がちゃのメモ帳

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J1リーグ 第33節 FC東京vs川崎フロンターレ "多摩川クラシコ" レビュー

 

すっかり日が暮れるのも早くなりましたね。朝の早い時間は布団の中にいても震えます、がちゃです。

 

さて、今節は川崎フロンターレが相手の”多摩川クラシコ”です。一般的に〇〇ダービーとかいうとピッチ以外のところで問題が起きたり、両チームが煽り合ったりとバッチバチの雰囲気になると思いますが、多摩川クラシコは良くも悪くも平穏な感じです。勝手な想像ですが、両サポーターともにエンターテインメント性が高く、「協力していいものを作ろうな!」みたいな感じになっているんだと思います。

 

 

話を試合に移していきます。

 

一応簡単にプレビューは書きましたが、順位が確定している川崎と3位以内に入りたい東京。前節までの結果でそんな構図になりました。

 

スタメンは以下の通り。

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東京は前節と同じメンバー。

川崎は負傷欠場の小林に代わり知念が1トップ、大島に代わり田中碧が初スタメン。阿部浩之、齋藤らはベンチに控える。

下田のスタメンがかたいと思ってましたがふたを開けてみれば田中がスタメン。自分としては意表を突かれましたが、田中をスタメン予想している記事?もあったみたいですね。正直ちゃんとプレーを見たことがないです。

 

 

◆前半

 ボールが頭上を飛び交う時間はほとんどなく、すぐに川崎がボールを保持し、落ち着きます。どちらも比較的強めにプレスを掛けますが、この日の知念&憲剛のプレスは相当強かったです。ボールホルダーにはかなり強いプレッシャーがかかっていたと思います。東京は強めに寄せられると前に蹴っ飛ばすことが多かったです。ただし、蹴っ飛ばしてもそこに立ちはだかるのは谷口と奈良ということで、ほぼほぼボールを捨てているに等しかったと思います。

最初からボールは川崎が持つ展開でしたが、東京も2,3度敵陣でボールを奪い、ショートカウンターの機会を作れていました。この数度のチャンスでホーム広島戦のように先手を取れればまさにプラン通りといったところだったのですが、川崎も簡単にはシュートを打たせてくれませんでした。

なかなかボールを奪えない東京ではありましたが、敵陣で奪ってしまえば王者川崎にも隙はあるといった可能性を感じる攻撃は何度かできたと思います。

 

しかし、19分に突然試合が動きました。守田がシュートを放ち林がキャッチ。そこから東京のビルドアップが始まりますが、すぐに橋本が囲まれてしまいます。焦った橋本は右足アウトで中央にパスするもボールは知念のもとへ。ドフリーの知念が右足を振り抜き放たれたシュートは林の指先をかすめてゴールネットを揺らす。一瞬にしてプランがぶっ壊れた瞬間でした。

今まで橋本にビルドアップを任せすぎていたことがこのプレーに詰まっていたのではないかと思います。受けるときに動きすぎて田中の網にかかってしまったこともありますが、囲まれた時点でパスコースはないといってもいいような味方の立ち位置でした。室屋へのコースは切られていて、東も長谷川がすぐにチェックしているため出せないと判断。両CBは受けられる位置にいない。正直、橋本も一番最悪な選択肢を選んでしまった気はしますが、チームとして逃がし方を設計できていなかったことに問題があると思います。結果論ではありますが割切ってタッチに捨ててしまうのが正解だったと思います。本来ならチャンヒョンスか森重が受けてワンタッチで裏へ出せればよかったのでしょうけど。

ここから完全に川崎に支配される展開になります。

 

川崎は守田が最終ラインに入ってのビルドアップや、憲剛が下りてきて捌いてから前にあがっていく等、ポジションを動かしながらポゼッションをしていました。後ろを落ち着かせてから押し込んで、そこから前に人数をかけようといった攻め方でした。

東京が中央を固めているため、大外に開くSBが浮き、そこを起点にされるシーンも多かったです。東と大森が頑張ってスライドしてましたが、寄せるまでに時間がかかるため、消耗が激しかったと思います。車屋はボールが逆サイドにある時は内側に絞っていたりしたのも面白かったです。

サイドが空くことがわかっていて、川崎の両CBは対角線のフィードを入れてきます。奈良→車屋、谷口→エウシーニョのラインで非常に高い精度のパスが通ります。このパスが通ってしまうのは非常にきつかったですね。一度サイドに振ってから中央に戻し、CBから逆サイドに展開する流れも多かったですね。奈良と谷口の配球能力があるからこそとも言えます。

 

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34分のシーン、久しぶりに東京が前から追いかけていきます。エウシーニョをタッチ際に追いやり、プレスがハマったように見えました。タッチ際に寄せられたエウシーニョはラインすれすれのコースで家長へパス。そこには太田がついてるので簡単に前は向けないので家長はバックパスを選択。

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うまくバックパスを出させたように思いましたが、これが前を向いたフリーの中村憲剛へ。太田が引き出された裏のスペースへ簡単に配球されました。

 

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(図が見づらい。。)

プレスがハマったと思いきや川崎の罠にかけられたようにスペースを作り出されてそこに走られるという流れには頭を抱えました。エウシーニョは自分がパスを出した瞬間に裏をめがけて走っていたので、この形は3人で共有できていたのだと思います。それがチームで組み込まれていたのか、個人の発想なのかはわかりませんが、この外しによって東京側はどうしたらいいのか完全にわからなくなった印象を受けました。

家長にパスが出たところで橋本が家長の方に向かいますが、これによって中村が浮いてしまったのがまずかったですね。かといって中村についていたら家長が内に入って起点になったかもしれませんし、なんとも難しいシーンではあります。

 

結局川崎に完全に支配されたまま前半は終了。序盤こそカウンターからチャンスは作れたもののフルボッコに近かったですね。東と髙萩が絡めるとうまくボールが運べるといった感じでした。この内容でも0-0であれば全然okでしたが、実際は1失点。あの失点は痛すぎました。

知念と憲剛のプレスがきつく、圧力がかかると何もできないことを露呈しましたね。2人はGKがキャッチした後も近くでつながせないようにずっとけん制してました。本当に抜け目ない。

 

米本は推進力があるため、カウンター参加では貢献できますが、ボール保持においては近くの人に渡すくらいしかできなくて、なんとも、、といった状態でした。

 

東京は中盤でのプレスを強めてそこで奪うという狙いだったと思いますが、途中からは完全に奪うポイントを失っているようでした。特に田中のところは取りどころ設定の一つだったと思いますが、戦前予想よりも彼が普通に試合に入れていたのでそこを起点にはできませんでした。

 

◆後半

米本を下げて永井を入れます。髙萩を一列下げて少し前がかりな布陣に変更。スピードで殴ろうって意図ですかね。

足を踏まれて痛がっていたシーンもあったので、もしかしたらその負傷の影響かもしれません。

 

この交代によってスペースを狙った攻撃と2トップコンビでの仕掛けができるようになります。

しかし、後半開始から4分で川崎に追加点を許します。GKからの繋ぎをそのままゴールに持っていかれました。守りのエラーも少なからずあると思いますが、美しすぎる連携でした。あんなんされたらお手上げです。特に守田が斜め後ろにダイレクトで入れたパスはなんなんですかね。なぜあそこにいる選手を把握していて、その上後ろ方向にパスをつけられるのか。めっちゃ後ろ向きでパスするもん、そんなんできひんやん普通。というのが私の感想です。

正直、この追加点のダメージはかなり大きかったです。前半の内容や最近のリーグ戦での戦いを考えたときに二点とれるイメージはわきませんでした。

そのダメージを引きずるかのように続けざまにピンチを迎えます。幸運もあり失点にはつながりませんでしたが、連続失点していてもおかしくありませんでした。

押し込まれた際にボールサイドに密集して囲おうと図りますが、バックパスで戻されてから逆サイドの大外に展開されて振り回される最悪な流れでした。

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上図は51分のシーン。川崎は右サイドに人を集めて東京も同サイドに寄せます。この狭いところで囲って奪おうといった狙いだったと思いますが、少し引いた位置の守田はフリー。ここに戻されて逆サイド大外の車屋に展開。時間・スペースともに余裕があれば守田レベルの選手はピンポイントで車屋へパスを届けてきます。ちなみにこの時、長谷川が室屋の真ん前にポジション取りをして、そこから中へ走り出すことで室屋を一瞬中へ引き連れました。それによって車屋へのスライドも遅れました。このスライドが遅れたことで全体のポジショニングがずれます。決定機まではいきませんでしたが守田にシュートを打たれるといったシーンになりました。

 

このままズルズルと行ってしまうかと思いましたが、ここからは東京が押し返す時間を迎えます。

 

 後半から永井を投入したことで単純に仕掛けられる推進力のある選手が増えました。髙萩だとどうしても出し手になってしまうので脅威は与えられなかったと思うのですが、トップが永井になったことで川崎DFも嫌だったと思います。わかりやすくスピードの面もそうですが、永井って意外と空中戦強いんですよね。強さは並なんですが、ジャンプ力があって打点が高い。なので競り勝てなくても、こぼれ球が期待できます。実際、スピードの脅威よりも空中戦の部分でプラス要素ができたことで、ロングボールが捨て球にならなくなったということが非常に大きかったと思います。

60分くらいから川崎のプレスが弱まった気がします。見た感じだとスタミナ的に激しく追いかけるのは厳しくなったというところだと予想されます。元々足元には定評のある東京CBコンビですから、そうなれば最終ラインから安定して繋げるようになります。58分、川崎が前から追いかけてきたところを、林から繋いで森重と髙萩のパス交換でプレスをいなす。そして森重がワンタッチでフリーの東へパスを通してチャンスメイク。この1本のパスで川崎の中盤4人をぶっちぎりました。精度の高いパスを最終ラインから出せるのが森重の強みですし、この場面はそれが出せたかなと。後半4分川崎の得点シーンほどではありませんが、キーパーからの繋ぎで素晴らしい展開が作れました。

 

60分にリンスを投入したことも攻撃に迫力が出る大きな要素でした。

先ほど川崎のスタミナが落ちてプレスが弱まったと記載しましたが、それに伴ってライン間の間延びも見られました。

川崎2トップ+SHは縦パスを通させないように高めの位置でCBをけん制。川崎両ボランチは東京の両ボランチに意識が強くあり、前は向かせませんとばかりにくっついていきます。となるとDFラインの前のスペースが空きます。裏抜けを警戒したのか、単にラインを上げきれなかったのかはわかりませんが、プレスに合わせてDFラインを上げようという素振りはあまり見られませんでした。そうするとこのエリアを得意とする選手が東京には二人います。リンスとディエゴです。後半はこの二人がDFライン前のスペースをガンガン使って攻撃を仕掛けていました。

 

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67分、長谷川に代わって登里が投入されます。この手当は憎たらしかったです。登里はそのまま左SHに入りましたが、守備時は最終ライン近くに吸収されて5バックに近い形で守っていました。ボールが逆サイドにあるときはサイドチェンジから室屋を使われないために大外警備員役となっていました。室屋は攻撃参加が魅力の選手ですが、登里の投入から室屋は試合からほぼほぼ消されました。

 

68分のシーン。

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太田がディエゴに渡した後の配置。奈良はハーフスペースの蓋をしていましたが、ディエゴにシュートを打たれるのではないかと察知し、意識がディエゴに向きます。太田は一度外に走る素振りを見せたことでエウシーニョが一瞬外に動きます。この2つが同時に起きたことでエウシーニョと奈良の間に穴が生まれて、そこに太田が内に絞って走りこみます。ディエゴもよく見ていてスルーパスが通って事故ゴール寸前まで行きましたが、得点はならず。でもゴール前で事故を起こさせる攻撃は大切です。ディエゴのシュート意識の高さが植え付けられていたからこそ生まれたスペースだったかもしれませんね。

 

そんなこんなで東京が猛攻を仕掛けますが、点は取れない。82分には矢島を投入して前線中央のターゲットを作ります。まだまだクオリティが足りないとは思いますが、動き出しや体を張れるといったところで十分戦力になりますし、将来への期待が高まる選手です。そんな矢島がすぐに決定機を迎えますが谷口がスライディングで阻止。(某M木さんのように「PKッ!PKだよぉ!と」言いたくなる場面ですがここはぐっと我慢)

 

最後の30分くらいは東京の時間だったと思いますが、結局得点は取れず0-2で敗戦。まあ王者との格の違いを見せつけられましたかね。でもそんな中でもうまいこと攻撃の手段は見つけられていたと思います。川崎がバテてくれたことが一番大きな要因ではありましたが。

 

●感想

プレビューでモチベーションの話を挙げましたが、それ以前に実力差にものを言われた感じでしたね。個人としてもチームとしても。

今までの試合でも橋本がボールを持ってヒヤリとするシーンはありましたが、なんやかんやでうまいことキープしたりギリギリパスを通したりしていました。ただ、川崎相手にそれは通用しませんでしたね。両CBは足元はあれど、ポジションの取り直しは改善ポイントという結果になりました。またこの試合、そこまで東が目立つシーンはなかったと思うのですが、チャンスシーンとか後ろでプレスを回避したシーンとか、実は大体東が絡んでます。圧力がかかっても最善の選択肢を取れていて、この試合影で支えたのは東だと確信しております。本当に今年はたくましくなりました彼。もっと評価されるべき選手だと思います。

言うまでもないかもしれませんが、川崎はとにかくうまいですね。誰が出ても繋げるし、意思の統一ができてる。同じビジョンでゴールに向かえる。これほどの強みはないですよ。王者の風格ですね。あと守田のスルスルッと抜けていくドリブル、あれなんですか。特にフェイントとかしてる雰囲気もないのになぜか狭いところ抜けてくるあれ。覇気かなんか出してるんですかね。

まあ結果的に完敗だったわけですが、最後に東京のターンが作れた理由ってまぎれもなくスタミナの部分で圧倒したからだと思うんですね。最後川崎の選手何人も足つっていたのに対して、東京の選手はずっと走れてましたよね。これって今年健太さんが植え付けたものだと思っていて、その部分が生きて川崎を押し込めたことは今後につながっていくはずです。

来季のことを語るのは浦和戦が終わってからにしたいですが、とにかく健太体制継続が決まったからにはここからもう何個か上のステージを目指してほしいと願っております。

 

 

最後に川崎フロンターレ優勝おめでとうございました!強かったです。文句ないです。(羨ましいです。)今後も楽しいサッカーでJリーグの面白さを広めてください!

 

今回はこの辺で!また次回お会いしましょう!!終わり!!