーグ戦でもC大阪に負けた次の試合だったので、なんとしてでも気持ちを見せることを強調して、準備してきました。その中で選手はそこをすごく大事に思いながらやってくれた90分でした。それだけでなく、相手を見ながら自分たちはつながりながら、よくやってくれたと思います。良いところがたくさん出た試合でしたし、勝ちに相応しい内容だったと思います。

--1週間前のルヴァンカップで4失点を喫してしまった中、今日は無失点に抑えることができた評価は?
とにかく、そういうのを引きずらず、4失点してしまったからといって次の試合も4失点するわけではないですし、原因を追求しながら、1失点だろうと2失点だろうと無失点だろうと向き合ってやっています。先週4点取られて開き直れた部分もありますし、今週の練習に関してはそういうのを表現しようとチームで取り組んできました。そこは大きな要因だと思います。何より、最後まであきらめないで体をぶつけるとか、自分たちからボールを奪いにいくという守備の面で大事な部分が出せたと思います。それもそういうもの(先週の反省点)からつながってくるものだと思いますし、そういうところができたのが勝因だと思います。

--攻撃面ではフィニッシュで完結できているように見えましたが、そこの評価はいかがですか?
攻撃は人数かけて、回数を増やす中、揺さぶりやチャレンジだったりの前向きさが出てきた。あとは、お互いの関係性が分かってきだしたというのもありますし、そこにタイミングが合ってきたというのもあります。考え過ぎて選択できないときもありましたけど、何より選手の「勝ちたい」という思いから本能的にそういうもの(ゴールに直結するプレー)を選べるようになってきたことは大きい。試合によってそれを出せるかどうかという課題はありますけど、こういうことをきっかけにそういうものをもっと出していきたいですし、そこの質をより上げていきたいです。トレーニングやゲームを含めて、取り組むべき大きなポイントではあるので、今後も続けたいと思います。

 

[ アルベル監督 ]
まずは、今日の対戦相手の湘南さんを称えたいと思います。雨が降る中でキックオフし、その中でしっかりと勝利にこだわる姿勢をスタートから見せないといけない中、相手のほうがこの試合に勝とうという姿勢を見せていました。

われわれは前半、最初の20分間、良いプレーができていませんでした。インテンシティー然り、守備の激しさがわれわれの期待するレベルにありませんでした。その中から相手にチャンスを作らせてしまいました。そこで失点してしまったことが、その後の流れに大きく影響を及ぼしてしまった。その後、湘南さんは守備をしっかりと固めてきました。なので早い段階により狭いスペースでプレーできる攻撃的な3人を投入しました。その後、改善は見られたと思います。ただその後、CKから追加点を奪われてしまい、さらに難しい試合展開になってしまった。

今季のJ1はとてもきっ抗していると思います。相手を少しでも下回るインテンシティーでプレーしてしまうと、今日のような結果になってしまう。サッカーの質では、良いプレーができていた時間帯もありました。けれども、われわれの特徴の1つとなるべきインテンシティー、そして守備の激しさが今日はしっかりと表現できていなかった。

今季、チームは成長し続けなければいけません。メンタリティー的な部分も然りですし、サッカーの部分でも当然成長が必要です。そして、選手たちだけでなくわれわれスタッフもクラブ全体もメンタリティーを勝者のメンタリティーに変えていかなければいけません。常に上位争いに絡み続けるクラブに成長するためには、サッカーの質の向上とメンタリティーの変化、その2つが重要になります。

来週からリーグ戦の後半が始まりますが、この2つをさらに成長させたいです。プレースタイルは徐々に成長しています。その部分に関しては満足しています。プラス勝負にこだわるメンタリティーを表現できるよう成長していきたいです。いまいる順位で満足していては上を目指せません。常に上位にいることにこだわれるような勝者のメンタリティーを持てるよう、成長しなければいけないです。先ほど選手たちにも伝えましたが、選手たちも私自身も矛先を自分に向けて、今日の試合を反省しなければいけません。このクラブにベースとなるプレースタイル、そして、勝者のメンタリティーを定着させるためにも今日の試合から学ばなければいけないです。

 

2022 J1リーグ第16節 サガン鳥栖vsガンバ大阪 メモ

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スタメン

鳥栖は森谷がメンバー入り。中野伸は代表活動によって離脱中。小野は古巣対決。

ガンバは一森がメンバー外で加藤が初先発。パトリックと齊藤が先発復帰。昌子がメンバー外。宇佐美、東口、倉田が負傷離脱中。

 

流れ

ガンバは藤春が左CBに入る3バックシステム。

立ち上がりから鳥栖が持ってガンバがプレスを掛ける構図。ガンバは2ボランチも前線へ押し出してプレスを掛けていく。はっきりとマークを設定して人に出ていく守り方か。

5分、小気味良いパス交換から左奥に走った山見を使ってCK獲得まで。

9分、自陣でのトランジションからパトリックのキープ。田代ががっちり体を寄せるが、ファウルになってパトリックの勝ち。ここのマッチアップは1つのポイントになりそう。

12分、堀米の直接FKはバーの上。良い距離だったが、落としきれず。

15分まで、互いにチャンスらしいチャンスは作れないまま進んでいる。

16分、ガンバのビルドアップミスをさらってそのままシュートに持ち込むが枠外。ガンバは命拾い。

18分、鳥栖先制、1-0。小野のポストから宮代が運んで、上がってきた飯野が右ポケットから折り返すと、中で堀米が合わせた。縦に速い展開から完璧な崩し。鳥栖は得意の保持の局面からゴールを生み出した。ガンバは小野のところの1対1でつぶしきれなかったのが痛かった。

19分、ジエゴが左のスペースを運んでからクロス。中に3,4人入っていたが合わず。

鳥栖がスコアを動かしたあとも互いのゲームプランは大きく変わらず。

鳥栖はオープンスペースを素早くつけている。ガンバはネガトラでやや手を焼いているイメージ。

21-22分、パトリックの起点作りから左へ抜け出す山見へ、正対から仕掛けてシュートまで。

鳥栖は基本的に人をそのまま合わせてプレスに出る。

23分、ガンバが高い位置で奪ってそのままショートカウンターへ。時間がかかると小野瀬のシュートはブロックに遭う。

26分、黒川の右足のシュート。

26分、鳥栖の組み立てで低い位置まで下りる堀米。三浦がどこまでついていくか迷っているように見える。ガンバはオールコートマンツーマンまでは割り切ってこないので、前の選手を下ろしてマークをぼかし、組み立てを落ち着かせる算段。

ガンバは左奥に走る山見狙いが攻撃の1stプラン。

ガンバもシュートシーンをいくつか作れているが、チャンスの質はまだ高まってこない。

33分、鳥栖の波状攻撃。右サイドの連係で飯野が深い位置まで進入し、折り返し。逆からのクロスのこぼれを飯野が左足で狙うも加藤がファインセーブ。

鳥栖は飯野の突破から質の高いチャンスが生まれている。

37分、パトリックが田代との競り合いを制して抜け出し、折り返しからダワンがヒールで逆へ流そうとしたが、鳥栖DFがブロック。

39分、クォンギョンウォンのロングスロー。なかなかの飛距離。

40分、自陣でのトランジションから宮代が背後へ抜け出しかけるが、柳澤が戻ってカバー。

42-43分、黒川からシンプルにパトリック狙いのクロス。

 

システム上、1対1の局面が多くなる中、より質の高いチャンスを作りだしたのは鳥栖。飯野の突破から相手ゴール前まで迫って、そのうちの1回でゴールを決め切った。ガンバはパトリックの1対1での強さや、山見の飛び出しでゴールを目指したが、危険なシーンはそれほど作れず。スコアを動かしたことも含め、ペースは鳥栖のほうにあるように感じるが、ガンバも一方的に押されているというほどではなく、それなりに拮抗していると言ってもいいだろう。あとはガンバがどのように質の高いチャンスを見いだすか。

DAZN集計では、ガンバのほうがシュート数で上回っていた。ただ、比較的遠目からのシュートが多かったはず。

 

 

後半

46分、パトリックの競り合いのこぼれから山見がポケットへ入って折り返し、パトリックが合わせるも枠外。ニアで角度がなく、難しかった。

46分、小野瀬のクロスをパトリックが落とし、回収した齊藤がシュートも枠外。後半はガンバがパトリックの強さを前面に押し出しながらゴールへ迫れている。

48分、堀米のインスイングクロスにファーで浮いていた岩崎がフリーで合わせるもGK正面。互いに良いチャンスを作り合う。

48-49分、中央でのパス交換からパトリック→山見で抜け出しかけるもシュートを打つタイミングを逸する。ガンバは前半と比べて、かなりゴールに近い位置まで入り込めている。

54分、ガンバが低い位置からつないで前進を図るが、鳥栖のプレスの前にかなり苦しそう。

57分、ガンバ同点、1-1。齊藤が中盤で奪ってから連係で右サイド奥に抜け出し、クロスをファーで待っていた山見が合わせてゲット。鳥栖は陣形を整え切る前に攻め切られ、クロスの質も高かったことで対応が間に合わず。

59分、堀米のシュート。小野が中盤でワンツーでかいくぐったところから一気にゴール前まで進入した。マンマークの色が濃くなっているので、ワンツーは効果的な打開策になる。

61分、飯野がクォンギョンウォンとの接触で痛む。ピッチに入ったメディカルからすぐに×印が出る。頭への接触はなかったように見えたが、脳震盪?立ち上がって自力でピッチから出る。

62分、ガンバ交代

黒川→佐藤

佐藤が3バックの中央に入り、クォンギョンウォンが左CBへ移る。藤春は左WBへ。

鳥栖は一時的に1人少ない状態。

→64分、飯野がピッチに復帰。問題なかった模様。

65分、鳥栖交代

小野→垣田

66分、敵陣まで進入して飯野の仕掛けからCK獲得。

互いになかなかシュートまで持ち込めない拮抗した時間が続く。

74分、ファンソッコ→垣田でPA内にポイントを作って飯野がシュートへ持ち込むが、ヒットし切らず。

76分、山見が足をつる。前半からかなりスプリントが多かったイメージなので、その負担がこの時間になって出てきたか。

77分、ガンバ交代

山見→南野

鳥栖交代

岩崎、宮代、堀米→原田、荒木、西川

原田を左CBに入れて、ジエゴを左WBへ移す。

互いに前線を入れ替えたこともあって、ハイプレスを掛けてボールを奪いに行き、両者ともにうまく前進できないような展開に。非保持からのカウンターでチャンスを作ったほうが点を取りそうな流れ。

84-85分、朴を組み立てに加えながら、右での連係でうまくプラスを外して前進する鳥栖。最後はファンソッコがシュート体勢に入るもガンバ守備陣が打たせず。

87分、鳥栖交代

飯野→森谷

87分、鳥栖勝ち越し、2-1。入ったばかりの森谷のFKにファンソッコが合わせてゲット。森谷のピンチキッカー成功。

90分、ガンバ交代

齊藤、小野瀬→奥野、ペレイラ

三浦を前線に上げてパワープレーにでる。

鳥栖は敵陣でパスを回して時計の針を進める。

 

ガンバは三浦を最前線へ上げる采配をとったものの、前へ送り込むような展開に持ち込めず。鳥栖はうまく時間を使ってクローズに成功した。ピッチ全体で1対1の局面が多くなり、拮抗した状況が続く中で両者ともに右サイドを抜け出してからのクロスでゴールを奪った。どちらかと言えば鳥栖ペースながらも引き分けでも妥当と言えるような内容の中、勝負を決めたのは“ピンチキッカー”の森谷。入ってから1stタッチとなるFKで見事なアシストを決め、勝点を1から3に変えた。

 

 

個人的MOM

★ファン ソッコ

組み立てが安定したのも、崩しからチャンスを作れたのも右サイドから。ファンソッコは後ろでも前でもうまくボールに関わりながらポジションを変えて、ボールの巡りを円滑にした。加えて、貴重な決勝点を奪取し、数字でも結果を残した。

 

前半から多くの突破でチャンスを作りだした飯野、組み立てでの自由なポジション取りでビルドアップに変化を加えた堀米、久々の出場ながら価値のある決勝アシストを決めた森谷も好評価。

 

監督コメント

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ 川井 健太監督 ]
本当にファン・サポーターの皆さんに勝点3を届けられてうれしく思います。連戦のリーグ戦は最後というところで、前節、前々節の引き分けというものをポジティブに捉えられる勝利だったのではないかと思います。

--ファン ソッコ選手のゴールで勝利となりましたが、評価を。
非常によくやってくれたと思います。高さのある相手に対してもファイトしてくれましたし、1点目の起点にもなってくれて、最後は仕留めてくれて、守備でも統率してくれたと思いますので、本当に良いパフォーマンスを出してくれたと思います。

--決勝ゴールは森谷 賢太郎選手のアシストでしたが、直前に投入されました。どんな指示を与え、どう評価しますか?
彼(森谷)はスペシャルな右足を持っていますので、あのタイミングで入れたかったです。彼の力、ソッコの決め切る力、あとはやはりいまセットプレーでも点が取れてきているので、相手も誰にマークをつけばいいのかという。田代(雅也)が得点を重ねる中でちょっとずつ(相手のマークが)ズレてきたかなと思います。ただ、本当にキックが良かったですね。

--ハーフタイムに「前半は良いパフォーマンス、これを続けること」と指示されていますが、前半良かったところは?
まずファイティングポーズをしっかり取り続けたところが良かったと思います。G大阪さんは1週空きましたが、(中3日の鳥栖の)コンディションはやはり良くなかったと思います。ハーフタイムにああだこうだ言うことは可能ですけど、選手たちを信じて「このメンタリティー、このファイティングポーズの取り方ならおそらく今日は勝点3を取ることができる」と思いましたので、あえてシンプルに「続けろ」と、それだけでした。

 

[ 片野坂 知宏監督 ]
アウェイの鳥栖戦でこういう結果になったことは非常に悔しいです。いまのチーム状況でいろいろ厳しいところはありますが、なんとかリーグ戦の中断期間にしっかりともう一度積み上げていって、中断明けから勝利につながるゲームができるように。また中2日で天皇杯があるので、天皇杯で勝って中断明けを迎えられるようにやっていきたいと思います。

--昌子 源選手と一森 純選手がメンバー外になった理由は?
2人はケガです。

--藤春 廣輝選手を3バックの左で起用した理由は?
藤春は後ろからの攻撃で非常にパワーを持って入れるので。おそらくミラーゲームになるだろうと思っていて、裏を取られた瞬間に後ろに走れるだろうということで起用しました。

--後半の序盤は主導権を握りながら、その後、鳥栖に盛り返された要因は?
後半立ち上がりはパワーを持って入りチャンスを作っていましたし、押し込む状態にもできました。あの時間帯に得点を取り、そのあとにさらに取れれば違う展開になったと思います。鳥栖さんも連戦ですし、後半に運動量が落ちるだろうなとは思っていましたが、われわれのほうも久しぶりのゲームとなった選手がいました。疲労がたまってきたところで盛り返されたところはあると思います。選手は最後までなんとか粘り強く走ってくれたので、今後もそこはチームとして意識したいと思います。

 

2022 J1リーグ第16節 柏レイソルvs清水エスパルス メモ

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スタメン

柏は引き続きキムスンギュが欠場で佐々木が先発。スンギュは移籍の噂も上がっていた。升掛は代表活動により不在。ドウグラスが負傷離脱中。

清水はカルリーニョスがメンバー外で、中山、後藤、コロリがメンバー復帰。右SBは片山ではなく岸本を起用。髙橋と原が負傷離脱中。

 

流れ

柏がカウンターでゴールに迫る立ち上がり。

2-3分、細谷が中央から運んで左足ミドル。

清水が持って柏が構えながらカウンターを狙う構図。

6分、カウンターから小屋松の左足シュートまで。柏は奪ったらカウンターを徹底。

9分、鈴木唯のポケット進入。上島にカバーされたが、初めて良い位置まで入り込めた。

10分、柏のビルドアップ。3-1でIHが下りてサポート。2トップを椎橋で止められるときはIHサポートでクッションを挟み、2トップが動いてきたら椎橋がその背後で受けようとする。

12分、柏先制、1-0。柏が徐々に保持の時間を増やしていた中、左での作りからサヴィオの個人技でゲット。清水はブロックに入っていたが、サヴィオの切り返しとフィニッシュ精度の高さが上回った。

14分、岸本の左足インスイングクロスにサンタナがファーで合わせるも枠へ飛ばせず。サンタナの強みを出せた良いシーン。

14分、柏が右でのコンビネーションからサヴィオがスペースに抜け出すも清水が対応。

16~17分、山原の運び出しから逆へ展開して岸本のクロス。サンタナという明確なターゲットがいるため、清水はシンプルなクロスの回数を増やせると得点の可能性も高まってくる。

19分、サヴィオとの連係で前へ出た大南からのクロスは小屋松に合わず。柏は保持からでも非保持からでもチャンスを作れている。

清水は相手3バックとアンカーを前4枚で見る守り方。

柏は大南とサヴィオの連係を軸に右から打開を図るシーンが多くなっている。

清水は前からプレスは掛けに行っているが、効果的な制限は掛け切れていない。

22分、CKを上島が合わせるとポストをたたき、椎橋が押し込みに行ったが枠外へ。椎橋は意表を突かれて対応しきれなかった。

23分、飲水タイム。ここまでは完全に柏ペースで、清水は保持でも非保持でも思うような形が作り出せていない。柏は先制点こそサヴィオの質で生み出したものだが、チームとしてもうまくゲームをコントロールしながらチャンスを作りだせている。

清水はCB→サイドへのパスで一気に圧縮を掛けられて詰まるシーンが頻発している。柏としては自分たちの守り方に引き込めている。山原が個人での剥がしや素早いパスワークで抜け出せそうな雰囲気を出しているが、逆に言えばそこしか突破口が見えない。

32分、清水は持つ位置が少しずつ上がってきたか。ただ、そうなると柏のカウンターに出られるスペースを与えることにもつながるので、リスク管理も気にしなければならない。

33分、清水の自陣でのロストから柏がカウンター。小屋松の運びをつぶしにいった立田が痛む。

38分、柏追加点、2-0。清水のロストから縦にダイレクトにつないで細谷が決め切った。清水は数分前にも見たような自陣でのロストで失点。常にカウンターを狙っているからこそ、古賀と細谷の反応の速さと質の高さがあったからこその柏のゴール。抜け目ないという言葉がぴったりの得点。

39分、サヴィオに後ろからチャレンジした山原に警告。

42分、CKから岸本のヘッドは佐々木がキャッチ。

42-43分、柏が中央での連係でPA内に混戦を作り出すも清水がかきだす。

45分、清水左からのクロス。サンタナがいるので怖さはあるが、柏DFも体を寄せて粘り強く対応できている。

46分、山原が左奥を取ってからクロス。

46分、清水が前からけん制を欠けたが、CB→椎橋の1本の縦パスで前進を許す。

柏はリードしている状況もあって、相手が出てこないのであれば無理に前へ出さないで後ろで回しながら時間を使う。

47分、のらりくらり回しながら一気にスピードアップする柏。清水は完全に柏の術中にハマる。

 

終始柏が支配した45分間。清水も何度かはクロスからゴールに迫れたシーンもあったが、保持も非保持も個人で違いが作れたときにしか良い場面を作れなかった。また、プレッシングの面でも誰がどこまで出ていけばいいのかの意思統一があまりはっきりできていない印象で、取りにいかないのであれば時間を使われ、取りにいけば空いたところから前進を許すといった悪循環。攻撃で違いを生み出していた山原も警告をもらうなど、悩みが多すぎた。

柏は立ち上がりから主導権を掌握し、サヴィオのゴールで先制したことにより、その色をより濃くさせた。相手の組み立てをサイドに誘導しながら圧力を強めたところで奪い、追加点もその流れから生まれたもの。清水が死なばもろともで出てきたときに押し返せるかは試されるところだが、いまのところは特に改善すべきところは思い当たらない。

 

 

後半

清水交代

西澤、中山→松岡、コロリ

清水保持時は松岡が2トップ間で待つ。

46分、左奥のスペースを細谷が抜け出して仕掛けからの折り返し。柏は一瞬で相手ゴール前まで迫れるスピード感がある。

48分、柏が敵陣でのパス回しから最後は三丸のクロスにファーへ飛びこんだ大南。DFの視野の外からうまく前に入り込んだが、きれいに当てきれず。

52分、右サイドでうまく崩して大南→小屋松→細谷と一手ずつ中央へ近づけていったがフィニッシュが枠外へ流れる。

53分、コロリがダイレクトに背後を抜け出し、GKを交わすところまではいったが、柏DFがカバー。

清水がコロリとサンタナを生かした攻撃で少し押し返し始める。

56分、トランジションから清水が前に出ていこうとしたところを戸嶋が止めてそのままミドル。清水は球際のところを1つ外せれば前へ出ていけそうだが、そこで1つ外せる選手や連係がまだ見られない。

57分、柏追加点、3-0。ショートコーナーのクロスから混戦でこぼれてきたところを大南が素早く反応して押し込んだ。

59分、清水交代

サンタナ、岸本→オ・セフン、片山

61分、清水のロストから柏のカウンター。清水は前半から右での意図が合わないパスミスが頻発している。

62分、大南の右からのクロスに小屋松がつぶれてファーでフリーの戸嶋が合わせるも枠外。やや難しいバウンドだった。

63分、清水得点、3-1。鈴木義のフィードから三丸との競り合いを制した片山が個人でシュートまで。最後はニアを強烈なシュートで打ち抜いた。個人の質で上回って挙げたゴール。

67分、清水が保持の時間を伸ばしていたが、トランジションから下りる細谷に起点を作られる。清水はCBがつぶしに出てこないのはなぜ?細谷の背後狙いを警戒している?

68分、清水が敵陣での奪取から白崎→コロリでゴールへ迫るが、最後のところがギリギリ合わず。

69分、飲水タイム。やや清水も敵陣での攻撃の形を見せ始めているが、まだ柏の支配下という印象もある。

70分、右で前進してから山原→オセフンでフィニッシュまで。

71分、片山のフィードから一発でオセフンが背後へ抜け出して決定機を迎えるも佐々木が距離を詰めてブロック。佐々木は一瞬判断を迷ったが、うまく距離を詰めた。

72分、CKに片山が合わせるも力なくGK正面へ。

清水が危険なエリアに入れる回数が明らかに増えてきた。

清水は松岡を最終ラインに下げる3バック化でビルドアップ。

74分、清水交代

白崎→後藤

清水は2点ビハインドもあって、交代枚数を全て使い切る。

76分、トランジションからオセフンがポイントを作って前進。清水も全体の運動量を上げるのが難しくなっているため、保持の時間を長くして押し込むためにオセフンの収めは重要。

77分、サヴィオが座り込む。ケガというよりも疲労の影響か。柏も前線の選手に疲労の色が濃くみられる。

78分、柏交代

ヴィオ→ドッジ

79分、後藤が一発で背後に抜け出してシュートまで。高橋と佐々木のブロックで阻止。オセフンの抜け出しとまったく同じパターン。柏は前線のプレスが緩まっている分、背後のスペースを使われやすくなっているか。

80-81分、左奥のスペースに後藤が抜け出して、クロスをファーで宮本が合わせるも枠外。合わせにくいバウンドだった。

83分、柏交代

戸嶋、細谷→大谷、森

柏は選手交代でエネルギー補給をしたあとは敵陣で過ごす時間を増やして押し返した。清水は数分前のようにガンガン敵陣へ入れなくなっている。

90分、柏交代

小屋松→真家

 

多くの時間で柏が支配し、内容からみて3-1と順当なスコアで決着。清水も後半の途中から押し返して1点は返したものの、何度かあったチャンスで追加点を決め切れずにいると、柏の選手交代で押し戻されてしまった。柏は連戦の影響もあってか終盤はかなり落ちた印象で、何度か連続で背後を取られるなどうまくいかない時間もあったが、そこまでで2~3点のリードを得られたところで勝負ありだった。

清水は後半の速い時間帯で3点ビハインドを背負ってしまってはメンタル的にかなり苦しい。終盤は同点へ向けた気概を見せられたとはいえ、そこまでの内容は大きな反省材料。どのようなプランを準備していたかは不明だが、どの局面においてもうまくいかなかった。

柏は相手のミスを抜け目なく突いた部分も含めて、完全に自分たちの土俵での勝負に持ち込めた。メンバー固定の影響による終盤の失速は気になるが、この試合のように早めにリードが奪えれば問題ないとも言える。

 

 

個人的MOM

★細谷 真大

得点は彼にしかできないような鋭い抜け出しから落ち着いたフィニッシュ。得点以外の部分でも、何度も起点を作り、カウンターの先鋒として機能した。いま彼を止められるDFがどれくらいいるのか。

 

細谷のゴールをアシストした古賀、タイトな守備で起点をつぶした上島、最後まで粘り強い対応を見せた高橋と守備陣も安定していた。前半から後半の始めまでサヴィオとの連係で右サイドを活性化させた大南、圧巻の個人技から先制点を挙げたサヴィオも好評価。

 

清水は自身の得点を含め、フィードからチャンスを演出するなど流れを変えた片山、前半から違いを生み出す存在として際立っていた山原が好評価。

 

 

監督コメント

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ ネルシーニョ監督 ]
今日の勝利というのは、今後のわれわれの戦いを続けていく上で意味のある勝利であり、勝点であったと捉えています。ここまで、なかなかホームゲームで思うように勝点を伸ばせていないというゲームが続いていましたが、今日についてはゲームの序盤から終盤まで、われわれが支配したゲームの内容になっていました。自分たちのテンポでボールを動かしながら、しっかりと支配できていたと思いますし、選手同士の距離感も良くて、サイドから中央から、いくつもの攻撃の形を作れたと思います。後半、ゲームの終盤に差しかかったところで、相手もロングボールを入れて空中戦に持ち込んできた。そういう時間帯になりましたが、そこもウチのディフェンスラインが持ちこたえてくれて、大崩れすることなく、最後までやれていたと思うので、そこはチームとして評価できる部分だと思います。

--中盤戦を迎えて、チームとして狙っている攻撃の成熟度はどうか?
そこに関しては私自身も満足していて、アタッカー陣が思うように得点を決めることができない、もしくはチームが勝てない状況が続いたときには、外野から批判的な声を受けることが多い。その中でも選手たちはしっかりとトレーニングを積んできてくれましたし、少しでも自信を持ってゲームに臨めるように、少しでもゲームの中での判断が正しく行えるように、そうした細部にこだわって、こちらの要求に対してトレーニングに励んでくれました。彼らが真摯にトレーニングに向き合ってくれている成果だと思いますし、点が入るときも、入らないときも、周りの声を気にすることなく、彼らがしっかりと取り組んでくれた結果だと思います。前節に続いて今節も得点が入りましたが、これはトレーニングがここまでうまく機能しているという、こちらのセッティングもありますし、それに対して選手たちが真摯に向き合ってくれているという、チームとして1つ出せた結果だと感じている。

--細谷 真大選手は、第13節・G大阪戦でも前々節・FC東京戦でも同じようなシーンを決められなかったが、ネルシーニョ監督から働きかけはあったか?
彼に限らず、選手たちとは対話をすることを大事にしています。真大は若く、将来性のある選手ですし、だからということではありませんが、毎試合毎試合終わったあとには映像を見せて、何がうまくいって、何がうまくいっていないかという細部を改善していこうという取り組みはこれまでもずっとやってきている。この間のゲームから彼に声をかけたことというと、ゴール前ではより積極性を持ってフィニッシュにいこうと。細かいことを言うといろいろありますが、うまくいっていないことに関しては、しっかりと振り返って、それに対して正しくアプローチしていく。そのプロセスの繰り返しだと思っているし、彼自身、こちら側がアドバイスしたことに対してよく聞いて、謙虚に受け止めてくれているので、それを彼自身が改善しようと意識を変えたことによって生まれている得点だと思っています。

 

[ 平岡 宏章監督 ]
残念な結果になってしまいました。この前の試合(前節・FC東京戦)から先発を3人替えて、1つは流れを変えたかったのと、もう1つは後半ギアが上がらないというチームの課題があったので、松岡(大起)は先発でも良かったのですが、後半に入れてギアを上げるということで、松岡を今回は後半からという形にしました。その前に、イージーなボールロストから流れをつかまれて、相手の伝家の宝刀であるカウンターを何本か受けているうちに失点してしまったことは悔しく思います。しかし、後半に入って途中から出てくる選手たちがギアを上げて最後までゴールを目指して頑張ってくれたことに感謝していますし、サポーターも最後まで応援してくれたことに対して感謝しています。

--西澤 健太選手、岸本 武流選手がリーグ戦初先発になったが、2人に託した役割は?
武流に関しては、背後への飛び出しだったり、クロスなど攻撃の精度が高い選手で、実際、前半はそこから何度かチャンスがあったと思います。西澤に関しては左で(山原)怜音との関係でうまく作ってもらいたかったというところがありました。マテウスヴィオのところはやっぱり怖いので、そこをうまく消しながらというのをやってもらいたかったのと、左でうまく連動しながら、ウチが得意とするカットインからのクロスとか、左からの崩しを2人でやってもらおうと思っていました。あと1つは、カルリーニョス(ジュニオ)がこの間の試合でケガをしてしまったので、大きなケガではないが、そこで少し計算が狂ったところはあります。

--後半の裏を狙った攻撃は、ハーフタイムに修正しようとしていたところか?
試合前から相手の背後を狙っていこうという話をしていたし、得点シーンはウチが常にトレーニングでやっていることで、良い形でエイちゃん(片山 瑛一)がうまく抜け出して得点を決めてくれたと思っています。

--連係がうまくいかなかったと思うが、どのように見ているか?
連係のところもあるし、私自身が彼らを思い切ってピッチに送り込むところができなかったのかなと反省しています。

カルリーニョスは負傷による欠場であったと明言。

2022 J1リーグ第16節 ジュビロ磐田vs横浜F・マリノス メモ

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スタメン

磐田は前節負傷した山本康がメンバー外で鹿沼が先発に。また、杉本、伊藤、山本義、大津が古巣対戦。その他、山田、高野、小川が負傷離脱中・

マリノスはロペスが出場停止。連戦で出ずっぱりだった小池龍がメンバー外。前節で負傷交代した喜田がメンバー外。エウベルは引き続き負傷離脱中。

 

流れ

マリノスが持って磐田が構える序盤。磐田はミドルゾーンで構えて、入ってきたところを迎撃するような形。

マリノスの非保持は高い位置からプレスを掛けて全体を押し上げていくいつものやり方。

磐田は鈴木が通常よりも前目にいる印象で4-5-1気味にしているか。

10分、自陣でのビルドアップで鹿沼→松本でプレス回避する磐田。

10分、前からきた磐田に対して、セアラの背後狙いで一気にスペースを突こうとするマリノス

磐田はWGが外切りプレス。特に鈴木の右サイド。IHがボランチを捕まえる。

13分、背後へ抜け出した仲川からのラストパスを受けたセアラがゴールへ流し込んだがオフサイド。プレスに来る磐田への対応としては完璧な崩し。

マリノスは相手の外切りを外してSB位置に届けられればプレスは回避できる。また、スペースをもらえるならシンプルに背後を狙っていく。

15分、背後へ抜け出しかけた西村とグラッサが接触してしまい、マリノスPA手前でFK獲得。マリノスは相手の出方を見ながら流動的に動いて穴を見つけ出そうとしている。磐田はプレッシングメインのプランで出てきたが、ここまではマリノスの対応力のほうが1枚上手。

19分、永戸のクロスにセアラが飛び込むも合わず。磐田が中盤を固めながらうまくけん制をかけていたが、1~2分経つとマリノスが中央にポイントを作りながら前進し始めた。

24分、トランジションから水沼のシュートまで。

24-25分、マリノスのプレスに押しつぶされた磐田が三浦からタッチへ切る。磐田は保持の落ち着きどころがなかなか見つけられない。

28分、渡辺のターンからの配球で一気に前へ進むが、仲川→永戸のところでうまくつながらず。マリノスボランチ2枚のテンポ作りと、ポイント作りがかなり効いている。

30分、渡辺のアウトサイドパスで抜け出した松原からのクロスに西村が合わせるも枠外。セアラも飛び込んできていた。

マリノスは組み立て時にハーフスペースやサイドからバイタルに縦パスを打ち込む攻め方が増えてきている。

34分、上原が背後を取ってゴール前に出てきていたグラッサに届けるも、惜しくも合わず。つながっていればシュートチャンスに持ち込めていそうだった。磐田は初めてくらいの惜しいシーン。

38分、磐田が自陣でのパスミスをおかし、セアラがかっさらってそのままPA内まで入り込むもシュートまでは行けず。磐田は致命的なミスだったが、命拾い。セアラは判断がやや遅れたか。

39分、西村のミドルは三浦が好セーブ。枠内の良いコースへ飛んだように見えたが、横っ飛びで阻止。

41分、永戸のクロスにセアラが飛び込むも磐田DFがブロック。

磐田はうまく守備の網に引っかけられるシーンもあるが、そのあとにつなぐ判断が遅れてマリノスのカウンタープレスをもろに受けてしまうケースが多い。

45分、藤田の縦パスからセアラが抜け出しかけるもシュートまでは打ち切れず。磐田DFの寄せに対して我慢しきれないシーンが何度かある。

 

マリノスが圧倒した45分だったが、スコアは0-0。磐田も安易にラインを下げないようにしながら、決定的なチャンスは作らせずに我慢し切った。磐田としてはもう少し保持で時間を作ったり、非保持からカウンターに持ち込みたかったのだろうが、マリノスの保持の対応力の高さが上回った。ただ、その中でも最後のところをやらせずに無失点で抑えたことは好材料。後半の45分でどのように勝点を取るかの選択肢はいくつか残せた。

マリノスは積極的な縦パス等、リスクのある攻撃を仕掛けながら、失ってもすぐに回収することでゲームをコントロール。即時奪回の計算が立っていたことで、より攻めの選択肢を選ぶことができ、その上で試行回数を増やしてゴールへ迫った。

DAZN集計では、磐田はシュート0。アタッキングサイドは中央が4%とかなり偏った値。

 

 

後半

前半よりも磐田が保持の時間を作れているが、マリノスの圧力を抜け切れてはいない。ただ、背後のスペースを使えそうな雰囲気は見えてきている。

52分、右サイドでの連係から深い位置を取った鈴木からの折り返し。バイタルに送ったが、中と意図が合わず。磐田が着実にペースを引き寄せ始めている。

54分、マリノス先制、0-1。右大外からの松原のクロスにセアラがDFを引きつけてファーを空け、フリーの仲川がしっかり決めた。マリノスはあまり良くない流れの中で先制成功。磐田は後半で押し返し始めていた時間での失点。

56分、鈴木と福島主審が衝突。福島主審は守備に入った渡辺に押される形で挟まれた。

審判の通信機器のトラブルによって一時中断。

61分、磐田のプレスを右サイドのコンビネーションできれいにはがすマリノス

62分、マリノス追加点、0-2。自陣できれいにプレスをはがした流れから、仲川のクロスにセアラが合わせてゲット。

磐田は3枚替えを準備していた中で2失点目を喫してしまった。

63分、磐田交代

杉本、山本義、鹿沼→ゴンザレス、吉長、大津

ゴンザレスと大津の2トップで4-4-2に変更。吉長が右SHに入り、鈴木が右SBへ。

66分、マリノス交代

仲川→宮市

磐田の保持に対して圧力を高めて奪いに行くマリノス

70分、大津が右からクロスを送るも、戻ってきた水沼がファーでクリア。互いに激しさを増していく中、球際の勝敗がそのままチャンスに結びつくような展開。

70分、磐田交代

大森→金子

72分、永戸のCKが中央でバウンドし、セアラが低い位置で頭に合わせたが枠外。

72分、マリノス交代

セアラ→吉尾

吉尾がトップ下に入って、西村が1トップへ移る。

74分、連続トランジションからゴンザレスが回収して上原のシュートまで。磐田は74分にして初シュート。

78分、金子の仕掛けからコントロールショット。両チームとも縦に急ぐ傾向があり、オープン気味になってきている。

大津は右に流れて受ける場面が多い。

80分、大津のシュートのこぼれ球からゴンザレスがシュートも高丘がビッグセーブ。マリノスのエネルギーが若干落ちてきていることもあって磐田が安定して敵陣へ入れるようになってきた。

82分、磐田交代

遠藤→ドゥドゥ

マリノス交代

渡辺、水沼→畠中、樺山

マリノスは畠中をCBに入れて岩田をボランチへ上げる。

85分、松本のインスイングクロスにゴンザレスが合わせるも枠外。磐田の敵陣での保持で攻める時間が続く。マリノスも保持で押し返しを図るが、なかなか前進できず、持つ時間も増やせない。

88-89分、ゴンザレスが岩田を引きずりながらゴール前まで進入したが、後ろから寄せられて打ち切れず。岩田に止められたところ、角田に後ろから詰められたところの2カ所でファウルがありそうだったが、VARのチェックの結果、おとがめなし。岩田と角田にはドグソ(角田のほうはPKも)の可能性があったので、マリノスは命拾い。

93分、敵陣で奪ったゴンザレスがそのままシュートも高丘の正面。

 

終盤は磐田が攻勢を強めて押し込む時間を作ったが、マリノスが無失点でしのいで勝利。磐田は選手交代などでギアを上げたが、3枚替えの前に2点ビハインドを背負ってしまったことが痛かった。会場の雰囲気を変える1点が取れれば試合の行方は分からなくなっただろうが、高丘の好守にもはばまれる。また、1stシュートが70分を過ぎてからだったことも試合を難しくした一因。良い流れを作った中での2失点もメンタル的にきつかったはず。

マリノスは前半は完全に圧倒。後半は押し返されたものの、一発で刺しきれる強さはお見事。受ける展開になってもカウンターの脅威を残せている時間は長かった。3点目を取って息の根を止め切れれば理想的だったと思うが、それが実現できる可能性を見せただけでも十分な強さは感じさせた。

 

 

個人的MOM

★藤田譲瑠チマ

渡辺とともに中盤を完全に支配。守備での切り替えの速さはもちろん、保持時の落ち着きやポジション修正の速さ、終盤になっても披露を感じさせないプレーでゲームコントロールに貢献するなど、マリノスのサッカーを体現し続けた。

 

1ゴール1アシストの仲川、上述の藤田と同様にゲームコントロールの面で存在感を見せた渡辺、相手に反撃のきっかけを与えなかった高丘も好評価。

 

 

監督コメント

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ 伊藤 彰監督 ]
ホームで勝点を稼げなかったことはファン・サポーターの皆さんに本当に申し訳なく思っております。

ゲーム内容は、われわれが劣勢になることは始まる前からある程度準備してきて、どれだけ無失点の時間を長くできるか。まずはそういう取り組みの中で入りました。しかしゴール前を守るだけではなく、前線からプレッシャーを掛けるところと、われわれのミドルゾーンでしっかりとボールを奪いにいくところ。そこはある程度、選手たちがわれわれスタッフの考えた戦術をすごくやってくれた。前半に危ない場面もありましたけど、しっかりと(無失点で)抑えられたことで、後半に少しの修正でもっと前へ行けるところもあったので、修正を加えながら相手のプレッシャーをはがしていこうと。そこを後半に失点をするまでは、選手たちがすごくやってくれました。選手たちがチャレンジしてくれたことが素晴らしかったと思います。

ただ、1失点目も2失点目も、相手のストロングでやられたところはわれわれの力がなかったところだと思います。両サイドのスピードある選手にサイドを突破され、クロスのところも横浜FMさんの50%から60%がクロスからの得点という中で、抑え切れなかったところは力のなさだと思っています。それをしっかりと追いつけるように1つずつ積み重ねていかなければいけない。しっかりと自分たちに目を向けながら、次の中断明けの鳥栖戦に向けてやっていきたいと思っています。

--守備時は[4-3-3]でスタートしました。狙いを教えてください。
まずはボール保持者にプレッシャーを掛けたかった。どうしても裏の対応で引いてしまうと、良い状態でボールを運ばれてしまう。ゴールからできるだけ遠いところでプレッシャーを掛けたいところがありました。[4-3-3]にすることで1つ前でプレッシャーを掛けられるところで良い場面もありましたし、逆に危ない場面もありました。やりながらも、もっとクオリティーを上げていかなければいけないと思っています。

--ボールを奪ったあとの攻撃で失う場面が多かった。ここはどう改善していきたいか?
まずは一番の課題です。修正は、日々の努力で改善していかなければいけない。一気に修正できるところではないと思います。技術はすぐには上がらない。そこはトレーニングで戦術的な立ち位置、奪ったあとの切り替えの早さが横浜FMさんは(今節を終えて)J1の首位にいるチームですから、そこがわれわれよりも一枚上手だったと思います。そこを追いつけるように、われわれも切り替えはもっと上げていかなければいけないと思っています。

コメント序盤のとおり、前半が苦しかった中、0-0で折り返せたことは好材料だった。そして「ゴールからできるだけ遠いところでプレッシャーを掛けたいところがありました」とあるようにいつもと違うシステムで臨んだ効果も発揮。しかし、切り替えからの保持を落ち着かせられなかったこと、五分五分のシーンで上回られて2失点を喫したことは改善しなければならない部分だろう。

[ ケヴィン マスカット監督 ]
素晴らしい結果でした。短期間での連戦で難しい状況の中、自分たちのサッカーを一人ひとりが表現し、見せてくれました。素晴らしい内容は今日だけではありませんが、中断前の最後の試合で素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたと感じています。

--相手が横浜FM対策として[4-3-3]の布陣できましたが。
相手が3バックと4バックのローテーションを組んでくることを想定し、事前から準備していました。強度高く、動じることなくプレーできたと思います。特に前半は試合をコントロールできたので、後半も「もっともっといける」と動じませんでした。

--勝ったことで首位に浮上しました。
他会場の結果は知りませんでした。今日のようなパフォーマンスをしていれば、勝点3はおのずと自分たちのものになります。リーグ戦は中断に入りますが、水曜日には天皇杯があります。そこへ準備することが大事ですし、まずはリカバリーして臨みます。

--先発メンバーに入っていたエドゥアルド選手が試合前にメンバー外となりました。何があったのでしょうか。
彼だけでなく、小池 龍太も昨日体調不良となり、試合前にいろいろな判断を下しました。エドゥアルドに関しては、アップ中に足に違和感を覚えたため、リスクをとりませんでした。(替わりに出場した)角田(涼太朗)を含め、ピッチに立った全員が集中して良いサッカーをしてくれました。

メンバー外だった小池龍は休養ではなく、体調不良だった模様。また、エドゥアルドがアップ中に負傷していたとのこと。

2022 J1リーグ第16節 湘南ベルマーレvsセレッソ大阪 メモ

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スタメン

※湘南は20分あたりから大岩と舘の位置を入れ替えた

 

湘南は前節負傷交代の山本に代わり舘が先発。岡本が負傷離脱中。

セレッソは西尾が負傷により欠場。前々節で負傷し、前節メンバー外だった鳥海が先発に復帰。北野が代表招集によって欠場。メンデスが負傷明けでメンバー入り。

 

流れ

1分、左で作ってコンビネーションから中央突破を図る。

湘南はいつもどおり、ミドルゾーンで構えて入ってきたところを迎撃していく守備。

5分、パトリッキが抜け出してシュートまで持ち込むも谷が足でブロック。

セレッソが持って湘南が受ける大枠の構図。

湘南から見て向かい風が吹いている。湘南側は浮き球が気持ち押し戻されているように見える。

9分、山中のミドル。

9分、山中→タガートの落としに清武がシュートも湘南DFがブロック。セレッソは湘南の最終ラインを横にずらしたところに斜めのランニングでギャップをうまく取った。

13-14分、ジンヒョンのミドルパスでプレス回避。

互いに前プレで深追いしすぎず、後方に大きなスペースを作らないように意識している。そのため、プレスを受けた際は後ろに人数を割けば回避できるようなイメージ。

15分、石原が個人でマーカーを外し、クロスまで持ち込んで大橋。角度がなく難易度高めだった。

16-17分、セレッソ先制、0-1。毎熊のプレスで敵陣で奪い、毎熊、清武、タガートの3人でショートカウンター完結。毎熊の正確なクロスにタガートが落ち着いて決め切った。湘南はマリノス戦と似たような形で自陣でのミスから先制点を献上した。

セレッソが持つ展開は変わらないが、少しずつ湘南がブロックでかけられるようになってきた印象。セレッソは中盤を流動的に動かして変化をつけようとしているが、湘南は構造上、人の動きにそこまで惑わされない。

20分あたりからCBの配置を大岩真ん中、舘右に変えた?

22分、セレッソがCK守備からロングカウンター。パトリッキが一気に出ていくも、湘南DFがうまく対応。舘だったか。

25分、CBにSHを押し出していくセレッソだが、下りるWBにSBがスライドしてこないので、大外でプレス回避を許す。

26分、飲水タイム。

セレッソがボールを持って湘南が受ける構図が続く。セレッソは立ち上がりこそシュートを増やしていたが、だんだんと敵陣の深い位置までは入れなくなっている。ただ、先制できたので、ボールを持ってコントロールできればいいという考え方も持てる。

29分、石原のミドルはジンヒョンがセーブ。湘南が飲水明けから前への圧力を強め、敵陣でのプレータイムを増やしに来ている。

33分、町野の振り向きざまでのシュートはポスト直撃。マークもいて難しい状況だったが、うまく意表を突いてシュートまで持ち込んだ。湘南は前プレから奪って効果的に攻撃へ出られている。

35分、パトリッキが座り込み、一時中断。足首あたりを気にしているように見える。

→パトリッキはプレーに復帰。

37分、クイックリスタートから大橋が抜け出してシュートまでいくも枠外。結果的にオフサイドだったが、リプレイで見ると非常に微妙だった。決めていれば認められていたかも?

40分、直近15分のデータでは湘南が圧倒。飲水タイム明けは湘南が敵陣でのプレータイムを増やして完全に主導権を握っている。

町野の直接FKはバー直撃。

45分、舘が追い越して畑を空け、アーリー気味に入れたクロスにタリクが飛び込むも枠外。クロスまでの流れは良かった。中央に明確なターゲットマンはいないので、高いボールを入れるよりも、スペースで合わせる必要がある。

 

序盤はセレッソが保持からリズムを作り、ショートカウンターで先制に成功するも、スコアが動いたあとは湘南ペース。ミドルゾーンで構えるいつもの守備から、飲水後は一気に前からの圧力を強めて敵陣へ押し込んだ。セレッソとしては敵陣にスペースがもらえる状態ともとらえられるが、そこを生かせる攻撃は繰り出せず。湘南は勢いそのままに惜しいシュートチャンスを何度か作った中で決め切れなかったことが悔やまれる。

 

 

後半

セレッソ交代

パトリッキ→為田

パトリッキは前半途中に足を痛めた様子があったので、その影響か。

45分、背後へ抜け出したタガートがすべりながらシュートも谷が抑える。

53分、湘南2トップが押し上げに来たのに対し、ヨニッチが運んで清武へ縦パス。ファウルで止められたが、一気にスピードアップに持ち込めそうだった。湘南は前から行ったときには中盤にスペースが生まれやすいので、いかにプレスでパスコースを消せるかが肝。

後半はセレッソが保持からリズムを作れている時間が多い。

58分、湘南交代

大橋、タリク→瀬川、山田

湘南はやや劣勢な展開になってきたので、エネルギーを上げられる選手の投入で押し返したい意図か。

60分、畑のハイクロスをジンヒョンが触れずにファーまで流れると石原が飛び込む。

63分、池田の切り返しからの左足ミドル。瀬川が少しだけ触ってコースを変えたが、ギリギリ枠外。ジンヒョンは意表を突かれた形だったが、命拾い。

64分、セレッソ交代

タガート→メンデス

セレッソは守備の重心が下がり気味になってきていたので、前線のエネルギーを上げに来たか。

ジンヒョンのスローを戻った畑がカットしてショートカウンターを狙うも少し合わず。一気に湘南のペースに傾いてきた。

69分、飲水タイム。

70分、湘南交代

町野、池田→茨田、ウェリントン

湘南が前がかりになって、いくらかバランスを崩しているのを見て、セレッソは手数を掛けずに攻め切る攻撃を狙う。

湘南はウェリントンを生かして押し込んでいくが、セレッソも我慢を続けながら一刺しで2点目を狙っている。

78分、毎熊に警告。

湘南が球際の攻防で上回り、敵陣へ押し込む。

80分、セレッソ交代

清武、毎熊→加藤、中原

81分、湘南交代

石原→高橋

湘南がシンプルにウェリントンを狙ってボールを入れるため、ヨニッチとウェリントンと競り合いが増加。

85分、セレッソ交代

山中→舩木

湘南はクロスとセットプレー祭り。セレッソは我慢の時間が続く。

87分、セットプレーの流れからこぼれ球で湘南にチャンスが訪れるも、セレッソDFが決死のブロック。

セレッソは奪ったあとは色気を出さずにタッチへ逃げる。時間を使って1点を待見り切るプラン。

93分、セレッソ追加点、0-2。中原が個人での突破から谷にプレッシャーを掛けて蹴らせると、加藤が回収してそのまま無人のゴールへ流し込んだ。セレッソは自陣で我慢の時間が続いていた中、押し返したタイミングで勝負を決定付ける追加点を決める最高の流れ。

 

湘南の猛攻を耐え切ったセレッソが逃げ切って勝利。交代で入ってきた選手のエネルギーが最後に価値ある追加点を生み出したことも大きかった。湘南がパワーを高めてきたタイミングでなかなか押し返せなかったことで苦しくなったが、難しい展開の中でも我慢が利いて無失点で抑えられたことはポジティブにとらえていいだろう。ただ、理想はボールを握ってゲームを支配することだと思われるので、内容としては改善の余地があるとも言えるかもしれない。

湘南はまたしても序盤のミスで先制点を献上。悪くないゲームをしている中で自分たちで自分たちの首を絞め、勝手に苦しくなっていくゲームが目立つ。また、前半の25分以降は一気に主導権を握って攻め、質の高いチャンスも作れていたので、そこで最低でも同点に追いついておきたかった。複数得点での2連勝後にまたしても決定力不足が課題に挙がる試合になってしまった。

 

 

個人的MOM

★マテイ ヨニッチ

苦しい時間帯を無失点でしのげた最も大きな要因が彼の力強さだろう。ゴール前の強さと粘りで湘南攻撃陣に自由を与えず、ウェリントン投入後には五部以上の競り合いを見せて渡り合った。

 

トピックス

パトリッキが負傷交代?足首あたりを気にしている様子があり、ハーフタイムで退いた。

 

監督コメント

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ 山口 智監督 ]
立ち上がりから引けた戦いになってしまって、非常に残念な結果になりました。前半の飲水タイムを終えてからは自分たちのところを少しずつ出せたと思いますけど、点を取られてからはいまのチーム状態では難しいところもあったので、それは自分自身すごく反省しています。

後半に関してもクロスの質や入り方であったり、迫力だったり、クロス一辺倒でないところの課題が出ました。2点目に関しては攻めている中であげたくない、信じられないような失点になりました。非常に残念な結果と立ち上がりと必然的な負けになってしまったのかなと思います。

--試合の入りが最近では珍しく良くなかった印象ですが、その原因は?
単純に選手の出す覚悟が足りなかったと思います。試合に入る前にも「暑さや疲労がある中でどれだけできるか」と要求した中での形でした。僕自身がまだまだ足りないと思いましたし、点の取られ方もミスでしたけど、あっさりとやられてしまった。なんというか、原因というよりも選手の覚悟が足りなかったと思います。

--好調を維持するために必要なことは?
今までの結果に関しては考えていないので、今日の試合に対して自分たちが出せなかった情けなさは僕自身あります。試合前にも「勝っているから勢いとかそういう話でなく、自分たちにできることをどれだけ愚直にできるか」という話をした中でのあの立ち上がりだったので、自分自身まだまだ甘いと思います。そういうところはベースとなる部分なので、自分自身の力のなさを感じました。

 

[ 小菊 昭雄監督 ]
良い守備から先制点を取れて、理想的な立ち上がりでした。そこから相手に少し流れを持っていかれた中で、ハーフタイムでもう一度守備のところを確認しました。全体で我慢強くプレーすること、相手が前から攻守に矢印を向けてくることは予想できましたので、浦和戦と同様、耐える時間帯は耐える、前からハイプレスを掛けるときは全員で連動して奪いにいく。そこを徹底しようと。選手たちはこの連戦の中、この暑さの中、タフなゲームだったのですが、全員が思いを1つに戦った結果、追加点、勝利につながったと思っています。

--後半の終盤は特に耐える時間帯が続いたが、後半のプランについて。
当然、試合の中ではわれわれの流れ、湘南の流れと波があるわけですが、この試合だけではなく、この3連戦、自分たちがキャンプでやってきた攻守の引き出しの中で、どの引き出しを全員で共有して使うのか、全員が同じデザインを共有できています。だからこその3連勝だったと思います。

今日の試合も後半、相手は前に人数をかけてくること、高さのあるウェリントンを入れてくることも想定していました。そのときにしっかりはね返すことを徹底できれば、(攻撃では)同数で広大なスペースができることも想定済みでした。浦和戦と同様、このような勝ち方ができたのは選手が自信を持って、全員で(プランを)表現できている、ゲームをコントロールできているからだと思います。

--クロスをはね返し続けたマテイ ヨニッチ選手について。
ヨニッチはいろいろな意味で、リーダーシップも含めてキーマンです。日々のトレーニングから素晴らしい準備、姿勢を表現してくれています。攻守に大切な選手だと思いますし、これからもリスタートの攻撃も含めて、結果を出してくれると思っています。

--今日の結果、首位との勝点差も詰まったが、中断明けのリーグ戦への抱負について。
選手たちには「上位争いをしていこう」と伝えてきたのですが、前節の浦和戦に勝って、「優勝争いに絡んでいこう」と伝えました。そのためには今日の湘南に必ず勝たないといけない中で、粘り強く戦い、選手たちの頑張りで優勝争いの権利を勝ち取れたことをうれしく思います。日々のトレーニングを精一杯やることを大切に、これからもやっていきたいと思います。

 

2022 J1リーグ第16節 ヴィッセル神戸vs北海道コンサドーレ札幌 メモ

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スタメン

 

神戸は橋本が先発。大迫がメンバー復帰。藤本、佐々木、サンペール、槙野が負傷離脱中。

札幌は福森が出場停止。興梠、小柏、高嶺、菅野、田中駿、大谷らが負傷離脱中。

 

流れ

神戸は汰木が右で小田が左。

神戸は主に武藤のスイッチでラインを押し上げて高い位置からプレスに出ていく。札幌に簡単に前進を許さない構え。

札幌はいつもどおり人を合わせながら前から追って回収を図る。宮澤と武藤のマッチアップがカギを握りそう。

4分、ルーカスのクロスをファーで菅が合わせるも神戸DFがブロック。神戸は中央を閉めるので、札幌の外→外攻撃は効果的。

神戸が比較的落ち着いてゲームをコントロールしようとしているのに対し、札幌は店舗を上げようとしている。神戸に陣形を整えられると面倒なので、素早く攻め切りたいということもあるか。

8分、ルーカスのアーリークロスに駒井が飛び込むも枠へは飛ばせず。序盤は札幌がシュートチャンスを作っていく展開。

11分、酒井が1人外して左サイドを突破。札幌の構造上、神戸は1枚外せればチャンスを作りやすい。

12分、札幌は深井と荒野の2枚を下ろして3バックビルド。神戸の2トップ脇をのぞく形。

神戸は立ち上がりこそハイプレスを掛けていたが、10分前後からライン設定を下げ、受ける展開を許容するように。札幌は縦のスピード感があるので、そこでゲームスピードが上がってしまう展開をきらったかどうか。

16分、神戸先制、1-0。CKのこぼれ球をバイタルから蹴り込んで決めた。中野はややブラインド気味だったので、少し反応が遅れてしまったかもしれない。

18分、金子が右ポケットで持って仕掛けから折り返しを送るも打ち切れず。最後は前川がキャッチ。札幌も惜しいところまでは来ている。

3枚気味で回すことが多くなった札幌。2トップ脇から運んで中盤の選手の間を通そうとしている。それに対して神戸もCBが迎撃の準備を整えて潰しにいっている。

21分、武藤の起点をつぶした岡村に警告。屈強なFWに最も対応できそうな岡村への警告は痛いと思うが…。

24分、ワンツーで抜けようとした青木を止めた菊池に警告。札幌の岡村と同様に、神戸も潰しのキーマンになりえる菊池に警告。

神戸は自陣撤退時には、武藤を最前線に残した4-4-1-1のオーガナイズ。

30分、菅のクロスのこぼれ球をルーカスがボレー。札幌はサイドで深い位置を取ることはできているが、中央のより危険なエリアでシュートを打つことはできていない。

32分、神戸が自陣から一気にスピードを上げて武藤→汰木で抜け出すも中野がカバー。

33分、岡村が、カウンターに出かけた小田を止める。岡村は警告を受けているので、やや危ないプレー。

神戸は守備でゲームをコントロールしながら、前線のスピードを生かしたカウンターで追加点を狙いに行くプラン。

37分、中盤で奪った神戸のミドルカウンター。武藤、小田、汰木で完結しに行ったが、武藤→汰木のパスがつながらず。

札幌が持つ時間が続いているが、ライン間で受けたり、エリア内でシュートを打てたりするシーンはほとんどなく、神戸としては自陣で受ける展開でも問題ないと思って進められていそう。

46分、岡村がバックドアで右ポケットに進入し、折り返したが神戸がはね返す。神戸の得点後で言えば、一番惜しいシーンだったかもしれない。

 

ボールを持って多くの時間で攻めたのは札幌だったが、ゲームを支配したのは神戸。「1点さえ取れれば無理に攻める必要はない」とばかりに自陣でバランスを崩さずに守りながら、武藤を軸にカウンターを狙った。この展開を続けながらカウンターで追加点を奪えれば理想的な流れだろう。

札幌はボールを持つことは問題なくできるため、カウンターのリスク管理も考えながら、相手の組織を壊す一手を見つけなければならない。おそらく2点ビハインドになると勝点を取るのは相当難しくなる。

 

 

後半

神戸交代

小田→郷家

札幌交代

青木→オリヴェイラ

札幌はクロスのターゲット役としてオリヴェイラを入れて得点を狙う。

後半立ち上がりは神戸が再び前からプレスを掛ける。

49分、前からジワジワプレスにくる神戸に対してGK中野を加えて前進する札幌。神戸も立ち上がりは勢いよく前から追ったが、少しずつ重心を下げてきているか。

51-52分、神戸が左で作ってからクロスに郷家が合わせる。札幌DFも体を寄せて対応。

53分、オリヴェイラが中盤のプレスバックで奪ってからシュートまで。そこまで危険なシュートにはならなかったが、神戸は陣形が崩れた状態でシュートまで持ち込まれた。

54分、汰木が左サイドを抜け出してPA内まで入り込み、最後は武藤がシュートを狙うも札幌DFがブロック。前半途中からは割り切って守りを固めていた神戸だが、後半は札幌よりもチャンスの数も多く、質も高い。

58分、札幌同点、1-1。クロスを前川がファンブルすると、こぼれ球を拾って枠内へねじ込んだ。ポストに当たってギリギリ。神戸は問題なく守れていたように感じたが、個人のエラーが失点につながってしまった。

60分、大﨑に警告。札幌が得点の勢いのまま、圧力を強めている。

61分、神戸交代

イニエスタ→大迫

イニエスタは連戦で出っぱなしだったので、コンディション考慮か。

63分、神戸勝ち越し、2-1。ゴールに近い位置でのFKを武藤が直接合わせてゲット。神戸は意図せず形で追いつかれてしまったが、すぐにリードを取り戻せたことは非常に大きい。

65分、武藤を倒した深井に警告。

67分、郷家がミドルを狙うも中野がセーブ。枠内へ飛んでいた。

68分、神戸追加点、3-1。郷家のシュートの流れで得たCKから混戦を作り出し、最後は菊池が押し込んだ。1stシュートは中野が素晴らしいセーブを見せたが、それ以降を止めるのは難しかった。

70分、クイックリスタートから大迫のクロスでファーの汰木を狙ったが合わず。

71分、橋本との球際での競り合いで痛む荒野。橋本に警告。

72分、札幌交代

中村→シャビエル

73分、神戸追加点、4-1。汰木が左サイドを抜け出して折り返しを札幌DFに当たってオウンゴール。大迫が飛び込んだことで生まれたと言っていい。

75分、キックオフ直後のパスミスから大迫がかっさらってゴールへ向かったところをシャビエルが体ごと止めにいきファウル。ドグソで一発退場。シャビエルは入ったばかりで即退場となってしまった。札幌は前節の福森に続いて2試合連続の退場者。

77分、神戸交代

橋本→井上

80分、柔らかいクロスの落としにオリヴェイラが詰めるも前川の守備範囲。札幌は前節と同様に1人少ない中でも保持で敵陣まで入って攻める。神戸は守備を固めてクローズに入っているが、札幌の死なばもろともの攻撃を結果的に乗せてしまっている。

82分、神戸交代

大﨑→ボージャン

85分、武藤→大迫でシュートまで持ち込むも中野の守備範囲。

90分、武藤の折り返しでファーの汰木を狙うが、岡村がカット。右からの折り返しに汰木、のパターンは何度も狙っているが、札幌もそこは通させない。

92分、ボージャン→武藤→ボージャンで右ポケットを取って折り返しも中で合わず。

93分、ボージャンのミドルは中野がセーブ。ボージャンもアピールの意欲が高い。

 

リードを得た神戸が前に出ていく時間と自陣に撤退する時間をうまく使い分けながらゲームを支配。前川のファンブルによって同点に追い付かれたことで札幌にも流れが傾くかと思ったが、すぐに勝ち越したことで完全に流れを取り戻し、そこからセットプレーで畳みかけに成功。シャビエルの退場で勝負は決した。最近の失点はセットプレーか自陣でのミス絡みによるものがほとんどで、相手に崩されたものはほぼないと言っていい。守備面では自信を持ってやれているはず。鳥栖戦同様、1点でもリードを奪えれば自分たちの土俵に持ち込めることを示したような試合だった。

札幌はボールは持たせてもらえるという状況を受けてオリヴェイラを投入し、意図した形ではなかっただろうがそのオリヴェイラが得点。同点に追い付いたことでチャンスが見えたかに思えたが、直後の失点が痛すぎた。前節同様、1人少なくなった中でもチャンスを作れることは強みだが、セットプレーでの3失点は大きな反省材料。また、攻撃にかじを切りすぎるあまり、大量失点で心を折られてしまうゲーム運びは見直す必要があるだろう。

 

 

個人的MOM

★汰木 康也

前半は右サイドを、後半は左サイドで躍動。持ち前のアジリティーとスピードを生かして何度もゴール前に進入してチャンスを量産した。札幌の守備に阻まれたものの、ファーへの飛び込みもサボらずに続け、先に触れれば1点というシーンを多く作り出したこともプラス材料。セットプレーのキッカーとしても存在感あり。

 

自分たちの土俵へ引き込む先制点を生み出した山川、相変わらず最前線で攻守にスーパーな働きを見せる武藤も好評価。

 

トピックス

シャビエルが一発退場で次節出場停止。

 

 

監督コメント

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ ロティーナ監督 ]
試合に関して重要だった局面が2つあると思います。1つ目はきっ抗している中でこちらが先制点を決めたことですね。先制したことで自信につながったと思っています。2つ目は相手に同点ゴールを決められたあとの武藤(嘉紀)選手のゴールですね。重要なゴールだったと思いますし、それ以外にもいろいろな要因が重なってこの試合に勝てたと思いますけど、この2つが最も重要な局面だったと思っています。

前半に関しては、相手がサイドチェンジからリズムを作っていたこともあり、こちらの左サイドに向かってのサイドチェンジで危険を作られていたと思います。酒井(高徳)選手が2対1(の状況)をやられたり、小田(裕太郎)選手がサポートに行っても3対2(の状況)で対応されるなど苦しんでいたんですけども、ハーフタイムにそこを修正して、相手の動きは消せたかなと思う。後半、相手が作ったチャンスは逆に左サイド、こちらの右サイドからが増えていたので、そういうところでも相手のやりたいことはある程度止められたかなと思います。

--前半はなかなかボール保持ができなかった中でセットプレーの流れから得点を奪いました。なかなかボール保持できない中でのセットプレーの重要性について教えてください。
セットプレーは攻撃、守備どちらもどんなときも重要なものと思っている。今日ゴールを決められたのは大きかったですし、今年は守備で問題を抱えていて、攻撃でもあまり危険を生み出せていなかった。実際、(前々節・)湘南戦のゴール以外は決められていないと思います。その中でそういう傾向を最近、変えることができているのは大きいと思います。守備の安定性、攻撃でも機能を出せているのはチームとして大きな力になっています。

--改善できている理由は?
守備に関しては特に練習から集中力を保つこと、戦う姿勢を含めていろいろな修正をしてきたところが生きていると思う。攻撃に関しては個々の能力が関わってくるので、そこがうまくハマってきているのではないかなと思います。

コメント序盤にあるとおり、先制点を決められたこと、追いつかれたあとに2点目をすぐにとれたことがこの試合の行方を決めたように思う。神戸が自分たちの強みを出すために重要かつ良いタイミングで奪えた2点だった。

[ ペトロヴィッチ監督 ]
1-4で敗戦したということで、点差も開いたゲームのあとでコメントするのは簡単ではない。負けた試合のあとで「われわれのほうが上回っていた」というコメントは理解しづらい部分はあると思うが、札幌の監督ですので自チームを主観的に見ていますので、客観的に見たらもしかしたら間違った意見かもしれない。ただ、わたしには1-3までは札幌がピッチ上で相手を上回れていたのがあるのではないかと思いますし、ボールを動かしながら自分たちの形で多くのチャンスを作れていたと思う。1失点目に関しては、CKのこぼれ球からミドル(シュートを)打たれて失点し、そのあと、後半にわれわれは1-1に追いつくわけですけども、2失点目がセットプレー、3失点目がCKと、その流れの中で1人退場者を出して、4失点目を喫してしまったわけですが、その時点でおそらくこの試合に関しては結果が出てしまうような状況だったと思います。

ただ、負けはしましたけど、選手たちは非常にこの気候の中でハードワークしてくれましたし、たくさんのチャンスを作れていた。1-3でリードされる展開までは、われわれ札幌は相手よりも良いサッカーを見せていたと思いますし、十分にこの試合をモノにできるものは途中まではあったと思っています。

--リーグ戦は中断期間に入ります。中断期間にJリーグYBCルヴァンカップの試合はあるが、次のリーグ戦までにチームに望みたいことは?
レギュラーの選手が6人も7人も欠けている中で、なにか特別われわれがこの期間を利用してできることは多くないと思います。ただ、やはりまずは2日間しっかりとオフをとって、リフレッシュしてからカップ戦に向けて準備していきたいですし、しっかりとまた自分たちの戦い方を確認しながら、そして今日はセットプレーからの失点が多かったので、セットプレーからの守備の確認もしなければならない。そういったところの修正はやろうと思っています。今日のゲームは若い選手も出ていましたし、連戦の中で連続出場している選手もいる。それでも札幌としての戦いは十分に表現できていたと思いますし、狙っている形で守備を崩すところまでは行けていた。もちろん得点を取る割合を上げていかないといけないですが、そこのところについても引き続き、選手たちと地道な取り組みをしていくしかない。いま厳しい状況で戦っているが、1人でも多くケガしている選手が戻ってくること、そしてチームとして底上げを図ることは今後へ向けてやりたいことです。