2021 J1リーグ第5節 アビスパ福岡vs鹿島アントラーズ メモ
スタメン
福岡
保持
ボックスビルドで両SBは高く押し上げる。トランジションはSBのスペースが空く。
SHを内に入れ、縦パスをスイッチに中央でのコンビネーションから打開を図る。
両SBからは低めのクロスを積極的に入れる。
非保持
重廣がボールサイドのボランチを捕まえる。徳島戦後半と同じ守り方。
SBが空けたスペースはボランチがスライドして埋める。特にサロモンソンの場所をカウエが埋めることが多い。
最終盤は[5-4-1]にしてゴール前のスペースを埋める。
鹿島
保持
[4-2]ビルド。
エヴェラウドがいるので、アバウトめでもクロスを上げていく。
数的不利になってからはアラーノや松村の推進力を生かして敵陣へ入り込む。
非保持
[4-4-2]セット。
2トップを2CBにあてて、じわじわと押し上げて蹴らせる。
退場後は[4-4-1]セットで撤退。1トップ脇から運ばれるのは許容し、[4-4]で場所を埋めることを優先。
染野の投入後からは少し前でサイドを制限するプレスを掛け始めた。
流れ
45秒、いきなり左サイドを突破した志知から吉岡。合わせきれなかったが、早速チャンスを作った福岡。
鹿島のボランチが下りると重廣が立ち位置を迷う。
序盤は三國へのロングボールも使いつつ、セカンドを回収できていた福岡がペースを持っていたが、徐々に鹿島がボールを握って敵陣へ入り始める。
飲水まで互いにゴール前のシーンは少なく、まだチャンスはほぼない。エヴェラウドと村上がハイボールで競り合うシーンくらい。
26分、和泉が負傷。もも裏を抑えており、筋肉系の模様。
和泉→アラーノ
アラーノが右、荒木が左へ。
34分、荒木がゴール前でシュートを放つも、GKの正面へ。
36分、右を抜け出そうとした三國に対し、関川が足裏を見せてファウル。一発退場。ザーゴ監督も苦笑い。
鹿島は押し始めていただけに、もったいない。良い流れを断ち切る1プレーになってしまった。
40分、CKからニアで宮が合わせるも角度がなくなり枠外。
鹿島は三竿がCB、土居を右SH、アラーノをボランチに下げ、[4-4-1]で応急処置。
数的優位になった福岡がボールを持ち返し、敵陣へ押し込む。相手が1トップになったことでCBがフリーになり運べる。そこからサイドを使いながら前進し、クロスを入れる。
鹿島が徐々にペースを握り、ゴールへ迫り始めていたが、関川の退場で状況は一変。福岡が敵陣でのプレータイムを増やし、徐々に深いところまではいり始めている。スコアレスでの折り返しとなったが、鹿島はどのように押し返すか。エヴェラウドがいるので、ゴール前へボールを送り込む回数を増やしたいが、どうやってボールを奪うのか。
福岡は純粋なFWが不在のまま三國へのクロスに希望を見いだすのかどうか。また、数的優位になり、自由にボールを持てることで重廣をトップ下で使ううまみが減っているが、そこはどう考えるか。
後半
福岡、吉岡、カウエ→山岸、金森
鹿島、荒木、永木→レオ・シルバ、犬飼
重廣をボランチへおろし、攻撃的な選手を前に増やした福岡。数的優位によりボール保持の安定は保証されたので、より点を取れるメンバー構成にシフトチェンジ。
鹿島はCBを本職の選手に戻し、1人で多くの仕事がこなせるレオ・シルバを投入して、馬力を増やす狙いか。
後半も立ち上がりから福岡が攻め込み、チャンスを作る。ボランチを含めたボール回しで少しずつ前進し、中央でのコンビネーションから打開を図る。
両サイドからのクロスも質が高く、可能性を感じる攻撃が続く。
犬飼が入ったことでシンプルなロングボールをより跳ね返せるようになった。三國だけではキープできない。
56分、スローインからすらして三國のボレー。シュートは沖の正面へ。
57分、福岡のちょっとした処理ミスから鹿島がチャンス。左からシュートを放つもDFに当たり枠外へ。鹿島はこういうチャンスを仕留められれば勝機が出てくる。
63分、石津→田邉
鹿島はセットプレーには強さがあるので、CKの数を増やしたい。
66分、土居が途中で走るのをやめて座る。もも裏を気にしているので筋肉系の負傷か。
土居→松村
69分、ワンツーで左を抜け出した田邉からクロスが入り、金森が合わせるもシュートは沖の正面。惜しいシーンにはこぎつけているが、ネットは揺らせない福岡。
71分、三國→輪湖
輪湖が左SHに入り、田邉がトップ下気味の位置へ。
73分から鹿島がセットプレーのチャンスを連続で作り、ゴールへ迫る。
78分、エヴェラウドのFKは壁に当たり、その後のチャンスもオフサイド。
78分、エヴェラウド→染野
82分、左からのクロスのこぼれ球を三竿がミドル。枠内へ飛んでいたが村上が好セーブ。
73分あたりから10分間は完全に鹿島の時間になる。染野で片方のサイドに寄せて奪う。左の松村の推進力で陣地回復。
84分、サイドからのクロスの落としを金森がボレーでゴールへたたきこんだ。鹿島の攻撃を耐えた後に貴重なゴールを挙げた。
88分、重廣→グティエレス
田邉を下ろして[5-4-1]セットに変更。
90分、松村の突破から中で犬飼が合わせて同点に追いつく。
VARとの長い交信を経てオンフィールドレビューを実施。ゴールの前に松村がサロモンソンを倒したプレーを流していたが、見直した結果ファウルの判定になり、得点は取り消し。最初は主審が見た上でノーファウルと判定されたので、鹿島側としては納得しにくい判定かもしれない。
鹿島は両CBを上げるなど、攻勢を強めてゴールに迫ったが福岡もぎりぎりのところでしのいで逃げ切った。福岡は数的優位になってからチャンスを作った中で決め切れず、70分ころからは押される時間を作られたが、そこを乗り切った後に得点を奪えた。
鹿島は良い流れができ始めた前半で点が取れず、関川の退場で完全に流れが一変。終盤はゴールを奪えそうなチャンスもあったが、得点取り消しも含め、あと一歩足りなかった。
トピックス
福岡
FWに離脱者続出で三國がFWに。ボランチも手薄な中で重廣をトップ下起用。
金森が「恩返し弾」。2戦連発。
鹿島
和泉が筋肉系のトラブルで交代。
リーグ戦初スタメンの関川が前半に一発退場。
土居も筋肉系のトラブルで交代。
コメント抜き出し
(※Jリーグ公式サイトから引用)
[ 長谷部 茂利監督 ]
今日は入りのところで失点をせず、前半を無失点で抑えてハーフタイムには選手に、1つ階段を上がったと、またそこから0-0で推移する中でどこまでいきたい、という話をしました。鹿島さんに1人の退場者が出たことで自分たちがもっともっと効率よくボールを動かしてシュートにまで行く形を作ろうとハーフタイムに指示を出しましたが、うまく相手をはがすことができなかった中で、最後の最後に得点を決めることができました。非常に良かったと思いますし、これが勝負だなと思います。また、1対1のところ、セカンドボールの取り合い、球際の戦いのところでは多くの回数負けていたと思うので、そこはわれわれの課題かなと思います。--三國 ケネディエブス選手を1トップで先発起用した狙いは?
彼の持っているFWとしての能力をチームに提供してほしいということで、守備面もまた攻撃面も良いものを持っているので、そこでセットプレーも含めて点数を取れたらなという思いと、守備のスイッチを入れてもらおうと。久しぶりのFWでのプレーでしたが、よくやったと思います。--三國選手の先発起用に交代策もハマり、思いどおりに進んだ試合だったのでは?
プランどおりではありましたが、レッドカードに関してはプランに入っていませんし、球際のところで負け続けたというか、相手のほうが素晴らしかったというところは想定外でした。そこで戦っていかないと、時々勝つ、引き分け以上と、そういうことを繰り返していかないとゲームとしては苦しくなっていくなと感じています。ただ交代で出た選手、もしくはそれまでの選手も役割はまっとうしてくれて勝利に貢献してくれたと思います。
我慢するところは我慢、そして数的優位になってからはハーフタイムに攻撃的な采配に切り替えるなど、ゲームプランと交代の切り方に勝ち筋を見いだせているように見えた。「0-0で推移」させながら、勝負所で決め切る戦いができた。
[ ザーゴ監督 ]
前半は相手のやりたいことを抑えることができたと思います。ただ、10人になってから状況が苦しくなりました。ハーフタイムで修正をかけて、その中からミドルシュートやペナルティーエリア内のシュートはありました。残念ながら相手にとって1回目のチャンスを決められてしまい、予想しなかった敗戦になってしまった。勝点3は失いましたが、収穫もありました。今後のシーズンに向けて選手たちの意欲やあきらめない姿勢が見られた。選手たちを称えたいと思います。--前半と後半にアクシデントがあった。アクシデントが続出した理由については?
最善の注意を払いながらメンバー構成を徹底していますが、シーズン序盤で体ができ上がっていない状況でこれだけの試合が組まれているので、そこでローテーションすることを考えてやってきました。連続して同じ選手が出るということは危険かなという思いもあったのですが、そういう日程なのでやっていくしかない。彼らがケガをすることは予想外でした。限られた人数でやり繰りしていくしかない。若い選手もいますが、シーズンを通してちゃんと育ててから試合出場を考えていきたいと思います。まずマネジメントしていきたい。リカバーして次の試合に向かっていきたいと思います。--次節・名古屋戦への意気込みは?
先週のサンフレッチェ戦に比べたら1日リカバーする時間がある。いまはまずリカバーすることしか考えていないです。誰がプレーできる状態にあるのかをまず把握しないといけないし、あとは失った勝点3をホームで取り返すことをしっかりやっていかないといけない。まずリカバーしてピッチに立てる選手を見極めて戦っていければと思います。
徐々にリズムをつかみはじめ、「前半は相手のやりたいことを抑えることができた」が、関川の退場は当然想定外。そこからは苦しくなった。ただ、その中でも終盤にチャンスを作り出せたのはさすが。レオ・シルバや松村ら、個人で距離を稼げる選手が効いたのも大きかった。