がちゃのメモ帳

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FC東京の2020シーズンをざっくり振り返る ~前編~

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いまさら感はいくらかありますが、せっかくなので残そう企画。

 

試合を見返すことも記事に残すこともほとんどしなかったため、ほとんど記憶ベースですが悪しからず。

 

 

 

オフシーズン

主な放出は大森とオ・ジェソクのみに抑えた上で、レアンドロアダイウトンと強烈なアタッカーを加えた。18・19年と課題になっていた、ビハインドを背負ったときの馬力不足を補うために十分な補強だったと言えるだろう。

 

そして大きなトピックとしては、[4-4-2]→[4-3-3]のシステムの変更があった。

これも攻撃においてのテコ入れで、勝ち切る試合を増やそうといった目論見だろう。

 

 

 

開幕後 

 ACL~J1開幕戦

リーグ開幕前に[4-3-3]がどのくらい機能するかを試す場としてACLの存在があったが、率直に言うと特に守備面において「うまく機能している」とは言い難かった。

[4-4-2]→[4-3-3]の移行で中央のFWが1枚になりビルドアップをけん制できず、簡単に前進を許す。WGが中央へのプレスをかければ、大外で浮くSBないしはWBに渡されて運ばれる。前半はそういった展開を強いられ、慌ててハーフタイムに修正するケースが頻発した。前半の良くない時間で我慢して、修正後の後半で点を取って勝てていたのは、前向きにとらえてもよいが、システムの機能としては多くの課題と向き合わなければいけなかったと思う。

開幕戦の清水戦も、結果として逆転勝ちを収めてはいるが、60分頃までは完全にペースを握られていた。

「さて、以降のリーグ戦ではどうやって微調整をしていきましょうか」といったところで中断に入る。

 

 

第2節~第8節・鳥栖

橋本拳人が先発出場した2試合を除いて、非常にランダム性の高い試合が続いたのがこの期間。 ここで言う“ランダム性が高い”とは「失点のリスクを増やしながら、得点の可能性も高めるサッカー」。具体的にはレアンドロの守備タスクを減らし、攻撃にエネルギーを使ってもらう戦略。ただ、サッカーに限らず「攻撃は水物」という言葉があるように、得点を取れるかどうかは前線のアタッカー、特にキーマンであるレアンドロの調子にも左右される。失点の数は明らかに増える中、得点が取れれば勝てるし、取れなければ勝てない。そのようなゲームが多かった。19年までに築き上げてきた「失点を最小限に抑えつつ、先に1点取って主導権を握っていくサッカー」とは対照的だったといえるだろう。

 

リスクを増やしたことが大きく裏目に出た試合としては、第3節・川崎戦と第8節・鳥栖戦が挙げられる。左SHに入れたレアンドロの守備を(ほぼ)免除したことで、左サイドの守備負担が限界を超えて決壊。川崎戦は家長、鳥栖戦は森下らにいいように使われて大量失点を喫した。そのうえ、攻撃に残したレアンドロから効果的な攻撃も繰り出せない。鳥栖戦に関しては最後に押し込んだものの、狙ったプランとはかけ離れていた。

 

また、後半で逃げ切るためのオプションもなかった。第7節・鹿島戦は1点リードで迎えた状況だったが、長谷川監督が選んだのは55分にアダイウトンと紺野を投入するという攻撃的な采配。結果的に追い付かれたことも含め、(自分が観測できた範囲では)サポーターからの批判が集まる采配になったが、客観的に考えると「確かにこれしかできないよなあ」とも思った。

2列目で比較的バランスがとれる内田と三田をスタートから起用。サブには攻撃的なキャラばかりだったので、この2人がガス欠になった時点で、追加点を取って引き離すプランしかなかった。「この選手がいれば…」という存在だったのは大森と東。彼らが控えていれば、全体のバランスを崩さず失点しないことをベースに締めに入ることもできた。ただ、大森は移籍、東は負傷中。アダイウトンレアンドロと追加点を狙うための補強は進んだが、ゲームを締められる大森を失った代償も大きく感じた試合になった。

 

 

 

第9節・C大阪戦~

“ランダム性の高いサッカー”のままではさすがにまずいと感じたのか、C大阪戦から戦い方を調整した。選手の配置は大きく変わらないが、WGの位置を下げた[4-1-4-1]気味になり、「まずは守備をしっかりやろう」という方向へ。この変更で“崩壊した”守備はほぼなくなった。

 

この時期のチーム作りに関する重要な情報が、J公式に上がっていた小川諒也のコメントの中にあったので紹介。

 

--森重 真人がチームの現状について「攻守のバランスがまだ見つかっていない」と話していたが、今日の出来は?
この間の試合(鳥栖戦)を受けて、レアンドロの位置を高く取らせたままか、全員守備全員攻撃にするか。今週の練習ではかなり話し合った。結果今日の試合のようにハマったので、良かったなと思います。

【公式】C大阪vsFC東京の試合結果・データ(明治安田生命J1リーグ:2020年8月9日):Jリーグ.jp

 

よく「レアンドロは守備をやらない」、「今日のレアンドロは守備を頑張っていた!」などという意見を目にしたが、この小川のコメントを読み解くと、少なくとも鳥栖戦までは“意図的に守備をさせていなかった”状態だったと言える。

 

 

守備が安定した一方で攻撃はどうかというと、カウンターの迫力が半減する。WGに相手のSBやWBをマークさせ、深い位置まで戻る役割を与えたことで、ゴール前で脅威になるレアンドロやディエゴが高い位置へ行くまで時間がかかる。そうなると相手は陣形が整い、遅行に移らざるを得なくなる。FC東京が苦手な局面から得点を奪わなければいけない場面が増えた。

 

守備を落ち着かせたことで“勝点”を取れる確率こそ上がったが、同時に“勝点3”を取れる確率も減少。システムこそ違えど、結局は18年・19年と似たような課題と向き合うことになってしまった。

 

 

ひとまずここまで。続きは後日。