青赤人の戦術探検記

FC東京を中心に自分なりの分析をします!

【日本代表】 アジアカップ決勝 日本vsカタール 日本はなぜ前半うまくいかなかったのか

 

2月1日(金)にアジアカップ決勝が行われました。

日本1-3カタール

という結果となり、日本は決勝まで進みながら準優勝という形で大会を終えました。

では日本はなぜ負けてしまったのか。なぜうまくいかなかったのか。

今回はカタールのボール保持に対して日本の守備がどうだったのか、というポイントに話を絞ります。 日本の攻撃×カタールの守備や細かい技術などの話については明記しませんのでご了承を。

 

人の数だけ意見・感想はありますが、個人的な見解を書いていきます。

そういう見え方もあるんだな、くらいに捉えてもらえれば幸いです。

 

 

 全体の流れ

◆日本×カタールのフォーメーションについて

カタールのフォーメーション選択について

カタールの攻撃に対する日本の対応

◆試合前の日本の準備

 

 

 

 

 

 

ではまずこの試合のスタメンから。

 

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日本は負傷した遠藤の代わりに塩谷が入りました。

それ以外はメンバー変更はなく、中3日での試合となります。

 

対してカタールも大きなメンバーは変更なく、こちらは中2日での試合となります。

 

まずこの段階で1つポイントとなるのが中日の差。

サッカーでは中2日と中3日では体力回復の面で大きな違いがあると言われています(個人差はあります)。そのため、単純な発想ではありますが、休める期間が1日多いという点で選手の体力的には日本の方が有利と言えます。

 

 

さて、話を戻してスタメンのフォーメーションについて。

日本は今大会を通じて全試合で使用している4‐4‐2を採用。

対してカタールは5‐3‐2(3‐5‐2)を採用。

カタールに関しては今大会の中で4‐3‐3(守備時4‐4‐2)というフォーメーションも使用していましたが、この試合では5‐3‐2の形で挑んできました。なぜ5‐3‐2を選んだのかについては後述します。

 

両チームのフォーメーションをかみ合わせてみるとこんな感じになります。

 

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かみ合わせの配置を見ることによって何を伝えたいのか分からない方のために少しアレンジすると下図のようになります。

 

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あくまでも盤面上での話になりますが、部分的に切り取ったときにこのような状況が生まれやすくなります。

白い〇で囲われているところはセットになりやすい箇所で、ペアになっている選手が動けば一緒についていくことが多くなります。

そして黒い■のところはフリーになりやすい選手です。

日本で言うと酒井と長友のところ、カタールで言うと23番の選手がフリーになりやすい構造になっています。

 

また、カタールのDF陣と日本のFWのところで3対2の状況が生まれています。この状況では日本FW2人でカタールDF3人を見なければいけません。もう一つ付け加えるとFWは背中にいるカタール23番の選手も気にしなければいけないので実質4対2になっているとも言えます。

単純に考えて大迫と南野の2人で目の前のカタールDF3人と後ろの1人の計4人を見るのって相当難しいと思いませんか?実際問題難しいはずです。

 

 

 

 

一度話をそらしますが、カタールがなぜ5‐3‐2というシステムをこの試合で採用してきたか考えてみましょう。

今記述した、局所的に切り取ったときにDF3人に対してFWが2人しかいないという一つの見方が理解できた方なら少し予測がつきますでしょうか。

 

これはあくまでも私の予想ですが、カタールからしたら日本はほぼ100%4‐4‐2で来ると考えたはずです。なぜならここまでのすべての試合で日本が4‐4‐2というフォーメーションを採用していたから。

それなら5‐3‐2で戦ったほうがやりやすくない?

一番根本のところで言えばカタールはこんな感じで臨んだと思います。もちろん細かい部分でもっと戦略は練っていたとは思いますが。

 

イメージが湧きにくいかもしれないので、カタールが4‐3‐3だったパターンも見てみましょう。

 

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どうですか?こっちのほうが日本の守備がうまくいきそうな気がしませんか?

もちろん真ん中のフリーの選手をどう対応するのかという問題はありますが、前の4人のマークがはっきりしていて捕まえやすそうですよね。

上記の理由から、4-3‐3だと分が悪いと判断し、5‐3‐2にしたのではないかと考えられます。

 

 

このようにかみ合わせの悪い状態になりましたが、こうなったから日本が不利なわけではありません。4‐4‐2のまま自分のポジションから移動してはいけない、等というルールはサッカーに存在しないわけです。フォーメーションは主にいる場所の配置図、というだけで別に4‐4‐2の陣形をずっと保ちながら動く必要などありません。そのため、この日本FWの数的不利を解決する方法は何通りもあります。

また、前から追わずに日本側陣地に引いて組織をコンパクトに保ちながら守るという選択肢もあります。

 

では、この試合に臨むにあたって、日本が取った対応策・準備はなんでしょう。

 

頑張ってFW2人でDF3人を前から追おう。数的不利(3対2)はその場の雰囲気で対応しよう(選手の判断に任せる)。

 

私にはこう見えました。

web.gekisaka.jp

この記事の前半部分を見る限り、現場もこんな状況だったと思います。

FW2人でDF3人を見るということは不可能ではないのですが、前述したとおり結構厳しいです。身体的にも頭脳的にも消耗が激しくなります。

 

そしてこの対応に困った日本は原口を前に出して3対3を作り出そうとします。おそらく選手の判断でしょう。そして下図のようになります。

 

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原口が出ていって対応する、というチームとしての決まりはおそらくないので出ていく判断が中途半端になることが多かったです。

結果的に原口は自分のポジションのスペースを空けてしまうだけになり完全に悪手でした。前半に2失点しましたが、元を辿っていくとこの同じ形で突破されてからの展開でした。

先ほど少し触れましたが、1失点後は自陣に引いて守るという選択肢を日本は取りにくくなりました。

それはなぜか。少なくとも1点は返さないと負けてしまうからです。自陣に引いていたらボールは奪えません。ボールを奪わなければ得点は取れません。

ということで日本は特攻します。そして数的不利の解決策を見つけられないまま無策で突っ込むのでカタールは簡単に交わして追加点。

 

BS1での中継を見返したのですが、前半35分くらいに

森保監督から大迫に指示が入り、大迫は前のポジションにいる選手たちにそれを伝えています。

という実況からの情報がありました。36:30くらいに一度プレーが切れたとき、その時間で大迫と南野が会話をします。南野は人差し指と中指を前後にするようなジェスチャーで口元は「縦?」と言っているように見えました。今まで横に並んで配置されていたのを縦に配置する形に変えようという意味でしょう。

37:50カタールゴールキック。明らかに配置が変わっていました。

41分、監督からの指示が出されてから、カタールが初めてボールを保持します。そこでの日本の守り方を見てみると完全に変わっていました。やはり35分に大迫へ出た指示はこの配置変更についてと言って間違いないでしょう。

 

ちなみにこのように変わっていました。

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大迫と南野が横に並んでいた最初の形から、縦に並ぶ配置に変わっています。

全体のバランスこそ悪くなりましたが、すべての場所において誰が誰にマークすればいいのかがはっきりしました。

 最初の形より、選手は迷いなくプレーができるはずです。

 

この対応策を伝えるまで35分かかりました。

遅すぎるぜ!

 

今まではなんとなく選手の判断に任せてもなんとかなってしまって、セットプレー・PKで取った1点を守り切って勝ち上がることができました。ただ決勝のカタールは日本がこの対応策を見つけるまでに2点を取りました。先制点の時間を見ると結果的に制限時間は12分だったわけです。2点目を取られるまでの制限時間は27分。対応したのは35分。ゴールは素晴らしいものでしたが、カタールには今までの戦い方が通用しなかったということです。

 

後半は最初に触れた中日の差でカタールが疲弊し、日本が押しこんで1点は返しました。ですが、終盤にPKを取られて万事休す。前半の2失点が重くのしかかりました。

 

 

日本の試合前の準備について

 

突然ですが、皆さん中学校や高校で定期試験を1度は経験したことがありますか?(ない方は想像してもらえると助かります)

一つの例えとしてその話をしたいと思います。

 

まず皆さんは試験前日に何をしますか?

多くの人は授業で取ったノートを見返すのではないでしょうか。

ではノートのどの部分を見ますか?ノートに赤字で書いてある部分であったり、計算式を解くための公式等、おそらく授業中に先生が「重要だぞー」という発信をした部分を重点的にやるのではないでしょうか。

全員がそうとは言いませんが、これが多数派なのではないかと思います。

 

何が言いたいのかというと、まず始めに出題されそうなところを重点的に確認しますよね?

 

これを今回の試合に置き換えます。

カタール先生はこれまでの授業(準決勝までの試合)で

4-3‐3と5‐3‐2のどちらかはテストに出る確率が高いよ~

ということを教えてくれていました。

カタール先生が意地悪だったら、このどちらでもない別の問題を出してきたかもしれません。でもカタール先生は優しかったので5‐3‐2という事前に提示していた問題を出題しました。

これに対して生徒の日本はどうだったか。

 

やべっ、この問題の対策してねえ。。

 

こんな状況です。

 

これって怠慢じゃありませんか?カタール先生はちゃんと出題範囲を伝えていました。しかも2つのうちのどちらかを出すよというところまで絞って。

でも生徒の日本は準備してこなかった。そりゃ厳しいです。

 

 

仮に準備をしていても、その問題が応用された少し難しいものになっていて解けなかったかもしれません。でも準備をしていなかったら絶対解けませんよね。

 

実際のテストでは「先に他の問題を解いてわからないやつは後回しにしよう」ができますが、サッカーではこ最初の問題を解けない限り同じ過ちを繰り返すこととなります。

 

生徒の日本は今までの知識をフル回転させて35分にようやく最初の解き方を見つけますが、試験時間は限られています。最初の部分を解くのに35分もかかったらテストで良い点数は取れないってわけです。

 

4-3‐3・5‐3‐2のどちらが出題されても解けるような準備。もっというとそれ以外が出題されても素早く対応できるだけの準備はするべきでした。

 

着地点としては

ちゃんと試験の対策をしよう

です。

もうこれ以上は何も言いません。

 

 

 

最後に付け加えておくと、日本チームにもスカウティングスタッフはちゃんと存在しています。自分で確認したわけではないですが、現場との交流がある方が発信していたのでおそらく事実です。つまり事前に対戦相手の情報は入念に調べているはずです。

ではなぜこのような状態になってしまったのか。それは視聴者にはわかりません。現場にいる人間にしかしかわからないなにかがあったかもしれません。

しかし、何らかの理由があったとしても、この問題点を解決しないことにはチームとして先には進めないのではないかと思います。

 

 

 最後に

 

今回この記事を作った理由としては1人でも多くの方にサッカーってこういう見方もできるよ!ということを伝えたかったからです。

また、日本サッカーの現状について知ってもらいたいのもありました。

 

普段はサッカーあまり見ないけどアジアカップは見ました!

サッカーよく見るけど、雰囲気を楽しんでます!

 

このような人たちにもサッカーというスポーツをもっと知ってもらいたい。日本代表の状況を知ってもらいたい。私はそういう気持ちでいます。

 

もちろんこうやって私のように戦術的に見ることを押し付けるつもりはありませんし、それぞれの楽しみ方で見てもらいたいと思います。ただ、最初にも言った通りこんな見方もできるよということを知ってもらいたいです。これを面白いと思って頂けたなら私は嬉しいですし、そうでなくてもこんな見方もできるんだなと思って頂ければ楽しみ方が異なっていてもお互いを理解することができるようになると思います。

 

今回のアジアカップという比較的話題性のあるイベントによって、1人でも多くのサッカーファンが生まれることを期待し、楽しみにしています。

 

 

 

長くなりましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました!

読んで頂いた皆様が今まで以上にサッカーを好きになってくれた、面白いと感じてくれたことを願いながら締めさせて頂きます。

 

それではまた!

終わり!!