青赤人の戦術探検記

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J1リーグ第16節 FC東京vsベガルタ仙台 レビュー

がちゃです。

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プレビューはこちら。

brgacha.hatenablog.com

 

 

スタメン

 

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欠場者はプレビューを参照。

前節からの変更は以下の通り。

東京 矢島→永井、大森→ナ・サンホ

仙台 富田→椎橋、道渕→吉尾

 

 

前半

シマオvsディエゴ

 前半早々にフィジカルモンスター同士のバトルが行われた。

開始10分までに2~3回ほど、シマオとディエゴのバトルがあったが、シマオがうまいこと手を使いながらしっかりと抑え込んだ。これによって10分過ぎくらいからディエゴはシマオサイドに行かなくなったように思う。東と小川がいることでコンビネーションからの突破が生まれやすい東京左サイドからディエゴを追い出せたことは仙台にとってはプラスに働いたかもしれない。

 

かみ合うシステム

◦仙台ビルドアップ

4-4-2同士ということでそのまま向き合えば、全ポジションがマンマーク気味になり、真っ向勝負のような形になる。プレビューで触れたが、選手の位置取りで優位性を作る仙台としてはビルドアップ時に選手の位置を変える可変システムを使ってくると思っていた。しかし、予想外にそこまで位置を動かしてこなかった。

そうなると東京2トップは走力がある選手なので仙台最終ラインの選手たちはボール保持が苦しくなる。20分頃まで、苦しくなったボールホルダーは長身FWの長沢か右SB蜂須賀あたりに浮き球で届けて逃げようとするもうまく収まらない。

一度、CH椎橋がCBの間に下りて3バック化する動きを見せたが、そこからの繋ぎはできずに結局ロングボールを蹴って回収されていた。

 

◦東京ビルドアップ

東京も最初は2CBvs2トップの同数で落ち着いた保持はできなかったが、すぐに橋本が下りて3バック化を始める。これを見て仙台は吉尾を一列上げて3対3の同数を当ててきた。

これはいつも行っている形なので、仙台もおそらくスカウティング済み。橋本が下りたら吉尾を上げて対応するという準備があったのだと思う。

 

仙台としては吉尾を上げることによって東京最終ラインから時間を奪うことはできるが、中盤のバランスは崩れる。

 

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※イメージ

上図のように吉尾が前に出たことによって中盤にスペースが生まれる。東京としてはここをどう使うかということがビルドアップ時のポイントだった。

 

11分頃、橋本が右からパスを捌きながら上がっていき、左に展開したシーンではうまくこのスペースを利用できた形に。時間がかかったことで吉尾の戻りが間に合ってしまい、効果的な攻撃にはできなかったが、狙いは悪くなかった。

 

25分頃には東が椎橋の前に立ってピン止めすることにより、小川を浮かすことができた。これによって小川へ届けることはできたものの、サポートが薄くて繋げず。この時に永井がサイドに流れてくれればワンタッチで蜂須賀の背後にパスが出せてシマオを外に引き出すことができた。 

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永井が動かなかったのを見ると、東が気を利かせただけでチームでデザインされたプレーではなかったように思える。

 

チームとしてこの吉尾背後を使うという意識の共有はできているように見えたが、そこに入ったあとにどう展開するのか、という点での狙いはあまり見られなかった。

①小川に出たところで蜂須賀がでて来るのであれば永井がその背中を狙い、来なければシンプルにアーリークロスを狙う。

②東が椎橋の脇で受けられたとき、永井が蜂須賀をピン止めして、小川を浮かしてそこからクロス。逆からはサンホも飛び込む。

仙台は早いタイミング(DFが配置につけていない状況)でのクロスは苦手としているので、ターゲットが少なくても狙う意味はあったと思うが、そういった現象はほとんどなかった。

 

関口が下りた5バック化

プレビューで触れた関口の最終ライン吸収だが、この試合でも行ってきた。

関口が最終ラインに吸収されることで後ろに重くなるが、サイドでの蓋はしやすい。同サイドにグイグイ縦に出てくる室屋がいたことでしっかりと蓋をしたい狙いだったかもしれない。また、仙台の人選がカウンターにあまり適していないことから、後ろに重くなっても良いという判断だったということも考えられる。

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※イメージ(前半とサイドが逆ですがご容赦を)

 

要注意人物松下

この試合、仙台の攻撃の軸は松下だった。彼がフリーでボールを持つと、ことごとくチャンスを作られた。仙台としても松下をいかにフリーにするか、という部分は考えて臨んでいたと思う。

東京の前プレを外せば2トップが守備に戻らないことや髙萩が人を捕まえに前に出てくること等の習性を踏まえて、松下を浮かす。後手を踏んだ東京は4-4のブロックこそ組めるものの、誰がボールに行くか曖昧になっているまま松下に配球を許す。

33分のシーンでは、プレビューで触れたシマオの食いつきを利用した裏への狙いという形をそっくりそのまま仙台にやられてしまった。

 

 

前半まとめ

 人を引き出してから中央で浮く松下を使う仙台。サイドで浮く小川を使うも、そこに届けて終わりになってしまう東京。いつもであればディエゴや永井のところで収めたところから、クロスを送る展開もあったが、シマオの潰しによって引いて収める動きも消されてしまった。シマオだけに限らず、仙台DFはスピードのある選手に対してしっかりと距離を詰めて対応するといった共通意識があったように見えた。

 

内容的には仙台がプラン通りに進めることができた展開であったが、スコアは0-0で折り返し。東京としては全く思い通りに行かない前半ではあったが、スコアレスで折り返せたことはポジティブに捉えるべきだろう。

 

後半

オープンな展開

開始から5~10分くらい急に両者が間延びしてオープンな展開になった。

東京としてはスペースで能力を発揮する選手が多いことから、願ってもない展開になったが、ここで仕留めることができなかった。ここで取り切れなかったことが試合のターニングポイントとなったかもしれない。

 

お互いにネガトラでの意識の高さから、ボールを取り切ればチャンスだが、外されるとピンチになるという状況になり、オープンな展開が続いた。

相手のミスではあったが、ネガトラから相手の陣形が崩れた状態でボールを奪い取り、髙萩がミドルシュートまでいけたシーンは東京が狙いたい形だった。あれは決めたかった。

 

人に強く付く仙台

シマオvsディエゴのバトルでもわかるように、仙台の守備は非常に人への意識が強かった。関口が下りた5バック化もそうだが、東京が押し込んだ際には吉尾も下りた6バックになることすらあった。その分、中央は2トップが戻ってしっかりと守備を固める。カウンターは決まりにくいので、まずは失点しないせずにボールを奪ったら保持することを考えての守り方だったかもしれない。2トップの献身性があっての守り方だろう。

 

59分、東京はこの特徴を逆手にとって永井を裏に走らせた。

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このシーンで抜け出してシュートまで行けたがヒットせず。サンホの動きを見ているとこれも即興で生まれている気配。

 

 

64分、仙台の選手交代。

吉尾→道渕

吉尾のパスミスがやや目立っていたので、コンディション的な部分での交代だったか。

 

73分、東京の選手交代。

髙萩→大森

警告をもらっていたこともあるが、点を取りに行った選手起用。東をCHに入れて大森を左SHに。

 

この交代の直後に試合が動いた。

全体が仙台の右サイドに寄ったところから長沢へロングボールを入れる。競り合ったこぼれが関口の元へ。室屋が対応したが、ボール1~2個分外されたところからシュートを許して失点。

関口のシュートがお見事だった。GKが林でもあの距離から撃たれてしまったらさすがに厳しい。

 

シーンを少し振り返えると、長沢にロングボールが入った時点で中央は2対2(ヒョンス・橋本vs長沢・関口)のような状況になっていた。この状況を許している時点で1対1には絶対に負けてはいけない。ヒョンスは長沢を自由にはさせなかったが、結果的に関口に渡ってしまったので勝てたとは言えない。室屋は見ての通り、関口にシュートを許してしまった。この状況のPA内で2度の1対1で勝てなかったのであれば、それは失点に繋がってしまう。70分を過ぎており、ルヴァンでの疲労の差はあったかもしれないが、それは言い訳にできないだろう。

 

 

初チャレンジの3トップ

東京は失点直後から一つギアを上げて右サイドを取りに行く攻撃を続ける。

78分にはナ・サンホ→矢島の交代。システムも4-3-1-2のような形に変更。

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これによってかみ合わせが変わる。また、関口が下りて5バックになるという特性を考えた変更だったように見えた。

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※イメージ

室屋が上がって関口を最後方に押し込むことにより、東を浮かす。ディエゴはボールサイドのハーフスペースをうろつくことで永戸の前進を抑止。

東が中盤ハーフスペースからクロスを入れることで矢島と永井に何かを起こしてもらおうという攻撃だった。

ここ最近の東京ではこのようなアプローチを見ることがなかったので、試合途中の戦術的アプローチが見られたのは非常に興味深かった。

 

シマオと平岡によって跳ね返せていた仙台ではあるが、上げさせたくはないので、長沢が下がってきてこのスペースのケアをすることもあった。

 

両者の選手交代意図

終了間際になってきて両者ともに最後の交代カードを切る。

仙台 関口→石原兆、石原直→ハモン・ロペス

東京 室屋→太田

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仙台は消耗が激しく狙われていた左サイドにフレッシュな石原兆、困ったときに1人でなんとかできるハモン。

東京は縦を切られ続けて詰まっていた室屋のところに左利きの太田。この交代が理解できなかった人も多かったようだが、縦切りだけで詰まらないようにカットインからのクロスという選択肢を持たせたかったのではないかと思う。

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※イメージ

太田が外で持った時にカットインで中に入っていく。この時に東が外を回る動きで石原兆との2対1を作れれば東に落としてクロスもできるし、太田がそのまま上げてもいいという選択肢が生まれる。右利きの室屋だとこの選択肢は生まれない。

あくまでも個人的な考えだが、このように捉えればそこまでおかしくない交代だったと思う。

 

 

しかしながら、このような意図を見せる間もなくカウンターからハモンの一撃を食らって万事休す。この時に小川が負傷してしまい、もうどうにもできない状況になってしまった。

 

 

東京0-2仙台

 

感想・まとめ

 勝ち筋がなかったわけではないが、完敗と言っていいだろう。

シマオや関口のキャラクターありきではあるが、東京のストロングを消しながら自分たちがやりたいことも遂行していた。独力で運べる道渕やハモン・ロペスを投入することでリスク管理を行いながら前への脅威も出す。実際に試合を決める2点目も取れた。そして運動量の多かった関口に代えて同じような仕事ができる石原兆を投入し、クローズ。結果論なのかもしれないが、選手交代の采配も理に適っていたように思う。ベンチに残ったのはCB大岩、CH富田、CH(SH)兵藤と仙台の方が手札が多かったのは間違いなかった。

 

長谷川監督の選手起用について

色々と采配に疑問の声が上がっているが、そんなにおかしくはなかったと感じる。

采配が悪いというよりも選手交代直後に失点を食らうという展開が結果的にそのように見せてしまったのではないかなと思った。大森なんかはもろにその影響を受けており、本人が何もできなかったというよりも、失点後の戦術的に大森がプレーする状況にならなかったというのが正しいと気がする。仙台左SHの穴からクロスを狙うが、逆サイドの大森はターゲットにならないというジレンマ。クロスを上げる役が疲弊している東になってしまったのも苦しかった。ただ、大森にアーリークロスを上げさせるのもなんか違う。結果的にフレッシュな選手を完全に殺してしまった。

思い切ってバランスを崩し、大森に永戸のピン止め役をさせてディエゴを真ん中に入れるという手もあったかなと思う。圧倒的に無理やりな手段だが。

 

もう一つサンホの起用について。

彼はスペースがあって生きる選手。カウンター時にボールを持って、運びながら正しい選択肢を選ぶという久保と同じ仕事をさせるのはさすがに厳しい。

リード時、もしくは0-0で相手が点を取りに来る展開でジョーカーとして起用するのが、ベターかなと感じた。

 

おまけ

 仙台のpickupplayer

◇松下 佳貴

この試合、仙台は多くの鍵を握る選手がいたと思うが、一番フリーにしてはいけない選手がこの松下だった。ブロックが整っていても味方にピンポイントで合わせるパスを供給できる。また、機を見たPA内への侵入も魅力の一つ。

ボール保持にこだわるのであれば、彼のパス能力はチームの得点力にかなり影響してくるだろう。相手チームとしてはこ彼へのマークはしっかりしなければいけない。

 

 

 

今季初の連敗。連敗ということよりもこの試合の内容が色々と考えさせられるものだったと思う。

久保建英が抜けた影響は間違いなくある。しかし、2018年は久保建英がいない中でも勝っているのだから、久保がいなければ勝てないわけではないはずだ。

 

次節の横浜FM戦を終えるとリーグ戦の丁度折り返しとなる。久保が抜けたという一つの分岐点をどう乗り越えていくのか。新しい東京に期待したい。