がちゃのメモ帳

Jリーグをメインに、いろいろな感想を残していきます

FC東京の2020シーズンをざっくり振り返る ~後編~

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続き。 

 

第12節・湘南戦~

とんでもない過密日程の影響を受け、このあたりから積極的な若手起用が進む。コロナがなければJ3U-23チームで出ていたであろう選手がJ1の舞台を踏めるチャンスだ。当然、主力選手たちとはできるプレーの幅が違うので、全体のバランスを整える必要があるが、ここは長谷川監督がさすがの手腕を見せた。出ている選手の特性を考えながら試合ごとに選手の役割を細かく調整し、ターンオーバーを敷いた中でも着実に勝点を積み上げる。

これがうまくいったからこそ、若手の活躍する場が増え、チームの底上げができた。U-23組との融合を行わなければならないシーズンで、ある意味一番ポイントになったのはこの時期かもしれない。

 

 

第18節・C大阪戦(?)~

はっきりとは覚えていないが、このあたりからレアンドロがトップに入るシステムを使いだしていたはず。勝ち負けははっきりしたが、レアンドロの組み込み方としてはこれがベターなのではないかと思う。守備タスクを相手CBへのプレスに限定すれば、彼も十分に守備に貢献できる印象を受けた。橋本の移籍、そして髙萩をトップ下起用に移行していったため、不在になったアンカーの位置をなくすという意味でもバランスのとり方は間違っていなかったように感じる。

ただ、そのレアンドロが3試合の出場停止を受けたこともあり、4連敗を喫する。うまく言語化できないが、この連敗は戦術的な部分より、メンタル部分での安定を欠いていたイメージがあり、戦い方がうまくいっていなかったとは一概には言いづらい。加えて、(延期になったが)ルヴァンカップ決勝やACLをにらんで、なにかを試している空気もうっすらあったので、評価が非常に難しい時期でもある。

 

第27節・名古屋戦、ACL

開幕前に掲げた[4-3-3]への移行をほぼやめた状態になっていたが、ここにきて復活。とはいえ、やはり完成度が高いとは言えず、プレスの掛け方もカウンターへの移行も試行錯誤している印象が残った。ACL直前での名古屋戦、仙台戦は“なにかを試している”感が強かったうえ、結果も出なかったため、不安を残しながらACLへ向かう。

ACLが始まっても、同システムを継続。1試合目の途中から森重を中盤に置くオプションを試すと、以降も森重をアンカーに置くシステムを1stチョイスで進めていく。森重アンカーシステムについては賛否両論があったと思うが、髙萩をアンカーとして計算しなくなった以上、[4-3-3]を続けるにはこの選択肢しかなかった。また、リーグ戦ではサブに回ることが多かったオマリが、ACLの舞台で強さを発揮したこともこのシステムを採用できた理由の1つに挙げられるだろう。

 

 

ルヴァンカップ決勝

今季1年を振り返る上で、この試合は外すことはできない。“個人的には”だが、同シーズンで最も[4-3-3]が機能した試合だったと思う。キーマンであるレアンドロを高い位置においたまま、中盤・SBのところでボールを奪い、スムーズにカウンターへ移行。先制点も完全に狙った形だった。

また、DF-MFのライン間を好きに使われていた前回対戦(第30節)とは違い、アンカー森重が江坂を封じつつ、カウンターの起点やボールを落ち着かせる役割も担う。普段CBを務めている彼をアンカーに置くことのメリットを感じるゲームになった。

 

あえて不安要素を挙げるならば、柏にしかこの理想形を見せられていないことだろうか。J1には柏よりもビルドアップがうまいチームは存在するし、相手のチームスタイルが変わったときにどれだけやれるかはまだ未知数だ。

 

ただ、来季へ向かっていくにあたり、1つの理想形を見せられたことは非常にポジティブ。失点こそしたものの、終盤の采配も含めて完璧な90分だった。決勝で見せたバランスをどの試合でも見せることができれば、リーグタイトルに近づくと言っても過言ではないはずだ。

長谷川監督の理想形が1試合でも多くみられることを楽しみにしている。