青赤人の戦術探検記

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コパアメリカ 日本vsエクアドル レビュー

がちゃです。

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チリ戦レビュー

brgacha.hatenablog.com

 

ウルグアイ戦レビュー

brgacha.hatenablog.com

 

 

他グループの結果によって、この試合の勝者は自力で決勝トーナメントに上がることができる。引き分けであればどちらも敗退。両者が勝ち点3を取りに行く試合となる。

 

 

スタメン

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日本はウルグアイ戦から1名変更。

安部→久保

エクアドルも前節チリ戦から1名のみ変更。

 

日本は保持時4-2-3-1、非保持時4-4-2。

エクアドルは4-1-4-1ベースで中盤の1-4を流動的に動かしてくる。

 

 

前半

 

突っ込んでくる中盤

エクアドルは4-1-4-1セットから中盤の4を前に押し出したプレスを仕掛ける。4-1-4-1だと4バックに対して、IHを一人前に出すようにして同数のプレスをかけるのがよくあるパターン。エクアドルもおおよそそのようにプレスをかけるのだが、かなり攻撃的だった。IHを1枚出すだけではなく、もう1枚のIHやSHも前に出てくるのでアンカー脇はかなり空きやすい状況になっていた。

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※イメージ

前に出てプレスをかけてくるが、ボールホルダーに対してそこまで制限をかけられていないことが多く、配球にもそれほど困っていなかった。さらにこの試合では三好と久保というスペースを見つけてうまく受けることのできる選手を2列目に2人起用していたことで、エクアドルのこの弱点をうまく付くことができていた。

 

前半15分に生まれた日本の先制点も久保のパスでエクアドル中盤4のラインを越えて中島がスペースを利用した展開だった。運びながらラストパス・シュートができる中島のストロングを生かせた場面だった。

 

 

このエクアドルのプレスはなかなか無謀には見えたが、日本も危ない場面はあった。

中盤のラインを突破し、2列目の選手に届けようとしたところでDFに背後から当たられてロスト。そのままPA付近まで運ばれて被シュートということもあった。

エクアドルの選手は体のバネがあって、身体能力に優れている印象を受けた。プレーの精度こそ高くないものの、シュートは強烈、スピード・フィジカルは抜群だったのでセットプレーや広いスペースでの勝負を極力減らすという作業が日本としては必要になりそうだった。

 

 

エクアドルのボール保持

先制前まではエクアドルCB→SBの横パスをスイッチにSHが強く寄せていくような日本のプレス。これに対してエクアドルはSB→IHのパスとCBからのロングボールくらいしか打つ手がなく、個人能力で打開されなければ特に何か起こる雰囲気はなかった。

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(図中ミスで両方点線になってしまっていますが、直線が人の動きで点線がボールの動きです)

前述したようにエクアドルとしては前線の4-1の5人でプレッシャーをかけて奪いきることが流れの中で点を取る可能性の高い手段だったように思う。

 

エクアドルには持たせても怖くないということで日本は先制後から無理に追いに行かずボールを持たせる選択をする。

エクアドルのCBは右のミナからのロングフィードがあるくらいで、そこまでボール扱いが上手なタイプではなく、放置していてもロングボールを蹴るくらいしかできない。アンカー(DH)やIHを最終ラインに下ろしたり、SHを日本中盤選手の前に下ろして起点を作ろうとしたが特に困ることもなく、結局ロングボールを入れてくるのであった。

 

しかし、生まれる同点弾。

35分にCKの流れからロングボールをPA内に入れられて、岩田が対応を誤り被シュート。一度は川島が防いだもののこぼれ球を押し込まれた。

 

失点シーンだけ見るとボールの出所を抑えられなかったこと、岩田がかぶってしまったことが直接的な問題点だったと思うが、もう少し遡るとCKを与えるきっかけになったのは左サイドの守備だった。

エクアドル右CBから右SBにパスが出て、縦の突破を試みてきた。これに対して中島もついていくがボールの前に立つことはできず前進を許す。杉岡が引き出された裏へ走っていたIHに繋がれたところからクロスを許し、そこから生まれたシュートを三好がブロックしたボールがCKとなっている。

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※イメージ

この試合では板倉のスライド&カバーで左サイドの守備をぼかせていたが、このシーンでは中島がついていったことで板倉は中央でステイしていた。そこで振り切られてのクロス。こじつけっぽくなってしまって申し訳ないが、やはり中島の守備はどうしても気になってしまった。先制できたこと、日本がボールを保持できれば得点が取れそうなエクアドルの守備を考えたらなおさらだ。

 

前半感想

エクアドルの1stプレスを剥がして、ライン間に位置する2列目の選手に渡したいの日本と1stプレスで引っかける、もしくは縦パスが出てきたところを潰してすぐ前に仕掛けるエクアドルの攻防。

日本GKあたりで致命的なミスが2度あり、これはエクアドルも狙っていたものだと思う。エクアドル選手の初速の速さを見誤ってしまった感じも少なからずあるが、不用意なプレーだった。日本としてはシュートがミスになって助かった。

日本の2列目は非常に機能しており、今大会で最も中島をうまく使えていた気がする。それゆえに少なくとももう1点は取りたかった。

 

後半

 後半開始からエクアドルは選手交代。

システムも4-2-3-1(4-4-2)に変更してきた。

攻撃的ハイプレスの弱点になるアンカー脇を前半かなり使われていたので、そこの修正だろう。前からのプレスの威力は落ちるが、日本の2列目の脅威は減らせる。

圧力を捨てて安定を取ったことにより、前半よりもお堅い展開となって、カオス状態を作り出しにくくなった。

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ライン間・アンカー脇をガンガン使って攻撃できた日本にとってはこの修正がかなり痛手であった。狭いエリアでのプレーも苦にしない2列目の3人によって、前進やチャンスメイクはできていたものの、DFラインの空相手選手を引き出せずに、最後のところは突破できなくなった。

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エクアドルはサイド攻撃で得点を狙う。SHとSBでチームを組み、杉岡と岩田をターゲットに定める。明らかに疲労の色が濃い杉岡とSBでの出場機会の少なさからサイドでの1対1やポジショニングに不安のある岩田ではサイドで蓋をできず、クロスや突破を許す場面が増えていた。

 

ストライカの投入

65分頃に日本は岡崎を下げて上田を入れる。2列目が受けたところからその先の動き出しで一刺しできる選手を入れた。

この交代は非常に意味があるものになった。

三好がライン間で受けてからのスルーパスや杉岡のアーリークロスからのシュートなど、最後のところでボールを引き出せていた。なお、シュートは枠内に飛ばなかった。

 

間延びする終盤戦

ラスト15~20分くらいになるとお互いに疲労もあってか間延びしたオープン気味な展開になる。どちらにとっても得点チャンスが増える流れだったが、両者DF陣が粘り強くなかなか決定機までは至らない。

 

エクアドルマンチェスターユナイテッドに所属していたアントニオ・バレンシアを右サイドに投入。疲弊した杉岡にぶつけてくる。

 日本は三好→安部、板倉→前田で守備を半分捨てて得点を取りに行く采配。

 

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日本はシステムを4-1-3-2のような超攻撃的な布陣に。

引き分けでは次に進めないため、失点覚悟でも得点を取りに行く。エクアドルも同じ状況であり、両者バランスなど考えずにとにかく点を取りに行く。

 

この交代によって試合はさらに開かれた展開に。日本は後ろを4-1で守るため、守備については気合と相手のミスを祈るような状況。対して攻撃はシュートを決めることを求められる。もう細かい戦術など存在しないバトル。追加点を決めきったほうが勝者となる。

 

 

エクアドルも日本も2~3回ずつ決定機を演出するが両者とも決めきれず、タイムアップ。仲良く敗退となった。

 

日本1-1エクアドル

 

感想・まとめ

日本にとって久保・中島・三好の3人とエクアドルの中盤が間延びする戦い方の相性は非常に良かった。エクアドルの緩さもあったが、前半で「なんかいけそう!」となったのは間違いなくここの相性による影響が大きかったように思う。

後半相手に修正されてからは効果的な攻撃を生み出せず、逆にサイドからの攻撃を許してしまった。最初のプランを止められてしまうと2手目・3手目が出せないところは課題だろう。

 

今大会では彼と心中!というような起用をされていた中島。最後の最後でヒーローになれるチャンスが2回ほどあったが、いずれも決めきれず。この試合では攻撃で違いを生み出せていたと思うが、やはり最後に得点を決めてこそ心中すべき選手になれるのではなかろうか。

 

この試合が終わってから「決定力不足」という言葉がよく出てきた。もちろんそこは表面的に一番高めたい部分なのは間違いないだろう。しかし、それ以外にもチームとしての課題はたくさんあったように思う。

勝っていれば次はブラジルと戦えただけにこの結果は残念だが、今の実力では次には進ませてもらえないということだろう。

 

 

各選手評価

功労賞

◇杉岡 大暉

3試合全てでフル出場。左サイドでの過多な守備負担を請け負った。中島が中央に入っていく戦術の中、大外の上りもサボらず、トランジションでは自分の場所に戻る(戻り切れないこともあったが)。体も頭も相当な疲労があったと思うが、湘南戦士らしく最後までよく戦ってくれた。

相手選手に後手を踏むことが目立ってしまったが、それは彼を責めるべきではないだろう。1試合くらい休ませたかったが、バックアップの菅は森保監督的に起用するのが難しかったのかもしれない。

今大会の中で一番労いの言葉をかけたい選手。お疲れ様。

 

 

就活組

◇柴崎 岳

一瞬の隙を見逃さない配球センスはもちろん、多少の粗はあるかもしれないが守備での良さも見せることができた。

CHでは守備的に厳しいという評価もあっただろうが、かなりアピールにはなったのではないだろうか。

◇川島 永嗣

W杯で2度正GKを務めた守護神。1戦目は大迫にポジションを譲ったものの、残り2戦では先発。危ないパスミスはあったものの2試合とも安定したパフォーマンスで決定機を阻止するプレーも見せた。年齢の問題はあるもののまだまだやれるところをアピールできた。

◇岡崎 慎司

決定的な仕事こそできなかったが、懐の深いプレーや献身的で安定感のある前線からの守備はさすが。4大リーグの1部では難しいかもしれないが、海外でもやれる能力は十分に見せた。本人は望まなさそうだが、日本であればほしいチームはかなりありそう。

 

 

川崎出身組

◇三好 康児

プレーの一つ一つにとても気が利いていた。オンザボールもオフザボールもどちらも素晴らしいプレーヤーだと感じた。アンチフットボールみたいなチームに行かなければどこでも合わせられそう。海外移籍はかなり近い気がする。

◇板倉 滉

初出場のウルグアイ戦ではやや低調なパフォーマンスでスタートしたが、徐々にコンディションを上げてきた。細かい技術を駆使した中盤でのボールさばきや、守備でのカバーリングはかなり効いていたと思う。高さもあるので、中盤の選手として大きく育っていってほしい。

 

 

厳しい評価となった選手たち

◇上田 綺世

決定機を外すキャラみたいになってしまったが、点を取れる場所にいてくれる証拠でもある。大学ではかなり決めているらしいので、トップレベルでも枠内に打てるメンタルは伸びしろ部分として受け取ればいいと思う。

◇前田 大然

1戦目のvsチリでは右SHという慣れないポジションかつ、ボール保持時には真ん中に入っていくという不思議なタスクを任されて全く良さを生かせなかった。最後の最後でもシュートミスが目立ってしまった。もっと特徴が生きる起用法で使いたかった。

◇中山 雄太

今大会最大の犠牲者かもしれない。本人コンディション問題も否定できないが、中島システムの餌食となり、ボール保持でもなんかよくわからないポジション取りだった。2,3戦目では出場機会がなく、挽回の機会はもらえなかった。

◇中島 翔哉

森保監督が絶対的な信頼を置いた。ボールを持った時のプレーは南米でも通用する部分を見せたが、危機管理能力を考えたときにSHとしての起用には難しさを感じた。

決定機演出やアシスト・得点という結果を残せれば、いいのだろうが厳しいマークもあり絶対的な存在感は示せなかったように思う。状況に応じた守備の仕方覚えれば超有望な選手だと思う。どこかのチームで叩き込んでもらおう。

 

 

 

Jリーグが行われている期間ということでメンバー招集に制限があり、即席チーム感はかなりあった中でのこの結果。なにを目的に臨んでいたのかは不明だが、どう評価していいか難しいのではないかと思う。

なんにせよ、南米を舞台にした対南米で2引き分けできた結果は十分評価に値するところ。選手個人としても貴重な経験ができたはず。今回の経験が今後の成長に繋がれば意味のある大会になるのではないだろうか。