2024 ACLラウンド16第2戦 川崎フロンターレvs山東泰山 メモ
スタメン
エリソンは第1戦でもも裏を気にしていたが、問題なく先発。第1戦からジェジエウ→丸山、瀬川→三浦が変更箇所。
山東は第1戦で負傷交代したフェルナンジーニョが問題なくメンバー入り。
流れ
第1戦は川崎が3-2で勝利。1点リードでのスタート。
山東は低い位置から無理につながず、ロングボールを中心にして前進を図る。
川崎は最終ラインから組み立てて、ショートパスでの前進を図る。山東は4-2-3-1セットで、トップ下がアンカーを監視。ゴールキックでは前からプレスを掛けるが、第一陣がハマらなければ割り切ってラインを下げる。
川崎は3トップを半列下ろして縦パスの受け手に入れる。そこでクッションを入れて、落としから背後を狙う形が見えた。
3分、カザイシュビリのミドルシュートでCK獲得。山東は形にこだわらずゴールへ向かっていく。
5分、三浦と丸山の間に入ったルーズボールを見合う形になり、シュートを許す。
6分、三浦が上がって相手SHをどかし、マルシーニョを空ける形。
山東は最終ラインの選手がかなり深くまでマークマンについてくる。
8分、山東先制、0-1。川崎はビルドアップから大南が切り返しで剥がそうとしたところをカットされ、最後はクリザンがゲット。危険な位置でのハイリスクプレーを選択し、それが失点に直結した。
9分、エリソンが接触で痛める。左のもも裏を気にしている。接触時の打撲?プレー続行は可能。
山東は4-1-1-4のようなビルドアップ。基本的にはCBからのロングボールが軸。
橘田を経由しながら相手1トップのところを外してCBから運ぼうとしている川崎。相手SHがCBのところまでアタックに出てくるため、大外はSBが迎撃で出てくる。そこを外せるかが肝になるか。
13分、川崎の保持。山東は自陣でブロックを作りつつ、前に2枚残してカウンター狙い。奪ったあと、クリザンのシュートまで持ち込む。川崎は敵陣まで入るとSBが高い位置へ上がるため、サイドのスペースを突かれやすい。
15分、左サイドを崩してマルシーニョがポケットに抜け出して折り返し。エリソンが合わせるもやや足元で詰まってしまい、枠外へ。
家長は早い時間帯から逆サイドまで進出するなど、かなり自由なポジショニング。
川崎が高い位置で保持する時間を増やしている。カウンタープレスも積極的にかけており、山東は奪っても前に蹴るしかないような状況。ただ、陣地を回復さえできれば、一気にゴールまで向かえる怖さは見せている。
川崎はマンツー気味につかれたときは前から人を下ろして受けさせ、落としで前を向かせようとしているが、その落としがズレてオープンアタックを許すシーンが何度か見られる。
19分、クリザンが右サイドをゴリゴリと進入し、折り返し。川崎はヒヤッとするシーン。
家長が自由に動くところも含め、ボールの近くに人が多く集まる川崎。
23分、PA内右で持ったエリソンが左足でのシュート。CK獲得。前にDFが待ち受けていたが、強引に狙っていった。
24分、山東追加点、0-2。川崎のCKをニアでカットしたところからロングカウンター発動。左に振ってからクロスをピンポイントで合わせ、ネットを揺らした。川崎はデザインしたCKを狙ったが、ニアであっさりカットされ、後ろに残っていた橘田も中途半端なアプローチになるなど、複数のミスが重なって痛恨の失点。山東は合計スコアで逆転。
25分、左サイド奥に抜け出した三浦が倒されて深い位置のPA外でFK獲得。
家長は途中からかなり長い時間で中盤セントラルの選手として振る舞っている。中盤の枚数が厚くなる分、保持は安定している印象だが、そのぶん前線の枚数は減っている。右サイドで残っていることはほとんどない。
29分、川崎得点、1-2。三浦が奪取からそのまま前へ駆け上がり、山本のスルーパスから抜け出すと、角度のない位置からファーサイドネットを揺らしてゲット。数分前から攻撃参加が目立っており、それが得点に結びついた。
31分、珍しく右サイドに張っていた家長のタメから佐々木が追い越してクロス。ホームということもあり、川崎の雰囲気になってきた。
32分、山東が右からの大きな展開でカザイシュビリに渡し、仕掛けるも川崎がPA内でストップ。逆にオープンなところでエリソンが抜け出しかけるも、ゴールへは向かえず。
34分、山本のスルーパスにマルシーニョが抜け出して折り返し。脇坂が飛び込むも触れず。惜しいシーン。PA付近での山本のスルーパスの質が光っている。
35分、脇坂が中央でマークを集めてから佐々木に渡し、クロス。川崎の時間帯。敵陣深くまでは行けているので、あとはPA内をどう崩すか、そして決め切るか。
37分、敵陣でのカウンタープレスで連続攻撃を仕掛ける川崎。脇坂→エリソンで抜け出しを狙うも合わず。
38分、左からのクロスに脇坂が頭で合わせるも枠外。少しボールが高かった分、合わせきれなかったか。左サイドは三浦が駆けあがってマルシーニョへのパスコースを空ける形が何度か見られる。
39分、ジェンジェンに警告。
39分、家長が右サイドで時間を作ってから中へ送り、山本がコントロールショットもバー直撃。
42分、FKからカザイシュビリのミドルも枠外。可能性を感じさせるボレー。
家長を加えた中盤4枚がうまくつながることで1stプレスは安定して外せる状況。ただ、山東も無理をしてプレスに人数をさかないため、第一陣を外してもスペースはそこまで空いていない。
44分、
橘田のスルーパスにマルシーニョが抜け出し、GKを交わしてシュートを狙うもGKがセカンドアクションで素早く戻ってかき出す。ビッグチャンス。
46分、丸山→家長のパスがカットされてカウンターを受けるも、帰陣が間に合い、事なきを得る。
47分、マルシーニョがPA左に入り込み、クロスにエリソンが飛び込むも合わず。結果的にオフサイド。橘田→マルシーニョのホットラインができつつある。
山東は残り時間が少なくなっていることも踏まえ、クリザンも含めた全員が自陣深くまで戻り、前半をこのまま終えようという姿勢を見せる。
川崎は大南の個人のミスと、脇坂のCKミスから大カウンターを食らったところで痛恨の2失点。三浦のゴールで1点を返し、合計スコアでイーブンに戻したが、フラストレーションがたまる失点の仕方になってしまった。序盤は縦パスからの落としがズレるなど、リズムが良くなかったものの、20分を過ぎたあたりからは一方的に攻め込むような流れになり、山本や橘田からのスルーパスとマルシーニョの抜け出しというコンボでPA内を攻略できるシーンも多々あった。得点にかなり近づいたシーンもあったが、GKに防がれたり、バーにはじかれたりと、わずかに足りず。
山東はある程度割り切って守備に重心を置いているが、前線の質は高く、2得点も見事なフィニッシュスキルを見せた。とはいえ、前半途中からのような防戦一方の展開が長く続くと苦しくなることは間違いないので、押し返すためにどのような手を打つかがポイントか。
後半
山東交代
シェウェンネン、ジェンジェン→パト、フェルナンジーニョ
山東はトップ下をアンカー番につけていた前半から、2トップが横並びで背中でアンカーを見る形になった。
立ち上がりは山東が保持する時間を作る。
50分、左サイド奥に流したボールをエリソンが追いかけて競り合いから奪取。折り返しを家長が狙うもDFに当たってCKに。
52分、CKがファーまで流れ、最後は家長がプッシュするもGKがセーブ。
53分、エリソンがPA内右で前を向き、折り返す(シュート?)も合わず。
55分、丸山→山本の縦パスでスピードアップしてゴールへ向かうも山本がシュートまでいけず。良いスイッチの入り方だった。
56分、丸山→マルシーニョで左サイド奥を取り、シュート。こぼれ球から山本のコントロールショットに持ち込むも、GKが処理。連続攻撃で流れを作る。
前半は左サイドで見られたSBが追い越してWGへのパスコースを空ける動きが右サイドで見られるようになった。
58分、川崎得点、2-2。脇坂→家長で右サイドを崩し、クロスをフリーでマルシーニョが合わせる。ポストをたたくが、跳ね返りをエリソンが詰めてゲット。良い流れのまましっかり崩して得点につなげた。
川崎は流れが傾いていることもあり、プレスもかなり積極的になっている。一気にたたみかけたい時間帯。
63分、三浦が空いてDFを引きずりながら長い距離を運び出し、ラストパスを送るもマルシーニョには合わず。
65分、川崎のゴールキックに対し、人を当てて前からプレスを掛ける山東。合計スコアで上回られたこともあり、戦い方を調整してきた。
67分、クリザンのプレスバックからフェルナンジーニョに渡して陣地回復。
67分、マルシーニョに警告。山東は敵陣でFK獲得。ビハインドになった山東がいくらか目の色を変えてきたこともあり、やや山東ペースの時間になりつつある。
70分、エリソンがハイボールの競り合いでの接触で痛める。プレー続行は可能。
エリソンはかなりギアを挙げてプレスに出ていく。
72分、山東得点、2-3。クリザンが左サイドからのカットインシュートでニアサイドを打ち抜いてゲット。川崎は人数はそろっていたが、シュートコースを消しきれず。山東は自分たちのペースに引き込めてきた時間でしっかり得点。
74-75分、脇坂が中盤でのルーズボールを収めたところから山本のストレートクロス。ファーでエリソンが飛び込むも高さがわずかに合わず。今度は追い付かれた川崎がギアを上げて攻める。
76分、CK崩れから大南が右サイドを抜けだしてクロス。ファーにマルシーニョが飛び込むも間に合わず。
77分、リーウェンイが足を攣る。
78分、山本のとんでもないスルーパスにエリソンが抜け出すと、山東のGKがエリアの外でエリソンを倒し、一発退場。→VARチェックにより、オフサイドの判定に。退場は取り消し。
川崎は守備で前向きの圧力を高めており、相手が足元で受ければ矢印を強めてしっかり奪い取れている。
82分、山本とのコンビネーションでマルシーニョがPA内で抜け出しかけるも密集を抜けられず。一気に川崎ペースに傾いてきた。奪われても素早いカウンタープレスで山東に息継ぎの時間を与えない。
83分、川崎交代
山本、マルシーニョ、エリソン→瀬川、山田、ゴミス
山田が右WGに入り、家長がトップ下のような位置に入る。
84分、山東が左からクロスを上げると、ソンリョンがなんとかかき出してCKに。
→右からのインスイングCKをジャジソンが合わせるもバーの上。
85分、左に流れたクリザンとカザイシュビリの連係でクロスまで。CK獲得。山東の時間。
ゴミスはセットプレー時の高さという意味でも効いている。
クリザンはアンカーへついて行くプレスバックや、トランジション時のポイントとして非常に機能している。足元に入るとボールを奪うのは難しい。
川崎はゴミスを最前線に残し、トランジション時の押し上げ要員に使う。
最前線にゴミスが入ってキャラが変わったこともあってか、川崎はシンプルにゴミスへ蹴って押し上げる形も見せ始めている。
89分、クリザンに警告。
90分、PA手前でゴミスが背負ってタメを作り、折り返しまで。最後は三浦が抜け出すもコントロールし切れず。ゴミスが収まりどころとして攻撃で機能している。
91分、川崎が自陣でのロストからクリザンがシュートまで。大南が頭でブロック。
92分、山東がCKの流れからリーウェンイのシュート。コースが変わるもソンリョンがギリギリでかき出すファインセーブ。
93分、CK崩れから右からのクロスにジャジソンが飛び込むも枠外。
互いにゴール前で際どいシーンを作り合っている。
93分、瀬川がPA内左に抜け出してインスイングクロスを送るも山東DFが間に合ってクリア。CKに。
94分、家長のロストからカウンターを受けるも大南が好対応で阻止。
95分、三浦が背後に抜け出して折り返すも山東がギリギリでクリア。どちらも延長を嫌ってか、攻撃的に出ていくため、オープンになりやすく、チャンスの質も高い。
96分、右で持ったクリザンが個人技でシュートまで。ソンリョンがセーブし、CKに。
96分、山東得点、2-4。右からのCKで混戦を作り出し、ジャジソンがバイシクルのような形で流し込んだ。川崎は延長間際での痛恨の失点。山東は合計スコアで勝ち越し。
最後は高井を投入するなど、ワンプレーにかけた攻めでPA内までは入り込むも、クリアされて試合終了。
後半開始直後は山東がボールを持ったものの、50分を過ぎたあたりからは川崎が保持を安定させながら、連続で質の高いチャンスを作り出し、2点目を奪うことに成功。それまで受け身に回っていた山東も、合計スコアで上回られたあとから矢印を前向きにシフトチェンジ。そこから押し返す時間も作り出し、クリザンの個人能力から1点をもぎ取る。その後は川崎がペースを握りつつも、山東も押し返す一進一退の攻防に。互いに延長を避けたい意志があったか、オープン気味になったところ、後半終了直前に山東がCKから決勝点を奪ってゲームセット。川崎はラウンド16で姿を消す結果となった。
ボール保持を安定させ、山本を軸にした崩しも機能していただけに、もう1点を取っておけなかったことが攻撃における反省材料。ただ、それ以上に安直なミスから前半に2失点を喫してしまったところが最大の反省点といえるだろう。
個人的MOM
★山本 悠樹
ミスが少ない上に、PA付近でのラストパスで何度もチャンスを演出。崩しのキーマンとして欠かせない存在となっていた。惜しくもバーをたたいたが、コントロールショットも可能性を感じさせた。
山本と同じく新加入組の三浦も左サイドで存在感あり。ボールを持った際の推進力と、背後へのランニングで左サイドを活性化させ、得点も奪ってみせた。
橘田も失点に絡んだシーンが目立ったとはいえ、マルシーニョへのラストパスでチャンスを作り出すなど、アンカーの位置からでもゴールへ直結するプレーを見せた部分は好印象だった。