【FC東京】 J1リーグ第6節 vs清水エスパルス レビュー
こんにちは、がちゃです。
プレビューはこちら。
連勝が途切れた前節。
一度気持ちを切り替えてここから再スタートとなります。
では早速振り返りへ。
スタメンはこちら。
東京はいつもの。
清水は前節スタメンから河井→ヘナト・アウグストへ変更。
ドウグラスはベンチスタート、中村慶太は今節も欠場。
~前半~
ボール保持率は拮抗。お互いにボール保持へ強くこだわらず、主にトランジションからのチャンスを伺っていたように感じました。
清水の狙い
①インターセプトからのカウンター
②テセに入れてから周りのサポートで全体の押し上げ
③右サイドでの崩し
①インターセプトからのカウンター
ボールホルダーに隙があれば最前線で奪ってそのままショートカウンターという狙いもちらついていましたが、基本的には前節までと同じく4-4-2ブロックをしっかり組んだところからインターセプト狙い。前の選手がコースを制限してCHやDFラインでパスカットを狙います。
※前半9'のシーン
※前半24'のシーン
わかりやすいシーンが2回あって上図の二つです。
この2回はカウンターに繋げられて9分のシーンについては金子の決定機を招きました。
FWと中盤4枚でパスコースを制限し、空いている個所はDFが前に出てインターセプトという狙いが一貫されていたように感じます。
髙萩が攻めのパスを狙ってくることから、あえて空けて出させていたのかもしれません。考えすぎな気もしますが。笑
なんにせよ、髙萩のパスミスが目立ったのはこの罠にはめられたせいもある思います。
②テセに入れてから周りのサポートで全体の押し上げ
前線へのロングボールでは必ずテセが競ります。3節鳥栖戦のトーレス、4節名古屋戦のジョーと同じようにフリックから一発で裏へ抜けられないようにDFラインは深さを作って対応します。そのため、CH&SHの4枚がちゃんと戻らないと中盤ラインとのギャップが生まれやすく、テセのサポートに入る北川と両SHにボールを拾われることが多くなりました。テセがきっちり競り勝ってくることも要因ですが、周りの選手の回収力が非常に高いように感じました。
※イメージ図
そして回収したら、時間を作って全体の押し上げを待ちます。そこから竹内の配球を中心にチャンスメイクをしてきました。
③右サイドでの崩し
金子&エウシーニョの二人はボールを扱う技術もあり、スペースに抜け出す動きもできます。
PA近辺まで近づいてくるときは右サイドからの攻略が多かったように思います。
↓
※前半26'のシーン
小川が金子についてくる習性を利用したエウシーニョの飛び出し。
金子が小川、テセが森重をつり出すことで清水右サイドを突破したシーン。
東が頑張って戻りましたが、結果的にファウルで止めてしまいました。
※前半32'のシーン
エウシーニョがボールを持った際に金子が大外で小川をピン止めし、ヘナトがハーフスペースあたりへ走って橋本を中央から連れだします。エウシーニョがカットインしてきてPA前まで侵入してきました。左足でのシュートも持っているエウシーニョにカットインをさせる構造を作ってきました。
東京は東がついていき、CBと髙萩でブロックしてなんとかしましたが、右サイドの金子&エウシーニョのユニットは非常に捕まえづらく、嫌な存在となりました。
逆に左サイドは松原の左足を徹底的に切ることができて、うまく壁を作れていたと思います。
東京の狙い
①自陣で奪ってからの素早いカウンター
②室屋の抜け出し
③東と久保のコンビネーション
①自陣で奪ってからの素早いカウンター
プレビューでも触れましたが、清水は攻撃時に両SBを上げるため、最後方にはCBしか残しません。そこを東京の強力2トップで狙おうという意思は強く見られました。
CBが起点を潰すために飛び込んでくるのでそれを逆手に取ったディエゴのフリックから前に飛び出していく得意の動きでビッグチャンスも演出しました。
ただ、清水のSH&CHがネガトラでボールホルダーの前に立てていたり、SBの帰陣が速かったりで思っていたほどチャンスを作らせてはもらえなかった印象です。
②室屋の抜け出し
久保を起用している影響で守備面での印象が強くなっている室屋ですが、この試合の前半ではタイミングを見て上がっていきました。
松原の脇を取る動きやCBーSB間を通すようなスルーパスを引き出したり、数回チャンスを作り出すことができていました。
※イメージ図
久保のドリブルもそうですが、室屋の飛び出しも効いていて、松原は守備対応が難しかったんじゃないかと思います。
③東と久保のコンビネーション
これまでの試合でも東・久保が逆サイドに流れるという場面はありましたが、この試合では特に多かったように思います。
久保がいいポジションを取っていてもパスが出てこないというシーンはちらほらとありますが、東はそれを見逃さない存在。彼らが近くでプレーするとチャンスを作り出せる雰囲気が出ます。
実際に決定機を作るまでには至りませんでしたが、この二人を近くでプレーさせる構造を作っていけたらいいなと感じました。
まとめ
どちらもチャンスを作り出し、スタッツも同じような数字が並びましたが、清水の方が狙い通りに進められた前半だったように見えました。
金子とテセの決定機のどちらかは決めたかったところでしょう。
東京はいつものように永井のサイド流れや髙萩を右SB(3バックの右)のような位置においてビルドアップしてみたり、引き出しを多く見せますが、清水の守備組織を崩すのには不十分でした。
清水ペースで進んだ時間に失点を許さなかったことをポジティブに捉えたいといった前半。
~後半~
開始早々に清水先制
東京0-1清水
後半開始早々にゲームが動きます。
キックオフから清水がボールを握り、相手陣まで押し込みます。
右サイドで金子が仕掛けようとしたところで東と橋本の二人が最終ラインのカバーに。結果としてバイタルエリアがスカスカとなりそこにいたヘナトからのクロスに北川が合わせて先制。
前半、清水の時間を乗り切った東京でしたが、後半すぐに失点。
守備意識の高い2人だからこそ起きてしまったエラーかもしれません。
得点が必要な東京は攻勢を強めます。
ボールを保持して相手陣でパス回し。
右で作って、相手を寄せてから左サイドの小川へ展開という場面が何度か見られ、そこからのクロスや久保のドリブル突破狙いで攻めますが、ゴール前には迫れず。
前半では右からのチャンスメイクが多くありましたが、後半は左からが中心となります。
対して清水は4-4ブロックでしっかり守って、2トップを起点としたカウンターを仕掛けてチャンスを作ります。
攻勢に転じる2枚替え
60分 FC東京 髙萩→ナサンホ 永井→ジャエル
パスミスやロストが目立っていた髙萩を下げる判断をしました。
ナサンホが左SHに入り、東がCHへ。ジャエルはそのまま2トップの一角へ。
※選手交代後のポジション
この交代により、攻撃がより活性化されます。
ナサンホは東よりもアタッカー要素の強い選手で、ドリブルで仕掛けることができますし、本来はFWの選手でPA内で仕事ができる選手。
ジャエルは永井よりもプレーエリアは狭いですが、中央にどっしりと構えることでディエゴがサイドへ流れて受けたときに中央にターゲットが残せます。
活性化する左サイド
ナサンホが入ったことで左サイドでの突破や小川のフリーが作れるようになります。
また、ナサンホとディエゴのポジションチェンジも多く見られました。
清水は2トップを前に残してカウンター準備。ある程度ボールを持たれることは許容し、追加点でとどめを刺しに行く狙いだったでしょうか。
実際にカウンターから何度もチャンスを作られ、パスの精度があれば、シュートがうまく当たっていればというあわやのシーンは多かったです。
眠れるエース投入
体調の問題で開幕から出遅れていたドウグラスをここで投入。
テセの高さとパワーはなくなりますが、馬力があるドウグラスを入れることでカウンターの威力を増します。
待望の得点
東京1-1清水
75分、東京の同点弾が生まれます。
ジャエルが入ってから自由な動きが増えたディエゴが左サイドに流れて、PA奥へ侵入からクロス。ディエゴと入れ替わるように中へ入っていたナサンホがCBとの駆け引きに勝ってニアで触ったシュートがネットを揺らします。
非常にストライカーらしい動きでした。
歓喜の逆転
東京2-1清水
清水2トップがあまり守備をしてこないことでフリーになっていた東からディエゴへ縦パス。得意のフリック&ゴー(勝手に命名)から裏へ抜けだす。それを感じていたかのようにジャエルが裏のスペースへ浮き球を供給。ディエゴの落ち着いたループシュートで逆転に成功。
ジャエルとディエゴの阿吽の呼吸が生んだ逆転弾となりました。
その後、疲労の色が濃くなっていたディエゴを田川に交代。
清水はドウグラスを狙ってロングボールを入れてくる場面がありましたが、ヒョンスと森重のCBコンビが跳ね返し続け、スクランブルな状況を作らせず。
清水としてはこの時こそテセが欲しかったかもしれません。
ATは久保・田川・ジャエルで時間を使ってタイムアップ。
終盤までリードを許す初めての展開でしたが、逆転できる力を見せつけた試合となりました。
まとめ
結果を見れば美しい逆転試合となりましたが、試合後に長谷川監督が言っていたように、ナサンホの同点弾が生まれる前に追加点を取られていたら、そこで終わっていたかもしれません。
東京が2枚替えを行った60分過ぎくらいからの両チームの思惑としては
東京ー攻撃しなきゃ得点は奪えない。カウンターのリスクは覚悟で攻勢を強める。
清水ー4-4ブロックは維持しながらも2トップはカウンター狙いで守備には参加させない。ボールを持たれることはある程度許容して2点目を取って試合を決める。
上記のように感じました。
東京は後方のリスク管理を捨てて攻撃へ。清水は最前線での守備を捨ててカウンター狙い。
お互いに肉を切らせて骨を断つ、といったように何かを捨てて、得点を取りに行ったのだと思います。
結果として東京が清水の骨を断つことに成功したわけですが、北川のシュートが決まっていたら骨を断たれていたのは東京だったはずです。
ミスに助けられたとも言える、紙一重の試合でした。
そういう試合で勝ち切れるメンタルがついてきたのではないでしょうか。
~おまけ~
清水のpick up player
①ヘナト・アウグスト
今季初スタメン。地味ながらもカバーリングを怠らず強度も十分。守備面で欠かせない存在となっていました。
おとりになる動きやアシスト時の隙を見逃さないポジショニング。河井も外したくない選手だと思いますが、チーム全体の安定をもたらすのは彼かもしれません。
②金子翔太
今更上げる必要もないかもしれませんが、ハードワークができて周りとの連携にも優れる頭のいい選手。
2019FC東京でボールの奪いどころとなっている小川のところで取り切れなかったのは彼のキープ力があったからだと思います。小柄ですが、足元に優れ、ボールの収めどころとなっていました。
③松原后
前半は左足を完全に封じたことで目立ちませんでしたが、後半になってカウンター攻撃が増えると存在感が増しました。
気づいたら左サイドには松原がいるというくらいにスプリントを繰り返し、戻りながらの守備では左足を封じることができずにエリア内にクロスを何度も供給されました。時間とスペースを与えてしまうと危険な選手でした。
とてもうまい。
(書かなくても凄さはわかるはず)
まとめでも書きましたが、本当に紙一重の試合でした。プレビューでも書いた通り、清水は順位表をあてにしてはいけないチームで、守備の安定感があり、攻撃も整理されていた印象です。
敗因としては2点目が取れなかったことでしょう。清水側としては”点が入っていたら”というだけのゲーム内容だったと思います。
さて次節は鹿島戦。
開幕戦で大分に敗れたもののそこからは無敗で上位に迫ってきています。
前節は勢いのある名古屋に勝利しており、ここで勢いに乗せたくはありません。
しっかりとホームで叩きたいところです。
次回は7節プレビューにて!
それではまた!