がちゃのメモ帳

Jリーグをメインに、いろいろな感想を残していきます

【FC東京企画】 「この選手が欲しい!」 ~独断と偏見の移籍市場~ 

がちゃです。

 

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J1も前半戦を終えて折り返し。

夏の移籍期間も始まるということで「FC東京に来てほしい!」という選手を好き勝手に考えていきたい。

ただ、単純に欲しい選手だと無限に出てきてしまうので、今のFC東京のサッカーに合いそうな選手を探すことにする。

 

 

 「そんなの現実的じゃない!」


っていうマジレスはやめてくれよな!

 


 

FC東京のスタイルについて

普段J1リーグを見ている方ならご存知だと思うが、一応さらっと紹介。

フォーメーションは4-4-2のフラット。

4-4ブロックを敷いて中央を固めてがっちり守り、2トップの個人技をメインとしたロングカウンターがストロング。

2トップに求められるのは一人でもなんとかできる能力。その他のポジションはとにかく走れて、守備のカバーリングの約束事をしっかり守れる戦術理解度の高さが求められるだろうか。

 

 

2トップ

1人だけでもなんとかできてしまう能力が欲しい。

 


パトリック(広島)

ガンバ時代に長谷川監督が起用していた重戦車。

フィジカルが鬼のように強く、とにかくロングボールを入れておけば敵陣に入れるし、あわよくばゴールまで一人で行ける。セットプレーやクロスの圧倒的なターゲットにもなる。ボールを奪ったら「とりあえず行ってこいパトリック!」でなんとかしてもらおう。

 


アダイウトン(磐田)

フィジカルが強く、推進力も突破力もあって一人で色々できる。磐田でもとりあえず預けておけば何かを起こしてくれる雰囲気を出す。アダイウトンとディエゴの2トップとかやばくない?興奮しない?胃もたれしない?

 

 

前田大然(松本)

永井枠。わかりやすく速い。ボールを持っているときのスピードなら永井よりも速いかもしれない。器用なことをさせるよりもスペースに走らせるのが一番生きるので、FC東京陸上部に入ろう。

 

 

SH

前線へのプレスやSBと連動した守備ができることがマスト。

それに加えて、スペースでの運ぶドリブル・ラストパス・突破力等、得点に直結する能力があるとなお良い。

 


和泉竜司(名古屋)

名古屋のアタッカーの中でも守備の献身性が一番感じられる。風間監督の下で磨かれたボールスキルはもちろん、ドリブルもうまく、得点も取れる。フィジカルもけっこう強いのである程度の無理が効く部分も好印象。うちだったら急にSBやらされなくてすむよ!

 


金子翔太(清水)

前プレもプレスバックも強度があって、ボールを奪える選手。小柄だが、足元のテクニックがあり、キープ力は非常に高い。シュートも上手いし、推進力もあって縦に速い攻撃には向いている。

 

 

小野裕二鳥栖

ボールを持った時にワクワクする選手。個人的には久保建英の枠に入れるなら一番適任なんじゃないかと思う。自分でも突破できるし、ゴール前に出すラストパスも精度が高い。2列目からダイレクトに得点へ絡める選手。

鳥栖で鍛えられたことで守備の問題もそんなにないだろう。

けっこう真面目に今一番欲しい。

 


CH

ひたすらSB-CB間のカバーと中央のボールホルダーへのアタックを繰り返せることがマスト。中央にがっしり構えて強度が伴った守備をしてほしい。

 


三竿健斗(鹿島)

前からかなり好きな選手。全体を見て的確な判断ができる。人を潰す守備もスペースを埋める守備もできる。ショートパスも安定していてボール保持時には後ろでバランスを取れる。

東京に欲しいというか、普通に日本代表でレギュラーを取ってほしいと思っている。

 


レオ・シルバ(鹿島)

連続で鹿島。あんまり説明がいらない気がする。一人で奪えるし、カバーできるし、シュートすごいし、言うことない。三竿、レオシルバに加えて永木もいるから鹿島のCH選手層おかしい。一人は譲らなきゃだめだよ。

 


ヘナト・アウグスト(清水)

 勝手にレオ・シルバと同タイプだと思ってる。積極的に前に出て刈り取るイメージがあるが、DFラインのカバーはたぶん日本人より忠実にやってくれる。プレーエリアが広くてボールを奪える。185㎝と上背があるのもいいね。

 


SB

地味に今年のポイントになっているポジション。ボールホルダーに強く当たれて、1対1の強さが必要。ビルドアップの関与ができたり、クロス精度があるとなおよい。

 

松原后(清水)

上下動できるし、守備でも強く当たっていける。SBとしては上背もあるし、高さ勝負でも簡単に負けない。小川と同じような役割を任せるなら松原しかいないと思う。なんか清水ばっかりになっちゃったね。

 


CB

とにかくクロスを跳ね返してほしい。あとは相手DFラインの裏に正確なボールを蹴れるとなお良い。 

 

 

マテイ・ヨニッチ(C大阪

とにかく跳ね返せるといったらすぐに思いついた。ゴール前を守らせたら鉄壁の番人。セレッソ以外のサポーターは「あー、ヨニッチ邪魔だよ!!」という場面が何度もあったんじゃないだろうか。

うちでひたすらクロス跳ね返してみない?

 

 

 

以上!


けっこう真剣に考えてみたけど、SBって合いそうな選手があんまりいない。室屋と小川の壁ってけっこう厚いんじゃないかというのは感じた。

最多選出チームは計3人で清水。やや似たチームスタイルなので妥当かな。

 

 

 

みんなも好き勝手妄想して楽しもう!

 「この選手もいいよ!」っていうのがあれば教えておくれ!!


J1リーグ第17節 FC東京vs横浜F・マリノス レビュー

がちゃです。

 

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プレビューはこちら。

 

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スタメン

 

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東京は前節からメンバーの変更はなかったものの、SHの配置を変更。東が左→右、サンホが左→右と左右を入れ替えてきた。

右だと少し窮屈そうだったサンホのドリブルを生かすことが第一だろう。マリノス右の和田と比べると比較的外めに上がってくるティーラトンの対策もあったかもしれない。 

 

マリノスはマルコス・ジュニオールが出場停止明けでスタメンに復帰。前々節と同じ布陣となった。

また、コパアメリカ帰りの三好が少ない休みの中でベンチ入り。

 

 

前半

 

プレス基準

まず開始早々に東京が前から行く姿勢を見せる。

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※噛み合わせ図

エジガルとマルコス以外は1対1が成立しており、ベースポジション通りの立ち位置であればフォーメーションがかみ合ったまま前から捕まえることができる。 

このマーク基準で東京はプレスをかけていき、キックオフ直後には東がティーラトンを捕まえて潰すことに成功した。3分頃にも同じような形で東がティーラトンから奪い取ってショートカウンター!という現象が起こせたので、東京としては一つのねらい目だが、マリノスもそれに気づいていたはずだ。

 

マリノスはボール保持においてポジションチェンジを頻繁にしてくるチームであり、度々ベースポジションからいなくなる。

プレスの基準である選手が目の前からいなくなると誰を見ればいいのかがわからなくなり、ボールを奪いに行くことが難しくなった。

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※イメージ

部分的にマンマークで対応することもあるが、基本はゾーン対応。人を捕まえることよりも場所を守ることを優先する。捕まえられないのであれば、ボールを持たれることは許す。

ここについては試合前から予想されていたことなので、特に問題はなかった。

 

東京としてはSH・CHにカバーリングをしっかり行わせて、がっちり守る。そこからボールが奪えたところでショートパスで繋ぎ2トップへ、というカウンターを仕掛けたいが、マリノスのネガトラの速さや2CBの対応によってほとんど攻撃のシーンが作れない。また、東京も後ろからボールを繋ぐ気がほとんどなく、東京が最終ラインでボールを持つビルドアップのシーンも全くと言っていいほどなかった。(このこと自体は別に悪いことじゃない)

パスミスや競り合いで負けたところから速攻であわや失点というシーンも作られて、序盤はマリノスペースで進んだ。

 

2分間で生まれる先制点と同点弾

 

そんな中、15分に先制したのはマリノス。右で仲川に抜けられたところから中央でマルコスに押し込まれる。喜田から出たパスがラインを割ると判断したのか、小川の対応が明らかに遅れたことで縦を切れずにクロスを許した。

 

PA付近での攻防については判断ミスや技術的なミスの要素が強いので少し巻き戻したところを見直していきたい。

 

この失点シーンの起点としてはチアゴ→和田→喜田→仲川というパスルートだった。

アゴが持った段階でマリノスの選手はほぼベースポジションにいて、東京も陣形が整っていた。配置的にはプレスをはめられる状況はできている。

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しかし、チアゴ→和田のパスの段階でサンホが寄せきれずに前向きでのパスを許した。ボールが動いている間に相手へ寄せるのが重要なのだが、この時のサンホは和田がボールを持ってから寄せている状態に近かったため、ボールホルダーへのプレッシャーがあまりかかっていなかった。

喜田がサイドに流れてきてワンタッチで出したパスも素晴らしかったが、サンホのところで蓋ができていれば未然に防げていたのかなと個人的には感じた。

この試合では控えに回った大森はこのような寄せるタイミングを間違えることが少ない選手なので、健太サッカーでレギュラーになるためにはそこの改善は必要なのかもしれない。

 

 

この失点直後の17分、東京がすぐに追いつく。

林のロングキックから髙萩が和田との競り合いを制し、サンホのところで1対1の状況を作る。カットインからのミドルがGKパク・イルギュのファンブルを誘ってゴールへ吸い込まれた。

何でもないところから突破力にストロングを持つサンホが1対1を仕掛ける場面を作ることに成功。髙萩が高い位置に残るという(たぶん本人の判断で行う)攻撃的オプションがすぐに得点に結びついた。

痛恨の失点を喫した1~2分後にスコアをイーブンに戻せたことはメンタル的にも非常に大きな1点だった。

 

 

東京守備の変化

 

このスコアが動いた後くらいから、東京のプレスラインがハーフウェイラインより少し前あたりまで下がった。

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この変更によって前から奪いに行けなくなり、マリノスのCBや下りたCHはフリーになってしまうが、東京の陣形は全体がコンパクトになり、ライン間を狭くできる。

東京はパスを受けるレシーバーを捕まえて、そこからカウンターに転じることを目指したいというところだろう。26分に橋本が喜田を潰したところから生まれたカウンターはまさに狙い通りだったと思う。

 

対して、マリノスはポジションチェンジによって東京選手の守備基準を2つ持たせる、または基準をずらしてフリーの選手を作る作業を繰り返し狙う。

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※基準ずらし一例

→東のマークをティーラトンから畠中にずらすことでティーラトンにマークがいない状況を作る。髙萩は喜田を、室屋は遠藤を見ているので受け渡しができなかった。

 

 

先制点のシーンの喜田もそうだったが、中央にいる選手がサイドへ流れることによって、マークがついてこなければフリーになり、ついてくれば中央のパスコースが空くという動きも頻繁に行っていた。

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 ※イメージ 

 

CKからのカウンター設計

 

38分にCKからのカウンターで永井が決めて東京が勝ち越し。

林がキャッチしたところから左に流れた髙萩へ渡し、後ろからフルスプリントで中央へ突っ込む永井へロブパス。

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この直前にも全く同じ形でのカウンターが発動しており、完全に狙っていた形での追加点となった。1回目は左足で失敗したので、2回目はしっかり利き足の右に持ち替えてからパスを出した髙萩。マリノスとしてはそれを許してしまったことが痛恨だったかもしれない。

 

ここまでほぼ完ぺきに東京2トップを抑え込んでいたマリノス2CBだったが、自分のポジションにいなければ抑えようがない。

対CBが厳しいなら、CBが攻めあがったところを狙えばいいじゃん!というCKからの設計はお見事であった。

 

前半まとめ

ある程度狙いも出せてリードで折り返せたが、主導権を握れているとは言いにくい内容だったように感じる。ライン設定の変更も含めて、中央を固めることで最後のところはやらせないという徹底はできていたが、サイドでの1対1で優位性を持てなかったことはやや出てしまった気がする。

 

マリノスはマークにつかれないポジション取りが秀逸で中盤エリアまでは困ることなく運べるが、SB-CB間のスペースが塞がれたり、中央を狭くされたことで敵陣での攻撃の停滞感はあったように見えた。

 

後半

 

サイドでのバトル

 

前半と流れは同じで東京はライン設定を低くしてマリノスがボールを持つ。マリノスはWGからの仕掛けを意識的に行うようになった気がする。

遠藤と仲川がハーフスペースあたりで仕掛ける。PA付近での1対1だとマリノス側に優位性があり、クロスやシュートを許していた。一方でPAから少し離れた位置で室屋・小川が自分の射程距離に収めることができればボールの奪いどころになり、東京が優位性を持っていたように見える。 

マリノスの両WGに高い位置で持たれないようにすることが重要になる。

 

 

55分、東京に追加点。上記のように中盤エリアで室屋が遠藤からボールを奪ったところから髙萩→永井のパス。和田がポジション移動によって留守にしている場所を永井が取って、PA内まで運ぶ。そこからチアゴとの1対1を制してクロスを上げきり、ファーで待つディエゴへ。ディエゴのマークが天野だったので上げた時点で勝負ありだった。

 

後半大きなポイントになりそうだった東京SBvsマリノスWGのバトルで勝ち、和田の空けたところ、というわかりやすい狙いどころを突けた良い攻撃だった。

 

 

62分、さらに追加点。

中央の密集で奪い取ってからサンホが単独で陣地を回復する持ち上がり。速攻を仕掛けたかったが、うまくいかずスピードダウンして珍しく遅攻の時間を作ったところから小川→永井のスルーパス

ここまでの展開で東京2トップvsマリノスSBを作り出せれば1対1の質的な部分で優位性があったので、結果的にそこを突いた永井が和田とのバトルを制して、こぼれがディエゴに。

小川へのプレッシャーも強くなく、この試合で数回しかなかったマリノスセット守備の隙を突くことができた。

 

 

 

マリノスはパスを回しながら、4-4の前やボールサイドのハーフスペースが空くのを伺う。東京のCHはSB-CB間を埋める・4-4ブロックの前で持つ選手に寄せるというタスクを持っているため、素早く動かされるとその2つを両立することが難しくなる瞬間が出てくる。

これを防ぐためにディエゴをPA前くらいまで低い位置でサポートさせて、ブロック外のホルダーにプレスがかかるようにする。

 

57分天野→仲川、68分天野→エジガルの決定機二つはその隙が生まれてしまったシーンだった。前半42分のマルコス→仲川も4-4前でフリーになったところから配球されており、東京としては天野とマルコスをブロック前中央でフリーにさせるのは厳禁といった状況であった。

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※57分のシーンイメージ

 

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※68分のシーンイメージ

 

 

また、仲川の突破力という質的優位を生かして2人を引き付ける+マルコスのサポートで右からのシンプルな崩しも狙っていた。

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マリノス左サイドではボールを動かすことでDFの隙を作る、右サイドではシンプルに捌いて縦に速く、という攻撃に見えた。

 

 

選手交代

 

70分を過ぎると両チームとも一気に選手交代を行う。

東京

72' 髙萩→アルトゥール・シルバ

77' 永井→大森

 

おそらく疲労を考えた交代。髙萩は2日前のカップ戦でも出場しており連戦を考慮、永井は足をつっていた。

 

マリノス

75' 天野→三好

81' マルコス→山谷

ボールの循環を円滑にできて仕掛けもできる三好を投入したので、ポジションがやや被りそうなマルコスを下げてゴール前で仕事をする人を増やす意味で山谷を入れたというところだろうか。

 

 

三好がリンクマンとなることでボールの動きが円滑になり、マリノスは得点の雰囲気が増した。また、意識していたかは分からないが、大外から逆サイドのSB、またはその背後を狙うようなクロスが増えてくる。

83分の失点はまさにその形だった。

ワンツーでサイドを突破されてから、大外の遠藤から中に入ってきた仲川へのクロス。

東京は中央を埋めることを優先するため、絞ったSBの背後のケアはどうしても難しくなる。そこを狙われたクロスだった。

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その後はシルバの不用意なロストなどから2~3度危ないシーンはあったが、ゴール前だけは絶対にやらせない気合で守り切って試合終了。

 

FC東京4-2横浜F・マリノス

 

 

まとめ・感想

 お互いに自分たちのスタイルを曲げない同士のぶつかり合いだった。結果的にグーで殴り勝ったのは東京になったが、スコアほど完勝とは言えないギリギリの試合だったように思う。

多くの時間では中央を固めた守備で守れていたが、さすがは最多得点チームといったところで、少し隙を見せると危険なシーンを作られた。崩されて訪れた被決定機を決められなかったことや、前半の失点後にすぐに追いつけたことは運に恵まれた。

 

 

2位のチームに勝てたこと、4得点取れたことを考えると非常にポジティブであることは間違いないが、根本的な問題は解決していないため、浮かれるのはまだ早い。

2トップが生きる裏のスペースを空けてくれるという意味では相性のいい相手であったために、元々あったストロングが引き出された結果である。マリノスは自分たちのやり方を貫くことで結果を出していたので殴り合いにつき合ってくれたが、他のチームが同じ戦い方をしてくれるわけではない。事実として、セレッソや仙台にはその強みを消されていた。

 

今後、そのような”FC東京対策”をされたときにどう解決するのかが重要なポイントだ。

 

 

選手評

◇アルトゥール・シルバ

完全受け身の状態で投入され、ボール奪取能力の高さを生かして守備ではいい働きができたが、その後の繋ぎには大きな不安があった。ボールを持った時の判断が悪く(サポートも薄かったかもしれないが)、相手のカウンターを誘発してしまうパスミスが目立った。繋ぎの部分が改善されれば、もっと起用時間も伸びそうな雰囲気はある。

 

 

◇ナ・サンホ&大森

大きく括ると攻撃的なサンホ、守備的な大森という分け方になっている。

この試合ではサンホのプレスの甘さが個人的には気になった。前半の項でも記載したが、状況に応じた守備の位置取りが安定すれば、間違いなくレギュラーだと思う。

一方で大森はボールから離れるサポートがサンホより劣るように思う。サンホはボールホルダーの前に抜けることでマークを引き付ける間接的なサポートやスペースへの抜け出しができるのだが、大森は足元で受ける動きが多く、ボールを受けたときに詰まってしまうことやDFをボールから遠ざけられないシーンが見られる。

 

使い分けでも良いが、お互いの能力向上によってチームのレベルアップに繋がると一番良いと思う。

 

おまけ

 

横浜FMのpick up player

◇和田 拓也

結果的に失点に絡むシーンが目立ってしまったが、チームの構造上仕方ない部分もある。

それよりも評価すべきはボール保持時のポジション取り。かなり自由な動きを許されており、DFからのマークを受けないポジション取りが非常にうまい。相手DFの意識が外に行っていれば中央の選手間で待ってパスを引き出す等、SBらしからぬ感覚を持っている。ポジショナルプレーという今時なサッカーに適した戦術眼を持ち、マリノスのサッカーには欠かせない選手だと感じた。

 

 

 

 

 

 

単独首位で折り返すことに成功したが、まだリーグ戦は半分終わっただけ。

ここからがクラブの真価が問われるときである。

J1リーグ第17節 FC東京vs横浜F・マリノス プレビュー

がちゃです。

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ついにJ1も折り返し地点。

 

 

スタメン予想

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主な欠場者

FC東京

ジャエル(怪我)

田川(怪我)

 

横浜FM

◦扇原(怪我)

◦ドゥシャン(怪我)※練習復帰の情報あり

(◦三好 ※コパアメリカ帰りのため)

 

東京は大森が先発と予想。ベースはいつも通り。 

 

マリノスはマルコスジュニオールが出場停止から復帰予定。

最近はマルコスシステムと呼ばれる(マリノスサポさんから引用)中盤を正三角形にした4-3-3(4-2-1-3)を使用。マルコスが様々な場所で+1を作る役割を果たす。

 

東京は直近の水曜日にルヴァンカップを戦っているが、リーグ戦の主力で出場したのは林、小川、大森くらい(途中出場で髙萩とディエゴ)だったので、疲労的な部分で大きな差は出ないと思われる。

 

横浜FM分析

ボール保持

ビルドアップ

 3トップは高い位置に張り、中盤+両SBが流動的に動きながらパス交換をしていく。大外に張るWGへ届け、そこから攻撃のスイッチを入れるパターンが多い。

中心は2CBと喜田。彼らは基本的に中央にとどまって配球役。他の選手は立ち位置が被らないようにしながらポジションを入れ替えてレシーバー役となる。

 

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特に特殊なのがSBのポジショニングだろう。左のティーラトンは内に入ってくるが、やはり得意なのは外での仕事。左WGの遠藤を少し内側に入れることで大外のスペースを空けてからそこへ走りこんでのクロス等、一般的なSBとしての振る舞いで良さが出るタイプに見える。

一方で和田は最終ラインに残ってビルドアップに参加したり、CHのような位置に入ったり、大外で幅を取ったり、ハーフスペースに飛び込んできたり、本当に何でもやる印象。状況に応じたプレーができる反面、ポジションチェンジが激しいので、ネガトラ時にベースポジションに戻る労力は大きくなる。和田のところを他の選手が埋められるかは一つのポイントかもしれない。また、代わりに埋めた選手が東京の2トップを抑えきれるのかという部分も大事になる。

 

マリノスのパス回しは簡単に捌いてテンポを出すもよし、前を向ければなおよしといったところ。一つのパスが無駄になっても、相手に意識付けをさせることでそれが布石となる場合がある。直近のルヴァンカップホームセレッソ戦で見られたが、外へのパスが続いたことでDFの意識が外に向いてしまい、CBから一発で中央裏へのスルーパスを通されたプレーがあった。マリノスもこういった餌をまくようなパスがあるので注意したいところ。

この流動的なポジショニングが非常に厄介なので、持たせてもokな場所と自由にさせたくない場所の基準をしっかり持つことが重要になる。

 

また、1試合に何度かビルドアップでのミスも起こる。最近ではミスの後に上手く消すことができていて、致命傷になるようなシーンは多くないが、ここの少ないチャンスを仕留めることができればかなり有利に試合を進めることができそうだ。

 

崩し

大外のWGに届けたあとはすぐにマルコス(場合によってはSBやCH)が同サイドのハーフスペースへ走りこむ。そこへ出してからのマイナスクロスかWGのカットインからシュート・クロスを狙うパターンが多い。

マリノス攻撃の肝はWGを軸としたハーフスペース攻略。

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このハーフスペースには天野が入ることもあればティーラトンが来るケースもある。誰がここに入ってくるかはその時の配置で変わってくる。

東京視点で言えばCHの二人がハーフスペースを埋め、SHがカットインのコースを切るサポートを愚直に続けていくことが重要になるかなと思う。

 

基本はWGを軸にした攻撃だが、裏のスペースがあればシンプルに仲川を斜めに走らせる。また、中央が空いていれば、中央のエジガルへ縦に通してそのままフィニッシュを狙う。当然だが、ゴールまでの最短距離で行けるルートが空いているのであればそちらを使ってくる。

 

ボール非保持

 マリノスは基本的にボールを持って支配したいチーム。そのため、ハイラインかつ積極的なプレッシングを行う。

対4バックであればマルコスをトップ近くにした4-4-2のような形でプレッシングを行うだろう。

東京としてはハイプレスは好都合。自陣に引き込んでから空いた裏のスペースに自慢の2トップを走らせる。この時の要注意人物はチアゴ。彼は異常に速くて強い。2018アウェイでの戦いではディエゴが彼に完封されたのも記憶に新しい。畠中も決して弱い選手ではないが、チアゴと比べるとさすがに劣る。そちらサイドを狙っていきたいところだ。

 

また、WGの守備の戻りも一つのポイント。仲川も遠藤も守備意識は高いように見えるが、チームとしてWGの選手は極力前に残しておきたいという考えがあるのか、戻りが遅れてCHの脇が空く時がある。そこをうまく利用して一瞬の隙を突ければカウンターでなくても得点のチャンスはあるだろう。

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注目ポイント

毎度のテーマにはなるが、まず東京が引いて守るか、ハイプレスをかけるか。

14節大分戦で突然ハイプレスを仕掛けたことを考えると序盤からハイプレスをかけていく可能性は大いにあると感じる。

昨年度にホームで対戦したときはFKで先制したことも影響したが、ハイプレスからのショートカウンターが完璧に決まったことで試合の主導権を握ることができた。しかしながら、その時と現在ではメンバー構成もチームの完成度も異なる。むやみに突っ込んで先に失点すると今のチームで複数得点を取るのは簡単ではないので、非常に難しい試合になってしまう。

 

ハイプレスを行ってほしい一つの理由としてマリノスは勝ち点を落としている試合の多くで前半10分以内に失点を喫しているというデータがある。
1点差くらいであればひっくり返せる攻撃力はあるものの、ゲームプランが崩れるとなかなか立て直せない傾向は薄っすらと見える。開始早々からの攻撃的な仕掛けで先制点を奪い、そこからは相手がバランスを崩すタイミングを伺う流れにできれば最高の展開だろう。

 

もしハイプレスを敢行するなら、前回対戦のように中に入ってくる相手SBに東京SHがずっと一緒についていくことや、下りる相手CHに東京CHがどこまでもついて行く等、かなり偏った対応が必要になってくる。特殊な戦い方をする相手に対して、攻撃的な姿勢を見せるなら、こちらも特殊な形で守らなければならなくなる。

また、1対1でのバトルやトランジション対応の速さは言うまでもなく重要で、そこで負けないことは絶対条件である。

 

 

 

リーグ前半戦の最後が首位攻防戦となった。

勝利したチームは勝ち点3を獲得するとともに、相手チームから勝ち点3を奪うことができる。一試合で実質6ポイント分の価値があるシックスポインターと呼ばれる試合である。

 

直近のリーグ戦は二連敗と結果的に久保建英ロスを感じざるを得ない状況となってしまっているFC東京

 

試合後にはその久保建英の退団セレモニーが行われる予定だ。

久保もかつて在籍したマリノスを相手にしっかりと勝利し、気持ちよく海外へ送り出したい。

コパアメリカ 日本vsエクアドル レビュー

がちゃです。

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チリ戦レビュー

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ウルグアイ戦レビュー

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他グループの結果によって、この試合の勝者は自力で決勝トーナメントに上がることができる。引き分けであればどちらも敗退。両者が勝ち点3を取りに行く試合となる。

 

 

スタメン

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日本はウルグアイ戦から1名変更。

安部→久保

エクアドルも前節チリ戦から1名のみ変更。

 

日本は保持時4-2-3-1、非保持時4-4-2。

エクアドルは4-1-4-1ベースで中盤の1-4を流動的に動かしてくる。

 

 

前半

 

突っ込んでくる中盤

エクアドルは4-1-4-1セットから中盤の4を前に押し出したプレスを仕掛ける。4-1-4-1だと4バックに対して、IHを一人前に出すようにして同数のプレスをかけるのがよくあるパターン。エクアドルもおおよそそのようにプレスをかけるのだが、かなり攻撃的だった。IHを1枚出すだけではなく、もう1枚のIHやSHも前に出てくるのでアンカー脇はかなり空きやすい状況になっていた。

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※イメージ

前に出てプレスをかけてくるが、ボールホルダーに対してそこまで制限をかけられていないことが多く、配球にもそれほど困っていなかった。さらにこの試合では三好と久保というスペースを見つけてうまく受けることのできる選手を2列目に2人起用していたことで、エクアドルのこの弱点をうまく付くことができていた。

 

前半15分に生まれた日本の先制点も久保のパスでエクアドル中盤4のラインを越えて中島がスペースを利用した展開だった。運びながらラストパス・シュートができる中島のストロングを生かせた場面だった。

 

 

このエクアドルのプレスはなかなか無謀には見えたが、日本も危ない場面はあった。

中盤のラインを突破し、2列目の選手に届けようとしたところでDFに背後から当たられてロスト。そのままPA付近まで運ばれて被シュートということもあった。

エクアドルの選手は体のバネがあって、身体能力に優れている印象を受けた。プレーの精度こそ高くないものの、シュートは強烈、スピード・フィジカルは抜群だったのでセットプレーや広いスペースでの勝負を極力減らすという作業が日本としては必要になりそうだった。

 

 

エクアドルのボール保持

先制前まではエクアドルCB→SBの横パスをスイッチにSHが強く寄せていくような日本のプレス。これに対してエクアドルはSB→IHのパスとCBからのロングボールくらいしか打つ手がなく、個人能力で打開されなければ特に何か起こる雰囲気はなかった。

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(図中ミスで両方点線になってしまっていますが、直線が人の動きで点線がボールの動きです)

前述したようにエクアドルとしては前線の4-1の5人でプレッシャーをかけて奪いきることが流れの中で点を取る可能性の高い手段だったように思う。

 

エクアドルには持たせても怖くないということで日本は先制後から無理に追いに行かずボールを持たせる選択をする。

エクアドルのCBは右のミナからのロングフィードがあるくらいで、そこまでボール扱いが上手なタイプではなく、放置していてもロングボールを蹴るくらいしかできない。アンカー(DH)やIHを最終ラインに下ろしたり、SHを日本中盤選手の前に下ろして起点を作ろうとしたが特に困ることもなく、結局ロングボールを入れてくるのであった。

 

しかし、生まれる同点弾。

35分にCKの流れからロングボールをPA内に入れられて、岩田が対応を誤り被シュート。一度は川島が防いだもののこぼれ球を押し込まれた。

 

失点シーンだけ見るとボールの出所を抑えられなかったこと、岩田がかぶってしまったことが直接的な問題点だったと思うが、もう少し遡るとCKを与えるきっかけになったのは左サイドの守備だった。

エクアドル右CBから右SBにパスが出て、縦の突破を試みてきた。これに対して中島もついていくがボールの前に立つことはできず前進を許す。杉岡が引き出された裏へ走っていたIHに繋がれたところからクロスを許し、そこから生まれたシュートを三好がブロックしたボールがCKとなっている。

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※イメージ

この試合では板倉のスライド&カバーで左サイドの守備をぼかせていたが、このシーンでは中島がついていったことで板倉は中央でステイしていた。そこで振り切られてのクロス。こじつけっぽくなってしまって申し訳ないが、やはり中島の守備はどうしても気になってしまった。先制できたこと、日本がボールを保持できれば得点が取れそうなエクアドルの守備を考えたらなおさらだ。

 

前半感想

エクアドルの1stプレスを剥がして、ライン間に位置する2列目の選手に渡したいの日本と1stプレスで引っかける、もしくは縦パスが出てきたところを潰してすぐ前に仕掛けるエクアドルの攻防。

日本GKあたりで致命的なミスが2度あり、これはエクアドルも狙っていたものだと思う。エクアドル選手の初速の速さを見誤ってしまった感じも少なからずあるが、不用意なプレーだった。日本としてはシュートがミスになって助かった。

日本の2列目は非常に機能しており、今大会で最も中島をうまく使えていた気がする。それゆえに少なくとももう1点は取りたかった。

 

後半

 後半開始からエクアドルは選手交代。

システムも4-2-3-1(4-4-2)に変更してきた。

攻撃的ハイプレスの弱点になるアンカー脇を前半かなり使われていたので、そこの修正だろう。前からのプレスの威力は落ちるが、日本の2列目の脅威は減らせる。

圧力を捨てて安定を取ったことにより、前半よりもお堅い展開となって、カオス状態を作り出しにくくなった。

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ライン間・アンカー脇をガンガン使って攻撃できた日本にとってはこの修正がかなり痛手であった。狭いエリアでのプレーも苦にしない2列目の3人によって、前進やチャンスメイクはできていたものの、DFラインの空相手選手を引き出せずに、最後のところは突破できなくなった。

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エクアドルはサイド攻撃で得点を狙う。SHとSBでチームを組み、杉岡と岩田をターゲットに定める。明らかに疲労の色が濃い杉岡とSBでの出場機会の少なさからサイドでの1対1やポジショニングに不安のある岩田ではサイドで蓋をできず、クロスや突破を許す場面が増えていた。

 

ストライカの投入

65分頃に日本は岡崎を下げて上田を入れる。2列目が受けたところからその先の動き出しで一刺しできる選手を入れた。

この交代は非常に意味があるものになった。

三好がライン間で受けてからのスルーパスや杉岡のアーリークロスからのシュートなど、最後のところでボールを引き出せていた。なお、シュートは枠内に飛ばなかった。

 

間延びする終盤戦

ラスト15~20分くらいになるとお互いに疲労もあってか間延びしたオープン気味な展開になる。どちらにとっても得点チャンスが増える流れだったが、両者DF陣が粘り強くなかなか決定機までは至らない。

 

エクアドルマンチェスターユナイテッドに所属していたアントニオ・バレンシアを右サイドに投入。疲弊した杉岡にぶつけてくる。

 日本は三好→安部、板倉→前田で守備を半分捨てて得点を取りに行く采配。

 

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日本はシステムを4-1-3-2のような超攻撃的な布陣に。

引き分けでは次に進めないため、失点覚悟でも得点を取りに行く。エクアドルも同じ状況であり、両者バランスなど考えずにとにかく点を取りに行く。

 

この交代によって試合はさらに開かれた展開に。日本は後ろを4-1で守るため、守備については気合と相手のミスを祈るような状況。対して攻撃はシュートを決めることを求められる。もう細かい戦術など存在しないバトル。追加点を決めきったほうが勝者となる。

 

 

エクアドルも日本も2~3回ずつ決定機を演出するが両者とも決めきれず、タイムアップ。仲良く敗退となった。

 

日本1-1エクアドル

 

感想・まとめ

日本にとって久保・中島・三好の3人とエクアドルの中盤が間延びする戦い方の相性は非常に良かった。エクアドルの緩さもあったが、前半で「なんかいけそう!」となったのは間違いなくここの相性による影響が大きかったように思う。

後半相手に修正されてからは効果的な攻撃を生み出せず、逆にサイドからの攻撃を許してしまった。最初のプランを止められてしまうと2手目・3手目が出せないところは課題だろう。

 

今大会では彼と心中!というような起用をされていた中島。最後の最後でヒーローになれるチャンスが2回ほどあったが、いずれも決めきれず。この試合では攻撃で違いを生み出せていたと思うが、やはり最後に得点を決めてこそ心中すべき選手になれるのではなかろうか。

 

この試合が終わってから「決定力不足」という言葉がよく出てきた。もちろんそこは表面的に一番高めたい部分なのは間違いないだろう。しかし、それ以外にもチームとしての課題はたくさんあったように思う。

勝っていれば次はブラジルと戦えただけにこの結果は残念だが、今の実力では次には進ませてもらえないということだろう。

 

 

各選手評価

功労賞

◇杉岡 大暉

3試合全てでフル出場。左サイドでの過多な守備負担を請け負った。中島が中央に入っていく戦術の中、大外の上りもサボらず、トランジションでは自分の場所に戻る(戻り切れないこともあったが)。体も頭も相当な疲労があったと思うが、湘南戦士らしく最後までよく戦ってくれた。

相手選手に後手を踏むことが目立ってしまったが、それは彼を責めるべきではないだろう。1試合くらい休ませたかったが、バックアップの菅は森保監督的に起用するのが難しかったのかもしれない。

今大会の中で一番労いの言葉をかけたい選手。お疲れ様。

 

 

就活組

◇柴崎 岳

一瞬の隙を見逃さない配球センスはもちろん、多少の粗はあるかもしれないが守備での良さも見せることができた。

CHでは守備的に厳しいという評価もあっただろうが、かなりアピールにはなったのではないだろうか。

◇川島 永嗣

W杯で2度正GKを務めた守護神。1戦目は大迫にポジションを譲ったものの、残り2戦では先発。危ないパスミスはあったものの2試合とも安定したパフォーマンスで決定機を阻止するプレーも見せた。年齢の問題はあるもののまだまだやれるところをアピールできた。

◇岡崎 慎司

決定的な仕事こそできなかったが、懐の深いプレーや献身的で安定感のある前線からの守備はさすが。4大リーグの1部では難しいかもしれないが、海外でもやれる能力は十分に見せた。本人は望まなさそうだが、日本であればほしいチームはかなりありそう。

 

 

川崎出身組

◇三好 康児

プレーの一つ一つにとても気が利いていた。オンザボールもオフザボールもどちらも素晴らしいプレーヤーだと感じた。アンチフットボールみたいなチームに行かなければどこでも合わせられそう。海外移籍はかなり近い気がする。

◇板倉 滉

初出場のウルグアイ戦ではやや低調なパフォーマンスでスタートしたが、徐々にコンディションを上げてきた。細かい技術を駆使した中盤でのボールさばきや、守備でのカバーリングはかなり効いていたと思う。高さもあるので、中盤の選手として大きく育っていってほしい。

 

 

厳しい評価となった選手たち

◇上田 綺世

決定機を外すキャラみたいになってしまったが、点を取れる場所にいてくれる証拠でもある。大学ではかなり決めているらしいので、トップレベルでも枠内に打てるメンタルは伸びしろ部分として受け取ればいいと思う。

◇前田 大然

1戦目のvsチリでは右SHという慣れないポジションかつ、ボール保持時には真ん中に入っていくという不思議なタスクを任されて全く良さを生かせなかった。最後の最後でもシュートミスが目立ってしまった。もっと特徴が生きる起用法で使いたかった。

◇中山 雄太

今大会最大の犠牲者かもしれない。本人コンディション問題も否定できないが、中島システムの餌食となり、ボール保持でもなんかよくわからないポジション取りだった。2,3戦目では出場機会がなく、挽回の機会はもらえなかった。

◇中島 翔哉

森保監督が絶対的な信頼を置いた。ボールを持った時のプレーは南米でも通用する部分を見せたが、危機管理能力を考えたときにSHとしての起用には難しさを感じた。

決定機演出やアシスト・得点という結果を残せれば、いいのだろうが厳しいマークもあり絶対的な存在感は示せなかったように思う。状況に応じた守備の仕方覚えれば超有望な選手だと思う。どこかのチームで叩き込んでもらおう。

 

 

 

Jリーグが行われている期間ということでメンバー招集に制限があり、即席チーム感はかなりあった中でのこの結果。なにを目的に臨んでいたのかは不明だが、どう評価していいか難しいのではないかと思う。

なんにせよ、南米を舞台にした対南米で2引き分けできた結果は十分評価に値するところ。選手個人としても貴重な経験ができたはず。今回の経験が今後の成長に繋がれば意味のある大会になるのではないだろうか。

J1リーグ第16節 FC東京vsベガルタ仙台 レビュー

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プレビューはこちら。

brgacha.hatenablog.com

 

 

スタメン

 

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欠場者はプレビューを参照。

前節からの変更は以下の通り。

東京 矢島→永井、大森→ナ・サンホ

仙台 富田→椎橋、道渕→吉尾

 

 

前半

シマオvsディエゴ

 前半早々にフィジカルモンスター同士のバトルが行われた。

開始10分までに2~3回ほど、シマオとディエゴのバトルがあったが、シマオがうまいこと手を使いながらしっかりと抑え込んだ。これによって10分過ぎくらいからディエゴはシマオサイドに行かなくなったように思う。東と小川がいることでコンビネーションからの突破が生まれやすい東京左サイドからディエゴを追い出せたことは仙台にとってはプラスに働いたかもしれない。

 

かみ合うシステム

◦仙台ビルドアップ

4-4-2同士ということでそのまま向き合えば、全ポジションがマンマーク気味になり、真っ向勝負のような形になる。プレビューで触れたが、選手の位置取りで優位性を作る仙台としてはビルドアップ時に選手の位置を変える可変システムを使ってくると思っていた。しかし、予想外にそこまで位置を動かしてこなかった。

そうなると東京2トップは走力がある選手なので仙台最終ラインの選手たちはボール保持が苦しくなる。20分頃まで、苦しくなったボールホルダーは長身FWの長沢か右SB蜂須賀あたりに浮き球で届けて逃げようとするもうまく収まらない。

一度、CH椎橋がCBの間に下りて3バック化する動きを見せたが、そこからの繋ぎはできずに結局ロングボールを蹴って回収されていた。

 

◦東京ビルドアップ

東京も最初は2CBvs2トップの同数で落ち着いた保持はできなかったが、すぐに橋本が下りて3バック化を始める。これを見て仙台は吉尾を一列上げて3対3の同数を当ててきた。

これはいつも行っている形なので、仙台もおそらくスカウティング済み。橋本が下りたら吉尾を上げて対応するという準備があったのだと思う。

 

仙台としては吉尾を上げることによって東京最終ラインから時間を奪うことはできるが、中盤のバランスは崩れる。

 

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※イメージ

上図のように吉尾が前に出たことによって中盤にスペースが生まれる。東京としてはここをどう使うかということがビルドアップ時のポイントだった。

 

11分頃、橋本が右からパスを捌きながら上がっていき、左に展開したシーンではうまくこのスペースを利用できた形に。時間がかかったことで吉尾の戻りが間に合ってしまい、効果的な攻撃にはできなかったが、狙いは悪くなかった。

 

25分頃には東が椎橋の前に立ってピン止めすることにより、小川を浮かすことができた。これによって小川へ届けることはできたものの、サポートが薄くて繋げず。この時に永井がサイドに流れてくれればワンタッチで蜂須賀の背後にパスが出せてシマオを外に引き出すことができた。 

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永井が動かなかったのを見ると、東が気を利かせただけでチームでデザインされたプレーではなかったように思える。

 

チームとしてこの吉尾背後を使うという意識の共有はできているように見えたが、そこに入ったあとにどう展開するのか、という点での狙いはあまり見られなかった。

①小川に出たところで蜂須賀がでて来るのであれば永井がその背中を狙い、来なければシンプルにアーリークロスを狙う。

②東が椎橋の脇で受けられたとき、永井が蜂須賀をピン止めして、小川を浮かしてそこからクロス。逆からはサンホも飛び込む。

仙台は早いタイミング(DFが配置につけていない状況)でのクロスは苦手としているので、ターゲットが少なくても狙う意味はあったと思うが、そういった現象はほとんどなかった。

 

関口が下りた5バック化

プレビューで触れた関口の最終ライン吸収だが、この試合でも行ってきた。

関口が最終ラインに吸収されることで後ろに重くなるが、サイドでの蓋はしやすい。同サイドにグイグイ縦に出てくる室屋がいたことでしっかりと蓋をしたい狙いだったかもしれない。また、仙台の人選がカウンターにあまり適していないことから、後ろに重くなっても良いという判断だったということも考えられる。

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※イメージ(前半とサイドが逆ですがご容赦を)

 

要注意人物松下

この試合、仙台の攻撃の軸は松下だった。彼がフリーでボールを持つと、ことごとくチャンスを作られた。仙台としても松下をいかにフリーにするか、という部分は考えて臨んでいたと思う。

東京の前プレを外せば2トップが守備に戻らないことや髙萩が人を捕まえに前に出てくること等の習性を踏まえて、松下を浮かす。後手を踏んだ東京は4-4のブロックこそ組めるものの、誰がボールに行くか曖昧になっているまま松下に配球を許す。

33分のシーンでは、プレビューで触れたシマオの食いつきを利用した裏への狙いという形をそっくりそのまま仙台にやられてしまった。

 

 

前半まとめ

 人を引き出してから中央で浮く松下を使う仙台。サイドで浮く小川を使うも、そこに届けて終わりになってしまう東京。いつもであればディエゴや永井のところで収めたところから、クロスを送る展開もあったが、シマオの潰しによって引いて収める動きも消されてしまった。シマオだけに限らず、仙台DFはスピードのある選手に対してしっかりと距離を詰めて対応するといった共通意識があったように見えた。

 

内容的には仙台がプラン通りに進めることができた展開であったが、スコアは0-0で折り返し。東京としては全く思い通りに行かない前半ではあったが、スコアレスで折り返せたことはポジティブに捉えるべきだろう。

 

後半

オープンな展開

開始から5~10分くらい急に両者が間延びしてオープンな展開になった。

東京としてはスペースで能力を発揮する選手が多いことから、願ってもない展開になったが、ここで仕留めることができなかった。ここで取り切れなかったことが試合のターニングポイントとなったかもしれない。

 

お互いにネガトラでの意識の高さから、ボールを取り切ればチャンスだが、外されるとピンチになるという状況になり、オープンな展開が続いた。

相手のミスではあったが、ネガトラから相手の陣形が崩れた状態でボールを奪い取り、髙萩がミドルシュートまでいけたシーンは東京が狙いたい形だった。あれは決めたかった。

 

人に強く付く仙台

シマオvsディエゴのバトルでもわかるように、仙台の守備は非常に人への意識が強かった。関口が下りた5バック化もそうだが、東京が押し込んだ際には吉尾も下りた6バックになることすらあった。その分、中央は2トップが戻ってしっかりと守備を固める。カウンターは決まりにくいので、まずは失点しないせずにボールを奪ったら保持することを考えての守り方だったかもしれない。2トップの献身性があっての守り方だろう。

 

59分、東京はこの特徴を逆手にとって永井を裏に走らせた。

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このシーンで抜け出してシュートまで行けたがヒットせず。サンホの動きを見ているとこれも即興で生まれている気配。

 

 

64分、仙台の選手交代。

吉尾→道渕

吉尾のパスミスがやや目立っていたので、コンディション的な部分での交代だったか。

 

73分、東京の選手交代。

髙萩→大森

警告をもらっていたこともあるが、点を取りに行った選手起用。東をCHに入れて大森を左SHに。

 

この交代の直後に試合が動いた。

全体が仙台の右サイドに寄ったところから長沢へロングボールを入れる。競り合ったこぼれが関口の元へ。室屋が対応したが、ボール1~2個分外されたところからシュートを許して失点。

関口のシュートがお見事だった。GKが林でもあの距離から撃たれてしまったらさすがに厳しい。

 

シーンを少し振り返えると、長沢にロングボールが入った時点で中央は2対2(ヒョンス・橋本vs長沢・関口)のような状況になっていた。この状況を許している時点で1対1には絶対に負けてはいけない。ヒョンスは長沢を自由にはさせなかったが、結果的に関口に渡ってしまったので勝てたとは言えない。室屋は見ての通り、関口にシュートを許してしまった。この状況のPA内で2度の1対1で勝てなかったのであれば、それは失点に繋がってしまう。70分を過ぎており、ルヴァンでの疲労の差はあったかもしれないが、それは言い訳にできないだろう。

 

 

初チャレンジの3トップ

東京は失点直後から一つギアを上げて右サイドを取りに行く攻撃を続ける。

78分にはナ・サンホ→矢島の交代。システムも4-3-1-2のような形に変更。

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これによってかみ合わせが変わる。また、関口が下りて5バックになるという特性を考えた変更だったように見えた。

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※イメージ

室屋が上がって関口を最後方に押し込むことにより、東を浮かす。ディエゴはボールサイドのハーフスペースをうろつくことで永戸の前進を抑止。

東が中盤ハーフスペースからクロスを入れることで矢島と永井に何かを起こしてもらおうという攻撃だった。

ここ最近の東京ではこのようなアプローチを見ることがなかったので、試合途中の戦術的アプローチが見られたのは非常に興味深かった。

 

シマオと平岡によって跳ね返せていた仙台ではあるが、上げさせたくはないので、長沢が下がってきてこのスペースのケアをすることもあった。

 

両者の選手交代意図

終了間際になってきて両者ともに最後の交代カードを切る。

仙台 関口→石原兆、石原直→ハモン・ロペス

東京 室屋→太田

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仙台は消耗が激しく狙われていた左サイドにフレッシュな石原兆、困ったときに1人でなんとかできるハモン。

東京は縦を切られ続けて詰まっていた室屋のところに左利きの太田。この交代が理解できなかった人も多かったようだが、縦切りだけで詰まらないようにカットインからのクロスという選択肢を持たせたかったのではないかと思う。

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※イメージ

太田が外で持った時にカットインで中に入っていく。この時に東が外を回る動きで石原兆との2対1を作れれば東に落としてクロスもできるし、太田がそのまま上げてもいいという選択肢が生まれる。右利きの室屋だとこの選択肢は生まれない。

あくまでも個人的な考えだが、このように捉えればそこまでおかしくない交代だったと思う。

 

 

しかしながら、このような意図を見せる間もなくカウンターからハモンの一撃を食らって万事休す。この時に小川が負傷してしまい、もうどうにもできない状況になってしまった。

 

 

東京0-2仙台

 

感想・まとめ

 勝ち筋がなかったわけではないが、完敗と言っていいだろう。

シマオや関口のキャラクターありきではあるが、東京のストロングを消しながら自分たちがやりたいことも遂行していた。独力で運べる道渕やハモン・ロペスを投入することでリスク管理を行いながら前への脅威も出す。実際に試合を決める2点目も取れた。そして運動量の多かった関口に代えて同じような仕事ができる石原兆を投入し、クローズ。結果論なのかもしれないが、選手交代の采配も理に適っていたように思う。ベンチに残ったのはCB大岩、CH富田、CH(SH)兵藤と仙台の方が手札が多かったのは間違いなかった。

 

長谷川監督の選手起用について

色々と采配に疑問の声が上がっているが、そんなにおかしくはなかったと感じる。

采配が悪いというよりも選手交代直後に失点を食らうという展開が結果的にそのように見せてしまったのではないかなと思った。大森なんかはもろにその影響を受けており、本人が何もできなかったというよりも、失点後の戦術的に大森がプレーする状況にならなかったというのが正しいと気がする。仙台左SHの穴からクロスを狙うが、逆サイドの大森はターゲットにならないというジレンマ。クロスを上げる役が疲弊している東になってしまったのも苦しかった。ただ、大森にアーリークロスを上げさせるのもなんか違う。結果的にフレッシュな選手を完全に殺してしまった。

思い切ってバランスを崩し、大森に永戸のピン止め役をさせてディエゴを真ん中に入れるという手もあったかなと思う。圧倒的に無理やりな手段だが。

 

もう一つサンホの起用について。

彼はスペースがあって生きる選手。カウンター時にボールを持って、運びながら正しい選択肢を選ぶという久保と同じ仕事をさせるのはさすがに厳しい。

リード時、もしくは0-0で相手が点を取りに来る展開でジョーカーとして起用するのが、ベターかなと感じた。

 

おまけ

 仙台のpickupplayer

◇松下 佳貴

この試合、仙台は多くの鍵を握る選手がいたと思うが、一番フリーにしてはいけない選手がこの松下だった。ブロックが整っていても味方にピンポイントで合わせるパスを供給できる。また、機を見たPA内への侵入も魅力の一つ。

ボール保持にこだわるのであれば、彼のパス能力はチームの得点力にかなり影響してくるだろう。相手チームとしてはこ彼へのマークはしっかりしなければいけない。

 

 

 

今季初の連敗。連敗ということよりもこの試合の内容が色々と考えさせられるものだったと思う。

久保建英が抜けた影響は間違いなくある。しかし、2018年は久保建英がいない中でも勝っているのだから、久保がいなければ勝てないわけではないはずだ。

 

次節の横浜FM戦を終えるとリーグ戦の丁度折り返しとなる。久保が抜けたという一つの分岐点をどう乗り越えていくのか。新しい東京に期待したい。

J1リーグ第16節 FC東京vsベガルタ仙台 簡易プレビュー

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まとまった時間があまりとれなかったため、今回は簡易的なものになった。 

少しずれている部分があるかもしれないが、ご容赦願いたい。

 

予想スタメン

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主な欠場者

東京

ジャエル(怪我)

田川(怪我)

 

仙台

ジャーメイン(怪我)

阿部(怪我)

 

両者ともにルヴァンカッププレーオフを水曜日に行っており、中3日でのリーグ戦。

仙台がルヴァンでターンオーバーを行っているのに対して、東京はほとんど主力に近いメンバーでの連戦となる。

 

東京は永井→矢島、大森→ナ・サンホの可能性あり。

仙台はトゥーロン国際から戻ってきた椎橋がメンバー入りの可能性あり。前節までのメンバーで予想しているが、両SBと松下以外のポジションはメンバーがそこまで固定されていない印象で、吉尾や石原兆、ハモン・ロペスがスタートから出てくることもあり得る。また、4-4-2でスタートするかも微妙なところ。

 

仙台簡易分析

 

ボール保持

 

ビルドアップ

基本的にショートパスで繋いで相手の陣形を崩していくビルドアップ。

秩父宮で行われたルヴァンカップの試合を観戦した方はよくわかると思うが、4-4-2で組んでいても様々な方法で3バックへ可変する術を持っている。

富田がCB間に下りる、松下がCB脇に下りる、永戸が内側に入る等。椎橋が入っても同じようなことができる。

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富田下りイメージ

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松下下りイメージ

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永戸CB化イメージ

 

FC東京は4-4-2システムを採用しており、噛み合わせはばっちり。そのため、可変を行うビルドアップを考えているはず。となったときにSHにはアタッカー寄りの関口や道渕ではなく、比較的MFに近いふるまいができる石原兆や吉尾が起用されるかもしれない。

 

プレスをかけてきたときには後ろで数的優位を作りながらプレス回避を狙うと思うので、東京としてはそこへ人数をかけて妨害しに行くのか、撤退して自陣へ引き込むのかのどちらを選択するのかという判断になる。

平岡&シマオコンビはおそらくビルドアップよりも対人の強さを買われており、後方のパス回しでの隙はある程度ありそう。大分戦のようにリスクをかけて高い位置からガンガン追いかけて早い時間に先制を狙うのが良いかもしれない。

ロングボールを蹴られても2トップが長沢と石原であれば、縦に速い攻撃は難しく、セカンドボールの回収に集中できる。仮にハモンを入れてきたら、縦に速い攻撃の迫力は出るが、ボール回しの滑らかさは落ちるように思う。

 

 

得点パターン

セットプレーとクロスで約半分を占める。

左右にクロッサーが多く揃うことや中央にわかりやすいターゲットの長沢がいることが大きな理由であると考えられる。

後ろで相手のプレスを見ながら配置を取り、縦パスを見せながらボールをサイドへ送り、そこからクロスを送る。

 

ここだ!と思ったところではPAに人数をかけてくることもあるので、東京としてはそこをひっくり返してディエゴと永井にカウンターをお願いするのも一つの狙いになるだろう。

 

ボール非保持

 

4-4-2ベースの守備が基本。

特に14節名古屋戦で見られた形だが、相手のボールと逆サイドのSBが高い位置を取ると同サイドのSHがマンマーク気味についていくことで5バックのように守るときがある。こうなると逆サイドで待つ相手SBへの対応は楽になるが、ボールサイドに寄る中盤の選手と逆サイドのSHに距離ができて中盤にスペースができる。

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※イメージ

東京の場合逆サイドのSBが高くまで上がることは少ないので、あまり見られないかもしれないが、特徴のおさらいまでに。

 

また、中盤選手の距離が空く瞬間があるように思った。強いCBがいることでDF-MFライン間にパスが入ってしまうことをある程度は許容しているのか、はたまた意図していないものなのかは不明だが、ふと空く瞬間がある。

そこの選手間に縦パスを通されたときはCBが前に出てきて相手選手を潰す、または前を向かせないようにする。東京としてはここを潰しきれなかった時はチャンス。一気にCBの背後を使える可能性が出てくる。

特にディエゴは相手を背負ってのキープ・反転が非常にうまいのでディエゴvs仙台CBのバトルはかなり重要ポイントとなるはず。

 

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※こんな感じで背後を狙いたい 

 

 

 

注目ポイントまとめ

 

①仙台のメンバー選考

→CBに対人の強さを求めていそうか、ビルドアップを期待していそうか。SHがMFタイプかアタッカータイプか。FWにハモン・ロペスが入るのか。

これらによって、東京もどのレベルでプレスをかけるか等、ゲームプランの微調整をする必要が出てくるだろう。

 

②クロスがストロングだがクロスがウィークな仙台

→お互いのクロス攻撃がどの程度機能するか。東京もカウンターを除けばクロスからの得点が多い。いつも通り、相手のクロスを跳ね返しながらカウンターを狙い、ボール保持時には室屋と小川のところでフリーを作り出してクロスを入れることができれば得点チャンスは訪れるはず。

 

③仙台中盤の守り方

→縦パスを入れさせないようにするのであれば中央を締めるため、サイドが空く。クロス攻撃を嫌がれば多少なり中央は空く。

ボールを持った時に縦パスやクロスへの布石が打てれば、どちらかは空いてくる。序盤で相手に対して「これをやってくる」という意識付けをすることで、その逆を取りやすくなる。(ルヴァンのセレッソ戦では逆にやられた)

 

 

以上。

それぞれでポイントを見つけて楽しもう!

 

「選手が生み出したバランス」 コパアメリカ 日本vsウルグアイ レビュー

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チリ戦のレビューはこちら。

brgacha.hatenablog.com

 

スタメン

 

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日本はチリ戦から 6人変更

GK大迫→川島

右SB原→岩田

CH中山→板倉

右SH前田→三好

2トップ上田&久保→岡崎&安部

 

メンバー構成的に左から安部、中島、三好という配置も考えられたが、実際は安部が中央に入る布陣となった。

また、チリ戦はトップ下を入れた4-2-3-1だったが、この試合は2トップ気味で4-4-2に近い組み方に見えた。

 

ウルグアイは負傷したCHベシーノに代わりトレイラ。負傷者以外の変更はなく、ベストメンバーと言える。

 

前半

 

中島の守備

 まず、最初にここの違いが見られた。中島の守備意識が明らかにチリ戦(特に前半)とは違った。

個人の守備能力の問題もあって、「あれ?戻ってこない…?」という場面が何度もあったが、間違いなくこの試合では守備タスクを持っていたはず。少なくともチリ戦よりは。

 

ウルグアイの中島対策

守備の難点がある中島だが、やはりドリブルは強烈。ウルグアイは徹底して中島に二人を当てるように守る。基本的にはSBとSHのダブルチームだが、トランジションで間に合わないときはCHが出てくることもあった。

強国ウルグアイでも中島のドリブルは止めるのに苦労したようで、ファウルで止める場面が多くなる。

ただ、そこはウルグアイも許容しているようで、ゴールに近い位置でなければファウルで止めるのはokといった対応に見えた。セットプレーで守り切れる自信があったからかもしれない。

 

こうなると左SBに入る杉岡を生かした攻撃をしたいところだが、そこのコンビネーションはなかなか生まれなかった。逆に杉岡が上がったスペースを狙われてピンチ!ということの方が多かった気がする。

 

機能する右サイド

この日は三好が右SHに入ったことで右サイドのボール循環が良くなったように思う。

まず、ビルドアップの話からすると日本は柴崎が下りて3バックを形成するような形が多かった。そこでウルグアイの守備基準をずらしてからCHの位置にいる板倉を前向きにしたい狙い。そこで生きるのが三好。

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最終ラインから直接板倉に出すとターンして前を向かなければいけないひと手間が生まれるが、三好を挟むことで板倉は前を向いた状態でパスを受けることができる。

ちなみに安部もこの下りて落とす動きを数回か行っていた。

 

ウルグアイ左SBの背後

右SBの岩田に展開できた時に相手の左SBが前に出てくる。その背後はSHが戻って埋めるのが基本的な原則に見えたが、そこの戻りが甘いことがいくらかあった。

開始2分頃に三好が日本右サイド奥でフリーになれたのも埋めきれないスペースに入り込めたから。

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ここを三好や岡崎が狙っている雰囲気があったが、結果的には利用できるまでに至らず。

 

日本先制

比較的大味な展開が続く中で先制したのは日本。柴崎のロングフィードから右奥のスペースで仕掛けた三好が右足でゲット。

このシーン、三好に対応していたラクサールの守備が非常に軽かったが、実は三好を追いかけている時点で怪我を負っていた。柴崎からパスが出る直前の場面で腿の裏を抑えているシーンが映っており、負傷した状態で守備をせざるを得ない状況だった。

柴崎のパス精度、左足を切られてからの三好のシュートが見事だったのは間違いないが、相手の負傷という運も味方した。怪我がわかっていてそこを狙っていたのなら、抜け目ない判断でより素晴らしい。

 

この負傷により、左SBラクサールが下がり、右SBにゴンサレスが入る。左SBには右SBでスタートしたカセレスが移る。右利きのカセレスが左SBになったことで攻撃力が落ちたことも日本にとって幸運だったかもしれない。

 

2トップ狙いのウルグアイ

対してウルグアイの攻撃。基本的には細かく繋がず、CBから簡単に前に放り込む。1,2回だけトレイラorベンタンクールが最終ラインまで下りて繋ごうとしたが、失敗してカウンターを食らったところからはほとんどロングボールの展開になった。

スアレスカバーニという個人でなんとかできてしまう強力2トップを生かそうということだが、主に2つの狙いどころがあった。

 

①2トップのサイド流れ

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お互いに4-4-2かつウルグアイが特に可変してこないことで日本としてはマークがはっきりする。相手のSHに対してSBがついていくため、その背中にはスペースが生まれる。そこに2トップの片方が流れてCBからパスを引き出す。

スアレスカバーニも右サイドに流れて受ける動きは得意としており、片方がサイドに流れてももう片方はPA内で待てるということもあり、攻撃の威力は落ちない。

 

②CBを引き出した裏

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主にGKからでCFへロングボールを蹴る。そうすると日本はCBが前に出てきて競り合うが、この時に生まれる背後のスペースをもう一人のCFとボールサイドのSHが狙う。ハイボールの競り合いからこのスペースになれば一気にシュートチャンスまでという狙い。

 

植田がVARによってPKを取られたのも②の流れであった。

 

前半まとめ

ウルグアイは守備のリスク管理をしっかりしながら2トップの圧倒的な質の部分で上回ろうという戦い方。2トップの能力を考えれば合理的な戦い方と言えるだろう。

ただ、リスク管理をすると言っても守備の強度に緩い部分はあり、隙が無かったわけではなく、日本も惜しいシーンはいくらかあった。

前田が中央に入っていくチリ戦の戦術に比べると三好が潤滑油となり、バランスはとれていたと思う。守備面からみても、SHが中央に入らないことでネガトラ対応が遅れにくい効果もあった。

 

 

後半

後半も構図は大きく変わらないが、ウルグアイが攻撃に人数をかけるようになったことで、ややオープンな展開になる。 

日本が三好の決定機を迎えた直後にカバーニがGKと1対1になる等、中盤が間延びして殴り合う時間もあった。

 

実るカウンター

またしても先行したのは日本。59分にウルグアイが前がかりになって攻めてきたところをひっくり返してカウンター。途中潰されかけるが、時間がかかりながらもなんとか繋いで日本左サイドへ。ウルグアイはこのサイドへの戻りが間に合わず、中島×杉岡の二人に対応するのはDF一人。2対1からクロスを中に送ってGKがこぼしたところに三好が詰めた。

ウルグアイとしては中盤で遅らせてある程度配置に戻る時間を作れたが、GKのはじいたボールが結果的に最悪な場所へ転がってしまった。

 

半分事故のような失点だったものの、カウンターを警戒しなければいけないウルグアイとしては非常に不本意な失点だったはずである。

 

ギアを上げるウルグアイ

戦い方は大きく変えないが、失点をした後くらいから中盤のテンションや強度が明らかに上がった。ボールを持たれることにそこまで抵抗してこなかったが、中盤で刈り取ってやろうという意識が見えた。

人への食いつきが強まる分、プレスを外した後のスペースは空きやすくなるので日本としては得点チャンスが広がるわけだが、DFラインの強さもあって追加点を取るには至らなかった。

 

そんなこんなで日本2点目の7分後に追い付かれる。

セットプレーからCBのヒメネス。ニアでストーンに入った186㎝板倉の頭上をわずかに超えてすぐ後ろで合わされてしまった。冨安もマークを外したとまでは言えないが、相手に先に入られてしまった。

空中戦の強さを考えるとセットプレーでは分が悪いので、この失点はある程度受け入れなければならないかもしれない。

 

 

 

中盤の構成変更

ウルグアイは75分頃に左SHのロデイロに代えてバルベルデを入れる。

この時にシステムを4-3-1-2のように変更。

中央に選手が多くなったことで中盤の優位性を保ちつつ、大外にはSBを上げてクロス攻撃。

70分頃からはウルグアイにシュートの雨あられを浴びせられるも川島の好セーブとシュートミスに助けられる。

 

最終盤には岩田(178㎝)→立田(191㎝)の交代でセットプレー対策。1対1対策でもあったかもしれない。

 

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※選手交代後

 

猛攻をゴール前で防ぎ続けて試合終了。

 

日本2-2ウルグアイ

 

 

まとめ・感想

中島の守備意識の部分やメンバーの変更でチリ戦と比べればバランスは取れていた。

守備が大崩れしなかった理由としてはフォーメーションの噛み合わせやウルグアイの戦い方も関係していたと思う。

ウルグアイはボール保持時にポジション移動をほとんど行わずに4-4-2同士の噛み合わせで全体のマークがはっきりする。それゆえに1対1で負けると一気にピンチにはなるのだが、個人個人の守備の役割ははっきりして守りやすさはあった。

 

また、ウルグアイは強力2トップへシンプルに放り込むことが多かったことで、日本の守備位置がずらされて穴をあけるといった場面が作り出されなかった。放り込みが多いからこそポジション移動を行わなかったとも言えるだろう。

 

結果的に微妙な判定のPKとセットプレーの2失点で抑えたが、被シュートは29本(DAZN集計)にも及びスアレスカバーニの2トップ2人だけでも19本。守備陣が体を張って守っていたのは事実だが、日本が抑えたというよりはウルグアイが決めきれなかったという印象が強い。

対して、日本の2得点は運も味方したが、相手の隙を逃さなかったと言える得点で素晴らしかった。

 

終わってから振り返ると、この試合で勝てるとしたらVARを見逃してもらうかセットプレーを外してもらうかの運要素になるのではないだろうか。率直に言って、選手の能力差は大きく、どうしても止められない場面というのは何度もあった。

 

采配について

この試合を表面的に見たときにチリ戦から改善されてる!と見えるかもしれないが、個人的な意見としては選手のキャラクターを変えたことで「改善されたように見える」と感じた。

チリ戦でボール保持時にFWのような位置に移っていくタスクを与えられていた前田とは異なり(このタスクを与えていた理由も不明だが)、三好はベースポジションを動かさずに仕事を全うしていた。前半の項でも触れたが、ビルドアップに関わりながら、空いたスペースを的確に使える三好が入ることでボールの循環は良くなり、バランスが良くなったように見える。これはチームとしての決まりというよりも三好が空気を読みながら動いているからではないかと感じた。

 

中島翔哉について

チリ戦と比べると「守備やって!」と指導が入ったような中島だったが、マークしなければまずいところでも戻らなかったり、守備のムラは非常に激しかった。

 

この試合、森保監督は中島をフルタイムで出場される判断をした。何もないところから急に得点チャンスを作り出せる中島に決勝点の演出を望んだのだろう。終盤はウルグアイが前がかりになっており、カウンターから3点目を取れる可能性はあったのでこの判断自体は分からなくはない。賛否あると思うが。

しかしながら、左SHというポジションに固執することには非常に違和感があった。

(これもスタメンの項で触れているが、)この試合のスタメンだと安部を左にして中島をトップ下という選択肢もあった。中島が中央に入ってくる特徴を考えたらなおさら、配置に疑問が残る。安部は所属チームでは左サイド(右サイドもやる)がメインで守備もしっかりできる選手。であれば、安部左SH、中島トップ下の方がバランス良くない?と個人的に思う。

 

個人的な意見としては使うなら2トップの一角、もしくはビハインド時のジョーカー起用がベターだと考える。

スタートから左SHに置くのはリスクが高すぎる。

 

皆さんはどうお考えだろうか。

 

 

最後に

チリ戦・ウルグアイ戦の2試合でどの選手をどう使えば全体のバランスが保てるかというのは分かったのではないだろうか。あとはこの選手たちの特徴をどうやって生かすのか。

戦術とは選手の強みを引き出したり、弱みを隠すものであるべきだと思う。3戦目のエクアドル戦は各選手の個性を生かせる戦いを見たい。