がちゃのメモ帳

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2026 J1百年構想リーグ第6節 水戸ホーリーホックvsFC東京 雑感

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水戸のハイプレス

水戸は予想どおり、ハイプレスを掛けてきた。「相手の意図としてバックパスに対してスイッチを入れるというチームとしての意図を感じました」と橋本健人がコメントしているように、CBに戻ってきたところにFWがプレス、そしてその横パスに対しては早めにSHが前に出ておいてプレス、という形で寄せ、GKまで戻させたところにも圧力を掛けて前に蹴らせる。FC東京が風下で、バックパスは球足が早まる傾向があったため、キム・スンギュは足元のボールコントロールにナーバスになっていそうな雰囲気があった。それも含めてプレッシャーを受けたときは無理につながず、はっきり前に蹴る選択が多くなっていった。

 

水戸のビルドアップ×FC東京の守備

水戸のハイプレスによってCBからショートパスをつないでゴールを目指す形はなかなか出せなくなったFC東京だが、相手ボールの際に後手を踏んでいた印象はない。水戸はボランチの大崎を左CBとSBの間に下ろして3バック化する組み立てを図る場面がよく見られた。これに対してFC東京はSHとSBを押し上げて対応し、最終ラインがボールサイドにスライドすることで背後のスペースもケア。水戸がサイドのスペースに流し込み、1対1を作り出そうとしてもCBのカバーリングで十分に対応できていた。(ただ、水戸が高い位置でのスローインを取れればOKという狙いだったとしたら、そこは防げなかったと言える)

また、横浜FM戦に続き、2トップがボランチ前のスペースを埋めるタスクをしっかりと遂行。水戸はSBから先のパスコースをなかなか作れず、前へ送ってもFC東京のDF陣がしっかりとマークにつく状態を保てていた。

 

橋本健人投入後のビルドアップ

アクシデントにより、22分に長友が交代となり、代わって入ってきたのが橋本健人。蹴り合いの展開が落ち着き、互いにショートパスでのつなぎも多用するようになっていた中、ビルドアップは彼がいる左サイドが中心となっていく。

27:55は加藤が前向きの意識を強めたところの逆を取って常盤へパス。ここからスペースがあるエリアへつなぎ、室屋から逆サイドの佐藤龍に展開するという対水戸における効果的な攻撃を繰り出すところにつながった。

29:10は最終ラインの少し内側で受けて相手SHを引きつけ、大外で佐藤龍がサポート。そこから中央の長倉へつなぐが連係が合わずにロストとなった。

36:00はバイタルへ上がっていった橋本拳人に斜めのパスを通すも、コントロールが合わずにロスト。

46:15はライン間に入ったヒアンへ縦パスを通して打開を図るもコンビネーションが合わずにロスト。

47:30は相手SHがCB大森に出てきたところを大森→佐藤龍と縦パスをつなぎ、大外の橋本健人からペナルティーエリア内へ走る長倉へ流し込むパスを供給。

以上のように、左サイドを起点にして相手のバイタルエリア近辺へもぐりこむことはできていた。ただ、水戸の陣形がコンパクトでスペースを狭められていたことや、味方同士の連係が合わなかったことでロストしている。今まで多く見られたCBの縦パスから攻撃のスイッチを入れる形と別のパターンを見せることができたことは前向きにとらえられる一方で、パスが入ったあとの連係が詰め切れていないところは今後の課題に挙げられるのではないだろうか。

 

セカンドボール回収の設計

後半も水戸はFC東京の最終ラインにプレッシャーを掛けていく。FC東京は開始早々のバックパスからピンチを迎えたシーンも含め、プレスを受けて詰まった際にはGKへのバックパスで組み立てのやり直しを図った。このときに水戸はボールに近い相手選手を捕まえ、受け手にプレッシャーがかかる状況を創出。GKキム・スンギュから前線へロングボールを送るケースが何度か見られた。ロングボールを入れること自体は(本望ではないにしろ)前進する手段として使う必要はある。ただ、チーム全体でセカンドボールをどう回収し、そこからどう押し上げていくかの絵が共有できているのかには疑問が残った。GKからのロングボールを入れた際、常盤は相手2トップの背後でもらうために低い位置を取っていたほか、橋本拳人は右SB位置のサポートに入っていたり、右の高い位置へ進出していたりと、最前線で競り合っても中盤で拾えそうな場所が手薄に。それによって回収率を高められなかったことが試合をコントロールできなかった理由の1つなのではないかと考える。

また、水戸の1stディフェンダーがCBのパスを出せる角度を限定できていたことで水戸のSHとCHは消すべき場所が明確になっていた。これによって、今季開幕からFC東京のストロングパターンとなっていた、CBが持った時にインサイドのSHと、大外のSBの2つの選択肢を突きつける攻撃が出せず。縦パスが相手のフィルターに引っかかり、間延びした中盤と手薄な最終ラインを突かれるカウンターを受けるシーンが増えた。

 

総括

「守備のところで前半はプランしてきたものが発揮されました。しかし、そこから自分たちの攻撃のところで後手に回るようなところが非常に多くあった前半だったと思います」。松橋監督がこのように振り返っているとおり、前半は守備で大きな穴を空けることなく、ゴール前での対応も集中力高くやれていたと思う。また、ビルドアップもサイドから中央に差し込むところまではいけていたが、中央で収めどころを作れなかったことが痛かった。

後半はビルドアップに迷いが出たところから相手にカウンターのチャンスを多く作られて苦しくなってしまった。「長いボールを有効に活用してそこでひっくり返せればというところもありましたけれど、そこもなかなかうまく出せなかった」という松橋監督のコメントを見ると、ロングボールによる前進手段も選択肢として持っていたと思われるが、チーム全体の目線をそろえることはできなかった印象がある。また、CBからの強引な縦パス起点のロストで多くのカウンターを受けたことも反省材料。開幕から見せてきた、CBが左右に広がってSBが高い位置に出ていく保持時の陣形は、前線を厚くしているぶん攻撃のバリエーションは出るが、カウンターを受けると少ない人数での対応を強いられるリスクがある。今回はそのリスクが最も顕在化した試合になったのではないか。

守備面では前線の強度が下がってきたことに伴ってDF陣がタイトなマークにつけなくなり、起点を作られて後退していた印象が強い。とはいえ、失点シーン以外の多くのピンチで体を張ってシュートブロックに入り、勝点2の獲得につなげたことは評価できるポイントだろう。

今季の取り組みから考えれば、一番の課題は強いプレスを受けた際にどう前進するか。前半はサイドから中央に入った際の連係構築がうまくいかず、後半はロングボールを使った前進の共有ができなかった。ここはチーム内でのすり合わせが進めば解決できる部分ではあるはず。柏戦ともまた異なる課題が出た中、どのようにチームを前に進めていくかを見ていきたい。

 

3/14 水戸戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW|FC TOKYO FANZONE|FC東京オフィシャルホームページ

※各コメント引用元

その他のトピック

連戦でのSBの運用

程度は不明だが、ここまで先発を続けていた長友が負傷してしまったため、おそらくこの連戦は彼抜きで乗り切ることを考えなければいけない。右の室屋、左の橋本健人以外にSBの候補はバングーナガンデ(左)、小泉(右)あたりになるだろうか。ただ、それぞれ懸念点がある。バングーナガンデはFC東京オフィシャルの発信を見る限り練習試合には出ていそうだが、公式戦でプレーさせられるほどの状態にあるのかは不明。小泉に関しては、大外の高い位置を取る、相手CB-SB間を縦に抜けていくという今季のSBに求められるタスクと、プレースタイルがマッチしない。

中3日ずつあり、長距離移動もないため、室屋と橋本健人にフル出場してもらうことも十分にあり得るが、この連戦でSBをどうやり繰りするか、また誰をSBのバックアッパーに置くのかには注目したい。