青赤人の戦術探検記

FC東京を中心に自分なりの分析をします!

J1リーグ第25節 名古屋グランパスvsFC東京 レビュー

がちゃです。

twitter.com

 

プレビューはこちら。

 

brgacha.hatenablog.com

 

 

 

スタメン

 

 

f:id:brgacha:20190830234929p:plain

 

東京は予想通り。田川がベンチ入り。

 

名古屋は吉田が負傷、和泉が発熱ということで欠場。 代わりに藤井と成瀬がスタメン。成瀬に関してはリーグ戦初出場。

おそらく緊急の対応だと思うが3-4-2-1(5-4-1)のフォーメーションを組んだ。

 

 

 

前半

 

予想通り名古屋がボールを持って東京がカウンターを狙う展開。

東京は奪ったら1~2タッチ程度で素早く2トップに当ててそこから縦に速い攻撃でカウンターを仕掛ける。逆に名古屋はそのスイッチとなるパスや収める選手に強く出ていくことで「ずっと俺のターン!」の状態にすることを目指す。

序盤はこのトランジション時に発生するバトルでどちらが勝つかという勝負が肝となり、名古屋に軍配が上がる場面が多かった。これによって名古屋がボールを持つ時間が長くなるわけだが、東京もそこまで守備で苦労はしなかったように思う。

 

ここで名古屋のボール保持を簡単にまとめる。

 

まずビルドアップは3バック+2CHの5枚が基本となり、そこにWBやシャドウが下りてサポートするようなイメージ。

中央の4枚(2CHと2シャドウ)はかなり流動的なポジショニングで頻繁に下りてきていた。これによって前線から人がいなくなり、ビルドアップから縦に速い攻撃を仕掛けることは難しくなったが、ボール保持を安定させて敵陣までボールを運ぶことが優先だったのかもしれない。

 

f:id:brgacha:20190831180343p:plain

※名古屋ビルドアップ極端なイメージ

 

敵陣まで押し込むと2CHを軸にしてパスを回し、東京守備ブロックに穴ができるのを待つといったところ。押し込んでも大外を使う意識はあまりなく中央突破を目指した攻撃だった。

右WBに入る成瀬は度々中に入る動きを見せていたが、こうなると東京左サイドは大外を気にせずに守ることができる。これをあまり良くないと感じたのか、途中から中谷が右SBのような動きを見せるようになる。しかしながらあまり効果的にははたらかず、むしろ後方を手薄にしてカウンターを受けやすくなっているように感じた。

 

 

f:id:brgacha:20190831180621p:plain

※イメージ

 

太田は大外にいるものの、そこへ出されてもスライドが間に合うのでクロスは上がらない。以前太田を3バックの左CBで起用していたのは前で一人ピン止めした外を駆け上がってフリーでクロスを上げさせたかったからではないかと思う。

 

 

もちろんネットやシミッチという優れた配球役がいるため、中央を締めていても通されてしまうシーンはあったのだが、外を使う意識が薄かったのは楽に守れた一つの理由だろう。縦パスの警戒に意識を割けるためボールを前向きで奪いやすい。カウンターに出やすくなることにも繋がっていた。

とは言え名古屋も両SB&SHのレギュラーが不在(前田はベンチ)であり外を使える選手がいなかったことを考えると中央突破を狙うのも必然的ではあった。名古屋サイドも宮原、吉田、和泉の3人が抜けてしまうとさすがに難しいなと感じたのではないだろうか。

 

ジョーという圧倒的な選手が中央にいることで東京DF陣が集中して守っていても何か起こされてしまう可能性は十分にある。前節札幌戦は”何かを起こされる”のを嫌ってジェイをゴールから遠ざけていた。今節は守備ブロックを下げても外からのクロス等でジョーに”何かを起こされる”可能性は低く、ブロックの上から殴られなければ大丈夫な状況となっていたのは助かっていた部分だろう。

 

 

セカンドボールの回収に苦しんでいた東京だったが、トランジションからの縦パスで前を向ければカウンターを打てていた。

26分はCKの流れから永井と東の位置が入れ替わった状態の守備からカウンターを仕掛けてディエゴがPKを獲得。ランゲラックに一度は止められるもののこぼれを押し込んで先制に成功。

1回目のカウンターチャンスでは永井の判断が遅れて止められていたので、東がトップ下に入ってカウンターができたことは結果的に功を奏した。

 

 

 前半まとめ

 

 名古屋にボールを持たれながらカウンターを狙うという予想通りな展開の中、思った通りのカウンターからPKを獲得し先制に成功。欲を言えばもう1点取れていた気もするが、十分な内容。

 

一つ指摘するならばボール保持について。

おそらくボール保持にこだわりを持たないゲームプランではあったと思うが、簡単にボールを捨てる場面が目立った。

これは単純に「もっとボールを大事に」というよりも前線に可能性を持たせた状態で送り込んでほしかったという感想である。

相手の陣形が崩れていない、そこまで強めにプレスをかけられていない状況でのロングボールが多かった。こうなると名古屋のCBも跳ね返しやすい上に最終ラインが整っているのでスペースも少ないため楽に回収されてしまう。

確かに相手にボールを持たせることでカウンターは打ちやすくなるが、自分たちのボール保持で名古屋の得意なフェーズの時間を削りつつ、チャンスメイクの可能性も高められるのではないかと感じた前半だった。

 

 

 

後半

 

両チームともに選手交代。

名古屋 成瀬→前田

東京 大森→三田

 

f:id:brgacha:20190902142700p:plain

それぞれ同じポジションでの交代。

名古屋はリーグ戦初出場の成瀬の攻守におけるポジションがやや曖昧になっていたところの修正に加えて、単純に攻撃力の強化ということろでの前田だろうか。

 

(大森→三田の交代について)

 「前線に絡んでいく動きを期待していたこともあるが、前半は大森自身は、よく頑張ってくれたが、もう少しできたかなと。攻撃のところで慌てずにボールを回すなど、三田は配球役になれる。」(長谷川監督)

FC東京公式HPより引用

https://fctokyo.co.jp/game/2019083001

 

 

 東京のこの交代で変化したのはボール保持のところ。後半は明らかにボール保持が安定し、名古屋に守らせる時間を作らせることに成功していた。

単純に「後半からはボール保持を安定させよう」といった方針だったかは不明だが、大森→三田の交代が大きな理由になったことは間違いないと思う。東京が後方でボールを持った時に三田は名古屋中盤ラインの間でパスコースを作ってくれていた。これによって名古屋の陣形を中央に絞らせる→外が使えるという流れでスペースと時間を作ることを提供。

大森も足元の技術は優れているが、ビルドアップ時にはボールに近づく動きが多く、”いい場所”でパスコースを作ることはあまり得意でないように感じる。ただ、彼には守備の安定やフリーランなどの献身性があり、監督が選手のどの特性を選ぶかという話である。後半からは三田のボール保持スキルを優先したのかもしれない。

これを狙って行えていたのであれば、非常に効果的な交代だったと言えるだろう。

 

 

後半に入っても展開はおおよそ変わっていなかったと思うが、前半よりも東京がこぼれ球を拾える場面が増えていた。右WBに前田が入った影響もあってかボール回収後に3バック脇が空いており、永井がそこに走りこむ攻撃を徹底する東京。

48分(公式記録は49分)の追加点はまさに永井が3バック脇から抜け出してPA内を攻略できたことで生まれた狙い通りの形だったと言えるだろう。

 

 

54分、名古屋選手交代。

アーリア→赤﨑

フォーメーションをおそらく4-4-2に変更。藤井を右SBにスライド。

f:id:brgacha:20190902142716p:plain

 

この後も東京は名古屋右サイドにあるスペースを使い続け、藤井や中谷に東京2トップとのバトルを仕掛ける。

 

 

東京もボールを持てるようになったとはいえ、やはりボール保持で優れるのは名古屋で持たれる時間は多くなる。

システム変更後からは名古屋の左サイドが少し不気味だなという印象があった。

 

前半は前で太田が詰まってしまっていたのに対し、システム変更後辺りから丸山の攻撃参加によってどちらか一枚が浮きやすくなるシーンが何度か出てきた。

f:id:brgacha:20190902143929p:plain

※イメージ

 

シャビエルが中に入ることで東京の陣形を内に意識させて二人が外で活動できるスペースを作る。そのスペースに太田と丸山の二人が入ることで三田のアプローチが遅れたり、マークの受け渡しが混乱したりする。そしてご存知の通りこの元FC東京の二人は左足のキックが非常にうまい。中の配置が整っていてもいいボールが上がってきたらどうにもできないケースもある。そういった意味でこの二人からゴール前に配球されるのは少し嫌なプレーにはなっていた。

 

 

63分頃、三田のシュートを受けたランゲラックが負傷し、武田に交代。ただでさえ欠場者の多い名古屋は満身創痍であった。

 

名古屋に持たれながらもカウンターでチャンスを演出する東京という流れが続く。

ゴール前まで迫られながらも決定機は作らせず比較的落ち着いた試合運びができていたが、82分に失点。カウンターの起点づくり失敗から前田のカットインミドルという王道パターンでねじ込まれた。

正面のシュートだったので、林に止めてもらいたかったというのが正直な気持ちではあるが、仮に完璧なコースに打たれていたらどのみち失点はしていたと思う。それよりもディエゴの落としに失敗したところがまずかった。

この場面に限らず、終盤はディエゴの不用意なロストが目立っていた。コンディションというよりもメンタル的な要因が大きかったようにも思うので下げても良かった気もする。ただ、両SHの交代でカードを2枚使っていたので永井を下げる以外の選択肢は取りづらかったか。

 

失点直後に永井を下げてジャエルを投入。この交代は少し疑問だった。

1点を守り切らなければいけない状態で守備が浮きがちなジャエルの投入。ジャエルを最前線に置き、フル出場のディエゴを4-4ブロックの前で名古屋の配球役を見る役割に。

個人的な意見だが、走り回ってボールの出所を少しでも塞ぐ、奪ってからサイドの広大なスペースで受けて時間を作る、という攻守両面で効きそうな田川をトップ下付近に。ディエゴは最前線で休みながら捨て球をマイボールにする役割でも良かったのでは?と思った。実際にジャエルの役割は疲れているディエゴでも務まりそうだった。

 

最後はゴール前に突っ込まれて「危ない!」というシーンも作られたが、なんとか逃げ切って3ポイント獲得。

 

名古屋1-2東京

 

感想・まとめ

 

アウェイでの勝利。この結果以上に語ることはないのかもしれない。

 

 しかしながら、理想的な展開で試合が進んでいたのにうかつな失点によって「最後は気持ち!」という終盤になってしまったことは反省点だ。

”守備は悪くなかったけど相手が上だった”という失点が生まれることも時にはある。それでも勝ち切れるスコアにしておくということは東京のスタイル的にも重要なことだろう。

 

もちろんポジティブな要素もあった。

この試合で言えば右SHの起用を挙げたい。

ここ2試合は疲労・試合の流れを考えたときに大森の交代が少し遅いのではないかと感じていたが、この試合では後半開始からスパッと代えた。そしてこれが良い効果をもたらした。三田の投入が直接的に得点には繋がっていないが、チャンスメイクや試合の流れを渡さないという部分では大きな貢献があったように思う。

まだ暑さも残る季節での疲労や試合の中で何かうまくいかないと感じることもあるだろう。長谷川監督の決断力は今後も問われるかもしれない。 

 

 

欠場者多数で満身創痍の名古屋が相手だったとはいえ、アウェイ8連戦で早めに勝ちを手にできたことは非常に大きい。このまま良い流れを持って戦っていきたい。