がちゃのメモ帳

Jリーグをメインに、いろいろな感想を残していきます

2021 J1リーグ第34節 サンフレッチェ広島vs鹿島アントラーズ メモ

www.jleague.jp

youtu.be

 

 

スタメン

f:id:brgacha:20211108181223p:plain

広島

塩谷が初のメンバー入り。

ヴィエイラが3試合ぶりに復帰。

柏が4試合ぶりの復帰。

 

鹿島

レオ・シルバがメンバーを外れて、永木が第25節以来のメンバー入り。

フルタイム出場を続けていた沖がサブに回り、クォン・スンテがリーグ戦今季初出場。

犬飼が第27節以来の復帰。

 

 

流れ

2分、鹿島先制、0-1。アバウトなボールに対して荒木が半端なコントロールになってしまい、上田にさらわれてそのままカイキに流された。

 

鹿島は高い位置からプレスを掛けていく。

8分、荒木と野上の連係ミスを土居が突っついてファウル獲得。荒木は立ち上がりからフワフワしている。

 

10分、ハイネルの運び→ヴィエイラのポストで攻撃を構築。ハイネルや森島の運び出しで相手2トップを超えられれば良い形に持ち込めそう。

広島はハイネルが最終ラインに下りるビルドアップ。シャドーがボランチのラインまで下りてサポートする。

 

飲水まで

開始早々にスコアが動き、鹿島がリード。その後は広島が保持して鹿島が高い位置で守る構図。2トップが背中を消しながら守れているので、広島は1stラインがなかなか超えられないが、越えられると良い形を作れる。ハイネルの運びと、ヴィエイラのポストがポイント。また、エゼキエウの間受けも数回良い形があった。

 

27分、鹿島追加点、0-2。CKの流れからこぼれ球を常本がボレーで突き刺した。コースが完璧で林はどうにもできない。

 

33分、広島が1点返し、1-2。青山が背後へ抜け出し、中に走り込んだエゼキエウが合わせてゲット。鹿島は誰も青山を監視しておらず、完全にフリーで抜け出された。

 

中盤の選手が列下りで枚数調整をする広島に対して、SHが押し上げてプレスに行く鹿島だが、ズレに対してマークがはっきりせず、サイドでフリーマンが生まれている。かつ、鹿島はラインが高いので、フリーの選手ができてしまうと一発で裏を取られやすい。

 

37分、背後を取った森島がシュートも、スンテが好セーブ。

 

飲水直後こそ鹿島が追加点を奪ったが、そのあとは広島がボールを持って攻勢を強める。序盤は鹿島の2トップをうまく超えられずにいた広島だが、ポジションを少し動かして試行錯誤したことで、鹿島がうまくハメられなくなった。

 

46分、藤井が安西を倒し、イエロー。少し前にもピトゥカを倒したシーンがあり、繰り返しも含めての警告。

小競り合いを起こした野上と関川にイエロー。一触即発な雰囲気に。

 

立ち上がりの隙から、そしてセットプレーからの2発でリードを奪った鹿島だが、第2Qでは受けに回る時間が長くなり、攻撃に転じる場面もあったとはいえ、狙った守備が行えていなさそうなのは気になるところ。広島は後方での組み立てが安定していれば背後を取れるチャンスがありそうなので、鹿島の守備が慣れる、もしくはうまく修正される前に追い付きたいが、後半の入りはどうなるか。

 

 

後半

46分、ゴールキックから自陣でつなぐ広島に対して、かなり高い位置からプレスを掛ける鹿島。ただ、広島はそれをかいくぐって疑似カウンターへ。

鹿島は縦への速さはあるが、リスクのある守備をするぶん、縦に速く攻められやすくもある。

 

48-49分、鹿島追加点、1-3。カイキが1人で持ち上がり、一度はロストするもすぐに奪い返すと、アラーノ→カイキでゲット。個人の能力で違いを作り、ゴールを演出。ただ、自陣であっさり失ってしまう広島の脆さも触れなければならないポイントと言える。

 

はやい時間帯からすでにオープンな殴り合いの様相になってきている。

 

55分、関川がアフター気味にヴィエイラを倒してファウル。警告を受けている関川はより注意しなければいけない。

 

57分

広島交代 藤井、ヴィエイラ→柏、ジュニオール・サントス

 

広島がボールを持って敵陣へ入り、トランジションでも上回ってハーフコートに押し込む。システムのかみ合わせ上、ファーサイドはWBが浮く。

 

64分、手を使って相手選手を倒した佐々木にイエロー。次節出場停止。

65分

鹿島交代 土居、カイキ→荒木、和泉

65-66分、上田がPA内で倒されたところから広島が一気にカウンターでサントスのシュートまで。→その後VARのチェックが入り、鹿島側のPKの判定に。

荒木が決めて、鹿島追加点、1-4。荒木はこれで二桁得点に乗った。

 

71分

広島交代 荒木、エゼキエウ→塩谷、浅野

荒木は2失点に直接的に絡んでしまい、懲罰交代的な形に。競り合いの強さは見せたが、立ち上がりからメンタルをコントロールし切れなかった印象が残る。

野上が中央に移り、塩谷が右CBに入る。

 

飲水まで

決して広島が悪いわけでも、鹿島が押しているわけでもないが、一瞬の隙を逃さない鹿島と、一度のピンチをしのぎ切れない広島の脆さという対比がこの1-4というスコアに繋がっているように感じる。

 

79分

鹿島交代 上田→エヴェラウド

 

広島はボールを持っているが、以前ほど安定して敵陣へ入り込めなくなった。ためを作れるヴィエイラとライン間でパスを受けていたエゼキエウに代わり、個人での突撃が得意なサントスと浅野のセットになったからかもしれない。

80-81分にはサントスの剥がしからスペースへ走る浅野へつなぐ良い形を見せたが、スンテが好カバー。

 

86分

鹿島交代 アラーノ、三竿→犬飼、永木

広島交代 青山→柴﨑

[5-4-1]で守り切り体制に。

 

最後は鹿島が危なげなくクローズ。広島からしたら1-4で敗れるような内容ではなかったようにも思えるが、細部でもろさが出たのも事実。鹿島の前線が一瞬の隙を仕留めきったのもお見事。広島は唯一の得点が表しているように、鹿島の守備の穴を突くこともできていたが、決定打まで至れなかったのが難しくさせた。

 

 

個人的MOM

★アルトゥール カイキ

序盤こそなかなかフィットできずに苦しんでいた印象があるが、ここにきて存在感が出始め、ゴールも稼ぎ出している。このゲームでも個人での推進力はもちろん、ゴール前でも仕事ができることを示した。

 

トピックス

45+1分、藤井のファウルの直後、ダッシュで鹿島の選手を制して藤井にイエローを出す西村主審。無駄な小競り合いを回避→ただ、直後に乱闘が発生

48分、接触プレーが続いたこと、三竿と野上が小競り合いを起こしたことで乱闘騒ぎに。

塩谷復帰後デビュー戦

71分、自身のミスが失点につながってしまった責任からか、泣きながらベンチへ戻る荒木→試合後のサポーターへのあいさつで場内を回るときにもこらえきれず涙

 

コメント抜き出し

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ 沢田 謙太郎監督 ]
スタートから選手一人ひとりが気持ちも高ぶって良い入りをしてくれたのかなと思っていたんですけど、失点が出てしまい、常に追いかける展開になってしまった。それが非常にキツい試合でしたね。その中で1点を返したとき、少し相手のスキが広がったかなと思ったので、もう1点を取りたかったなと思いましたけど、そんなに甘くなくて。

後半に入ってもう1回やり直そうと言って入っていたんですけど、また失点が出てしまって。最後のアディショナルタイムの7分も含めて、3点差になった中でも攻撃を仕掛けてくれて、何度も失点になりそうなところで体を張って守ってくれて、あれだけやれる選手ですし、勝ちたかったんですけど、ちょっと追いつかなかったです。

 

[ 相馬 直樹監督 ]
まずは、広島までサポーターの皆さんにたくさん足を運んでいただきました。天皇杯のあとのゲームで、タイトルを落としてしまったという中で、そこから一緒に立ち上がってくれたということだと思います。選手たちも最後まで戦い抜いてくれましたし、本当に一緒にこの勝利を喜ぶことができてうれしく思っています。本当にありがとうございました。

ゲームのほうなんですけれども、広島さんのほうも監督が代わり立ち上がりを重視してくると思ったんですけど、われわれのほうも立ち上がりを大事にしようという中で、早い時間に、前半もそう、後半もそうですけれども、ゴールを奪うことができました。これがチームにとってやはり大きかったと思っています。前半の途中から、2点取った以降ですけれども、苦しい時間もありましたけれども、そこもハーフタイムも含めて修正しつつ、そして選手たちが中で解決しつつ、良い形に持っていってくれたかなと思います。当然、ここ最近で言うと勝ちが続かないという状況が続いていますので、またすぐに次にゲームがありますので、そこに向けて、今日作った勢いをしっかり持ち込めるように大事にしていきたいなと思います。

--荒木 遼太郎選手が、10代で史上2人目の2ケタ得点を達成したが。
やはりね、素晴らしい。点を取るのは簡単なことではないですし、そこに絡んでいける。今日はPKという形ですけれども、周りからも信頼されて、あそこで蹴らせてもらえることも含めて、彼が攻守両方において働いているというところも当然あると思っています。やはり間で前を向けるのは彼の持ち味であると思っています。より今後も、いろんな形で攻守両面で、われわれの中盤のポジションというのはすごくタスクの多いポジションだと思いますけど、そこのところをぜひ成長を続けながら、結果というものを、チームにとって勝ちにつながるプレーを続けていってもらえたらなと思います。

 

2021 J1リーグ第34節 川崎フロンターレvs浦和レッズ メモ

www.jleague.jp

youtu.be

 

 

スタメン

f:id:brgacha:20211108003006p:plain

川崎

遠野が4試合ぶりのメンバー入り。

先発は2試合連続で同じ11人。

浦和

ユンカーがメンバー外。

田中も久々のメンバー外。

興梠が第26節以来のメンバー入り。

 

 

流れ

立ち上がりから強烈なプレッシングを掛けるダミアン。

 

川崎の[4-1]ビルドに対して、浦和は2トップで中央の3枚を見る。

5分、IHと家長が下りてきてビルドアップに参加。かなり流動的に動く。

浦和はその組み立てをひっかけて小泉→汰木で惜しいショートカウンターのシーン。

 

早くも川崎保持vs浦和非保持の構図が際立ち始めた。

9-10分、浦和が高い位置までプレスを掛けに行って奪取。ショートカウンターは最後の質が決まらなかったが、惜しいシーン。川崎が深い位置でも捨てずに持つので、奪えるチャンスはそれなりにある。

 

セットディフェンスは1stプレスを外されるとやや脆さもある川崎だが、敵陣でのトランジションはかなり速い。

 

浦和は高い位置からプレスのスイッチを入れられると良い形でハメられるケースも多いが、自陣深くで受ける時間が長くなると苦しい。

 

飲水まで

川崎が多くの時間でボールを持っているが、シュートチャンスは少ない。ただ、トランジションもそれなりに決まっており、敵陣でのプレータイムは多いので悪くはない。

一方で浦和はショートカウンターで刺せそうなシーンは何度かあったが、本来の戦い方である保持からの攻撃の時間をなかなか作り出せていないので、そこのストレスはありそう。

 

25分、ゴールキックから綱渡りのビルドアップでプレスをかいくぐると、右サイドを攻略して決定機。シュートはソンリョンとゴールカバーに入った谷口に防がれた。浦和は“自分たちの形”からチャンスを作れた。

 

28分、川崎のプレスの抜けどころになるSBまで落ち着いて届ける浦和。飲水後からは浦和が保持する時間も長くなってきた。

 

29分、ゴール前で決死のシュートブロックを見せる浦和DF陣。

32分、川崎先制、1-0。セットプレーが連続し、押せ押せな雰囲気になっていた中、混戦からジェジエウがプッシュしてゲット。浦和はこらえきれなかった。

 

ショートカウンターのところから浦和もゴールへ直線的に迫れるシーンを作れているが、最後のパスコースがかなりシビアになっている印象もある。川崎DF陣の消し方とGKのスペースカバーがうまくいっている?

 

両軍ともに、孤立してもキープ、もしくはマイボールにできる技術の高さが光る。

 

35分あたりから(?)浦和はSB-CB間を通されて裏へマルシーニョに走られるシーンが増えた。

 

浦和は立ち上がりのショートカウンター期、25分あたりのボール保持期で得点が取れれば理想的だったものの、そううまくはいかず。セットプレーで取られたのは手痛いが、流れの中から決定的なピンチがなかったのは前向きにとらえられるか。下からのつなぎで川崎のプレスを外せている場面も目立つので、相手の強度が落ちてきたタイミングで仕留めたい。

川崎は敵陣でのトランジションがかなり決まっており、一気にカウンターを食らうシーンはほとんど作らせていない。リードできているので、この流れのまま保持の時間を増やして時計の針を進めてもいいが、浦和にボールを持たれる展開になったときにはなにか手を打つ必要があるかもしれない。

 

後半

立ち上がりは浦和が持つ展開。

50分、自陣でうまくカウンタープレスを外した浦和だが、家長のデュエルのところでロストするとカウンターを受けてピンチ。ギリギリで岩波がカバー。

51分、CKの流れからPA手前からのクロス→ダミアンで決定機も西川がセーブ。結果的にオフサイド

立ち上がりは浦和も悪くなかったが、川崎はペースを引き戻すスピードがはやい。

 

56分~、柴戸が負傷。その間に複数の選手を呼んで指示を出すロドリゲス監督。

58分

浦和交代 柴戸、汰木→伊藤、大久保

60分~、浦和の時間。後半は定期的にボールが持てる時間を作れているが、川崎も受けるだけでなくしっかり押し返す。

 

飲水まで

浦和も前半よりは持てているが、それでも川崎の安定感はまだある。よりゴールへ迫れているのは川崎で、浦和はここをしのいで相手が落ちてきた瞬間で訪れたチャンスを決め切れるかどうか。

 

71分、丁寧なビルドアップで前進してから中央突破で江坂に届けるもコントロールが決まらず。

ここも浦和の時間。ただ、シンプルなクロスが多くなっており、得点の可能性はそこまで感じない。

 

74分

川崎交代 ダミアン、マルシーニョ、登里→小林、大島、車屋

大島がIHに入り、左WGに旗手が移る。

 

77分

浦和交代 平野、山中→興梠、宇賀神

興梠がトップに入り、小泉がボランチへ。

興梠が最前線に入ったことで動き出しや競り合いが増え、前のポイントができる。

80分以降、浦和がかなりゴールへ近づいてきたが、川崎もシュートブロックには入れている。PA付近まで運んでシュートまではいけるので、最後のDFをどう外すかが次の課題。

 

85分

川崎交代 脇坂→山村

橘田をとトップ下にした[4-2-3-1]に変更。橘田は少し疲れているそぶりも見せていたので、疲労を考慮して前に置いたか。

 

88分、浦和同点、1-1。伊藤のシュートをソンリョンが弾き、そのこぼれを酒井が詰めた。「最後をどう外すか」の部分はこぼれ球に相手より早くたどり着くことで解決した。川崎側としては、強いて言うならソンリョンがもう少し大きくはじきたかった。

ゴールのプレーで酒井が負傷したが、その後プレーに復帰。

 

90分

浦和交代 関根→西

川崎交代 橘田→知念

川崎は前を2トップに。

 

93分、小林に決定機もシュートがヒットせず。宇賀神がゴールキックにしようとしたところを横から大島が奪い取ってチャンスを作り出した。

94分、浦和の不用意なロストから大島のミドルも西川好セーブ。もう少し良いコースへ飛んでいたら西川もどうにもできなかったが、ギリギリ届く範囲の枠内シュートだった。

 

浦和はストレスがかかる時間が多かったものの、1失点で耐え続けると80分以降に訪れたチャンスの時間を生かして同点に。浦和がペースをつかみかけても3分程度で押し返してしまう川崎もさすがだったが、2点目を取れなかったことが最後に響いた。ただ、追い付かれるまでに「これが決まっていれば」というほどの大きなチャンスがあったとも言えないので、それを作らせなかった浦和の我慢を評価すべきなのかもしれない。

 

同時刻にキックオフしていたマリノスが敗れたため、川崎はこの時点での優勝が決定。

 

個人的MOM

★興梠 慎三

誰か1人を選ぶのは非常に難しい試合だったが、個人的に最も印象に残ったのは、興梠が入ってから浦和の攻撃に迫力・力強さが増した点。同点弾に直接絡んではいないが、興梠投入で生まれた勢いが後押ししたかもしれない。

 

トピックス

41分、ショルツのアウトサイドパス

前半45分、柴戸のボディフェイクを入れた個人でのプレス回避

48分、ショルツの「そこ通せるのか」なパス

×柴戸が負傷交代

64分、異常なキープ力でマイボールにする旗手

試合終了直後、悔しそうに地面をたたく旗手。優勝が決まってもなお涙を流しているのがとても印象的に映った

 

コメント抜き出し

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ 鬼木 達監督 ]
ホームで大勢のサポーターの下で優勝できて良かったです。勝ちたかったですけど、1年間の積み重ねなので、選手を誇りに思う。このコロナ禍で、サポーターが徐々に入ってこられて、ホームで決められたので良かった。

ゲームのほうは、先制したので追加点が欲しかったけど、引き締まったゲームはやれたと思います。

--後半の戦いについて。
勝ち切りたい思いが出たのかは分からないですけど、ボールを奪ったあとのパワー、ポジションを取るのが遅れていた。そこは修正しないと。単純にボールを握り続ける、敵陣で。そこは改善していかないといけないと思います。

--選手たちにどういう言葉をかけたか?
まずは選手にかけたのは「お疲れさん」と、「おめでとう」ということ。それ以外のところは、「まだ続くのでとにかく次のゲームと天皇杯を獲ろう」と話しています。今日のゲームもなかなか難しい感じになりましたけど、「首位を走り続ける」、「優勝をしよう」と、中盤の時期も言い続けた。気持ちのところはうまくやってこられたと思います。一戦必勝で集中してやってくれたと思います。

--我慢の年。進化の部分はどう感じている?
やはり勝負強くなってきたかなと思っています。その勝負強さは、気持ちだけでは勝負事は勝てない。経験や全体の意思統一といいますか、良いときは行くし、そうじゃないときは全員が把握して我慢する。その使い分けは徐々にできてきているのかなと。きっ抗したゲームが増えているので、そうならないように積み上げていきたいと思います。

 

[ リカルド ロドリゲス監督 ]
前半は難しい展開になってしまったと思います。ボールを持ちながら相手陣内に行く回数が少なく、時間も短くなってしまいました。その理由としては、相手にボールを持たれて深いところまで押し込まれ、奪い返しても彼らの素早い切り替えでまた失ってしまう。そういう循環が起きてしまっていたので、なかなかわれわれのもっていきたい展開にできませんでした。失点はセットプレー崩れのリバウンドからやられてしまいましたが、苦しい時間をしっかり耐えながら守っていたと思います。

後半は前半よりも(ボールを)持てる時間が増えましたし、大きなチャンスは作れませんでしたが、相手のゴール前に迫っていく回数は増えたと思います。それを生かせた貴重な同点ゴールでした。

もちろん勝点3が欲しい意気込みを持って来ましたが、川崎という相手やアウェイのピッチという難しいところで勝点1を勝ち取れたことは、試合の流れがあまり良くなかったことなども考えると、ポジティブな結果でもあるのかなと思います。

--1点ビハインドで興梠 慎三選手をいつ投入するかは思案のしどころだったと思うが、どう判断してあのタイミングになったか。
時間というところではなくて、試合の流れの中で相手ゴール前に迫る回数が増えてきたので、中で合わせられる選手、そして背後のスペースを生かせる選手ということで投入を決断しました。ほかの選手たちの特性上、彼のようにスペースに抜ける選手がピッチにいなかったので、彼を投入することでそういった動きが出る、エリア内で違いが出せればという狙いを込めて投入しました。そして勝点1獲得に大きく貢献してくれた選手の1人だと思います。

 

2021 J1リーグ第34節 名古屋グランパスvs柏レイソル メモ

www.jleague.jp

youtu.be

 

 

スタメン

f:id:brgacha:20211107164258p:plain

大南が出場停止明け。ドッジが中断前以来の出場で先発。上島が第29節以来のメンバー入り。エメルソン・サントスがメンバー外で高橋祐が久々の先発。

 

 

流れ

立ち上がりから木本を最終ラインに下ろして3バックビルドを行う名古屋。

1分にも満たない間に惜しいシーンを作る柏。中盤で奪ってショートカウンターから仲間のシュートがポスト直撃。柏は浦和戦も立ち上がりは良かっただけに、そこで刺し切りたいところ。

 

2-3分、またしても勢いを持って敵陣へ入り込む柏が仲間のシュートまで。今回は稲垣がブロックに間に合う。

名古屋がボールを持って柏が構える構図。柏が良い形で奪ってからカウンターという流れが続く。完全に柏ペース。

5分、被カウンターでシャビエルを手で引っ張って倒すサヴィオ。イエロー相当のプレーにも見えたが注意だけで済む。

 

柏も三原を下ろした3バックビルド。

8分、サヴィオの強烈なボレーシュートをランゲラックが片手でセーブ。柏が勢いを継続中。

柏はPA幅くらいで中央でのコンビネーションを見せて打開を図る。

 

11分、名古屋は前から追わず、2トップも自陣へ入るくらいのライン設定でブロック形成。柏は落ち着いてボールを持てる。ただ、名古屋は最前線に1人でシュートまで持ち込めるシュヴィルツォクがいるので、奪ったらそこへ預けてロングカウンターに出ていける。

 

両チームともポジティブトランジションからのチャンス創出が圧倒的に多い。

 

18分、シャビエル→シュヴィルツォクで枠内をとらえるも、キム・スンギュ好セーブ。

 

飲水まで

立ち上がり10分は完全に柏のペース。その後はシュヴィルツォクを中心に名古屋がカウンターで攻めていく回数が増えた。ボールを持っていないほうがよりゴールへ近づいているような不思議な展開で、トランジションから局面が動いて行くような試合。

 

飲水後からシャビエルを少し下げて木本をアンカー気味にする[4-1-4-1]のような形になった。

シャビエルは左の後ろに下りてきて低い位置でボールを触る回数が増えた。

シュヴィルツォクは1対1なら確実に収めるので、柏はいかに早く複数で圧力を掛けられるかが重要。

 

33分、名古屋先制、1-0。スローインから右サイドを攻略し、稲垣→シュヴィルツォクでゲット。フィニッシュは驚くほど冷静かつテクニカルだった。

 

37分、IHがサイドへ下りてSBが高い位置へ上がるビルドアップを見せる名古屋。ボールは出てこなかったが、SBが大外で完全に浮く。

→以降この形をベースに派生させながら組み立てる。柏はどうやってマークにつくかが少し曖昧になっているように感じる。

 

42分、久々に柏にチャンス。ただ、名古屋のシュートブロックを超えることはできない。

終了間際は柏が敵陣でもって攻めるが、名古屋はシュートを許さない守備。

 

柏は立ち上がり10分までは良かったが、そこでのチャンスを決め切れず、以降は名古屋にペースを握られる。前節・浦和戦と似たような状況だが、浦和戦ほど「どうにもできない」という閉塞感がないのはまだ救いであり、名古屋の守備網を攻略するのは簡単ではなさそうだが、まだ可能性は感じる。

一方で名古屋はリードした状況で折り返すことができ、安定した守備×シュヴィルツォクを軸にしたカウンターが結びついているので、守りながら攻撃にも転じられる良い流れ。さらにはビルドアップで相手を困らせることもできていたので、立ち上がりこそバタついたが、トータルではかなり手ごたえがあったのではないか。

 

 

後半

名古屋交代 シャビエル、前田→長澤、森下

[4-1-4-1]にしていたので、IHにシャビエルより適正がある長澤を入れた。前田→森下は単純に過密日程を考えたかもしれない。

 

名古屋は[4-5]ブロックがかなり低い位置で構えるので、柏のCBやボランチは1トップの周りでは時間がもらえる。

 

名古屋は1点リード&シュヴィルツォクがいるからか、かなり重心を下げて受け続ける。それに伴って柏は長い時間ボールを持って攻められている。

柏は立ち上がりから人を当てハメるプレスで高い位置から奪いに行く。

 

森下と大南のマッチアップがかなりバチバチ

 

57分

名古屋交代 木本→柿谷

[4-4-2]ベースに戻す。同時に森下とマテウスのサイドを入れ替え。

62分

柏交代 武藤→細谷

 

柿谷を入れて前の枚数を増やした名古屋だが、そこまでラインを上げない。受ける展開は継続だが、シュヴィルツォクがかなり収めてくれることで攻撃に転じられる時間もある程度確保できている。

 

飲水まで

柏がボールを持ち、名古屋が低い位置で受けて、シュヴィルツォクでカウンターに出ていく展開。互いにチャンスの数は少なく、GKの仕事がほとんどない印象。柏はボールを持てても、中央にターゲットタイプがいないので、単純なクロスでは可能性は薄い。ただ、コンビネーションでの打開に長けた武藤は下がった。

 

69分、名古屋に久々のチャンス。シュヴィルツォクがシュートまで持ち込むがキム・スンギュが好セーブ。

70分、名古屋追加点、2-0。直前のプレーで得たCKから中谷がニアで合わせた。GKはノーチャンス。名古屋は撤退で塩漬けにしようとしていた流れで大きな追加点。メンタル的にもさらに余裕を持った状態で守れるはず。

 

74分

柏交代 クリスティアーノ、サヴィオ→神谷、戸嶋

 

79分、細かいパス交換からゴールに迫る柏。名古屋もシュートブロックは間に合っているものの、少し受けすぎている印象はある。

名古屋はいつからか宮原が3バックの右、森下右WBの[5-4-1]になっている。

→2点目以降から?

 

83分

名古屋交代 シュヴィルツォク、マテウス→金崎、相馬

 

75~80分あたりは、少し柏の攻撃を受けすぎている印象だった名古屋だが、80分以降はほとんどシュートにも持ち込ませず、危なげなく完封。柏はドッジが後方からの運び出しで変化を加え、神谷が絡んだときには可能性を感じさせたが、あまり攻め手がないまま終わったようにも感じた。

 

中谷は試合後インタビューで「連戦で正直体は重かった」と語っており、出っぱなしだった選手たちにはかなりの疲労があったと考えられる。また、隔離生活がようやく終わり、「やっと家に帰れる」とも話しており、精神的な疲れもある中での戦いが続いていたことも感じられた。

 

個人的MOM

★シュヴィルツォク

個人的というよりも満場一致かもしれない。素晴らしい先制点に、2点目につながるCKの獲得。そしてなんといっても交代する前の80分頃まで、最前線で孤立しながらもかなりの確率で収め続けた働きは、「EURO2020出場選手」の肩書にふさわしいクオリティーだった。

 

トピックス

15分、3人くらいに囲まれても普通にキープできてしまうシュヴィルツォクのボールさばき

42分、シュヴィルツォクの収めからマテウスへのきれいな展開

45+1分、ランゲラック、強烈な声かけでCBを制してキャッチ。地味だが、余計なリスクを排除できた好プレー

試合終了直後の古賀の渋い表情が印象的

試合後のインタビューでゴール後に喜んでしまったことを柏サポーターに詫びる中谷

試合後、ゴール裏へ向かい、ルヴァンカップ優勝トロフィーをサポーターとともに共有する名古屋の面々

 

コメント抜き出し

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ マッシモ フィッカデンティ監督 ]
とにかくハードなゲームだった。始まってすぐのところは主導権を握られてしまった。そのあとになんとか持ち直して耐え切って、こちらがとても良いタイミングで得点を奪い、そこからは互いがやり合うことも含めてハードになった。後半もどちらが優勢だったかと言えば柏側が優勢だったと思うが、そこで2点目を取って、「スコアだけは絶対に譲らない、とにかくどんな内容だろうが勝つんだ」ということにこだわった。

この柏戦、(次節・)仙台戦は体力的な消耗を考えると、「何がなんでも、どんなプレーでも」ということになる。そういう考えでみんなが準備をして戦ってくれたことが勝利につながったと思う。仙台戦が終われば時間が空くので、そこで体勢を立て直して残りの3試合に入れたらと思う。

--シュヴィルツォクの存在をどう捉えているか。
サッカーはゴールを挙げた選手が注目されがちで、まるでその選手のおかげで勝ったように称賛されることが多いが、(天皇杯準々決勝とルヴァンカップ決勝での)C大阪との2試合は片一方が良くてという内容で、(前節・)神戸との試合では良かった。彼が出てもなかなか決定的な仕事ができないこともあり、彼が出て得点を決めることもあり、でも全員が苦しいこの状況で全部を出し切ってやってくれている。1人だけをクローズアップする方向のコメントは控えたい。彼がチームのためにあれだけ走って取るべきところを取る。彼の役割はそれ。今日はそれがうまくいった。そうじゃないところでどれだけ頑張れるかも問われるところ。1人が輝いていた、というコメントはしたくない。

 

[ ネルシーニョ監督 ]
ゲームの内容自体は、非常に良い内容のゲームができたんじゃないかなと見ています。技術的な部分、戦術的な部分、われわれが準備してきたことをバランスよく攻守において出せていたと思います。しっかりとボールを握る時間帯、ボールを動かしながらテンポを作る時間帯、うまく使い分けながらほぼゲームを支配できていたと思います。ただ、失点をした2点というのは、われわれの集中力が切れた時間帯で、崩されてやられた失点ではありませんでした。スローインとセットプレーからやられた失点だったと思うんですが、それ以外の部分で相手に決定機を作られるようなことはほぼなかったと思います。今日のゲームはこの2つのディテールに泣かされたゲームだったと思います。

--今日の試合では多くの選手を入れ替えたが、その狙いは?
前節の浦和戦の結果を見てもらえれば、その理由はよく分かってもらえると思います。ああいった大量失点をして敗戦を喫してしまったので、われわれとしては今節に向けてしかるべき対策を練らないといけませんでした。劇的な変化をもたらさないと、今日のゲームに向けては良い守備ができないだろうと考えてのことでした。それに基づいて、われわれもトレーニングしてきたわけですが、ゲームの内容自体は見ていただいたとおり良かったと思っていますし、選手のパフォーマンスも良くなったと見ています。

 

2021 J1リーグ第34節 北海道コンサドーレ札幌vs湘南ベルマーレ メモ

www.jleague.jp

youtu.be

 

 

スタメン

f:id:brgacha:20211106230222p:plain

 

流れ

荒野が右CB位置に下りるミシャ式。湘南は高い位置で待ち構え、ライン間やサイドに入ったときに圧力を強める。

 

3分、福森→小柏のホットライン。湘南は小柏の抜け出しとスピードに手を焼いている立ち上がり。

札幌はいつもどおり人につく守備でつなぎをけん制。谷からロングボールが出る流れが続くが、ウェリントンがいないので競り合いではほぼ勝てない。一方でスピード感がある2トップではあるので、良い守備からショートカウンターを打てればチャンスを作れそう。

 

7分、カウンタリングカウンターから札幌にチャンスも、菅の右足シュートは枠外。オープンな局面に持ち込めたときの札幌は強い。

 

19分、青木のゴールで札幌先制、1-0。湘南の高いラインの背後をしきりに狙い、金子が起点を作ってから外に流れたところを菅→青木でゲット。中央を固める湘南に対して札幌も前進の仕方をうかがう状況だったが、背後一発から打開した。

 

22分、ビルドアップから駒井のところでプレスを外してスピードアップ。札幌がペースを握り始めたか。

 

湘南は何度か中盤で奪うことに成功しているが直線的にゴールへ迫れない。サイドを経由してしまうとターゲットタイプが少ないので、分が悪くなる。

 

飲水まで

いつもどおり札幌が勢いを持って入り、ペースを握る。湘南も受けつつ下げ過ぎない対応で対抗できていたが、最終ラインから背後への配球で打開されてしまった。中盤で奪う現象は起こせていてもそれがそのままゴールと結びつきそうな雰囲気はまだない。

 

30分~、小柏の左流れに配球したところからの仕掛け。札幌がスピード感を持って敵陣へ入り込む回数が増えている。

プレスが掛かって一度目は前へ蹴っ飛ばす湘南だが、セカンドボールのところでのファイトで上回って回収し、ボール保持の時間を作れている。

 

札幌は福森→小柏の1本のパスだけで深さを取ることができるのは強い。逆に湘南はそれが通ると戻らなければならないので、守り方的にストレスがかかる。

 

 

前節の福岡戦こそ波の少ないゲームに持ち込まれたが、札幌が前半に強いのはいつもどおり。ただ、1点は取られたとはいえ、湘南も押されっぱなしというわけではなかったので、そこまでネガティブではないだろう。札幌は福森→小柏ラインを軸に深さを取れたり、一発で背後を狙えたり、というところはうまくいっていたが、後半で落ちることを考えると「1点リード」での折り返しが十分だったかどうか。

 

 

後半

GKを使いながらプレスをかわしてボールをしっかり保持する湘南。

高い位置からプレスに行っているものの、すでに前半の強度は保てていない札幌。意図的に落ちしているのか、いけていないのか。逆に湘南は前半にもまして高いラインを敷いているようにも見える。

→そのぶん、札幌前線の小兵アタッカーたちが生きやすくもなる。

 

実況席によるハーフタイムの監督コメント紹介を聞くと、湘南の山口監督は「やることができていない」と言ったらしく、前半は思うようにいっていなかった評価だった模様。

 

前半と同様に背後へ抜け出す小柏らへ、最終ラインの荒野や福森が一発で流し込む。

ラインを高く保つ湘南×ラインブレイカー小柏になるので、湘南の最終ラインは上げ下げの疲れと精神的なすり減りがありそう。

 

57分

湘南交代 山田、タリク→平岡、町野

58分~、入ったばかりの町野が連続でシュートに絡み、惜しいシーンを演出。選手交代直後から明らかに湘南のペースになった。

 

60分、小柏→青木で一気にゴールまで迫るが、タッチが決まらず。湘南も勢いを持って前へ向かっているぶん、トランジションで上回ればロングカウンターは効く。

 

63分、湘南追い付き、1-1。最後方でリスク管理を任される大岩の対応から前線へつなぎ、素晴らしいコンビネーションから中央を崩した。平岡はリーグ戦初ゴール。湘南は選手交代で流れを変え、良い時間帯でしっかりと得点をゲットした。

 

66分

札幌交代 荒野、青木→深井、柳

柳が右WB、金子がシャドーへ。

 

77分

札幌交代 金子→ジェイ

ジェイが最前線、小柏が1つ下りる。

78分

湘南交代 茨田、畑→舘、高橋

舘はそのままIHに入った模様。

80分、岡本を倒したチャナティップにイエロー。

飲水明けからは一進一退といった攻撃の打ち合い。

 

83分

湘南交代 大橋→ウェリントン

84分、あらためて前からのプレスをしっかりと掛け始める湘南。

 

86分

札幌交代 駒井→岡村

岡村が中央のCBに入り、高嶺がボランチへ。

 

湘南はセットプレーを含め、ウェリントンの高さと強さを生かす攻撃にややシフト。

札幌は球際で体を当てるプレーでのファウルにかなりナーバスになっている。

 

最後はそれぞれがジェイとウェリントンを中心にした攻撃でゴールへ迫ろうとしたが、決定機という決定機は生まれないまま終了。勝点1でも悪くない湘南だったが、最後まで3を目指す姿勢が見えた。

平岡と町野の投入で一気に流れが湘南に傾き、そこで追いつけたのは湘南にとってはポジティブ。札幌はボールを持てる時間は長いが、時間の経過とともに勢いの減退と攻め手が失われていく感じは否めない。

 

個人的MOM

★町野 修斗

途中出場ながら両チーム最多となる4本のシュートを記録(※DAZNの集計)。得点こそ奪えなかったが、平岡とともにチームに勢いをもたらし、同点弾をアシスト。そしてそこまでの流れを作ったと言える。

 

トピックス

4~5分、大橋の絶妙なターン

10分、高嶺の美しいサイドへのロングフィード

21分、岡本のナイス1stタッチから好クロス

28分、田中の巧みな交わしでのボールキープ

33分、福森の逆サイドへのパーフェクトフィード

34~35分、左の畑に預けてから斜めのランニングをすることでカットインのコースを空ける山田

70分、田中駿と平岡の履正社高同士の競り合い

88分、深井がコンタクトレンズのつけ直し(?)一度ピッチを出る

試合終了直後、主審に対して詰め寄っていく湘南の面々と札幌の一部選手。ウェリントンと福森にイエロー

 

コメント抜き出し

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ ペトロヴィッチ監督 ]
前半はわれわれが試合を支配し、狙いも出せていた。そうした中で1-0とリードができた。この試合、相手はJ1残留を争う中で強い気持ちで挑んできたため、後半はよりギアを上げてきた。それに対してこちらは若干運動量が落ちた中で、同点ゴールを許してしまった。その後も相手がさらにギアを上げてきたが、選手がよく走り、戦ってくれたと思う。非常に厳しいゲームだったが、チーム状況を考えれば前向きに捉えていいと思っている。

--J1残留が確定したが、来季を見据えて一言。
今季は非常に厳しい戦いだった。4チームが降格するレギュレーションの中で戦った。加えて、われわれはケガ人がいない試合が1つもなく、そこもまた厳しかった。今日も主力を欠いての戦いとなった。そしてシーズン途中に得点源の選手が移籍したことも戦いを難しくしたが、選手たちはファンタスティックなシーズンを戦ってくれたと思う。

なぜならば、もう1つ上をうかがえる戦いができていて、残留争いに巻き込まれることもなかったからだ。常にケガ人がいたり、得点源を失った中でそうした戦いができたのは前向きに捉えられる。今日も比較的若いメンバーだったが、まだまだチームとしての伸びシロがあるということ。そしてアカデミーからも選手が加わっている。そうした選手も起用しながら未来に向けて模索していきたい。

これで札幌は5シーズン連続で残留した。クラブ規模を考えれば成功と言っていいだろう。厳しい戦いが続いてきた中で、J1で安定した戦いができるようになり、自分たちのスタイルも持てるようになった。一定の評価を得ているはずだろう。札幌のサッカーはこういうものだというものを知ってもらえたことも、われわれが勝ち取ったものの1つだろう。

 

[ 山口 智監督 ]
前半、難しい戦いになってしまいました。ハーフタイムで「自分たちのやるべきことに立ち返ろう」という話をして後半に入って、選手交代も含めて全員で勝ち取った勝点1になりました。こういうことが大事なのでそれを最後まで続けたいなと。勝てはしなかったですけど、勝点1もぎ取ったという形にも見えると思うので、今後それを生かしていきたいなというゲームでした。

--試合後のフラッシュインタビューで、同点弾を決めた平岡 大陽選手は「押し込んだだけ」と話していましたが、あの場所にいることが大切なのではと思います。監督からの彼の評価は?
それぞれの役割がある中で、チームの共通意識の中でゴールへ向かうというところは誰とは言わず全員に求めていることです。自然とそこへ行けたのかもしれないですし、意識があったから行けたのかもしれないですけど、ボールの動かしから始まって、そこに向かう崩しのところもチームとして評価できるところ。

大陽の言葉を借りれば「押し込むだけ」ですが、すごく貴重なファーストゴールでしたし、チームにとっても大きなゴールだったので、やってきたことを出してくれたなと思います。

 

2021 J1リーグ第34節 横浜F・マリノスvsガンバ大阪 メモ

www.jleague.jp

youtu.be

 

 

スタメン

f:id:brgacha:20211106105540p:plain



 

流れ

立ち上がりすぐからマリノスが持ってガンバが守る構図。ガンバは2トップとSHの連動がプレスのカギ。

ガンバはパトリックがカウンターの起点。そこで収めて押し上げられると攻撃の時間が作れる。

 

4分、マリノスゴールキックからのつなぎを前からプレスで狙ってハメ切るガンバ。シュートは外れたが、決定機を作り出した。

5分、直後にマリノスは前田が背後へ抜け出してチャンス演出。開始5分ですでにスコアが動いてもおかしくなさそうな展開。

 

ガンバは欲しがらずに、危ないときはCKにしてでもプレーを切る。自陣では無理につながないあたりもプレー選択におけるリスク管理がはっきりしている。

 

マリノスが左サイドを突破してクロスからゴールへ近づくが、危険な場所でシュートを打つまでにはなかなか至らない。ガンバは4バックが確実にゴールを守る立ち位置を取ってフリーでは打たせない。ただ、攻撃に転じられる回数がかなり減ってきているので、ずっとこれを続けるのはメンタル的にも身体的にも厳しそう。

 

飲水まで

ボール保持は圧倒的にマリノスで約7:3。ただ、ガンバとしてはかなり割り切った戦い方を準備してきている雰囲気を感じるので、許容範囲内に収まっているはず。急所は突かれていないが、トランジションでのカウンタープレスをまったくかいくぐれなくなってきているので、そこを改善して少し押し返す時間を作りたいか。

 

マリノスは前田の突破とティーラトンのクロスがメインで、左サイドからゴール前に送る攻撃にかなり偏っている。途中からマルコスのハーフスペース縦抜けもそこに足された。

 

ガンバはSHが前へ押し上げる意志がまったくないので、2トップが追い掛けたいとしてもプレスは絶対にかからない。行きたいのであればピッチ内で修正しても良さそうだが、「行かないほうがいい」と判断している選手のほうが多いのかもしれない。

 

34分、ガンバが敵陣に入っていた流れから圧縮していくが、マリノスが細かいパスワークからあっさり抜け出して疑似カウンター発動。これをやられてしまうとガンバはプレスに行きにくい。

 

ガンバは流れの中で変につないでロストすると、それが一番のピンチになりかねないので、宇佐美を中心に積極的にシュートを狙う、仕掛ける、セットプレーを取りにいくという割り切りを感じる。

 

松原との空中戦での競り合いで背中から落ちて、ダメージがあった藤春がプレー続行不可。5~10分程度プレーしていたが、難しかった模様。競り合った松原が声を掛けに来る。

43分

ガンバ交代 藤春→黒川

 

立ち上がり5分まではガンバも攻撃に転じる意識が高かったものの、それ以降はマリノスが一方的に攻め込み、ガンバは数回だけあるセットプレーから一発を狙うといった展開に。マリノスペースではあるが、ガンバも「守れている」と言っていい対応はできており、簡単には崩れない。ただ、飲水時にも感じたようにずっと防戦一方になると心身ともに苦しくなってくるので、そこをどうとらえるか。

 

 

後半

46分、左からのクロスの流れたボールがエウベルの下にわたり、フリーに近い状態でシュートを打てたが、左足でのキックがうまくヒットせず。ニアでのすらしが入ったことでガンバの守備に一瞬だけスキが生まれた。

 

49分、久しぶりにガンバのカウンター発動。少し手数がかかりすぎ、相手の帰陣が間に合うとシンプルなクロスでパトリックに頼むしかなくなってしまった。

50分、直後にマリノスが抜け出してチャンス。前半からガンバのチャンスのすぐあとにマリノスもチャンスを作る不思議な流れ。

 

51分、CKの守備からカウンターでゴールへ迫ったマリノスだが、セアラが敵陣で足を滑らせて逸する。

 

前半と比べてガンバがトランジションから前へ出ていける回数が増えており、得点の可能性も少し高まっている印象。

 

54分、ガンバ先制、1-0。我慢の時間を経て少ないチャンスを生かした。左からインスイングでいれた山本のクロスにニアで倉田が合わせる。

ガンバは自分たちが攻められるようになったぶん、逆にオープンになって守備に穴ができてしまうというどっちをとればいいかが難しい時間帯になっていたが、結果として“リスク”より“リターン”ほうが大きく出た。

 

63分、カウンターを止めにかかった福田のスライディングがラフプレー判定でイエロー。

マリノスがゴールへ近づいているようにも見えるが、最後の精度を高めてかなりピンポイントで合わせないと難しそうでもある。

ガンバは再び攻撃に出られなくなっているが、1点のリードがあるので、「オープンにさせない」という部分では、マイナスに働いてはいないとも言える。選手たちの気持ちが「1点あれば大丈夫」か、「2点目取れないと危ないな」か、どちらなのかによって印象が変わる。

 

飲水まで

ガンバは1点取れたことで自陣にはりつけになろうが、「もう攻撃できなくとも守り切れば勝てる」というメンタルで臨めるので悪い流れではない。一方のマリノスは攻め続けながらも前半からチャンスの質が上がってきていないのを見ると停滞感もあるのかもしれない。選手交代を機にどう変わるのかに注目。

 

70分

マリノス交代 岩田→仲川

ガンバ交代 宇佐美、柳澤→ウェリントン・シウバ、髙尾

ガンバが前から行ってもティーラトンのところを起点にプレスを剥がしていくマリノス

 

ガンバはゴール前守備でかなり中央を固めるので、マリノスは大外→大外を狙うシーンも。ガンバとしてはSHがSBの外を埋めに戻るが、ここが間に合わないと危なくなる。

 

75分

ガンバ交代 福田、山本→小野瀬、奥野

[5-3-2]に変更。パトリックとシウバの2トップ。

77分

マリノス交代 セアラ、マルコス、ティーラトン→杉本、天野、小池

83分

マリノス交代 エウベル→水沼

 

86分、左からのCKを杉本がニアで合わせるも惜しくも枠外。札幌戦の逆転勝利のきっかけとなったゴールのようにはいかず。

 

体感だと8割近くの時間で攻め続けたマリノスだったが、ゴールを奪うことはできず、痛恨の2連敗。ガンバは守れていてもスコアレスで推移すると厳しくなりそうだったが

、比較的早いタイミングで先制できたことにより余裕が生まれた。[4-4-2]で少しぐらついてきたタイミングで[5-3-2]に変更し、サイドがカバーに戻らなくても最初から人数が足りている状況にしたのは功を奏した。シュートの精度が高ければ失点していたとも言えるが、逆に言えば相手のシュート精度がスーパーでない限りは守れる状態になったともいえる。三浦、昌子、キム・ヨングォンと、主力CBを多数欠きながらも、手堅さを取り戻しつつある印象を受ける。2020の開幕戦を思い出すようなゲームだった。

ガンバは鳥栖横浜FMと上位との連戦で大きな連勝を勝ち取り、残留はほぼ決まりと言っていいだろう。

 

個人的MOM

★井手口 陽介

中盤を含めた守備陣全員の奮闘が素晴らしかったが、強いて挙げるなら井手口。昨季終盤のケガから本調子を取り戻せずにいる印象があったが、運動量や球際、それに加えて足元でのボールさばきにも“らしさ”が戻ってきた。彼がいまの状態を維持できれば、2連勝できているいまの勢いを継続したまま、今季を走り切れるかもしれない。

 

 

トピックス

28分、扇原の股抜き突破

相変わらず前田の攻守の切り替えが尋常じゃなく早い

39分、巧みなボールさばきでプレスを回避する井手口

×藤春が負傷交代

53分、扇原の強烈ミドル。前半にも惜しいシーンがあり、かなりキックのフィーリングが良さそう。

88分、ベンチの前で立って戦況を見つめる喜田。前節もアップゾーンで試合を見ている姿が印象的だった。

89分、スローインの準備をしていた前田に自ら突っ込んで倒れるシウバ。ただ、主審がばっちり見ていて遅延行為を取られてイエロー

 

コメント抜き出し

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ ケヴィン マスカット監督 ]
スタートから最後までボールを握ってゲームを支配し、失点するまで良い部分も出ていました。ただ、相手の唯一枠に飛んだシュートがゴールに結びついてしまい、苦しい状況に追い込まれてしまった。残念な思いでいっぱいです。

--内容よりも結果が重要な一戦で負けてしまい、ライバルチームである川崎Fの優勝が決まりました。どう受け止めていますか。
まずは川崎Fに「連覇おめでとうございます」と言いたいです。どんな内容よりも勝つことが大事とおっしゃいましたが、自分はそうは思いません。内容もとても大事です。内容を勝ちに結びつけることが大事です。9割以上、敵陣で支配していたので、なかなか今日の結果を受け入れることは難しいです。多くのサポーターに足を運んでいただき、残念な気持ちにさせてしまいました。ただ、土曜日にすぐ試合があります。自信を取り戻し、修正して準備します。

--残り4試合、プロフェッショナルとしてどう戦いますか。
正直、今日はメンタルの強さ、アグレッシブに試合に入る姿勢は出ていたと思います。土曜日も最初から同じ姿勢で戦います。残り4試合、すべて大事ですが、まずは土曜日の試合に集中しなければなりません。今日自分たちが支配し、相手のシュートが枠に飛んだのは1本でした。それでもサッカーというのは、自分たちがどれだけ良い内容でも点が取れなかったり、1つのチャンスをモノにされて先制されると結果につながってしまいます。試合を振り返って、いま一度やるべきことを確かめます。

 

[ 松波 正信監督 ]
ボールを支配されることは少し予想していた中で、しっかりと守備をしてから、というのは選手たちとも話はしていました。最後まで粘り強く守って、ワンチャンス、ツーチャンスをしっかりと生かし切るところでは、90分を通じてやるべきことをしっかりできたかなと思います。ただ前半、もう少し押し返す時間というか、ボールを握る時間がなくなって守備だけになると、なかなか厳しい戦いになってしまうかなと。ただ、ディフェンスラインを中心に、しっかりと粘り強く最後まで守ってくれた結果が勝利につながったのかなと思います。

--奥野 耕平選手を入れたあと、5バックに最終ラインの並びを変えました。そこは横浜FM・仲川 輝人選手の投入に対応したものだったのか、それとも試合終盤はある程度5バックでレーンを埋めるゲームプランだったのでしょうか。
最初のプランではありました。途中から出てくる選手が水沼(宏太)選手や仲川選手、ワイドにスピードがあったり、クロッサーがいるので、そこはしっかりとスペースを消してプレッシャーを掛けられるようにしようというのは、試合前からのプランではありました。

--試合前日、松波監督は「シーズン終盤にはベテランの力が」という話をされていました。その中で倉田 秋選手がゴールを決め、東口 順昭選手がJ1通算100試合完封で勝利に貢献しましたが、2人の評価をお願いします。
(東口に関しては)100試合完封というのはなかなかできないことでもありますし、本当に日頃の努力の賜物だと思います。倉田に関しては、守備のところでハードワークが続く試合がありましたが、クロスからのアクションというのは今週のトレーニングでしてきた中で、しっかりとピッチで実践できるのはさすがだなと思います。やっぱり、いまゲームキャプテンをやっていますけど、そういう選手が点を取ればチームは勢いに乗ると思いますので、本当に2人の力というのをあらためて感じました。

--他会場の結果次第にもなりますが、次節にも残留が決まる状況です。次の大分戦に向けての意気込みを教えてください。
中3日での試合になるので、しっかりとコンディションを整えるということ(が大事)。大分さんもハードワークできるチームですし、今日の試合の再現というか、もう少しできることをやりたい。次節はアウェイですけど、勝点を取りたいと思います。

 

2021 J1リーグ第34節 アビスパ福岡vs大分トリニータ メモ

www.jleague.jp

youtu.be

 

 

スタメン

f:id:brgacha:20211105023023p:plain

前節・札幌戦から継続して[3-4-2-1]を採用した福岡。ジョン・マリは第20節以来、ジョルディ・クルークスは第26節・川崎戦以来の先発。

大分は町田がメンバー外。小林成が負傷からの復帰で4試合ぶりのメンバー入り。

 

 

 

流れ

福岡も勢いよく入ったが、大分が敵陣深くまで進入し、CKを得る回数が多くなる立ち上がり。開始から球際の激しさがある。

 

相手のボール保持ではブロックを固める大分だが、敵陣でのロストからはラインを上げて圧力を掛ける大分。福岡も窮屈そうな印象。

 

福岡はネガトラから1本目のパスに対しての寄せがかなり速い。

10分過ぎあたりから両軍ともに保持局面を作り、落ち着いてきた。カウンターを打とうとする意志も感じるが、どちらも寄せが速いのでなかなか縦に出せる時間がもらえない。

 

14分~宮のロングフィードをマリに合わせる→シャドーがセカンドを拾うというダイレクトなビルドアップを狙っている福岡。

 

18分、相手のパス交換を狙っていたマリが奪ってゴールを狙ったが、ロストしたトレヴィザンがギリギリで対応。ファウルっぽくも見えたが、家本さんの基準ではノーファウル。

 

飲水まで

立ち上がりから大分が積極的な入りを見せ、どちらかというと大分のペースでここまでは進んでいるように感じる。ただ、ともにシュートは少なく、スコアが動きそうな雰囲気はあまりない。福岡は慣れない3バックでのビルドアップに加え、マリにそこまで収まっていないので攻撃の形を作れない。

 

大分もかなり最終ラインから蹴っ飛ばす傾向があり、伊佐が頻繁に背後へ動き出す。

 

25分、トレヴィザンとの競り合いで痛む山岸。

→福岡の選手から「×」が出され、急いで準備する金森。ぶつかったときか着地したときに肩を痛めた模様。

28分

福岡交代 山岸→金森

 

31分、福岡先制、1-0。志知のアーリークロスにマリが合わせた。中央のターゲットはマリ1人しかいなかったが、志知がピンポイントで合わせる。普通に考えればゴールの確率が低い選択をしているが、志知のキック精度やマリの強さを考えると有効な手段になり得ることが示された。福岡は攻め手が見つかっていなかったので、シンプルな攻撃で得点を奪えたのは非常に大きい。

 

ロングボール→落とし→シャドーに前を向かせるという狙いがはっきりしている福岡。

相手の3トップに対して、ボランチを1枚下ろして数的優位を作る大分。下田と羽田が流動的にポジションを変える。それに対して福岡は前がボランチを捕まえに行ったり、細かく立ち位置を修正して全体が下がらないようにする。

 

野村が低い位置まで下りてくることから、マーカーの奈良も前へ引っ張り出されるケースが多い。大分としてはそこが1つの狙いどころになりそう。

→野村と奈良はボールのないところでもバチバチやり合っている。

大分がボールを持ち続けて敵陣へも入れているが、急所を付けてはおらず、福岡の逆襲のほうが怖さがある状況。

 

持ち前の我慢強さで守備は安定していたものの、攻撃でどうゴールを取るかがなかなか見えなかった福岡。しかし、シンプルな攻撃からあっさりゴールを奪って自分たちが得意な逃げ切りの形に持ち込んだ。ラインが低くなり、受ける時間が続いたが、前半は1-0で終えられれば十分という考え方だったかもしれない。

一方で大分は良い入りをしながらも、相手の急所へはなかなか迫れず、少しの隙から失点。40分頃からは一方的に攻めたが、割り切った福岡の守備を崩すのは難しかった。引いた相手からゴールを奪うために長沢や呉屋を早めに投入するかもしれない。

 

後半

大分交代 刀根→井上

井上が右WBに入り、小出が右CBへ移る?

大分は後半からシャドーの左右を入れ替えた

 

50分、福岡の良いビルドアップからクルークスのシュートまで。ボランチが浮いた位置でポイントを作れるようになってきたか。

 

後半も大分がボールを持って福岡が低い位置で受ける構図は継続。野村×井上で攻めの引き出しが1つ増えたようにも思えるが、急所に入り込めないのは変わらず。逆に福岡はカウンターでも保持でもゴールへ迫れる回数が増えたような印象を受ける。

「チャンスあるところに野村あり」というような状況なので、野村をいかにゴールへ近い位置でプレーさせられるかが重要になるか。

 

55分

大分交代 伊佐→呉屋

呉屋が抜け出せるスペースは無いようにも思えるが、ゴール前に飛び込んで点を取れる選手というところでの強化か。

 

66分

大分交代 香川、小出→ペレイラ、長沢

 

飲水まで

大分がボールを持って攻める展開が続く。福岡は低い位置で受ける時間が長くなっているが、これ自体は得意なパターンなのでそこまでストレスは感じていないかもしれない。ただ、もう少し高い位置で守備を行うことが理想ではあるだろう。

 

68分

福岡交代 マリ、クルークス→フアンマ、田邉

 

大分は前節・徳島戦でも見せた[4-4-2]オプションに切り替え。2トップ+両SHが内側3レーンに入り、SBが大外の高い位置を取る、極端に言うと6トップのような布陣。ビルドアップは2CBと2CHだけで行う。

 

72分

大分交代 渡邉→小林成

福岡は極力ラインを上げて守ろうとするが、呉屋の“背後一発”が脅威になる。ただ、ラインを下げるとサイドから長沢に放り込まれるので、それも困るといった状況。

大分がリスクをとってきている分、カウンターは打ちやすいが、ロングカウンター向きの選手が少ないので、あまり効果的な逆襲も繰り出せない福岡。

 

82分、中盤で密集をくぐってからサロモンソンに展開する良いカウンター。サロモンソンのキック精度を生かしてピンポイントで合わせ、最後はフアンマに渡ったがシュートはサイドネット。(その前にオフサイド?)

 

85分からは福岡がボールを持って落ち着く時間。大分も攻撃的な姿勢は変わらないが、福岡が慣れてきたのか、少しずつ勢いを吸収されているような印象を受ける。

 

90分

福岡交代 金森→渡

前に出る動きもプレスバックもかなりこまめにやっていたので、途中出場ながらやや疲労が見えていた金森を交代して前線をフレッシュに。

 

最後は危なげなく福岡が逃げ切って1-0で終了。大分がリスク覚悟で攻めの一手を打ってすぐは福岡も嫌がっていそうな空気感があったが、徐々に慣れてくるとトランジションからカウンタープレスをかいくぐり、自分たちの時間を作って安定させた。福岡もトータルで見ると「うまくいっていた」わけではなかったようにも見える一方で、先に1点取ってしまえばうまくいってなかろうと“自分たちの型”に持ち込める強さは感じられた。

福岡は開幕前から掲げていた目標である勝点50を達成。

 

個人的MOM

★志知 孝明

先制点を生んだピンポイントクロスが最大の見せ場と言えるが、詰まったときのサイドでの運び出しや、人への強さ、高さといった攻守両面において“個人の質”が際立った。

 

 

トピックス

額に大きな絆創膏のようなものをつけている志知。札幌戦(?)で流血したのでそれの処置か。

4分、明らかに自分が触ったのに、当前のようにゴールキックにしようとするグローリ

18分、相手DFのパスとトレヴィザンのコントロールを狙ってあわやゴールまでというマリ。抜け目なく狙っていた

23分、対面の選手を出し抜く、前のターン

×山岸が負傷交代

39分、オンプレーでリフティングを始めるマリ。長谷部監督から注意の声を受ける。

42分ころからの奈良と野村のバチバチのやり合い。ボールのないところでもちょっかいを掛け合っている。

前半45分、野村のきれいなターン

46分、野村のヒールパスから井上が突破し、チャンス演出

87分、サイドで孤立した志知が個人で縦に運び出して時間を作る

93分、飛び出してクロスをキャッチする村上。1点リードの最終盤で迷いなく出てこられるメンタルが素晴らしい

試合後、今季限りでの勇退が決まった家本さんに挨拶してお辞儀で別れる長谷部監督。

残留が確定し、「5年周期を終わらせた」Tシャツを皆が着る

 

コメント抜き出し

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ 長谷部 茂利監督 ]
決定的なチャンスが少なく、五分五分のゲームだったと思います。ただ1つのプレーがチームを勝利に導いた、そんなようなゲームでした。失点してもおかしくないようなボールの握られ方もしたのですが、粘り強い福岡らしい守備ができたんじゃないかと思います。また次に向けて修正しなくてはいけないことはいくつもあると思うので、また映像を見て解析していきたいなと思います。

--決勝ゴールを挙げたジョン マリ選手を先発で起用した理由は?
コンディションを含めていろんなことが良い状態だったので、試合で活躍するのではないか、と。また今日も通常の[4-4-2]ではなく1トップの形にしたのですが、その1トップを張れる選手なので、マッチするんじゃないかなという思いもあってスタートから起用しました。

--先制後に守備が効果的になりましたが、どのような修正を?
1人でボールを取りにいっても取れないと思いますし、ジョギングのようなゆっくりとしたスピードで取りにいってもダメで、そのスピード感やいつも言っている守備の強度が足りなかった。加えて連動できていなかった。その2つをチームで実行していこうと、飲水タイムやハーフタイムに伝えました。

--今日の勝利でチームが掲げていた「勝点50」という目標を達成しました。
非常に良かった。目標を立てたときに、いろいろな角度から「そんなに勝点取れるの」という声を耳にしました。開幕戦では負けましたが、それで落ち込むことなく、自分たちのやるべきことをしっかりやって、勝点1を、勝点3を積み上げて、やっとここまで来たので、本当に選手たち、スタッフたちがよくやってくれたと思います。またそれができたのは当然ファン・サポーターの方々の後押し、またスポンサー様のバックアップがあってのことなので、すべての方に感謝したいと思います。

 

[ 片野坂 知宏監督 ]
今季最後の“九州ダービー”ということで、われわれのサポーターもたくさん駆けつけて後押ししてくれたのだが、ダービーで勝って勢いに乗らせることができずに大分に帰らせてしまうことを本当に申し訳なく思う。

今日のゲームは90分通して福岡さんがやりたいことをされた。ここまで勝ってきている要因をゲームで示したのかなと思う。そういう中でわれわれも得点を目指して勝点を取るために出し切ってやったと思う。結局、無得点で終わって、あの1本のシュートからの失点でこういうゲームになってしまい、まだまだ私を含めて力不足だと感じている。

今季は残り4試合しかないので、この負けを引きずらないように、次節はホームでG大阪戦があるので、とにかく今日の悔しい思いをG大阪戦で晴らせるように、そしてまた大分のファン・サポーターとホームで喜び合えるように、しっかりと準備して戦っていきたい。

 

2021 J1リーグ第34節 横浜FCvsサガン鳥栖 メモ

www.jleague.jp

youtu.be

 

 

スタメン

f:id:brgacha:20211104003625p:plain



第8節・川崎戦以来の先発となる田代。小泉も4試合ぶりの先発。

 

横浜FC

[5-4-1]ベースながらラインはかなり高く保ち、高い位置から制限を掛けに行く攻撃的な守備。理想はショートカウンターだが、スペースをもらえればロングカウンターにも出ていける。保持は落ち着く時間を作る手段といった感じで、なかなかチャンスを作り出すまでには至らない。

 

 

鳥栖

ビルドアップからスピードアップした攻撃を狙うのはいつもどおり。ただ、前半の守備は落ち着いており、後半からは奪いに行く守備にシフトチェンジ。それと同時に敵陣でのトランジションの強度も強めた。

アンカー位置は小泉だが、ゲームメイクの中心となっているのは仙頭。左FWに入った選手(小屋松→岩崎)は左流れで深さを取るタスクがメイン。

 

流れ

立ち上がりすぐから鳥栖保持vs横浜FC非保持の構図ができ上がる。

3分、中盤で奪った横浜FCがカウンター。最後はジャーメインのシュート→こぼれ球をミネイロのオーバーヘッド(結果的にオフサイド)。

予想どおり、鳥栖の保持が横浜FCのブロックを上回れるか、横浜FCのカウンターが鳥栖の帰陣を上回れるかの2点が大枠になりそう。

 

開始5分は横浜FCトランジションからペースをつかんでいる。前線3枚が全員速いので、カウンターに弱い鳥栖に対しては相性が良さそう。

 

鳥栖は仙頭が良い位置で受けたり、対面のマーカーをコントロールの時点でうまく外したり、後方のポイントとして機能している。

 

13分、鳥栖は自陣でのパスミスでピンチを招くも朴の好判断で事なきを得る。

その流れでシューターにアフターで突っ込んだ小泉にイエロー

 

横浜FCは引くだけでなく、タイミングを合わせてハイプレスも敢行する。ただ、鳥栖も背後を狙う意識が高そうなので、ラインを高く保つのも少し怖さがあるはず。

→強度高く寄せていくというよりも、全体のラインをかなり上げている印象。

 

鳥栖は非保持局面では、そこまで積極的に奪いに行かない。ボールは大事にするが、リスクを負ってまで取り上げにはいかないというニュアンスがいいか。

 

飲水まで

よりゴールに迫れているのは横浜FC。相手が中盤でミスしようものなら前3人だけで一気にゴールへ迎える。鳥栖は仙頭を軸にして外す作業はある程度できているが、危険なエリアへの進入はできていない。サイドで深さをとろうとするシーンが目立つものの、ここまではあまり機能しているとは言えない。

 

32分、仙頭がPA付近まで上がってきてシュート。小屋松が左流れで深さを作る役に回っているぶん、中には仙頭や中野嘉が入っていく。

 

36分、酒井のシュートはファーポストの外へ。仙頭の剥がすパス→樋口のスルーパスというきれいな流れからのチャンスだった。

 

42分、鳥栖のバックパスをミネイロがさらってカウンター。最後は松尾がシュートもサイドネット。ミネイロと松尾の連係がかみ合わなかった。

 

すでに警告を受けている小泉だが、おかまいなしな感じで激しく寄せてボールを奪いに行っている。

 

横浜FCがかなり高いライン設定で攻めの姿勢を示しただけに、オープンな展開が増えるかと思われたが、両者ともに決定機はそこまで生まれず。横浜FC側はカウンターからのチャンスが何度かあったので、それを決め切れていれば最高の流れだったが、ここまでの展開も決して悪くない。鳥栖は得意のつなぎからゴールへ近づくシーンもあったが、自陣でのロストでピンチを迎えるシーンのほうが強く印象に残っている。個人に焦点を当てると、警告をもらってもなお激しいスタイルを変えない小泉のリスクヘッジをどうするか。

 

後半

前半とは変わって、鳥栖が縦に速い展開で相手ゴールへ迫っていく。相変わらず前がかりなので後方のスペースが空いているが、序盤は島川の好カバーでバランスは取れている。

 

開始10分は完全に鳥栖のペース。横浜FCはボールも持てず、カウンターも打てずという自陣にはりつけ状態に近くなっている。

 

56分、トランジションからの囲い込みで松尾を倒した樋口にイエロー。鳥栖の中盤は2人がリーチ状態に。

 

鳥栖は後半から、“奪いに行く守備”にシフトした印象。

61分、ボールを持ってはいるが、最終ラインからなかなか前進できない横浜FC

62分、敵陣での奪取から久しぶりにカウンターが打てた横浜FC。大畑のカバーがギリギリ間に合い、ジャーメインに満足に打たせなかった。

 

63分

鳥栖交代 酒井、小屋松→山下、岩崎

65分あたりからようやく横浜FCも自分たちの時間を作り始める。

67分

横浜FC交代 ミネイロ→渡邉

 

飲水まで

最初の15分間くらいは完全に鳥栖のペースだったが、横浜FCも少しずつ落ち着き始めてきた。ただ、横浜FCは後半からロングカウンターの攻め手を失う流れになっているので、ボール保持に修正を施すか、ショートカウンターを決め切るしかないようになっているように感じる。

 

鳥栖がボールを持って攻める時間が続くが、相手のシュートブロックを外すまでには至らない。逆に言えば、横浜FCのゴール前の粘りが上回っている。

 

78分

横浜FC交代 武田、ジャーメイン→高木、フェリペ・ヴィゼウ

勝点1ではなく、3を取りにいくことを感じさせる攻撃的な采配。

 

82分

鳥栖交代 中野嘉→相良

83分

横浜FC交代 松尾、安永→中村、アルトゥール・シルバ

 

91分、鳥栖が縦に速い展開から樋口→岩崎で超決定機もシュートはクロスバー直撃。直後の山下のシュートはブロック。横浜FCは命拾い。

92分

鳥栖交代 樋口→リャン・ヨンギ

93分、クイックリスタートから中村→渡邉でシュートまで。その後のシルバのシュートは惜しくも枠外。今度は鳥栖が命拾い。

 

前半は横浜FC、後半は鳥栖、最終盤は互いに決定機があった内容で、トータルで見たら一進一退。横浜FCは選手交代を見ても明らかに勝ちを狙っていた中で引き分けに終わってしまったが、鳥栖に押される時間が長かった中でもゴール前では我慢強く守り切り、無失点で抑えられたのは大きな収穫と言えるだろう。

鳥栖は勝てるチャンスもあったが、総じてゴール前で“なにかあと1つ”が足りない印象があった。横浜FCの守備を褒めるべきなのか、もう1つアクセントを加える必要があるのか、どちらかは不明だが、“良いサッカー”ではあるけど“怖さ”はそこまでない状態になっていた。

 

個人的MOM

★島川 俊郎

前半こそそこまで存在感はなかったが、後半は後方のカバーリングや、クリアをつなぎに変えるプレー選択でワンサイドゲームを影で支えた。

90分を通じてゲームメークで存在感を示した仙頭や、早い時間帯で警告を受けながらも特に後半はクリーンなプレーでボール奪取を続けた小泉も好印象。

 

トピックス

試合前の高橋秀人のJ通算300試合出場達成の表彰で、写真撮影への参加で出てきた娘さんが途中で転倒。ほほえましい1シーン

13分、パク・イルギュのPA外への飛び出しで相手のチャンスを阻止。リスキーだったが好判断

田代とミネイロバチバチマッチアップ

→26分、田代を背負ってから薙ぎ払って突き進むミネイロ

37分、大畑がインターセプトからかなり長い距離を運んでシュートまで

後半開始、試合前のスタメン紹介で中野嘉の写真が間違っていたとの訂正が入る

→金森になっていた…

48分、49分と島川の好プレー

64分、交代で下がった小屋松とキン・ミョンヒ監督がおそらく戦術的な内容の話し合いをしていた

66分、クリアではなく、コントロールを選んでシュートシーンの起点となる島川

84分、タッチライン際ギリギリのボールをトリッキーなパスで残してつなげる樋口

試合後、鳥栖サポーターに挨拶に行く高橋。

 

コメント抜き出し

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ 早川 知伸監督 ]
引き分けという結果になったことを本当に残念に思います。自分たちは勝点3を取るために準備してきて、この結果は悔しいところです。選手たちは最後まで勝点3を取るために戦ってくれました。サポーターの皆さんがたくさん応援に来てくれて、後押ししてくれたことが、本当に心強かったですし、自分たちのパワーにもなりました。

試合の内容は、自分たちが想定する中での前半でした。守備でボールを奪う状況をよく作れましたが、ただ奪い方や、奪ったあとの質のところで、なかなかカウンターを発動できませんでした。後半、自分たちがプレッシャーを掛けられなくなりながらも、よく連係しながら崩れることなく守備ができていたと評価しています。ただ、攻撃で少し単調になったり、ボールを運べなかったところは、自分たちがゴールに向かう、ペナルティーエリアに入っていく、ゴールを奪うために足りない部分だったと思います。最後は打ち合いのような形になりましたが、そこを含めて得点を奪えれば良かったなというところでした。

ここから残り4試合になりますが、可能性がある限り、引き続き戦っていきたいと思います。

--最終盤には左に高木 友也選手、右に中村 俊輔選手が開いて攻撃していたが、簡単にクロスを入れなかったのは?
あくまで選手の判断で、すべて自分がコントロールして「ああしろ、こうしろ」と言うつもりはまったくありません。選手の判断で、いかにペナルティーエリアにボールを運ぶか、相手を揺さぶって入っていけそうか模索しながらやっていたと思います。その判断については尊重していますし、そのプレーが悪いとは思っていません。ゴールを奪えなかった要因はほかにもありますし、無鉄砲にクロスを上げればいいというものではないと思います。

 

[ 金 明輝監督 ]
すごく残念な試合でした。最後の決定機を含めてラストのミスもあって、これくらいが同等かなと思います。攻撃の迫力を欠いていたし、その中でやはり最後の質を上げていかないと得点には至らないのかなと思います。

--田代 雅也選手の起用が当たったと思うが?
見てもらったとおり、戦える選手なので、チームの士気も上がりましたし、今日のタイミングで起用してしっかりそれに応えてくれたと思います。

--攻撃でのメリハリについては?
ゴール前に人が入っていって、ボールも入っていかないと点は取れないので、今までよりもう一歩前にと求めていた。練習から取り組めたし、横浜FCさんもここのところしっかり勝点を重ねているチームなので、ラクには勝たせてもらえない中で、決め切るべきチャンスを決め切るとか、相手にもチャンスはありましたが、われわれにもいくつか決定機はあった。そういったところの質を上げていかなければいけない。

--小屋松 知哉選手を交代させた狙いは?
前半からたくさんアクションを起こしていたので、連戦をにらんだところもある。いろんな兼ね合いでの交代です。