2021 J1リーグ第34節 横浜FCvsサガン鳥栖 メモ
スタメン
第8節・川崎戦以来の先発となる田代。小泉も4試合ぶりの先発。
[5-4-1]ベースながらラインはかなり高く保ち、高い位置から制限を掛けに行く攻撃的な守備。理想はショートカウンターだが、スペースをもらえればロングカウンターにも出ていける。保持は落ち着く時間を作る手段といった感じで、なかなかチャンスを作り出すまでには至らない。
ビルドアップからスピードアップした攻撃を狙うのはいつもどおり。ただ、前半の守備は落ち着いており、後半からは奪いに行く守備にシフトチェンジ。それと同時に敵陣でのトランジションの強度も強めた。
アンカー位置は小泉だが、ゲームメイクの中心となっているのは仙頭。左FWに入った選手(小屋松→岩崎)は左流れで深さを取るタスクがメイン。
流れ
立ち上がりすぐから鳥栖保持vs横浜FC非保持の構図ができ上がる。
3分、中盤で奪った横浜FCがカウンター。最後はジャーメインのシュート→こぼれ球をミネイロのオーバーヘッド(結果的にオフサイド)。
予想どおり、鳥栖の保持が横浜FCのブロックを上回れるか、横浜FCのカウンターが鳥栖の帰陣を上回れるかの2点が大枠になりそう。
開始5分は横浜FCがトランジションからペースをつかんでいる。前線3枚が全員速いので、カウンターに弱い鳥栖に対しては相性が良さそう。
鳥栖は仙頭が良い位置で受けたり、対面のマーカーをコントロールの時点でうまく外したり、後方のポイントとして機能している。
13分、鳥栖は自陣でのパスミスでピンチを招くも朴の好判断で事なきを得る。
その流れでシューターにアフターで突っ込んだ小泉にイエロー
横浜FCは引くだけでなく、タイミングを合わせてハイプレスも敢行する。ただ、鳥栖も背後を狙う意識が高そうなので、ラインを高く保つのも少し怖さがあるはず。
→強度高く寄せていくというよりも、全体のラインをかなり上げている印象。
鳥栖は非保持局面では、そこまで積極的に奪いに行かない。ボールは大事にするが、リスクを負ってまで取り上げにはいかないというニュアンスがいいか。
飲水まで
よりゴールに迫れているのは横浜FC。相手が中盤でミスしようものなら前3人だけで一気にゴールへ迎える。鳥栖は仙頭を軸にして外す作業はある程度できているが、危険なエリアへの進入はできていない。サイドで深さをとろうとするシーンが目立つものの、ここまではあまり機能しているとは言えない。
32分、仙頭がPA付近まで上がってきてシュート。小屋松が左流れで深さを作る役に回っているぶん、中には仙頭や中野嘉が入っていく。
36分、酒井のシュートはファーポストの外へ。仙頭の剥がすパス→樋口のスルーパスというきれいな流れからのチャンスだった。
42分、鳥栖のバックパスをミネイロがさらってカウンター。最後は松尾がシュートもサイドネット。ミネイロと松尾の連係がかみ合わなかった。
すでに警告を受けている小泉だが、おかまいなしな感じで激しく寄せてボールを奪いに行っている。
横浜FCがかなり高いライン設定で攻めの姿勢を示しただけに、オープンな展開が増えるかと思われたが、両者ともに決定機はそこまで生まれず。横浜FC側はカウンターからのチャンスが何度かあったので、それを決め切れていれば最高の流れだったが、ここまでの展開も決して悪くない。鳥栖は得意のつなぎからゴールへ近づくシーンもあったが、自陣でのロストでピンチを迎えるシーンのほうが強く印象に残っている。個人に焦点を当てると、警告をもらってもなお激しいスタイルを変えない小泉のリスクヘッジをどうするか。
後半
前半とは変わって、鳥栖が縦に速い展開で相手ゴールへ迫っていく。相変わらず前がかりなので後方のスペースが空いているが、序盤は島川の好カバーでバランスは取れている。
開始10分は完全に鳥栖のペース。横浜FCはボールも持てず、カウンターも打てずという自陣にはりつけ状態に近くなっている。
56分、トランジションからの囲い込みで松尾を倒した樋口にイエロー。鳥栖の中盤は2人がリーチ状態に。
鳥栖は後半から、“奪いに行く守備”にシフトした印象。
61分、ボールを持ってはいるが、最終ラインからなかなか前進できない横浜FC。
62分、敵陣での奪取から久しぶりにカウンターが打てた横浜FC。大畑のカバーがギリギリ間に合い、ジャーメインに満足に打たせなかった。
63分
鳥栖交代 酒井、小屋松→山下、岩崎
65分あたりからようやく横浜FCも自分たちの時間を作り始める。
67分
飲水まで
最初の15分間くらいは完全に鳥栖のペースだったが、横浜FCも少しずつ落ち着き始めてきた。ただ、横浜FCは後半からロングカウンターの攻め手を失う流れになっているので、ボール保持に修正を施すか、ショートカウンターを決め切るしかないようになっているように感じる。
鳥栖がボールを持って攻める時間が続くが、相手のシュートブロックを外すまでには至らない。逆に言えば、横浜FCのゴール前の粘りが上回っている。
78分
横浜FC交代 武田、ジャーメイン→高木、フェリペ・ヴィゼウ
勝点1ではなく、3を取りにいくことを感じさせる攻撃的な采配。
82分
鳥栖交代 中野嘉→相良
83分
横浜FC交代 松尾、安永→中村、アルトゥール・シルバ
91分、鳥栖が縦に速い展開から樋口→岩崎で超決定機もシュートはクロスバー直撃。直後の山下のシュートはブロック。横浜FCは命拾い。
92分
93分、クイックリスタートから中村→渡邉でシュートまで。その後のシルバのシュートは惜しくも枠外。今度は鳥栖が命拾い。
前半は横浜FC、後半は鳥栖、最終盤は互いに決定機があった内容で、トータルで見たら一進一退。横浜FCは選手交代を見ても明らかに勝ちを狙っていた中で引き分けに終わってしまったが、鳥栖に押される時間が長かった中でもゴール前では我慢強く守り切り、無失点で抑えられたのは大きな収穫と言えるだろう。
鳥栖は勝てるチャンスもあったが、総じてゴール前で“なにかあと1つ”が足りない印象があった。横浜FCの守備を褒めるべきなのか、もう1つアクセントを加える必要があるのか、どちらかは不明だが、“良いサッカー”ではあるけど“怖さ”はそこまでない状態になっていた。
個人的MOM
★島川 俊郎
前半こそそこまで存在感はなかったが、後半は後方のカバーリングや、クリアをつなぎに変えるプレー選択でワンサイドゲームを影で支えた。
90分を通じてゲームメークで存在感を示した仙頭や、早い時間帯で警告を受けながらも特に後半はクリーンなプレーでボール奪取を続けた小泉も好印象。
トピックス
試合前の高橋秀人のJ通算300試合出場達成の表彰で、写真撮影への参加で出てきた娘さんが途中で転倒。ほほえましい1シーン
13分、パク・イルギュのPA外への飛び出しで相手のチャンスを阻止。リスキーだったが好判断
→26分、田代を背負ってから薙ぎ払って突き進むミネイロ
37分、大畑がインターセプトからかなり長い距離を運んでシュートまで
後半開始、試合前のスタメン紹介で中野嘉の写真が間違っていたとの訂正が入る
→金森になっていた…
48分、49分と島川の好プレー
64分、交代で下がった小屋松とキン・ミョンヒ監督がおそらく戦術的な内容の話し合いをしていた
66分、クリアではなく、コントロールを選んでシュートシーンの起点となる島川
84分、タッチライン際ギリギリのボールをトリッキーなパスで残してつなげる樋口
試合後、鳥栖サポーターに挨拶に行く高橋。
コメント抜き出し
(※Jリーグ公式サイトから引用)
[ 早川 知伸監督 ]
引き分けという結果になったことを本当に残念に思います。自分たちは勝点3を取るために準備してきて、この結果は悔しいところです。選手たちは最後まで勝点3を取るために戦ってくれました。サポーターの皆さんがたくさん応援に来てくれて、後押ししてくれたことが、本当に心強かったですし、自分たちのパワーにもなりました。試合の内容は、自分たちが想定する中での前半でした。守備でボールを奪う状況をよく作れましたが、ただ奪い方や、奪ったあとの質のところで、なかなかカウンターを発動できませんでした。後半、自分たちがプレッシャーを掛けられなくなりながらも、よく連係しながら崩れることなく守備ができていたと評価しています。ただ、攻撃で少し単調になったり、ボールを運べなかったところは、自分たちがゴールに向かう、ペナルティーエリアに入っていく、ゴールを奪うために足りない部分だったと思います。最後は打ち合いのような形になりましたが、そこを含めて得点を奪えれば良かったなというところでした。
ここから残り4試合になりますが、可能性がある限り、引き続き戦っていきたいと思います。
--最終盤には左に高木 友也選手、右に中村 俊輔選手が開いて攻撃していたが、簡単にクロスを入れなかったのは?
あくまで選手の判断で、すべて自分がコントロールして「ああしろ、こうしろ」と言うつもりはまったくありません。選手の判断で、いかにペナルティーエリアにボールを運ぶか、相手を揺さぶって入っていけそうか模索しながらやっていたと思います。その判断については尊重していますし、そのプレーが悪いとは思っていません。ゴールを奪えなかった要因はほかにもありますし、無鉄砲にクロスを上げればいいというものではないと思います。
[ 金 明輝監督 ]
すごく残念な試合でした。最後の決定機を含めてラストのミスもあって、これくらいが同等かなと思います。攻撃の迫力を欠いていたし、その中でやはり最後の質を上げていかないと得点には至らないのかなと思います。--田代 雅也選手の起用が当たったと思うが?
見てもらったとおり、戦える選手なので、チームの士気も上がりましたし、今日のタイミングで起用してしっかりそれに応えてくれたと思います。--攻撃でのメリハリについては?
ゴール前に人が入っていって、ボールも入っていかないと点は取れないので、今までよりもう一歩前にと求めていた。練習から取り組めたし、横浜FCさんもここのところしっかり勝点を重ねているチームなので、ラクには勝たせてもらえない中で、決め切るべきチャンスを決め切るとか、相手にもチャンスはありましたが、われわれにもいくつか決定機はあった。そういったところの質を上げていかなければいけない。--小屋松 知哉選手を交代させた狙いは?
前半からたくさんアクションを起こしていたので、連戦をにらんだところもある。いろんな兼ね合いでの交代です。