がちゃのメモ帳

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J1リーグ第20節 FC東京vs清水エスパルス レビュー

がちゃです。

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プレビューはこちら。

 

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スタメン

 

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東京は田川が怪我、ナ・サンホが理由不明でベンチ外となった。代わりに大森がスタメンで右SH、東が左に回る。

 

清水はファン・ソッコが出場停止明けだったが、立田が前節に続きスタメン。 

 

 

前半

まずはホーム清水ペースで試合が進む。

開始10分頃までで松原のシュート、ドウグラスのバイシクル、北川のGKとの1対1等、それなりのチャンスを作っていた。

 

おそらく序盤の清水は深い位置から大外へのクロスを狙っていたと思う。

 

 

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 ※1:30頃松原シュート時

 

松原のシュートはファー寄りにいたドウグラスへのクロスのこぼれから。ドウグラスのバイシクルもショートコーナーから大外のDFを超える位置を狙っていた。

東京の弱点からチャンスを作り出そうとし、それが決定機には結びついていたものの得点には至らず。

 

 清水左サイドの狙い

また、左の西澤・松原のところで東京のDFをずらそうという意図もいくらか見れた。

 

清水は東京の2トップに対して2CB+竹内の3人でパスを回す。

2対3になってしまうが、東京2トップが逆サイドのコースを切りながら寄せるという守り方ではなかったので片側のCBまでは見切れない。ということで外に開いた左CB二見に対しては大森が前に出て寄せに行くのだが、ここでずれが生じる。

 

大森が前に出たときに室屋も連動して前に出ていけばマークを外さずにチェックできるが、ここでカギを握ったのが西澤。

彼が松原を浮かせたり、室屋を最終ラインから引っ張り出す動きを見せていた。

 

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 ※イメージ

 

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※10分頃のプレーイメージ図

この西澤が下りる動きで室屋を引き連れたあと清水はバックパスで組み立てをやり直したが、その直後に篠田監督から「背後だろ!(背後を狙えということだと思われる)」と指示が飛んだというリポートが入っていた。

このシーンでは誰も室屋の背後に出ていかなかったが、室屋を引き出してからその後ろを松原が入るのは狙っている雰囲気があったので、清水側は一つの攻撃ポイントだったのかもしれない。

 

 

 

東京はボールを持っても2トップへのロングボールを中心に保持にこだわらなかったため、清水の保持で試合が進んでいた。

しかし、先制したのは東京。16分。ポジトラからディエゴが個人で突破し敵陣へ。スピードを落とされてカウンターは不発となったが、そこからの流れで大森がゴラッソ。

ディエゴのカウンターがきっかけ、とは言えるものの、狙ってもなかなかできないような思わぬ形で先制に成功。

大森は普段の練習から左足でのシュートを練習していたらしいので、その努力が報われる結果となった。

 

 

 

その後は東京ペースに。

ボールを奪ってからダイレクトな展開でカウンターでゴール前に迫る。また、保持の時間を長くすることで主導権を握る。敵陣では素早い切り替えでロスト後もカウンタープレスがハマり、即時奪回に成功したことが大きな要因だった。

 

何度か右の大森・室屋に加えて髙萩の3人が右サイドでのパス回しで崩しを狙うが、清水の守備組織を崩すまでは至らず。

30分にはその右サイド攻撃のやり直しから左へ展開し、小川のクロス→流れて逆サイドから室屋のクロスという連続クロスから永井の追加点が生まれる。

 

たまたまかもしれないが、これ以前からクロスはいずれもファーサイドに送られていた。清水がクロスからの失点が多く、DF同士の距離が空きやすい部分を狙っていたかもしれない。事実、室屋のクロスは合わなかったが、エウシーニョの前にスペースが空いており、誰かがそこへ飛び込んでいたらダイレクトに得点に結びついていたはずだ。

 

 

清水のシステム変更

2点ビハインドになった清水は35分頃にシステムを変更。4-4-2→4-1-4-1に。ヘナトに中盤底を任せてプレス部隊を増やす。プレス人数が増えること、プレスラインが高くなることで前向きの圧力は強まるが、中盤のフィルター役が減るため、DFラインが晒されることは多くなる。つまり、東京の攻撃陣が使える場所は増える。

これまでの試合でもオプションとして使用していたシステムで、ビハインド時に高い位置からプレスをかけるために使っていた印象。ここでも前半で流れを取り戻したい、1点返しておきたい、という意図でのシステム変更だったと思われる。

 

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 ※システム変更後

 

これによって東京も繋ぎでのミスを誘発されて清水がボールを取り上げることに成功した。しかし、東京も自陣で陣形を整えるスピードは速く、エウシーニョが東を交わしてシュートまで至ったシーン以外は危なげなく守れていた。

 

東京は保持時に相手のシステム変更によって空きやすくなった清水のアンカー脇を2トップの連携で狙っていた。4-1-4-1への変更に対して準備してきていた部分もあったように思うが、なかなかボール保持の時間を作れなくなったので、割り切って長いボールを2トップ狙いでokという方向性で試合を進めた。

 

お互いにゴール前でのシーンは作ったが、東京リードの0-2で折り返し。

 

 前半まとめ

 この試合は大森が清水CBの二見にプレスをかけに行くこともあり、前寄りな仕事を任されていたため、他の中盤の選手と分断するようになっていた。清水はそこを見抜いて右から左へ大きな展開を使うことで室屋に2対1を突き付けようとしたが、室屋がうまく対応してくれた(一つはファウルになったけど)。

 

また、西澤ー松原の左サイドコンビが内外・押し引きの動きで東京DFのマークや配置取りを混乱させようという意図が多く見られた。東京もここの対応は面倒だったと思うが、CHの一人がカバーすることで陣形が整っていれば特に問題なく守ることができた。

一方、右サイドでは河井がエウシーニョのサポート役のようになり、中に入りがちなエウシーニョのスペースを空けるために外にいることが多かった気がする。

 

 

東京は早い時間に先制したことで非常に楽な展開になった。ボールを持ったら慌てずに様子を伺いながら攻める、相手が前がかりになれば2トップでスペースを狙うという思惑通りの試合に持ち込める。清水のシステム変更も試合の流れこそ引き渡したが、東京が得点する確率は高まっていたはず。

 

 

清水は開始直後の勢いで得点できず、2点ビハインドに。システム変更後も得点は奪えず、内容と比べてうまくスコアに反映できなかったという感覚だったのではないだろうか。

 

 

後半

後半頭から西澤→中村慶太と清水は選手交代。ポジションはそのまま左SH。

前半、松原のスペースを作る役になっていた西澤よりもFK等セットプレー要素も含めて独力で得点が取れそうな中村を入れたということだろうか。

 

 

 後半も開始直後から清水が勢いを持って出てくる。

東京の体を張った守備によって決定機までは作れないが、明らかに早い時間で1点取ってやろうという意思を見せてきていた。

 

そこで効いていたのが永井とディエゴの2トップ。彼らの異次元的なスピードとキープ力によって流れを断ち切り、一方的に押し込まれる展開を防ぐことができた。

特に47分頃の永井が敵陣でファウルをもらったプレーは非常に大きかった。開始早々の清水の勢いに飲まれそうになっていたところで落ち着く時間を作ることに成功。あれで流れを渡すことを阻止できたと思う。

 

 

後半も左サイドで2対1を作ったところから松原を浮かせてクロスを狙う清水。

点を取るためにはボールが欲しいので当然前から追いかけてくる。東京は森重や橋本が絡むと強気につなぎに行く場面もあったが、基本的には無理せずロングボールでプレス回避していた。先ほど書いたばかりだが、ここでもディエゴ&永井がなんとかしてくれることで敵陣にて時間を使う・ゴールに近づくプレーをする時間を確保できた。

 

66分のシーンではCBの二見が左サイドをオーバーラップしてくる程、攻撃に重心を置いてきた清水だが、ここも髙萩のサポート&室屋の対応によって防ぐ。

 

 

67分に両者交代。

清水 竹内→六平

東京 ディエゴ→三田

 

清水は同ポジションでの交代。竹内が後半に少し熱くなってイエローカードをもらっていたので、そこが気になったか。

 

東京はシステムを微調整。三田を右SHに入れて、大森を左SH、東をトップ下にスライド。4-4-2ベースから4-2-3-1ベースに。元々ディエゴを下ろした4-4-1-1っぽくはなっていたが、2点リードということでトップに永井のスピードという脅威を残しつつ、より守備の安定を図ろうといったところだろう。

 

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※67分交代後

 

三田の投入により中盤タイプの選手が増えて敵陣でのパス回しにテンポが出た。久保建英がいたときに行っていた、逆サイドにまで顔を出すポジションチェンジも多く、人数をかけて保持する時間を作る。奪われたら素早いカウンタープレスを仕掛けて奪い返す。この保持&即時奪回がうまく決まったことで、攻めたい清水に対して保持する時間を削ることに成功した。

 

 

清水は80分に河井→滝の交代。この交代でまたシステムを変更。3-4-3気味に。

中村をCHというやや強引なシステムだが、失点覚悟で前に出ようという意思表示だと思われる。

 

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※滝投入&システム変更

 

 

これ以降も東京はロングボールでプレス回避→セカンド回収というような流れで時間を使っていく。

 

89分に永井→ジャエル、90+2分に東→アルトゥール・シルバの交代を行いクローズに入る。

ジャエルが想像以上にコンディションが上がっており、個人でアバウトなボールが収められるようになっていた。ディエゴの枠としてそこそこ計算できそうになっていたのは非常にポジティブである。

 

 

試合はそのまま危なげなく終了。

 

 

清水0-2東京

 

 

 

感想・まとめ

 やはり先制できると強いチームであるということは証明できた。

先制して落ち着いてボールを持ち、相手が出てくればカウンターを狙う。これぞ健太トーキョーといったサッカーだったのではないだろうか。最初の得点こそ大森のゴラッソだが、自分たちのサッカーがまっとうできた試合という感想に尽きると思う。

 

欠場理由は不明だが、サンホがいたところに最近は控えに回っていた大森が入り結果を出した。新加入の三田が合流後すぐにでもチームに入れた、怪我明けのジャエルがこれから必要な戦力になりそう、というチームの底上げが見れたことも大きなトピックになるだろう。

 

 

 唯一気になった点としては右サイドの守備で室屋への依存度が高くはないか?という疑問である。大森が高い位置の監視役もやっていたことから、対面の松原に早く走りこまれると戻りが間に合わず、室屋が(結果的にはマークを捨てるが)実質2人を見なければならない状況になることがあった。最近の室屋は守備の安定感が増しており、間合いを見極めるのに長けているため、なんとかなっているが、ここの守り方が室屋ありきの考え方なのかは非常に気になるところ。守備力に定評があるオ・ジェソクが加入したことで彼が出ても大きな問題はないと思うが、構造的に少し不安が残った。

 

 

 

この試合においての清水は論理的にどうこうというよりも勢いがあった時間帯に得点を取れるかどうかだったと思う。東京が無理に繋いでこないということもあり、得意のショートカウンターも発動できなかったので、圧力をかけて押し込めたときにどうにかしてこじ開けたかった。

逆に言えば、(何度も繰り返すが、)その押し込んだ時間を作らせないようにできた永井&ディエゴ、もっと言えばしっかりキャッチングで対応できたGK林の貢献度は非常に大きかっただろう。

 

 

 

 

前節大きなショックを受けた多摩川クラシコでの敗戦だったが、この試合では長谷川健太FC東京を見せることができた。

大森が素晴らしいゴールを決めてくれた今節のように、今後も誰かが試合を動かす何かを見せなければ頂点を目指すのは難しいのかもしれない。田川も練習に復帰してきてメンバーが揃いつつある今、多くのヒーローが出てくることを期待したい。

 

 

Happy Birthday!  東慶悟!